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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-183642(P2016-183642A)
(43)【公開日】2016年10月20日
(54)【発明の名称】エンジンの制御装置
(51)【国際特許分類】
   F02D 45/00 20060101AFI20160926BHJP
   F01N 3/00 20060101ALI20160926BHJP
   F01N 3/20 20060101ALI20160926BHJP
   F02D 41/14 20060101ALI20160926BHJP
【FI】
   F02D45/00 368H
   F01N3/00 FZAB
   F01N3/20 C
   F02D45/00 314R
   F02D45/00 314Q
   F02D41/14 310K
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-65104(P2015-65104)
(22)【出願日】2015年3月26日
(71)【出願人】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101236
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100166914
【弁理士】
【氏名又は名称】山▲崎▼ 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】古田 賢寛
(72)【発明者】
【氏名】植松 亨介
(72)【発明者】
【氏名】松永 英雄
【テーマコード(参考)】
3G091
3G301
3G384
【Fターム(参考)】
3G091AA02
3G091AA17
3G091AA24
3G091AB03
3G091BA07
3G091BA26
3G091EA01
3G091EA05
3G091EA07
3G091EA16
3G091EA17
3G091EA18
3G091EA34
3G091HA37
3G301HA01
3G301HA04
3G301JA16
3G301JA20
3G301JA33
3G301JB09
3G301KA01
3G301KA28
3G301MA01
3G301ND01
3G301PA01Z
3G301PA11Z
3G301PD02Z
3G301PD12Z
3G301PE03Z
3G301PE08Z
3G384AA01
3G384AA07
3G384AA28
3G384BA09
3G384BA58
3G384CA02
3G384CA23
3G384DA46
3G384EA01
3G384FA01Z
3G384FA04Z
3G384FA28Z
3G384FA40Z
3G384FA46Z
3G384FA58Z
(57)【要約】
【課題】排気浄化触媒の劣化診断を適切に実行することができ、さらにセンサヒータによる電力消費を抑制しつつエンジンの再始動時にはセンサヒータを早期に活性化させることができるエンジンの制御装置を提供する。
【解決手段】排気浄化触媒42が活性化していることを条件に排気浄化触媒42の劣化状態の診断を行う触媒劣化診断部103と、排気浄化触媒42の温度に基づいてセンサヒータ47の作動を制御するヒータ制御部104と、を有し、触媒劣化診断部103は、排気浄化触媒42の温度が第1の温度以下になると排気浄化触媒42の劣化状態の診断を中止し、ヒータ制御部104は、排気浄化触媒42の温度が第1の温度よりも所定温度だけ低い第2の温度以下でセンサヒータ47の作動を停止させるようにする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの排気通路に設けられる排気浄化触媒と、
該排気浄化触媒における排気空燃比を検出するための排ガスセンサと、
前記排ガスセンサに設けられるセンサヒータと、
前記排気浄化触媒が活性化していることを条件に前記排気浄化触媒の劣化状態の診断を行う触媒劣化診断部と、
前記排気浄化触媒の温度に基づいて前記センサヒータの作動を制御するヒータ制御部と、を有し、
前記触媒劣化診断部は、前記排気浄化触媒の温度が第1の温度以下になると前記排気浄化触媒の劣化状態の診断を中止し、
前記ヒータ制御部は、前記排気浄化触媒の温度が前記第1の温度よりも低い第2の温度以下で前記センサヒータの作動を停止させることを特徴とするエンジンの制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のエンジンの制御装置において、
前記ヒータ制御部は、前記エンジンが一時的に停止された後の再始動時に前記排気浄化触媒の温度が前記第2の温度以下である場合に、前記エンジンの冷却水の温度が所定温度に達するまで、前記センサヒータによる加熱温度を通常制御よりも低くした被水対策制御を実行する
