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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-161127(P2017-161127A)
(43)【公開日】2017年9月14日
(54)【発明の名称】蒸気圧縮式冷凍機及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
   F25B 43/04 20060101AFI20170818BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20170818BHJP
   F25B 39/04 20060101ALI20170818BHJP
【FI】
   F25B43/04 Z
   F25B1/00 381H
   F25B39/04 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-44384(P2016-44384)
(22)【出願日】2016年3月8日
(71)【出願人】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】和島 一喜
(72)【発明者】
【氏名】栂野 良枝
(72)【発明者】
【氏名】三吉 直也
(57)【要約】
【課題】不凝縮ガスを冷媒から分離して排出する際の消費エネルギーを可及的に抑えることができる蒸気圧縮式冷凍機を提供する。
【解決手段】凝縮器5から抽気したガスを冷却して凝縮ガスを凝縮させる冷却部および冷却部によって凝縮されずに分離された不凝縮ガスを外部に排出する排気ポンプ48を有する抽気装置40を備え、凝縮器5における現在の飽和温度と冷却水用伝熱管5aの現在の出口温度との差分である現在温度差と計画値である計画温度差とを演算し、冷却水用伝熱管5aの管内汚れを想定して予め決定された凝縮器5における飽和温度と冷却水用伝熱管5aの出口温度との差分である管内汚れ温度差上昇の情報を用いて現在管内汚れによる温度差上昇を演算し、現在温度差の計画温度差からの上昇が現在管内汚れによる温度差上昇よりも所定値以上大きくなった場合に、抽気装置40を動作させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を圧縮する圧縮機と、
該圧縮機によって圧縮された冷媒を凝縮させる凝縮器と、
該凝縮器内で冷媒と熱交換する冷却水を流通させる冷却水用伝熱管と、
前記凝縮器から導かれた液冷媒を膨張させる膨張弁と、
該膨張弁によって膨張された冷媒を蒸発させる蒸発器と、
前記凝縮器からガスを抽気し、該ガスを冷却して凝縮ガスを凝縮させる冷却部および該冷却部によって凝縮されずに分離された不凝縮ガスを外部に排出する排出部を有する抽気装置と、
該抽気装置を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記凝縮器における現在の飽和温度と前記冷却水用伝熱管の現在の出口温度との差分である現在温度差と計画値である計画温度差とを演算し、
前記冷却水用伝熱管の管内汚れを想定して予め決定された前記凝縮器における飽和温度と前記冷却水用伝熱管の出口温度との差分である管内汚れによる温度差上昇の情報を用いて現在管内汚れによる温度差上昇を演算し、
前記現在温度差の前記計画温度差からの上昇が前記現在管内汚れによる温度差上昇よりも所定値以上大きくなった場合に、前記抽気装置を動作させることを特徴とする蒸気圧縮式冷凍機。
【請求項2】
前記冷却水用伝熱管の前記凝縮器における出入口間の差圧を検出する差圧センサを備え、
前記管内汚れによる温度差上昇は、前記差圧センサにて得られた現在の差圧の計画値からの上昇分に基づいて決定されていることを特徴とする請求項1に記載の蒸気圧縮式冷凍機。
【請求項3】
前記冷却水用伝熱管内を流れる冷却水の流量を計測する冷却水流量センサを備え、
前記管内汚れの温度差上昇は、前記冷却水流量センサにて得られた流量に基づいて決定されることを特徴とする請求項2に記載の蒸気圧縮式冷凍機。
【請求項4】
前記蒸発器内で冷媒と熱交換する冷水を流通させる冷水用伝熱管と、
該冷水用伝熱管内を流れる冷水の流量を計測する冷水流量センサを備え、
