特開2016-191342(P2016-191342A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-191342(P2016-191342A)
(43)【公開日】2016年11月10日
(54)【発明の名称】内燃機関
(51)【国際特許分類】
   F02B 23/06 20060101AFI20161014BHJP
   F02M 61/18 20060101ALI20161014BHJP
   F02M 61/14 20060101ALI20161014BHJP
   F02B 23/08 20060101ALI20161014BHJP
   F02B 23/10 20060101ALI20161014BHJP
【FI】
   F02B23/06 L
   F02M61/18 320Z
   F02M61/14 310D
   F02B23/08 Z
   F02B23/10 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-71218(P2015-71218)
(22)【出願日】2015年3月31日
(71)【出願人】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】林 伸治
(72)【発明者】
【氏名】北田 泰造
(72)【発明者】
【氏名】野中 一成
【テーマコード(参考)】
3G023
3G066
【Fターム(参考)】
3G023AA07
3G023AB01
3G023AB05
3G023AC05
3G023AD02
3G023AD09
3G066AA02
3G066AA07
3G066AB02
3G066BA02
3G066BA67
3G066CC26
3G066CC34
3G066CC48
(57)【要約】
【課題】シリンダボアの内径が小さくなった場合であっても、噴射された燃料を効率的に空気と混合させることができ、小型化を図る上で有利な内燃機関を提供すること。
【解決手段】内燃機関10は、燃焼室12の一部を形成するピストン14と、ピストン14の頂部142に対向するヘッド面180を有し燃焼室12の一部を形成するシリンダヘッド18と、ヘッド面180に設けられ複数の噴孔202からピストン14の頂面に周方向に間隔をおいて燃料の噴霧Fを噴射するインジェクタ20と、を備える。シリンダヘッド18のヘッド面180には、インジェクタ20を中心とし各々の噴孔202に対応して燃料の噴射方向に沿って延在する凹溝40が設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼室の一部を形成するピストンと、前記ピストンの頂部に対向するヘッド面を有し前記燃焼室の一部を形成するシリンダヘッドと、前記ヘッド面に設けられ複数の噴孔から前記ピストンの頂面に周方向に間隔をおいて燃料の噴霧を噴射するインジェクタと、を備える内燃機関であって、
前記ヘッド面に、前記インジェクタを中心とし各々の前記噴孔に対応して前記燃料の噴射方向に沿って延在する凹溝が設けられている、
ことを特徴とする内燃機関。
【請求項2】
前記凹溝は、前記インジェクタから離れるにつれて前記ヘッド面に対する深さが次第に減少する、
ことを特徴とする請求項1記載の内燃機関。
【請求項3】
前記ヘッド面に、吸気ポートが開口する吸気用開口と、排気ポートが開口する排気用開口とが設けられており、
前記凹溝は、前記吸気用開口および前記排気用開口に重ならない位置に設けられている、
ことを特徴とする請求項1または2記載の内燃機関。
【請求項4】
複数の前記凹溝はその形状、長さが同一である、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の内燃機関。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等に搭載される内燃機関に関する。
【背景技術】
【0002】
燃焼室内に燃料を直接噴射する直接噴射式の内燃機関では、燃焼後の煤等の発生を抑制するために、噴射した燃料と周囲の空気とを均一に混合させるための技術が開発されている。
例えば、下記特許文献1では、インジェクタからキャビティに向けて噴射された燃料の噴霧が、キャビティの壁面に衝突した後にシリンダヘッドに到達して、燃焼室の周方向に広がり、隣り合う噴霧同士が干渉することによる燃料の過濃領域の形成を抑制すると共に、燃料から燃焼室への熱損失を低減することを目的として、シリンダヘッドのヘッド面の、インジェクタから噴射された噴霧がキャビティの壁面に衝突した後に到達する部分に、燃焼室の内外方向に沿って形成された複数のヘッド用溝を設けている。
