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特開2017-125758情報処理装置およびコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-125758(P2017-125758A)
(43)【公開日】2017年7月20日
(54)【発明の名称】情報処理装置およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/26 20060101AFI20170623BHJP
   G09B 29/10 20060101ALI20170623BHJP
【FI】
   G01C21/26 C
   G09B29/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-4924(P2016-4924)
(22)【出願日】2016年1月14日
(71)【出願人】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097205
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 正樹
(72)【発明者】
【氏名】庄司 貴彦
【テーマコード(参考)】
2C032
2F129
【Fターム(参考)】
2C032HB22
2C032HB25
2C032HC08
2C032HD03
2C032HD23
2F129AA03
2F129BB03
2F129BB20
2F129DD62
2F129EE02
2F129EE78
2F129EE95
2F129EE96
2F129FF04
2F129FF08
2F129FF09
2F129FF12
2F129FF59
2F129GG22
2F129GG24
2F129HH02
2F129HH12
2F129HH18
2F129HH19
2F129HH20
(57)【要約】      (修正有)
【課題】時間の経過とともに変動する警戒エリアとの位置関係を容易に把握することができる情報処理装置およびコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】警戒エリアに関するエリア情報を取得するエリア情報取得手段S14と、自機位置から警戒エリアまでの距離を算出する算出手段S15と、算出手段S15で算出された距離を基準値として設定しS17、算出手段S15で算出された新たな比較用の距離と基準値とを比較する比較手段S18と、比較手段S18の比較結果に応じた出力を行う出力手段S19とを有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自機位置を表す自機位置情報を取得可能な情報処理装置であって、
警戒エリアに関するエリア情報を取得するエリア情報取得手段と、
前記自機位置情報と前記エリア情報とを用いて、前記自機位置から前記警戒エリアまでの距離を算出する算出手段と、
前記算出手段で算出された距離を基準値として設定し、前記算出手段で算出された新たな比較用の距離と前記基準値とを比較する比較手段と、
前記比較手段の比較結果に応じた出力を行う出力手段とを有する情報処理装置。
【請求項2】
前記算出手段は、所定時間前の自機位置を表す自機位置情報と前記所定時間前の警戒エリアに関するエリア情報とを用いて前記基準値とする距離を算出し、現在時刻の自機位置を表す自機位置情報と前記現在時刻の警戒エリアに関するエリア情報とを用いて前記比較用の距離を算出する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記自機位置から所定の目的地までの経路案内を行う経路案内手段と、
現在時刻から所定時間経過後に予測される前記経路上の自機位置を予測する予測手段とをさらに備え、
前記算出手段は、前記現在時刻の自機位置を表す自機位置情報と所定時間前の警戒エリアに関するエリア情報とを用いて前記基準値とする距離を算出し、前記予測手段で予測された自機位置を表す自機位置情報と前記現在時刻の警戒エリアに関するエリア情報とを用いて前記比較用の距離を算出する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記比較結果における距離の変化の態様に応じて前記出力手段による出力内容を異ならせる請求項1から3のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項5】
自機位置を表す自機位置情報を取得可能なコンピュータプログラムであって、
コンピュータに、
警戒エリアに関するエリア情報を取得するエリア情報取得機能と、
前記自機位置情報と前記エリア情報とを用いて、前記自機位置から前記警戒エリアまでの距離を算出する算出機能と、
前記算出機能で算出された距離を基準値として設定し、前記算出機能で算出された新たな比較用の距離と前記基準値とを比較する比較機能と、
