特開2016-203700(P2016-203700A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-203700(P2016-203700A)
(43)【公開日】2016年12月8日
(54)【発明の名称】ステアリング装置用取付け装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 1/18 20060101AFI20161111BHJP
【FI】
   B62D1/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-84469(P2015-84469)
(22)【出願日】2015年4月16日
(71)【出願人】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(72)【発明者】
【氏名】加藤 友希
【テーマコード(参考)】
3D030
【Fターム(参考)】
3D030DC02
3D030DC14
3D030DC16
3D030DC17
3D030DD02
3D030DD18
3D030DD25
3D030DD26
3D030DD65
3D030DD76
3D030DD79
3D030DE35
3D030DE46
(57)【要約】
【課題】確認しやすくかつ取付け時間を短くでき、ロア側支持機構を車両に取付ける作業を軽減する。
【解決手段】車両のロア側リンフォース92にステアリング装置10のロア側支持機構80を旋回可能に連結する第2連結機構は、ロア側リンフォース92およびロア側支持機構80の一方にロア側支持機構80の旋回中心と同軸に設けられた旋回支持軸94と、ロア側リンフォース92およびロア側支持機構80の他方の内周に回転可能に嵌合されるとともに、旋回支持軸94の外周に回転可能に嵌合される円筒状のカラー部材とを備え、ロア側支持機構80の第1切欠き13cに対しカラー部材の第2切欠き81aを対応させた状態で旋回支持軸94を第1切欠きおよび第2切欠きを介してカラー部材の内周へ挿入し、第1切欠きに対し第2切欠きを対応させない位置へカラー部材を回転させることによって、ロア側リンフォース92に対しロア側支持機構80を連結する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両側に設けられたアッパー側リンフォースに対しステアリング装置側に設けられたアッパー側支持機構を連結する第1連結機構と、
前記車両側に設けられたロア側リンフォースに対して前記ステアリング装置側に設けられたロア側支持機構を旋回可能に連結する第2連結機構とを備えたステアリング装置用取付け装置において、
前記第2連結機構は、
前記ロア側リンフォースおよび前記ロア側支持機構の一方に前記ロア側支持機構の旋回中心と同軸に設けられた旋回支持軸と、
前記ロア側リンフォースおよび前記ロア側支持機構の他方の内周に回転可能に嵌合されるとともに、前記旋回支持軸の外周に回転可能に嵌合される円筒状のカラー部材とを備え、
前記旋回支持軸を挿通する第1切欠きを、前記ロア側リンフォースおよび前記ロア側支持機構の他方に内周および外周間を貫通するよう形成し、
前記旋回支持軸を挿通する第2切欠きを、前記カラー部材に内周および外周間を貫通するように形成し、
前記第1切欠きに対し前記第2切欠きを対応させた状態で前記旋回支持軸を第1切欠きおよび第2切欠きを介して前記カラー部材の内周へ挿入し、
前記カラー部材を回転させ、前記第1切欠きに対し第2切欠きを対応させない状態にすることによって、前記ロア側リンフォースに対し前記ロア側支持機構を連結することを特徴とするステアリング装置用取付け装置。
【請求項2】
前記カラー部材は、外周に対して内周が偏心しており、前記カラー部材を回転させ、前記第1切欠きに対し前記第2切欠きを対応させない状態にすることによって、前記ロア側リンフォースから前記アッパー側支持機構までの距離を小さくすることを特徴とする請求項1に記載のステアリング装置用取付け装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のリンフォースにステアリング装置を取付けるステアリング装置用取付け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示すステアリング装置は、ロア側支持機構およびアッパー側支持機構を介して車両に取付けられている。