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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-194257(P2016-194257A)
(43)【公開日】2016年11月17日
(54)【発明の名称】タービン式流量制御装置
(51)【国際特許分類】
   F01D 17/08 20060101AFI20161021BHJP
   F01D 17/20 20060101ALI20161021BHJP
   F01D 17/24 20060101ALI20161021BHJP
   H02P 9/04 20060101ALI20161021BHJP
【FI】
   F01D17/08 A
   F01D17/20 A
   F01D17/20 D
   F01D17/20 F
   F01D17/20 Z
   F01D17/24 A
   F01D17/24 E
   H02P9/04 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-73636(P2015-73636)
(22)【出願日】2015年3月31日
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】成田 浩昭
(72)【発明者】
【氏名】猿渡 亮
【テーマコード(参考)】
3G071
5H590
【Fターム(参考)】
3G071AA03
3G071AB01
3G071BA09
3G071EA01
3G071FA01
3G071FA02
3G071FA05
3G071FA07
3G071FA08
3G071HA04
5H590AA01
5H590AA02
5H590CC02
5H590CD01
5H590CD03
5H590CE05
5H590FB07
5H590HA02
5H590HA04
5H590HA10
5H590HA12
5H590HA18
5H590HA27
5H590HA28
5H590JA02
(57)【要約】
【課題】弁体を用いずに、実流量を制御するようにして、省電力化を図る。エネルギーの再利用を図る。タービンの磁極位置を検出する位置センサが故障、もしくは検出精度が劣化した場合でも、継続して発電部のトルクを適切に制御できるようにする。
【解決手段】回転子6と固定子7とからなる発電部306を設ける。回転子6は永久磁石を組み込んだリング6−1と羽根車6−2とから構成されている。回転子6をタービン308とする。タービン308の現在の角速度と発電部306の現在のトルクとから実流量を推定し、推定される実流量が設定流量に一致するような発電部306のトルクを演算し、演算したトルクおよびタービン308の磁極位置に基づいて発電部306のトルクを制御する。タービン308の磁極位置には位置センサによって検出される測定値を使用するが、位置センサの信頼性が無いと判定された場合には、推定値を使用する。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流路を流れる流体のエネルギーを回転運動エネルギーに変換するタービンと、
前記タービンが変換した回転運動エネルギーを電気エネルギーに変換する発電部と、
前記流体の供給先の負荷変動によりその値が変化する設定流量を入力する設定流量入力部と、
前記タービンの現在の角速度と前記発電部の現在のトルクとから前記流路を流れている流体の実流量を推定し、この推定される実流量が前記設定流量に一致するような前記発電部のトルクを演算する流量制御部と、
前記タービンに組み込まれた磁石の磁極の位置を前記タービンの磁極位置として検出する位置センサと、
前記タービンに組み込まれた磁石の磁極の位置を前記タービンの磁極位置として推定する磁極位置推定部と、
前記位置センサが検出したタービンの磁極位置および前記磁極位置推定部が推定したタービンの磁極位置の何れか一方を選択する磁極位置選択部と、
前記流量制御部が演算したトルクおよび前記磁極位置選択部が選択したタービンの磁極位置に基づいて前記発電部のトルクを制御する発電部制御部と
を備えることを特徴とするタービン式流量制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載されたタービン式流量制御装置において、
前記磁極位置推定部は、
前記発電部の現在の相電圧値および相電流値と前記発電部の現在の巻線の温度とに基づいて前記タービンの磁極位置を推定する
ことを特徴とするタービン式流量制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載されたタービン式流量制御装置において、
前記磁極位置選択部は、
前記位置センサが検出したタービンの磁極位置の信頼性の有無を判定し、
信頼性が有ると判定した場合には、前記位置センサが検出したタービンの磁極位置を選択し、
信頼性が無いと判定した場合には、前記磁極位置推定部が推定したタービンの磁極位置を選択する
ことを特徴とするタービン式流量制御装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載されたタービン式流量制御装置において、
前記発電部制御部より相電圧設定値を入力して前記発電部へ相電圧を出力するとともに、前記発電部制御部と前記磁極位置推定部へそれぞれ前記発電部の現在の相電圧値および相電流値を出力するインバータ
を備えることを特徴とするタービン式流量制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、タービンを用いて流体の流量を制御するタービン式流量制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、空調制御システムでは、ファンコイルユニット(FCU)などの空調機を備え、この空調機の熱交換器へ冷温水を供給するようにしている。空調機の熱交換器への冷温水の供給通路には流量制御バルブが設けられており、この流量制御バルブの開度を制御する装置として空調制御装置(コントローラ)が設けられている。
