特開2017-200482(P2017-200482A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特開2017-200482CSF1R阻害剤を用いるための組成物及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-200482(P2017-200482A)
(43)【公開日】2017年11月9日
(54)【発明の名称】CSF1R阻害剤を用いるための組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/09 20060101AFI20171013BHJP
   C07K 16/24 20060101ALI20171013BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20171013BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20171013BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20171013BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20171013BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20171013BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20171013BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20171013BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20171013BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20171013BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20171013BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20171013BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20171013BHJP
【FI】
   C12N15/00 AZNA
   C07K16/24
   C12P21/08
   C07K16/46
   C12N1/15
   C12N1/21
   C12N1/19
   C12N5/10
   A61K39/395 N
   A61P1/04
   A61P19/02
   A61P25/00
   A61P29/00 101
   A61P37/06
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】106
(21)【出願番号】特願2017-116326(P2017-116326)
(22)【出願日】2017年6月13日
(62)【分割の表示】特願2014-555859(P2014-555859)の分割
【原出願日】2013年2月6日
(31)【優先権主張番号】61/595,658
(32)【優先日】2012年2月6日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/680,674
(32)【優先日】2012年8月7日
(33)【優先権主張国】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.UNIX
(71)【出願人】
【識別番号】509012625
【氏名又は名称】ジェネンテック, インコーポレイテッド
【住所又は居所】アメリカ合衆国 カリフォルニア州 サウス サンフランシスコ ディーエヌエー ウェイ 1
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】マー, シャオレイ
【住所又は居所】アメリカ合衆国 カリフォルニア 94530, エル サリート, サン パブロ アヴェニュー 11720, アパートメント 204
(72)【発明者】
【氏名】チェン, ヨンメイ
【住所又は居所】アメリカ合衆国 カリフォルニア 94080, サウス サン フランシスコ, ディーエヌエー ウェイ 1, シー/オー ジェネンテック, インコーポレイテッド
(72)【発明者】
【氏名】スターウィッキ, スコット
【住所又は居所】アメリカ合衆国 カリフォルニア 94080, サウス サン フランシスコ, ディーエヌエー ウェイ 1, シー/オー ジェネンテック, インコーポレイテッド
(72)【発明者】
【氏名】ウー, イェン
【住所又は居所】アメリカ合衆国 カリフォルニア 94080, サウス サン フランシスコ, ディーエヌエー ウェイ 1, シー/オー ジェネンテック, インコーポレイテッド
(72)【発明者】
【氏名】マーティン, フラビウス
【住所又は居所】アメリカ合衆国 カリフォルニア 94080, サウス サン フランシスコ, ディーエヌエー ウェイ 1, シー/オー ジェネンテック, インコーポレイテッド
(72)【発明者】
【氏名】リン, ウェイ ユイ
【住所又は居所】アメリカ合衆国 カリフォルニア 94080, サウス サン フランシスコ, ディーエヌエー ウェイ 1, シー/オー ジェネンテック, インコーポレイテッド
(72)【発明者】
【氏名】スタロヴァスニク, メリッサ エー.
【住所又は居所】アメリカ合衆国 カリフォルニア 94080, サウス サン フランシスコ, ディーエヌエー ウェイ 1, シー/オー ジェネンテック, インコーポレイテッド
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG27
4B064CA19
4B064CC24
4B064CE07
4B064CE12
4B064DA01
4B065AA93X
4B065AA94Y
4B065AA95X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065BD14
4B065CA25
4B065CA44
4C085AA14
4C085AA15
4C085AA16
4C085BB36
4C085CC01
4C085CC02
4C085DD62
4C085EE01
4C085GG01
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
4H045GA22
4H045GA26
(57)【要約】      (修正有)
【課題】抗IL−34抗体抗体を含めたCSF1−R経路阻害剤、並びにこれらを用いる、骨髄病原性免疫疾患を治療するための方法を提供する。
【解決手段】抗IL−34抗体、二重特異性抗IL−34/CSF−1抗体、及び抗CSF−1R抗体を含めたCSF1−R経路阻害剤。関節リウマチ、炎症性腸疾患、多発性硬化症、マクロファージ活性化症候群(MAS)、円板状ループス、サルコイドーシス、血管炎、及び移植片対宿主病である、骨髄病原性免疫疾患を治療するための方法。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトIL−34に結合する単離抗体であって、ヒトIL−34のアミノ酸残基Glu103、Leu109、Gln106、Asn150、Leu127、Asn128、Ser184、Leu186、Asn187、Lys44、Glu121、Asp107、Glu111、Ser104、Gln120、Trp116、及びAsn61のうちの少なくとも一つを含むエピトープに結合し、アミノ酸残基の位置が配列番号1における位置に基づき、前記抗体が、ヒトIL−34とヒトCSF−1Rとの間の結合を阻害する、抗体。
【請求項2】
ヒトIL−34に結合する単離抗体であって、ヒトIL−34のアミノ酸残基Glu103〜Asn150のうちの少なくとも一つを含むエピトープに結合し、アミノ酸残基の位置が配列番号1に基づき、前記抗体が、ヒトIL−34とヒトCSF−1Rとの間の結合を阻害する、抗体。
【請求項3】
ヒトIL−34のアミノ酸残基Glu103、Leu109、Gln106、及びAsn150のうちの少なくとも一つを含むエピトープに結合し、アミノ酸残基の位置が配列番号1における位置に基づく、請求項1又は請求項2に記載の抗体。
【請求項4】
前記エピトープが、ヒトIL−34のアミノ酸残基Ser100、Glu123、Trp116、Thr124、Leu127、Asn128、Gln131、及びThr134のうちの少なくとも一つを更に含み、アミノ酸残基の位置が配列番号1における位置に基づく、請求項3に記載の抗体。
【請求項5】
ヒトIL−34の100〜108、116〜134、109、及び150位内のアミノ酸に結合し、アミノ酸残基の位置が配列番号1における位置に基づく、請求項3又は請求項4に記載の抗体。
【請求項6】
ヒトIL−34のアミノ酸残基Asn128、Ser184、Leu186、Asn187、Lys44、及びGlu121のうちの少なくとも一つを含むエピトープに結合し、アミノ酸残基の位置が配列番号1における位置に基づく、請求項1に記載の抗体。
【請求項7】
前記エピトープが、ヒトIL−34のアミノ酸残基Phe40、Asp43、Leu125、Gln189、Thr36、及びVal185のうちの少なくとも一つを更に含み、アミノ酸残基の位置が配列番号1における位置に基づく、請求項6に記載の抗体。
