特開2017-180029(P2017-180029A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特開2017-180029貫通孔形成用型枠及び貫通孔形成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-180029(P2017-180029A)
(43)【公開日】2017年10月5日
(54)【発明の名称】貫通孔形成用型枠及び貫通孔形成方法
(51)【国際特許分類】
   E04G 15/06 20060101AFI20170908BHJP
【FI】
   E04G15/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-72813(P2016-72813)
(22)【出願日】2016年3月31日
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100111109
【弁理士】
【氏名又は名称】城田 百合子
(72)【発明者】
【氏名】星野 雅一
(72)【発明者】
【氏名】馬場 峰雄
【テーマコード(参考)】
2E150
【Fターム(参考)】
2E150AA12
2E150AA36
2E150HF09
2E150MA15Z
2E150MA51Z
(57)【要約】
【課題】硬化材を用いて成型される被施工体に貫通孔を形成する作業と後処理の作業負担を軽減する。
【解決手段】貫通孔形成用型枠1は、コンクリート3を用いて成型される被施工体に形成される貫通孔の型枠である。貫通孔形成用型枠1は、ボイド管20と、ボイド管20を被覆する被覆部材10と、を備える。被覆部材10は、ボイド管20に当接し、緩衝構造を有する内周部11と、コンクリート3からの剥離防止構造を有する外周部12と、を備える。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化材を用いて成型される被施工体に形成される貫通孔の型枠となる貫通孔形成用型枠であって、
枠基材と、
前記枠基材を被覆する被覆部材と、を備え、
前記被覆部材は、
前記枠基材に当接し、緩衝構造を有する内周部と、
前記硬化材からの剥離防止構造を有する外周部と、を備える
ことを特徴とする貫通孔形成用型枠。
【請求項2】
前記内周部は、空気が封入された複数のセルを有し、
前記セルが、前記緩衝構造として機能する
ことを特徴とする請求項1に記載の貫通孔形成用型枠。
【請求項3】
前記外周部は、前記被施工体に対し楔となる突起部を有し、
前記突起部が、前記剥離防止構造として機能する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の貫通孔形成用型枠。
【請求項4】
前記外周部は、空気が封入された複数のセルを有し、
前記セルが、前記突起部となる
ことを特徴とする請求項3に記載の貫通孔形成用型枠。
【請求項5】
前記枠基材は、筒状体であり、
前記筒状体の一方の開口部と係合する蓋部を備え、
前記蓋部は、前記蓋部の操作に応じて前記筒状体の内周面を外側に向けて押圧する押圧部を有する
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の貫通孔形成用型枠。
【請求項6】
前記蓋部は、
前記筒状体と係合する環状部と、
前記環状部の内部に配置され、前記環状部に対して移動可能な芯部と、を有し、
前記芯部は、第1領域と、前記第1領域よりも径が大きい第2領域とを有し、
前記環状部は、前記第1領域と係合する第1係合領域を有し、
前記第1領域が前記第1係合領域に係合した状態から前記芯部の位置を移動させることにより、前記第2領域が前記第1係合領域を押圧する前記押圧部となる
ことを特徴とする請求項5に記載の貫通孔形成用型枠。
【請求項7】
前記蓋部と前記筒状体との間に配置される、前記筒状体と同径の延長部材を備える
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の貫通孔形成用型枠。
【請求項8】
前記蓋部に係合するクッション部材を備える
ことを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載の貫通孔形成用型枠。
【請求項9】
硬化材を用いて成型される被施工体に貫通孔を形成する貫通孔形成方法であって、
