特開2016-185750(P2016-185750A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特開2016-185750車両用パワーユニットのマウント装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-185750(P2016-185750A)
(43)【公開日】2016年10月27日
(54)【発明の名称】車両用パワーユニットのマウント装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 5/12 20060101AFI20160930BHJP
   B62D 21/00 20060101ALI20160930BHJP
【FI】
   B60K5/12 E
   B62D21/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-66430(P2015-66430)
(22)【出願日】2015年3月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】誠真IP特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】水口 健夫
(72)【発明者】
【氏名】秋本 康雄
(72)【発明者】
【氏名】▲柳▼澤 真史
(72)【発明者】
【氏名】大内 大
【テーマコード(参考)】
3D203
3D235
【Fターム(参考)】
3D203AA02
3D203BA15
3D203BB17
3D203BC35
3D203CA23
3D203CA38
3D203DA02
3D203DA11
3D235AA01
3D235BB09
3D235CC01
3D235EE18
3D235EE23
3D235FF34
(57)【要約】      (修正有)
【課題】衝突時にパワーユニットを下方側へコントロールしてパワーユニットの車室側への移動を抑制可能な車両用パワーユニットのマウント装置を提供する。
【解決手段】車両用パワーユニットのマウント装置は、車両の車体前後方向に沿って延在する左右一対のフロントサイドフレーム間に架設されたサスペンションクロスメンバ5にパワーユニット20の後部を支持している。マウントブラケット40は、下端部の前記サスペンションクロスメンバの上面に固定される固定位置が、緩衝部材35を前記パワーユニット側ブラケットに連結する支持軸の中心よりも下方側かつ前方側に位置するよう構成される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車体前後方向に沿って延在する左右一対のフロントサイドフレーム間に架設されたサスペンションクロスメンバにパワーユニットの後部を支持するマウント装置であって、
前記パワーユニットの後部に取り付けられて後方側へ延びるパワーユニット側ブラケットと、
下端部が前記サスペンションクロスメンバの上面に取付支持されて上方に延びるマウントブラケットと、
前記マウントブラケットの上端部に結合されるとともに、前記パワーユニット側ブラケットに車幅方向に延びる支持軸を介して連結される緩衝部材と、を備え、
前記マウントブラケットは、下端部の前記サスペンションクロスメンバの上面に固定される固定位置が、前記緩衝部材を前記パワーユニット側ブラケットに連結する前記支持軸の中心よりも下方側かつ前方側に位置するよう構成されている
ことを特徴とする車両用パワーユニットのマウント装置。
【請求項2】
前記マウントブラケットの後方側に設けられ、上端部が前記緩衝部材の前記支持軸より下方側かつ後方側に結合されるとともに下端部が前記サスペンションクロスメンバの後端縁に結合されるサポートブラケットを備え、
前記サポートブラケットは、車両後方側へ向かって所定以上の荷重が作用した際に後方側へ屈曲変形するよう構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用パワーユニットのマウント装置。
【請求項3】
前記サポートブラケットには、車両後方側へ向かって所定以上の荷重を受けると変形して、前記サポートブラケットを後方側へ屈曲させる脆弱部が設けられている
ことを特徴とする請求項2に記載の車両用パワーユニットのマウント装置。
【請求項4】