ことを特徴とするエンジンの制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載のエンジンの制御装置において、
前記ヒータ制御部は、前記被水対策制御を実行する際、前記エンジンの冷却水の温度が低いほど前記センサヒータによる加熱温度を低くする
ことを特徴とするエンジンの制御装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載のエンジンの制御装置において、
前記ヒータ制御部は、前記センサヒータへの通電をデューティ制御し、前記被水対策制御では前記通常制御よりもデューティ率を低くする
ことを特徴とするエンジンの制御装置。
【請求項5】
請求項1から4の何れか一項に記載のエンジンの制御装置において、
前記エンジンの運転状態を検出する運転状態検出部と、
前記運転状態検出部の検出結果に基づいて前記第2の温度を設定する温度設定部と、を有し、
前記温度設定部は、前記運転状態検出部によって前記エンジンが一時的に停止されている運転状態が検出された場合に、前記エンジンが停止されている期間が長いほど、前記第2の温度を高く設定する
ことを特徴とするエンジンの制御装置。
【請求項6】
請求項1から5の何れか一項に記載のエンジンの制御装置において、
前記第2の温度は、前記第1の温度より所定温度低いことを特徴とするエンジンの制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ハイブリッド車両等に搭載されるエンジンの制御装置に関し、特に、排気通路に設けられる排ガスセンサのセンサヒータへの通電制御に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載されるエンジンでは、例えば、排気通路の排気浄化触媒の下流に設けられた排ガスセンサ(Oセンサやリニア空燃比センサ(LAFS)等)の検出結果に基づいて、排気空燃比が目標空燃比となるようにフィードバック制御されている。
【0003】
排ガスセンサは、所定温度以上で活性化する。このため、例えば、排ガスの熱により排ガスセンサを昇温させる場合、エンジン始動から排ガスセンサが活性化して空燃比を適切にフィードバック制御できるまで、エンジン始動後ある程度の時間を要していた。
【0004】
近年、センサヒータを備える排ガスセンサが開発されている。センサヒータを備えた排ガスセンサでは、例えば、エンジン始動の際にセンサヒータを作動させることで、つまりセンサヒータへ通電することで、排ガスセンサの活性化までの時間を短縮することができる。また例えば、いわゆるアイドリングストップ機能を備える車両や、エンジンと共に走行用モータを備えるハイブリッド車両等のように、エンジンを一時的に停止する期間が存在する車両においては、エンジン停止中にセンサヒータを作動させることで排ガスセンサを活性化した状態に保持することができる。
【0005】
ただし、例えば、ハイブリッド車両等においてエンジンを停止している期間が比較的長く、エンジンの温度(冷却水の温度)が低くなると、排気通路内に凝縮水が発生し排ガスセンサが被水(排ガスセンサに凝縮水が付着)してしまう虞がある。そして排ガスセンサが被水した状態でセンサヒータを作動させてしまうと、排ガスセンサがいわゆるヒートショックにより破損してしまう虞がある。このため、センサヒータの作動状態は、冷却水の温度等に応じて適宜制御する必要がある。
【0006】
センサヒータの作動状態の制御方法として、例えば、エンジン停止時に排ガスセンサのヒータへの通電を停止するタイミングを、外気温度に基づいて設定した設定時間の経過時点と、内燃機関(エンジン)の冷却水の温度が所定温度まで低下した時点と、のいずれかにて設定するようにしたものがある(特許文献1参照)。
【0007】
このように排ガスセンサのヒータの通電を停止するタイミングを制御することで、排ガスセンサの被水による破損を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2012−172592号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、車両に搭載されるエンジンでは、排ガスセンサの検出結果に基づいて、上述のように排気空燃比がフィードバック制御されると共に、排気浄化触媒の劣化状態(故障)の診断(以下、劣化診断という)が適宜実行される。この排気浄化触媒の劣化診断(触媒モニタともいう)は、排気浄化触媒が活性化した状態で適宜実行されるが、その際、排ガスセンサも活性化した状態であることが望ましい。
【0010】
排ガスセンサに設けられるセンサヒータの作動状態を適宜制御することで、劣化診断が実行される際に排ガスセンサを活性状態とすることができる。具体的には、エンジン停止後もセンサヒータへの通電を継続し、センサヒータへの通電の停止のタイミングをできるだけ遅らせることで、劣化診断が実行される際に排ガスセンサの活性状態を維持することができる。
