特開2016-222493(P2016-222493A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-222493(P2016-222493A)
(43)【公開日】2016年12月28日
(54)【発明の名称】ムギの栽培における施肥方法
(51)【国際特許分類】
   C05G 1/00 20060101AFI20161205BHJP
   C05G 3/00 20060101ALI20161205BHJP
   A01C 21/00 20060101ALI20161205BHJP
【FI】
   C05G1/00 H
   C05G3/00 103
   A01C21/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】109
(21)【出願番号】特願2015-110485(P2015-110485)
(22)【出願日】2015年5月29日
(71)【出願人】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】西川 章
【テーマコード(参考)】
2B052
4H061
【Fターム(参考)】
2B052BA08
2B052BB02
4H061AA01
4H061AA04
4H061DD04
4H061EE01
4H061EE35
4H061FF08
4H061FF15
4H061JJ06
4H061KK02
4H061LL25
(57)【要約】      (修正有)
【課題】融雪を促進しながら、肥料を適当に作用させ、ムギの生育を促進して収量を増やすための施肥方法の提供。
【解決手段】圃場に、融雪剤とウレタン樹脂で被覆された、被覆尿素肥料及び被覆リン酸肥料を含む被覆粒状肥料であり、前記融雪剤と前記被覆粒状肥料との比が、重量比で5:1〜1:2の範囲であり、同時に施用することを特徴とするムギの栽培における施肥方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場に、融雪剤と被覆粒状肥料とを同時に施用することを特徴とするムギの栽培における施肥方法。
【請求項2】
前記融雪剤と前記被覆粒状肥料との比が、重量比で5:1〜1:2の範囲である請求項1に記載の施肥方法。
【請求項3】
前記被覆粒状肥料が、ウレタン樹脂で被覆されてなる被覆粒状肥料である請求項1または2に記載の施肥方法。
【請求項4】
前記被覆粒状肥料が、被覆尿素肥料及び被覆リン酸肥料を含む被覆粒状肥料である請求項1〜3のいずれか1項に記載の施肥方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ムギの栽培における施肥方法に関する。
【背景技術】
【0002】
積雪寒冷地におけるコムギ等のムギの栽培においては、融雪の遅れはムギの生育に影響を与え、収量低下の原因になることから、融雪促進は欠かせない作業である。このため、春先に融雪剤を散布し、融雪後、圃場に入れるようになってから施肥が行われている。しかしながら、融雪直後の圃場に入って行う施肥作業は非常に困難なものであり、また、融雪により生じる水に肥料が溶解し、期待する肥効が発揮されないという問題があった。
【0003】
このような問題を解決すべく、融雪剤で粒状肥料を被覆してなる融雪肥料が提案されている(特許文献1)。特許文献1には、前記融雪肥料が、太陽熱を効率的に吸収して融雪を促進し、融雪後は土壌に肥料を供給するため、融雪と施肥とを一度に行うことができると共に、作物の高収量が期待できることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭59−018186号公報(1984年1月30日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1には、前記融雪肥料を用いて実際に高収量の作物を得たというデータは示されていない。そのため、特許文献1の開示の技術が、実際に前記の課題を解決することができるか否かは不明であると考えられる。つまり、融雪を促進しながら、肥料を適当に作用させて、ムギの生育を促進して収量を増やすためには、施肥方法のさらなる開発の必要性が存在していた。
【0006】
本発明は、ムギの栽培における、より簡便で効率的な施肥方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題を解決するために、本発明者は、融雪直後の圃場に入って施肥作業を行うという極めて困難な工程を回避しつつ、ムギの収量を増加させることができる方法について鋭意検討した。その結果、融雪剤と被覆肥料とを同時に施肥することによって前記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は以下の発明を包含する。
【0009】