前記比較機能の比較結果に応じた出力を行う出力機能とを実行させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自機位置を表す自機位置情報を取得可能な情報処理装置およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、大雨などの異常気象による災害防止策が注目されている。例えば、自機位置を把握可能なナビゲーション装置などにおいては、雨が降っているエリアを地図上で確認できるようにすることで、利用者は、雨のエリアを避けて移動することができる。
【0003】
このようなことを実現する技術として、雨や晴れといった気象状態を地図上に重複して表示し、状況把握、目的地あるいは進行ルートを決定する際の判断材料とするナビゲーション装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、このような状況下、日本国内では、一般財団法人 道路交通情報通信システムセンターによって、2015年4月23日から『VICS ワイド(登録商標)』システムの運用が開始されている。このシステムでは、サービスの一つとして、ナビゲーション装置などで利用可能な大雨のエリアに関する情報の提供が実際に行われている(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−193469号公報
【非特許文献1】一般財団法人 道路交通情報通信システムセンター、"4.大雨のエリアを表示"、[平成27年12月21日検索]、インターネット<URL:http://www.vics.or.jp/know/wide/04.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような大雨などで警戒を要するエリア(警戒エリア)は、時間の経過とともに刻々と変動するため、従来のナビゲーション装置では、警戒エリアが近づく傾向にあるのか遠ざかる傾向にあるのかを把握することが困難であった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、時間の経過とともに変動する警戒エリアとの位置関係を容易に把握することができる情報処理装置およびコンピュータプログラムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る情報処理装置は、自機位置を表す自機位置情報を取得可能な情報処理装置であって、警戒エリアに関するエリア情報を取得するエリア情報取得手段と、前記自機位置情報と前記エリア情報とを用いて、前記自機位置から前記警戒エリアまでの距離を算出する算出手段と、前記算出手段で算出された距離を基準値として設定し、前記算出手段で算出された新たな比較用の距離と前記基準値とを比較する比較手段と、前記比較手段の比較結果に応じた出力を行う出力手段とを有する構成となる。
【0009】
このような構成により、算出手段で自機位置情報とエリア情報とを用いて算出された自機位置から警戒エリアまでの距離が比較手段で基準値として設定され、算出手段で算出された新たな比較用の距離と該基準値とが比較されることになる。そして、出力手段によって、その比較結果に応じた出力が行われる。これにより、自機位置と警戒エリアとの位置関係の変化が判別され、判別結果に応じた出力が行われることになる。例えば、比較用の距離が基準値よりも短い場合には、自機位置が警戒エリアに近づく傾向であると判別し、警戒エリアが近づく傾向にある旨を通知することができる。また例えば、比較用の距離が基準値よりも長い場合には、自機位置が警戒エリアから遠ざかる傾向であると判別し、該通知を解除することができる。
【0010】
本発明に係る情報処理装置において、前記算出手段は、所定時間前の自機位置を表す自機位置情報と前記所定時間前の警戒エリアに関するエリア情報とを用いて前記基準値とする距離を算出し、現在時刻の自機位置を表す自機位置情報と前記現在時刻の警戒エリアに関するエリア情報とを用いて前記比較用の距離を算出する構成とすることができる。
【0011】
このような構成により、算出手段で所定時間前の自機位置を表す自機位置情報と所定時間前の警戒エリアに関するエリア情報とを用いて基準値とする距離が算出され、現在時刻の自機位置を表す自機位置情報と現在時刻の警戒エリアに関するエリア情報とを用いて比較用の距離が算出される。これにより、所定時間前から現在時刻までの自機位置および警戒エリアの位置関係の変化を判別し、現在時刻において自機位置と警戒エリアとが近づく傾向にあるのか遠ざかる傾向にあるのかを把握することができる。
【0012】