【0011】
しかしながら、センサヒータへの通電を停止するタイミングを遅らせ過ぎると、センサヒータで無駄に電力を消費してしまうことになる。排気浄化触媒の劣化診断は、上述のように排気浄化触媒が活性化した状態で行われる。このため、ハイブリッド車両等においてエンジンの停止期間が比較的長く、排気浄化触媒の温度が低下して不活性となった状態では、センサヒータへの通電も停止し電力の消費を抑制することが好ましい。
【0012】
例えば、排気浄化触媒の温度が不活性になる温度まで低下したと同時にセンサヒータへの通電も停止することで、センサヒータによる電力の消費を効果的に抑制することができる。ただし、エンジン停止期間中にセンサヒータの通電が停止されている期間が長くなるため、排ガスセンサの温度が大きく低下してしまい、エンジン再始動時に一時的に空燃比を適切にフィードバック制御できなくなる虞がある。
【0013】
なお特許文献1に記載の発明においても、センサヒータへの通電を停止するタイミングを適宜制御している。しかしながら、特許文献1に記載の発明は、上述のようにエンジン停止からの経過時点と、エンジンの冷却水の温度と、に応じてセンサヒータの通電の停止のタイミングを制御するものであり、排気浄化触媒の劣化診断の実施は考慮されていない。
【0014】
このため特許文献1に記載の発明では、排気浄化触媒が活性化されている状態温度でセンサヒータへの通電が停止されることも考えられる。この場合、エンジン再始動後の排気浄化触媒の劣化診断時に排ガスセンサが不活性となり、正確な劣化診断を行うことができない虞がある。すなわち特許文献1に記載の発明では、排気浄化触媒の劣化診断の際、排ガスセンサが活性化した状態を維持できず、正確な劣化診断を行うことができない虞がある。
【0015】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、排気浄化触媒の劣化診断を適切に実行することができ、さらにセンサヒータによる電力消費を抑制しつつエンジンの再始動時にはセンサヒータを早期に活性化させることができるエンジンの制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決する本発明の第1の態様は、エンジンの排気通路に設けられる排気浄化触媒と、該排気浄化触媒における排気空燃比を検出するための排ガスセンサと、前記排ガスセンサに設けられるセンサヒータと、前記排気浄化触媒が活性化していることを条件に前記排気浄化触媒の劣化状態の診断を行う触媒劣化診断部と、前記排気浄化触媒の温度に基づいて前記センサヒータの作動を制御するヒータ制御部と、を有し、前記触媒劣化診断部は、前記排気浄化触媒の温度が第1の温度以下になると前記排気浄化触媒の劣化状態の診断を中止し、前記ヒータ制御部は、前記排気浄化触媒の温度が前記第1の温度よりも低い第2の温度以下で前記センサヒータの作動を停止させることを特徴とするエンジンの制御装置にある。
【0017】
かかる第1の態様では、排気浄化触媒の劣化診断が実行される下限温度である第1の温度よりも低い第2の温度以下で、センサヒータの作動を停止させているため、排気浄化触媒が活性化された状態であれば、排ガスセンサも活性化されている。すなわち排気浄化触媒の劣化診断中にセンサヒータの作動が停止されることがなく排ガスセンサの活性状態が確実に維持され、排気浄化触媒の劣化診断の行われていない状態でのセンサヒータをカットでき車両の電力消費を抑えることができる。
【0018】
さらに第2の温度が第1の温度よりも低い温度に設定されていることで、エンジンが一時的に停止されて排気浄化触媒が不活性となった場合でも、排ガスセンサの活性状態はある程度の期間維持される。したがって、エンジンを再始動する際に、排ガスセンサを早期に活性化し、排ガスセンサの検出結果に基づいて空燃比を適切にフィードバック制御することができる。
【0019】
本発明の第2の態様は、第1の態様のエンジンの制御装置において、前記ヒータ制御部は、前記エンジンが一時的に停止された後の再始動時に前記排気浄化触媒の温度が前記第2の温度以下である場合に、前記エンジンの冷却水の温度が所定温度に達するまで、前記センサヒータによる加熱温度を通常制御よりも低くした被水対策制御を実行することを特徴とするエンジンの制御装置にある。
【0020】
本発明の第3の態様は、第2の態様のエンジンの制御装置において、前記ヒータ制御部は、前記被水対策制御を実行する際、前記エンジンの冷却水の温度が低いほど前記センサヒータによる加熱温度を低くすることを特徴とするエンジンの制御装置にある。
【0021】
本発明の第4の態様は、第2又は3の態様のエンジンの制御装置において、前記ヒータ制御部は、前記センサヒータへの通電をデューティ制御し、前記被水対策制御では前記通常制御よりもデューティ率を低くすることを特徴とするエンジンの制御装置にある。