[1]圃場に、融雪剤と被覆粒状肥料とを同時に施用することを特徴とするムギの栽培における施肥方法。
【0010】
[2]前記融雪剤と前記被覆粒状肥料との比が、重量比で5:1〜1:2の範囲である[1]に記載の施肥方法。
【0011】
[3]前記被覆粒状肥料が、ウレタン樹脂で被覆されてなる被覆粒状肥料である[1]または[2]に記載の施肥方法。
【0012】
[4]前記被覆粒状肥料が、被覆尿素肥料及び被覆リン酸肥料を含む被覆粒状肥料である[1]〜[3]のいずれか一つに記載の施肥方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、ムギの栽培において、収量を増加させることができる。また、本発明により、融雪直後の圃場に入って施肥作業を行うという極めて困難な工程を回避することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のムギの栽培における施肥方法(以下、本施肥方法と記す)は、融雪剤と被覆粒状肥料とを同時に施用することを特徴とする。本発明においては、コムギ及びオオムギを総称してムギという。
【0015】
融雪剤としては、農業用の融雪剤として使用されているものを使用することができる。かかる融雪剤としては、例えば、カーボンブラック、フライアッシュ、炭酸カルシウム、燃焼灰、くん炭、木炭、乾燥黒ボク土、ベンガラ、黒色酸化鉄、腐植等の成分を含む融雪剤が挙げられる。
【0016】
本発明における融雪剤として、例えば、以下のものが挙げられるがこれらに限定されない:カーボンブラックを含む融雪剤として、融雪タンカル(カーボンブラック含有量:0.5重量%)(ホクレン)、SRブラック(呉羽)等;炭酸カルシウムを含む融雪剤として、くみあいタンカル(炭酸カルシウム含有量:53重量%)(北海道炭酸カルシウム工業組合)、防散タンカル(炭酸カルシウム含有量:50重量%)(小野工業株式会社)等;石炭燃焼灰(フライアッシュ)を含む融雪剤として、くみあいアッシュ(太平物産株式会社)、黒べえ(株式会社ユウキン)、くみあいブラックパワーN(ホクレン)等;くん炭を含む融雪剤として、自然思考もみがらくんたん(FOREX)、くん炭(コメリ)等;木炭を含む融雪剤として、雪どけ炭(木炭)(シーテック)、融雪灰、万能炭一番(コメリ)等;乾燥黒ボク土を含む融雪剤として、黒土(FOREX)等。
【0017】
本発明において、被覆粒状肥料とは、肥料成分を含有する粒状物の表面が樹脂等の被覆資材で被覆されている肥料であり、肥料成分の溶出が制御されている肥料を意味する。肥料成分の溶出は、水分と接触するまでは溶出せず、水分と接触した後、一定期間経過後に溶出するように制御されていることが好ましい。
【0018】
当該肥料成分は、ムギの栽培において、越冬後(通常3〜4月)に追肥される成分であり、例えば、尿素、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、硝酸アンモニウム石灰及び腐植酸アンモニウム等の窒素成分;過リン酸石灰、重過リン酸石灰、苦土過リン酸、リン酸アンモニウム、苦土リン酸、硫リン安、リン硝安カリウム及び塩リン酸等のリン酸成分;並びに塩化カリウム、硫酸カリウム、硫酸カリ苦土、重炭酸カリウム、リン酸カリウム及び硝酸カリウム等のカリウム成分が挙げられる。
【0019】
肥料中における、窒素成分、リン酸成分およびカリウム成分の割合は、当業者により、適宜設定され得る。窒素成分、リン酸成分およびカリウム成分に加えて、ムギの成長にとって有用な任意の他の成分も使用され得る。
【0020】
肥料成分を含有する粒状物としては、例えば粒状尿素のように肥料成分そのものが粒状化されたもの、並びに肥料成分及び固体担体の混合物が粒状化されたものが挙げられる。粒状物の形状は、球状が好ましいが、円柱状等の他の形状であってもよい。粒状物の大きさは、特に限定されることはないが、球状の場合、通常、直径が0.1mm〜15mmであり、円柱状の場合、通常、直径が1.0mm〜10.0mm、高さが5.0mm〜15.0mmであり得る。
【0021】
肥料成分同士、および肥料成分と固体担体との混合は、例えば、スクリューミキサー、パンミキサー、パグミキサー等の紛体混合機により行われ得る。また、粒状化は、例えば回転ドラム式造粒装置(ドラムコータ)や回転パン式造粒装置(パンコータ)等を用いた公知の造粒操作により行うことができる。
【0022】
被覆資材としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂及び無機系資材からなる群より選ばれる1以上の資材が一般に使用されている。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン及びポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂から選ばれる樹脂が挙げられ、熱硬化性樹脂としては、例えば、アルキッド樹脂及び/又はウレタン樹脂が挙げられる。無機系資材としては、例えば、硫黄及び/又はワックス、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0023】
