特開2016-221865(P2016-221865A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特開2016-221865複合材パイプ及び複合材パイプの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-221865(P2016-221865A)
(43)【公開日】2016年12月28日
(54)【発明の名称】複合材パイプ及び複合材パイプの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 70/16 20060101AFI20161205BHJP
   B32B 1/08 20060101ALI20161205BHJP
   B32B 15/08 20060101ALI20161205BHJP
   B29K 105/08 20060101ALN20161205BHJP
   B29L 9/00 20060101ALN20161205BHJP
   B29L 23/00 20060101ALN20161205BHJP
【FI】
   B29C67/14 B
   B32B1/08 Z
   B32B15/08 105Z
   B29K105:08
   B29L9:00
   B29L23:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-111350(P2015-111350)
(22)【出願日】2015年6月1日
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099461
【弁理士】
【氏名又は名称】溝井 章司
(74)【代理人】
【識別番号】100151220
【弁理士】
【氏名又は名称】八巻 満隆
(72)【発明者】
【氏名】竹本 雅也
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 三朗
(72)【発明者】
【氏名】村上 信太
【テーマコード(参考)】
4F100
4F205
【Fターム(参考)】
4F100AB01A
4F100AB01C
4F100AB33A
4F100AB33C
4F100AK01B
4F100BA02
4F100BA03
4F100BA06
4F100BA10A
4F100BA10C
4F100DA11
4F100DG01B
4F100DH01B
4F100EJ08
4F100EJ17
4F100EJ42
4F100EJ82B
4F100GB31
4F205AA36
4F205AC03
4F205AD03
4F205AD16
4F205AG08
4F205AH31
4F205HA02
4F205HA23
4F205HA33
4F205HA37
4F205HA45
4F205HB01
4F205HB11
4F205HC02
4F205HF05
4F205HK04
4F205HK05
4F205HL01
4F205HT08
4F205HT16
4F205HT22
(57)【要約】
【課題】金属箔に皺及び裂けが生じ辛い、金属箔で被覆した複合材パイプを提供することを目的とする。
【解決手段】複合材パイプ10は、短冊形の金属箔13が螺旋状に巻かれて形成された筒状の内金属層11と、内金属層11の外側に短冊形のプリプレグ14が螺旋状に巻き付けられて形成されたプリプレグ層12とを備える。金属箔13の長手方向Xとプリプレグ14の長手方向Yとが平行、又は、金属箔13の長手方向Xとプリプレグ14の長手方向Yとが成す角が鋭角である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
短冊形の金属箔が螺旋状に巻かれて形成された筒状の内金属層と、
前記内金属層の外側に短冊形のプリプレグが螺旋状に巻き付けられて形成されたプリプレグ層と
を備え、
前記金属箔の長手方向と前記プリプレグの長手方向とが平行、又は、前記金属箔の長手方向と前記プリプレグの長手方向とが成す角が鋭角である複合材パイプ。
【請求項2】
前記複合材パイプは、さらに、
前記プリプレグ層の外側に短冊形の金属箔が螺旋状に巻き付けられて形成された外金属層
を備える請求項1に記載の複合材パイプ。
【請求項3】
円筒金型の外側に、短冊形の金属箔を螺旋状に巻き付ける内金属層形成工程と、
前記内金属層形成工程で巻き付けられた金属箔の外側に、短冊形のプリプレグを螺旋状に巻き付けるプリプレグ層形成工程であって、前記金属箔の長手方向と前記プリプレグの長手方向とが平行、又は、前記金属箔の長手方向と前記プリプレグの長手方向とが成す角が鋭角になるように、前記プリプレグを巻き付けるプリプレグ層形成工程と
を備える複合材パイプの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、繊維強化複合材料を金属箔で被覆した複合材パイプに関する。