アッパー側支持機構の車両への取付けは、取付けブラケットの取付け溝にカプセルを嵌め込み、カプセルの貫通穴および車両のアッパー側リンフォースの貫通穴に取付けボルトを挿通し、取付けボルトにナットを螺合させ、取付けボルトの頭部およびナット間でアッパー側リンフォース、カプセルおよび取付けブラケットを挟み込むことによってなされている。ロア側支持機構の車両への取付けは、旋回連結部を跨ぐように車両のロア側リンフォースを配置し、旋回連結部に嵌め込まれたブッシュの内周およびロア側リンフォースの貫通穴に取付けボルトを挿通し、取付けボルトにナットを螺合させ、取付けボルトの頭部およびナット間でロア側リンフォースおよび旋回連結部を挟み込むことによってなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−8881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ブッシュの内周とロア側リンフォースの貫通穴が一致しているかどうかが確認しづらく、作業者が手で持つにしてはステアリング装置が重いのと、取付けボルトを取りに行って挿入するまで時間がかかると言った3つの点で、ロア側支持機構を車両に取付ける作業を軽減する必要があった。
【0005】
本発明の目的は、確認しやすくかつ取付け時間を短くすることによって、ロア側支持機構を車両に取付ける作業を軽減するステアリング装置用取付け装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、車両側に設けられたアッパー側リンフォースに対しステアリング装置側に設けられたアッパー側支持機構を連結する第1連結機構と、前記車両側に設けられたロア側リンフォースに対して前記ステアリング装置側に設けられたロア側支持機構を旋回可能に連結する第2連結機構とを備えたステアリング装置用取付け装置において、前記第2連結機構は、前記ロア側リンフォースおよび前記ロア側支持機構の一方に前記ロア側支持機構の旋回中心と同軸に設けられた旋回支持軸と、前記ロア側リンフォースおよび前記ロア側支持機構の他方の内周に回転可能に嵌合されるとともに、前記旋回支持軸の外周に回転可能に嵌合される円筒状のカラー部材とを備え、前記旋回支持軸を挿通する第1切欠きを、前記ロア側リンフォースおよび前記ロア側支持機構の他方に内周および外周間を貫通するよう形成し、前記旋回支持軸を挿通する第2切欠きを、前記カラー部材に内周および外周間を貫通するように形成し、前記第1切欠きに対し前記第2切欠きを対応させた状態で前記旋回支持軸を第1切欠きおよび第2切欠きを介して前記カラー部材の内周へ挿入し、前記カラー部材を回転させ、前記第1切欠きに対し第2切欠きを対応させない状態にすることによって、前記ロア側リンフォースに対し前記ロア側支持機構を連結するものである。
【0007】
この構成によれば、ロア側リンフォースあるいはロア側支持機構のみで、第1切欠きに第2切欠きが対応するようカラー部材を回転させるので、確認しやすい。カラー部材の内周へ旋回支持軸を挿入し、ロア側リンフォースあるいはロア側支持機構に予め設けられているカラー部材を回転させるので、カラー部材を取りに行く時間、挿入する時間を省けるので取付け時間を短くできる。この結果、ロア側支持機構を車両に取付ける作業を軽減できる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、前記カラー部材は、外周に対して内周が偏心しており、前記カラー部材を回転させ、前記第1切欠きに対し前記第2切欠きを対応させない状態にすることによって、前記ロア側リンフォースから前記アッパー側支持機構までの距離を小さくするものである。
【0009】
この構成によれば、ロア側リンフォースを基点にアッパー側支持機構をロア側リンフォース側へ引っ張る力を掛けることができる。これにより、アッパー側リンフォースに対しアッパー側支持機構がロア側リンフォースと反対側へ抜けるのを抑えることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、確認しやすくかつ取付け時間を短くでき、ロア側支持機構を車両に取付ける作業を軽減するステアリング装置用取付け装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態におけるステアリング装置の側断面図。
図2】本発明の一実施形態におけるステアリング装置およびリンフォースの平面図。
図3】本発明の一実施形態における図1のA−A線断面図。
図4】本発明の一実施形態におけるステアリング装置の平面図。
図5】本発明の一実施形態におけるステアリング装置の側面図および側断面図。