本施肥方法においては、ウレタン樹脂で被覆されてなる被覆粒状肥料の使用が好ましい。被覆資材の選択は、肥料成分の溶出の制御目的に応じて適宜行われる。例えば、温度に対する反応性を考慮して、水分との接触後の早い段階で肥料成分を溶出させたいときには、親水度の高い被覆資材が用いられ、肥料成分の溶出を遅らせたいときには、疎水度の高い被覆資材が用いられ得る。
【0024】
粒状肥料の被覆方法としては、公知の被覆方法であれば別段限定されないが、例えば、回転ドラム式造粒装置(ドラムコータ)等を用いて、その内部で粒状肥料を回転させながら被覆資材を供給し、コーティングを行うことが挙げられる。
【0025】
また、被覆尿素肥料及び被覆リン酸肥料を含む被覆粒状肥料の使用が好ましい。被覆尿素肥料としては、15℃の水中に被覆尿素肥料を静置した条件において、窒素80%(被覆尿素肥料に含まれる全窒素に対する重量%)が溶出するのに要する期間が、30〜50日程度である被覆尿素肥料、及び/または25℃の水中に被覆尿素肥料を静置した条件において、窒素80%(被覆尿素肥料に含まれる全窒素に対する重量%)が溶出するのに要する期間が、20〜100日程度である被覆尿素肥料が好ましい。
【0026】
被覆リン酸肥料としては、25℃の水中に被覆リン酸肥料を静置した条件において、リン酸80%(被覆リン酸肥料に含まれる全リン酸に対する重量%)が溶出するのに要する期間が、20〜100日程度である被覆リン酸肥料が好ましい。
【0027】
本発明において、窒素の量はN(窒素原子)換算の重量であり、リン酸の量はP(五酸化二リン)換算の重量である。
【0028】
被覆粒状肥料の施用では、特定の肥料成分や被覆資材を有する被覆粒状肥料が単独で施用されてもよいし、異なる肥料成分や被覆資材を有する複数の被覆粒状肥料が混合して施用されてもよい。
【0029】
本発明における被覆粒状肥料は、非被覆肥料を含んでいてもよい。非被覆肥料としては、例えば、尿素、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、硝酸アンモニウム石灰、腐植酸アンモニウム、過リン酸石灰、重過リン酸石灰、苦土過リン酸、苦土リン酸、硫リン安、リン硝安カリウム、塩リン酸、塩化カリウム、硫酸カリウム、硫酸カリ苦土、重炭酸カリウム、リン酸カリウム、硝酸カリウム等が挙げられるがこれらに限定されない。なお、「非被覆肥料」とは、肥料の表面が被覆資材で被覆されていない肥料のことをいう。
【0030】
本施肥方法をコムギの栽培において適用する場合について、説明する。コムギの作型は、秋(9月)に播種して幼植物で越冬し、春の長日条件で出穂する秋播きと、根雪直前の初冬(10月〜11月)に播種する初冬まき、春になってから播種し、夏までに出穂結実する春播に区別される。秋播コムギと初冬播コムギの場合、本施肥方法により追肥を施用することができる。本施肥方法は、1〜4月の間で、日平均気温が−3℃以上になり、20cm以上の積雪の見込みがなくなる時期に実施する。
【0031】
本施肥方法において、「融雪剤と被覆粒状肥料とを同時に施用する」とは、融雪剤による融雪が始まるまでに被覆粒状肥料を施用することを意味する。ここで、融雪剤による融雪は、被覆粒状肥料を施用する直近に施用された融雪剤による融雪を意味する。
【0032】
したがって、融雪剤が複数回施用される場合には、先に施用した融雪剤により融雪が始まっていたとしても、その後に、被覆粒状肥料を施用する直近に施用された融雪剤による融雪が始まっていなければ、融雪剤と被覆粒状肥料とを同時に施用するとの概念に包含される。このような場合の一態様として、先に融雪剤のみを施用し、その後、融雪剤と被覆粒状肥料との混合物を施用することが挙げられる。通常は、融雪剤の施用前10日から施用後10日までの間に被覆粒状肥料を施用し、この態様はまた、融雪剤と被覆粒状肥料とを同時に施用するとの概念に包含される。また、融雪剤と被覆粒状肥料とを混合してから施用することもできる。混合は、例えば、スクリューミキサー、パンミキサー、パグミキサー等の紛体混合機により行われる。本施肥方法を実施した後で20cm以上積雪した場合は、融雪剤を追加して施用することが好ましい。
【0033】
融雪剤の施用は、通常の方法により行われる。スノーモービル、クローラトラクター、ブロードキャスター、タブラー及び背負動力散粒機等を用いる機械散布や、手まきでもよい。
【0034】
また、融雪剤の施用量は、圃場10アールあたり、通常20〜150kg程度であり、好ましくは40〜100kg程度である。融雪剤の効果が認められない場合は、追加して施用してもよい。融雪剤を追加で施用する場合、融雪剤の追加と同時に被覆粒状肥料を追加で施用してもよい。