【請求項8】
ヒトIL−34の36〜44、121〜128、及び184〜187位内のアミノ酸に結合し、アミノ酸残基の位置が配列番号1における位置に基づく、請求項6又は請求項7に記載の抗体。
【請求項9】
ヒトIL−34のアミノ酸残基Glu103〜Leu127のうちの少なくとも一つを含むエピトープに結合し、アミノ酸残基の位置が配列番号1における位置に基づく、請求項1又は請求項2に記載の抗体。
【請求項10】
ヒトIL−34のアミノ酸残基Asp107、Glu111、Ser104、Gln120、Glu103、Leu109、Trp116、及びAsn61のうちの少なくとも一つを含むエピトープに結合し、アミノ酸残基の位置が配列番号1における位置に基づく、請求項1に記載の抗体。
【請求項11】
前記エピトープが、ヒトIL−34のアミノ酸残基Pro152、Val108、Leu110、Gln106、Glu123、Leu127、Lys117、Ile60、及びLys55のうちの少なくとも一つを更に含み、アミノ酸残基の位置が配列番号1における位置に基づく、請求項10に記載の抗体。
【請求項12】
ヒトIL−34の55〜61、100〜108、109、111〜127、及び152位内のアミノ酸に結合し、アミノ酸残基の位置が配列番号1における位置に基づく、請求項10又は請求項11に記載の抗体。
【請求項13】
配列番号3のアミノ酸配列に対する配列同一性が少なくとも90%である重鎖可変領域配列、及び/又は配列番号4のアミノ酸配列に対する配列同一性が少なくとも90%である軽鎖可変領域配列を含む、請求項10から12の何れか一項に記載の抗体。
【請求項14】
配列番号3のアミノ酸配列である重鎖可変領域配列、及び/又は配列番号4のアミノ酸配列である軽鎖可変領域配列を含む、請求項10から13の何れか一項に記載の抗体。
【請求項15】
(a)アミノ酸配列GLGKGSKRGAMDY(配列番号33)を含むHVR−H3;(b)アミノ酸配列QQSFYFPNT(配列番号39)を含むHVR−L3;及び(c)アミノ酸配列RISPYYYYSDYADSVKG(配列番号52)を含むHVR−H2を含む、請求項10から12の何れか一項に記載の抗体。
【請求項16】
(a)アミノ酸配列STWIH(配列番号59)を含むHVR−H1;(b)アミノ酸配列RISPYYYYSDYADSVKG(配列番号52)を含むHVR−H2;及び(c)アミノ酸配列GLGKGSKRGAMDY(配列番号33)を含むHVR−H3を含む、請求項10から12の何れか一項に記載の抗体。
【請求項17】
(a)アミノ酸配列RASQDVSTAVA(配列番号50)を含むHVR−L1;(b)アミノ酸配列SASFLYS(配列番号53)を含むHVR−L2;及び(c)アミノ酸配列QQSFYFPNT(配列番号39)を含むHVR−L3を含む、請求項10から12及び16の何れか一項に記載の抗体。
【請求項18】
IL−34の二量体に結合する、請求項1から17の何れか一項に記載の抗体。
【請求項19】
ヒトIL−34二量体の両方のプロトマーにわたるエピトープに結合する、請求項18に記載の抗体。
【請求項20】
ヒトIL−34に結合する単離抗体であって、ヒトIL−34とヒトCSF−1Rとの間の結合を阻害し、IL−34の二量体に結合する抗体。
【請求項21】
(a)アミノ酸配列GLGKGSKRGAMDY(配列番号33)又はGINQGSKRGAMDY(配列番号32)を含むHVR−H3;(b)アミノ酸配列QQSFYFPNT(配列番号39)又はQQSYTTPPT(配列番号43)又はQQYTALPYT(配列番号49)又はQQYSDLPYT(配列番号45)又はQQYSDVPYT(配列番号47)又はQQSRTARPT(配列番号41)を含むHVR−L3;及び(c)アミノ酸配列RISPYYYYSDYADSVKG(配列番号52)又はRISPYSGYTNYADSVKG(配列番号51)を含むHVR−H2を含む、請求項20に記載の抗体。
【請求項22】
(a)アミノ酸配列STWIH(配列番号59)を含むHVR−H1;(b)アミノ酸配列RISPYYYYSDYADSVKG(配列番号52)又はRISPYSGYTNYADSVKG(配列番号51)を含むHVR−H2;及び(c)アミノ酸配列GLGKGSKRGAMDY(配列番号33)又はGINQGSKRGAMDY(配列番号32)を含むHVR−H3を含む、請求項20に記載の抗体。
【請求項23】
(a)アミノ酸配列RASQDVSTAVA(配列番号50)を含むHVR−L1;(b)アミノ酸配列SASFLYS(配列番号53)を含むHVR−L2;及び(c)アミノ酸配列QQSFYFPNT(配列番号39)又はQQSYTTPPT(配列番号43)又はQQYTALPYT(配列番号49)又はQQYSDLPYT(配列番号45)又はQQYSDVPYT(配列番号47)又はQQSRTARPT(配列番号41)又はQQSFYFPN(配列番号38)又はQQSYTTPP(配列番号42)又はQQYTALPY(配列番号48)又はQQYSDLPY(配列番号44)又はQQYSDVPY(配列番号46)又はQQSRTARP(配列番号40)を含むHVR−L3を含む、請求項20又は請求項22に記載の抗体。
【請求項24】
(a)アミノ酸配列GLGKGSKRGAMDY(配列番号33)を含むHVR−H3;(b)アミノ酸配列QQYSDLPYT(配列番号45)を含むHVR−L3;及び(c)アミノ酸配列RISPYSGYTNYADSVKG(配列番号51)を含むHVR−H2を含む、請求項20に記載の抗体。
【請求項25】
(a)STWIH(配列番号59)のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)アミノ酸配列RISPYSGYTNYADSVKG(配列番号51)を含むHVR−H2;及び(c)アミノ酸配列GLGKGSKRGAMDY(配列番号33)を含むHVR−H3を含む、請求項20に記載の抗体。
【請求項26】
(a)RASQDVSTAVA(配列番号50)のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)アミノ酸配列SASFLYS(配列番号53)を含むHVR−L2;及び(c)アミノ酸配列QQYSDLPYT(配列番号45)を含むHVR−L3を含む、請求項20又は請求項25に記載の抗体。
【請求項27】
配列番号5のアミノ酸配列に対する配列同一性が少なくとも90%である重鎖可変領域配列、及び/又は配列番号6のアミノ酸配列に対する配列同一性が少なくとも90%である軽鎖可変領域配列を含む、請求項20から23の何れか一項に記載の抗体。
【請求項28】
配列番号5のアミノ酸配列である重鎖可変領域配列、及び/又は配列番号6のアミノ酸配列である軽鎖可変領域配列を含む、請求項20から23の何れか一項に記載の抗体。
【請求項29】
配列番号7のアミノ酸配列に対する配列同一性が少なくとも90%である重鎖可変領域配列、及び/又は配列番号8のアミノ酸配列に対する配列同一性が少なくとも90%である軽鎖可変領域配列を含む、請求項20から23の何れか一項に記載の抗体。
【請求項30】
配列番号7のアミノ酸配列である重鎖可変領域配列、及び/又は配列番号8のアミノ酸配列である軽鎖可変領域配列を含む、請求項20から23の何れか一項に記載の抗体。
【請求項31】
配列番号9のアミノ酸配列に対する配列同一性が少なくとも90%である重鎖可変領域配列、及び/又は配列番号10のアミノ酸配列に対する配列同一性が少なくとも90%である軽鎖可変領域配列を含む、請求項20から23の何れか一項に記載の抗体。
【請求項32】
配列番号9のアミノ酸配列である重鎖可変領域配列、及び/又は配列番号10のアミノ酸配列である軽鎖可変領域配列を含む、請求項20から23の何れか一項に記載の抗体。
【請求項33】
配列番号11のアミノ酸配列に対する配列同一性が少なくとも90%である重鎖可変領域配列、及び/又は配列番号12のアミノ酸配列に対する配列同一性が少なくとも90%である軽鎖可変領域配列を含む、請求項20から26の何れか一項に記載の抗体。
【請求項34】
配列番号11のアミノ酸配列である重鎖可変領域配列、及び/又は配列番号12のアミノ酸配列である軽鎖可変領域配列を含む、請求項20から26の何れか一項に記載の抗体。
【請求項35】
配列番号13のアミノ酸配列に対する配列同一性が少なくとも90%である重鎖可変領域配列、及び/又は配列番号14のアミノ酸配列に対する配列同一性が少なくとも90%である軽鎖可変領域配列を含む、請求項20から23の何れか一項に記載の抗体。
【請求項36】
配列番号13のアミノ酸配列である重鎖可変領域配列、及び/又は配列番号14のアミノ酸配列である軽鎖可変領域配列を含む、請求項20から23の何れか一項に記載の抗体。
【請求項37】
ヒトIL−34二量体の両方のプロトマーにわたるエピトープに結合する、請求項20から36の何れか一項に記載の抗体。
【請求項38】
IL−34活性を中和する、請求項20から37の何れか一項に記載の抗体。
【請求項39】
ヒトIL−34に結合する単離抗体であって、ヒトIL−34とヒトCSF−1Rとの間の結合を阻害し、IL−34活性を中和する、抗体。
【請求項40】
(a)アミノ酸配列SRGAYRFAY(配列番号56)を含むHVR−H3;(b)アミノ酸配列QQSYTTPPT(配列番号43)を含むHVR−L3;及び(c)アミノ酸配列SITPASGDTDYADSVKG(配列番号54)を含むHVR−H2を含む、請求項39に記載の抗体。