【0003】
空調制御装置は、空調機からの調和空気の供給を受ける制御対象空間の室内温度の計測値とこの室内温度に対して設定される室内温度の設定値との偏差を零とするように、流量制御バルブの開度を制御する。これにより、空調機の熱交換器への冷温水の供給量が制御され、空調機からの制御対象空間への調和空気の温度が調節される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−45855号公報
【特許文献2】特開2012−241659号公報
【特許文献3】特開平5−106753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した空調制御システムにおいて、冷温水の供給通路に設けられた流量制御バルブは、流路内に弁体として設けられたプラグの開口面積を変化させ、圧力損失を生じさせることで流量制御を実現しており、この時に発生する圧力損失に相当するエネルギーが熱として無駄に捨てられていた。また、弁体を駆動するために、大電力を必要とするという問題もあった。
【0006】
なお、特許文献2には、配水管路の水道水を減圧しながら発電する水道施設の残圧利用発電装置が示されている。この水道施設の残圧利用発電装置では、水道水が流通する配水管路に設けられた水車と、水車の回転によって発電する発電機とを備え、発電機の発電負荷による水車の回転抵抗によって水車の下流側を減圧するようにしている。
【0007】
この特許文献2には、実施の形態2として、水車の流量を目標流量とするように、発電機のトルクを制御するようにした技術が示されている。以下、この技術を特許文献2の技術と呼ぶ。
【0008】
具体的には、水車の角速度を検出し、この水車の角速度とトルク指令値とから水車の推定流量を算出し、この推定流量から減圧量を推定し、この推定減圧量から目標流量を実現するためのトルク指令値を算出し、推定流量と目標流量との差分をとり、流量のフィードバック項をトルク指令値に追加し、目標角速度と角速度との差分をとり、角速度のフィードバック項をトルク指令値に追加し、この流量および角速度のフィードバック項が追加されたトルク指令値をインバータに出力するようにしている(引用文献2の段落〔0043〕〜〔0049〕、図7図8などの記載参照)。
【0009】
この特許文献2の技術において、目標流量は目標減圧量(水車の上流側と下流側との圧力差)に相当する目標値であり、目標減圧量と同様、水道施設に応じて定められる所定値とされる。
【0010】
すなわち、特許文献2の技術において、目標流量の値は一定値であり、変動しないことを前提としており、この変動しない値として定められる目標流量に推定流量が一致するように、発電機のトルクを制御する。すなわち、特許文献2には、目標流量の値を変えて、実流量を制御しようという考えはなく、水道施設の残圧を利用して電気エネルギーを取り出そうとしているに過ぎない。
【0011】
また、特許文献3には、バルブの弁箱内に配置されて弁体開成時の流体エネルギーによって回転させられる回転子およびこの回転子の回転によって発電する発電機を備えた発電装置と、この発電装置で発生した電力を蓄える蓄電装置と、この蓄電装置の出力電圧によって起動する電動機と、この電動機の回転出力を弁棒に伝達する動力伝達機構とを具備し、蓄電装置と電動機とを電気的に接続する電路に電動機の正逆回転および停止を選択して実行させる開閉装置を設けた発電装置内蔵バルブが示されている。
【0012】
この特許文献3に示された発電装置内蔵バルブは、内部に、回転子と発電機とからなる「発電装置」と流体の流通及び遮断を制御する「弁装置」とが離間して設けられているため、構成部品が多く、また、流体の流れ方向に大型化する。また、この引用文献3にも、目標流量の値を変えて、実流量を制御しようという考えはなく、弁体の開弁時に発生する流体エネルギーを利用して、弁体を自動的に開閉させ、エネルギーロスを低減しようとしているに過ぎない。なお、発電電力を用いて弁体を自動的に開閉させるようにしているが、弁体を用いているので、大電力を必要とする。
【0013】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、弁体を用いずに、実流量を制御するようにして、省電力化を図ることが可能なタービン式流量制御装置を提供することにある。
また、実流量を制御する際に、熱として捨てられていたエネルギーの一部を電気エネルギーとして回収するようにして、エネルギーの再利用を図り、省エネルギーに貢献することが可能なタービン式流量制御装置を提供することにある。
また、タービンの磁極位置(タービンに組み込まれた磁石の磁極の位置)を検出する位置センサが故障、もしくは検出精度が劣化した場合でも、継続して発電部のトルクを適切に制御することが可能なタービン式流量制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
このような目的を達成するために、本発明のタービン式流量制御装置は、流路を流れる流体のエネルギーを回転運動エネルギーに変換するタービンと、タービンが変換した回転運動エネルギーを電気エネルギーに変換する発電部と、流体の供給先の負荷変動によりその値が変化する設定流量を入力する設定流量入力部と、タービンの現在の角速度と発電部の現在のトルクとから流路を流れている流体の実流量を推定し、この推定される実流量が設定流量に一致するような発電部のトルクを演算する流量制御部と、タービンに組み込まれた磁石の磁極の位置をタービンの磁極位置として検出する位置センサと、タービンに組み込まれた磁石の磁極の位置をタービンの磁極位置として推定する磁極位置推定部と、位置センサが検出したタービンの磁極位置および磁極位置推定部が推定したタービンの磁極位置の何れか一方を選択する磁極位置選択部と、流量制御部が演算したトルクおよび磁極位置選択部が選択したタービンの磁極位置に基づいて発電部のトルクを制御する発電部制御部とを備えることを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、流体の供給先の負荷変動により設定流量が変化すると、タービンの現在の角速度と発電部の現在のトルクとから流路を流れている流体の実流量が推定され、この推定された実流量が設定流量に一致するように発電部のトルクが制御される。これにより、本発明では、弁体ではなく、発電部のトルク、すなわちタービンの回転トルクによって、流路を流れる流体の流量が制御される。