【0035】
被覆粒状肥料の施用も、通常の方法により行われる。融雪剤と同様、スノーモービル、クローラトラクター、ブロードキャスター、タブラー及び背負動力散粒機等を用いる機械散布や、手まきでもよい。
【0036】
また、被覆粒状肥料の施用量は、圃場10アールあたり、通常20〜80kg程度である。本施肥方法においては、融雪剤と被覆粒状肥料との比が、例えば、重量比で7.5:1〜1:4の範囲、好ましくは、重量比で5:1〜1:2の範囲となるように施用する。被覆粒状肥料が非被覆肥料を含有する場合、被覆粒状肥料における非被覆肥料の含有量は、通常、0〜50重量%、好ましくは、0〜25重量%である。なお、前記「被覆粒状肥料の施用量」および「融雪剤と被覆粒状肥料との比」は、非被覆肥料を含めない状態での被覆粒状肥料の重量に基づいた数値である。
【実施例】
【0037】
以下、本発明の施肥方法についてさらに具体的に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0038】
〔試験例1〕
試験は北海道由仁町の圃場で行った。9月18日に基肥として高度化成燐加安284号(住友化学株式会社)(N−P−K=12−18−14(N、PおよびKは、それぞれN、PおよびKOを意味し、それぞれの成分の混合比率を重量%で示している。以下同じ))を10アールあたり30kg全面施用した。9月20日にコムギ(品種:ゆめちから)を播種した。3月10日にくみあい防散タンカル(50.0重量%カーボンブラック入り防散(粒状)炭酸カルシウム(ホクレン))を10アールあたり80kg施用した。融雪剤の施用は手まきで行った。そして3月15日に肥料1(表5参照)を10アールあたり40kg施用した。被覆資材としては、ポリウレタン樹脂を用いた。被覆粒状肥料の施用も手まきで行った。これを試験区1とした。
【0039】
一方、コムギの播種までは試験区1と同様の操作を行い、消雪後の4月3日に硫安(N−P−K=21−0−0)を10アールあたり60kg、5月12日に硫安(N−P−K=21−0−0)を10アールあたり20kgそれぞれ施用した。これを比較試験区1とした。
【0040】
その後栽培を継続し、7月14日にコムギを収穫し、試験区1及び比較試験区1における収量、穂数及び千粒重について調査した。その結果を表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
〔試験例2〕
試験は北海道岩見沢市の圃場で行った。9月16日に基肥BB肥料853(ホクレン)(N−P−K=8−5−3)を10アールあたり50kg全面施用した。9月27日にコムギ(品種:ゆめちから)を播種した。3月29日にくみあいアッシュ(太平物産株式会社)と肥料1(表5参照)とを混合して施用した。施用量は、くみあいアッシュが10アールあたり80kg、肥料1が10アールあたり30kgとした。被覆資材としては、ポリウレタン樹脂を用いた。施用はスノーモービルを用いて行った。これを試験区2とした。
【0043】
一方、コムギの播種までは試験区2と同様の操作を行い、3月29日にくみあいアッシュを10アールあたり80kg施用した。そして、ムギの起生期にあたる4月14日にDAP(N−P−K=18−46−0)を10アールあたり34kg、5月12日にDAP(N−P−K=18−46−0)を10アールあたり40kgそれぞれ施用した。これを比較試験区2とした。
【0044】
その後栽培を継続し、7月30日にコムギを収穫し、試験区2及び比較試験区2における収量、穂数及び千粒重について調査した。その結果を表2に示す。
【0045】
【表2】
【0046】
〔試験例3〕
試験は北海道江別市の圃場で行った。9月20日に基肥としていずみ化成15号(N−P−K=15−15−15)(住友化学株式会社)を10アールあたり30kg全面施用した。9月25日にコムギ(品種:ゆめちから)を播種した。3月20日にくみあいブラックパワーN(ホクレン)と肥料1(表5参照)とを混合して施用した。施用量は、くみあいブラックパワーNが10アールあたり100kg、肥料1が10アールあたり50kgとした。被覆資材としては、ポリウレタン樹脂を用いた。施用は背負動力散粒機を用いて行った。これを試験区3とした。
【0047】
また、試験区3とは別の試験区を設け、9月17日に基肥BB肥料853(N−P−K=8−5−3)を10アールあたり50kg全面施用した。9月20日にコムギ(品種:ゆめちから)を播種した。3月10日にくみあいブラックパワーNを10アールあたり60kg施用した。3月25日にくみあいブラックパワーNと肥料1(N−P−K=40−3−0)とを混合して施用した。被覆資材としては、ポリウレタン樹脂を用いた。施用量は、くみあいブラックパワーNが10アールあたり80kg、肥料1が10アールあたり40kgとした。施用は背負動力散粒機を用いて行った。これを試験区4とした。
