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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-203337(P2016-203337A)
(43)【公開日】2016年12月8日
(54)【発明の名称】砥石、及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B24D 3/02 20060101AFI20161111BHJP
   B24D 3/00 20060101ALI20161111BHJP
   B24D 3/18 20060101ALI20161111BHJP
【FI】
   B24D3/02 310B
   B24D3/00 340
   B24D3/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-90292(P2015-90292)
(22)【出願日】2015年4月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】100089082
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 脩
(74)【代理人】
【識別番号】100130188
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜一
(74)【代理人】
【識別番号】100190333
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 群司
(72)【発明者】
【氏名】春日 智行
【テーマコード(参考)】
3C063
【Fターム(参考)】
3C063AA02
3C063BC05
3C063BC09
3C063BD01
3C063BG30
3C063CC01
3C063CC30
3C063FF22
(57)【要約】

【課題】砥粒間に、砥粒間の間隔を調整する部材を備えながら、高寿命である砥石、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】砥石10は、相互に非接触に配置される複数の超砥粒12(砥粒)と、複数の超砥粒12(砥粒)のそれぞれを架橋するブリッジ状に形成され、複数の超砥粒12(砥粒)のそれぞれを結合するビトリファイドボンド14(結合剤)と、ビトリファイドボンド14内に集合した状態で配置され、複数の超砥粒12の間に介在することで複数の超砥粒12を非接触に配置させる複数の微粒子16と、ビトリファイドボンド14の周囲に形成される気孔18と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に非接触に配置される複数の砥粒と、
前記複数の砥粒のそれぞれを架橋するブリッジ状に形成され、前記複数の砥粒のそれぞれを結合する結合剤と、
前記結合剤内に集合した状態で配置され、前記複数の砥粒の間に介在することで前記複数の砥粒を非接触に配置させる複数の微粒子と、
前記結合剤の周囲に形成される気孔と、
を備える砥石。
【請求項2】
前記複数の微粒子のそれぞれの平均粒径は、前記複数の微粒子の平均粒径の1/5以下である、
請求項1に記載の砥石。
【請求項3】
前記複数の微粒子のうち、前記結合剤によって結合される隣接する2つの前記砥粒間の平均離間距離は、前記砥粒の平均粒径以下である、
請求項1又は2に記載の砥石。
【請求項4】
前記複数の微粒子は、相互に前記結合剤によって結合される、
請求項1〜3の何れか1項に記載の砥石。
【請求項5】
前記複数の微粒子は、セラミックスである、
請求項1〜4の何れか1項に記載の砥石。
【請求項6】
砥石の製造方法であって、
前記砥石は、
相互に非接触に配置される複数の砥粒と、
前記複数の砥粒のそれぞれを架橋するブリッジ状に形成され、前記複数の砥粒のそれぞれを結合する結合剤と、
