特開2017-188647(P2017-188647A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特開2017-188647複合磁性封止材料を用いた電子回路パッケージ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-188647(P2017-188647A)
(43)【公開日】2017年10月12日
(54)【発明の名称】複合磁性封止材料を用いた電子回路パッケージ
(51)【国際特許分類】
   H01F 1/147 20060101AFI20170919BHJP
   H01F 27/36 20060101ALI20170919BHJP
   H05K 9/00 20060101ALI20170919BHJP
   H01G 2/22 20060101ALI20170919BHJP
   H01L 23/00 20060101ALI20170919BHJP
   H01L 23/29 20060101ALI20170919BHJP
   H01L 23/31 20060101ALI20170919BHJP
【FI】
   H01F1/147 158
   H01F15/04
   H05K9/00 Q
   H01G1/06
   H01L23/00 C
   H01L23/30 R
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2016-220594(P2016-220594)
(22)【出願日】2016年11月11日
(31)【優先権主張番号】62/315,828
(32)【優先日】2016年3月31日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115738
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲頭 光宏
(74)【代理人】
【識別番号】100121681
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 和文
(74)【代理人】
【識別番号】100130982
【弁理士】
【氏名又は名称】黒瀬 泰之
(72)【発明者】
【氏名】川畑 賢一
【テーマコード(参考)】
4M109
5E041
5E070
5E321
【Fターム(参考)】
4M109AA01
4M109BA04
4M109CA02
4M109CA04
4M109CA10
4M109CA21
4M109CA22
4M109DB15
4M109EA02
4M109EB11
4M109EB16
4M109EB17
4M109EC04
4M109EC07
4M109EE07
4M109EE08
5E041AA07
5E041BB05
5E041CA06
5E041NN01
5E070AA05
5E070BB03
5E321AA22
5E321BB23
5E321BB25
5E321BB33
5E321BB35
5E321BB53
5E321GG05
(57)【要約】
【課題】熱膨張係数の低い複合磁性封止材料をモールド材料として用いた電子回路パッケージを提供する。
【解決手段】本明細書に開示する電子回路パッケージは、基板と、前記基板の表面に搭載された電子部品と、前記電子部品を埋め込むよう前記基板の前記表面を覆う磁性モールド樹脂とを備える。前記磁性モールド樹脂は、樹脂材料と、前記樹脂材料に配合され、配合比が30〜85体積%であるフィラーとを備える。前記フィラーは、Feに、Niを主成分とする金属材料を32〜39重量%含有する磁性フィラーを含み、これにより磁性モールド樹脂の熱膨張係数が15ppm/℃以下である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の表面に搭載された電子部品と、
前記電子部品を埋め込むよう前記基板の前記表面を覆う磁性モールド樹脂と、を備え、
前記磁性モールド樹脂は、
樹脂材料と、
前記樹脂材料に配合され、配合比が30〜85体積%であるフィラーと、を備え、
前記フィラーは、Feに、Niを主成分とする金属材料を32〜39重量%含有する磁性フィラーを含み、これにより磁性モールド樹脂の熱膨張係数が15ppm/℃以下である、電子回路パッケージ。
【請求項2】
前記金属材料は、前記磁性フィラーの全体に対して0.1〜8重量%のCoをさらに含む、請求項1に記載の電子回路パッケージ。
【請求項3】
前記フィラーは、非磁性フィラーをさらに含む、請求項1に記載の電子回路パッケージ。
【請求項4】
前記磁性フィラーと前記非磁性フィラーの合計に対する前記非磁性フィラーの量は、1〜40体積%である、請求項3に記載の電子回路パッケージ。
【請求項5】
前記非磁性フィラーは、SiO,ZrW,(ZrO),KZr(PO及びZr(WO)(POからなる群より選ばれた少なくとも一つの材料を含む、請求項4に記載の電子回路パッケージ。
【請求項6】
前記磁性フィラーの形状が略球状である、請求項1に記載の電子回路パッケージ。
【請求項7】
前記磁性フィラーの表面が絶縁コートされている、請求項1に記載の電子回路パッケージ。
【請求項8】
前記絶縁コートの膜厚が10nm以上である、請求項7に記載の電子回路パッケージ。
【請求項9】
前記樹脂材料は熱硬化性樹脂材料である、請求項1に記載の電子回路パッケージ。
【請求項10】
前記熱硬化性樹脂材料は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂及びイミド樹脂からなる群より選ばれた少なくとも一つの材料を含む、請求項9に記載の電子回路パッケージ。
【請求項11】
前記磁性モールド樹脂の体積抵抗率が1010Ω・cm以上である、請求項1に記載の電子回路パッケージ。
【請求項12】
前記電子部品と前記磁性モールド樹脂との間に設けられた非磁性部材をさらに備える、請求項1に記載の電子回路パッケージ。
【請求項13】
前記基板に設けられた電源パターンに接続されるとともに、前記磁性モールド樹脂を覆う金属膜をさらに備える、請求項1に記載の電子回路パッケージ。
【請求項14】
前記金属膜は、Au、Ag、Cu及びAlからなる群から選ばれた少なくとも1つの金属を主成分とする、請求項13に記載の電子回路パッケージ。
【請求項15】
前記金属膜の表面が酸化防止被覆で覆われている、請求項13に記載の電子回路パッケージ。
【請求項16】
前記電源パターンは前記基板の側面に露出しており、前記金属膜は前記基板の前記側面に露出した前記電源パターンと接している、請求項13に記載の電子回路パッケージ。
【請求項17】
基板と、
前記基板の表面に搭載された電子部品と、
前記電子部品を埋め込むよう前記基板の前記表面を覆う磁性モールド樹脂と、を備え、
前記磁性モールド樹脂は、
樹脂材料と、
前記樹脂材料に配合されたFe−Ni系材料からなる磁性フィラーと、
前記樹脂材料に配合された非磁性フィラーと、を備え、
前記磁性フィラーと前記非磁性フィラーの合計に対する前記非磁性フィラーの量は、1〜40体積%であり、
前記磁性モールド樹脂の熱膨張係数が15ppm/℃以下である、電子回路パッケージ。
【請求項18】
前記磁性フィラーは、Feに、Niを主成分とする金属材料を32〜39重量%含む材料からなる、請求項17に記載の電子回路パッケージ。
【請求項19】
基板と、
前記基板の表面に搭載された電子部品と、
前記電子部品を埋め込むよう前記基板の前記表面を覆う磁性モールド樹脂と、を備え、
前記磁性モールド樹脂は、
樹脂材料と、