【0048】
その後栽培を継続し、コムギを収穫した。試験区3及び試験区4における収量、穂数及び千粒重について調査した結果、いずれも良好であることが認められた。
【0049】
〔試験例4〕
秋に、圃場に基肥を全面施用した後、コムギ(品種:ゆめちから)を播種する。次の年の1〜4月の間で、日平均気温が−3℃以上になり、20cm以上の積雪の見込みがなくなったら、融雪剤及び被覆粒状肥料をそれぞれ施用する。施用する融雪剤(表3)及びその量(表4)、施用する被覆粒状肥料(表5)及びその量(表6)、並びに施用時期(表7)は下記の表に示す通りである。
【0050】
【表3】
【0051】
1)カーボンブラック含有量 0.5重量%、アルカリ含有量 50重量%
2)炭酸カルシウム含有量 53重量%
【0052】
【表4】
【0053】
【表5】
【0054】
上記表5の肥料の種類は、詳細には下記の通りである。
【0055】
被覆尿素30日/15℃タイプは、N−P−K=42−0−0で、15℃水中80%溶出期間が30日の低温溶出タイプである。
【0056】
被覆尿素50日/15℃タイプは、N−P−K=42−0−0で、15℃水中80%溶出期間が50日の低温溶出タイプである。
【0057】
被覆尿素20日タイプは、N−P−K=43−0−0で、25℃水中80%溶出期間が20日の低温溶出タイプである。
【0058】
被覆尿素40日タイプは、N−P−K=43−0−0で、25℃水中80%溶出期間が40日の低温溶出タイプである。
【0059】
被覆尿素60日タイプは、N−P−K=43−0−0で、25℃水中80%溶出期間が60日の低温溶出タイプである。
【0060】
被覆DAP60日タイプは、N−P−K=16−36−0で、25℃水中80%溶出期間が60日の低温溶出タイプである。
【0061】
被覆化成20日タイプは、N−P−K=15−13−15で、25℃水中80%溶出期間が20日の低温溶出タイプである。
【0062】
被覆化成80日タイプは、N−P−K=14−12−14で、25℃水中80%溶出期間が80日の低温溶出タイプである。
【0063】
リン酸アンモニウム(DAP)としては、燐安17−45(N−P−K=17−45−0、ホクレン)が使用される。
【0064】
【表6】
【0065】
【表7】
【0066】
上記の表7における融雪剤/肥料の施用時期が同時とは、融雪剤及び被覆粒状肥料を同日に施用することを意味し、10日前とは、被覆粒状肥料を施用する10日前に融雪剤を施用すること、10日後とは、被覆粒状肥料施用した10日後に融雪剤を施用することをそれぞれ意味する。これらの、5つのパラメーターをそれぞれ組み合わせて、全部で5638通りの組み合わせについて試験区を構成し、試験する。
【0067】
【表8】
【0068】
【0069】
【0070】
【0071】
【0072】
【0073】
【0074】
【0075】
【0076】
【0077】
【0078】
【0079】
【0080】
【0081】
【0082】
【0083】
【0084】
【0085】
【0086】
【0087】
【0088】
【0089】
【0090】
【0091】
【0092】
【0093】
【0094】
【0095】
【0096】
【0097】
【0098】
【0099】
【0100】
【0101】
【0102】
【0103】
【0104】
【0105】
【0106】
【0107】
【0108】
【0109】
【0110】
【0111】
【0112】
【0113】
【0114】
【0115】
【0116】
【0117】
【0118】
【0119】
【0120】
【0121】
【0122】
【0123】
【0124】
【0125】
【0126】
【0127】
【0128】
【0129】
【0130】
【0131】
【0132】
【0133】
【0134】
【0135】
【0136】
【0137】
【0138】
【0139】
【0140】
【0141】
【0142】
【0143】
【0144】
【0145】
【0146】
【0147】
【0148】
【0149】
【0150】
【0151】
【0152】
【0153】
【0154】
【0155】
【0156】
【0157】
【0158】
【0159】
【0160】
【0161】
【0162】
【0163】
【0164】
【0165】
【0166】
【0167】
融雪剤及び被覆粒状肥料の施用後栽培を継続し、コムギを収穫する。各試験区における収量、穂数及び千粒重について調査すると、いずれも良好であることが認められる。
【産業上の利用可能性】
【0168】
本発明の方法により、融雪直後の圃場に入って施肥作業を行うという極めて困難な工程を回避しつつ、ムギの収量を増加させることができるので、本発明は、積雪寒冷地等におけるムギ栽培において広範に利用可能である。