本発明に係る情報処理装置において、前記自機位置から所定の目的地までの経路案内を行う経路案内手段と、現在時刻から所定時間経過後に予測される前記経路上の前記自機位置を予測する予測手段とをさらに備え、前記算出手段は、前記現在時刻の自機位置を表す自機位置情報と所定時間前の警戒エリアに関するエリア情報とを用いて前記基準値とする距離を算出し、前記予測手段で予測された自機位置を表す自機位置情報と前記現在時刻の警戒エリアに関するエリア情報とを用いて前記比較用の距離を算出する構成とすることができる。
【0013】
このような構成により、現在時刻から所定時間経過後に経路上のどの位置に自機位置があるかが予測手段で予測される。そして、算出手段で現在時刻の自機位置を表す自機位置情報と所定時間前の警戒エリアに関するエリア情報とを用いて基準値とする距離が算出され、予測手段で予測された自機位置を表す自機位置情報と現在時刻の警戒エリアに関するエリア情報とを用いて比較用の距離が算出される。これにより、現在時刻から所定時間経過後までの自機位置および警戒エリアの位置関係の変化の傾向を想定し、所定時間経過後において自機位置と警戒エリアとが近づく傾向にあるのか遠ざかる傾向にあるのかを予測することができる。
【0014】
また、本発明に係る情報処理装置は、前記比較結果における距離の変化の態様に応じて前記出力手段による出力内容を異ならせる構成とすることができる。
【0015】
このような構成により、出力手段による出力内容が比較結果における距離の変化の態様に応じて異なることになり、比較結果に応じたきめ細やかな出力を行うことができる。例えば、比較用の距離が基準値よりも小さい場合や、基準値および比較用の距離の差が所定値以下である場合に警告を行うなど、両者の差の値で異ならせてもよいし、比較用の距離が基準値の半分である場合に警告を行うなど、両者の比率で異ならせてもよい。また、例えば、比較用の距離が基準値よりも小さくなくなった場合に警告を解除するようにしてもよいし、比較用の距離が2回連続して基準値よりも長い場合に警報を解除するなど、回数で異ならせてもよい。
【0016】
本発明に係るコンピュータプログラムは、自機位置を表す自機位置情報を取得可能なコンピュータプログラムであって、コンピュータに、警戒エリアに関するエリア情報を取得するエリア情報取得機能と、前記自機位置情報と前記エリア情報とを用いて、前記自機位置から前記警戒エリアまでの距離を算出する算出機能と、前記算出機能で算出された距離を基準値として設定し、前記算出機能で算出された新たな比較用の距離と前記基準値とを比較する比較機能と、前記比較機能の比較結果に応じた出力を行う出力機能とを実行させるものである。
【0017】
このような構成により、前述した情報処理装置と同様、算出機能で自機位置情報とエリア情報とを用いて算出された自機位置から警戒エリアまでの距離が比較機能で基準値として設定され、算出機能で算出された新たな比較用の距離と該基準値とが比較されることになる。そして、出力機能によって、その比較結果に応じた出力が行われる。これにより、警戒エリアとの位置関係の変化が判別され、判別結果に応じた出力が行われることになる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る情報処理装置およびコンピュータプログラムによれば、自機位置と警戒エリアとの位置関係の変化が判別され、判別結果に応じた出力が行われるので、時間の経過とともに変動する警戒エリアとの位置関係を容易に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施の形態に係る情報処理装置(車載装置)の構成を示すブロック図である。
図2図1に示す情報処理装置での処理の流れの一例(その1)を示すフローチャートである。
図3】現在時刻の自機位置および警戒エリアの一例を説明するための図である。
図4】所定時間前の自機位置および警戒エリアの一例を説明するための図である。
図5】警告メッセージの一例を説明するための図である。
図6図1に示す情報処理装置での処理の流れの一例(その2)を示すフローチャートである。
図7】経路案内中における現在時刻の自機位置および警戒エリアの一例を説明するための図である。
図8】経路案内中における所定時間前の自機位置および警戒エリアの一例を説明するための図である。
図9】経路案内中における警告メッセージの一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。
【0021】
本発明の実施の一形態に係る情報処理装置は図1に示すように構成される。この情報処理装置は、目的地までの経路案内等の車両運転支援を行うナビゲーションユニットを有する車載装置である。
【0022】