前記結合剤内に集合した状態で配置され、前記複数の砥粒の間に介在することで前記複数の砥粒を非接触に配置させる複数の微粒子と、
前記結合剤の周囲に形成される気孔と、
を備え、
前記複数の微粒子を接着部材によって相互に接着し造粒して複数の造粒粉体を形成する造粒工程と、
前記複数の造粒粉体と前記砥石の形成前における前記複数の砥粒と粉末状態の前記結合剤とを混合し、前記複数の造粒粉体を隣接する前記砥粒間にそれぞれ配置して中間成形体を形成する混合工程と、
前記中間成形体を成形型に投入し、前記成形型内を加圧して加圧成形体を形成する加圧工程と、
前記加圧成形体に対する加熱により、前記造粒粉体を形成する前記接着部材の一部又は全部を消失させて前記複数の微粒子間に接着部材空間を形成し、溶融した前記結合剤を、前記接着部材空間および前記複数の微粒子間における前記接着部材空間以外の空間に流入させるとともに、前記造粒粉体から前記接着部材の一部又は全部が消失されて形成される前記集合した状態の前記複数の微粒子を内部に含んで前記隣接する砥粒間を前記架橋する加熱工程と、
を備える、砥石の製造方法。
【請求項7】
前記造粒工程における前記接着部材は、前記結合剤の軟化点よりも低い温度で消失可能なバインダである、
請求項6に記載の砥石の製造方法。
【請求項8】
前記造粒工程における前記接着部材は、前記結合剤の軟化点よりも低い温度で消失可能なバインダ及び前記結合剤の混合剤である、
請求項6に記載の砥石の製造方法。
【請求項9】
前記造粒工程で形成される前記複数の造粒粉体は、それぞれ略球状に形成され、
前記混合工程に供給するため、前記造粒工程で形成された前記複数の造粒粉体を選別し、均一な直径を有する前記造粒粉体を抽出する分級工程を備える、
請求項6〜8の何れか1項に記載の砥石の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、砥石、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高能率での研削加工において、研削焼け、研削割れなどの熱的損傷を防止し、さらに良好な加工精度を得るために、研削抵抗の低い砥石にて加工が行なわれている。この場合、研削抵抗を下げるためには、単位体積あたりの砥粒含有率(砥粒集中度)を低くした低集中度砥石を用いることが有効である。通常、低集中度砥石は、砥粒、砥粒間に配置される骨材及び結合剤を混合して成形し、その後、焼結して形成している。このとき、砥粒間に配置される骨材としては、例えばWA(白色アルミナ)などが多く用いられている。しかし、WAなどでは、砥石による工作物の研削が進行してくると、工作物から排出される切屑によって骨材の摩滅が進行し、工作物側の面が平坦化して平滑部が形成される。この平滑部によって、研削抵抗が増加する。そして、この研削抵抗の増加によって骨材が大きく破砕、または、脱落する場合がある。このため、例えばボンドブリッジである結合剤が破壊され、これに伴ってCBN砥粒が脱落して工具寿命が低下する虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5398132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような課題を解決するため、特許文献1に示す従来技術がある。特許文献1の技術では、骨材を、微細な孔を多数有する多孔質のセラミックスによって構成している。これにより、砥石によって工作物の研削が進み、骨材の摩滅が進行し、骨材の破壊が始まっても、その破壊は内部に形成された微細な孔までの間にとどまるため、多孔質の骨材は微細な孔までの間の小破壊を繰り返し、大きく一気に破砕されることが抑制される。しかしながら、多孔質セラミックの内部の孔の配置をコントロールすることは非常に難しい。このため、破壊が始まった後、その破壊を確実に小破壊でとどめられる保障はない。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、砥粒間に、砥粒間の間隔を調整する部材を備えながら、高寿命である砥石、及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る請求項1の砥石は、相互に非接触に配置される複数の砥粒と、前記複数の砥粒のそれぞれを架橋するブリッジ状に形成され、前記複数の砥粒のそれぞれを結合する結合剤と、前記結合剤内に集合した状態で配置され、前記複数の砥粒の間に介在することで前記複数の砥粒を非接触に配置させる複数の微粒子と、前記結合剤の周囲に形成される気孔と、を備える。