【0003】
また、下記特許文献2では、噴射された燃料の分散(不均一な分布)を抑制し、排気ガス中に含まれるNOx及び煤の量を低減することを目的として、燃料噴射ノズルの近傍で且つ燃料噴射軸に沿って配置した整流通路を有すると共に、整流通路が、燃料噴射ノズルに固定されて、燃料噴射ノズルから噴射された噴霧燃料が、整流通路内を通過するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−15844号公報
【特許文献2】特開2013−92103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、内燃機関の小型化の要請が高まっている。
ここで、小型化にともないシリンダボアの内径が小さくなると、インジェクタの噴孔と燃焼室との距離が短くなり、燃料と空気の混合を効率良く行なう上で不利となる。
上述した従来技術は、内燃機関の小型化については考慮されておらず、改善の余地がある。
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、その目的は、シリンダボアの内径が小さくなった場合であっても、噴射された燃料を効率的に空気と混合させることができ、小型化を図る上で有利な内燃機関を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するため、請求項1の発明にかかる内燃機関は、燃焼室の一部を形成するピストンと、前記ピストンの頂部に対向するヘッド面を有し前記燃焼室の一部を形成するシリンダヘッドと、前記ヘッド面に設けられ複数の噴孔から前記ピストンの頂面に周方向に間隔をおいて燃料の噴霧を噴射するインジェクタと、を備える内燃機関であって、前記ヘッド面に、前記インジェクタを中心とし各々の前記噴孔に対応して前記燃料の噴射方向に沿って延在する凹溝が設けられている、ことを特徴とする。
請求項2の発明にかかる内燃機関は、前記凹溝は、前記インジェクタから離れるにつれて前記ヘッド面に対する深さが次第に減少する、ことを特徴とする。
請求項3の発明にかかる内燃機関は、前記ヘッド面に、吸気ポートが開口する吸気用開口と、排気ポートが開口する排気用開口とが設けられており、前記凹溝は、前記吸気用開口および前記排気用開口に重ならない位置に設けられている、ことを特徴とする。
請求項4の発明にかかる内燃機関は、複数の前記凹溝はその形状、長さが同一である、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、インジェクタを中心として各々の噴孔に対応して燃料の噴射方向に沿って延在する凹溝が設けられているので、凹溝内の空気(ガス)が噴霧の流動によって噴霧内に流れこみ、燃料と空気との混合が促進される。
また、凹溝により各噴孔からの噴霧の拡散方向が規制されるため、異なる噴孔から噴射された噴霧間の干渉を防止し、燃焼室内の燃料分布を適切に保つことができる。
したがって、小型化にともないシリンダボアの内径が小さくなった場合であっても、燃料と空気との混合を促進する上で有利となり、この結果、噴霧中の当量比が低下し、燃焼後の煤の発生を抑制する上で有利となる。
また、凹溝によって噴霧の流れがガイドされるため、インジェクタをヘッド面よりも奥まった位置(燃焼箇所から遠い位置)に配置することができ、インジェクタに対する熱の影響を軽減し、耐久性を向上させる上で有利となる。
請求項2の発明によれば、凹溝の深さはインジェクタから離れるにつれて次第に減少するので、噴霧と空気との混合効率をさらに向上させる上で有利となる。
請求項3の発明によれば、凹溝がヘッド面に設けられた吸気用開口および排気用開口に重ならない位置に設けられているので、凹溝により吸気バルブおよび排気バルブの動きを妨げることがなく、燃焼室への吸気および排気を円滑に行うことができる。
請求項4の発明によれば、複数の凹溝の形状、長さが同一であるので、各噴孔からの噴霧を均一に拡散することができ、燃焼室内の燃料分布を適切に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態にかかる内燃機関10の構成を示す説明図である。
図2】インジェクタ20が組み込まれ吸気バルブ26および排気バルブ28を取り除いた状態のヘッド面180をシリンダボア15側から見た図である。
図3】ヘッド面180の中央部の拡大斜視図である。
図4】凹溝40の断面図である。
図5】ヘッド面180の中央部の拡大正面図である。