【背景技術】
【0002】
繊維強化複合材料製の複合材パイプは、プリプレグと呼ばれる繊維に樹脂を含浸させ半硬化させたシート状材料を用いて製造される。
プリプレグを用いて複合材パイプを製造する場合、マンドレルと呼ばれる円筒金型の外側にプリプレグが積層され、オートクレーブ、オーブンといった装置により加熱、加圧されて樹脂が硬化されて成形される(特許文献1,2を参照)。
【0003】
人工衛星に搭載される機器の支持構造の一部として複合材パイプが使用される。複合材パイプは比剛性、比強度が高い特性を持つ一方、構成部品の中に樹脂を含むため地上での製造及び試験中に大気中の水分による吸湿変形が生じる。この吸湿変形が生じた複合材パイプによる支持構造を搭載した人工衛星を打ち上げると、真空環境である軌道上では複合材パイプの樹脂内の水分が排出され支持構造に寸法の変化が生じる。
衛星には、光学センサが搭載されている。光学センサを例とすると、センサの光学系の支持構造に複合材パイプを用いた場合、この寸法変化に起因して光学系に変化が生じ、光学系の指向性能が悪化する。
【0004】
そこで、複合材パイプの表面に保護膜を被覆することで大気中の水分による吸湿を防ぐ方法が用いられている。例えば、保護膜として金属箔をパイプの内壁表面と外壁表面との両面に被覆することで複合材パイプの吸湿を防ぐことができる。
プリプレグをパイプ形状に成形する場合、マンドレルと呼ばれる円筒形金型が使用される。プリプレグのパイプの内壁を被覆する場合、マンドレル表面に金属箔を巻き付け、その外側にプリプレグを巻き付けて積層する。プリプレグのパイプの外壁を被覆する場合、最外層のプリプレグを積層後、その外側に金属箔を巻き付ける。
内壁及び外壁の被覆のいずれにおいても、パイプと金属箔とはプリプレグの樹脂に接着機能を持たせ、プリプレグの硬化成形時に、金属膜をプリプレグに対して固着させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平3−67638号公報
【特許文献2】特開2014−172338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
マンドレル表面に巻き付けられた金属箔の外側にプリプレグを巻き付けて積層する際、金属箔が浮いて皺となること、及び、裂けてしまうことがあった。
この発明は、金属箔に皺及び裂けが生じ辛い、金属箔で被覆した複合材パイプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る複合材パイプは、
短冊形の金属箔が螺旋状に巻かれて形成された筒状の内金属層と、
前記内金属層の外側に短冊形のプリプレグが螺旋状に巻き付けられて形成されたプリプレグ層と
を備え、
前記金属箔の長手方向と前記プリプレグの長手方向とが平行、又は、前記金属箔の長手方向と前記プリプレグの長手方向とが成す角が鋭角である。
【発明の効果】
【0008】
この発明では、金属箔の長手方向とプリプレグの長手方向とが平行、又は、金属箔の長手方向とプリプレグの長手方向とが成す角が鋭角である。そのため、位置合わせのためにプリプレグを剥がしても、金属箔の張力がかかっている方向とはほぼ同じ方向にプリプレグを剥がそうとする力が発生するため、金属箔の浮きが生じ辛い。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係る複合材パイプ10の上面図。
図2】実施の形態1に係る複合材パイプ10の正面図。
図3】実施の形態1に係る複合材パイプ10の斜視図。
図4】実施の形態1に係る複合材パイプ10の製造方法を示すフローチャート。
図5】比較例である複合材パイプ90の正面図。
図6】実施の形態1に係る複合材パイプ10の他の構成を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
***構成の説明***
図1から図3は、実施の形態1に係る複合材パイプ10の構成図である。
図1は、複合材パイプ10の上面図である。図2は、複合材パイプ10の正面図である。図3は、複合材パイプ10の斜視図である。
図1から図3では、複合材パイプ10の製造時に用いられるマンドレル21及びテープ22も、複合材パイプ10とともに示している。図2及び図3では、プリプレグ14が途中まで巻き付けられた状態を示している。
【0011】
複合材パイプ10は、内金属層11と、内金属層11の外側に積層されたプリプレグ層12とを備える。
【0012】
内金属層11は、円筒金型であるマンドレル21の軸方向に対して、短冊形の金属箔13が角度θ1だけ傾斜して螺旋状に巻き付けられて形成された筒状の層である。内金属層11は、金属箔13の長手方向の両端がマンドレル21に粘着剤付のテープ22で固定され、金属箔13が張力をかけてマンドレル21に巻き付けられる。