図6】本発明の一実施形態におけるステアリング装置の側断面図であり、カラー部材の内周に旋回支持軸を挿入した直後の状態図。
図7】本発明の一実施形態におけるステアリング装置の平面図であり、カラー部材の内周に旋回支持軸を挿入した直後の状態図。
図8】本発明の一実施形態における図6の一部拡大側断面図。
図9】本発明の一実施形態における図1の一部拡大側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態を、図1乃至図9にもとづいて説明する。
【0013】
図1に示すように、ステアリング装置10はステアリングチューブ11を有し、このステアリングチューブ11は、円筒状のアッパーチューブ11aと円筒状のロアチューブ11bとからなっている。アッパーチューブ11aは、ロアチューブ11bに対し軸方向に進退可能に嵌合され、アッパーチューブ11aのロアチューブ11bに嵌合される部分は、ロアチューブ11bより大径となっている。ロアチューブ11bの一端には鋳物で作られたギヤハウジング13が嵌合固定され、このギヤハウジング13に第1の中間軸14と第2の中間軸15が互いに軸方向にずらして同軸回りに回転可能に軸承されている。第1の中間軸14と第2の中間軸15は、トーションバー16を介して互いに回転連結され、第1の中間軸14と第2の中間軸15の相対回転量を検出するトルクセンサ17がギヤハウジング13に設けられている。
【0014】
第2の中間軸15にはウォームホィールギヤ18が嵌合固定され、このウォームホィールギヤ18に図略のウォームギヤが噛合している。ウォームギヤに図2で示す駆動モータ19の駆動軸が連結され、トルクセンサ17で検出されたトルクに応じて、駆動モータ19の力がウォームギヤ、図1で示すウォームホィールギヤ18を介して第2の中間軸15に伝えられるようになっている。
【0015】
ステアリングチューブ11にステアリングシャフト12が回転可能に軸承され、このステアリングシャフト12は、アッパーチューブ11aに回転可能に軸承されるアッパーシャフト12aと、ロアチューブ11bに遊嵌されるロアシャフト12bとからなっている。ロアシャフト12bの一端はアッパーシャフト12aに軸方向に進退可能にかつ回転伝達可能にスプライン嵌合され、ロアシャフト12bの他端は第1の中間軸14に嵌合固定されている。ロアシャフト12bは第1の中間軸14とアッパーシャフト12aを介して間接的にロアチューブ11bに回転可能に支持されている。アッパーシャフト12aの一端には運転手が操作する図略のハンドルが連結され、第2の中間軸15のハンドルと反対側の一端に図略のインターミディエイトシャフトが連結されている。
【0016】
ステアリング装置10を車両に取付けるためには、ステアリング装置用取付け装置が用いられる。ステアリング装置用取付け装置は、ギヤハウジング13に取付けられるロア側支持機構80と、アッパーチューブ11aに取付けられるアッパー側支持機構20と、車両側に設けられるアッパー側リンフォース90およびロア側リンフォース92と、アッパー側リンフォース90に対しアッパー側支持機構20を連結する第1連結機構と、ロア側リンフォース92に対してロア側支持機構80を旋回可能に連結する第2連結機構とを備えている。ギヤハウジング13はロア側支持機構80を介して車両のロア側リンフォース92に旋回可能に支持され、アッパーチューブ11aはアッパー側支持機構20を介して車両のアッパー側リンフォース90にテレスコ及びチルト可能に支持されている。
【0017】
アッパー側支持機構20は、車両アッパー側リンフォース90に対してアッパーチューブ11aをテレスコおよびチルト調整可能に案内支持する案内支持機構21と、テレスコおよびチルト調整後その位置でアッパーチューブ11aを車両に対しロックするロック機構60とを備えている。
【0018】
図1および図2に示すようにロア側リンフォース92は、水平方向に延びる天板と、この天板から旋回連結部13aを挟む位置で下方へ延びる一対の垂下部93を有する。アッパー側リンフォース90は、後述する取付けブラケット50に沿って水平方向に延びている。図3および図5に示すようにアッパー側リンフォース90は、後述するカプセル55の貫通穴55fに対応する位置で上下方向に貫通する貫通穴91を有する。
【0019】