【請求項41】
(a)アミノ酸配列SNYIH(配列番号55)を含むHVR−H1;(b)アミノ酸配列SITPASGDTDYADSVKG(配列番号54)を含むHVR−H2;及び(c)アミノ酸配列SRGAYRFAY(配列番号56)を含むHVR−H3を含む、請求項39に記載の抗体。
【請求項42】
(a)アミノ酸配列RASQDVSTAVA(配列番号50)を含むHVR−L1;(b)アミノ酸配列SASFLYS(配列番号53)を含むHVR−L2;及び(c)アミノ酸配列QQSYTTPPT(配列番号43)を含むHVR−L3を含む、請求項39又は請求項41に記載の抗体。
【請求項43】
配列番号15のアミノ酸配列に対する配列同一性が少なくとも90%である重鎖可変領域配列、及び/又は配列番号16のアミノ酸配列に対する配列同一性が少なくとも90%である軽鎖可変領域配列を含む、請求項39から42の何れか一項に記載の抗体。
【請求項44】
配列番号15のアミノ酸配列である重鎖可変領域配列、及び/又は配列番号16のアミノ酸配列である軽鎖可変領域配列を含む、請求項39から43の何れか一項に記載の抗体。
【請求項45】
ヒトCSF−1とヒトCSF−1Rとの間の結合を阻害しない、請求項1から44の何れか一項に記載の抗体。
【請求項46】
モノクローナル抗体である、請求項1から45の何れか一項に記載の抗体。
【請求項47】
ヒト抗体、ヒト化抗体、又はキメラ抗体である、請求項1から46の何れか一項に記載の抗体。
【請求項48】
二重特異性抗体である、請求項1から47の何れか一項に記載の抗体。
【請求項49】
二重特異性抗体が、ヒトCSF−1に対する第2の結合特異性を含む、請求項48に記載の抗体。
【請求項50】
ヒトIL−34(配列番号1)に対する第1の結合特異性と、ヒトCSF−1に対する第2の結合特異性とを含む、二重特異性抗体。
【請求項51】
ヒトIL−34のヒトCSF−1Rへの結合を阻害し、ヒトCSF−1のヒトCSF−1Rへの結合を阻害する、請求項50に記載の二重特異性抗体。
【請求項52】
ヒトIL−34に結合する抗体断片である、請求項1から51の何れか一項に記載の抗体。
【請求項53】
Fab断片、Fab’断片、Fab’−SH断片、F(ab’)断片、Fv断片、又はscFv断片である、請求項52に記載の断片。
【請求項54】
1アーム抗体である、請求項1から51の何れか一項に記載の抗体。
【請求項55】
線状抗体である、請求項1から51の何れか一項に記載の抗体。
【請求項56】
全長IgG1又はIgG4抗体である、請求項1から55の何れか一項に記載の抗体。
【請求項57】
ヒトCSF−1Rに結合する単離抗体であって、ヒトCSF−1Rのアミノ酸残基Arg144、Gln248、Gln249、Ser250、Phe252、及びAsn254のうちの少なくとも一つを含むエピトープに結合し、アミノ酸残基の位置が配列番号2における位置に基づき、前記抗体が、ヒトIL−34とヒトCSF−1Rとの間の結合を阻害する、抗体。
【請求項58】
CSF−1Rのアミノ酸残基Arg144を含むエピトープに結合し、アミノ酸残基の位置が配列番号2における位置に基づく、請求項57に記載の抗体。
【請求項59】
前記エピトープが、ヒトCSF−1Rのアミノ酸残基Arg142、Arg146、及びArg150のうちの少なくとも一つを更に含み、アミノ酸残基の位置が配列番号2における位置に基づく、請求項58に記載の抗体。
【請求項60】
前記エピトープが、ヒトCSF−1Rのアミノ酸残基Ser172及びArg192のうちの少なくとも一つを更に含み、アミノ酸残基の位置が配列番号2における位置に基づく、請求項58又は59に記載の抗体。
【請求項61】
前記エピトープが、ヒトCSF−1Rのアミノ酸残基Arg146、Met149、Arg150、Phe169、Ile170、及びGln173のうちの少なくとも一つを更に含み、アミノ酸残基の位置が配列番号2における位置に基づく、請求項58から60の何れか一項に記載の抗体。
【請求項62】
ヒトCSF−1Rの142〜150及び169〜173位内のアミノ酸に結合し、アミノ酸残基の位置が配列番号2における位置に基づく、請求項58から61の何れか一項に記載の抗体。
【請求項63】
ヒトCSF−1Rのアミノ酸残基Gln248、Gln249、Ser250、Phe252、及びAsn254のうちの少なくとも一つを含むエピトープに結合し、アミノ酸残基の位置が配列番号2における位置に基づく、請求項57に記載の抗体。
【請求項64】
前記エピトープが、ヒトCSF−1Rのアミノ酸残基Tyr257を更に含み、アミノ酸残基の位置が配列番号2における位置に基づく、請求項63に記載の抗体。
【請求項65】
前記エピトープが、ヒトCSF−1Rのアミノ酸残基Pro247、Gln258、及びLys259のうちの少なくとも一つを更に含み、アミノ酸残基の位置が配列番号2における位置に基づく、請求項63又は64に記載の抗体。
【請求項66】
前記エピトープが、ヒトCSF−1Rのアミノ酸残基Val231、Asp251、及びTyr257のうちの少なくとも一つを更に含み、アミノ酸残基の位置が配列番号2における位置に基づく、請求項63から65の何れか一項に記載の抗体。
【請求項67】
ヒトCSF−1Rの231、248〜252、及び254位内のアミノ酸残基に結合し、アミノ酸残基の位置が配列番号2における位置に基づく、請求項63から66の何れか一項に記載の抗体。
【請求項68】
請求項1から67の何れか一項に記載の抗体をコードする単離核酸。
【請求項69】
請求項68に記載の核酸を含むベクター。
【請求項70】
請求項69に記載の核酸を含む宿主細胞。
【請求項71】
抗体を作製する方法であって、請求項70に記載の宿主細胞を、抗体が産生されるように培養することを含む、方法。
【請求項72】
宿主細胞により産生される抗体を回収することを更に含む、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
請求項1から67の何れか一項に記載の抗体と薬学的に許容される担体とを含有する薬学的組成物。
【請求項74】
医薬としての使用のための、請求項1から67の何れか一項に記載の抗体。
【請求項75】
骨髄病原性免疫疾患の治療における使用のための、請求項1から67の何れか一項に記載の抗体。
【請求項76】
ヒトIL−34とヒトCSF−1Rとの間の結合の阻害における使用のための、請求項1から67の何れか一項に記載の抗体。
【請求項77】
医薬の製造における、請求項1から67の何れか一項に記載の抗体の使用。
【請求項78】
医薬が、骨髄病原性免疫疾患を治療するための医薬である、請求項77に記載の使用。
【請求項79】
医薬が、ヒトIL−34とヒトCSF−1Rとの間の結合、及びヒトCSF1とヒトCSF1Rとの間の結合の両方を阻害する、請求項77に記載の使用。
【請求項80】
骨髄病原性免疫疾患を有する個体を治療する方法において、請求項1から67の何れか一項に記載の抗体の有効量を該個体に投与することを含む、方法。
【請求項81】
骨髄病原性免疫疾患を有する個体を治療する方法において、請求項1から47の何れか一項に記載の抗体の有効量を、ヒトCSF−1に結合する抗体と共に該個体に投与することを含む、方法。
【請求項82】
前記抗体が、二重特異性抗体であり、ヒトIL−34及びヒトCSF−1の活性が阻害される、請求項80に記載の方法。
【請求項83】
ヒトIL−34及びヒトCSF−1の活性が阻害される、請求項81に記載の方法。
【請求項84】
ヒトIL−34のヒトCSF−1Rへの結合が阻害され、ヒトCSF−1とヒトCSF−1Rとの結合が阻害される、請求項82又は請求項83に記載の方法。
【請求項85】
骨髄病原性免疫疾患が、関節リウマチ、炎症性腸疾患、多発性硬化症、マクロファージ活性化症候群(MAS)、円板状ループス、サルコイドーシス、血管炎、及び移植片対宿主病である、請求項80から84の何れか一項に記載の方法。
【請求項86】
個体におけるヒトIL−34とヒトCSF−1Rとの間の結合を阻害する方法であって、請求項1から67の何れか一項に記載の抗体の有効量を個体に投与することを含む、方法。
【請求項87】
治療される個体において骨髄病原性疾患のためのTNF療法及び/又はリツキシマブ療法に対する応答が不十分である、請求項80から86の何れか一項に記載の方法。
【請求項88】
請求項1から67の何れか一項に記載の抗体を含む製造品。
【請求項89】
請求項1から47の何れか一項に記載の抗体を含み、ヒトCSF−1に結合する抗体を更に含む製造品。
【請求項90】
個体における骨髄病原性免疫疾患を治療するために、有効量の抗体を個体に投与するための指示書を更に含む、請求項88に記載の製造品。
【請求項91】
個体における骨髄病原性免疫疾患を治療するために、有効量の、請求項1から47の何れか一項に記載の抗体及びヒトCSF−1に結合する抗体を、個体へと投与するための指示書を更に含む、請求項88に記載の製造品。
【請求項92】
骨髄病原性免疫疾患が、関節リウマチ、炎症性腸疾患、又は多発性硬化症である、請求項87から91の何れか一項に記載の製造品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗IL−34抗体、二重特異性IL−34/CSF1抗体及びCSF1R抗体を含む、CSF1−R経路阻害剤を用いるための組成物及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