前記貫通孔を形成する領域に、枠基材と、前記枠基材を被覆する被覆部材と、を備える貫通孔形成用型枠を配置する工程と、
前記配置された前記貫通孔形成用型枠の周囲にコンクリートを打設する工程と、
前記打設したコンクリートの硬化後に、前記枠基材を抜き取る工程と、を含み、
前記被覆部材は、
前記枠基材に当接し、緩衝構造を有する内周部と、
前記硬化材からの剥離防止構造を有する外周部と、を備え、
前記被覆部材を前記被施工体に残留させることを特徴とする貫通孔形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化材を用いて成型される被施工体に貫通孔を形成するための貫通孔形成用型枠、及び貫通孔形成用型枠を用いた貫通孔形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリートを打設して成型される壁体に配管用の貫通孔(スリーブ孔)を形成するには、例えば円筒状のボイド管を貫通孔の形成箇所に配置してからコンクリートを打設し、打設したコンクリートの硬化後にボイド管を撤去することが行われている。
【0003】
また、ボイド管が硬化したコンクリートに固着すると、コンクリートからボイド管を撤去する作業の負荷が高かった。そこで、例えば下記の特許文献1には、ボイド管の周囲にシートを巻くことにより、ボイド管を引き抜き易くする発明について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−36635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、貫通孔に配管を通しやすくするために、貫通孔の形成に用いるボイド管には貫通孔に配設される配管よりも径の大きいものが使用される。そのため、貫通孔と配管と隙間にモルタル等を埋める作業が必要となっている。これは上記の特許文献1に記載の従来技術においても、シートをポリエチレン製としコンクリートから剥離するようにしており、同様の後処理が必要となる点には変わりが無い。
【0006】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、被施工体に貫通孔を形成する作業と後処理の作業負担を軽減可能な貫通孔形成用型枠及び貫通孔形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題は、硬化材を用いて成型される被施工体に形成される貫通孔の型枠となる貫通孔形成用型枠であって、枠基材と、前記枠基材を被覆する被覆部材と、を備え、前記被覆部材は、前記枠基材に当接し、緩衝構造を有する内周部と、前記硬化材の剥離防止構造を有する外周部と、を備えることを特徴とする貫通孔形成用型枠により解決される。
【0008】
また、前記課題は、硬化材を用いて成型される被施工体に貫通孔を形成する貫通孔形成方法であって、前記貫通孔を形成する領域に、枠基材と、前記枠基材を被覆する被覆部材と、を備える貫通孔形成用型枠を配置する工程と、前記配置された前記貫通孔形成用型枠の周囲にコンクリートを打設する工程と、前記打設したコンクリートの硬化後に、前記枠基材を抜き取る工程と、を含み、前記被覆部材は、前記枠基材に当接し、緩衝構造を有する内周部と、前記硬化材の剥離防止構造を有する外周部と、を備え、前記被覆部材を前記被施工体から除去しないことを特徴とする貫通孔形成方法により解決される。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る貫通孔形成用型枠及び貫通孔形成方法によれば、被施工体に貫通孔を形成する作業と後処理の作業負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】貫通孔形成用型枠の斜視図である。
図2】被覆部材とボイド管の斜視図である。
図3図1に示す貫通孔形成用型枠のIII-III断面図である。
図4】ボイド管の分解斜視図である。
図5図4に示す外装体のV-V断面図である。
図6】貫通孔形成用型枠を用いた貫通孔形成工程の説明図である。
図7】貫通孔形成用型枠を用いた貫通孔形成工程の説明図である。
図8】貫通孔形成用型枠を用いた貫通孔形成工程の説明図である。
図9】貫通孔形成用型枠を用いた貫通孔形成工程の説明図である。
図10】貫通孔に配管を配設した状態を示す図である。
図11】変形例に係るボイド管の分解斜視図である。
図12】変形例に係る蓋部の斜視図である。