前記制御部は、前記冷水流量センサから得られた冷水流量と、前記蒸発器における前記冷水用伝熱管の冷水出入口温度差と、前記圧縮機に入力される動力と、前記凝縮器における前記冷却水用伝熱管の冷却水出入口温度差とに基づいて、熱バランスから前記冷却水用伝熱管内を流れる冷却水流量を演算し、
前記管内汚れによる温度差上昇は、前記冷却水流量に基づいて決定されることを特徴とする請求項2に記載の蒸気圧縮式冷凍機。
【請求項5】
冷媒を圧縮する圧縮機と、
該圧縮機によって圧縮された冷媒を凝縮させる凝縮器と、
該凝縮器内で冷媒と熱交換する冷却水を流通させる冷却水用伝熱管と、
前記凝縮器から導かれた液冷媒を膨張させる膨張弁と、
該膨張弁によって膨張された冷媒を蒸発させる蒸発器と、
前記凝縮器からガスを抽気し、該ガスを冷却して凝縮ガスを凝縮させる冷却部および該冷却部によって凝縮されずに分離された不凝縮ガスを外部に排出する排出部を有する抽気装置と、
を備えた蒸気圧縮式冷凍機の制御方法であって、
前記凝縮器における現在の飽和温度と前記冷却水用伝熱管の現在の出口温度との差分である現在温度差と計画値である計画温度差とを演算し、
前記冷却水用伝熱管の管内汚れを想定して予め決定された前記凝縮器における飽和温度と前記冷却水用伝熱管の出口温度との差分である管内汚れ温度差上昇の情報を用いて現在管内汚れによる温度差上昇を演算し、
前記現在温度差の前記計画温度差からの上昇が前記現在管内汚れによる温度差上昇よりも所定値以上大きくなった場合に、前記抽気装置を動作させることを特徴とする蒸気圧縮式冷凍機の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不凝縮ガスを凝縮器から抽気する抽気装置を備えた蒸気圧縮式冷凍機及びその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
運転中の作動圧力が機内で一部が大気圧以下となる冷媒を用いる冷熱機器においては、大気圧以下となる部位より空気等の不凝縮ガスが機内に侵入し、圧縮機等を通ったあと凝縮器に滞留する。凝縮器に不凝縮ガスが滞留すると、この不凝縮ガスが伝熱抵抗となり凝縮器における冷媒の凝縮性能が阻害され、冷熱機器としての性能が低下する。このため、抽気装置を用いて凝縮器から不凝縮ガスを機外へ排出することにより、正常な性能が確保される。抽気装置は、冷媒ガスとの混合ガスとして不凝縮ガスを抽気装置内に引き込み、混合ガスが冷却されて冷媒のみが凝縮して冷凍機内に戻されることにより、不凝縮ガスは分離・蓄積され、排気ポンプ等で機外へ排出される(下記特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−50618号公報
【特許文献2】特開2006−38346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、不凝縮ガスとともに抽気装置へ吸引される冷媒を凝縮・分離するためには一定の冷却熱量が必要となる。冷却を行う手段として、冷水や機内冷媒等の低温媒体を用いて冷却する方法や電気式の冷却装置を用いて冷却する方法がある。低温媒体を用いる場合は、冷凍機で冷却した媒体を加熱することとなり機器としての効率の損失となる。電気式の冷却を行う場合には一定の動力が消費される。ゆえに、抽気装置は、不要な動力の消費を避けるために、必要な場合のみに自動で運転されることが望ましい。
【0005】
水冷却式の凝縮器において、凝縮性能の低下を検知するために、凝縮器の飽和温度と冷却水温度の差異を検出し、その温度差が計画の温度差から上昇しているかを監視することが可能であるが、凝縮器は伝熱面(冷却水側)の汚れによっても凝縮性能が低下するため、不凝縮ガスによる性能低下との分離が困難である。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、不凝縮ガスを冷媒から分離して排出する際の消費エネルギーを可及的に抑えることができる蒸気圧縮式冷凍機及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の蒸気圧縮式冷凍機及びその制御方法は以下の手段を採用する。