前記サポートブラケットは、前記サスペンションクロスメンバの後縁部に結合される下側ブラケットと、該下側ブラケットの上面に連結されて上端部が前記緩衝部材に結合される上側ブラケットを備え、
前記下側ブラケット及び前記上側ブラケットの夫々には、前記脆弱部が設けられている
ことを特徴とする請求項3に記載の車両用パワーユニットのマウント装置。
【請求項5】
前記支持軸の中心が前記該緩衝部材の外筒の中心よりも上方の位置にオフセットされている
ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の車両用パワーユニットのマウント装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、パワーユニットを左右のサイドフレーム間に架設されたサスペンションクロスメンバに支持する車両用パワーユニットのマウント装置に係る。
【背景技術】
【0002】
自動車用のパワーユニットには、特許文献1に記載されているように、パワーユニットの左右両端の夫々が前部マウント装置を介してサイドフレームに支持され、パワーユニットの後部が後部マウント装置を介してサスペンションクロスメンバに支持されるものがある。
【0003】
この後部マウント装置は、サスペンションクロスメンバの上面に基端部が取付支持されて上方へ延びるマウントブラケットと、パワーユニットの後部に基端が取付支持されて車体後方側へ延びるパワーユニット側ブラケットと、マウントブラケットの先端部とパワーユニット側ブラケットの先端とを連結する緩衝部材となる円筒ブッシュとを有して形成されている。緩衝部材となる円筒ブッシュは、特にパワーユニットからのピッチング方向の荷重を吸収する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−108688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この特許文献1のようなマウント装置では、車両が前面衝突して車両前方からパワーユニットに衝突荷重が作用した場合、パワーユニットが車両後方側へ移動してパワーユニット側ブラケット及び円筒ブッシュが後方側へ押されるため、円筒ブッシュを支持するマウントブラケットに衝撃荷重が集中する。そして、マウントブラケットが衝撃荷重に耐えかねて後方側へ変形または破断すると、パワーユニットは車室側へ移動して車室に侵入する虞がある。マウントブラケットの剛性強度を上げることで変形を抑制してパワーユニットの車室側への侵入量を抑えることは可能であるが、その場合、サスペンションクロスメンバ側の剛性強度も上げる必要があるため、コストや重量が増してしまう。また、マウントブラケットの剛性強度が大きくなりすぎると、サスペンションクロスメンバがサイドフレームから外れ、サスペンションクロスメンバがパワープラントとともに車室側に侵入してくる虞もあるため、改善の余地があった。
【0006】
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも幾つかの実施形態は、衝突時にパワーユニットの車室側への移動を抑制可能なパワーユニットのマウント装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の幾つかの実施形態に係わるエンジンマウントの取付構造は、
車両の車体前後方向に沿って延在する左右一対のフロントサイドフレーム間に架設されたサスペンションクロスメンバにパワーユニットの後部を支持するマウント装置であって、前記パワーユニットの後部に取り付けられて後方側へ延びるパワーユニット側ブラケットと、下端部が前記サスペンションクロスメンバの上面に取付支持されて上方に延びるマウントブラケットと、前記マウントブラケットの上端部に結合されるとともに、前記パワーユニット側ブラケットに車幅方向に延びる支持軸を介して連結される緩衝部材と、を備え、前記マウントブラケットは、下端部の前記サスペンションクロスメンバの上面に固定される固定位置が、前記緩衝部材を前記パワーユニット側ブラケットに連結する前記支持軸の中心よりも下方側かつ前方側に位置するよう構成されているように構成される。
【0008】