【0007】
このように、各砥粒間をブリッジ状に架橋し結合する結合剤内には、複数の微粒子が集合した状態で配置されている。このため、砥石によって工作物の研削が進行し、工作物から排出された切屑によって結合剤の架橋部分が摩滅されても、複数の微粒子は、各微粒子単位で脱離することができる。これにより、複数の微粒子は、塊として一度に大きく破壊されることがないので、複数の微粒子を含む結合剤の架橋部分も、一度に大量に破壊、脱離して砥粒間の結合力を損なわせ、砥粒を脱落させる虞はない。これにより砥石の寿命を向上させることができる。
【0008】
本発明に係る請求項6の砥石の製造方法によれば、前記砥石は、相互に非接触に配置される複数の砥粒と、前記複数の砥粒のそれぞれを架橋するブリッジ状に形成され、前記複数の砥粒のそれぞれを結合する結合剤と、前記結合剤内に集合した状態で配置され、前記複数の砥粒の間に介在することで前記複数の砥粒を非接触に配置させる複数の微粒子と、前記結合剤の周囲に形成される気孔と、を備え、前記複数の微粒子を接着部材によって相互に接着し造粒して複数の造粒粉体を形成する造粒工程と、前記複数の造粒粉体と前記砥石の形成前における前記複数の砥粒と粉末状態の前記結合剤とを混合し、前記複数の造粒粉体を隣接する前記砥粒間にそれぞれ配置して中間成形体を形成する混合工程と、前記中間成形体を成形型に投入し、前記成形型内を加圧して加圧成形体を形成する加圧工程と、前記加圧成形体に対する加熱により、前記造粒粉体を形成する前記接着部材の一部又は全部を消失させて前記複数の微粒子間に接着部材空間を形成し、溶融した前記結合剤を、前記接着部材空間および前記複数の微粒子間における前記接着部材空間以外の空間に流入させるとともに、前記造粒粉体から前記接着部材の一部又は全部が消失されて形成される前記集合した状態の前記複数の微粒子を内部に含んで前記隣接する砥粒間を前記架橋する加熱工程と、を備える。これにより、請求項1の砥石と同様の砥石が製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態を示す砥石の全体図である。
図2】砥石層の砥石面付近の組織を示す部分拡大図である。
図3図2における砥粒と複数の微粒子との関係を説明する詳細図である。
図4】砥石層の製造方法のフローチャートである。
図5】造粒粉体を説明するための部分拡大図である。
図6】中間成形体を説明するための部分拡大図である。
図7】加圧成形体を説明するための部分拡大図である。
図8】研削時における微粒子の脱落の様子を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(1.砥石10の全体構成)
図1に示すように、砥石10は、円板状に形成される砥石車である。砥石10は、円板状のコア21と、リング状の砥石層22と、を備える。コア21は、鋼、アルミニウムあるいはチタン等の金属材料、或いはFRP(繊維強化プラスチック)材、セラミックス等によって形成される。砥石層22は、リング状に焼成され、コア21の外周に接着剤あるいは焼結によって固着され形成される。或いは、砥石層22は、複数の砥石セグメントを、コア21の外周に接着してリング状になるように形成してもよい。
【0011】
コア21の中心には、中心穴23が貫通して形成される。中心穴23は、図略の砥石台が備える砥石軸の軸端に突出する芯合わせボスに嵌合する。中心穴23の周囲には、ボルト孔24が、複数(本実施形態では4個)形成される。複数のボルト孔24には、砥石軸の軸端に開口する螺子孔に螺合するボルトが挿通する。これらのボルト孔24にボルトを挿通し、ボルトを螺子孔に螺入することにより、砥石10が砥石軸に固着される。