C16orf77又はUNQ20374としてもまた知られているインターロイキン34(Clarkら、Genome Res、13:2265〜2270(2003))は近年、ヒト単球増殖スクリーニングにおいて、CSF−1Rの第2の高アフィニティーリガンドとして同定された(Linら、Science、320:807〜811(2008))。この発見は、多年にわたり、CSF−1Rヌルマウスにおける、CSF−1欠損CSF−1op/CSF−1opマウスより重度の表現型により予示されていた(Daiら、Blood、99:111〜120(2002))。CSF−1(また、M−CSF(マクロファージコロニー刺激因子)としても知られている)と同様に、よく特徴付けられたCSF−1RのリガンドであるIL−34は、ヒト単球におけるERK1/2のリン酸化を刺激し、ヒト骨髄培養物中の顆粒球マクロファージの前駆体(CFU−GM(顆粒球マクロファージコロニー形成単位))及び巨核球の前駆体(CFU−M(マクロファージコロニー形成単位))の形成を促進する(Linら、Science、320:807〜811(2008))。共通の受容体であり、癌原遺伝子c−fmsの転写物である、CSF−1Rにより媒介されて、IL−34及びCSF−1は、単球、マクロファージ、及び破骨細胞などの単核食細胞系統の細胞の分化、増殖、及び生存の鍵となる調節因子として用いられる(Droinら、Journal of leukocyte biology、87:745〜747(2010))。
【0003】
IL−34の機能は、CSF−1の機能と酷似するが、幾つかの注目すべき差違を伴う。何れのサイトカインも、細胞培養研究における細胞の増殖及び生存を同等に支援する(Chiharaら、Cell death and differentiaton、17:1917〜1927(2010);Weiら、Journal of leukocyte biology、88:495〜505(2010))。IL−34遺伝子は、CSF−1プロモーターの制御下で発現させたところ、CSF−1ヌル接合CSF−1op/CSF−1opマウスの表現型をレスキューすることが可能であった(Weiら、Journal of leukocyte biology、88:495〜505(2010))。IL−34はまた、CSF−1に代わって、RANKL(核因子κB活性化受容体リガンド)誘導性破骨細胞形成も支援することができる(Baud’huinら、The Journal of pathology、221:77〜86(2010))。しかし、2つの因子は、初代マクロファージにおけるMCP−1及びエオタクシン2などのケモカインの産生、TF−1−fms細胞における形態変化、及びJ774A.1細胞の遊走を誘導するそれらの能力が異なると考えられる(Chiharaら、Cell death and differentiaton、17:1917〜1927(2010))。IL−34は、CSF−1R及び下流のエフェクターの強力であるが一過性であるチロシンのリン酸化を誘導し、CSF−1Rの発現を迅速に下方調節することが示されている(Chiharaら、Cell death and differentiaton、17:1917〜1927(2010))。なおさらに、IL−34及びCSF−1は、胚組織及び成体組織のいずれにおいても、発現の示差的な時空パターンを呈示し、これらは、CSF−1Rの相補的な活性化をもたらす(Weiら、Journal of leukocyte biology、88:495〜505(2010))。最も顕著なことは、IL−34のメッセンジャーRNAは、胚の脳内でCSF−1Rと併せて検出されるが、CSF−1のメッセンジャーRNAは、胚の脳内でCSF−1Rと併せては検出されないことであり、これにより、CSF−1欠損マウスでもミクログリアは発生するが、CSF−1R欠損マウスではミクログリアが発生しないのはなぜかが説明されうるであろう(Ginhouxら、Science、330:841〜845(2010);Mizunoら、The American journal of pathology、179:2016〜2027(2011))。したがって、IL−34とCSF−1とは、互いに相似する一方で、それらの発生上の役割、生物学的活性、及びシグナル活性化の反応速度又は強度において必ずしも同一ではない。
【0004】
他のタンパク質との察知可能な配列類似性の欠如にもかかわらず、IL−34は、フォールド認識法により、CSF−1、SCF(幹細胞因子)、及びFlt3Lと同じファミリーに属する短鎖へリックス型サイトカインであることが提起された(Garceauら、Journal of leukocyte biology、87:753〜764(2010))。これら後者の3つの二量体の造血サイトカインは、膜結合形態を有するという点で、へリックス型サイトカインの中では固有である(Bazan、Cell、65:9〜10(1991a);Hannumら、Nature、368:643〜648(1994))が、IL−34は、疎水性の膜貫通セグメントを欠くという点で異なることが重要である。加えて、CSF−1、SCF、及びFlt3Lのサイトカイン二量体は、造血サイトカイン受容体(Bazan、Immunology today、11:350〜354(1990))の代わりに、PDGFR(血小板由来成長因子受容体)サブファミリー(III/V型)受容体のチロシンキナーゼ(RTK)ファミリー(Rosnetら、Critical reviews in oncogenesis、4:595〜613(1993))にも結合する。CSF−1、SCF、及びFlt3Lのサイトカイン二量体は、RTKファミリーの活性化リガンドであるPDGF及びVEGF(血管内皮細胞成長因子)というシスチンノット成長因子の二量体を機能的に模倣する(Savvidesら、Nature structural biology、7:486〜491(2000);Wiesmannら、Nature structural biology、7:440〜442(2000))。このRTKファミリーの全てのメンバーは、それらの細胞外領域における複数のIg様ドメイン、単一の膜貫通セグメント、及び大規模な挿入を伴う細胞質のチロシンキナーゼドメインを含む、類似する全体的アーキテクチャーを共有する。刺激されると、CSF−1Rは、二量体化し、マクロファージの分化に寄与するSH2含有エフェクタータンパク質のドッキング部位として用いられる、その細胞内ドメイン内のある種のチロシン残基を自己リン酸化させる(Pixleyら、Trends in cell biology、14:628〜638(2004))。
【0005】
CSF−1Rと複合した二量体のCSF−1の構造は、一方のCSF−1プロトマーがD2とD3との間のくぼみにおいてその受容体に接近する一方で、第2のCSF−1プロトマーは占有されずにとどまる、非対称の2:1複合体を明示する(Chenら、Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America、105:18267〜18272(2008))。しかし、CSF−1Rが、配列同一性が不十分な非近縁のリガンドであるIL−34もまた認識することが可能な分子的基礎は、本明細書で記載されるまで、捉えどころがないままであった。IL−34は、独立に機能することが可能であり、CSF−1とは相乗作用しない(Linら、Science、320:807〜811(2008))。実際、CSF−1は、CSF−1Rへの結合についてIL−34と競合する(Weiら、Journal of leukocyte biology、88:495〜505(2010))ことから、CSF−1R上の共通のリガンド結合部位が示唆される。しかし、これに対し、CSF−1Rとその2つのリガンドとの間の、近年の比較配列研究は、IL−34のCDループ、及びCSF−1RのD3とD4との間の接合部が、進化において、強い配列保存の相関係数を共有し、したがって、CSF−1/CSF−1R複合体により用いられる結合方式とは顕著に異なる固有の結合方式を表す可能性があることを示唆した(Garceauら、Journal of leukocyte biology、87:753〜764(2010))。抗CSF−1R抗体であるmAb 12−2D6は、IL−34及びCSF−1の両方の、CSF−1Rへの結合を遮断するが、別の抗体であるmAb 2−4A5は、CSF−1/CSF−1R間の結合だけを遮断することが報告されたことは興味深い(Chiharaら、Cell death and differentiaton、17:1917〜1927(2010))。これらの結果は、IL−34とCSF−1とは、CSF−1Rの表面上に重複する結合部位は有するが、同一な結合部位は有さないことを強力に示唆する。
【0006】
本明細書で引用される、特許出願及び刊行物を含めた全ての参考文献は、出典明示によりそれらの全体において本明細書に援用される。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、抗IL−34抗体、IL−34及びCSF−1に結合する二重特異性抗体、並びに抗CSF−1R抗体、並びにこれらを用いる方法を提供する。一実施態様では、本発明の抗体は、抗体依存性細胞介在性細胞傷害(ADCC)活性及び/又は補体依存性細胞傷害(CDC)活性が低減されている。具体的な一実施態様では、本発明の抗体は、少なくとも一つのFc領域の、以下の残基:238、265、269、270、297、327、及び329(EUによる番号付け)のうちの1又は複数における置換を含むことにより、ADCC活性が低減されている。具体的な一実施態様では、ADCC活性を低減するFc領域の置換は、残基297における置換である。別の実施態様では、ADCC活性を低減するFc領域の置換は、N297G又はN297Aである。別の実施態様では、ADCCを低減するFc置換は、D265Aである。更に別の実施態様では、ADCC活性を低減するFc置換は、残基265及び297のアラニンへの置換である。一実施態様では、二重特異性抗IL−34/抗CSF−1抗体は、KIH(knob−into−hole)二重特異性抗体である。