すなわち、本発明にかかる蒸気圧縮式冷凍機は、冷媒を圧縮する圧縮機と、該圧縮機によって圧縮された冷媒を凝縮させる凝縮器と、該凝縮器内で冷媒と熱交換する冷却水を流通させる冷却水用伝熱管と、前記凝縮器から導かれた液冷媒を膨張させる膨張弁と、該膨張弁によって膨張された冷媒を蒸発させる蒸発器と、前記凝縮器からガスを抽気し、該ガスを冷却して凝縮ガスを凝縮させる冷却部および該冷却部によって凝縮されずに分離された不凝縮ガスを外部に排出する排出部を有する抽気装置と、該抽気装置を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記凝縮器における現在の飽和温度と前記冷却水用伝熱管の現在の出口温度との差分である現在温度差と計画値である計画温度差とを演算し、前記冷却水用伝熱管の管内汚れを想定して予め決定された前記凝縮器における飽和温度と前記冷却水用伝熱管の出口温度との差分である管内汚れによる温度差上昇の情報を用いて現在管内汚れによる温度差上昇を演算し、前記現在温度差の前記計画温度差からの上昇が前記現在管内汚れによる温度差上昇よりも所定値以上大きくなった場合に、前記抽気装置を動作させることを特徴とする。
【0008】
凝縮器の凝縮性能の低下は、冷却水用伝熱管内の管内汚れによる伝熱阻害と、不凝縮ガスの凝縮器内での滞留による伝熱阻害とが考えられる。
凝縮器における現在の飽和温度と冷却水用伝熱管の現在の出口温度との差分である現在温度差が計画値である計画温度差よりも上昇する場合には、管内汚れと不凝縮ガス滞留との両方の影響が反映されている。一方、管内汚れによる温度差上昇は、伝熱管内に冷却水を流通させる予備試験等によって把握しておくことが可能である。したがって、現在温度差から現在管内汚れによる温度差上昇を引いた値が不凝縮ガス滞留による凝縮性能の低下と評価できる。そこで、現在温度差が計画温度差と現在管内汚れ温度差上昇分の合算値よりも大きくなった場合に、不凝縮ガス滞留による凝縮性能低下と判断して、抽気装置を動作させることとした。これにより、不凝縮ガスが凝縮器内に所定量以上滞留した場合に限って抽気装置を動作させることができるので、無駄なエネルギー消費を抑制し、全体効率の良い蒸気圧縮式冷凍機を実現できる。
なお、凝縮器の飽和温度は、凝縮器に設けた圧力センサから得られる圧力値から得ることができる。
【0009】
さらに、本発明の蒸気圧縮式冷凍機では、前記冷却水用伝熱管の前記凝縮器における出入口間の差圧を検出する差圧センサを備え、前記管内汚れによる温度差上昇は、前記差圧センサにて得られた現在の差圧の計画値からの上昇分に基づいて決定されていることを特徴とする。
【0010】
冷却水用伝熱管内の管内汚れは、伝熱管内への付着物によるものであり、付着物が伝熱管内の流路を狭めることにより、凝縮器における冷却水用伝熱管の出入口間の差圧は計画値よりも上昇する。そこで、計画値からの差圧上昇値に基づいて管内汚れ温度差を決定することで、管内汚れを精度良く見積もることができる。
【0011】
さらに、本発明の蒸気圧縮式冷凍機では、前記冷却水用伝熱管内を流れる冷却水の流量を計測する冷却水流量センサを備え、前記管内汚れの温度差上昇は、前記冷却水流量センサにて得られた流量に基づいて決定されることを特徴とする。
【0012】
管内汚れ温度差上昇は差圧上昇に依存し、差圧は流量に依存するので、冷却水流量センサで得られた流量と差圧に基づいて管内汚れ温度差上昇を決定することとした。これにより、管内汚れを精度良く見積もることができる。
【0013】
さらに、本発明の蒸気圧縮式冷凍機では、前記蒸発器内で冷媒と熱交換する冷水を流通させる冷水用伝熱管と、該冷水用伝熱管内を流れる冷水の流量を計測する冷水流量センサと、前記冷水用伝熱管の冷水の出入口温度を計測する温度センサと、前記冷却水伝熱管の冷却水の出入口温度を計測する温度センサを備え、前記制御部は、前記冷水流量センサから得られた冷水流量と、前記蒸発器における前記冷水用伝熱管の冷水出入口温度差から演算される冷凍能力と、前記圧縮機に入力される動力と、前記凝縮器における前記冷却水用伝熱管の冷却水出入口温度差とに基づいて、熱バランスから前記冷却水用伝熱管内を流れる冷却水流量を演算し、前記管内汚れによる温度差上昇は、前記冷却水流量に基づいて決定されることを特徴とする。
【0014】