【0016】
また、本発明では、発電部のトルクを制御する際、流量制御部が演算したトルクとタービンの磁極位置が用いられる。この場合、磁極位置選択部によって選択されたタービンの磁極位置、すなわち位置センサが検出したタービンの磁極位置および磁極位置推定部が推定したタービンの磁極位置の何れか一方が用いられる。
【0017】
例えば、磁極位置選択部は、位置センサが検出したタービンの磁極位置の信頼性の有無を判定し、信頼性が有ると判定した場合には、位置センサが検出したタービンの磁極位置を選択し、信頼性が無いと判定した場合には、磁極位置推定部が推定したタービンの磁極位置を選択する。
【0018】
このようにすると、位置センサが検出したタービンの磁極位置の信頼性が無くなると、位置センサが検出したタービンの磁極位置に代えて磁極位置推定部が推定したタービンの磁極位置が用いられるようになり、タービンの磁極位置を検出する位置センサが故障、もしくは検出精度が劣化した場合でも、継続して発電部のトルクを適切に制御することが可能となる。
【0019】
なお、発電部の稼働時間が所定時間を超えた場合や累積回転数が所定回転数を超えた場合などに、位置センサが検出したタービンの磁極位置に代えて磁極位置推定部が推定したタービンの磁極位置を選択し、発電部制御部で使用するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、流路を流れる流体のエネルギーを回転運動エネルギーに変換するタービンと、タービンが変換した回転運動エネルギーを電気エネルギーに変換する発電部とを設け、流体の供給先の負荷変動によりその値が変化する設定流量を入力とし、タービンの現在の角速度と発電部の現在のトルクとから流路を流れている流体の実流量を推定し、この推定される実流量が設定流量に一致するように発電部のトルクを制御するようにしたので、弁体を用いずに、実流量を制御するようにして、省電力化を図ることが可能となる。
また、実流量を制御する際に、熱として捨てられていたエネルギーの一部を電気エネルギーとして回収するようにして、エネルギーの再利用を図り、省エネルギーに貢献することも可能となる。
また、タービンと発電部とからなる「発電装置」で流量制御と発電の両機能を実現することができ、構成部品が少なく、小型化を実現することができるようになる。
【0021】
また、本発明によれば、タービンの磁極位置を検出する位置センサと、タービンの磁極位置を推定する磁極位置推定部と、位置センサが検出したタービンの磁極位置および磁極位置推定部が推定したタービンの磁極位置の何れか一方を選択する磁極位置選択部とを設け、流量制御部が演算したトルクおよび磁極位置選択部が選択したタービンの磁極位置に基づいて発電部のトルクを制御するようにしたので、例えば、位置センサが検出したタービンの磁極位置の信頼性の有無を判定し、信頼性が有ると判定した場合には位置センサが検出したタービンの磁極位置を選択し、信頼性が無いと判定した場合には磁極位置推定部が推定したタービンの磁極位置を選択するなどして、タービンの磁極位置を検出する位置センサが故障、もしくは検出精度が劣化した場合でも、継続して発電部のトルクを適切に制御することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明に係るタービン式流量制御装置を用いた空調制御システムの一実施の形態を示す計装図である。
図2】この空調制御システムに用いたタービン式流量制御装置の第1の実施の形態(実施の形態1)の要部の構成図である。
図3】このタービン式流量制御装置における発電部の要部を抜き出して示した斜視図である。
図4】このタービン式流量制御装置の管路に設けられた回転子を示す斜視図である。
図5】このタービン式流量制御装置における流量制御部と発電部制御部とインバータと磁極位置推定部と磁極位置選択部とが連携して行う特有の処理動作を示すフローチャートである。
図6図5に続くフローチャートである。
図7図6に続くフローチャートである。
図8】位置センサが検出したタービンの磁極位置の信頼性の有無(位置センサの正常/異常)の判定処理の具体例を説明するためのタイムチャートである。
図9】位置センサが検出したタービンの磁極位置の信頼性の有無(位置センサの正常/異常)の判定処理の具体例を説明するためのフローチャートである。
図10】実施の形態2のタービン式流量制御装置の要部の構成図である。
図11】実施の形態3のタービン式流量制御装置の要部の構成図である。
図12】実施の形態4のタービン式流量制御装置の要部の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1はこの発明に係るタービン式流量制御装置を用いた空調制御システムの一実施の形態を示す計装図である。
【0024】
図1において、1は制御対象空間、2はこの制御対象空間1へ調和された空気を供給する空調機(FCU)、3は本発明に係るタービン式流量制御装置、4は空調制御装置(コントローラ)、5はタービン式流量制御装置3に対して設けられた外部電源である。
【0025】
空調機2は熱交換器(冷温水コイル)2−1とファン2−2とを備えている。タービン式流量制御装置3は空調機2の熱交換器2−1への冷温水の供給通路(流路)に設けられている。この例において、タービン式流量制御装置3は、空調機2の熱交換器2−1への冷温水の往水管路LSに設けられている。