【0022】
かかる第2から第4の態様では、センサヒータの被水による破損を抑制しつつ、エンジンの再始動時に、排ガスセンサを早期に活性化させることができる。
【0023】
本発明の第5の態様は、第1から4の何れか一つの態様のエンジンの制御装置において、前記エンジンの運転状態を検出する運転状態検出部と、前記運転状態検出部の検出結果に基づいて前記第2の温度を設定する温度設定部と、を有し、前記温度設定部は、前記運転状態検出部によって前記エンジンが一時的に停止されている運転状態が検出された場合に、前記エンジンが停止されている期間が長いほど、前記第2の温度を高く設定することを特徴とするエンジンの制御装置にある。
【0024】
かかる第5の態様では、エンジンの停止期間が長い運転状態において、エンジン停止時にセンサヒータへの通電を停止するタイミングを比較的早くすることで、無駄な電力消費が抑制される。一方、エンジンの停止期間が短い運転状態においては、エンジン停止時にセンサヒータへの通電を停止するタイミングを遅らせることで、エンジン再始動時に排ガスセンサの活性状態が維持され、あるいは排ガスセンサを早期に活性化できる。
【0025】
本発明の第6の態様は、第1から5の何れか一つの態様のエンジンの制御装置において、第2の温度は、第1の温度より所定温度低いこと特徴とするエンジンの制御装置にある。
【0026】
かかる第6の態様では、排気浄化触媒の劣化診断の行われている状態でセンサヒータを停止することを確実に防止できる。
【発明の効果】
【0027】
以上のように本発明に係るエンジンの制御装置では、排気浄化触媒の劣化診断(故障診断)を適切に実行することができ、さらにセンサヒータによる電力消費を抑制しつつエンジンの再始動時には排ガスセンサを早期に活性化させることができる。したがって、エンジン再始動時に、排ガスセンサの検出結果に基づいて空燃比を適切にフィードバック制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の一実施形態に係る車両の概略構成を示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係るエンジンの概略構成を示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係るエンジンの制御装置の概略構成を示すブロック図である。
図4】センサヒータへの通電制御の一例を説明するタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
まずは、エンジンを備える車両の全体構成について説明する。図1に示すように、本実施形態に係る車両10は、いわゆるハイブリッド車両であり、走行用モータ(電動モータ)であるフロントモータ11及びリアモータ12と、エンジン13とを、走行用の駆動源として備えている。フロントモータ11は、フロントトランスアスクル(動力伝達機構)14を介して前輪15に接続されている。フロントモータ11の駆動力は、このフロントトランスアスクル14を介して前輪15に伝達される。同様に、リアモータ12はリアトラスアスクル(動力伝達機構)16を介して後輪17に接続されている。
【0030】
エンジン13は、フロントトランスアスクル14を介してジェネレータ(発電機)18に接続され、さらにフロントトランスアスクル14が備えるクラッチ(図示無し)を介して前輪15と切断可能に接続されている。
【0031】
フロントモータ11及びジェネレータ18は、図示しないDC/DCコンバータ等を含むフロント制御部19を介してバッテリ20に接続されている。同様にリアモータ12は、リア制御部21を介してバッテリ20に接続されている。これにより、フロントモータ11及びリアモータ12には、バッテリ20からフロント制御部19又はリア制御部21を介して電力(供給電力)が供給され、ジェネレータ18によって発電された電力が、フロント制御部19を介してバッテリ20に供給されるようになっている。またエンジン13は、燃料タンク22から供給される燃料が燃焼されることにより駆動される。
【0032】
このような車両10では、車両10の走行状態に応じて、EVモード、シリーズモードと、パラレルモードとが適宜選択されるようになっている。なおEVモードは、フロントモータ11及びリアモータ12を駆動源とする走行モードである。シリーズモードは、エンジン13をフロントモータ11及びリアモータ12の電力供給源として用いる走行モードである。パラレルモードは、フロントモータ11及びリアモータ12とエンジン13との両方の駆動力により車両の各車輪15,17を駆動する走行モードである。したがって、車両10の運転状態に応じて、走行モードがシリーズモード又はパラレルモードからEVモードに切り替わるとエンジン13が一時的に停止され、その後、EVモードからシリーズモード又はパラレルモードに切り替わるとエンジン13が再始動される。
【0033】