冷却水の流量を計測する冷却水流量センサがない場合、冷水流量センサから得られた冷水流量と、冷水出入口温度差と、圧縮機に入力される動力と、冷却水出入口温度差とに基づいて、熱バランスから冷却水流量を演算することができる。これにより、冷却水流量センサを省略してコストを下げることができる。
なお、冷水流量センサもない場合には、冷水の差圧と、冷水用伝熱管の損失係数を用いることによって冷水流量を演算することができる。
【0015】
また、本発明の蒸気圧縮式冷凍機の制御方法は、冷媒を圧縮する圧縮機と、該圧縮機によって圧縮された冷媒を凝縮させる凝縮器と、該凝縮器内で冷媒と熱交換する冷却水を流通させる冷却水用伝熱管と、前記凝縮器から導かれた液冷媒を膨張させる膨張弁と、該膨張弁によって膨張された冷媒を蒸発させる蒸発器と、前記凝縮器からガスを抽気し、該ガスを冷却して凝縮ガスを凝縮させる冷却部および該冷却部によって凝縮されずに分離された不凝縮ガスを外部に排出する排出部を有する抽気装置と、を備えた蒸気圧縮式冷凍機の制御方法であって、前記凝縮器における現在の飽和温度と前記冷却水用伝熱管の現在の出口温度との差分である現在温度差と計画値である計画温度差とを演算し、前記冷却水用伝熱管の管内汚れを想定して予め決定された前記凝縮器における飽和温度と前記冷却水用伝熱管の出口温度との差分である管内汚れ温度差上昇の情報を用いて現在管内汚れによる温度差上昇を演算し、前記現在温度差の前記計画温度差からの上昇が前記現在管内汚れによる温度差上昇よりも所定値以上大きくなった場合に、前記抽気装置を動作させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
不凝縮ガスが凝縮器内に所定量以上滞留した場合に限って抽気装置及び冷却装置を動作させることとしたので、不凝縮ガスを冷媒から分離して排出する際の消費エネルギーを可及的に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係るターボ冷凍機を示した概略構成図である。
図2】制御部の制御ブロック図である。
図3】冷却水出口における温度差に対して冷却水圧力損失を示したグラフである。
図4】本発明の一実施形態に係る抽気装置の起動及び停止制御を示したフローチャートである。
図5】抽気装置の起動及び停止のタイミングを示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明にかかる実施形態について、図面を参照して説明する。
【0019】
図1に示されているように、ターボ冷凍機1は、冷媒を圧縮するターボ圧縮機3と、ターボ圧縮機3によって圧縮された高温高圧のガス冷媒を凝縮する凝縮器5と、凝縮器5から導かれた液冷媒を膨張させる膨張弁7と、膨張弁7によって膨張された液冷媒を蒸発させる蒸発器9とを備えている。
冷媒としては、例えばHFO−1233zd(E)といった低圧冷媒が用いられており、運転中には蒸発器等の低圧部が大気圧以下となる。
【0020】
ターボ圧縮機3は、遠心式圧縮機であり、インバータによって回転数制御された電動機11によって駆動されている。インバータは、制御部(図示せず)によってその出力が制御されている。電動機11の入力電力Wは電力計13によって計測され、計測結果は図示しない制御部へと送られるようになっている。
【0021】
ターボ圧縮機3は、回転軸3b周りに回転する羽根車3aを備えている。回転軸3bには、増速歯車15を介して電動機11から回転動力が伝達される。
【0022】
凝縮器5は、例えばシェルアンドチューブ型とされた熱交換器とされている。
凝縮器5には、冷媒を冷却するための冷却水が内部を流通する冷却水用伝熱管5aが挿通されている。冷却水用伝熱管5aには、冷却水往き配管6aと冷却水戻り配管6bとが接続されている。冷却水往き配管6aを介して凝縮器5に導かれた冷却水は、冷却水戻り配管6bを介して図示しない冷却塔に導かれ外部へと排熱した後に、冷却水往き配管6aを介して再び凝縮器5へと導かれるようになっている。
冷却水往き配管6aには、冷却水を送水する冷却水ポンプ20と、冷却水流量GWCを計測する冷却水流量センサ22と、冷却水入口温度TWCIを計測する冷却水入口温度センサ24とが設けられている。冷却水戻り配管6bには、冷却水出口温度TWCOを計測する冷却水出口温度センサ26が設けられている。また、冷却水往き配管6aと冷却水戻り配管6bとの間には、冷却水の出入口の差圧PDcを計測する冷却水差圧センサ28が設けられている。