図13】蓋部の押圧機構の説明図である。
図14】蓋部の押圧機構の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図1乃至図14に基づき、本発明の一実施形態(以下、本実施形態)について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。すなわち、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【0012】
本発明に係る貫通孔形成用型枠は、硬化材を用いて成型される被施工体に貫通孔を形成するための型枠として用いられるものである。なお、以下に説明する実施形態においては、上記の被施工体がコンクリート(上記の硬化材の一例)の壁体である場合を例として説明する。詳細については後述するが、コンクリートの壁体に貫通孔を形成する際には、コンクリートの壁体において貫通孔を形成する領域に貫通孔形成用型枠を配置し、貫通孔形成用型枠の周囲にコンクリートを打設して硬化させた後に、貫通孔形成用型枠を壁体から取り外すことでコンクリートの壁体に貫通孔を形成する。
【0013】
[貫通孔形成用型枠1の構成]
図1には、本実施形態に係る貫通孔形成用型枠1の斜視図を示す。図1に示されるように、貫通孔形成用型枠1は、円柱状のボイド管20と、ボイド管20の外周を被覆する被覆部材10を備える。図2には、被覆部材10とボイド管20のそれぞれの斜視図を示す。
【0014】
[被覆部材10の構成]
図2に示されるように、被覆部材10は、被覆部材10の内周面を構成する内周部11と、外周面を構成する外周部12とを有する。
【0015】
内周部11は、空気が封入されたセル11Aが表面に複数設けられた気泡緩衝材により構成される。また、外周部12も、空気が封入されたセル12Aが表面に複数設けられた気泡緩衝材により構成される。
【0016】
図3に示すように、被覆部材10によりボイド管20を被覆した状態において、被覆部材10の内周部11は筒状体21と当接する。このように、内周部11のセル11Aが筒状体21と当接することにより、セル11Aが変形し、クッション材として機能する。
【0017】
また、図3に示すように、被覆部材10によりボイド管20を被覆した状態において、被覆部材10の外周部12のセル12Aは、外側に凸となる突起となる。このように、外周部12は、セル12Aが設けられていることにより、表面形状に凹凸が形成されている。
【0018】
なお、被覆部材10は、空気が封入されたセルを両面に設けた気泡緩衝材として形成してもよいし、空気が封入されたセルを片面に設けた気泡緩衝材を二枚貼り合わせることにより形成してもよい。
【0019】
[ボイド管20の構成]
次に、図2図4及び図5に基づいて、ボイド管20の構成について説明する。本実施形態では、ボイド管20が、貫通孔を形成するための型枠の基材(枠基材)となる。
【0020】
図4には、ボイド管20の分解斜視図を示した。図4に示されるように、ボイド管20は、筒状体21、底部23、蓋部30、クッション材25を備える。
【0021】
筒状体21は、筒状の部材であり、本実施形態では、筒状体21を円筒形状としている。また、筒状体21は、貫通孔形成用型枠1を用いて形成される貫通孔に配設する配管と同じ径の管を用いることとしてよい。また、筒状体21には、紙製の管を用いることとしてもよいが、例えば塩化ビニール樹脂等の合成樹脂製の管を用いることにより、再利用性を高めることができる。
【0022】
底部23は、筒状体21の開口部の一方(以下では、後方開口部とする)と係合し、後方開口部を覆う部材である。図4に示されるように、底部23は、筒状体21の開口部と係合する係合部23Aと、係合部23Aの側面に設けられ、内周部11に係合部23Aを嵌合させるための突起部23Bと、係合部23Aを筒状体21に係合させた際に底面を構成する円形の底面部23Cを備える。
【0023】
蓋部30は、筒状体21の開口部のもう一方(以下では、前方開口部とする)と係合し、前方開口部を覆う部材である。図4に示されるように、蓋部30は、外装体31及び内芯体32を備える。
【0024】
外装体31は、筒状体21の前方開口部の端部と当接する環状部31Aと、環状部31Aから後方(後方開口部に向けて)に延出する側壁部31Bを備える。
【0025】
図4及び図5に示されるように、環状部31Aの中心部には開口部が設けられており、この開口部の内周面にはねじ山31Cが形成されている。