【0026】
なお、空調機2の熱交換器2−1としては、1つのコイルで冷房時は冷水として熱交換し、暖房時は温水として熱交換するシングルコイルタイプのものと、2つのコイルで冷房時は冷水コイルにて熱交換し、暖房時は温水コイルにて熱交換するダブルコイルのタイプのものとがある。この例において、熱交換器2−1はシングルコイルタイプであるものとする。
【0027】
制御対象空間1には、この制御対象空間1内の温度を室内温度として計測する室内温度センサ8が設けられている。室内温度センサ8によって計測された室内温度(室内温度の計測値tpv)はコントローラ4へ送られる。
【0028】
コントローラ4は、室内温度の計測値tpvと室内温度の設定値tspとの偏差を零とする制御出力として空調機2の熱交換器2−1への冷温水の設定流量Qspを演算し、この演算した設定流量Qspをタービン式流量制御装置3に送る。
【0029】
〔タービン式流量制御装置:実施の形態1〕
図2にタービン式流量制御装置3の第1の実施の形態(実施の形態1)の要部の構成図を示す。この実施の形態1のタービン式流量制御装置3(3A)は、データ通信部301と、システム制御部302と、流量制御部303と、発電部制御部304と、インバータ305と、発電部306と、位置センサ307と、タービン308と、電源部309と、商用電源回生部310と、蓄電部311と、温度センサ317と、磁極位置推定部318と、磁極位置選択部319とを備えており、コントローラ4との間および外部電源5との間は有線で接続されている。
【0030】
データ通信部301は、コントローラ4とデータの送受信を行う機能を有し、コントローラ4からの設定値などのデータを受信し、タービン式流量制御装置3の内部状態などのデータをコントローラ4へ送信する。
【0031】
システム制御部302は、タービン式流量制御装置3のシステム全体を制御する機能を有し、データ通信部301からの設定値などの受信データを入力し、タービン式流量制御装置3の内部状態などの送信データをデータ通信部301へ出力する。また、データ通信部301からの設定値などの受信データから設定流量Qspを流量設定値として取り出し、この取り出した流量設定値Qspを流量制御部303へ出力する。
【0032】
流量制御部303は、発電部制御部304からの角速度値(タービン308の現在の角速度)ωおよびトルク値(発電部306の現在のトルク)Tとから無次元流量および無次元差圧を推定する機能、推定した無次元流量および無次元差圧から実流量Qおよび実差圧ΔPを推定する機能、推定した実流量Qが流量設定値Qspに一致するような発電部306のトルクを流量制御則によりトルク設定値Tspとして演算する機能を有し、システム制御部302からの流量設定値Qsp、発電部制御部304からの角速度値ωおよびトルク値Tを入力し、演算したトルク設定値Tspを発電部制御部304へ出力する。
【0033】
発電部制御部304は、発電部306のトルクがトルク設定値Tspとなるようにベクトル制御則によりインバータ305への相電圧設定値を演算する機能、磁極位置選択部319が選択したタービン308の磁極位置(後述)からタービン308の現在の角速度を角速度値ωとして演算する機能、インバータ305からの発電部306の固定子巻線の現在の相電圧値および相電流値から発電部306の現在のトルクをトルク値Tとして演算する機能を有し、磁極位置選択部319が選択したタービン308の磁極位置、インバータ305からの相電圧値および相電流値、流量制御部303からのトルク設定値Tspを入力し、演算した角速度値ωおよびトルク値Tを流量制御部303へ出力し、演算した相電圧設定値をインバータ305へ出力する。
【0034】
インバータ305は、発電部制御部304からの相電圧設定値を入力し、発電部306の固定子巻線に相電圧設定値を相電圧として出力する機能、発電部306の固定子巻線の現在の相電圧値および相電流値を発電部制御部304および磁極位置推定部318へ出力する機能、発電部306で発電された電力を蓄電部311に回生する機能を有し、電源部309からの主電源を受けて動作する。
【0035】
発電部306は、図3にその要部を抜き出して示すように、回転子6と固定子7とを備えている。回転子6は、永久磁石を組み込んだリング6−1と、このリング6−1の内側に一体的に設けられた羽根車6−2とから構成されている。回転子6は、管路中にその軸心を管路の軸心と合わせて設けられており(図4参照)、管路を流れる冷温水の水流を受けて全体が回転する。すなわち、羽根車6−2と一体となって、リング6−1が回転する。図2では、便宜上、回転子6をタービン308とし、発電部306と分離して示している。
【0036】
固定子7には、コイルが巻かれており、このコイルを固定子巻線として、タービン308の回転によって発電される電力が取り出される。なお、位置センサ307は、固定子7に取り付けられており、リング6−1に組み込まれた永久磁石の磁極の位置をタービン308の磁極位置として検出する。この例において、位置センサ307としては、インクリメンタルエンコーダが用いられている。
【0037】
また、温度センサ317は、固定子7に巻かれているコイル(固定子巻線)の温度を検出し、この検出した固定子巻線の温度を巻線温度TRとして磁極位置推定部318へ送る。磁極位置推定部318は、インバータ305からの発電部306の固定子巻線の現在の相電圧値および相電流値と温度センサ317からの発電部306の固定子巻線の現在の巻線温度TRとに基づいて、リング6−1に組み込まれた永久磁石の磁極の位置をタービン308の磁極位置として推定する。
【0038】
磁極位置選択部319は、位置センサ307が検出したタービン308の磁極位置および磁極位置推定部318が推定したタービン308の磁極位置の何れか一方を選択して、発電部制御部304へ送るタービン308の磁極位置とする。この実施の形態において、磁極位置選択部319は、位置センサ307が検出したタービン308の磁極位置の信頼性の有無を判定し、信頼性が有ると判定した場合には、位置センサ307が検出したタービン308の磁極位置を選択し、信頼性が無いと判定した場合には、磁極位置推定部318が推定したタービン308の磁極位置を選択する。