前記樹脂材料に配合され、FeにNiを主成分とする金属材料を32〜39重量%含有する磁性フィラーと、
前記樹脂材料に配合された非磁性フィラーと、を備え、
前記磁性フィラーの配合量は、全体の30〜85体積%であり、
前記磁性フィラーと前記非磁性フィラーの合計配合量は、全体の50〜85体積%である、電子回路パッケージ。
【請求項20】
前記金属材料は、前記磁性フィラーの全体に対して0.1〜8重量%のCoをさらに含む、請求項19に記載の電子回路パッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子回路パッケージに関し、特に、モールド材料として複合磁性材料を用いた電子回路パッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンなどの電子機器は、高性能な無線通信回路及びデジタルチップが採用され、使用する半導体ICの動作周波数も上昇する傾向にある。さらに複数の半導体ICを最短配線で接続する2.5D構造や3D構造をもったシステムインパッケージ(SIP)化が加速し、電源系回路のモジュール化も今後増加していくと予測される。さらに多数の電子部品(インダクタ、コンデンサ、抵抗、フィルターなどの受動部品、トランジスタ、ダイオードなどの能動部品、半導体ICなどの集積回路部品、並びに、その他電子回路構成に必要な部品の総称)がモジュール化された電子回路モジュールも今後益々増加していくことが予測され、これらを総称した電子回路パッケージがスマートフォンなどの電子機器の高機能化および小型化、薄型化により高密度実装される傾向にある。これらの傾向は、一方でノイズによる誤動作及び電波障害が顕著となることを示し、従来のノイズ対策では誤動作や電波障害を防止することが困難である。このため、近年においては、電子回路パッケージのセルフシールド化が進み、導電性ペーストもしくはメッキやスパッタ法による電磁気シールドの提案及び実用化がなされているが、今後はさらに高いシールド特性が要求される。
【0003】
これを実現すべく、近年においては、モールド材料自体に磁気シールド特性をもたせた電子回路パッケージが提案されている。例えば、特許文献1には、電子回路パッケージ用のモールド材料として、酸化被膜を有する軟磁性体粉末を添加した複合磁性封止材料が開示されている。
【0004】
しかしながら、従来の複合磁性封止材料は熱膨張係数が大きいという問題があった。このため、複合磁性封止材料とパッケージ基板又は電子部品との間において熱膨張係数のミスマッチが生じ、その結果、モールド成形後にストリップ形状を有する集合基板の状態で大きなソリが生じたり、個品化した後の電子回路パッケージが実装リフロー時に接続性に問題が発生するほどの大きなソリが発生することがあった。以下、この現象について説明する。
【0005】
近年、半導体パッケージや電子部品モジュールには、種々の構造体が提案および実用化されているが、現在の主流は、有機多層基板上に半導体ICなどの電子部品を実装し、その上部及び周囲を樹脂封止材料でモールド成形した構造が一般的である。このような構造を有する半導体パッケージ又は電子部品モジュールは、集合基板の状態でモールド成形された後、ダイシング等による個品化処理によって作製される。
【0006】
この構造は、物性の異なる有機多層基板と樹脂封止材料がいわゆるバイメタルを構成するため、熱膨張係数の差、ガラス転移、モールド材料の硬化収縮などの要因でソリが発生する。これを抑えるためには、熱膨張係数などの物性をできるだけ一致させる必要がある。近年、半導体パッケージや電子回路モジュールに使用される有機多層基板は、低背化の要求によりますます薄厚化および多層化が進む傾向にある。これを達成しつつ、薄い基板のハンドリング性を確保するための高剛性および低熱膨張化を実現すべく、ガラス転移温度の高い基板材料を使用したり、基板材料に熱膨張率の低いフィラーを添加したり、より低熱膨張係数であるガラスクロスを使用することが一般的となっている。
【0007】
一方で、基板に搭載される半導体IC及び電子部品とモールド材料との間の物性差も応力を発生させるため、モールド材の界面剥離、電子部品やモールド材のクラックなど、種々の問題を引き起こす。半導体ICにはシリコンが使用されるが、シリコンの熱膨張係数は3.5ppm/℃であり、セラミックコンデンサ、インダクタなどの焼成型チップ部品の熱膨張係数は10ppm/℃程度である。
【0008】
このため、モールド材料にも低熱膨張化が要求されており、10ppm/℃を切るような材料が市販されている。モールド材料を低熱膨張化する手法としては、低熱膨張のエポキシ樹脂の採用はもちろん、0.5ppm/℃と熱膨張係数の非常に低い溶融シリカを封止樹脂に高い充填率にて配合する手法が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平10−64714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
一方、一般的な磁性材料は熱膨張係数が高い。このため、特許文献1に記載されているように、モールド樹脂に一般的な軟磁性体粉末を添加した複合磁性封止材料は、目的とする低熱膨張係数を達成することができないという問題があった。
【0011】
したがって、本発明は、熱膨張係数の低い複合磁性封止材料をモールド材料として用いた電子回路パッケージを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明による電子回路パッケージは、基板と、前記基板の表面に搭載された電子部品と、前記電子部品を埋め込むよう前記基板の前記表面を覆う磁性モールド樹脂と、を備え、前記磁性モールド樹脂は、樹脂材料と、前記樹脂材料に配合され、配合比が30〜85体積%であるフィラーとを備え、前記フィラーは、Feに、Niを主成分とする金属材料を32〜39重量%含有する磁性フィラーを含み、これにより前記磁性モールド樹脂の熱膨張係数が15ppm/℃以下である。
【0013】
本発明によれば、熱膨張係数が低い磁性フィラーを用いていることから、複合磁性封止材料からなる磁性モールド樹脂の熱膨張係数を15ppm/℃以下とすることが可能となる。このため、基板のソリ、モールド材の界面剥離、モールド材のクラックなどを防止することが可能となる。
【0014】
本発明において、前記金属材料は、前記磁性フィラーの全体に対して0.1〜8重量%のCoをさらに含んでいても構わない。これによれば、複合磁性封止材料からなる磁性モールド樹脂の熱膨張係数をより低下させることが可能となる。
【0015】
本発明において、前記フィラーは、非磁性フィラーをさらに含んでいても構わない。これによれば、複合磁性封止材料からなる磁性モールド樹脂の熱膨張係数をより低下させることが可能となる。この場合、前記磁性フィラーと前記非磁性フィラーの合計に対する前記非磁性フィラーの量は、1〜40体積%であることが好ましい。これによれば、十分な磁気特性を確保しつつ、複合磁性封止材料からなる磁性モールド樹脂の熱膨張係数をより低下させることが可能となる。この場合、前記非磁性フィラーは、SiO,ZrW,(ZrO),KZr(PO及びZr(WO)(POからなる群より選ばれた少なくとも一つの材料を含むことが好ましい。これらの材料は熱膨張係数が非常に低い、或いは、負の値を有していることから、複合磁性封止材料からなる磁性モールド樹脂の熱膨張係数をよりいっそう低下させることが可能となる。
【0016】
本発明において、前記磁性フィラーの形状は略球状であることが好ましい。これによれば、複合磁性封止材料中における磁性フィラーの割合を高めることが可能となる。