上記車両用パワーユニットのマウント装置によれば、マウントブラケットの下端部のサスペンションクロスメンバ側への固定位置が緩衝部材をパワーユニット側ブラケットに連結する支持中心よりも下方側かつ前方側に位置されているので、後方側への衝突荷重が作用した場合にマウントブラケットが固定位置を支点に後方側に倒れ、緩衝部材に時計周りのモーメントが作用される。これにより、パワーユニットを車両後方斜め下方側へ変位するよう誘導することができ、パワーユニットの車室側への移動を抑制することができる。よって、パワーユニットのキャビン側へ移動を抑制可能な車両用パワーユニットのマウント装置を実現できる。
【0009】
また、幾つかの実施形態では、
前記マウントブラケットの後方側に設けられ、上端部が前記緩衝部材の前記支持軸より下方側かつ後方側に結合されるとともに下端部が前記サスペンションクロスメンバの後端縁に結合されるサポートブラケットを備え、前記サポートブラケットは、車両後方側へ向かって所定以上の荷重が作用した際に後方側へ屈曲変形するよう構成されている。
【0010】
この場合、サポートブラケットは、通常時には、パワーユニットから入力される振動等を確実に受け止めることができ、衝突時には、後方側への荷重を受けて減少させた後、屈曲変形することで緩衝部材を下方側へ引き込み、パワーユニットを下方側へ確実に誘導することができる。従って、マウントブラケットとの相乗効果で、より確実にパワーユニットを後方斜め下方側へ変位させることがき、車室側への移動を抑制することができる。
【0011】
また、幾つかの実施形態では、
前記サポートブラケットには、車両後方側へ向かって所定以上の荷重を受けると変形して、前記サポートブラケットを後方側へ屈曲させる脆弱部が設けられているように構成される。
【0012】
この場合、サポートブラケットに脆弱部を設けることで、サポートブラケットの屈曲を確実かつ簡単にコントロールすることができる。
【0013】
また、幾つかの実施形態では、
前記サポートブラケットは、前記サスペンションクロスメンバの後縁部に結合される下側ブラケットと、該下側ブラケットの上面に連結されて上端部が前記緩衝部材に結合される上側ブラケットを備え、前記下側ブラケット及び前記上側ブラケットの夫々には、前記脆弱部が設けられているように構成される。
【0014】
この場合、下側ブラケットと上側ブラケットのそれぞれに脆弱部設けられているので、サポートブラケットが2段階で後方側へ屈曲されることとなり、緩衝部材を下方側へ引き込むことができ、パワーユニットを下方側へより一層強く誘導することができる。
【0015】
また、幾つかの実施形態では、
前記支持軸の中心が前記該緩衝部材の外筒の中心よりも上方の位置にオフセットされているように構成される。
【0016】
この場合、マウントブラケットの下端部の固定位置からより離れた位置で緩衝部材に衝突荷重が作用するので、緩衝部材に作用する時計周りのモーメントをより大きくすることができるので、パワーユニットを下方側に誘導する上で有利となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の少なくとも幾つかの実施形態によれば、衝突時にパワーユニットを下方側へコントロールしてパワーユニットの車室側への移動を抑制可能な車両用パワーユニットのマウント装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態であるパワーユニットに後部マウント装置が設けられた車両前部構造の斜視図である。
図2】後部マウント装置が設けられた車両前部構造の平面図である。
図3】後部マウント装置の詳細な構造を示す斜視図である。
図4】同図(a)は後部マウント装置の詳細な構造を示す側面図であり、同図(b)は、緩衝部材の周辺を拡大した模式図である。
図5】サポートブラケットに脆弱部が設けられた後部マウント装置の部分側面側斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面に従って本発明のパワーユニットのマウント装置の実施形態について、図1図5を参照しながら説明する。なお、この実施形態に記載されている構成部品の材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態であるパワーユニットの後部マウント装置が設けられた車両前部構造の斜視図であり、図2は後部マウント装置が設けられた車両前部構造の平面図である。なお、図1の矢印で示す前後方向を車両の前後方向、左右方向を車両の幅方向左右として以下説明する。先ず、本発明の実施形態を説明する前に、後部マウント装置が設けられた車体前部構造について概説する。
【0021】