【0039】
電源部309は、外部電源5からの電力と、蓄電部311に蓄積されている蓄電電力を入力とし、タービン式流量制御装置3A内で使用される電力として分配する。この例では、インバータ305への電力を主電源とし、データ通信部301,システム制御部302,流量制御部303,発電部制御部304などへの電力を各制御部電源とする。
【0040】
電源部309は、外部電源5からの電力と蓄電部311に蓄積されている蓄電電力とを合わせた電力を分配するが、蓄電部311に蓄積されている蓄電電力を優先的に分配する。ここで、蓄電部311に蓄積されている蓄電電力で不足が生じる場合には、外部電源5から供給される電力と合わせた電力を分配し、蓄電部311に蓄積されている蓄電電力が余る場合には、その余った電力を余剰電力として商用電源回生部310を介して商用電源(この例では、外部電源5)に回生する。
【0041】
このタービン式流量制御装置3Aにおいて、データ通信部301、システム制御部302、流量制御部303、発電部制御部304、インバータ305、磁極位置推定部318、磁極位置選択部319、電源部309、商用電源回生部310などの各部の機能は、プロセッサ、記憶装置、デジタル入出力回路、アナログ入出力回路、パワーエレクトロニクス回路などからなるハードウェアと、これらのハードウェアと協働して各種機能を実現させるプログラムとによって実現される。また、このタービン式流量制御装置3Aでは、データ通信部301とシステム制御部302とで設定流量入力部300が構成されている。
【0042】
次に、このタービン式流量制御装置3Aにおける特徴的な動作について説明する。コントローラ4からの冷温水の設定流量Qspが変化すると、すなわち冷温水の供給先の負荷変動によって冷温水の設定流量Qspが変化すると、タービン式流量制御装置3Aは、この変化した設定流量Qspをデータ通信部301で受信し、データ通信部301はその受信した設定流量Qspをシステム制御部302へ送る。
【0043】
システム制御部302は、設定流量Qspを流量設定値Qspとして取り出し、流量制御部303へ送る。流量制御部303は、発電部制御部304からの角速度値(タービン308の現在の角速度)ωおよびトルク値(発電部306の現在のトルク)Tとから無次元流量および無次元差圧を推定し、この推定した無次元流量および無次元差圧から実流量Qおよび実差圧ΔPを推定する。そして、推定した実流量Qが流量設定値Qspに一致するようなトルク設定値Tspを演算し、発電部制御部304へ送る。
【0044】
発電部制御部304は、流量制御部303からのトルク設定値Tspを受けて、発電部306のトルクがトルク設定値Tspとなるような相電圧設定値を演算し、インバータ305へ送る。インバータ305は、発電部制御部304からの相電圧設定値を受けて、発電部306の固定子巻線に相電圧設定値を相電圧として出力するとともに、発電部306の固定子巻線の現在の相電圧値および相電流値を発電部制御部304および磁極位置推定部318へ出力する。
【0045】
磁極位置推定部318は、発電部306の固定子巻線の現在の相電圧値および相電流値と発電部306の固定子巻線の現在の巻線温度TRとに基づいてタービン308の磁極位置を推定し、その推定したタービン308の磁極位置(磁極位置の推定値)を磁極位置選択部319へ出力する。磁極位置選択部319には、磁極位置推定部318からのタービン308の磁極位置の推定値と、位置センサ307によって検出されるタービン308の磁極位置(磁極位置の測定値)が入力される。
【0046】
図5図7に流量制御部303と発電部制御部304とインバータ305と磁極位置推定部318と磁極位置選択部319とが連携して行う本実施の形態特有の処理動作のフローチャートを示す。この処理動作は、タービン式流量制御装置3Aにおけるプロセッサ(CPU(Central Processing Unit))が行う。
【0047】
〔磁極位置の測定値を選択しての流量制御(トルク制御)〕
先ず、CPUは、タービン308をアイドリング機械角速度ωarで強制的に回転させる(図5:ステップS101)。そして、位置センサ(インクリメンタルエンコーダ)307から出力されるZ信号を検出したら、位置センサ307のカウント値をリセットし、原点合わせを完了とする(ステップS102)。
【0048】
そして、CPUは、流量制御のためのトルク制御に移行し(ステップS103)、流量制御部303が分担する流量制御則によるトルク設定値Tspの演算および発電部制御部304が分担するベクトル制御則による相電圧設定値の演算を行い、その演算した相電圧設定値を相電圧として発電部306へ出力することによって、発電部306のトルクをトルク設定値Tspに合わせ込み、管路を流れる冷温水の実流量Qを流量設定値Qspに調整する。
【0049】
CPUは、このステップS102,S103の処理を繰り返すが、すなわち流量制御のためのトルク制御を繰り返すが、この流量制御のためのトルク制御に際して使用するタービン308の磁極位置として磁極位置の測定値を用いる。すなわち、発電部制御部304で使用するタービン308の磁極位置として位置センサ307によって検出されるタービン308の磁極位置(磁極位置の測定値)を選択し、この選択したタービン308の磁極位置の測定値からタービン308の現在の角速度の演算を行い、この演算した角速度を流量制御部303で使用する角速度値ωとする。
【0050】
また、CPUは、このタービン308の磁極位置の測定値を使用しての流量制御のためのトルク制御中、位置センサ307が正常であるか否かを監視する(ステップS104)。すなわち、位置センサ307が検出したタービン308の磁極位置の信頼性の有無を判定する。