【0017】
本発明においては、前記磁性フィラーの表面が絶縁コートされていることが好ましく、前記絶縁コートの膜厚が10nm以上であることがより好ましい。これによれば、複合磁性封止材料からなる磁性モールド樹脂の体積抵抗率を例えば1010Ω・cm以上に高めることができ、電子回路パッケージ用のモールド材料に求められる絶縁特性を確保することが可能となる。
【0018】
本発明において、前記樹脂材料は熱硬化性樹脂材料であることが好ましく、前記熱硬化性樹脂材料は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂及びイミド樹脂からなる群より選ばれた少なくとも一つの材料を含むことが好ましい。
【0019】
本発明による電子回路パッケージは、前記電子部品と前記磁性モールド樹脂との間に設けられた非磁性部材をさらに備えていても構わない。これによれば、電子部品と磁性モールド樹脂が近接することによる、電子部品の特性の変動などを抑制することができる。
【0020】
本発明による電子回路パッケージは、前記基板に設けられた電源パターンに接続されるとともに、前記磁性モールド樹脂を覆う金属膜をさらに備えることが好ましい。これによれば、電磁気シールド機能と磁気シールド機能を併せ持つ複合シールド構造を得ることが可能となる。
【0021】
この場合、前記金属膜は、Au、Ag、Cu及びAlからなる群から選ばれた少なくとも1つの金属を主成分とすることが好ましく、前記金属膜の表面が酸化防止被覆で覆われていることがより好ましい。また、前記電源パターンは前記基板の側面に露出しており、前記金属膜は前記基板の前記側面に露出した前記電源パターンと接していることが好ましい。これによれば、金属膜を電源パターンに容易かつ確実に接続することが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
このように、本発明による電子回路パッケージは、熱膨張係数が小さい磁性モールド樹脂をモールド材料として用いていることから、磁気シールド特性を確保しつつ、基板のソリ、モールド材の界面剥離、モールド材のクラックなどを防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本発明の第1の実施形態による電子回路パッケージの構成を示す断面図である。
図2図2は、第1の実施形態の変形例による電子回路パッケージの構成を示す断面図である。
図3図3は、図1に示す電子回路パッケージの製造方法を説明するための工程図である。
図4図4は、図1に示す電子回路パッケージの製造方法を説明するための工程図である。
図5図5は、図1に示す電子回路パッケージの製造方法を説明するための工程図である。
図6図6は、複合磁性封止材料の構成を説明するための模式図である。
図7図7は、磁性フィラーのNi比率と複合磁性封止材料の熱膨張係数及び透磁率との関係を示すグラフである。
図8図8は、磁性フィラーのNi比率と複合磁性封止材料の熱膨張係数との関係を示すグラフである。
図9図9は、磁性フィラーのNi比率と複合磁性封止材料の透磁率との関係を示すグラフである。
図10図10は、磁性フィラーのCo比率と複合磁性封止材料の熱膨張係数及び透磁率との関係を示すグラフである。
図11図11は、非磁性フィラーの添加比率と複合磁性封止材料の熱膨張係数との関係を示すグラフである。
図12図12は、磁性フィラーの表面に形成する絶縁コートの有無と体積抵抗率との関係を示すグラフである。
図13図13は、磁性フィラーの表面に形成する絶縁コートの膜厚と体積抵抗率との関係を示すグラフである。
図14図14は、磁性フィラーの体積抵抗率と複合磁性封止材料の体積抵抗率との関係を示すグラフである。
図15図15は、本発明の第2の実施形態による電子回路パッケージの構成を示す断面図である。
図16図16は、図15に示す電子回路パッケージの製造方法を説明するための工程図である。
図17図17は、図15に示す電子回路パッケージの製造方法を説明するための工程図である。
図18図18は、図15に示す電子回路パッケージの製造方法を説明するための工程図である。
図19図19は、本発明の第3の実施形態による電子回路パッケージの構成を示す断面図である。
図20図20は、第3の実施形態の第1の変形例による電子回路パッケージの構成を示す断面図である。
図21図21は、第3の実施形態の第2の変形例による電子回路パッケージの構成を示す断面図である。
図22図22は、第3の実施形態の第3の変形例による電子回路パッケージの構成を示す断面図である。
図23図23は、第3の実施形態の第4の変形例による電子回路パッケージの構成を示す断面図である。
図24図24は、図19に示す電子回路パッケージのノイズ減衰量を示すグラフである。
図25図25は、図19に示す電子回路パッケージに含まれる金属膜の膜厚とノイズ減衰量との関係を示すグラフである。
図26図26は、図19に示す電子回路パッケージに含まれる金属膜の膜厚とノイズ減衰量との関係を示すグラフである。
図27図27は、図19に示す電子回路パッケージに含まれる金属膜の膜厚とノイズ減衰量との関係を示すグラフである。
図28図28は、図1及び図19に示す電子回路パッケージの昇温及び降温時における基板のソリ量を示すグラフである。
図29図29は、比較例における電子回路パッケージの昇温及び降温時における基板のソリ量を示すグラフである。
図30図30は、本発明の第4の実施形態による電子回路パッケージの構成を示す断面図である。
図31図31は、図30に示す電子回路パッケージの製造方法を説明するための工程図である。
図32図32は、図30に示す電子回路パッケージの製造方法を説明するための工程図である。
図33図33は、組成1〜組成3を示す表である。
図34図34は、実施例の測定結果を示す表である。
図35図35は、実施例の測定結果を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
【0025】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態による電子回路パッケージ11Aの構成を示す断面図である。
【0026】
図1に示すように、本実施形態による電子回路パッケージ11Aは、基板20と、基板20に搭載された複数の電子部品31,32と、電子部品31,32を埋め込むよう基板20の表面21を覆う磁性モールド樹脂40とを備えている。
【0027】
本実施形態による電子回路パッケージ11Aの種類については特に限定されないが、例えば、高周波信号を取り扱う高周波モジュールや、電源制御を行う電源モジュール、2.5D構造や3D構造をもったシステムインパッケージ(SIP)、無線通信用またはデジタル回路用半導体パッケージなどが挙げられる。図1においては、2つの電子部品31,32のみを図示しているが、実際にはより多くの電子部品が内蔵されている。
【0028】
基板20は、内部に多数の配線が埋め込まれた両面および多層配線構造を有しており、FR−4、FR−5、BT、シアネートエステル、フェノール、イミドなど熱硬化性樹脂ベースの有機基板、液晶ポリマーなど熱可塑性樹脂ベースの有機基板、LTCC基板、HTCC基板、フレキシブル基板など種類は問わない。本実施形態では基板20が4層構造であり、基板20の表面21及び裏面22に形成された配線層と、内部に埋め込まれた2層の配線層を有している。基板20の表面21には、複数のランドパターン23が形成されている。ランドパターン23は、電子部品31,32と接続するための内部電極であり、両者はハンダ24(或いは導電性ペースト)を介して電気的且つ機械的に接続される。一例として、電子部品31はコントローラなどの半導体チップであり、電子部品32はキャパシタやコイルなどの受動部品である。電子部品の一部(例えば薄型化された半導体チップなど)は、基板20に埋め込まれていても構わない。