【0026】
また、図4及び図5に示されるように、側壁部31Bは、筒状体21の中に入り込む部位であり、その一部には切欠き部31Dが形成されている。本実施形態では、切欠き部31Dは、側壁部31Bの後端から環状部31Aに向けて形成された切れ込みであり、切欠き部31Dを設けることで、側壁部31Bが外側に向けて変形しやすくなる。
【0027】
図5に示されるように、環状部31Aの内周の径は、側壁部31Bの内周の径よりも小さくなっている。
【0028】
内芯体32は、側壁部31Bの内側に配置される部材であり、後述する機構により外装体31に対して位置が可変となっている。図4に示されるように、内芯体32は、把持部32A、ねじ山形成部32B、テーパー部32Cを備える。
【0029】
把持部32Aは、内芯体32の前方端部をなし、把持部32Aに設けられた2箇所の窪み部の間を把持して回転させることで、内芯体32を回転させることができる。なお、把持部32Aの中央部分には、握りやすいように指を通す貫通孔を設けることとしてよい。
【0030】
ねじ山形成部32Bは、内芯体32の前方端部から中央部にかけて設けられる、側面にねじ山が形成された部位である。ここで、ねじ山形成部32Bは、外装体31のねじ山31Cと噛み合うようになっており、ねじ山形成部32Bとねじ山31Cとを噛み合わせた状態で内芯体32を回転させることで、内芯体32を外装体31に対し、前後に移動させることができる。例えば、内芯体32を前方に対し時計回りに回転させることで、内芯体32を前方側に移動させ、内芯体32を環状部31Aから前方に突出させることができる。
【0031】
テーパー部32Cは、ねじ山形成部32Bとの接続部分から後方に向けて径が広がる形状に形成された部位である。ここで、テーパー部32Cにおいて径が最大の箇所(すなわち後端部)では、その径が側壁部31Bの中央部よりも大きくなっている。また同様に、テーパー部32Cにおいて径が最大の箇所では、その径が環状部31Aの内周、すなわちねじ山31Cが形成された部位の径よりも大きくなっている。
【0032】
そのため、内芯体32を外装体31の環状部31Aから前方側に突出させると、内芯体32のテーパー部32Cの後端部と側壁部31Bの内周とが当接して側壁部31Bが外側に押し広げられることとなる。これにより、側壁部31Bが、内芯体32と筒状体21とにより強く挟み込まれることとなり、蓋部30と筒状体21とが強く固定される。このように、内芯体32を所定の方向に回転させる操作に応じて、内芯体32のテーパー部32Cが筒状体21を押圧する押圧部として機能することとなる。
【0033】
クッション材25は、環状部31Aの外周部と係合し、外装体31を保護するとともに、環状部31Aの寸法を調整する機能を有する。
【0034】
[貫通孔形成方法の説明]
次に、図6乃至図10を参照しながら、上述した貫通孔形成用型枠1を用いてコンクリートの壁体に貫通孔を形成する方法について説明する。図6乃至図10は、コンクリートを流し込んで壁体を成型するための壁体成形枠2に関し、貫通孔形成用型枠1の軸方向に沿った垂直断面図を示している。
【0035】
まず、図6に示されるように、壁体を形成する基礎Gの上に配置された壁体成形枠2に貫通孔形成用型枠1を取り付ける。ここで、壁体成形枠2において貫通孔形成用型枠1を取り付けた箇所が貫通孔の形成領域となる。また、壁体成形枠2への貫通孔形成用型枠1の取り付けは、例えば壁体成形枠2に取り付けられた支持具(図示なし)により被覆部材10の外周を支持するようにすることで行うこととしてよい。図6に示されるように、貫通孔形成用型枠1のクッション材25及び底部23は、それぞれ対向する壁体成形枠2と当接している。
【0036】
次に、図7に示されるように、壁体成形枠2にコンクリート3を打設する。貫通孔形成用型枠1には打設されたコンクリート3の圧力が掛かるが、貫通孔形成用型枠1のボイド管20がコンクリート3の圧力に対抗することによりボイド管20の形状が維持される。
【0037】
次に、被覆部材10の外周部12に設けられる複数のセル12Aが、コンクリート3の間に入り込むことにより、セル12Aが楔として機能することとなる。そのため、コンクリート3が硬化した後には、外周部12側はコンクリート3に強く接着するようになるため、被覆部材10が容易には剥離されなくなる。
【0038】