【0012】
(2.砥石層22の構成)
砥石層22は、図2の部分拡大図に示すように、砥粒12(本実施形態では、ダイヤモンドやCBNの超砥粒12として説明する)と、結合剤14(本実施形態では、ビトリファイドボンド14として説明する)と、結合剤14の内部に配置される複数の微粒子16と、気孔18とを備える。
【0013】
前述したように、超砥粒12(砥粒)は、例えば、CBN(立方晶窒化ホウ素)砥粒、またはダイヤモンド粒から形成される。本実施形態において、超砥粒12の平均粒径φAは、例えば、125μm程度である。なお、125μmは、あくまで一例として例示しただけであり、この大きさには限らない。図2に示すように、砥石層22において、複数の超砥粒12は、相互に非接触に配置される。このとき、複数の超砥粒12のうち、隣接する超砥粒12間の平均離間距離Lは、図2では、超砥粒12の平均粒径φAとほぼ同じ大きさであるが、平均離間距離Lは、超砥粒12の平均粒径φAと同じ大きさである必要はない。平均離間距離Lは、砥石10に対する所望の集中度に応じて任意に設定される。
【0014】
公知であるビトリファイドボンド14(結合剤)は、隣接する超砥粒12間をブリッジ状に架橋して結合し、架橋部20を形成する(図2図3参照)。架橋部20内には、前述した複数の微粒子16が、集合した状態で配置され、複数の超砥粒12間に介在することで複数の超砥粒12を非接触に配置させる。複数の微粒子16は、例えば、ファインセラミックス(セラミックスに相当)であるアルミナ(Al)によって、それぞれ略球形状に形成される。ただし、この態様には限らず、微粒子16は、他のセラミックス材料によって形成されてもよい。また、微粒子16は、従来、骨材として用いられる部材によって形成されてもよい。各微粒子16の大きさ(平均粒径φB)は、複数の微粒子16の集合体である後述する造粒粉体30の平均粒径φCに対し、1/5以下で形成される。なお、本実施形態では、微粒子16の平均粒径φBは、造粒粉体30の平均粒径φCの約1/10で形成されるものとする。なお、微粒子16の形状は、球形状には限らない。
【0015】
架橋部20内に配置される複数の微粒子16は、巨視的に見たとき、隣接する超砥粒12間が、微粒子16で埋められるよう隣接する微粒子16同士が相互に当接し合っているよう配置される。しかし、図3に示すように、微視的に見たときには、隣接する微粒子16間には、微小な隙間がある場合、及び微粒子16同士が相互に接触している場合の二通りの状態がある。微小な隙間がある場合には、隣接する微粒子16の間の微小隙間には、ビトリファイドボンド14が介在している。また、隙間がない場合には、隣接する微粒子16の間にビトリファイドボンド14は介在していない。しかし、いずれの場合においても、隣接する微粒子16同士は、各微粒子16の周囲を覆うビトリファイドボンド14によって相互に結合されている。なお、上記の態様に限らず、隣接する超砥粒12同士の間が全て、微小な隙間を有していても良い。また、隣接する超砥粒12間は微小な隙間を有さず、全て、相互に当接していてもよい。これらによっても同様に効果が得られる。
【0016】
図2に示すように、気孔18は、ビトリファイドボンド14(結合剤)が架橋された超砥粒12間の周囲に形成される。つまり、気孔18は、複数の超砥粒12、及びビトリファイドボンド14(複数の微粒子16を含む)以外の部分に形成される。気孔18は、砥石10が工作物を研削したとき、排出される切粉を一次的に保持する機能を有する。
【0017】
(3.砥石層22の製造方法)
次に、CBN砥粒による砥石層22の製造方法について説明する。砥石層22の製造方法は、図4のフローチャートに示すように、造粒工程S10と、分級工程S12と、混合工程S14と、加圧工程S16と、加熱工程S18とを備える。
【0018】