【0008】
本明細書では、ヒトIL−34に結合する単離抗体であって、ヒトIL−34のアミノ酸残基Glu103、Leu109、Gln106、Asn150、Leu127、Asn128、Ser184、Leu186、Asn187、Lys44、Glu121、Asp107、Glu111、Ser104、Gln120、Trp116、及びAsn61のうちの少なくとも一つを含むエピトープに結合し、アミノ酸残基の位置が配列番号1における位置に基づき、抗体が、ヒトIL−34とヒトCSF−1Rとの間の結合を阻害する、抗体が提示される。
【0009】
本明細書では、ヒトIL−34に結合する単離抗体であって、ヒトIL−34のアミノ酸残基Glu103〜Asn150のうちの少なくとも一つを含むエピトープに結合し、アミノ酸残基の位置が、配列番号1に基づき、抗体が、ヒトIL−34とヒトCSF−1Rとの間の結合を阻害する、抗体が提示される。
【0010】
幾つかの実施態様では、抗体は、ヒトIL−34のアミノ酸残基Glu103、Leu109、Gln106、及びAsn150のうちの少なくとも一つを含むエピトープに結合し、アミノ酸残基の位置は、配列番号1における位置に基づく。幾つかの実施態様では、エピトープは、ヒトIL−34のアミノ酸残基Ser100、Glu123、Trp116、Thr124、Leu127、Asn128、Gln131、及びThr134のうちの少なくとも一つを更に含み、アミノ酸残基の位置は、配列番号1における位置に基づく。幾つかの実施態様では、抗体は、ヒトIL−34の100〜108、116〜134、109、及び150位内のアミノ酸に結合し、アミノ酸残基の位置は、配列番号1における位置に基づく。
【0011】
幾つかの実施態様では、抗体は、ヒトIL−34のアミノ酸残基Asn128、Ser184、Leu186、Asn187、Lys44、及びGlu121のうちの少なくとも一つを含むエピトープに結合し、アミノ酸残基の位置は、配列番号1における位置に基づく。幾つかの実施態様では、エピトープは、ヒトIL−34のアミノ酸残基Phe40、Asp43、Leu125、Gln189、Thr36、及びVal185のうちの少なくとも一つを更に含み、アミノ酸残基の位置は、配列番号1における位置に基づく。幾つかの実施態様では、抗体は、ヒトIL−34の36〜44、121〜128、及び184〜187位内のアミノ酸に結合し、アミノ酸残基の位置は、配列番号1における位置に基づく。
【0012】
幾つかの実施態様では、抗体は、ヒトIL−34のアミノ酸残基Glu103〜Leu127のうちの少なくとも一つを含むエピトープに結合し、アミノ酸残基の位置は、配列番号1における位置に基づく。幾つかの実施態様では、抗体は、ヒトIL−34のアミノ酸残基Asp107、Glu111、Ser104、Gln120、Glu103、Leu109、Trp116、及びAsn61のうちの少なくとも一つを含むエピトープに結合し、アミノ酸残基の位置は、配列番号1における位置に基づく。幾つかの実施態様では、エピトープは、ヒトIL−34のアミノ酸残基Pro152、Val108、Leu110、Gln106、Glu123、Leu127、Lys117、Ile60、及びLys55のうちの少なくとも一つを更に含み、アミノ酸残基の位置は、配列番号1における位置に基づく。幾つかの実施態様では、抗体は、ヒトIL−34の55〜61、100〜108、109、111〜127、及び152位内のアミノ酸に結合し、アミノ酸残基の位置は、配列番号1における位置に基づく。
【0013】
幾つかの実施態様では、抗体は、配列番号3のアミノ酸配列に対する配列同一性が少なくとも90%である重鎖可変領域配列、及び/又は配列番号4のアミノ酸配列に対する配列同一性が少なくとも90%である軽鎖可変領域配列を含む。幾つかの実施態様では、抗体は、配列番号3のアミノ酸配列である重鎖可変領域配列、及び/又は配列番号4のアミノ酸配列である軽鎖可変領域配列を含む。幾つかの実施態様では、抗体は、(a)アミノ酸配列GLGKGSKRGAMDY(配列番号33)を含むHVR−H3;(b)アミノ酸配列QQSFYFPNT(配列番号39)を含むHVR−L3;及び(c)アミノ酸配列RISPYYYYSDYADSVKG(配列番号52)を含むHVR−H2を含む。幾つかの実施態様では、抗体は、(a)アミノ酸配列STWIH(配列番号59)を含むHVR−H1、(b)アミノ酸配列RISPYYYYSDYADSVKG(配列番号52)を含むHVR−H2;及び(c)アミノ酸配列GLGKGSKRGAMDY(配列番号33)を含むHVR−H3を含む。幾つかの実施態様では、抗体は、(a)アミノ酸配列RASQDVSTAVA(配列番号50)を含むHVR−L1;(b)アミノ酸配列SASFLYS(配列番号53)を含むHVR−L2;及び(c)アミノ酸配列QQSFYFPNT(配列番号39)を含むHVR−L3を含む。
【0014】
幾つかの実施態様では、抗体は、(a)アミノ酸配列GLGKGSKRGAMDY(配列番号33)又はGINQGSKRGAMDY(配列番号32)を含むHVR−H3;(b)アミノ酸配列QQSFYFPNT(配列番号39)又はQQSYTTPPT(配列番号43)又はQQYTALPYT(配列番号49)又はQQYSDLPYT(配列番号45)又はQQYSDVPYT(配列番号47)又はQQSRTARPT(配列番号41)を含むHVR−L3;及び(c)アミノ酸配列RISPYYYYSDYADSVKG(配列番号52)又はRISPYSGYTNYADSVKG(配列番号51)を含むHVR−H2を含む。幾つかの実施態様では、抗体は、(a)アミノ酸配列STWIH(配列番号59)を含むHVR−H1;(b)アミノ酸配列RISPYYYYSDYADSVKG(配列番号52)又はRISPYSGYTNYADSVKG(配列番号51)を含むHVR−H2;及び(c)アミノ酸配列GLGKGSKRGAMDY(配列番号33)又はGINQGSKRGAMDY(配列番号32)を含むHVR−H3を含む。幾つかの実施態様では、抗体は、(a)アミノ酸配列RASQDVSTAVA(配列番号50)を含むHVR−L1;(b)アミノ酸配列SASFLYS(配列番号53)を含むHVR−L2;及び(c)アミノ酸配列QQSFYFPNT(配列番号39)又はQQSYTTPPT(配列番号43)又はQQYTALPYT(配列番号49)又はQQYSDLPYT(配列番号45)又はQQYSDVPYT(配列番号47)又はQQSRTARPT(配列番号41)又はQQSFYFPN(配列番号38)又はQQSYTTPP(配列番号42)又はQQYTALPY(配列番号48)又はQQYSDLPY(配列番号44)又はQQYSDVPY(配列番号46)又はQQSRTARP(配列番号40)を含むHVR−L3を含む。
【0015】
幾つかの実施態様では、抗体は、(a)アミノ酸配列GLGKGSKRGAMDY(配列番号33)を含むHVR−H3;(b)アミノ酸配列QQYSDLPYT(配列番号45)を含むHVR−L3;及び(c)アミノ酸配列RISPYSGYTNYADSVKG(配列番号51)を含むHVR−H2を含む。幾つかの実施態様では、抗体は、(a)STWIH(配列番号59)のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)アミノ酸配列RISPYSGYTNYADSVKG(配列番号51)を含むHVR−H2;及び(c)アミノ酸配列GLGKGSKRGAMDY(配列番号33)を含むHVR−H3を含む。幾つかの実施態様では、抗体は、(a)RASQDVSTAVA(配列番号50)のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)アミノ酸配列SASFLYS(配列番号53)を含むHVR−L2;及び(c)アミノ酸配列QQYSDLPYT(配列番号45)を含むHVR−L3を含む。
【0016】
幾つかの実施態様では、抗体は、配列番号5のアミノ酸配列に対する配列同一性が少なくとも90%である重鎖可変領域配列、及び/又は配列番号6のアミノ酸配列に対する配列同一性が少なくとも90%である軽鎖可変領域配列を含む。幾つかの実施態様では、抗体は、配列番号5のアミノ酸配列である重鎖可変領域配列、及び/又は配列番号6のアミノ酸配列である軽鎖可変領域配列を含む。幾つかの実施態様では、抗体は、配列番号7のアミノ酸配列に対する配列同一性が少なくとも90%である重鎖可変領域配列、及び/又は配列番号8のアミノ酸配列に対する配列同一性が少なくとも90%である軽鎖可変領域配列を含む。幾つかの実施態様では、抗体は、配列番号7のアミノ酸配列である重鎖可変領域配列、及び/又は配列番号8のアミノ酸配列である軽鎖可変領域配列を含む。幾つかの実施態様では、抗体は、配列番号9のアミノ酸配列に対する配列同一性が少なくとも90%である重鎖可変領域配列、及び/又は配列番号10のアミノ酸配列に対する配列同一性が少なくとも90%である軽鎖可変領域配列を含む。幾つかの実施態様では、抗体は、配列番号9のアミノ酸配列である重鎖可変領域配列、及び/又は配列番号10のアミノ酸配列である軽鎖可変領域配列を含む。幾つかの実施態様では、抗体は、配列番号11のアミノ酸配列に対する配列同一性が少なくとも90%である重鎖可変領域配列、及び/又は配列番号12のアミノ酸配列に対する配列同一性が少なくとも90%である軽鎖可変領域配列を含む。幾つかの実施態様では、抗体は、配列番号11のアミノ酸配列である重鎖可変領域配列、及び/又は配列番号12のアミノ酸配列である軽鎖可変領域配列を含む。幾つかの実施態様では、抗体は、配列番号13のアミノ酸配列に対する配列同一性が少なくとも90%である重鎖可変領域配列、及び/又は配列番号14のアミノ酸配列に対する配列同一性が少なくとも90%である軽鎖可変領域配列を含む。幾つかの実施態様では、抗体は、配列番号13のアミノ酸配列である重鎖可変領域配列、及び/又は配列番号14のアミノ酸配列である軽鎖可変領域配列を含む。