次に、コンクリート3が硬化後に、図8に示されるように、壁体成形枠2を取り外した後に、把持部32Aを把持して内芯体32を回転させることにより、内芯体32を外装体31から突出させる。これにより、内芯体32のテーパー部32Cの後端部と側壁部31Bの内周とが当接して側壁部31Bが外側に押し広げられることとなる。これにより、側壁部31Bが、内芯体32と筒状体21とにより強く挟み込まれることとなり、蓋部30と筒状体21とが強く固定される。
【0039】
次に、図9に示されるように、内芯体32の把持部32Aを把持して、前方に引き出すことにより、ボイド管20を硬化したコンクリート3の壁体から剥離して取り外す。これにより、コンクリート3の壁体において貫通孔形成用型枠1の配置された領域に貫通孔4が形成される。
【0040】
一方、被覆部材10は、外周部12がコンクリート3に接着しているため貫通孔4の箇所に取り付けられた状態となる。
【0041】
ここで、図10に示すように、被覆部材10を貫通孔4に残留させたまま(すなわち被覆部材10を貫通孔4から除去せずに)、貫通孔4に配管5を通す。ここで、配管5に、ボイド管20を構成する筒状体21の径と略等しい管を用いることで、配管5は、被覆部材10の内周部11により支持されるようになる。これにより、貫通孔4と、配管5との隙間は被覆部材10により埋められているため、モルタル等を用いて貫通孔4と配管5との隙間を埋める作業は不要となる。
【0042】
以上説明した貫通孔形成用型枠1及び貫通孔形成用型枠1を用いた貫通孔の形成方法によれば、ボイド管20とコンクリートを用いて成型される壁体との間には緩衝性を有する被覆部材10が設けられるため、硬化した壁体からボイド管20を取り外すことが容易となる。
また、被覆部材10の外周部12は硬化した壁体に接着後、剥離しにくくなるため、壁体に形成された貫通孔にボイド管20の筒状体21と同径の配管5を配設することで、配管5と壁体との隙間を被覆部材10により埋めることができる。これにより、壁体に形成された貫通孔4と配管5との隙間を埋める後処理作業が不要になる。
すなわち、貫通孔形成用型枠1によれば、壁体に貫通孔を形成する作業と、貫通孔4と配管5との隙間を埋める後処理の作業負担を軽減することができる。
【0043】
また、貫通孔形成用型枠1では、被覆部材10の内周部11に空気が封入されたセルを有する気泡緩衝材を用いることで、硬化した壁体からボイド管20を取り外す際にセルが変形することで、ボイド管20の取外しが容易となる。
【0044】
また、貫通孔形成用型枠1では、被覆部材10の外周部12に空気が封入されたセルを有する気泡緩衝材を用いることで、セルが壁体に入り込む楔として機能し、外周部12を壁体に強固に固定することができる。これにより、被覆部材10が壁体から剥離しにくくなる。
【0045】
また、貫通孔形成用型枠1では、蓋部30の内芯体32を外装体31から突出する方向に回転させることで、内芯体32のテーパー部32Cが外装体31を筒状体21に向けて押圧するようになる。これにより、蓋部30と筒状体21とを強固に係合させることができる。この状態で、蓋部30を取り出すようにすれば、ボイド管20の全体を壁体から容易に取り出すことができる。
上記の構成により、壁体からボイド管20を取り外す際の作業性を向上させることができる。
また、筒状体21のそれぞれの開口部を覆う蓋部30、底部23を設けたことで、筒状体21の中に硬化材が入り込むことを防止できる。
【0046】
また、貫通孔形成用型枠1では、蓋部30と係合するクッション材25を設けたことで、蓋部30を保護することができる。また、クッション材25により蓋部30のサイズを調整できる。
【0047】
また、貫通孔形成用型枠1のボイド管20は再利用することができる。
【0048】
[その他の実施形態]
本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、以下、本発明に係る実施形態の変形例について説明する。
【0049】
図11には、変形例に係るボイド管20の分解斜視図を示した。図11に示されるように、変形例に係るボイド管20では、筒状体21と蓋部30との間に1以上の延長部材21Aを設けることで、ボイド管20の長さを延長することができる。
【0050】
なお、延長部材21Aは、筒状体21と同径、同材料の部材としてよい。そして、延長部材21Aを延長の必要数だけ側壁部31Bに通すことで、蓋部30の側壁部31Bの長さを上限としてボイド管20の長さを延長することができる。