造粒工程S10は、砥石層22の形成前において、ほぼ球体状に形成された複数の微粒子16を、バインダBi(接着部材)によって相互に接着し造粒して、複数の造粒粉体30を形成する工程である。ここで、造粒粉体30とは、造粒粉体30の一部を拡大した図である図5に示すように、複数の微粒子16が、液体状に加工されたバインダBiを各微粒子16の外周面に付着させた状態で、バインダBi同士が相互に接着され、接着集合体を形成した状態をいう。本実施形態においては、造粒粉体30は、ほぼ球形状である。また、球形状の造粒粉体30の直径を、以後、粉体直径と称す。
【0019】
造粒粉体30は、後の工程である混合工程S14、及び加圧工程S16において、隣接する超砥粒12間に配置され、各超砥粒12間の平均離間距離Lを決定する部材である。上記で説明したように、本実施形態においては、各超砥粒12間の平均離間距離Lは、所望の砥石の集中度によって決められる。このため、造粒工程S10では、各造粒粉体30の各粉体直径が、砥石の集中度によって決まる粉体直径を狙って造粒粉体30を形成する。これにより、後に説明する分級工程S12によって、狙いの平均粉体直径φCの造粒粉体30が抽出可能となる。
【0020】
なお、造粒粉体30を製作する造粒方法はどのようなものでも良く、一例として、公知の造粒装置を使用し造粒すればよい。具体的には、例えば、「造粒便覧」(日本粉体工業協会編,1975.5、オーム社発行)に記載される「流動層造粒装置」を用いて造粒してもよい。このとき、造粒粉体30の製作のために必要であるバインダBiは、ビトリファイドボンド14(結合剤)の軟化点(例えば、600度以上)よりも低い温度(例えば、600度未満)で、消失可能な接着部材である。本実施形態においては、バインダBiは、例えば、PVA(ポリビニルアルコール)、セルロース等を使用する。ただし、上記消失の温度条件を満足すれば、どのような接着部材を用いてもよい。
【0021】
次に、分級工程S12では、造粒工程S10で、球形状に形成された造粒粉体30の粉体直径φCが、均一で、砥石の集中度に応じた所望の大きさになるように、造粒工程S10で形成された複数の造粒粉体30から、粉体直径が、平均粉体直径φCに近い造粒粉体30を複数選別する。このため、例えば、複数の造粒粉体30を、目の細かいふるいから目の大きいふるいの順にふるいにかけ、所望の大きさに近い粉体直径を有する造粒粉体30を抽出(分級)する。その後、選別(分級)された造粒粉体30を混合工程S14に供給する。
【0022】
混合工程S14では、分級工程S12で選別された平均粉体直径φCで形成された複数の造粒粉体30と、砥石10の形成前における複数の超砥粒12と、粉末状態のビトリファイドボンド14x(結合剤)と、を公知の混合器などで混合する。これにより、粉末状のビトリファイドボンド14xは、図6に示すように、造粒粉体30の外周面、及び複数の超砥粒12の外周面に付着される。また、造粒粉体30が、隣接する超砥粒12間に配置され、中間成形体32が形成される。
【0023】
なお、この態様に限らず、混合工程S14では、複数の造粒粉体30の外周面、及び複数の超砥粒12の外周面に、粉末状態のビトリファイドボンド14xをそれぞれ付着させる工程を別に有していても良い。この場合、粉末状のビトリファイドボンド14xが付着済みの造粒粉体30及び超砥粒12を、混合器などで混ぜ合わせればよい。
【0024】
加圧工程S16では、中間成形体32(造粒粉体30+超砥粒12+ビトリファイドボンド14x)を成形型に投入し、成形型内を加圧して加圧成形体33(図7参照)を形成する。これにより、加圧成形体33は、各隣接する超砥粒12間が造粒粉体30の平均粉体直径φCだけ離間した状態に配置される。つまり、隣接する超砥粒12間が、平均離間距離Lだけ離間した状態に配置される。加圧工程S16で成形された加圧成形体33は、中間成形体32が、加圧力によって一体的に成形された構造体である。本実施形態においては、加圧成形体33は、砥石層22に対応するリング状を呈する。
【0025】