【0017】
幾つかの実施態様では、抗体は、(a)アミノ酸配列SRGAYRFAY(配列番号56)を含むHVR−H3;(b)アミノ酸配列QQSYTTPPT(配列番号43)を含むHVR−L3;及び(c)アミノ酸配列SITPASGDTDYADSVKG(配列番号54)を含むHVR−H2を含む。幾つかの実施態様では、抗体は、(a)アミノ酸配列SNYIH(配列番号55)を含むHVR−H1、(b)アミノ酸配列SITPASGDTDYADSVKG(配列番号54)を含むHVR−H2;及び(c)アミノ酸配列SRGAYRFAY(配列番号56)を含むHVR−H3を含む。幾つかの実施態様では、抗体は、(a)アミノ酸配列RASQDVSTAVA(配列番号50)を含むHVR−L1;(b)アミノ酸配列SASFLYS(配列番号53)を含むHVR−L2;及び(c)アミノ酸配列QQSYTTPPT(配列番号43)を含むHVR−L3を含む。幾つかの実施態様では、抗体は、配列番号15のアミノ酸配列に対する配列同一性が少なくとも90%である重鎖可変領域配列、及び/又は配列番号16のアミノ酸配列に対する配列同一性が少なくとも90%である軽鎖可変領域配列を含む。幾つかの実施態様では、抗体は、配列番号15のアミノ酸配列である重鎖可変領域配列、及び/又は配列番号16のアミノ酸配列である軽鎖可変領域配列を含む。幾つかの実施態様では、抗体は、ヒトCSF−1とヒトCSF−1Rとの間の結合を阻害しない。
【0018】
幾つかの実施態様では、本明細書で記載される抗IL−34抗体は、IL−34の二量体に結合する。幾つかの実施態様では、本明細書で記載される抗IL−34抗体は、IL−34二量体の両方のプロトマーにわたるエピトープに結合する。幾つかの実施態様では、本明細書で記載される抗IL−34抗体は、IL−34活性を中和する。幾つかの実施態様では、抗IL−34抗体は、ヒトIL−34に結合し、ヒトIL−34とヒトCSF−1Rとの間の結合を阻害し、及び/又はIL−34活性を中和する。
【0019】
幾つかの実施態様では、本明細書で記載される抗IL−34抗体は、モノクローナル抗体である。幾つかの実施態様では、本明細書で記載される抗IL−34抗体は、ヒト抗体、ヒト化抗体、又はキメラ抗体である。幾つかの実施態様では、抗体は、二重特異性抗体である。幾つかの実施態様では、二重特異性抗体は、ヒトCSF−1に対する第2の結合特異性を含む。
【0020】
本明細書では、ヒトIL−34に対する第1の結合特異性及びヒトCSF−1に対する第2の結合特異性を含む二重特異性抗体、並びに骨髄病原性免疫疾患及び癌の治療におけるそれらの使用が提示される。幾つかの実施態様では、抗体は、ヒトIL−34のヒトCSF−1Rへの結合を阻害し、ヒトCSF−1のヒトCSF−1Rへの結合を阻害する。別の実施態様では、ヒトIL−34に対する結合特異性及びヒトCSF−1に対する結合特異性を含む2つのポリペプチドであって、各々がそれぞれ、互いとヘテロ二量体化することが可能なヘテロ多量体化ドメインを有する、2つのポリペプチドが提示される。
【0021】
幾つかの実施態様では、上記で記載した抗体は、ヒトIL−34に結合する抗体断片である。幾つかの実施態様では、断片は、Fab断片、Fab’断片、Fab’−SH断片、F(ab’)断片、Fv断片、又はscFv断片である。
【0022】
幾つかの実施態様では、本明細書で記載される抗体は、1アーム抗体である。幾つかの実施態様では、本明細書で記載される抗体は、線状抗体である。幾つかの実施態様では、本明細書で記載される抗体は、全長IgG1又はIgG4抗体である。
【0023】
本明細書では、ヒトCSF−1Rに結合する単離抗体であって、ヒトCSF−1Rのアミノ酸残基Arg144、Gln248、Gln249、Ser250、Phe252、及びAsn254のうちの少なくとも一つを含むエピトープに結合し、アミノ酸残基の位置は、配列番号2における位置に基づき、抗体が、ヒトIL−34とヒトCSF−1Rとの間の結合を阻害する、抗体も更に提示される。
【0024】
幾つかの実施態様では、抗体は、CSF−1Rのアミノ酸残基Arg144を含むエピトープに結合し、アミノ酸残基の位置は、配列番号2における位置に基づく。幾つかの実施態様では、抗体は、ヒトCSF−1Rのアミノ酸残基Arg144、Arg142、Arg146、及びArg150のうちの少なくとも一つを含むエピトープに結合し、アミノ酸残基の位置は、配列番号2における位置に基づく。幾つかの実施態様では、エピトープは、ヒトCSF−1Rのアミノ酸残基Ser172及びArg192のうちの少なくとも一つを更に含み、アミノ酸残基の位置は、配列番号2における位置に基づく。幾つかの実施態様では、エピトープは、ヒトCSF−1Rのアミノ酸残基Arg146、Met149、Arg150、Phe169、Ile170、及びGln173のうちの少なくとも一つを更に含み、アミノ酸残基の位置は、配列番号2における位置に基づく。幾つかの実施態様では、抗体は、142〜150及び169〜173位内のアミノ酸に結合し、アミノ酸残基の位置は、配列番号2における位置に基づく。
【0025】
幾つかの実施態様では、抗体は、ヒトCSF−1Rのアミノ酸残基Arg144、Gln248、Gln249、Ser250、Phe252、及びAsn254のうちの少なくとも一つを含むエピトープに結合し、アミノ酸残基の位置は、配列番号2における位置に基づく。幾つかの実施態様では、抗体は、ヒトCSF−1Rのアミノ酸残基Tyr257、Gln248、Gln249、Ser250、Phe252、及びAsn254のうちの少なくとも一つを含むエピトープに結合し、アミノ酸残基の位置は、配列番号2における位置に基づく。幾つかの実施態様では、エピトープは、アミノ酸残基Pro247、Gln258、及びLys259のうちの少なくとも一つを更に含み、アミノ酸残基の位置は、配列番号2における位置に基づく。幾つかの実施態様では、エピトープは、ヒトCSF−1Rのアミノ酸残基Val231、Asp251、及びTyr257のうちの少なくとも一つを更に含み、アミノ酸残基の位置は、配列番号2における位置に基づく。幾つかの実施態様では、抗体は、231、248〜252、及び254位内のアミノ酸残基に結合し、アミノ酸残基の位置は、配列番号2における位置に基づく。
【0026】
本明細書では、本明細書で記載される抗体のうちの何れかをコードする単離核酸も更に提示される。本明細書ではまた、本明細書で提示される核酸のうちの何れかの核酸を含むベクターも提示される。本明細書ではまた、本明細書で提示される核酸を含む宿主細胞も提示される。
【0027】
本明細書では、抗体を作製する方法であって、抗体が産生されるように、本明細書で提示される宿主細胞のうちの何れかを培養することを含む方法も更に提示される。幾つかの実施態様では、方法は、宿主細胞により産生される抗体を回収することを更に含む。
【0028】
本明細書ではまた、本明細書で提示される抗体のうちの何れかと、薬学的に許容される担体とを含む薬学的組成物も提示される。
【0029】
本明細書では、医薬としての使用のための、本明細書で記載される抗体が提示される。本明細書では、骨髄病原性免疫疾患の治療における使用のための、本明細書で記載される抗体が提示される。本明細書では、ヒトIL−34とヒトCSF−1Rとの間の結合の阻害における使用のための、本明細書で記載される抗体が提示される。
【0030】
本明細書ではまた、医薬の製造における、本明細書で記載される抗体のうちの何れかの使用も提示される。幾つかの実施態様では、医薬は、骨髄病原性免疫疾患を治療するための医薬である。幾つかの実施態様では、医薬は、ヒトIL−34とヒトCSF−1Rとの間の結合を阻害するための医薬である。
【0031】
本明細書では、骨髄病原性の構成要素を伴う炎症性疾患及び/又は自己免疫疾患(「骨髄病原性免疫疾患」)を有する個体を治療する方法であって、有効量の、本明細書で提示される抗体のうちの何れか1つを個体へと投与することを含む方法が提示される。本明細書ではまた、炎症性疾患及び/又は自己免疫疾患を有する個体を治療する方法であって、有効量の、本明細書で提示される抗体又は組合せ療法のうちの何れか1つを個体へと投与することを含む方法も提示される。幾つかの実施態様では、抗体は、ヒトIL−34及びヒトCSF−1の活性を阻害する二重特異性抗体である。幾つかの実施態様では、方法は、有効量の、本明細書で提示される抗IL−34抗体のうちの何れかを、ヒトCSF−1に結合する抗体と共に投与することを含む。幾つかの実施態様では、ヒトIL−34及びヒトCSF−1の活性が、二重特異性抗IL−34及び抗CSF1抗体により阻害される。幾つかの実施態様では、活性の阻害は、ヒトIL−34のヒトCSF−1Rへの結合を阻害すること、及びヒトCSF−1とヒトCSF−1Rとの結合を阻害することによる。