凝縮器5には、凝縮器5内の冷媒の凝縮器圧力Pcを計測する凝縮器圧力センサ29が設けられている。
これらセンサ22,24,26,28,29の計測値は、制御部へと送信されるようになっている。
【0023】
膨張弁7は、電動式とされており、制御部によって開度が任意に設定されるようになっている。
【0024】
蒸発器9は、例えばシェルアンドチューブ型とされた熱交換器とされている。
蒸発器9には、冷媒と熱交換する冷水が内部を流通する冷水用伝熱管9aが挿通されている。冷水用伝熱管9aには、冷水往き配管10aと冷水戻り配管10bとが接続されている。冷水往き配管10aを介して蒸発器9に導かれた冷水は、定格温度(例えば7℃)まで冷却され、冷水戻り配管10bを介して図示しない外部負荷に導かれて冷熱を供給した後に、冷水往き配管10aを介して再び蒸発器9へと導かれるようになっている。
冷水往き配管10aには、冷水を送水する冷水ポンプ30と、冷水流量GWEを計測する冷水流量センサ32と、冷水入口温度TWEIを計測する冷水入口温度センサ34とが設けられている。冷水戻り配管10bには、冷水出口温度TWEOを計測する冷水出口温度センサ36が設けられている。また、冷水往き配管10aと冷水戻り配管10bとの間には、冷水の出入口の差圧PDeを計測する冷水差圧センサ38が設けられている。
これらセンサ32,34,36,38の計測値は、制御部へと送信されるようになっている。
【0025】
凝縮器5と蒸発器9との間には、抽気装置40が設けられている。抽気装置40には、凝縮器5から不凝縮ガスを含む冷媒(凝縮ガス)を導く抽気配管42が接続されている。また、抽気装置40には、凝縮させた液冷媒を蒸発器9へ導く液冷媒配管44が接続されている。また、抽気装置40には、不凝縮ガスを外部へ排出する排出配管46が接続されており、この排出配管46には排気ポンプ(排出部)48が設けられている。排気ポンプ48の動作は、制御部によって制御される。
また、抽気装置40は、矢印49で示すように、抽気装置40内に導かれた不凝縮ガスを含む冷媒を冷却するための冷熱が供給されるようになっている。冷熱を供給するための冷却部としては、ターボ冷凍機1とは別の冷凍サイクルを有する冷凍機、冷水を供給する手段、ターボ冷凍機1内の冷媒を供給する手段、ペルチェ素子による冷却手段等が挙げられる。これらの冷却部の動作は、図示しない制御部によって行われる。
【0026】
制御部は、ターボ冷凍機1の運転に関する制御を行い、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体等から構成されている。そして、各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で記憶媒体等に記憶されており、このプログラムをCPUがRAM等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、ROMやその他の記憶媒体に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等である。
【0027】
図2には、制御部のブロック図が示されている。
記憶部50には、後述するように、抽気装置40の動作を判断するためのデータが格納されている。
運転状態演算部52には、上述した各センサからの計測値と、記憶部50からのデータとが入力され、抽気装置40の動作を判断するための各種演算が行われる。
運転状態判断部54では、運転状態演算部52から得られた情報から、抽気装置40の動作の判断を行う。
制御指令部56では、運転状態判断部54からの出力に基づいて、抽気装置40の起動や停止の指令を行う。
【0028】
次に、図3を用いて、抽気装置40の起動や停止の判断を行う考え方を説明する。
図3において、横軸は冷却水出口温度TWCOと凝縮器圧力Pcから算出される凝縮器飽和温度TCsとの温度差の計画からの上昇値を示す。縦軸は、冷却水圧力損失の計画値からの上昇であり、冷却水用伝熱管5aの冷却水の汚れによる出入口間の圧力差上昇を示す。このように、図3は、管内汚れによって熱抵抗が増加することを示した管内汚れ温度差情報を表す。この汚れを加味した圧力差上昇は、予備試験等によって取得しておくことができる。