加熱工程S18では、加圧工程S16にて生成された加圧成形体33に対して加熱がされ、図1に示す砥石層22が生成される。加熱工程S18では、加圧工程S12の終了後に、加圧成型されたリング状の加圧成形体33が、型枠から抜き出され、ビトリファイドボンド14の適正な焼成温度(例えば1,000℃前後)で加熱される。これに従い、焼成温度まで上昇する過程において、まず、造粒粉体30を接着して形成するPVA(バインダBi)が、例えば600℃以下の温度で消失する。このため、造粒粉体30の内部において、PVAが付着していた位置に、接着部材空間(図略)が生じる。このとき、造粒粉体30では、PVA(バインダBi)が全て消失することにより、微粒子16相互間を結合する、PVAが担っていた分の結合力が消滅する。このため、造粒粉体30は変化し、複数の微粒子16が集合した状態(以降、集合体Sと称す)が形成される。このため、上記で説明したように、微粒子16間に微小な隙間が生じる場合も考えられる。しかし、加圧成形体33は、加圧工程S16によって加圧され、加圧成形体33として成立している。このため、PVA(バインダBi)の消失によって、造粒粉体30を構成していた複数の微粒子16の集合体Sが大きく崩れることはない。
【0026】
その後、加熱によって、温度が600℃以上に上昇すると、例えば、造粒粉体30の外周面に付着していたビトリファイドボンド14xが溶融し、造粒粉体30内に生じた接着部材空間、及び複数の微粒子16間における接着部材空間以外の空間に流入する。そして、その後、溶融状態のビトリファイドボンド14は、冷却されて固化し、造粒粉体30、及び集合体Sを構成していた複数の微粒子16同士を結合する。また、同様に、複数の超砥粒12の各外周面に付着していたビトリファイドボンド14xも溶融し、これまで、造粒粉体30を構成していた複数の微粒子16の集合体Sに向かって流動する。
【0027】
その後、溶融したビトリファイドボンド14は、複数の微粒子16の集合体Sの表面を流動し、隣接する超砥粒12間を架橋して架橋部20を形成する。これにより、複数の微粒子16の集合体Sは、架橋部20の内部に含まれるように構成される。このとき、微粒子16の集合体Sの一部が、架橋部20の表面から外部空間に露出しているか否かは問わない。また、気孔18が、ビトリファイドボンド14(結合剤)が架橋された超砥粒12間の周囲に形成される。このようにして、リング状の砥石層22が製造される(図2参照)。その後、焼成された砥石層22をコア21の外周に接着剤を用いて固着させ、砥石10が完成する。
【0028】
(4.作用)
次に、作用について図8に基づき説明する。上記の砥石10によって工作物Wの研削加工が行なわれると、工作物Wから例えば切屑Vが発生し、砥石10と工作物Wとの間、特に隣接する超砥粒12間をビトリファイドボンド14により架橋する架橋部20で研削抵抗が増大し、架橋部20が摩耗する。しかしながら、架橋部20内には、砥石10の製造時において、隣接する超砥粒12間の平均離間距離Lを決定する機能を有した複数の微粒子16の集合体Sが配置されている。集合体Sは、隣接する微粒子16同士が、ビトリファイドボンド14(結合剤)によって結合されている。
【0029】
このため、図8に示すように、架橋部20のうち、例えば、工作物W側の表面が摩耗されると、複数の微粒子16のうち、架橋部20の工作物W側の何れかの微粒子16が、発生した切屑Vによって大きな抵抗を受ける。しかし、抵抗を受けた微粒子16は、複数の微粒子16のうちの一個である。このため、抵抗を受けた微粒子16は、隣接する微粒子16間を結合させていたビトリファイドボンド14が破壊されることで、一個だけ脱離される。そして、研削が進み、他の微粒子16が同様に大きな抵抗を受けた場合でも、上記のような作用によって、抵抗を受けた微粒子16のみが脱落する。このため、隣接する超砥粒12間に、例えば一個の大きな骨材が設けられた従来技術の場合のように、骨材が大きな研削抵抗を受けることで、大きく破壊されて脱落し、この脱落に伴い、骨材を支持していたビトリファイドボンドも脱落して、超砥粒が短期間で脱落してしまう虞はない。これにより、高寿命な砥石10が得られる。