図1および図4に示すようにロア側支持機構80は、ギヤハウジング13に一体形成され、二股状でアッパー側支持機構20と反対側へ突出する旋回連結部13aを有する。旋回連結部13aにチルトの旋回中心とほぼ同軸に取付け穴13bが形成され、旋回連結部13aに取付け穴13bからロア側リンフォース92側へ貫通するように第1切欠き13cが形成されている。第1切欠き13cがロア側リンフォース92に向って拡がっていることにより、後述するカラー部材の内周に旋回支持軸94が挿入しやすくなる。
【0020】
第2連結機構は、旋回連結部13aの取付け穴13bに回転可能に嵌合されるカラー部材と、カラー部材の内周に回転可能に嵌合され、ロア側リンフォース92に固定された旋回支持軸94とを備えている。旋回支持軸94は、金属製の軸部材であり、後述する締付けボルト63と平行にロア側リンフォース92に溶接で固定されている。カラー部材は、金属製で円筒状の筒部材81と、筒部材81の内周に射出成形により一体形成され、旋回支持軸94を回転可能に嵌合する内周を有する樹脂製の摺動部材82と、筒部材81の外周に外径方向に突出して形成された金属製のつまみ部81bとを備えている。
【0021】
筒部材81は、板を折り曲げ成形することによって作られる。つまみ部81bは筒部材81に外周に溶接することによって固定される。つまみ部81bは、一対の旋回連結部13a間にあるので、つまみ部81bが旋回連結部13aに干渉することなしにカラー部材を回転させることができる。摺動部材82は、筒部材81およびつまみ部81bを射出成形用金型内にセットし、筒部材81内へ樹脂を射出することによって作られる。カラー部材には、つまみ部81bに対して90度ずれた角度位置で内周から外周へ貫通する第2切欠き81aが形成されている。図9に示すようにつまみ部81bが第2の中間軸15に最も接近した下にある状態で、摺動部材82の内周の中心が取付け穴13bの中心よりもアッパー側支持機構20側へ偏心した位置に来るように摺動部材82の内周が形成されている。
【0022】
案内支持機構21は、図3にも示すように、前記ステアリングチューブ11の外周に溶接等により固定された断面コの字形のディスタンスブラケット30と、ディスタンスブラケット30を挟み込むような形で配置された断面コの字形のアジャストブラケット40と、アジャストブラケット40に溶接等により固定された取付けブラケット50と、2次衝突時に想定荷重以上の荷重がかかったときに取付けブラケット50を車両のアッパー側リンフォース90から離脱させるカプセル55とを有する。
【0023】
アジャストブラケット40は、一枚の板金から切り抜き、折り曲げ加工したもので、ステアリングチューブ11側へ延びる一対の第1の板部41、42と、一対の第1の板部41、42を互いに連結する連結部43とを有する。一対の第1の板部41、42には、旋回支持軸94の軸線回りにチルト溝41a、42aが形成されている。
【0024】
取付けブラケット50は、アジャストブラケット40の連結部43に溶接等により固定され、アジャストブラケット40の両側へ突出している。この突出した部分に図3および図5に示すように取付け溝51が形成され、取付け溝51にカプセル55が嵌め込まれている。取付け溝51は、ステアリングチューブ11の軸方向に形成され、図略のハンドル側が開口し、ハンドルと反対側が行き止りになっている溝である。カプセル55は、取付け溝51に嵌め込まれる程度の外径を持つ円筒部55aと、円筒部55aの両端に形成されたフランジ部55b、55cと、フランジ部55b、55c間で円筒部55aに嵌合されたカラー55dと、カラー55dとフランジ部55c間で円筒部55aに遊嵌された皿ばね55eと、円筒部55aの中心を通り、フランジ部55b、55cに開口する貫通穴55fとを有する。
【0025】
アッパー側リンフォース90の貫通穴91および一対のカプセル55の貫通穴55eに取付けボルト95を挿通され、取付けボルト95にナット96が螺合されている。これらの取付けボルト95およびナット96を介してアジャストブラケット40が車両のアッパー側リンフォース90に固定されるようになっている。ハンドルに運転手が2次衝突すると、カプセル55に対し取付けブラケット50をハンドルと反対側へ移動させようとする力が取付けブラケット50に作用する。フランジ部55bと取付けブラケット50間には皿ばね55dによる摩擦力が発生し、この摩擦力を超えた荷重が取付けブラケット50にかかると、カプセル55に対し取付けブラケット50の取付け溝51が離脱するようになっている。取付けボルト95およびナット96が、アッパー側リンフォース90に対しアッパー側支持機構20を連結する第1連結機構である。
【0026】