【0029】
そして、例えば冷却水差圧センサ28で計測した差圧PDcの計画値からの上昇が4kPaであった場合、図3によると、汚れによる圧力損失による温度差上昇は約1℃となる。しかし、実際に温度センサ24,26で計測した冷却水の出入口温度差(TWCO−TWCI)の計画値からの上昇が2℃であった場合、温度上昇の差異分の1℃は、不凝縮ガスによる凝縮性の劣化と考える。この温度上昇が所定値以上となった場合に、抽気装置40を起動するように制御部からの指令が行われる。
【0030】
図4には、抽気装置40の具体的な制御が示されている。
先ず、ステップS1のように、ターボ冷凍機1が通常運転されていることを前提とする。このとき、抽気装置40は停止されている。
そして、制御部は、ステップS2のように、下式を満たすか否かを判断する。
(TDact−TDsp)−ΔTDf>ΔTDset1 ・・・(1)
【0031】
式(1)のTDactは、凝縮器圧力Pcの飽和温度と冷却水出口温度TWCOとの差(計測値)[℃]である。ここで、TDact=TCs−TWCOである。
TCsは、凝縮器圧力飽和温度[℃]であり、凝縮器圧力Pcの関数で与えられる。
冷却水出口温度TWCOは、冷却水出口温度センサ26で計測された計測値である。
【0032】
式(1)のTDspは、正常時の凝縮器飽和温度と冷却水出口温度との差(設定値)[℃]である。ここで、正常時とは、凝縮器5内に不凝縮ガスが存在せず、かつ冷却水用伝熱管5aに汚れがないときを意味する。
TDspは、TDsp=f(Qr)という式で表され、冷凍機負荷率Qr(=Qact/Qsp)の関数とされる。ここで、Qactは冷凍能力の実測値[kW]であり、Qspは定格の冷凍能力[kW]である。
【0033】
式(1)のΔTDfは、冷却水用伝熱管5aの管内汚れによる温度差の上昇(設定値)[℃]である。ここで、ΔTDfは、ΔTDf=f(ΔPDc)という式で表される。
ΔPDcは、冷却水圧力の計画値からの上昇分を意味し、冷却水用伝熱管5aの出入口間の差圧上昇[kPa]である。ΔPDcは、ΔPDc=PDcact−PDcspという式で表される。
PDcactは、冷却水差圧センサ28によって計測された冷却水用伝熱管5aの出入口間の差圧[kPa]である。
PDcspは、流量に対する冷却水用伝熱管5aの庄力損失の仕様値[kPa]であり、冷却水用伝熱管5aに汚れがない状態の圧力損失を意味する。したがって、PDcspは、冷却水流量GWC[m/h]の関数となる。
【0034】
式(1)のΔTDset1は、抽気装置40の運転が必要と判断する設定値であり、予備試験等によって予め決定される。
【0035】
式(1)から分かるように、凝縮器飽和温度と冷却水出口温度TWCOの温度差の計画値からの上昇分(TDact−TDsp)から、冷却水用伝熱管5aの管内汚れの影響(ΔTDf)を差し引いた温度差上昇が、設定値であるΔTDset1以上となった場合に、凝縮器5内の不凝縮ガスによる性能低下が大きいと判断して抽気装置40を運転する。
したがって、式(1)を満たした場合に、ステップS3へと進み、制御部は、抽気装置40を起動する。このときに初めて抽気装置40に電力が投入されることになる。
【0036】
そして、制御部は、ステップS4のように、下式を満たすか否かを判断する。
(TDact−TDsp)−ΔTDf<ΔTDset2 ・・・(2)
式(2)の左辺は、式(1)と同様である。
式(2)を満たせば、制御部は、抽気装置40を停止させる(ステップS5)。
なお、ΔTDset2は、ΔTDset1よりも所定温度だけ小さい値とされる。これにより、図5に示したように、抽気運転開始および抽気運転停止の条件に温度差を与えて、起動及び停止が頻繁に生じないようにしている。
【0037】
本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
凝縮器5における現在の飽和温度と冷却水用伝熱管5aの現在の出口温度TWCOとの差分である現在温度差TDactの計画からの上昇分には、管内汚れと不凝縮ガス滞留との両方の影響が反映されていることに着目した。