【0029】
ランドパターン23は、基板20の内部に形成された内部配線25を介して、基板20の裏面22に形成された外部端子26に接続される。実使用時においては、電子回路パッケージ11Aが図示しないマザーボードなどに実装され、マザーボード上のランドパターンと電子回路パッケージ11Aの外部端子26が電気的に接続される。ランドパターン23、内部配線25及び外部端子26を構成する導体の材料としては、銅、銀、金、ニッケル、クロム、アルミニウム、パラジウム、インジウムなどの金属もしくはその金属合金であっても構わないし、樹脂やガラスをバインダーとした導電材料であっても構わないが、基板20が有機基板またはフレキシブル基板である場合は、コストや導電率などの観点より銅、銀を用いることが好ましい。これら導電材料の形成方法としては、印刷、メッキ、箔ラミネート、スパッタ、蒸着、インクジェットなどの方法を用いることができる。
【0030】
磁性モールド樹脂40は、電子部品31,32を埋め込むよう基板20の表面21を覆って設けられている。磁性モールド樹脂40は、モールド部材であるとともに、磁気シールドとしても機能する。本実施形態においては、磁性モールド樹脂40の側面42と基板20の側面27が同一平面を構成している。磁性モールド樹脂40の詳細については後述するが、従来の磁性モールド樹脂と比べて熱膨張係数が非常に小さい(例えば15ppm/℃以下)複合磁性封止材料によって構成されている。磁性モールド樹脂40は、電子部品31,32やランドパターン23と接することから、その体積抵抗率は十分に高い必要があり、具体的には1010Ω・cm以上であることが好ましい。
【0031】
尚、高周波インダクタなどの電子部品は、磁性モールド樹脂40との距離が近すぎると、インダクタンス値などの特性が設計値から変動してしまうことがある。このような場合、当該電子部品の一部又は全部を非磁性部材で覆うことにより、特性の変動を低減することができる。図2は、変形例による電子回路パッケージ11Bの構成を示す断面図であり、電子部品32が非磁性部材50で覆われている点において、図1に示した電子回路パッケージ11Aと相違している。非磁性部材50としては、一般的な樹脂を用いることができる。このような非磁性部材50を電子部品32と磁性モールド樹脂40との間に介在させれば、電子部品32と磁性モールド樹脂40との距離が離れるため、インダクタンス値などの特性の変動を低減することが可能となる。
【0032】
次に、本実施形態による電子回路パッケージ11Aの製造方法について説明する。
【0033】
図3図5は、電子回路パッケージ11Aの製造方法を説明するための工程図である。
【0034】
まず、図3に示すように、多層配線構造を有する集合基板20Aを用意する。集合基板20Aの表面21には複数のランドパターン23が形成されており、集合基板20Aの裏面22には複数の外部端子26が形成されている。また、集合基板20Aの内層には、複数の内部配線25が形成されている。なお、図3に示す破線aは、その後のダイシング工程において切断されるべき部分を指している。
【0035】
次に、図3に示すように、ランドパターン23に接続されるよう、集合基板20Aの表面21に複数の電子部品31,32を搭載する。具体的には、ランドパターン23上にハンダ24を供給した後、電子部品31,32を搭載し、リフローを行うことによって電子部品31,32をランドパターン23に接続すればよい。
【0036】
次に、図4に示すように、電子部品31,32を埋め込むよう、磁性モールド樹脂40によって集合基板20Aの表面21を覆う。磁性モールド樹脂40の形成方法としては、トランスファー成形、コンプレッション成型、インジェクション成形、注型、真空注型、ディスペンス、スリットノズルによる方法などを用いることができる。
【0037】
そして、図5に示すように、破線aに沿って集合基板20Aを切断することにより基板20を個片化すれば、本実施形態による電子回路パッケージ11Aが完成する。
【0038】
次に、磁性モールド樹脂40を構成する複合磁性封止材料について詳細に説明する。
【0039】
図6は、磁性モールド樹脂40を構成する複合磁性封止材料の構成を説明するための模式図である。
【0040】
図6に示すように、磁性モールド樹脂40を構成する複合磁性封止材料2は、樹脂材料4と、樹脂材料4に配合された磁性フィラー6及び非磁性フィラー8からなる。特に限定されるものではないが、樹脂材料4は熱硬化性樹脂材料を主成分とすることが好ましい。具体的には、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂又はイミド樹脂を主成分とすることが好ましく、エポキシ樹脂又はフェノール樹脂系の半導体封止材料に用いられる主剤及び硬化剤を用いることがより好ましい。
【0041】
最も好ましいのは、末端に反応性のエポキシ基を持つエポキシ樹脂で、各種硬化剤および硬化促進剤と組み合わせることができる。エポキシ樹脂の例としては、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、フェノキシ、ナフタレン、多官能タイプ(ジシクロペンタジエン型等)、ビフェニルタイプ(2官能)および特殊構造タイプが挙げられ、低熱膨張化できるビフェニル、ナフタレン、ジシクロペンタジエン型などは有用である。硬化剤または硬化促進剤の例としては、アミン系化合物脂環族ジアミン、芳香族ジアミン、その他のアミン系(イミダゾール、3級アミン)、酸無水物系化合物(主に高温硬化剤)、フェノール樹脂(ノボラック型、クレゾールノボラック型など)、アミノ樹脂、ジシアンジアミド、ルイス酸錯化合物が挙げられる。材料の混錬方法は、ニーダーや3本ロール、ミキサーなど公知の方法を適宜用いればよい。
【0042】
磁性フィラー6は、Fe−Ni系材料からなり、Niを主成分とする金属材料を32重量%、39重量%以下含む。残りの61〜68重量%を占める元素はFeである。磁性フィラー6の配合比は、複合磁性封止材料2の全体に対して30体積%以上、85体積%以下である。これは、磁性フィラー6の配合比が30体積%未満であると、十分な磁気特性を得ることが困難だからであり、磁性フィラー6の配合比が85体積%を超えると、流動性など封止材料に必要な諸特性を確保することが困難だからである。
【0043】
Niを主成分とする金属材料は、少量のCoを含んでいても構わない。つまり、Niの一部がCoによって置換されていても構わない。これによれば、複合磁性封止材料2の熱膨張係数をより低下させることが可能となる。Coの添加量は、磁性フィラー6の全体に対して0.1重量%以上、8重量%以下であることが好ましい。
【0044】
磁性フィラー6の形状については特に限定されないが、高充填化するためには球状とし、最密充填となるように複数の粒度分布のフィラーをブレンド、配合してもよい。また、磁性フィラー6を略球形とすれば、電子部品に対するモールド時のダメージを低減することもできる。特に、最密充填化又は高充填化のためには、磁性フィラー6の形状が真球であることが好ましい。磁性フィラー6は、タップ密度が高く、粉末比表面積が小さいことが好ましい。磁性フィラー6の形成方法としては、水アトマイズ法、ガスアトマイズ法、遠心ディスクアトマイズ法などの方法があり、中でも、高いタップ密度を得ることができるとともに、比表面積を小さくできるガスアトマイズ法が最も好ましい。