またハイブリッド車両である車両10では、バッテリ20の充電量(SOC)が十分である場合には主にフロントモータ11及びリアモータ12のみで走行するCDモードが選択される。一方、バッテリ20の充電量が少ない場合には、エンジン13を適宜駆動させてバッテリ20の充電量の低下を抑えるCSモードが選択される。したがってCSモードが選択されている場合、CDモードが選択されている場合に比べてエンジンが頻繁に駆動されることになる。
【0034】
次に、エンジン13の概略構成について説明する。図2に示すように、エンジン13には、シリンダブロック23、シリンダヘッド24及びピストン25によって燃焼室26が形成されている。ピストン25は、コンロッド27を介してクランクシャフト28に接続されている。またシリンダヘッド24には、各気筒に対応する点火プラグ29及び燃料噴射弁30が設けられている。
【0035】
さらにシリンダヘッド24には、吸気ポート31が形成されている。吸気ポート31には吸気通路を形成する吸気マニホールド32が接続されており、吸気マニホールド32には吸気管33が接続されている。吸気ポート31には吸気弁34が設けられている。この吸気弁34によって吸気ポート31が開閉される。またシリンダヘッド24には、排気ポート35が形成されている。この排気ポート35には排気マニホールド36が接続されており、排気マニホールド36には排気管37が接続されている。排気ポート35には、排気弁38が設けられており、この排気弁38によって排気ポート35が開閉される。
【0036】
吸気管33には、スロットルバルブ39、スロットルポジションセンサ(TPS)40及びエアフローセンサ41が設けられている。一方、排気管37には、排気浄化触媒である三元触媒42が介装されている。三元触媒42には三元触媒42の温度を検出する触媒温度センサ43が設けられている。また三元触媒42の下流側には排ガスセンサであるリアOセンサ44が設けられている。なお本実施形態では排ガスセンサとしてOセンサを用いているが、排ガスセンサは、排気の空燃比を検出するためのものであればよく、例えば、リニア空燃比センサ(LAFS)等であってもよい。また排ガスセンサは、本実施形態では三元触媒42の下流側に設けられているが、三元触媒42の上流側に設けられていてもよいし、三元触媒42の上流側及び下流側のそれぞれに設けられていてもよい。
【0037】
また車両10は、制御装置としてのECU(電子コントロールユニット)100を備え、エンジン13は、このECU100によって総合的に制御される。ECU100は、入出力装置、記憶装置(ROM、RAM等)、中央処理装置(CPU)、タイマカウンタ等を備えている。
【0038】
図3に示すように、ECU100の入力側には、上述したエンジン13のTPS40、エアフローセンサ41、触媒温度センサ43、リアOセンサ44の他、エンジン13のクランク角を検出するクランク角センサ45、エンジン13の冷却水の温度を検出する水温センサ46等の各種センサ類が接続され、ECU100にはこれらセンサ類の検出情報が入力される。一方、ECU100の出力側には、上述の点火プラグ29、燃料噴射弁30、スロットルバルブ39等の各種出力デバイスが接続されている。なおECU100は、エンジン13だけでなく、エンジン13及び走行用モータ11,12を含む車両10の総合的な制御を行う。
【0039】
例えば、ECU100は、リアOセンサ44の検出結果に基づいて、三元触媒42の劣化状態の診断(劣化診断)を適宜実行する。この劣化診断(故障診断)は、三元触媒42が活性化していることを含む所定条件が成立した場合に実行される。またECU100は、この劣化診断を実行する際には、リアOセンサ44が活性化された状態となるようにリアOセンサ44の温度を適宜制御する。
【0040】
ここで、リアOセンサ44は、センサヒータ47を備え、このセンサヒータ47の発熱により加熱されて活性化されるようになっている。そしてECU100は、劣化診断を実行する際にリアOセンサ44が活性化された状態となるように、このセンサヒータ47の作動状態を適宜制御する(通電制御)。具体的には、ECU100は、センサヒータ47への通電を開始及び停止するタイミングを適宜制御する。
【0041】
そして本発明は、エンジンの制御装置(ECU)100によるセンサヒータ47への通電制御に特徴を有するものである。以下では、エンジンの制御装置(ECU)100におけるセンサヒータ47への通電制御について詳しく説明する。
【0042】
ECU100は、例えば、運転状態検出部101と、触媒温度検出部102と、触媒劣化診断部103と、ヒータ制御部104と、温度設定部105と、エンジン制御部106とを有する。
【0043】