図1及び図2に示すように、車体前部の車室前方領域Aには、車両幅方向で間隔を有して車両前後方向に延びる左右一対のサイドフレーム1と、車両の前端部で車両幅方向に延びるフロントエンドクロスメンバ3とフロントエンドクロスメンバ3の後方で車両幅方向に延びるサスペンションクロスメンバ5と、車両の前後方向に延びてフロントエンドクロスメンバ3とサスペンションクロスメンバ5とを連結する左右一対のサブフレーム9L、9R等が配設されている。
【0022】
一対のサイドフレーム1は、車体の骨格を構成する部材であって、後述するパワーユニット20の両側において車両前後方向に沿って設けられている。一対のサイドフレーム1は、それぞれ、断面が矩形の角筒形状に形成されている。フロントエンドクロスメンバ3は、車両の前端部下方において車幅方向に延設され、その両端部がそれぞれ図示しないブラケットを介して左右のサイドフレーム1の前端部に結合されている。サスペンションクロスメンバ5は、フロントサスペンションのロアアーム11L、11Rを支持する部材であって、一対のサイドフレーム1の下方でパワーユニット20の後方側に配置されて一対のサイドフレーム1間に架設されている。なお、サスペンションクロスメンバ5の左右両端部にロアアーム11L、11Rが支持されている。
【0023】
サブフレーム9L、9Rは、フロントエンドクロスメンバ3とサスペンションクロスメンバ5との間で車両の前後方向に延びる長尺な角筒状の部材である。これらサブフレーム9L、9Rは、車両前側に位置する前端部が、フロントエンドクロスメンバ3に固定され、車両後側に位置する後端部がサスペンションクロスメンバ5に固定されている。サスペンションクロスメンバ5の左右両端部には、フロントサスペンションの一部をなすロアアーム11L、11Rが設けられている。
【0024】
そして、エンジン及びトランスミッション等からなるパワーユニット20が、エンジンを横置き配置した状態でパワーユニット20の幅方向両端部が図示しない前部マウント装置によって左右のサイドフレーム1に弾性支持され、パワーユニット20の後部が後部マウント装置30によってサスペンションクロスメンバ5に弾性支持されている。なお、パワーユニット20は、エンジンに限らず電気自動車等の駆動用モータであってもよい。
【0025】
次に。本発明の実施形態である後部マウント装置30の構造について説明する。後部マウント装置30は、図3及び図4に示すように、パワーユニット20の後部に基部が取り付けられて後方側へ延びるパワーユニット側ブラケット31と、パワーユニット側ブラケット31の後端部に軸支される緩衝部材35と、緩衝部材35の前側下部に上端部が結合されて下端部がサスペンションクロスメンバ5の上面に取付支持されたマウントブラケット40と、緩衝部材35の後側下部に上端部が結合されて下端部がサスペンションクロスメンバ5の後縁部に取付支持されたサポートブラケット45と、を備える。
【0026】
パワーユニット側ブラケット31は、側面視において、後方側へ進むに従って上下方向の幅が暫時狭くなるように延び、その後端部には左右車幅方向に所定間隔を有して後方側へ延びる一対の支持アーム部31aが形成されている。つまりパワーユニット側ブラケット31は、一対の支持アーム部31aによって二股に形成されている。この支持アーム部31a間に形成された隙間31bに緩衝部材35が支持される。一対の支持アーム部31aの後端はサスペンションクロスメンバ5の上面5aの上方に延びている。
【0027】
緩衝部材35は、車体幅方向に延在する中心軸線36a(図4(b)参照)を有する円筒状の外筒36と、外筒36内に外筒36と非接触状態で配置される円筒状の内筒37と、外筒36と内筒37との間に介在して外筒36と内筒37とを一体的に結合するゴム等の弾性材38によって形成されている。
【0028】
緩衝部材35は、開口する一対の支持アーム部31a間に配置され、一対の支持アーム部31aの後端部間に亘って車体幅方向に延びる支持軸39が内筒37内に挿通された状態で軸支持されている。つまり、支持軸39を介して緩衝部材35が支持アーム部31aに連結されている。
【0029】
ここで、図4(b)に示すように、緩衝部材35の側面視において、緩衝部材35が支持される支持軸39の中心(以下、「支持中心Sm」と記す。)は、緩衝部材35(外筒36)の中心軸線36aよりも上方に位置している。つまり支持軸39が挿通される内筒37が外筒36の中心軸線36aに対して上方にオフセットした状態で配置されており、パワーユニット20からの入力を緩衝部材35の中心軸線36aより上方側で受ける構造とされている。