【0030】
(5.実施形態による効果)
上記実施形態によれば、砥石10は、相互に非接触に配置される複数の超砥粒12(砥粒)と、複数の超砥粒12(砥粒)のそれぞれを架橋するブリッジ状に形成され、複数の超砥粒12(砥粒)のそれぞれを結合するビトリファイドボンド14(結合剤)と、ビトリファイドボンド14内に集合した状態で配置され、複数の超砥粒12の間に介在することで複数の超砥粒12を非接触に配置させる複数の微粒子16と、ビトリファイドボンド14の周囲に形成される気孔18と、を備える。
【0031】
このように、各超砥粒12(砥粒)間をブリッジ状に架橋し結合するビトリファイドボンド14(結合剤)内には、骨材として複数の微粒子16が集合した状態で配置されている。このため、砥石10によって工作物の研削が進行し、工作物から排出された切屑によってビトリファイドボンド14の架橋部20が摩耗されても、複数の微粒子16は各微粒子16単位で脱離することができる。これにより、複数の微粒子16は、塊として一度に大きく破壊されることがないので、複数の微粒子16を含む架橋部20におけるビトリファイドボンド14も、一度に大量に脱離して超砥粒12間の結合力を損なわせ、超砥粒12を脱落させる虞はない。これにより砥石の寿命を向上させることができる。
【0032】
上記実施形態によれば、複数の微粒子16のそれぞれの平均粒径φBは、造粒粉体30の平均粒径φCの1/5以下である。これにより、造粒粉体30が、良好に形成できる。
【0033】
上記実施形態によれば、複数の微粒子16のうち、ビトリファイドボンド14(結合剤)によって結合される隣接する2つの超砥粒12(砥粒)間の平均離間距離Lは、砥石の集中度に応じて設定される。これにより、高度に集中度が低減された低集中度砥石が形成できる。
【0034】
上記実施形態によれば、複数の微粒子16の集合体Sでは、各微粒子16は、相互にビトリファイドボンド14(結合剤)によって結合される。これにより、各微粒子16間の結合力が十分確保されるとともに、複数の微粒子16を含んで形成される架橋部20によって結合される超砥粒12(砥粒)間の結合力も十分確保される。
【0035】
上記実施形態によれば、複数の微粒子16は、金属と比較して熱膨張係数の小さなセラミックスである。このため、複数の微粒子16は、ビトリファイドボンド14(結合剤)内で、熱膨張及び熱収縮しにくいので、ビトリファイドボンド14(結合剤)への負担を軽減でき、寿命を向上させることができる。また、セラミックスという汎用性の高い材料が使用でき経済的である。
【0036】
上記実施形態の砥石10の製造方法によれば、複数の微粒子16をバインダBi(接着部材)によって相互に接着し造粒して複数の造粒粉体30を形成する造粒工程S10と、複数の造粒粉体30と砥石10の形成前における複数の超砥粒12(砥粒)と粉末状態のビトリファイドボンド14(結合剤)とを混合し、複数の造粒粉体30を隣接する超砥粒12(砥粒)間にそれぞれ配置して中間成形体32を形成する混合工程S14と、中間成形体32を成形型に投入し、成形型内を加圧して加圧成形体33を形成する加圧工程S16と、加圧成形体33に対する加熱により、造粒粉体30を形成するバインダBi(接着部材)の全部を消失させて複数の微粒子16間に接着部材空間を形成し、溶融したビトリファイドボンド14(結合剤)を、接着部材空間および複数の微粒子16間における接着部材空間以外の空間に流入させるとともに、造粒粉体30からバインダBi(接着部材)の全部が消失されて形成される集合した状態の複数の微粒子16を内部に含んで隣接する超砥粒12(砥粒)間を架橋する加熱工程S18と、を備える。これにより、上記で説明した砥石10が製造できる。
【0037】