運転状態検出部101は、上述した各種センサ類からの情報等に基づいて、エンジン13の運転状態を適宜検出し、その検出結果を記録する。例えば、運転状態検出部101は、エンジン13の運転状態として、例えば、エンジン13が稼働状態であるか、或いは走行モードがEVモードに切り換わりエンジン13が停止状態であるかを検出し、エンジン13が停止状態である場合には、停止している期間の長さを記録する。また運転状態検出部101は、エンジン13の運転状態として、例えば、バッテリ20の充電量(SOC)に基づいてCDモードとCSモードとの何れが選択されているかを検出する。
【0044】
触媒温度検出部102は、例えば、触媒温度センサ43の検出情報として三元触媒42の温度を取得する。なお触媒温度検出部102は、例えば、冷却水の温度や、積算空気量等から三元触媒42の温度を推定するようにしてもよい。
【0045】
触媒劣化診断部103は、リアOセンサ44の検出結果に基づいて、三元触媒42の劣化状態の診断(劣化診断)を適宜実行する。この劣化診断は、三元触媒42が活性状態であることを含む所定条件が成立した場合に実行される。三元触媒42の活性化しているか否かは、触媒温度検出部102による検出温度に基づいて判定する。すなわち触媒温度検出部102による検出温度(三元触媒42の温度)が所定温度よりも高い場合、三元触媒42は活性化していると判定され、所定温度以下である低い場合には三元触媒42は不活性状態であると判定される。なお触媒劣化診断部103による三元触媒42の劣化診断の方法自体は、特に限定されるものではなく、既存の方法を採用すればよいため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0046】
ヒータ制御部104は、触媒温度検出部102の検出温度(三元触媒42の温度)に基づいてセンサヒータ47の作動状態、つまりセンサヒータ47への通電の開始又は停止を制御する。具体的には、触媒温度検出部102による検出温度が、ヒータカット温度(第2の温度)よりも高い場合にセンサヒータ47への通電を行い、ヒータカット温度以下である場合にはセンサヒータ47への通電を停止する。ヒータカット温度は、後述するように三元触媒42が活性状態であると判定される下限温度である第1の活性判定温度(第1の温度)よりも低い温度に設定される。
【0047】
またヒータ制御部104は、エンジン13が一時的に停止された後の再始動時に触媒温度検出部102による検出温度がヒータカット温度(第2の温度)以下である場合、エンジン13の冷却水の温度が所定温度に達するまで、センサヒータ47による加熱温度を通常制御よりも低くした被水対策制御を実行する。
【0048】
被水対策制御では、センサヒータ47の加熱温度を通常制御の場合よりも低い温度に設定し、この設定温度となるようにセンサヒータ47への通電を適宜制御する。なお被水対策制御における設定温度は、エンジン13の冷却水の温度に拘わらず一定温度としてもよいが、エンジン13の冷却水の温度が低いほど設定温度も低くすることが好ましい。また設定温度は、被水対策制御中に段階的に変更するようにしてもよい。
【0049】
本実施形態では、ヒータ制御部104は、センサヒータ47への通電をデューティ制御し、被水対策制御では通常制御の場合よりもデューティ率を低くすることで、センサヒータ47の加熱温度が設定温度となるようにしている。例えば、本実施形態では、通常制御におけるデューティ率を50%程度とし、被水対策制御におけるデューティ率を、制御実行時の冷却水の温度に応じて0%−20%程度としている。
【0050】
温度設定部105は、エンジン13の運転状態、すなわち運転状態検出部101の検出結果に基づいてヒータカット温度を設定する。この温度設定部105は、運転状態検出部101によってエンジン13が一時的に停止していることが検出された場合に、エンジン13が停止されている期間(エンジン停止期間)が長いほど、ヒータカット温度を高く設定する。ヒータカット温度は、エンジン13の冷態始動時には、第1の活性判定温度よりも低い所定温度(初期温度)に設定されており、運転状態検出部101によって検出されるエンジン13の停止期間に応じて、温度設定部105がヒータカット温度を初期温度から適宜変更する。
【0051】
なお「エンジン停止期間の長さ」とは、運転状態検出部101が記憶している過去のエンジン停止期間の長さであり、前回のエンジン停止期間の長さであってもよいし、過去の複数回のエンジン停止期間の長さの平均値であってもよい。
【0052】
また温度設定部105がヒータカット温度を変更するタイミングは、特に限定されないが、例えば、運転状態検出部101によってエンジン13が停止していることが検出された際に行えばよい。あるいは、走行モードとして上述したCDモードとCSモードとが切り換えられた時点で行うようにしてもよい。例えば、CDモードが選択されている場合にはエンジン13の駆動頻度は低くエンジン停止期間も比較的長くなるため、温度設定部105は、ヒータカット温度を比較的高い温度に設定する。一方、CSモードが選択されている場合には、エンジン13の駆動頻度が高くエンジン停止期間も比較的短くなるため、温度設定部105は、ヒータカット温度を比較的低い温度に設定する。