図1および図3に示すようにディスタンスブラケット30は、連結部31と、この連結部31の両端でステアリングチューブ11側へ折り曲げられた一対の第2の板部32、33を有し、前記一対の第2の板部32、33の一端に前記ステアリングチューブ11が溶接等により固定されている。前記一対の第2の板部32、33には、ステアリングチューブ11の軸線と平行にテレスコ溝32a、33aが形成されている。
【0027】
ロック機構60は、2つのロック機構を有する。1つは、偏心カム62を使ってロアチューブ11bの外周をアッパーチューブ11aの内周に押付けてロアチューブ11bとアッパーチューブ11a間に摩擦力を発生させる偏心カム用ロック機構61である。もう1つは、一対の板カム71、72を互いに相対回転させることにより、一対の板カム71、72を互いに軸方向に接近離間させ、前記アジャストブラケット40の一対の第1の板部41、42を締付けることにより、アジャストブラケット40の第1の板部41、42と前記ディスタンスブラケット30の第2の板部32、33間に摩擦力を発生させる板カム用ロック機構70である。
【0028】
偏心カム用ロック機構61は、前記チルト溝41a、42aおよびテレスコ溝32a、33aに挿通される締付けボルト63と、締付けボルト63にセレーション嵌合され締付けボルト63とともに一体回転する偏心カム62と、ロアチューブ11bとアッパーチューブ11a間に介挿された樹脂製のシート64とからなっている。偏心カム62は、締付けボルト63に嵌合されるスリーブ部62aと、スリーブ部62aの軸方向中間に形成され半径方向の長さが次第に漸増するカム部62bとからなっている。シート64は、板状のもので、カム部62bを除いてロアチューブ11bを覆う長さを有する。シート64にボス部64aが一体的に突設され、ボス部64aがロアチューブ11bの嵌め込み穴11cに嵌合されている。ボス部64aが嵌め込み穴11cに嵌合されることにより、シート64がロアチューブ11bに対しこれの軸方向へ移動するのを阻止する。アッパーチューブ11aにはカム部62bを挿通する挿通溝11dが形成され、この挿通溝11dはテレスコしたときに挿通溝11dの端がカム部62bと干渉しない図1に示すような長さを有する。
【0029】
図3に示すように、前記板カム用ロック機構70は、締付けボルト63と、この締付けボルト63に嵌合された一対の板カム71、72と、板カム71と一体回転するレバー73と、締付けボルト63のネジ部63dに螺合されたナット74と、締付けボルト63に嵌合された規制部材75とからなっている。締付けボルト63は、軸部63aと、軸部63aの一端に半径方向に突出する形で形成された頭部63bと、軸部63aの外周に形成されたセレーション部63cと、軸部63aの他端に形成されたネジ部63dとを有する。前記軸部63a、頭部63b、セレーション部63c、ネジ部63dは、切削等により一体的に形成されている。
【0030】
一対の板カム71、72は、互いに向かい合う端面にカム部を有し、板カム71、72を互いに相対回転させるとカム部によって、板カム71、72が互いに軸方向に接近離間するようになっている。板カム72のボス部72aがチルト溝41aおよびテレスコ溝32aに挿入され、板カム72のフランジ部72bがアジャストブラケット40の第1の板部41の図略の規制溝に係合することにより、板カム72の回転が規制されている。規制部材75は、板カム72と同様にボス部75aとフランジ部75bを有し、ボス部75aがチルト溝42aおよびテレスコ溝33aに挿入され、フランジ部75bがアジャストブラケット40の第1の板部42の図略の規制溝に係合することにより、規制部材75の回転が規制されている。
【0031】
次に上述した構成にもとづいて、ステアリング装置10を車両のアッパー側リンフォース90およびロア側リンフォース92に取付ける動作を説明する。
【0032】
図5に示すように予め、アジャストブラケット40の取付け溝51にカプセル55を嵌め込み、図1に示すように偏心カム用ロック機構61によってロアチューブ11bに対しアッパーチューブ11aをロックし、図3に示すように板カム用ロック機構70によってアッパーチューブ11aに対し取付けブラケット50をロックしておく。作業者がステアリング装置10を車両内へ搬入し、アッパー側リンフォース90の貫通穴91にカプセル55の貫通穴55fを対応させる。貫通穴91および貫通穴55fに取付けボルト95を挿入し、取付けボルト95にナット96を螺合させる。こうして、アッパー側リンフォース90にアッパー側支持機構20が、第1連結機構である取付けボルト95およびナット96を介して連結される。