【0045】
特に限定されるものではないが、磁性フィラー6の表面は、流動性、密着性、絶縁性向上のために、Si,Al,Ti,Mgなどの金属の酸化物、或いは、有機材料からなる絶縁コート7で覆われている。複合磁性封止材料2の体積抵抗率を十分に高めるためには、絶縁コート7の膜厚を10nm以上とすることが好ましい。絶縁コート7は、磁性フィラー6の表面に熱硬化性材料をコート処理、又は、テトラエチルオキシシラン若しくはテトラメチルオキシシランの金属アルコキシドの脱水反応によって酸化膜を形成してもよく、酸化ケイ素のコート被膜形成が最も好ましい。さらにその上に有機官能性カップリング処理を施すとさらに好適である。
【0046】
本実施形態による複合磁性封止材料2は、非磁性フィラー8を含んでいる。非磁性フィラー8としては、SiO,ZrW,(ZrO),KZr(PO又はZr(WO)(POなど、磁性フィラー6よりも熱膨張係数の小さい材料、或いは、熱膨張係数が負の値を有する材料を用いることが好ましい。このような非磁性フィラー8を複合磁性封止材料2に添加すれば、熱膨張係数をよりいっそう低減させることが可能となる。また、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムのような難燃剤や、着色のためのカーボンブラックや顔料又は染料、滑り性、流動性、分散・混錬性向上のために100nm以下の粒径の表面処理されたナノシリカや、離型性向上のためのワックス成分などを添加しても構わない。但し、本発明において、磁性モールド樹脂40を構成する複合磁性封止材料が非磁性フィラーを含むことは必須でない。
【0047】
また、密着性や流動性向上のために、磁性フィラー6や非磁性フィラー8の表面に有機官能性カップリング処理を施してもよい。有機官能性カップリング処理は、公知の湿式または乾式で行えばよく、インテグラルブレンド法であってもよい。また、濡れ性などの向上のため、磁性フィラー6や非磁性フィラー8の表面を熱硬化性樹脂でコートしてもよい。
【0048】
非磁性フィラー8を添加する場合、磁性フィラー6と非磁性フィラー8の合計に対する非磁性フィラー8の量は1体積%以上、40体積%以下であることが好ましい。換言すれば、磁性フィラー6の1体積%以上、40体積%以下を非磁性フィラー8で置換することができる。これは、非磁性フィラー8の添加量が1体積%未満では、非磁性フィラー8を添加した効果をほとんど得ることができないからであり、非磁性フィラー8の添加量が40体積%を超えると、磁性フィラー6の量が少なくなりすぎ、十分な磁気特性を確保することが困難となるからである。
【0049】
複合磁性封止材料2の形態は、液状及び固形状のどちらでもよく、成形方法に応じた主剤及び硬化剤の選択によって形態が異なる。固形状の複合磁性封止材料2は、トランスファー成形用であればタブレット形状とすれば良く、インジェクション成型用又はコンプレッション成型用であれば顆粒状とすれば良い。また、複合磁性封止材料2を用いたモールド成形方法については、トランスファー成形、コンプレッション成型、インジェクション成形、注型、真空注型、真空印刷、印刷、ディスペンス、スリットノズルによる方法などがあり、適宜選択できる。成形条件は、使用する主剤、硬化剤、硬化促進材の組み合わせから適宜選択すればよく、成形後、必要に応じアフターキュアを施しても構わない。
【0050】
図7は、磁性フィラー6のNi比率と複合磁性封止材料2の熱膨張係数及び透磁率との関係を示すグラフである。図7に示すグラフは、磁性フィラー6が実質的にFeとNiのみからなる場合であって、複合磁性封止材料2の全体に対する磁性フィラー6の添加量が70体積%であり、且つ、複合磁性封止材料2に非磁性フィラー8が添加されていない場合を示している。
【0051】
図7に示すように、磁性フィラー6のNi比率が32重量%以上、39重量%以下である場合、複合磁性封止材料2の熱膨張係数は特異的に低くなり、条件によっては10ppm/℃以下となる。本条件下では、Ni比率が約35重量%である場合に最も低い熱膨張係数(約9.3ppm/℃)が得られている。一方、透磁率に関してはNi比率との相関は小さく、図7に示すNi比率の範囲ではμ=12〜13である。
【0052】
このような特性が得られるのは、Ni比率が上記の範囲である場合、熱膨張と磁気歪みによる体積変化が相殺し合うインバー特性が発現するためである。このような材料はインバー材と呼ばれ、高い精度が求められる金型の材料として知られているが、複合磁性封止材料に配合する磁性フィラーの材料として使用されることはなかった。本発明らは、インバー材のもつ磁気特性及び低熱膨張係数に着目し、これを磁性フィラーの材料として用いることにより、磁気シールド性を有し、且つ、熱膨張係数の小さい複合磁性封止材料2を実現している。
【0053】
図8は、磁性フィラー6のNi比率と複合磁性封止材料2の熱膨張係数との関係を示すグラフである。図8に示すグラフは、磁性フィラー6が実質的にFeとNiのみからなる場合であって、複合磁性封止材料2の全体に対する磁性フィラー6の添加量が50体積%、60体積%または70体積%であり、且つ、複合磁性封止材料2に非磁性フィラー8が添加されていない場合を示している。
【0054】
図8に示すように、磁性フィラー6の添加量が50体積%、60体積%および70体積%のいずれであっても、磁性フィラー6のNi比率が32重量%以上、39重量%以下である場合に、複合磁性封止材料2の熱膨張係数は特異的に低くなることが分かる。熱膨張係数の値は、磁性フィラー6の添加量が多いほど低くなる。したがって、磁性フィラー6の添加量が少ない場合(例えば30体積%である場合)は、溶融シリカなどからなる非磁性フィラー8をさらに添加することによって、複合磁性封止材料2の熱膨張係数を15ppm/℃以下とすればよい。具体的には、磁性フィラー6と非磁性フィラー8の合計添加量を全体の50体積%以上、85体積%以下とすれば、複合磁性封止材料2の熱膨張係数を十分に(例えば15ppm/℃以下)小さくすることができる。
【0055】
図9は、磁性フィラー6のNi比率と複合磁性封止材料2の透磁率との関係を示すグラフである。図9に示すグラフは、図8に示すグラフと同様、磁性フィラー6が実質的にFeとNiのみからなる場合であって、複合磁性封止材料2の全体に対する磁性フィラー6の添加量が50体積%、60体積%または70体積%であり、且つ、複合磁性封止材料2に非磁性フィラー8が添加されていない場合を示している。
【0056】
図9に示すように、磁性フィラー6の添加量が50体積%、60体積%および70体積%のいずれであっても、Ni比率と透磁率の相関は小さいことが分かる。透磁率の値は、磁性フィラー6の添加量が多いほど高くなる。
【0057】
図10は、磁性フィラー6のCo比率と複合磁性封止材料2の熱膨張係数及び透磁率との関係を示すグラフである。図10に示すグラフは、磁性フィラー6に含まれるNiとCoの和が37重量%であって、複合磁性封止材料2の全体に対する磁性フィラー6の添加量が70体積%であり、且つ、複合磁性封止材料2に非磁性フィラー8が添加されていない場合を示している。
【0058】
図10に示すように、磁性フィラー6にCoが含まれていない(Co=0重量%)場合に比べ、磁性フィラー6を構成するNiが8重量%以下のCoで置換されている場合には、複合磁性封止材料2の熱膨張係数がより低下することが分かる。但し、Coによる置換量が10重量%であると、かえって熱膨張係数が高くなる。したがって、Coの添加量は、磁性フィラー6の全体に対して0.1重量%以上、8重量%以下であることが好ましい。