【0051】
〔位置センサが検出したタービンの磁極位置の信頼性の有無の判定〕
CPUは、例えば、図8(b)に示すように、正弦波状に変化する相電圧値がゼロクロスするタイミングの今回値をTzcとし、前回値をTbkzcとし、タービン308の電気角速度ωpvuをωpvu=π/(Tzc−Tbkzc)として求める(図9:ステップS201)。
【0052】
また、図8(a)に示すように、相電圧値のゼロクロスするタイミングの今回値Tzcにおける位置センサ307からのパルス信号のカウント値をCとし、前回値Tbkzcにおける位置センサ307からのパルス信号のカウント値をCbkとし、この前回のカウント値Cから今回のカウント値Cまでの間に進んだタービン308の回転角θをθ=2π・(C−Cbk)/CTとして求め(ステップS202)、タービン308の機械角速度ωMをωM=θ/ΔTとして求める(ステップS203)。
【0053】
なお、θ=2π・(C−Cbk)/CTなる式において、CTはタービン308が1回転する間にカウントされるべき位置センサ307からのパルス信号のカウント値、ωM=θ/ΔTなる式において、ΔTはΔT=Tzc−Tbkzcとして求められる時間間隔を示す。
【0054】
そして、CPUは、この求めたタービン308の機械角速度ωMに極対数Pを乗じて電気角速度ωe(ωe=ωM*P)を求め(ステップS204)、ステップS201で求めた電気角速度ωpvuとステップS204で求めた電気角速度ωeとが一致しているか否かを確認する(ステップS205)。
【0055】
ここで、CPUは、ωpvu=ωeであれば、位置センサ307は正常、すなわち位置センサ307が検出したタービン308の磁極位置は信頼性が有ると判定する(ステップS206)。ωpvu≠ωeであれば、位置センサ307は異常、すなわち位置センサ307が検出したタービン308の磁極位置は信頼性が無いと判定する(ステップS207)。
【0056】
CPUは、信頼性が有ると判定した場合には(図5:ステップS104のYES)、ステップS102に戻り、磁極位置の測定値を使用しての流量制御のためのトルク制御を続ける。
【0057】
これに対して、位置センサ307が検出したタービン308の磁極位置の信頼性が無いと判定した場合には(ステップS104のNO)、磁極位置の測定値を使用しての流量制御のためのトルク制御を中断する(ステップS105)。すなわち、磁極位置の測定値を選択しての流量制御(トルク制御)を中断する。
【0058】
〔磁極位置の推定値を選択しての流量制御(トルク制御)〕
CPUは、磁極位置の測定値を選択しての流量制御(トルク制御)を中断すると、磁極位置の推定値を選択しての流量制御(トルク制御)に移行する。
【0059】
この磁極位置の推定値を選択しての流量制御(トルク制御)では、先ず、タービン308をアイドリング機械角速度ωarで強制的に回転させる(ステップS106)。そして、アイドリング時間Taの経過後(ステップS107のYES)、サンプリング時間Tsが経過する毎に(図6:ステップS108のYES)、以下に説明するステップS109〜S115の処理動作を繰り返す。
【0060】
CPUは、発電部306の固定子巻線の現在のU相の相電圧値Vuおよび相電流値Iuを入力し(ステップS109)、発電部306の固定子巻線の現在の巻線温度TRを入力する(ステップS110)。そして、発電部306の固定子巻線の巻線抵抗R(基準温度での巻線抵抗)を巻線温度TRで温度補正し(ステップS111)、下記(1)式によってタービン308の磁極位置を推定する(ステップS112)。
【0061】
【数1】
【0062】
すなわち、上記(1)式によって求められるθe(rad)をタービン308の電気磁極位置推定値とする。なお、(1)式において、Lは発電部306の固定子巻線のインダウタンス(巻線インダクタンス)、Keは逆起電圧定数を示す。
【0063】
そして、下記(2)式によって、タービン308の機械角速度を推定する(ステップS113)。すなわち、下記(2)式によって求められるωrをタービン308の機械角速度推定値とする。なお、(2)式において、θbke(rad)は前回の電気磁極位置推定値であり、初期値は0とされている。
【0064】
【数2】
【0065】
CPUは、このようにして機械角速度推定値ωrを求めた後、この機械角速度推定値ωrがアイドリング機械角速度ωarと等しいか否かをチェックする(ステップS114)。ここで、機械角速度推定値ωrがアイドリング機械角速度ωarと等しくなければ(ステップS114のNO)、ステップS112で求めた電気磁極位置推定値θeを前回の電気磁極位置推定値θbkeに置き換えて(ステップS115)、ステップS108へ戻り、ステップS108〜S115の処理動作を繰り返す。
【0066】
このステップS108〜S115の処理動作の繰り返し中、機械角速度推定値ωrがアイドリング機械角速度ωarと等しくなれば(ステップS114のYES)、CPUは、タービン308の磁極位置の推定値を使用する準備が整ったと判断し、アイドリング機械角速度ωarでの強制駆動を解除し(ステップS116)、流量制御のためのトルク制御に移行する(図7:ステップS117)。
【0067】
この流量制御のためのトルク制御において、CPUは、発電部306の固定子巻線の現在のU相の相電圧値Vu、相電流値IuおよびV相の相電流値Ivを入力し(ステップS118)、トルク設定値Tspを入力し(ステップS119)、発電部306の固定子巻線の現在の巻線温度TRを入力する(ステップS120)。
【0068】
そして、発電部306の固定子巻線の巻線抵抗Rを巻線温度TRで温度補正し(ステップS121)、下記(3)式によってタービン308の磁極位置を推定する(ステップS122)。
【0069】
【数3】
【0070】
すなわち、ステップS112で使用した(1)式におけるωarをωrに置き換えた上記(3)式を用いて、タービン308の電気磁極位置推定値θe(rad)を求める。