【0051】
次に、図12乃至図14に基づいて、筒状体21と係合する蓋部40の変形例について説明する。
【0052】
図12には、蓋部40の斜視図を示す。図12に示されるように、蓋部40は、端部41、端部41から後方に延出する側壁部42を備える。
【0053】
端部41は、円板の内部に二箇所の孔部41Aを形成し、孔部41Aの位置には指を挿通し把持するためのリング43が設けられている。
【0054】
また、側壁部42は、筒状体21の内周に入り込む部材であり、側壁部42には突起42Aが形成され、突起42Aが筒状体21の内壁と係合し、側壁部42が筒状体21の内壁と嵌め合わされるようになっている。
【0055】
ここで、蓋部40を備えるボイド管20を、コンクリート打設後に取り外す際の操作について図13及び図14に基づいて説明する。
【0056】
図13及び図14には、蓋部40を端部41とは反対側の面(後面)から眺めた図を示す。図13及び図14に示されるように、蓋部40には、施工者の操作に応じて側壁部42を外側に押圧する押圧機構が備えられる。図13は、取外し操作が行われていない時の押圧機構の状態を示し、図14は取外し操作が行われている時の押圧機構の状態を示している。
【0057】
ここで、押圧機構は、孔部41Aの箇所にそれぞれ配置された一対のリング43、リング43の距離を保つように付勢するバネ44、リング43に連結したワイヤー45、ワイヤー45を保持する保持部46、保持部47を備える。
【0058】
保持部46及び保持部47は、ワイヤー45の端部45A以外の部分は通過可能なようにワイヤー45を保持している。
【0059】
図13に示されるように、取外し操作が行われていない時、すなわち一対のリング43を近づける操作が行われていない時には、端部45Aは側壁部42から離間した位置に配されており、側壁部42を押圧していない。
【0060】
一方で図14に示されるように、取外し操作が行われている時、すなわち一対のリング43に指が通されて両者を近付ける操作が行われている時には、端部45Aが側壁部42を押圧することで、側壁部42が外側に押し広げられる。これにより、側壁部42が、端部45Aと筒状体21とにより強く挟み込まれることとなり、蓋部40と筒状体21とが強く固定される。このように、リング43に指を通し握る操作に応じて、端部45Aが筒状体21を押圧する押圧部として機能することとなる。
【0061】
また、本発明では、被覆部材10の外周部12に気泡緩衝材を用いた例について説明したが、外周部12が硬化材に対する剥離防止構造を有していれば、気泡緩衝材以外の部材、例えば不織布を用いることしてよい。また、上記の例では、気泡緩衝材のセルを突起物として用いたが、突起物は気泡緩衝材のセルに限られるものではなく、他の材料を用いてもよい。
【0062】
また、上記の実施形態では、円柱状のボイド管20を型枠の基材(枠基材)に用いることとしたが、枠基材の形状は円柱状に限られるものではなく、多角柱、その他の形状としても構わない。
【0063】
[付記]
本発明の代表的な態様は以下の通りである。
【0064】
本発明に係る貫通孔形成用型枠は、硬化材を用いて成型される被施工体に形成される貫通孔の型枠となる貫通孔形成用型枠であって、枠基材と、前記枠基材を被覆する被覆部材と、を備え、前記被覆部材は、前記枠基材に当接し、緩衝構造を有する内周部と、前記硬化材からの剥離防止構造を有する外周部と、を備える。
【0065】
本発明に係る貫通孔形成方法は、硬化材を用いて成型される被施工体に貫通孔を形成する貫通孔形成方法であって、前記貫通孔を形成する領域に、枠基材と、前記枠基材を被覆する被覆部材と、を備える貫通孔形成用型枠を配置する工程と、前記配置された前記貫通孔形成用型枠の周囲にコンクリートを打設する工程と、前記打設したコンクリートの硬化後に、前記枠基材を抜き取る工程と、を含み、前記被覆部材は、前記枠基材に当接し、緩衝構造を有する内周部と、前記硬化材からの剥離防止構造を有する外周部と、を備え、前記被覆部材を前記被施工体に残留させることとする。
【0066】
上記の貫通孔形成用型枠及び貫通孔形成方法によれば、枠基材と被施工体との間には緩衝性を有する被覆部材が設けられるため、硬化した被施工体から枠基材を取り外すことが容易となる。