図1において、車載装置100(情報処理装置)は、コンピュータユニット(例えば、CPUを含む)によって構成される処理ユニット11を有している。処理ユニット11には、各種の音源及び映像源(例えば、CD、DVD等)の再生処理が可能なAVユニット17、及び車両の目的地までの経路案内等のナビゲーション処理を行うナビゲーションユニット18(ナビゲーション装置)が接続されている。また、処理ユニット11には、スピーカ16と接続される出力回路15が接続されており、処理ユニット11の制御のもと、AVユニット17及びナビゲーションユニット18の処理に基づいた音声信号が出力回路15を介してスピーカ16に提供され、スピーカ16から前記音声信号に基づいた音声が発せられる。更に、処理ユニット11には、AVユニット17及びナビゲーションユニット18にて利用される楽曲情報や地図情報等の各種情報が格納される記憶部14(例えば、ハードディスクドライブ)と、LCD等によって構成される表示部13と、表示部13上のタッチパネルを含み、処理に対する指示や各種情報を入力するために用いられる操作部12とが接続されている。表示部13には、処理ユニット11の制御のもと、AVユニット17からの映像、ナビゲーションユニット18での処理に基づいた地図や案内経路等の画像および後述する通知設定等による各種情報が表示される。
【0023】
また、車載装置100は、処理ユニット11の制御のもと、外部からFM多重放送などを利用して送信される道路交通情報を受信可能な受信部19を有している。具体的には、この道路交通情報は、『VICS ワイド(登録商標)』システムによる提供情報であり、所定時間毎(具体的には12時5分、12時10分、・・・などのように5分毎)に更新されて送信される。この道路交通情報には、大雨(例えば、運転者の前方視認性が低下する降雨強度とされる「50mm/時間」以上の雨)が降っている地域を表す警戒エリアに関する情報(以下、エリア情報と称する)が含まれている。処理ユニット11は、タイマなどの計時手段(図示略)により時刻情報を管理しており、受信部19が受信した道路交通情報からエリア情報を所定時間間隔で抽出可能に構成されている。なお、このエリア情報については、後で図面を参照して詳しく説明する。
【0024】
このような構成において、車両の発進時に操作されるスイッチ、例えば、アクセサリスイッチ(ACC)がオンされた後、車載装置100において、ユーザ操作などにより警戒エリアに関する通知設定がなされると、処理ユニット11は、図2に示す手順(その1)に従って処理を実行する。
【0025】
まず、処理ユニット11は、通知設定解除の有無を判定し(S11)、解除されていない(設定維持状態である)と判定された場合(S11でYES)には、さらに、エリア情報の受信タイミングであるか否かを判定する(S12)。例えば、この受信タイミングは、送信されてくるエリア情報の更新周期と同じ時間間隔のタイミング、具体的には所定時刻(例えばACCをオンした時刻)から5分毎のタイミングに設定される。
【0026】
処理ユニット11は、受信タイミングでないと判定された場合(S12でNO)には、処理をS11に戻す。一方、受信タイミングであると判定された場合(S12でYES)には、処理ユニット11は、GPS(Global Positioning System)等の測位機能を有するナビゲーションユニット18を介して現在時刻における車載装置100の位置(自機位置)を表す位置情報(以下、自機位置情報と称する)を取得する(S13)とともに、受信部19を介してエリア情報を取得する(S14:エリア情報取得手段)。
【0027】
ここで、図3を参照して、各情報について説明する。自機位置情報は、表示部13(図1)に表示される地図20上の自機位置21の表示に利用されるものである。エリア情報は、地図20上に、250メートル四方などのメッシュ単位で重畳させる警戒エリア22の表示に利用されるものである。これにより、使用者は、雨が強い範囲を直感的に把握することができる。例えば、自機位置情報は、特定位置を示す緯度および経度を含む情報で構成され、エリア情報は、メッシュ端点の緯度および経度を含む情報で構成される。
【0028】
次に、処理ユニット11は、取得した自機位置情報とエリア情報とを用いて、現在時刻における自機位置21から警戒エリア22までの最短の距離X1を算出する(S15:算出手段)。この際、警戒エリア22は、図3に示したように多角形(具体的には正方形)で構成されているため、距離計算を容易に行うことができる。
そして、処理ユニット11は、記憶部14にこの距離X1と比較するための基準値が記憶されているか否かを判定する(S16)。この基準値は、直前の受信タイミングの際に算出されたもの、つまり前回受信した際の自機位置21Aおよび警戒エリア22A間の最短の距離X(図4参照)であり、2回目以降の算出の場合に存在することになる。
【0029】
処理ユニット11は、記憶部14に基準値が記憶されていないと判定された場合(S16でYES)には、今回算出した新たな距離X1を基準値(距離X)に設定して記憶部14に記憶し(S17)、処理をS11に戻す。一方、記憶部14に基準値が記憶されていると判定された場合(S16でNO)には、処理ユニット11は、今回、基準値よりも新しい情報で算出した新たな距離X1を比較用の距離として基準値(距離X)と比較し、比較用の距離が基準値よりも小さいか否かを判定する(S18:比較手段)。