【0030】
マウントブラケット40は、緩衝部材35をサスペンションクロスメンバ5に支持する部材である。マウントブラケット40は、図3図4に示すように、上端部が緩衝部材35の外筒36の外周面の下部に結合され、下端部がサスペンションクロスメンバ5の上面5aに取り付け支持されている。マウントブラケット40は、サスペンションクロスメンバ5の上面5aに沿って延びる底板部40aと、底板部40aの前端及び後端から上方へ延びる一対の側板部40bとを有して、U字状に形成されて車体幅方向に延びる。底板部40aにはボルト41が挿通されてサスペンションクロスメンバ5の上面5aに締結固定されている。
【0031】
マウントブラケット40は、側面視において、上端部を緩衝部材35がパワーユニット側ブラケット31に連結される支持中心Smよりも下方側かつ前方側で外筒36の外周面に固着され、下端部のサスペンションクロスメンバ5の上面5aに固定される固定位置Pfが、支持中心Smよりも下方かつ前方側に位置している。即ち、緩衝部材35に車両後方側への衝突荷重Fが作用した際に、サスペンションクロスメンバ5側の固定位置Pfを支点にマウントブラケット40が後方へ傾倒し易い構造、すなわち緩衝部材35に対して固定位置Pfを中心に時計周りのモーメントMを誘発させる構造としている。
【0032】
サポートブラケット45は、緩衝部材35の後方側を支持してマウントブラケット40をサポートする部材である。サポートブラケット45は、図3図4に示すように、マウントブラケット40の後方側で上端部が緩衝部材35の外筒36の外周面の後方側に接続され、下端部がサスペンションクロスメンバ5に接続されている。より具体的には、サポートブラケット45は、側面視において、上端部が緩衝部材35の支持中心Smよりも後方側かつ下方側となるよう外筒36の外周面に固着され、下端部がサスペンションクロスメンバ5の後端縁に接続されている。サポートブラケット45は、サスペンションクロスメンバ5の後端縁に結合された下側ブラケット46と、下側ブラケット46の上面に連結されて上方へ延びて上端部が緩衝部材35に結合された上側ブラケット49を備えてなる。
【0033】
下側ブラケット46は、サスペンションクロスメンバ5の後端縁において後側の側面5bに面接触するとともに、上部から前側へ突出する掛止部49aがサスペンションクロスメンバ5の上面5aに掛け止された状態で、サスペンションクロスメンバ5に溶着固定されている。
【0034】
上側ブラケット49は、下側ブラケット46の上面に図示しないボルト等の締結手段を介して下側ブラケット46に連結されて上方へ延びる箱状に形成されている。上側ブラケット49の前側上部には、緩衝部材35の外周面に沿って面接触した状態で固着された湾曲面49bが設けられている。湾曲面49bは溶接等によって緩衝部材35の外周面に溶着されて一体化されている。このため、上側ブラケット49は、下側ブラケット46を介してサスペンションクロスメンバ5に固定されている。なお、下側ブラケット46と上側ブラケット49との連結部分は、衝突時に連結が解除されるよう構成されている。
【0035】
そして、サポートブラケット45の上側ブラケット49及び下側ブラケット46には、図5に示すように、緩衝部材35を介して後方側へ所定以上の荷重を受けると、上側ブラケット49及び下側ブラケット46を後方側へ屈曲させる脆弱部55、56が設けられている。つまりサポートブラケット45は、後方側に向かって所定以上の荷重を受けると後方側へ屈曲変形するように設定されている。脆弱部55、56は、例えば、上側ブラケット49及び下側ブラケット46の左右両側の側面の後端面に対して直交する方向に設けられた切り欠きである。上側ブラケット49に設けられた脆弱部55は、上側ブラケット49の左右方向側面視において、後方側へ進むに従って上方へ延びるように形成されている。また、下側ブラケット46に設けられた脆弱部56は、下側ブラケット46の左右方向側面視において、後方側へ進むに従って下方へ延びるように形成されている。
【0036】