一方、管内汚れによる温度差の上昇ΔTDfは、冷却水用伝熱管5a内に冷却水を流通させる予備試験等によって把握しておくことが可能である。
したがって、現在温度差TDactと計画の温度差TDspとの差分から、現在管内汚れによる温度差上昇ΔTDfを引いた値が不凝縮ガス滞留による凝縮性能の低下と評価できる。
そこで、現在温度差TDactと計画の温度差TDspとの差分が現在管内汚れによる温度差上昇ΔTDfよりも所定値以上大きくなった場合に、不凝縮ガス滞留による凝縮性能低下と判断して、抽気装置40を動作させることとした。これにより、不凝縮ガスが凝縮器5内に所定量以上滞留した場合に限って抽気装置40を動作させることができるので、無駄なエネルギー消費を抑制できる、全体効率の良いターボ冷凍機1を実現できる。
【0038】
冷却水用伝熱管5a内の管内汚れは、伝熱管内への付着物によるものであり、付着物が伝熱管内の流路を狭めることにより、冷却水用伝熱管5aの出入口間の差圧PDcは計画値よりも上昇する。そこで、差圧上昇ΔPDcに基づいて管内汚れ温度差ΔTDfを決定することとしたので、管内汚れを精度良く見積もることができる。
【0039】
管内汚れによる温度差の上昇ΔTDfは計画の差圧から上昇ΔPDcに依存し、差圧PDcは冷却水流量GWCに依存するので、冷却水流量センサ22で得られた冷却水流量GWCに基づいて管内汚れによる温度差の上昇ΔTDfを決定することとした。これにより、管内汚れを精度良く見積もることができる。
【0040】
なお、本実施形態は、以下のように変形することができる。
[変形例1]
本実施形態では、冷却水流量センサ22によって冷却水流量GWCを計測することとしたが、冷却水流量センサ22がない場合でも、以下のように冷却水流量GWCを見積もることができる。
【0041】
冷水流量センサ32を用いて、ターボ冷凍機1全体の熱バランスから冷却水流量GWCを下式から求める。
GWC=(W+Qact)/((TWCO−TWCI)×Cpcw×ρcw)・・・(3)
ここで、Wは、電力計13によって計測された電動機11の入力電力[kW]である。TWCOは冷却水出口温度センサ26で計測した冷却水出口温度、TWCIは冷却水入口温度センサ24で計測した冷却水入口温度である。Cpcwは冷却水の比熱[kWh/kg℃]であり、ρcwは冷却水の比重[kg/m]である。
式(3)のQactは、冷凍能力の実測値[kW]であり、下式で表される。
Qact=(TWEI−TWEO)×GWE×cpew×ρew ・・・(4)
ここで、TWEIは冷水入口温度センサ34で計測した冷水入口温度であり、TWEOは冷水出口温度センサ36で計測した冷水出口温度である。GWEは冷水流量センサ32で計測した冷水流量であり、Cpewは冷水の比熱[kWh/kg℃]であり、ρewは冷水の比重[kg/m]である。
【0042】
冷却水流量GWCを計測する冷却水流量センサ22がない場合、冷水流量センサ32から得られた冷水流量GWEと、冷水出入口温度差(TWEI−TWEO)と、ターボ圧縮機3に入力される電力Wと、冷却水出入口温度差(TWCI−TWCO)とに基づいて、上式(3)によって熱バランスから冷却水流量GWCを演算することができる。これにより、冷却水流量センサ22を省略してコストを下げることができる。
なお、冷水流量センサ32もない場合には、冷水差圧センサ38によって計測した冷水の差圧ΔPDeと、冷水用伝熱管9aの損失係数ξeを用いることによって、下式(5)のように冷水流量GWEを演算することができる。
GWE=ξe×ΔPDe1/2 ・・・(5)
【0043】
なお、上述した実施形態では、ターボ冷凍機1を例に挙げて説明したが、本発明は蒸気圧縮式冷凍機であれば適用可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 ターボ冷凍機(蒸気圧縮式冷凍機)
3 ターボ圧縮機
3a 羽根車
3b 回転軸
5 凝縮器
7 膨張弁
9 蒸発器
11 電動機
13 電力計
20 冷却水ポンプ
22 冷却水流量センサ
24 冷却水入口温度センサ
26 冷却水出口温度センサ
28 冷却水差圧センサ
30 冷水ポンプ
32 冷水流量センサ
34 冷水入口温度センサ
36 冷水出口温度センサ
38 冷水差圧センサ
40 抽気装置
48 排気ポンプ(排出部)
図1
図2
図3
図4
図5