【0013】
プリプレグ層12は、内金属層11の外側に短冊形のプリプレグ14が螺旋状に巻き付けられて形成された層である。プリプレグ層12は、マンドレル21の軸方向に対して、短冊形のプリプレグ14が角度θ1だけ傾斜して螺旋状に巻き付けられている。そのため、金属箔13の長手方向Xとプリプレグ14の長手方向Yとは平行になっている。
【0014】
***製造方法の説明***
図4は、実施の形態1に係る複合材パイプ10の製造方法を示すフローチャートである。
S1の内金属層形成工程では、マンドレル21の軸方向に対して、短冊形の金属箔13が角度θ1だけ傾斜して螺旋状に巻き付けられる。角度θ1は、後述するS2でプリプレグ14を巻き付ける際に、プリプレグ14を構成する繊維の方向が、設計上指定された向きになるように調整される。
金属箔13には、粘着力及び接着力が無い。そのため、金属箔13は、張力をかけて巻き付けられ、金属箔13の両端がマンドレル21に対して固定される。
具体的には、金属箔13の片端が、粘着剤付のテープ22でマンドレル21に固定される。その状態で金属箔13に張力をかけながら、金属箔13がマンドレル21に巻き付けられる。そして、金属箔13の他端が粘着剤付のテープ22で固定される。
この際、金属箔13にかけられた張力が小さい、もしくは、張力が不均一である場合、金属箔13がマンドレル21から浮いてしまい、金属箔13はマンドレル21に密着しなくなってしまう。そのため、金属箔13に適度な張力を均一にかけながら巻き付ける必要がある。
【0015】
S2のプリプレグ層形成工程では、S1で巻き付けられた金属箔13の外側に、短冊形のプリプレグ14が螺旋状に巻き付けられて積層される。プリプレグ14を構成する樹脂は硬化前には適度な粘着性を有している。そのため、プリプレグ14は、その粘着性を利用して、積層が繰り返され、多層化される。
この際、プリプレグ14を構成する繊維の方向は、設計上指定された向きになり、かつ、金属箔13の長手方向Xとプリプレグ14の長手方向Yとが平行になるように、プリプレグ14が巻き付けられる。
プリプレグ14が手作業で積層される場合には、プリプレグ14を少し巻き付けては、プリプレグ14が巻き付けられた位置を確認し、位置がずれていれば巻き付けたプリプレグ14の一部を剥がして、再度位置を合わせるという作業が繰り返される。
【0016】
S3の硬化成形工程では、S2でプリプレグ14が巻き付けられ、金属箔13とプリプレグ14とが積層されたものが、オートクレーブ、オーブンといった装置により加熱、加圧される。これにより、樹脂が硬化され、成形される。そして、マンドレル21が取り外される。
【0017】
***実施の形態1の効果***
複合材パイプ10の製造時に、金属箔13は、張力がかけられた状態でマンドレル21に両端が固定されているが、金属箔13はマンドレル21に全面が固定されてはいない。そのため、位置合わせのためにプリプレグ14を剥がした場合に、金属箔13がマンドレル21から浮いて皺となること、及び、裂けてしまうことがあった。
図5に示すように、金属箔91の長手方向X’と、プリプレグ92の長手方向Y’との成す角θ2が鈍角になっている場合には、金属箔91の張力がかかっている方向と直交方向に近い方向にプリプレグ92を剥がそうとする力が発生する。そのため、金属箔91がマンドレル93から浮いてしまい易い。
しかし、実施の形態1に係る複合材パイプ10は、金属箔13の長手方向Xとプリプレグ14の長手方向Yとが平行になるように、金属箔13の外側にプリプレグ14が巻き付けられている。そのため、位置合わせのためにプリプレグ14を剥がしても、金属箔13の張力がかかっている方向とはほぼ同じ方向にプリプレグ14を剥がそうとする力が発生する。そのため、金属箔13の浮きが生じ辛い。
【0018】
***他の構成***
なお、上記説明では、複合材パイプ10は、内金属層11とプリプレグ層12とを備えた。しかし、複合材パイプ10は、さらに、プリプレグ層12の外側に短冊形の金属箔が螺旋状に巻き付けられて形成された外金属層を備えていてもよい。
【0019】
また、上記説明では、金属箔13の長手方向Xとプリプレグ14の長手方向Yとが平行であるとした。しかし、図6に示すように、金属箔13の長手方向Xとプリプレグ14の長手方向Yとが完全に平行でなくても、金属箔13の長手方向Xとプリプレグ14の長手方向Yとの成す角θ3が鋭角であれば、同様の効果を得ることができる。
角θ3は、小さい方が望ましい。したがって、例えば、角θ3は60度以下としてもよい。さらに、角θ3は30度以下としてもよい。
【符号の説明】
【0020】
10 複合材パイプ、11 内金属層、12 プリプレグ層、13 金属箔、14 プリプレグ、21 マンドレル、22 テープ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6