このように、サポートブラケット45は、通常時はマウントブラケット40をサポートして緩衝部材35を支持し、サポートブラケット45に車両後方側に向かって所定以上の荷重が作用すると、脆弱部55、56が変形してサポートブラケット45が2段階で後方側へ屈曲する構成とされている。これにより、サポートブラケット45は、通常時は、マウントブラケット40とともにパワーユニット20の振動等による入力を支持し、衝突時は、荷重が所定以上となった時点で後方に屈曲して緩衝部材35を下方側に引き込むことで、パワーユニット20に下方側へのモーメントを誘発させることができる。
【0037】
なお、下側ブラケット46と上側ブラケット49との連結部は、脆弱部55、56が変形した後に互いの連結が解除されるよう構成されている。これにより、サポートブラケット45がパワーユニット20を下方側へ引き込んだ後にスムーズに下方側へ変位出来るようにしている。
【0038】
次に、本実施形態の後部マウント装置30の作用効果について図4を用いて説明する。
【0039】
例えば、車両が前面衝突した場合、車体前方から車体後方側へ向く衝突荷重Fによってパワーユニット20が後方に押され、パワーユニット側ブラケット31を介して緩衝部材35が後方に押される。
【0040】
緩衝部材35が後方に押されるとマウントブラケット40とサポートブラケット45とが後方側へ押されて変形し始める。マウントブラケット40は、上端部が緩衝部材35の支持中心Smより前方側に結合されるとともに下端部のサスペンションクロスメンバ5側の固定位置Pfを支持中心Smよりも下方側かつ前方側としているので、固定位置Pfを支点に後方へ倒れようとする。そのため緩衝部材35に固定位置Pfを中心とした時計周りのモーメントMが発生する。なお、このとき、緩衝部材35の支持中心Smが外筒36の中心軸36aよりも上方側にオフセットされているので、緩衝部材35は、固定位置Pfからより離れた位置で荷重を受けることとなるため、時計周りのモーメントMがより強く作用される。
【0041】
そして、サポートブラケット45に作用する車両後方側への荷重が所定以上となった時点で、脆弱部55、56が変形し、サポートブラケット45の上側ブラケット49および下側ブラケット46が脆弱部55,56で後方へ折れ曲がる。
【0042】
サポートブラケット45が後方に屈曲すると、緩衝部材35がサポートブラケット45によって下方側へ引き込まれる。同時に緩衝部材35後方側の支えが無くなるため、マウントブラケット40が固定位置Pfを支点に後方に倒れ、マウントブラケット40によっても緩衝部材35が下方側に引き込まれる。つまり、マウントブラケット40およびサポートブラケット45の両者によって緩衝部材35が下方側へ引き込まれ、緩衝部材35が車両後方斜め下方側へ変位される。なお、本実施形態では、脆弱部55,56によってサポートブラケット45を2段階で後方側へ屈曲させるようにしているので、緩衝部材35の変位方向をより下方側へ向けることができる。
【0043】
これによって、パワーユニット側ブラケット31を介してパワーユニット20に下方側へのモーメントを誘発させ、パワーユニット20が車両後方斜め下方側へ変位(移動)される。そして、パワーユニット20が車両後方斜め下方側へ変位されることで、サスペンションクロスメンバ5もパワーユニット20に押されて下方側へ変位される。これによって、パワーユニット20およびサスペンションクロスメンバ5の後方側、すなわち車室側への移動を抑制して車室側への侵入量を抑制することができる。
【0044】
なお、本実施形態では、サポートブラケット45が脆弱部55,56の変形によって屈曲されると、上側ブラケット49と下側ブラケット46との連結が解除され、パワーユニット20の下方側への変位がサポートブラケット45に妨げられない構成となっているので、より効率よく車室側への移動を抑制することができる。
【0045】
以上説明したように本実施形態の後部マウント装置30では、緩衝部材35支持するマウントブラケット40の下端部のサスペンションクロスメンバ5側への固定位置Pfが緩衝部材35をパワーユニット側ブラケット31に連結する支持中心Smよりも下方側かつ前方側に位置されているので、後方側への衝突荷重が作用した場合にマウントブラケット40が固定位置Pfを支点に後方側に倒れ、緩衝部材35に時計周りのモーメントMを発生させることができる。これによりパワーユニット20を車両後方斜め下方側へ変位するよう誘導することができる。つまり後方側へ移動するパワーユニット20をマウントブラケット40によって下方側へコントロールすることで、パワーユニット20の車室側への移動、即ち車室側への侵入量を抑制することができる。
【0046】