【0071】
また、下記(4)式によって、タービン308の機械角速度を推定する(ステップS123)。すなわち、(2)式と同じ下記(4)式を用いて、タービン308の機械角速度推定値ωrを求める。
【0072】
【数4】
【0073】
そして、CPUは、この求めた機械角速度推定値ωrよりωe=ωr/Pとしてタービン308の電気角速度推定値ωeを求め(ステップS124)、ステップS118で入力したIu,Iv、ステップS122,S124で得たθe,ωeを使用して、ステップS119で入力したトルク設定値Tspとなるようにベクトル制御則により発電部306の固定子巻線への相電圧を制御する(ステップS125)。
【0074】
そして、CPUは、ステップS122で求めた電気磁極位置推定値θeを前回の電気磁極位置推定値θbkeに置き換えて(ステップS126)、サンプリング時間Tsの経過を待ち(ステップS127)、サンプリング時間Tsが経過する毎に(ステップS127のYES)、上述したステップS118〜S126の処理動作(センサレスベクトル制御)を繰り返す。これにより、発電部306のトルクがトルク設定値Tspに合わせ込まれ、管路を流れる冷温水の実流量が流量設定値Qspに調整されるものとなる。
【0075】
上述したステップS101〜S127の処理動作は、流量制御部303と発電部制御部304とインバータ305と磁極位置推定部318と磁極位置選択部319とが連携して行う処理動作として行われるが、ステップS104での位置センサ307の正常/異常(信頼性の有無)の判定を磁極位置選択部319が分担し、ステップS109〜S112やステップS118〜S122でのタービン308の磁極位置の推定を磁極位置推定部318が分担する。
【0076】
このように、本実施の形態によれば、弁体ではなく、発電部306のトルク、すなわちタービン308の回転トルクによって、管路を流れる流体の流量が制御されるものとなる。このため、弁体を駆動する場合のような大電力を必要とせず、省電力化を図ることが可能となる。
【0077】
また、本実施の形態において、発電部306で発電された電力は蓄電部311に蓄積され、蓄電電力として電源部309に送られ、タービン式流量制御装置3内の各部で使用される。これにより、実流量を制御する際に、熱として捨てられていたエネルギーの一部が電気エネルギーとして回収され、タービン式流量制御装置3Aで再利用されるものとなる。
【0078】
また、本実施の形態では、蓄電部311に蓄積されている蓄電電力が余る場合には、その余った電力を余剰電力として商用電源に回生するようにしているので、タービン式流量制御装置3A内での余剰電力も有効利用されるものとなる。例えば、余剰電力をセンサやコントローラなど他の装置に供給するようにすれば、総合的に省エネルギーに貢献することができる。
【0079】
また、本実施の形態によれば、タービン308と発電部306とからなる「発電装置」で流量制御と発電の両機能を実現することができるので、すなわち図3に示したタービン308(回転子6)と固定子7とからなる「発電装置」で流量制御と発電の両機能を実現することができるので、特許文献3に示されたような「弁装置」を無くし、構成部品を少なくして、小型化を実現することができる。これにより、現行の流量制御バルブのサイズでタービン式流量制御装置を構成することが可能となり、既設の流量制御バルブをタービン式流量制御装置に置き換えるようにして省エネルギーを図ることが可能となる。
【0080】
また、本実施の形態では、タービン308の現在の角速度ωと発電部306の現在のトルク値Tとから管路を流れている冷温水の実流量を推定し、この推定される実流量が流量設定値Qspに一致するように発電部306のトルクを制御するので、高価な圧力センサや流量センサなどのセンサ類を排除することが可能となり、コストアップを抑えることが可能となる。
【0081】
また、本実施の形態では、発電部306のトルクを制御する際、流量制御部303が演算したトルクとタービン308の磁極位置が用いられる。この場合、磁極位置選択部319によって選択されたタービンの磁極位置、すなわち位置センサ307が検出したタービン308の磁極位置および磁極位置推定部318が推定したタービン308の磁極位置の何れか一方が用いられる。
【0082】
この実施の形態において、磁極位置選択部319は、位置センサ307が検出したタービン308の磁極位置の信頼性の有無を判定し、信頼性が有ると判定した場合には、位置センサ307が検出したタービン308の磁極位置(磁極位置の測定値)を選択し、信頼性が無いと判定した場合には、磁極位置推定部318が推定したタービン308の磁極位置(磁極位置の推定値)を選択する。
【0083】
これにより、位置センサ307が検出したタービン308の磁極位置の信頼性が無くなると、位置センサ307が検出したタービン308の磁極位置に代えて磁極位置推定部318が推定したタービン308の磁極位置が用いられるようになり、タービン308の磁極位置を検出する位置センサ307が故障、もしくは検出精度が劣化した場合でも、継続して発電部306のトルクを適切に制御することができるようになる。
【0084】
〔タービン式流量制御装置:実施の形態2〕
実施の形態1のタービン式流量制御装置3Aでは、コントローラ4との間を有線で接続するようにしたが、コントローラ4との間を無線で接続するようにしてもよい。図10にコントローラ4との間を無線で接続するようにしたタービン式流量制御装置3(3B)の要部の構成を実施の形態2として示す。
【0085】
図10において、図2と同一符号は図2を参照して説明した構成要素と同一或いは同等の構成要素を示し、その説明は省略する。このタービン式流量制御装置3Bでは、データ通信部301に代えてワイヤレスデータ通信部312を設け、アンテナ313を通してコントローラ4との間のデータの送受信を無線で行うようにしている。
【0086】
なお、このタービン式流量制御装置3Bでは、ワイヤレスデータ通信部312とシステム制御部302とで設定流量入力部300が構成されている。