図6】インジェクタ20からの燃料噴射状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、本発明にかかる内燃機関の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0010】
(実施の形態)
図1は、実施の形態にかかる内燃機関10の構成を示す説明図であり、より詳細には、内燃機関10の燃焼室12周辺の断面図、図2はシリンダボア側から見たヘッド面180の図である。
内燃機関10は、燃焼室12内に直接燃料を噴射する直噴エンジンであり、例えばディーゼルエンジンやガソリン直噴エンジン等である。
シリンダブロック16のシリンダボア15にピストン14が組み込まれ、ピストン14の頂部142にキャビティ13が形成されている。
シリンダヘッド18のうちシリンダボア15の内側に位置する部分であるヘッド面180の中央に、インジェクタ20が配置されている。
インジェクタ20の周囲のシリンダヘッド18の箇所には、2つの吸気ポート22と2つの排気ポート24が設けられ、吸気ポート22は吸気バルブ26により開閉され、排気ポート24は排気バルブ28により開閉される。なお、図1および図2において、符号30は吸気ポート22が開口する吸気用開口、符号32は排気ポート24が開口する排気用開口、符号34,36はバルブシート、符号23,25は吸気バルブ26、排気バルブ28のステムの挿通孔を示している。
【0011】
燃焼室12は、シリンダボア15と、ピストン14の頂部142と、ヘッド面180により形成されている。
ピストン14の頂部142に形成されたキャビティ13は、ピストン14の中心軸の箇所が最も高位に位置する円錐面状の底面132と、底面132の外周部から起立する湾曲面状側面部134と、湾曲面状側面部134の上部から次第に拡径しつつ端面135に接続する傾斜面状側面部136とで構成されている。なお、キャビティ13の形状は、図1に示したリエントラント型に限らず、トロイダル型等の従来公知の様々な形状を適用可能である。
本実施の形態では、ピストン14の頂部142の壁面であるピストン頂面は、端面135と、キャビティ13の壁面である底面132と、湾曲面状側面部134と、傾斜面状側面部136とで構成されている。
図5に示すように、燃焼室12に配置されたインジェクタ20のノズル204には、湾曲面状側面部134の上部の周方向に間隔をおいた複数箇所に燃料の噴霧F(図6参照)を噴射する複数の噴孔202が設けられている。
各々の噴孔202から噴射される燃料の噴霧Fは燃焼室12の周方向に噴射される。
なお、図1に示すように、インジェクタ20は大部分がシリンダヘッド18内に収納されており、ノズル204のみがヘッド面180から露出している。これは、内燃機関10の小型化に伴ってインジェクタ20周辺の温度が高温になりやすくなっていることから、熱によるインジェクタ20の傷みを軽減するために、燃焼室12への露出面積を小さくしたものである。
【0012】
ヘッド面180は円形の平坦面で形成されている。
シリンダボア15の中心軸上に位置するヘッド面180の中心部には、インジェクタ20が挿入されるインジェクタ挿入孔184が形成されている。
インジェクタ挿入孔184の内周面とヘッド面180とが交差する箇所に面取り186が施されている。
そして、インジェクタ挿入孔184に組み込まれたインジェクタ20の8つの噴孔202に対応した箇所に、図3に示すように、インジェクタ挿入孔184の内周面からヘッド面180にわたって凹溝40が形成されている。
本実施の形態では8つの噴孔202に対応して8つの凹溝40が設けられている。各凹溝40は同一形状で、その長さL(図6参照)はすべての凹溝40において同一である。
凹溝40を同一形状とすることで、インジェクタ20の噴孔202から噴射された燃料空気との混合を偏り無く均等に促進することができる。
【0013】
図6に示すように、凹溝40は、インジェクタ側に位置する始端部402と、始端部402からインジェクタ挿入孔184の半径方向外側に延在する中間部404と、ヘッド面180に接続する終端部406とを備えている。
凹溝40の延在方向は、それぞれの噴孔202からの燃料の噴出方向と一致している。
【0014】
図4A図6のA−A断面図(始端部402付近)であり、図4B図6のB−B断面図(中間部404付近)であり、図4C図6のC−C断面図(終端部406付近)である。
凹溝40は、湾曲面で形成され、ヘッド面180に対する凹溝40の深さDはインジェクタ20から離れるにつれて次第に減少するように形成されている。すなわち、図4において深さD1>D2>D3となっている。