しかもマウントブラケット40の上端部が、緩衝部材35の下部に支持中心Smよりも前方側で結合されているので、緩衝部材35に対してより時計周りのモーメントMをより大きくすることができる。また、緩衝部材35がパワーユニット側ブラケット31に支持される支持中心Smが外筒36の中心軸線36aより上方側にオフセットされ、マウントブラケット40の固定位置Pfからより離れた位置で緩衝部材35に衝突荷重が作用するよう構成されているので、これによっても時計周りのモーメントMをより大きくすることができる。
【0047】
また、マウントブラケット40の後方に緩衝部材35をサスペンションクロスメンバ5に支持するサポートブラケット45を設け、サポートブラケット45が車両後方側へ向かって所定以上の荷重を受けた際に、後方側へ屈曲変形するよう構成している。これにより、通常時は、パワーユニット20からの振動を確実に支持することができ、衝突時には、後方側への荷重を受けて減少させた後、変形することで緩衝部材35を下方側へ引き込み、パワーユニット20を下方側へ確実に誘導することができる。つまり緩衝部材35に対してマウントブラケット40の傾倒による下方側への引き込み力に加えて、サポートブラケット45の屈曲による下方側への引き込み力を作用させることで、より強くパワーユニット20を下方側へ誘導することができる。これによってパワーユニット20の車室側への移動をより確実に抑制することができる。
【0048】
また、サポートブラケット45の上側ブラケット49と下側ブラケット46とに所定以上の衝突荷重で変形する脆弱部55、56を設けているので、衝突時におけるサポートブラケット45の後方側への屈曲が容易となる上、屈曲状態や屈曲タイミングのコントロールが簡単となる。さらにサポートブラケット45を脆弱部55、56の2箇所で屈曲、すなわち2段階で後方に屈曲するようにしているので、緩衝部材35をより下方側へ変位するよう引き込むことができ、パワーユニット20をより下方側へ誘導することができる。ゆえにパワーユニット20の後方側への移動を抑制する上でより有利である。
【0049】
また、下側ブラケット46と上側ブラケット49とが、脆弱部55、56が変形してサポートブラケット45が後方へ屈曲した後に、互いの連結が解除されるよう構成されている。これによってパワーユニット20とサポートブラケット45とが切り離されるので、サポートブラケット45でパワーユニット20の下方側への変位を邪魔することがなく、下方側への移動を一層促進させることができる。
【0050】
以上説明したように、本発明の後部マウント装置30であれば、衝突時にパワーユニット20を下方側へ誘導して車両後方側、すなわち車室側への移動を抑制することが可能となる。
【0051】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない範囲での種々の変更が可能である。
【0052】
例えば、本実施形態では、マウントブラケット40とサポートブラケット45とを備えているがマウントブラケット40のみであっても本発明の効果を得ることができる。また下側ブラケット46及び上側ブラケット49にそれぞれ脆弱部55、56が設けられているが、少なくともいずれか一方に設けられていればよい。また、下側ブラケット46と上側ブラケット49との連結は、上側ブラケット49及び下側ブラケット46が脆弱部55、56で後方へ屈曲された後、破断して上側ブラケット49と下側ブラケット46の固定が解除されるよう構成されていてもよい。この場合、サポートブラケット45とサスペンションクロスメンバ5との連結が外れるので、より一層パワーユニット20の下方側への変位が促進されるので、効果的である。
【符号の説明】
【0053】
1 サイドフレーム
3 フロントエンドクロスメンバ
5 サスペンションクロスメンバ
5a 上面
5b 側面
9L、9R サブフレーム
11L、11R ロアアーム
20 パワーユニット
30 後部マウント装置
31 パワーユニット側ブラケット
31a 支持アーム部
31b 隙間
35 緩衝部材
36 外筒
36a 中心軸線
37 内筒
38 弾性材
39 支持軸
40 マウントブラケット
40a 底板部
40b 側板部
41 ボルト
45 サポートブラケット
46 下側ブラケット
49 上側ブラケット
49a 掛止部
49b 湾曲面
55、56 脆弱部
A 車室前方領域
F 衝突荷重
K 車室
Pb、Pf 固定位置
Sm 支持中心
図1
図2
図3
図4
図5