【0033】
続いて予め、カラー部材を取付け穴13b内で回転させて図6図7および図8に示すように第1切欠き13cに第2切欠き81aを対応させる。レバー73をロック機構60が緩む方向に回すと、ロアチューブ11bに対するアッパーチューブ11aのロックを解除し、アッパーチューブ11aに対する取付けブラケット50のロックを解除する。第1切欠き13cに旋回支持軸94が対応する位置までアッパーチューブ11aに対してロアチューブ11bを伸縮させ、第1切欠き13cおよび第2切欠き81aを介して旋回支持軸94をカラー部材の内周に嵌め込む。レバー73をロック機構60が締まる方向に回すと、ロアチューブ11bに対してアッパーチューブ11aをロックし、アッパーチューブ11aに対して取付けブラケット50をロックする。カラー部材を反時計回りに90度回して図1図4および図9に示す状態にする。こうして、ロア側リンフォース92にロア側支持機構80が、第2連結機構である旋回支持軸94およびカラー部材を介して連結される。
【0034】
図8に示すように第1切欠き13cに第2切欠き81aが対応している状態では、摺動部材82の内周の中心は、取付け穴13bの中心よりも第2の中間軸15側へ偏心している。図8に示す状態からカラー部材を反時計回りに90度回し、図9に示すように第1切欠き13cに第2切欠き81aが対応していない状態では、摺動部材82の内周の中心は、取付け穴13bの中心よりもアッパー側支持機構20側へ偏心している。こうすることで、ロア側リンフォース92を基点にアッパー側支持機構20をロア側リンフォース92側へ引っ張る力を掛けることができる。これにより、アッパー側リンフォース90に対しアッパー側支持機構20がロア側リンフォース92と反対側へ抜けるのを抑えることができる。
【0035】
次に上述した構成にもとづいて、運転手の体格、姿勢に合わせて、ステアリングチューブ11をテレスコおよびチルトさせる動作について説明する。
【0036】
レバー73をロック機構60が緩む方向に回すと、図3において板カム71、72同士が軸方向に互いに接近し、一対の第1の板部41、42で一対の第2の板部32、33を締付ける力が弱くなる。また、図1においてカム部62bが回転してカム部62bの半径方向の長さが短い部分がロアチューブ11bに当接し、ロアチューブ11bをシート64を介してアッパーチューブ11aに押付ける力が弱くなる。
【0037】
ロック機構60によるロックが緩んだ状態で、テレスコ調整したい場合は、運転手はハンドルを引っ張る。また、チルト調整したい場合は、旋回支持軸94の軸線回りにステアリングチューブ11を旋回させる。
【0038】
ステアリングチューブ11を任意のテレスコおよびチルト(旋回)位置へ移動させた後、レバー73をロック機構60が締まる方向に回すと、図3において板カム71、72同士が軸方向に互いに離間し、一対の第1の板部41、42で一対の第2の板部32、33を締付ける力が強くなる。また、図1においてカム部62bが回転してカム部62bの半径方向の長さが長い部分がロアチューブ11bに当接し、ロアチューブ11bをシート64を介してアッパーチューブ11aに押付ける力が強くなる。こうしてステアリングチューブ11は、アジャストブラケット40に対し、任意のテレスコおよびチルト位置にロックされる。
【0039】
本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【0040】
上述した実施形態では、図8に示すように旋回連結部13aに取付け穴13bを形成し、取付け穴13bにカラー部材を回転可能に嵌合し、カラー部材の内周に回転可能に嵌合される旋回支持軸94をロア側リンフォース92に固定した例について述べた。他の実施形態として、ロア側リンフォース92に取付け穴を形成し、取付け穴にカラー部材を回転可能に嵌合し、カラー部材の内周に回転可能に嵌合される旋回支持軸94を旋回連結部13aに固定しても良い。この場合は、ロア側リンフォース92に第1切欠きを形成する。
【符号の説明】
【0041】
13c:第1切欠き、20:アッパー側支持機構、80:ロア側支持機構、81:筒部材(カラー部材)、81a:第2切欠き、81b:つまみ部(カラー部材)、82:摺動部材(カラー部材)、90:アッパー側リンフォース、92:ロア側リンフォース、94:旋回支持軸(第2連結機構)、95:取付けボルト(第1連結機構)、96:ナット(第1連結機構)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9