【0087】
〔タービン式流量制御装置:実施の形態3〕
実施の形態1のタービン式流量制御装置3Aでは、外部電源5との間を有線で接続するようにしたが、外部電源5との間を無線で接続するようにしてもよい。図11に外部電源5との間を無線で接続するようにしたタービン式流量制御装置3(3C)の要部の構成を実施の形態3として示す。
【0088】
図11において、図2と同一符号は図2を参照して説明した構成要素と同一或いは同等の構成要素を示し、その説明は省略する。このタービン式流量制御装置3Cでは、商用電源回生部310に代えてワイヤレス送受電部314を設け、外部電源5からの電力をアンテナ315を通して無線で受けて電源部309へ送るようにすると共に、電源部309からの余剰電力をアンテナ315を通して無線で商用電源(この例では、外部電源5)に回生するようにしている。
【0089】
〔タービン式流量制御装置:実施の形態4〕
実施の形態1のタービン式流量制御装置3Aでは、コントローラ4との間および外部電源5との間をどちらも有線で接続するようにしたが、コントローラ4との間および外部電源5との間をどちらも無線で接続するようにしてもよい。図12にコントローラ4との間および外部電源5との間をどちらも無線で接続するようにしたタービン式流量制御装置3(3D)の要部の構成を実施の形態4として示す。
【0090】
図12において、図2と同一符号は図2を参照して説明した構成要素と同一或いは同等の構成要素を示し、その説明は省略する。このタービン式流量制御装置3Dでは、データ通信部301に代えてワイヤレスデータ通信部312を設け、アンテナ316を通してコントローラ4との間のデータの送受信を無線で行うようにしている。また、商用電源回生部310に代えてワイヤレス送受電部314を設け、外部電源5からの電力をアンテナ316を通して無線で受けて電源部309へ送るようにすると共に、電源部309からの余剰電力をアンテナ316通して無線で商用電源(この例では、外部電源5)に回生するようにしている。
【0091】
このタービン式流量制御装置3Dでは、コントローラ4との間および外部電源5との間をどちらも無線で接続するようにしているので、タービン式流量制御装置3Dへの配線を全てなくすことができている。これにより、配線材料の撤廃、施工性/メンテナンス性向上への貢献、配線個工数の撤廃、劣悪な環境での作業工数の低減、既設建物の追加計装での作業工数の低減など、ワイヤレス化による環境負荷低減への貢献が期待できる。
【0092】
なお、外部電源5との間を無線で接続することができているのは、タービン式流量制御装置3Dを外部電源5からの電力と発電部306で発電された電力とを使用するハイブリッド型としたことにより、外部電源5からの電力の供給量が少なくて済むことによる。
【0093】
従来の流量制御バルブ(弁体を使用したバルブ)において、バッテリーを用いることにより完全ワイヤレス化することが考えられるが、バッテリーでの流量制御バルブの長期間駆動が実現できないため困難と判断されていた。すなわち、制御回路、通信回路の低消費電力化、通信頻度の低周期化、バッテリーの高密度電力化など、様々な問題を解決しなければならず、従来の流量制御バルブでの完全ワイヤレス化は困難であった。
【0094】
これに対して、本実施の形態では、外部からの電力と内部で発電された電力とのハイブリッド型とすることにより、今まで困難とされたいた流量制御バルブの完全ワイヤレス化を実現することができており、今までにない画期的な装置であると言える。本発明では、弁体を用いないので、流量制御バルブではなく、タービン式流量制御装置と呼んでいる。また、本発明において、内部で発電された電力で自身の稼働を全て賄うことができれば、タービン式流量制御装置への外部からの電力の供給を撤廃し、完全ワイヤレス化を実現することが可能となる。
【0095】
なお、上述した実施の形態は、空調制御システムに用いた例として説明したが、空調制御システムに限られるものでないことは言うまでもなく、各種の流量制御のアプリケーションに適用でき、さらには一般産業機器までにも拡大して適用することができる。また、流量を制御する流体も冷温水などの液体に限られるものではなく、ガスなどの気体であっても構わない。
【0096】
また、上述した実施の形態では、磁極位置選択部319において位置センサ307の正常/異常(信頼性の有無)を判定してタービン308の磁極位置の測定値と推定値との選択を行うようにしたが、発電部306の稼働時間が所定時間を超えた場合や累積回転数が所定回転数を超えた場合などに、位置センサ307が検出したタービン308の磁極位置(測定値)に代えて磁極位置推定部318が推定したタービン308の磁極位置(推定値)を選択し、発電部制御部304で使用するようにしてもよい。
【0097】
〔実施の形態の拡張〕
以上、実施の形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明の技術思想の範囲内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0098】
1…制御対象空間、2…空調機(FCU)、3(3A〜3D)…タービン式流量制御装置、4…空調制御装置(コントローラ)、LS…往水管路、6…回転子、6−1…リング、6−2…羽根車、7…固定子、300…設定流量入力部、301…データ通信部、302…システム制御部、303…流量制御部、304…発電部制御部、305…インバータ、306…発電部、307…位置センサ、308…タービン、309…電源部、310…商用電源回生部、311…蓄電部、312…ワイヤレスデータ通信部、314…ワイヤレス送受電部、313,315,316…アンテナ、317…温度センサ、318…磁極位置推定部、319…磁極位置選択部。
図1
図2
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図3
図4