また、被覆部材の外周部は硬化した被施工体に接着後、剥離しにくくなるため、被施工体に形成された貫通孔に枠基材と同径の配管を配設することで、配管と被施工体との隙間を被覆部材により埋めることができる。これにより、被施工体に形成された貫通孔と配管との隙間を埋める後処理作業が不要になる。
すなわち、上記の貫通孔形成用型枠及び貫通孔形成方法によれば、被施工体に貫通孔を形成する作業と後処理の作業負担を軽減することができる。
【0067】
上記の貫通孔形成用型枠において、前記内周部は、空気が封入された複数のセルを有し、前記セルが、前記緩衝構造として機能することとしてよい。
これにより、空気が封入されたセルが被施工体と枠基材との緩衝材となり、セルが変形することで、硬化した被施工体から枠基材を取り外すことが容易となる。
【0068】
上記の貫通孔形成型枠において、前記外周部は、前記被施工体に対し楔となる突起部を有し、前記突起部が、前記剥離防止構造として機能することとしてよい。
これにより、外周部に設けられた突起部が被施工体に入り込む楔として機能するため、外周部が被施工体により強固に固定される。これにより、被覆部材が被施工体から剥離しにくくなる。
【0069】
上記の貫通孔形成用型枠において、前記外周部は、空気が封入された複数のセルを有し、前記セルが、前記突起部となることとしてよい。
これにより、外周部に設けられた空気が封入されたセルを被施工体に入り込む楔として機能させることができる。
【0070】
上記の貫通孔形成用型枠において、前記枠基材は、筒状体であり、前記筒状体の一方の開口部と係合する蓋部を備え、前記蓋部は、前記蓋部の操作に応じて前記筒状体の内周面を外側に向けて押圧する押圧部を有することとしてよい。
これにより、貫通孔形成用型枠に設けられる蓋部を操作することで、蓋部と筒状体とを強固に係合させることができる。そのため、蓋部と筒状体とを強固に係合させた状態で、蓋部を被施工体から取り出すことにより、枠基材を被施工体から容易に取り出すことができる。すなわち、上記の貫通孔形成用型枠によれば、被施工体からの枠基材の取外しの作業性を向上させることができる。
また、蓋部を設けたことで、枠基材の中に硬化材が入り込むことを防止できる。
【0071】
上記の貫通孔形成用型枠において、前記蓋部は、前記筒状体と係合する環状部と、前記環状部の内部に配置され、前記環状部に対して移動可能な芯部と、を有し、前記芯部は、第1領域と、前記第1領域よりも径が大きい第2領域とを有し、前記環状部は、前記第1領域と係合する第1係合領域を有し、前記第1領域が前記第1係合領域に係合した状態から前記芯部の位置を移動させることにより、前記第2領域が前記第1係合領域を押圧する前記押圧部となることとしてよい。
これにより、蓋部を構成する芯部を引き出す操作により枠基材を被施工体から取り外すことができる。すなわち、上記の貫通孔形成用型枠によれば、被施工体からの枠基材の取外しの作業性を向上させることができる。
【0072】
上記の貫通孔形成用型枠において、前記筒状体の他方の開口部と係合する底部を備えることとしてよい。
これにより、枠基材の中に硬化材が入り込むことを防止できる。また、筒状体の形状を保持することができる。
【0073】
上記の貫通孔形成用型枠において、前記蓋部と前記筒状体との間に配置される、前記筒状体と同径の延長部材を備えることとしてよい。
これにより、貫通孔形成用型枠の長さを調整することができる。
【0074】
上記の貫通孔形成用型枠において、前記蓋部に係合するクッション部材を備えることとしてよい。
これにより、蓋部を保護することができる。また、蓋部のサイズ調整が容易となる。
【符号の説明】
【0075】
G 基礎
1 貫通孔形成用型枠
2 壁体成形枠
3 コンクリート
4 貫通孔
5 配管
10 被覆部材
11 内周部
11A セル
12 外周部
12A セル
20 ボイド管
21 筒状体
21A 延長部材
23 底部
23A 係合部
23B 突起部
23C 底面部
25 クッション材
30 蓋部
31 外装体
31A 環状部
31B 側壁部
31C ねじ山
31D 切欠き部
32 内芯体
32A 把持部
32B ねじ山形成部
32C テーパー部
40 蓋部
41 端部
41A 孔部
42 側壁部
42A 突起
43 リング
44 バネ
45 ワイヤー
45A 端部
46 保持部
47 保持部
図1
図2
図3
図4
図5
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図14