【0059】
図11は、非磁性フィラー8の添加比率と複合磁性封止材料2の熱膨張係数との関係を示すグラフである。図11に示すグラフは、磁性フィラー6と非磁性フィラー8の和が全体の70体積%であって、磁性フィラー6が64重量%のFeと36重量%のNiからなり、非磁性フィラー8がSiOからなる場合を示している。
【0060】
図11に示すように、非磁性フィラー8の割合が増えると熱膨張係数が小さくなるが、その割合が磁性フィラー60体積%に対し、非磁性フィラー40体積%を超えると熱膨張係数の低減効果がほぼ飽和する。したがって、非磁性フィラー8の量は、磁性フィラー6と非磁性フィラー8の合計に対して1体積%以上、40体積%以下であることが好ましい。
【0061】
図12は、磁性フィラー6の表面に形成する絶縁コート7の有無と体積抵抗率との関係を示すグラフである。磁性フィラー6の材料は、組成A(Fe=64重量%、Ni=36重量%)及び組成B(Fe=63重量%、Ni=32重量%、Co=5重量%)の2種類であり、絶縁コート7は厚さ40nmのSiOである。いずれも磁性フィラー6も、カット径が32μmであり、粒径D50が20μmである。
【0062】
図12に示すように、組成A及び組成Bのいずれにおいても、絶縁コート7によって被覆することにより、磁性フィラー6の体積抵抗率が大幅に増大することが分かる。また、絶縁コート7によって被覆すると、測定時における圧力依存性も低下することが分かる。
【0063】
図13は、磁性フィラー6の表面に形成する絶縁コート7の膜厚と体積抵抗率との関係を示すグラフである。図13に示すグラフは、磁性フィラー6が64重量%のFeと36重量%のNiからなる場合を示している。磁性フィラー6の粒径は、図12における粒径と同様である。
【0064】
図13に示すように、磁性フィラー6を10nm以上の絶縁コート7によって被覆することにより、磁性フィラー6の体積抵抗率が大幅に増大することが分かる。特に、磁性フィラー6を30nm以上の絶縁コート7によって被覆すると、測定時における圧力にかかわらず非常に高い体積抵抗率が得られることが分かる。
【0065】
図14は、磁性フィラー6の体積抵抗率と複合磁性封止材料2の体積抵抗率との関係を示すグラフである。
【0066】
図14に示すように、磁性フィラー6の体積抵抗率と複合磁性封止材料2の体積抵抗率は比例関係にあることが分かる。特に、磁性フィラー6の体積抵抗率が10Ω・cm以上であれば、複合磁性封止材料2の体積抵抗率を1010Ω・cm以上とすることができる。複合磁性封止材料2の体積抵抗率が1010Ω・cm以上であれば、電子回路パッケージ用のモールド材料として用いた場合に十分な絶縁性を確保することができる。
【0067】
以上説明したように、本実施形態による電子回路パッケージ11A,11Bは、磁性モールド樹脂40の材料として熱膨張係数が非常に小さい複合磁性封止材料2を用いていることから、磁気シールド特性を有しつつ、温度変化に伴う基板のソリ、モールド材の界面剥離、モールド材のクラックなどを防止することが可能となる。
【0068】
<第2の実施形態>
図15は、本発明の第2の実施形態による電子回路パッケージ12Aの構成を示す断面図である。
【0069】
図15に示すように、本実施形態による電子回路パッケージ12Aは、磁性モールド樹脂40の平面サイズが基板20の平面サイズよりも僅かに小さく、これにより、基板20の表面21の外周部が磁性モールド樹脂40から露出している点において、図1に示した第1の実施形態による電子回路パッケージ11Aと相違している。その他の構成は、第1の実施形態による電子回路パッケージ11Aと同一であることから、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0070】
本実施形態による電子回路パッケージ12Aが例示するように、本発明において、磁性モールド樹脂40の側面42が基板20の側面27と同一平面を構成していることは必須でなく、磁性モールド樹脂40の方が小さくても構わない。
【0071】
図16図18は、電子回路パッケージ12Aの製造方法を説明するための工程図である。
【0072】
まず、図16に示すように、あらかじめ切断された基板20を用意し、その表面21のランドパターン23に接続されるよう、複数の電子部品31,32を搭載する。具体的には、ランドパターン23上にハンダ24を供給した後、電子部品31,32を搭載し、リフローを行うことによって電子部品31,32をランドパターン23に接続すればよい。
【0073】
次に、図17に示すように、電子部品31,32が搭載された基板20を金型80にセットする。そして、図18に示すように、金型80の流路81から磁性モールド樹脂40の材料である複合磁性材料を注入し、加圧及び加熱を行う。これにより、本実施形態による電子回路パッケージ12Aが完成する。
【0074】
このように、基板20を先に個片化してから磁性モールド樹脂40を形成しても構わない。
【0075】
<第3の実施形態>
図19は、本発明の第3の実施形態による電子回路パッケージ13Aの構成を示す断面図である。
【0076】
図19に示すように、本実施形態による電子回路パッケージ13Aは、磁性モールド樹脂40の上面41及び側面42、並びに、基板20の側面27を覆う金属膜60をさらに備えている点において、図1に示した第1の実施形態による電子回路パッケージ11Aと相違している。また、内部配線25のうち、符号の末尾にGが付された内部配線25は、電源パターンであり、その一部は基板20の側面27に露出している。電源パターン25Gは、典型的には、接地電位が与えられるグランドパターンであるが、固定電位が与えられるパターンであればグランドパターンに限定されるものではない。その他の構成は、第1の実施形態による電子回路パッケージ11Aと同一であることから、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0077】
金属膜60は電磁気シールドであり、Au、Ag、Cu及びAlからなる群から選ばれた少なくとも1つの金属を主成分とすることが好ましい。金属膜60はできるだけ低抵抗であることが好ましく、コストなどを鑑みるとCuを用いることが最も好ましい。また、金属膜60の外側表面は、SUS,Ni,Cr,Ti,黄銅などの防食性の金属、或いは、エポキシ、フェノール、イミド、ウレタン、シリコーンなどの樹脂からなる酸化防止被覆で覆われていることが好ましい。これは、金属膜60は熱、湿度などの外部環境で酸化劣化するため、これを抑制及び防止するために上記処理を施すことが好ましい。金属膜60の形成方法は、スパッタリング法、蒸着法、無電解メッキ法、電解メッキ法など公知の方法より適時選択すればよく、金属膜60を形成する前に密着性向上前処理であるプラズマ処理、カップリング処理、ブラスト処理、エッチング処理などを施しても良い。さらに、金属膜60の下地として、チタンやクロム、SUSなどの高密着性金属膜を事前に薄く形成しても構わない。
【0078】
図19に示すように、基板20の側面27には電源パターン25Gが露出しており、金属膜60は基板20の側面27を覆うことによって電源パターン25Gと接続されている。
【0079】