【0032】
上記の方法のうちの何れかについての幾つかの実施態様では、骨髄病原性免疫疾患は、関節リウマチ(RA)、炎症性腸疾患(例えば、クローン病、潰瘍性大腸炎)、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、喘息、骨粗鬆症、ページェット病、アテローム性動脈硬化、メタボリック症候群、II型糖尿病、マクロファージ活性化症候群(MAS)、血管炎(巨細胞性動脈炎、ANCA関連血管炎)、円板状ループス、サルコイドーシス、移植片対宿主病、LSD(シスチン蓄積症、シアル酸蓄積症、ゴーシェ病などであるがこれらに限定されないリソソーム蓄積症)、ロザイ−ドルフマン病、ファイサラバード組織球症が含まれるがこれらに限定されない組織球症、H症候群、インスリン依存型糖尿病を伴う色素性多毛症(PHID)、心筋梗塞、及び移植片対宿主病である。一実施態様では、血管炎は、顕微鏡的多発性動脈炎、CNS血管炎、壊死性血管炎、皮膚性血管炎、もしくは過敏性血管炎、全身性壊死性血管炎、又はチャーグ−シュトラウス血管炎もしくはチャーグ−シュトラウス症候群(CSS))などのANCA関連血管炎である。別の実施態様では、血管炎は、大型血管炎又は中型血管炎である。一実施態様では、大型血管炎は、リウマチ性多発性筋痛又は巨細胞性動脈炎又は高安動脈炎である。一実施態様では、中型血管炎は、川崎病又は結節性多発性動脈炎である。具体的な一実施態様では、本発明の抗体(例えば、IL−34、二重特異性IL−34/CSF1抗体、又はCSF1R抗体)を用いて、疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)療法への応答が不十分な(DMARD−IR)RA患者を治療する。さらなる一実施態様では、DMARD−IR患者は以前に抗TNF剤で治療されていない(「TNFナイーブ」)。一実施態様では、DMARDは、メトトレキサートである。具体的な一実施態様では、本発明の抗体(例えば、IL−34抗体、二重特異性IL−34/CSF1抗体又はCSF1R抗体)を用いて、疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)療法への応答が不十分な(DMARD−IR)RA患者を治療する。さらなる一実施態様では、DMARD−IR患者は以前に抗TNF剤で治療されていない(「TNFナイーブ」)。具体的な一実施態様では、本発明の抗体(例えば、IL−34、二重特異性IL−34/CSF1抗体、又はCSF1R抗体)を用いて、抗TNF療法(例えば、TNFR−Fc又は抗TNF抗体)への応答が不十分なRA患者を治療する。具体的な一実施態様では、本発明の抗体(例えば、IL−34、二重特異性IL−34/CSF1抗体、又はCSF1R抗体)を用いて、骨髄病原性免疫疾患を患う患者であって、抗TNF療法(例えば、TNFR−Fc、抗TNF抗体、及びTNF又はTNF受容体の低分子阻害剤が含まれるがこれらに限定されない)への応答が不十分な患者を治療する。
【0033】
本発明の別の実施態様では、本発明のCSF1−R経路阻害剤で治療されるRA患者は、RAの骨髄亜型及び/又は線維亜型を有する。一実施態様では、本発明は、それを患う個体における関節リウマチを治療する方法であって、CSF1−R経路阻害剤を、RAの骨髄亜型及び/又は線維亜型を有することが決定された患者へと投与することを含む方法を提供する。一実施態様では、骨髄亜型又は線維亜型は、骨髄亜型遺伝子又は線維亜型遺伝子の遺伝子発現レベル又はタンパク質発現レベルを測定し、RA個体が、RAの骨髄亜型又は線維亜型を有するのかどうかを決定することにより決定し、RA個体が、RAの骨髄亜型又は線維亜型を有することの決定により、RA個体が、CSF1−R経路阻害剤に応答する可能性が高いことが示される。
【0034】
本発明の一実施態様では、本発明の抗体の薬力学的効果は、抗体による治療の後における患者の血液中の非古典型(CD14CD16++)単球及び/又は中間型(CD14++CD16)単球のレベルの低減をモニタリングすることにより測定しうるであろう。
【0035】
本明細書では、個体における、ヒトIL−34とヒトCSF−1Rとの間の結合を阻害する方法であって、有効量の、本明細書で提示される抗体のうちの何れかを個体へと投与することを含む方法も更に提示される。
【0036】
本明細書では、本明細書で提示される抗体のうちの何れかを含む製造品も更に提示される。幾つかの実施態様では、製造品は、個体における骨髄病原性免疫疾患を治療するために、有効量の抗体を個体へと投与するための指示書を更に含む。本明細書ではまた、本明細書で提示される抗IL−34抗体のうちの何れかを含み、ヒトCSF−1に結合する抗体を更に含む製造品も提示される。幾つかの実施態様では、製造品は、個体における骨髄病原性免疫疾患を治療するために、有効量の抗IL−34抗体及びヒトCSF−1に結合する抗体を個体へと投与するための指示書を更に含む。幾つかの実施態様では、骨髄病原性免疫疾患とは、関節リウマチ、炎症性腸疾患、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、喘息、骨粗鬆症、ページェット病、アテローム性動脈硬化、メタボリック症候群、II型糖尿病、LSD(シスチン蓄積症、シアル酸蓄積症、ゴーシェ病などであるがこれらに限定されないリソソーム蓄積症)、ロザイ−ドルフマン病、ファイサラバード組織球症が含まれるがこれらに限定されない組織球症、H症候群、インスリン依存型糖尿病を伴う色素性多毛症(PHID)である。
【0037】
本発明は、CSF1−R経路阻害剤で治療されるRA患者を診断するための方法であって、骨髄亜型遺伝子又は線維亜型遺伝子の遺伝子発現レベル又はタンパク質発現レベルを測定するステップと、RA個体が、RAの骨髄亜型又は線維亜型を有するのかどうかを決定するステップとを含み、RA個体が、RAの骨髄亜型又は線維亜型を有することの決定により、RA個体が、CSF1−R経路阻害剤に応答する可能性が高いことが示される方法を提供する。一実施態様では、方法は、患者におけるIL−34及び/又はCSF−1の遺伝子発現レベル又はタンパク質発現レベルを測定するステップも更に含む。一実施態様では、CSF−1レベルを、RA患者の血清又は滑液に由来する生物学的試料中で測定する。別の実施態様では、IL−34レベルを、RA患者の血清中、滑液中、又は組織生検中で測定する。
【0038】
本明細書ではまた、CSF−1Rの最初の3つのIgGドメイン(すなわち、N末端から1番目、2番目、及び3番目のIgG)を含むポリペプチドであって、CSF−1Rに由来する他のIgGドメインを含まないポリペプチドも提示される。幾つかの実施態様では、ポリペプチドは、IgGドメイン間のリンカーを更に含む。幾つかの実施態様では、ポリペプチドは、1又は複数の融合パートナー(例えば、Fc配列)を更に含む。本明細書ではまた、ポリペプチドをコードする核酸、核酸を含むベクター、及び核酸を含む宿主細胞も提示される。本明細書ではまた、ポリペプチドを作製する方法であって、ポリペプチドを産生する宿主細胞を培養することを含む方法も提示される。本明細書ではまた、本明細書で記載される骨髄病原性免疫疾患を治療するための方法であって、有効量のポリペプチドを個体へと投与することを含む方法も提示される。本明細書ではまた、本明細書で記載されるポリペプチドを含む製造品も提示される。
【0039】
本明細書で記載される多様な実施態様の特性のうちの1つ、幾つか、又は全てを組み合わせて、本発明の他の実施態様を形成しうることを理解されたい。当業者には、本発明のこれらの態様及び他の態様が明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1A】ヒトIL−34の概略表示である。予測されるN結合型グリコシル化部位を、星印で表示する。IL−34配列内の、種を越えて保存されるジスルフィド架橋を、破線として示す。
図1B】hIL−34sが、ヒト単球の生存能力の増進において活性であることを示す図である。
図1C】二量体のヒトIL−34s構造のリボン表示である。末端及び二次構造に標識する(目視可能な場合)。
図1D】マウスCSF−1構造のリボン表示である。末端及び二次構造に標識する。
図2A】hIL−34s、CSF−1R D1〜D3、及びCSF−1R D1〜D5、並びにそれらの対応する複合体についての、解析用サイズ除外クロマトグラフィーによる解析を示す図である。クロマトグラムは、方法において記載される独立の試行から重ね合わせて示し、分子量の基準値にも言及する。挿入図:右方に示されるピーク画分に由来する試料についてのSDS−PAGEを示す図である。
図2B-1】CSF−1R D1〜D5のhIL−34sへの結合についての等温滴定熱量測定を示す図である。
図2B-2】CSF−1R D1〜D3のhIL−34sへの結合についての等温滴定熱量測定を示す図である。
図2B-3】CSF−1R D1〜D3の、hIL−34sからの、CSF−1R D1〜D5による置換についての等温滴定熱量測定を示す図である。
図2C-1】CSF−1R D1〜D3のhCSF−1への結合についての熱量測定を示す図である。
図2C-2】CSF−1R D1〜D5のhCSF−1への結合についての熱量測定を示す図である。