【0053】
またヒータカット温度は、エンジン13の運転状態に拘わらず一定温度に設定してもよい。この場合、ヒータカット温度(第2の温度)は、第1の活性判定温度(第1の温度)よりも所定温度(例えば、100℃程度)低い温度に設定されていることが好ましい。
【0054】
またエンジン制御部106は、点火プラグ29、燃料噴射弁30等を必要に応じて適宜制御する。エンジン制御部106は、例えば、リアOセンサ44の検出結果に基づいて所定空燃比となるように燃料噴射弁30からの燃料噴射量や点火プラグ29による点火タイミングを適宜フィードバック制御する。
【0055】
このようなエンジン13の制御装置によるセンサヒータ47への通電制御の一例について、図4のタイムチャートを参照してさらに説明する。なおこの図は、温度設定部105によってヒータカット温度が設定された後のタイムチャートである。
【0056】
図4に示すように、まずエンストモードが不成立となり始動モードが成立し、例えば、時刻t1でエンジン13を始動させる際には、センサヒータ47への通電が停止されているか否か(ヒータカット中であるか否か)を判定する。この例では、時刻t1においてセンサヒータ47への通電が停止(カット)中である。このため、時刻t1の時点では、センサヒータ47への通電のデューティ率が通常制御よりも低い被水対策制御を実行する。具体的には、エンジン13の始動時(時刻t1)における冷却水の温度(始動時水温)に基づいて、センサヒータ47への通電のデューティ率と通電時間とを決定する。図4の例では、時刻t1におけるエンジン始動(一回目の始動)は冷態始動であり、冷却水の温度は外気温と同程度に低い。このため、時刻t1−t2間においてセンサヒータ47への通電のデューティ率をおよそ0%に設定してセンサヒータ47が実質的に発熱しないようにし、被水によるリアOセンサ44の破損を抑制している。なお通常制御では、予め設定されたデューティ率(例えば、50%程度)でセンサヒータ47への通電が行われる。
【0057】
なお、本実施形態では、エンジン13の始動時における冷却水の水温(始動時水温)に基づいて被水対策制御における通電時間及びデューティ率を決定しているが、被水対策制御の方法はこれに限定されるものではない。例えば、冷却水の温度を計測し、冷却水の温度が所定温度に達した時点で被水対策制御を終了するようにしてもよい。
【0058】
そして、始動時水温により予め決められた始動後経過時間の時刻t2でヒータ制御部104はセンサヒータ47への通電制御を被水対策制御から通常制御に切り換える。すなわちセンサヒータ47への通電のデューティ率が、被水対策制御におけるデューティ率よりも高い通常制御におけるデューティ率に変更され、本実施形態では、この時点(時刻t2)からセンサヒータ47への通電が開始される。
【0059】
その後、時刻t3で三元触媒42の温度(触媒温度検出部102による検出温度)が、第2の活性判定温度(第3の温度)に達すると、触媒劣化診断部103は三元触媒42が活性化されたと判定し、その他の条件が成立すると三元触媒42の劣化診断を適宜実行する。なお第2の活性判定温度は、三元触媒42の温度が上昇する際に、三元触媒42の活性状態を判定する閾値である。この第2の活性判定温度は、第1の活性判定温度よりも高い温度に設定されているが、第1の活性判定温度と同じ温度としてもよい。
【0060】
次いで時刻t4でエンストモードが成立すると、燃料噴射弁30からの燃料噴射が停止されてエンジン13が停止する。この時点では、センサヒータ47への通電制御としては、通常制御が継続される。
【0061】
時刻t4でエンジン13が停止すると、その後、三元触媒42の温度は徐々に低下する。そして時刻t5で三元触媒42の温度が第1の活性判定温度よりも低くなると、三元触媒42は不活性となる。すなわち、仮にこの時点で、触媒劣化診断部103により三元触媒42が活性化されているか否かが判定された場合、三元触媒42は不活性と判定される。また時刻t5においても、センサヒータ47への通電制御としては、通常制御が継続される。
【0062】
時刻t6で三元触媒42の温度がヒータカット温度まで低下すると、この時点でセンサヒータ47の作動が停止される。すなわちセンサヒータ47への通電のデューティ率が0%に変更され、通電が停止される。
【0063】
このように本実施形態では、三元触媒42の温度が第1の活性判定温度よりも低いヒータカット温度以下でセンサヒータ47の作動が停止するようにしている。すなわちエンジン13が停止されて三元触媒42が不活性となった状態では、センサヒータ47によりリアOセンサ44の活性状態を維持する必要は無いと判断し、センサヒータ47への通電を停止するようにした。これにより、センサヒータ47での無駄な電力消費を抑制することができる。
【0064】