金属膜60と磁性モールド樹脂40の界面における抵抗値は、10Ω以上であることが好ましい。これによれば、電磁波ノイズが金属膜60に入射することにより生じる渦電流がほとんど磁性モールド樹脂40に流れ込まないことから、渦電流の流入による磁性モールド樹脂40の磁気特性の低下を防止することが可能となる。金属膜60と磁性モールド樹脂40の界面における抵抗値とは、両者が直接接している場合には磁性モールド樹脂40の表面抵抗を指し、両者間に絶縁膜が存在する場合には、絶縁膜の表面抵抗を指す。尚、金属膜60と磁性モールド樹脂40の界面における抵抗値は、全面に亘って10Ω以上であることが好ましいが、部分的に抵抗値が10Ω未満である領域が存在しても構わない。
【0080】
磁性モールド樹脂40の表面抵抗値は、基本的に、磁性モールド樹脂40の体積抵抗率とおおよそ一致する。したがって、磁性モールド樹脂40の体積抵抗率が1010Ω・cm以上であれば、基本的に、磁性モールド樹脂40の表面抵抗値も1010Ω以上となる。しかしながら、図5を用いて説明したように、磁性モールド樹脂40は製造時においてダイシングされるため、切断面(つまり側面42)に磁性フィラー6が露出することがあり、この場合は、体積抵抗率に比べて側面42の表面抵抗値が低くなる可能性がある。同様に、低背化や粗面化を目的として磁性モールド樹脂40の上面41を研削した場合にも、上面41に軟磁性金属からなる磁性フィラー6が露出することがあり、この場合は、体積抵抗率に比べて上面41の表面抵抗値が低くなる可能性がある。その結果、磁性モールド樹脂40の体積抵抗率が1010Ω・cm以上であっても、磁性モールド樹脂40の表面抵抗値が1010Ω未満となることがあるが、このような場合であっても、磁性モールド樹脂40の表面抵抗値が10Ω以上であれば、渦電流の流入を防止することができる。
【0081】
また、磁性モールド樹脂40の上面41又は側面42の表面抵抗値が10Ω未満に低下する場合は、磁性モールド樹脂40の上面41又は側面42に薄い絶縁材料を形成すればよい。図20は、第1の変形例による電子回路パッケージ13Bの構成を示す断面図であり、磁性モールド樹脂40の上面41及び側面42と金属膜60の間に薄い絶縁膜70が介在している点において、図19に示した電子回路パッケージ13Aと相違している。このような絶縁膜70を介在させれば、磁性モールド樹脂40の上面41又は側面42の表面抵抗値が10Ω未満に低下している場合であっても、金属膜60と磁性モールド樹脂40の界面における抵抗値を10Ω以上とすることが可能となり、渦電流による磁気特性の低下を防止することが可能となる。
【0082】
図21は、本実施形態の第2の変形例による電子回路パッケージ13Cの構成を示す断面図である。
【0083】
図21に示すように、本実施形態の第2の変形例による電子回路パッケージ13Cは、磁性モールド樹脂40の平面サイズが基板20の平面サイズよりも僅かに小さく、これにより、基板20の表面21の外周部が磁性モールド樹脂40から露出している点において、図19に示した電子回路パッケージ13Aと相違している。その他の構成は、図19に示した電子回路パッケージ13Aと同一であることから、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0084】
本変形例による電子回路パッケージ13Cが例示するように、本発明において、磁性モールド樹脂40の側面42が基板20の側面27と同一平面を構成していることは必須でなく、磁性モールド樹脂40の方が小さくても構わない。
【0085】
また、第3の変形例である図22に示す電子回路パッケージ13Dに示すように、金属膜60が基板20の側面27を覆わない構造であっても構わない。この場合、基板20の表面21のうち、磁性モールド樹脂40から露出する外周部に電源パターン28Gが設けられており、この電源パターン28Gが金属膜60に接している。これにより、金属膜60にはグランド電位などの固定電位が与えられる。
【0086】
図23は、本実施形態の第4の変形例による電子回路パッケージ13Eの構成を示す断面図である。
【0087】
図23に示すように、本実施形態の第4の変形例による電子回路パッケージ13Eは、磁性モールド樹脂40の平面サイズが基板20の平面サイズよりも僅かに大きい点において、図19に示した電子回路パッケージ13Aと相違している。その他の構成は、図19に示した電子回路パッケージ13Aと同一であることから、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0088】
本変形例による電子回路パッケージ13Eが例示するように、本発明において、基板20よりも磁性モールド樹脂40の方が大きな平面サイズを有していても構わない。
【0089】
このように、本実施形態による電子回路パッケージ13A〜13Eは、磁性モールド樹脂40を用いるとともに、その表面が金属膜60で覆われていることから、複合シールド構造を得ることができる。これにより、低背化を実現しつつ、電子部品31,32から放射される電磁波ノイズや、外部から電子部品31,32に入射する電磁波ノイズを効果的に遮蔽することができる。特に、本実施形態による電子回路パッケージ13A〜13Eは、電子部品31,32から放射される電磁波ノイズをより効果的に遮蔽することができる。これは、電子部品31,32から発生した電磁波ノイズが磁性モールド樹脂40を通過する際にその一部が吸収され、吸収されなかった電磁波ノイズの一部が金属膜60で反射し、磁性モールド樹脂40を再び通過するからである。このように、磁性モールド樹脂40は入射した電磁波ノイズに対して2度作用するので、電子部品31,32から放射される電磁波ノイズを効果的に遮蔽することができる。
【0090】
また、本実施形態による電子回路パッケージ13A〜13Eにおいて、磁性モールド樹脂40の体積抵抗率を1010Ω・cm以上とすれば、モールド部材に求められる十分な絶縁性を確保することができる。しかも、磁性モールド樹脂40と金属膜60の界面における抵抗値を10Ω以上とすれば、電磁波ノイズが金属膜60に入射することにより生じる渦電流がほとんど磁性モールド樹脂40に流れ込まない。このため、渦電流の流入による磁性モールド樹脂40の磁気特性の低下を防止することが可能となる。
【0091】
図24は、電子回路パッケージ13Aのノイズ減衰量を示すグラフであり、基板20の厚さが0.25mmであり、磁性モールド樹脂40の厚さが0.50mmである場合を示している。金属膜60についてはCuとNiの積層膜とし、Cuの膜厚が異なる2種類の金属膜60について評価している。具体的には、サンプルAの金属膜60は4μmのCuと2μmのNiが積層された構成を有し、サンプルBの金属膜60は7μmのCuと2μmのNiが積層された構成を有している。比較のため、磁性フィラー6を含まないモールド材料を用いたサンプルC,Dの値も示されている。サンプルCの金属膜60は4μmのCuと2μmのNiが積層された構成を有し、サンプルDの金属膜60は7μmのCuと2μmのNiが積層された構成を有している。
【0092】
図24に示すように、磁性フィラー6を含まないモールド材料を用いた場合と比べ、磁性フィラー6を含む複合磁性封止材料2を用いると、特に100MHz以下の周波数帯におけるノイズ減衰量が高まることが分かる。また、金属膜60については、厚さが厚い方が高いノイズ減衰特性を得ることができる。
【0093】
図25図27は、電子回路パッケージ13Aに含まれる金属膜60の膜厚とノイズ減衰量との関係を示すグラフである。図25は20MHz、図26は50MHz、図27は100MHzにおけるノイズ減衰量を示している。比較のため、磁性フィラー6を含まないモールド材料を用いた場合の値も示されている。
【0094】