また、上記実施形態の砥石10の製造方法によれば、造粒工程S10における接着部材は、ビトリファイドボンド14(結合剤)の軟化点よりも低い温度で消失可能なバインダBiである。これにより、加熱工程S18までの間においては、造粒粉体30によって、超砥粒12(砥粒)間の離間距離Lを確保できるともに、ビトリファイドボンド14(結合剤)の軟化点よりも高い温度で焼成される加熱工程S18後においては、造粒粉体30内のバインダBiを消失させ、造粒粉体30を変化させて、複数の微粒子16の集合体Sとし、その後、消失した接着部材空間及び接着部材空間以外の空間に、溶融したビトリファイドボンド14(結合剤)を流入させることで、複数の微粒子16間、及び隣り合う超砥粒12(砥粒)間の結合力を確実に確保できる。
【0038】
また、上記実施形態の砥石10の製造方法によれば、複数の造粒粉体30は、球状に形成され、造粒工程S10で形成された複数の造粒粉体30を選別し、均一な粉体直径φCを有する造粒粉体30を抽出する。そして、その後、選別された造粒粉体30を混合工程S14に供給する。このように、超砥粒12(砥粒)間の離間距離L1を決定する造粒粉体30の粉体直径φCが均一であるので、超砥粒12(砥粒)間の離間距離L1のばらつきは抑制され、研削抵抗も安定する。また、砥石1個にかかる加工負荷が平均化され、砥粒の脱落を抑制し、工具寿命の向上が図れる。
【0039】
なお、上記実施形態によれば、造粒工程S10において、接着部材をバインダBiのみとして、造粒粉体30を形成すると説明した。しかし、この態様には限らない。造粒粉体30を形成する際、ビトリファイドボンド14x(結合剤)の軟化点よりも低い温度で消失可能な液体状のバインダBi、及び粉末状のビトリファイドボンド14xを混合して混合剤を形成し、両者を合わせて接着部材としてもよい。また、別の方法として、予め、各微粒子16の表面に粉末状のビトリファイドボンド14xを付着させ、その後、造粒装置によって、液体状のバインダBiを滴下しながら、造粒粉体30を形成し、このような状態のバインダBi、及びビトリファイドボンド14x(結合剤)を接着部材としてもよい。これらにより、加熱工程S18において、各微粒子16間では、初めに接着部材の一部であるバインダBiが消失し、さらに加熱された状態で、ビトリファイドボンド14が溶融し、各微粒子16間を結合する。つまり、造粒粉体30を形成する際、造粒粉体30の内部に、粉末状のビトリファイドボンド14x(結合剤)を内在させた状態で加熱する。このため、隣接する微粒子16同士は、近傍に配置されたビトリファイドボンド14xが溶融し、その後固化することによって確実に結合されるので、各微粒子16では、安定した結合力が得られ、研削時における各微粒子16の脱離速度も安定する。
【0040】
また、上記実施形態の砥石10の製造方法によれば、造粒粉体30を粉体直径で選別する分級工程S12を設けた。しかし、分級工程S12はなくてもよい。造粒工程S10によって、形成された成り行きの造粒粉体30を、そのまま、分級工程S12以降の工程に供給しても、相応の効果は得られる。
【0041】
また、上記実施形態では、砥石10を、ビトリファイドボンド14を結合剤とするビトリファイドボンド砥石としたが、この態様には限らない。別の態様として、砥石は、金属を主成分とする結合剤によって形成するメタルボンド砥石でもよい。また、上記実施形態では、砥石の砥粒を超砥粒としたが、これには限らない。砥粒はアルミナ系、炭化ケイ素系であっても良い。
【符号の説明】
【0042】
10・・・砥石、 12・・・砥粒(超砥粒)、 14,14x・・・ビトリファイドボンド(結合剤)、 16・・・微粒子、 18・・・気孔、 20・・・架橋部、 21・・・コア、 22・・・砥石層、 30・・・造粒粉体、 32・・・中間成形体、 33・・・加圧成形体、 S10・・・造粒工程、 S12・・・分級工程、 S14・・・加熱工程、 S14・・・混合工程、 S16・・・加圧工程、 S18・・・加熱工程、 Bi・・・バインダ(接着部材)。
図1
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図8