また時刻t6の時点においてもエンジン13は停止した状態(エンストモード成立)が継続されているため、三元触媒42の温度はヒータカット温度を超えてさらに低下する。時刻t7でエンストモードが不成立となると共に始動モードが成立し、エンジン13が再始動(二回目の始動)されると、上述のようにセンサヒータ47への通電が行われているか否か(ヒータカット中であるか否か)を判定する。時刻t7のエンジン13の始動時において、三元触媒42の温度はヒータカット温度以下まで下がっており、センサヒータ47への通電は停止(カット)されている。このため、時刻t7におけるエンジン13の始動と共に、ヒータ制御部104による被水対策制御が実行される。すなわちエンジン13の始動時(時刻t7)での冷却水の温度(始動時水温)に基づいて設定された通電時間(時刻t7−t8)及びデューティ率でセンサヒータ47への通電が行われる。
【0065】
ここで、時刻t7における冷却水の温度(始動時水温)は、一回目の始動時(時刻t1)での冷却水の温度(始動時水温)とは異なり外気温よりもかなり高い温度である。このため、時刻t7では、センサヒータ47への通電のデューティ率を、通常制御よりも低いが一回目の始動時よりも高いデューティ率(例えば、20%程度)としている。
【0066】
これにより被水によるリアOセンサ44の破損を抑制することができ、またエンジン再始動時にリアOセンサ44が不活性となっていた場合でもリアOセンサ44を早期に活性化することができる。したがって、エンジン再始動直後から、リアOセンサ44の検出結果に基づいて空燃比を適切にフィードバック制御することができる。
【0067】
時刻t8で始動後所定時間が経過すると、ヒータ制御部104は、センサヒータ47への通電制御を、被水対策制御から通常制御に切り換える。その後、時刻t9で三元触媒42の温度が第2の活性判定温度に達すると、触媒劣化診断部103は三元触媒42が活性化されたと判定し、その他の条件が成立した時点で劣化診断を実行する。
【0068】
また時刻t10でエンストモードが成立すると、燃料噴射弁30からの燃料供給が停止されてエンジン13が停止する。この時点では、三元触媒42は活性化された状態であるため、センサヒータ47への通電制御としては通常制御が継続される。エンジン13が停止すると、その後、三元触媒42の温度は徐々に低下する。そして時刻t11で三元触媒42の温度が第1の活性判定温度よりも低くなると三元触媒42は不活性となるが、三元触媒42の温度はヒータカット温度よりも高い。このため時刻t11においても、センサヒータ47への通電制御としては、通常制御が継続される。
【0069】
そして、時刻t12でエンストモードが不成立となると共に始動モードが成立し、エンジン制御部106によってエンジン13が再始動(三回目の始動)されると、その後、三元触媒42の温度及び冷却水の温度(水温)は上昇する。エンジン13の停止期間(時刻t12−t14)が比較的短いせいか、時刻t12においても三元触媒42の温度はヒータカット温度よりも高いため、センサヒータ47への通電制御として通常制御が継続されている。したがって、時刻t12でエンジン13が再始動された後も、センサヒータ47への通電制御として、通常制御が継続される。
【0070】
このように三回目のエンジン始動時には、三元触媒42の温度がヒータカット温度よりも高い温度に維持されているため、被水の影響を考慮する必要がないと判断し、センサヒータ47への通電制御として、被水対策制御を実行することなく通常制御を継続する。
【0071】
三回目のエンジン始動時には、三元触媒42は不活性ではあるが比較的高い温度に維持されている。このためエンジン再始動後、早期のタイミング(時刻t13)で三元触媒42の温度が第2の活性判定温度に達する。またその際、センサヒータ47への通電制御が停止されることなく継続されており、リアOセンサ44の活性状態も維持されている。したがって、この場合にも、三元触媒42の劣化診断時には、リアOセンサ44は活性状態となっている。したがって、三元触媒42の劣化診断の正確性が高められる。
【0072】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0073】
10 車両
11 フロントモータ
12 リアモータ
13 エンジン
14 フロントトランスアスクル
15 前輪
17 後輪
18 ジェネレータ
19 フロント制御部
20 バッテリ
21 リア制御部
22 燃料タンク
23 シリンダブロック
24 シリンダヘッド
25 ピストン
26 燃焼室
27 コンロッド
28 クランクシャフト
29 点火プラグ
30 燃料噴射弁
31 吸気ポート
32 吸気マニホールド
33 吸気管
34 吸気弁
35 排気ポート
36 排気マニホールド
37 排気管
38 排気弁
39 スロットルバルブ
41 エアフローセンサ
42 三元触媒
43 触媒温度センサ
44 リアOセンサ
45 クランク角センサ
46 水温センサ
47 センサヒータ
図1
図2
図3
図4