図25図27に示すように、いずれの周波数帯においても、金属膜60の厚さが厚いほど、高いノイズ減衰特性が得られることが分かる。また、いずれの周波数帯においても、磁性フィラー6を含まないモールド材料を用いた場合と比べ、磁性フィラー6を含む複合磁性封止材料2を用いることにより、高いノイズ減衰特性が得られることが分かる。
【0095】
図28は、電子回路パッケージ11A(金属膜無)と電子回路パッケージ13A(金属膜有)の昇温及び降温時における基板20のソリ量を示すグラフである。比較のため、図29には、磁性フィラー6をSiOからなる非磁性フィラーで置き換えた場合の値が示されている。
【0096】
図28に示すように、金属膜60を有する電子回路パッケージ13Aの方が、金属膜60を持たない電子回路パッケージ11Aよりも温度変化による基板20のソリが小さいことが分かる。また、図28図29を比較すると明らかなように、磁性フィラー6を含む複合磁性封止材料2を用いた電子回路パッケージ11A,13Aのソリ特性は、SiOからなる非磁性フィラーを含むモールド材料を用いた場合とほぼ同等である。
【0097】
<第4の実施形態>
図30は、本発明の第4の実施形態による電子回路パッケージ14Aの構成を示す断面図である。
【0098】
図30に示すように、本実施形態による電子回路パッケージ14Aは、基板20及び金属膜60の形状が相違する点を除き、図19に示した第3の実施形態による電子回路パッケージ13Aと同一である。このため、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0099】
本実施形態においては、基板20の側面27が階段状となっている。具体的には、側面上部27aよりも側面下部27bが突出した形状を有している。そして、金属膜60は、基板20の側面全体に形成されているのではなく、側面上部27aと段差部分27cを覆うように設けられており、側面下部27bは金属膜60で覆われていない。本実施形態においても、基板20の側面上部27aにて電源パターン25Gが露出していることから、この部分を介して金属膜60が電源パターン25Gに接続される。
【0100】
図31及び図32は、電子回路パッケージ14Aの製造方法を説明するための工程図である。
【0101】
まず、図3及び図4を用いて説明した方法により、集合基板20Aの表面21に磁性モールド樹脂40を形成した後、図31に示すように、ダイシング位置を示す破線aに沿って溝43を形成する。本実施形態においては、電源パターン25Gがダイシング位置である破線aを横切っているため、破線aに沿って集合基板20Aを切断すると、基板20の側面27からは電源パターン25Gが露出する。溝43は、磁性モールド樹脂40を完全に切断し、且つ、集合基板20Aを完全には切断しない深さとする。これにより、溝43の内部に磁性モールド樹脂40の側面42と、基板20の側面上部27a及び段差部分27cが露出することになる。ここで、側面上部27aの深さとしては、少なくとも電源パターン25Gが露出する深さに設定する必要がある。
【0102】
次に、図32に示すように、スパッタリング法、蒸着法、無電解メッキ法、電解メッキ法などを用いて金属膜60を形成する。これにより、磁性モールド樹脂40の上面41及び溝43の内部が金属膜60によって覆われる。この時、基板20の側面上部27aに露出する電源パターン25Gは、金属膜60に接続されることになる。
【0103】
そして、破線aに沿って集合基板20Aを切断することにより基板20を個片化すれば、本実施形態による電子回路パッケージ14Aが完成する。
【0104】
このように、本実施形態による電子回路パッケージ14Aの製造方法によれば、溝43を形成していることから、集合基板20Aを個片化する前に金属膜60を形成することができ、金属膜60の形成が容易かつ確実となる。
【0105】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【実施例】
【0106】
<複合磁性封止材料の作成>
主剤としてDIC社製830S(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、硬化剤として主剤に対し0.5当量の日本カーバイド工業社製DicyDD(ジジアンジアミド)、硬化促進剤として主剤に対し1wt%の四国化成工業社製C11Z−CN(イミダゾール)をそれぞれ使用し、樹脂材料を調製した。
【0107】
上記の樹脂材料に、図33に示す組成を有する磁性フィラーを50体積%、60体積%または70体積%加え、よく混錬してペーストを得た。なお、ペースト化できない場合は適時ブチルカルビトールアセテートを加えた。このペーストを厚み約300μmとなるように塗布し、100℃で1時間、130℃で1時間、150℃で1時間、180℃で1時間の順に熱硬化させ、硬化物シートを得た。組成1(比較例)は、一般にPBパーマロイと呼ばれる磁性材料である。
【0108】
<熱膨張係数の測定>
上記の硬化物シートを長さ12mm、幅5mmにカットし、TMAを用いて室温から200℃まで5℃/分で昇温させ、ガラス転移温度より低い50℃〜100℃の温度範囲での膨張量から熱膨張係数を算出した。測定の結果を図34に示す。図34には、磁性フィラーの代わりにSiOからなる非磁性フィラーを用いた場合の結果も示されている。
【0109】
図34に示すように、組成2及び組成3の磁性フィラーを用いた場合、組成1の磁性フィラー(比較例)を用いた場合と比べて、熱膨張係数が大幅に小さくなった。特に、添加量が60体積%以上である場合には、SiOからなる非磁性フィラーを用いた場合と同等の熱膨張係数が得られ、添加量が70体積%である場合には、熱膨張係数が10ppm/℃以下であった。
【0110】
<透磁率の測定>
上記の硬化物シートを外径7.9mm、内径3.1mmのリング形状にカットし、アジレント社製インピーダンスアナライザーE4991のマテリアルアナライザー機能を用いて、10MHzの実効透磁率(μ')を測定した。測定の結果を図35に示す。
【0111】
図35に示すように、組成2及び組成3の磁性フィラーを用いた場合に得られる透磁率は、組成1の磁性フィラー(比較例)を用いた場合に得られる透磁率とほぼ同等であった。
【0112】
<考察>
組成2及び組成3の磁性フィラーを樹脂材料に添加してなる複合磁性封止材料は、SiOからなる非磁性フィラーを用いた場合と同等の熱膨張係数が得られるとともに、PBパーマロイからなる磁性フィラーを用いた場合と同等の透磁率を得ることができた。このため、組成2または組成3の磁性フィラーを樹脂材料に添加してなる複合磁性封止材料を電子回路パッケージ用の封止材として用いれば、基板のソリ、モールド材の界面剥離、モールド材のクラックなどを防止しつつ、高い磁気シールド特性を得ることが可能となる。
【符号の説明】
【0113】
2 複合磁性封止材料
4 樹脂材料
6 磁性フィラー
7 絶縁コート
8 非磁性フィラー
11A,11B,12A,13A〜13E,14A 電子回路パッケージ
20 基板
20A 集合基板
21 基板の表面
22 基板の裏面
23 ランドパターン
24 ハンダ
25 内部配線
25G 電源パターン
26 外部端子
27 基板の側面
27a 基板の側面上部
27b 基板の側面下部
27c 基板の段差部分
28G 電源パターン
31,32 電子部品
40 磁性モールド樹脂
41 磁性モールド樹脂の上面
42 磁性モールド樹脂の側面
43 溝
50 非磁性部材
60 金属膜
70 絶縁膜
80 金型
81 流路
図1
図2
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