また、凹溝40の幅Wは、凹溝40の延在方向の中間部404が最も広くなるように形成されている。すなわち、図4において幅W2>W1,W3となっている。
それら凹溝40の深さDと幅Wは、図4A図4Cに示すように、噴孔202から噴射される燃料の噴霧形状に対応して形成されている。
詳細には、図4Aに示すように、インジェクタ20寄りの凹溝40の箇所(始端部402付近)では、噴孔202から噴射された噴霧F1が凹溝40の壁面との間に隙間S1を確保した状態で凹溝40の内側に位置する。
図4Bに示すように、凹溝40の延在方向の中間部404付近では、噴孔202から噴射された噴霧F2の上半部が凹溝40の壁面との間に隙間S2を確保した状態で凹溝40の内側に位置する。
図4Cに示すように、凹溝40の延在方向の終端部406付近では、噴孔202から噴射された噴霧F3は、凹溝40の壁面との間に隙間S3を確保した状態で凹溝40及びヘッド面180の下方に位置する。
【0015】
また、図2に示すように、凹溝40は、ヘッド面180に設けられた吸気用開口30および排気用開口32に重ならない位置に設けられている。本実施の形態では、バルブシート34,36にも重ならない位置に凹溝40が設けられている。
さらに好適には、凹溝40の長さLは、インジェクタ20の噴口202と吸気用開口30および排気用開口32との距離のうち最短の距離と等しい長さに形成される。これにより、各々の凹溝40を同一形状としつつ凹溝40の長さLを最長とすることができる。そのため、インジェクタ20の噴口202から噴射された燃料と空気との混合を更に促進する事ができる。
【0016】
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。
図6に示すように、インジェクタ20の噴孔202から燃料の噴霧Fが噴射されると、噴霧Fは噴孔202を頂点とする円錐形に拡散しながら凹溝40内を通過し湾曲面状側面部134の上部に到達する。
ここで、ヘッド面180の近傍に位置する空気(ガス)および凹溝40内の空気は、噴霧Fの流動によって噴霧F内に流れこみ、燃料と空気との混合が促進される。この空気の流れ込みを図4図6において矢印で示している。この場合、噴霧F1の上流寄りでは、図4Aに示すように噴霧F1が凹溝40の壁面と隙間S1を確保した状態で凹溝40内に位置し、あるいは、図4Bに示すように噴霧F2の上部が凹溝40の壁面と隙間S2を確保した状態で凹溝40内に位置しているため、燃料と空気との混合がより促進される。
したがって、小型化にともないシリンダボア15の内径が小さくなり、噴孔202からキャビティ13の壁面までの距離が短くなった場合であっても、燃料と空気との混合を促進する上で有利となり、この結果、噴霧中の当量比が低下して燃焼後の煤の発生を抑制する上で有利となる。
また、凹溝40により各噴孔202からの噴霧Fの拡散方向が規制されるため、各噴孔202から噴射された噴霧F間の干渉を防止し、燃焼室12内の燃料分布を適切に保つ上で有利となる。
さらに、噴孔202から凹溝40内に燃料が噴射されるため、インジェクタ20をヘッド面180よりも奥まった位置(燃焼箇所から遠い位置)に配置することができ、インジェクタ20に対する熱の影響を軽減し、耐久性を向上させることができる。
【0017】
また、噴孔202から噴射される燃料の噴霧形状に対応させ、凹溝40の深さDはインジェクタ20から離れるにつれて次第に減少するので、噴霧Fと空気との混合効率を向上させる上で有利となる。
また、凹溝40は、ヘッド面180に設けられた吸気用開口30および排気用開口32に重ならない位置に設けられているので、凹溝40により吸気バルブ26および排気バルブ28の動きを妨げることがなく、燃焼室12への吸気および排気を円滑に行うことができる。
また、複数の凹溝40の形状、長さLが同一であるので、各噴孔202からの噴霧Fを均一に拡散することができ、燃焼室12内の燃料分布を適切に保つことができる。
【符号の説明】
【0018】
10 内燃機関
12 燃焼室
13 キャビティ
132 底面
134 湾曲面状側面部
136 傾斜面状側面部
14 ピストン
142 頂部
15 シリンダボア
16 シリンダブロック
18 シリンダヘッド
20 インジェクタ
202 噴孔
204 ノズル
22 吸気ポート
24 排気ポート
26 吸気バルブ
28 排気バルブ
30 吸気用開口
32 排気用開口
34,36 バルブシート
40 凹溝
402 始端部
404 中間部
406 終端部
180 ヘッド面
184 インジェクタ挿入孔
F(F1〜F3) 噴霧
図1
図2
図3
図4
図5
図6