【0030】
処理ユニット11は、比較用の距離が基準値よりも小さいと判定された場合(S18でYES)には、自機位置21に警戒エリア22が近づいた旨の警告メッセージ23(図5参照)を表示部13に表示させ(S19:出力手段)、処理をS11に戻す。一方、処理ユニット11は、比較用の距離が基準値よりも小さくないと判定された場合(S18でNO)には、処理をS11に戻す。この際、警告メッセージ23を表示していた場合には、警告メッセージ23の表示を取りやめる。
なお、処理ユニット11は、S11で通知設定の解除が行われたと判定された場合(S11でNO)には、記憶部14に記憶されている基準値を消去して(S20)、処理を終了する。
【0031】
上述したような車載装置100(情報処理装置)によれば、自機位置情報とエリア情報とを用いて算出された自機位置21Aから警戒エリア22Aまでの距離Xが基準値として設定され、別に算出された新たな比較用の距離(距離X1)と該基準値とが比較されることになる。そして、その比較結果に応じた出力(具体的には、比較用の距離が基準値よりも短い場合に警戒エリアが近づいている旨の警告メッセージ23を表示し、短くない場合に警告メッセージ23の表示を解除する)が行われる。これにより、自機位置21と警戒エリア22との位置関係の変化が判別され、判別結果に応じた出力が行われるので、時間の経過とともに変動する警戒エリア22と自機位置21との位置関係を容易に把握することができる。
また、このように比較結果における距離の変化の態様に応じて出力(表示)内容を異ならせることで、比較結果に応じたきめ細やかな出力(表示)を行うことができる。
【0032】
さらに、所定時間前の自機位置21Aを表す自機位置情報と所定時間前の警戒エリア22Aに関するエリア情報とを用いて基準値とする距離Xが算出され、現在時刻の自機位置21を表す自機位置情報と現在時刻の警戒エリア22に関するエリア情報とを用いて比較用の距離(距離X1)が算出される。これにより、所定時間前から現在時刻までの自機位置21および警戒エリア22の位置関係の変化を判別し、現在時刻において自機位置21と警戒エリア22とが近づく傾向にあるのか遠ざかる傾向にあるのかを把握することができる。
【0033】
以上説明した車載装置100による処理の手順(その1)は、現在時刻における通知に関するものであったが、以下に説明する図6に示す車載装置100による処理の手順(その2)は、現在時刻から所定時間を経過した後を予測して通知を行うものである。なお、以下の説明では、主に処理の手順(その1)と相違する部分について説明する。
【0034】
まず、処理ユニット11は、通知設定解除の有無を判定し(S21)、解除されていないと判定された場合(S21でYES)には、さらに、エリア情報の受信タイミングであるか否かを判定する(S22)。処理ユニット11は、受信タイミングでないと判定された場合(S22でNO)には、処理をS21に戻す。一方、受信タイミングであると判定された場合(S22でYES)には、処理ユニット11は、自機位置情報を取得する(S23)するとともにエリア情報を取得する(S24:エリア情報取得手段)。
【0035】
また、処理ユニット11は、ナビゲーションユニット18(経路案内手段)によって所定の目的地までの経路案内が行われている場合に、図7に示すように、現在時刻から所定時間経過後の経路24上の自機位置21Bを予測する(S25:予測手段)。例えば、この予測は、経路24を設定するための経路情報と車速センサー(図示略)等の予測情報とを用いて行う。
【0036】
次に、処理ユニット11は、予測した自機位置21Bの自機位置情報と取得したエリア情報とを用いて、所定時間経過後における自機位置21Bから現在時刻における警戒エリア22までの最短の距離Y1を算出する(S26:算出手段)。そして、処理ユニット11は、記憶部14に前回の受信タイミングで取得したエリア情報が記憶されているか否かを判定する(S27)。
【0037】
処理ユニット11は、記憶部14に前回のエリア情報が記憶されていないと判定された場合(S27でYES)には、今回新たに取得したエリア情報を記憶部14に記憶し(S28)、処理をS21に戻す。一方、記憶部14に前回のエリア情報が記憶されていると判定された場合(S27でNO)には、現在時刻における自機位置21から前回の警戒エリア22Aまでの最短の距離Y(図8参照)を算出し、算出した距離Yを基準値として設定する(S29;算出手段)。
次に、処理ユニット11は、S26において基準値よりも新しい情報で算出した新たな比較用の距離(距離Y1)と基準値(距離Y)とを比較し、比較用の距離が基準値よりも小さいか否かを判定する(S30:比較手段)。
【0038】
処理ユニット11は、比較用の距離が基準値よりも小さいと判定された場合(S30でYES)には、所定時間経過後の自機位置21Bに警戒エリア22が近づくと想定される旨の警告メッセージ23A(図9参照)を表示部13に表示させ(S31:出力手段)、処理をS21に戻す。これにより、利用者は、経路案内中の経路の通りに移動すると警戒エリア22が近づくことを把握することができる。
一方、処理ユニット11は、比較用の距離が基準値よりも小さくないと判定された場合(S30でNO)には、処理をS21に戻す。この際、警告メッセージ23Aを表示していた場合には、警告メッセージ23Aの表示を取りやめる。
なお、処理ユニット11は、S21で通知設定の解除が行われたと判定された場合(S21でNO)には、記憶部14に記憶されているエリア情報を消去して(S32)、処理を終了する。
【0039】
上述したような処理の手順(その2)を行う車載装置100(情報処理装置)によれば、処理の手順(その1)を行う場合に加えて、さらに、現在時刻から所定時間経過後の経路24上の自機位置21Bを予測することができる。そして、現在時刻の自機位置21を表す自機位置情報と所定時間前の警戒エリア22Aに関するエリア情報とを用いて基準値とする距離Yが算出され、予測された自機位置21Bを表す自機位置情報と現在時刻の警戒エリア22に関するエリア情報とを用いて比較用の距離(距離Y1)が算出される。これにより、現在時刻から所定時間経過後までの自機位置21および警戒エリア22の位置関係の変化の傾向を想定し、所定時間経過後において自機位置21と警戒エリア22とが近づく傾向にあるのか遠ざかる傾向にあるのかを予測することができる。
【0040】
本発明は、上述した実施の形態で説明したものに限らず、種々の変形が可能である。
例えば、前記実施の形態では、情報処理装置としてナビゲーションユニット18を有する車載装置100について例示したが、これに限らず、自機位置21と警戒エリア22との位置関係の変化の傾向を通知するものであれば、単なる警報装置などであってもよい。
また、処理ユニット11とナビゲーションユニット18とが一体的な構成であってもよい。
さらに、処理ユニット11が各手順を行うための各機能(エリア情報取得手段、算出手段等)は、記憶部14等に記憶したコンピュータプログラムにより実行させてもよい。具体的には、スマートフォン用のナビゲーションプログラムなどに適用することができる。
【0041】
また、処理ユニット11は、比較用の距離が基準値よりも小さいと判定された場合に表示部13に警告メッセージ23,23Aを表示させ、小さくないと判定された場合に警告メッセージ23,23Aの表示を解除させる構成としたが、これに限ったものではない。例えば、基準値および比較用の距離の差が所定値以下である場合に警告を行ってもよいし、比較用の距離が基準値の半分である場合に警告を行うなど、両者の比率で警告を行うか否かを決定してもよい。位置関係の変化から自機位置21が警戒エリア22に入る時間を算出して予測し通知してもよい。さらに、比較用の距離が2回連続して基準値よりも長い場合に警報を解除するなど、回数で異ならせてもよい。また、出力手段は、警告メッセージ23,23Aの表示に限らず、音声やメール送信など利用者に通知できるものであれば他の出力手段であってもよい。
【0042】
さらに、上述した実施の形態では、大雨の発生地域を警戒エリア22とするものについて説明したが、これに限らず、強風、竜巻、台風、地震、津波、火事、火山等の種々の事象の発生地域や発生可能性地域を警戒エリアとしてもよい。
【0043】
また、上述した実施の形態では、精度向上の為、比較用の距離を算定する情報の直前の情報(前回受信した情報)を基準値の算定に用いたが、前々回など直前以外の情報を用いてもよい。
さらに、各距離を算出する際に最短の距離を算出して比較を行ったが、これに限らず、例えば、所定の距離よりも短い距離が幾つ算出されるかなどで比較してもよい。
また、処理の手順(その2)では、所定時間経過後の自機位置21Bについて警戒エリア22との位置関係を予測したが、これに限らず、例えば、経路24の全体が対象となるように受信タイミングにおける経路24上の自機位置21をすべて予測して警戒エリア22との位置関係を予測してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0044】
以上のように、本発明に係る情報処理装置およびコンピュータプログラムは、時間の経過とともに変動する警戒エリアとの位置関係を容易に把握することができるという効果を有し、自機位置を表す自機位置情報を取得可能な情報処理装置およびコンピュータプログラムとして有用である。
【符号の説明】
【0045】
11 処理ユニット
12 操作部
13 表示部
14 記憶部
15 出力回路
16 スピーカ
17 AVユニット
18 ナビゲーションユニット
19 受信部
100 車載装置(情報処理装置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9