図2D】パネルB及びCに示した3つのITC滴定実験の解析に由来する、シリンジ内のタンパク質及びそれらの濃度、セル内のタンパク質及びそれらの濃度、エンタルピー変化(ΔH)、エントロピー変化(ΔS)、ギブスの自由エネルギー変化(ΔG)、結合アフィニティー(K)、及び化学量論比(n)についての概要を示す図である。N.D.は、曲線の傾きの大きさに起因する決定不能を示す。
図3】IL−34及びCSF−1と複合したCSF−1Rについて、部位1の界面と部位2の界面との比較を示す図である。(A〜D)IL−34/CSF−1R間界面(A、C)、又はCSF−1/CSF−1R間界面(B、D)の、部位1及び部位2についての近接図である。鍵となるサイトカイン受容体の相互作用残基をスティックとして示し、水素結合を破線として描き、二次構造エレメントをリボン及びストランド上にマークする。
図4A】単球生存率アッセイにおける、IL−34の生物学的活性の、YW404.33.56 Fabによる阻害を示す図である。
図4B】YW404.33.56 FabのCDRループ(H1〜H3、L3)の、hIL−34sとの相互作用についての近接図(模式図表示)である。界面相互作用に関与する最重要の残基は、スティックモデルで強調する。
図5】IL−34(A)及びCSF−1(B)の二次構造上にマッピングされた受容体接触残基を示す図である。部位1及び部位2の界面残基を、卵型の点線で強調する。
図6】ヒトIL−34/CSF−1Rシグナル伝達複合体構造(左)、マウスCSF−1/CSF−1R(中;PDB:3EJJ)シグナル伝達複合体構造、及びSCF/Kit(右;PDB:2E9W)シグナル伝達複合体構造の比較を示す図である。二量体の4へリックスバンドルサイトカインを、模式図及び半透明表面として示す。受容体の細胞外ドメインは、リボン表示としてレンダリングするか、又はCSF−1R D4及びD5については、卵型として示す。CSF−1R及びKitによる受容体同型接触に関与したイオン性対を、丸印として示し、注記する。
図7A】選択されたIL−34の哺乳動物相同体(ヒト(Homo sapiens)(配列番号68);アカゲザル(Macaca mulatta)(配列番号69);イヌ(Canis lupus familiaris)(配列番号70);ジャイアントパンダ(Ailuropoda melanoleuca)(配列番号71);ウマ(Equus caballus)(配列番号72);ウシ(Bos taurus)(配列番号73);マウス(Mus musculus)(配列番号74);ラット(Rattus norvegicus)(配列番号75);コンセンサス配列(配列番号76))の配列アライメントを示す図である。番号付け及び二次構造は、ヒトIL−34(配列番号68)に従う。厳密に保存されている残基には、濃いグレーで影をつけ、類似性スコアにより計算して、配列の大半において保存されている残基には、枠囲いする。部位1、部位2、及びIL−34二量体化界面におけるIL−34残基はそれぞれ、下方に黒丸印、丸印、及び星印で描示する。三角印は、ジスルフィド結合による対合及びグリコシル化部位を示す。アライメント図は、ESPRITプログラム(ウェブサイト:esprit.ibcp.fr/ESPript/ESPript)を用いて作成した。
図7B図7Aの続きを示す図である。
図8】単球増殖アッセイにおける、抗IL−34 Abである、YW404.33の中和活性を示す図である。
図9】単球増殖アッセイにおける、mIL−34の100ng/mlの濃度での、抗IL−34 Abである、YW404.1、YW404.6、YW404.33、YW405.1、YW405.3、YW406.1、YW406.93の中和活性(A)、並びに抗IL−34 Abである、YW404.33、YW404.33.12、及びYW404.33.56の中和活性(B)を示す図である。
図10A】抗IL−34 Abである、YW404.1、YW404.3、YW404.33、YW404.33.10、YW404.33.12、YW404.33.11、YW404.33.56、及びYW404.33.93の可変重鎖配列を示す図である。これらの抗体のアフィニティー成熟のためにターゲティングされるアミノ酸残基を枠囲いする。図10Aは、404.1(配列番号15)、404.6(配列番号77)、405.3(配列番号25)、404.33(配列番号5)、404.33.10(配列番号7)、404.33.12(配列番号11)、404.33.11(配列番号9)、404.33.56(配列番号3)、及び404.33.93(配列番号13)について、VHアミノ酸配列を示す図である。Kabat HVRの間の重鎖フレームワーク領域の配列は、図10Aに示される、FR1配列(配列番号17)、FR2配列(配列番号18)、FR3(配列番号19)、及びFR4(配列番号20)である。
図10B】抗IL−34 Abである、YW404.1、YW404.3、YW404.33、YW404.33.10、YW404.33.12、YW404.33.11、YW404.33.56、及びYW404.33.93の可変軽鎖配列(B)を示す図である。これらの抗体のアフィニティー成熟のためにターゲティングされるアミノ酸残基を枠囲いする。図10Bは、404.1(配列番号16)、404.6(配列番号78)、405.3(配列番号26)、404.33(配列番号6)、404.33.10(配列番号8)、404.33.12(配列番号12)、404.33.11(配列番号10)、404.33.56(配列番号4)、及び404.33.93(配列番号14)について、VLアミノ酸配列を示す図である。Kabat HVRの間の軽鎖フレームワーク領域の配列は、図10Bに示される、FR1配列(配列番号21)、FR2配列(配列番号22)、FR3配列(配列番号23)、及びFR4配列(配列番号24)である。
図11】デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)誘導性炎症性腸疾患(IBD)を伴うBalb/cマウスであって、対照抗体(抗ブタクサ、a−RW)、シクロスポリン(CSA)、抗CSF−1抗体(a−CSF−1)、抗IL−34抗体(a−IL−34)、又は抗CSF−1抗体と抗IL−34抗体との組合せで処置されたマウスについての組織学スコアを示す図である。
図12】IL−34及びCSF−1の血清レベルが、DSS誘導性IBDを伴うBalb/cマウスであって、対照抗体(a−RW)で処置されたマウスにおいて、対照マウスと比較して上昇したことを示す図である。
図13】関節リウマチ患者に由来する血清中、滑液中、及び組織中では、CSF−1及びIL−34が発現することを示す図である。
図14】原発性TNF−NR RA患者及び続発性TNF−NR RA患者には、CSF1/IL34経路が存在することを示す図である。
図15】aCSF1+aIL34の組合せによる処置が、炎症の阻害においてTNFRII−Fcに匹敵し、CIA(骨髄駆動型CIA)マウスの骨糜爛の保護において優れていることを示す図である。
図16】CSF1及びIL−34の二重の遮断により、モデルにおけるDSS誘導性大腸炎が阻害されることを示す図である。
図17】IBD結腸ではIL−34が発現するが、血清中の発現は低度/検出不能であることを示す図である。
図18】関節リウマチ患者及び骨関節炎患者に由来する滑液中では、IL−34/CSF−1の発現とTNFaの発現との相関が見られないことを示す図である。
図19】抗CSF1/IL−34による組合せ処置のわずか7日後における、関節滑膜に浸潤するマウス骨髄細胞(マクロファージ(Mf)及び単球)の低減を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
理論に束縛されずに述べると、IL−34及びCSF−1の両方を阻害して、骨髄病原性免疫疾患を直接治療するコンビナトリアル法は、それらの受容体又はIL−34もしくはCSF−1単独を直接ターゲティングするよりも優れていると考えられている。この手法の利点には、以下:より良好な薬物動態特性、より良好な安全性プロファイル、より良好な有効性、より良好な効力、並びに上記の安全性及び有効性の検討事項に基づくより良好な治療域のうちの何れか1つ又はこれらの組合せが含まれるがこれらに限定されないことが予測されている。
【0042】
定義
「抗IL−34抗体」及び「IL−34に結合する抗体」という用語は、抗体が、IL−34のターゲティングにより診断剤及び/又は治療剤として有用であるように、IL−34に十分なアフィニティーで結合することが可能な抗体を指す。幾つかの実施態様では、抗IL−34抗体の、非類縁の非IL−34タンパク質への結合の程度は、例えば、BIACOREアッセイ又はBLIアッセイにより測定される、この抗体のIL−34への結合の約10%未満である。幾つかの実施態様では、IL−34に結合する抗体の解離定数(K)は、≦1μM、≦500nM、≦250nM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、≦0.1nM、≦0.01nM、又は≦0.001nM(例えば、10−8M以下、例えば、10−8M〜10−13M、例えば、10−9M〜10−13M)である。幾つかの実施態様では、抗IL−34抗体は、IL−34のエピトープであって、異なる種に由来するIL−34の間で保存されているエピトープに結合する。
【0043】
本明細書で用いられる「IL−34」という用語は、別段に示されない限り、霊長動物(例えば、ヒト)及び齧歯動物(例えば、マウス及びラット)などの哺乳動物を含めた任意の脊椎動物供給源に由来する任意の天然IL−34を指す。この用語は、「全長」のプロセシングされていないIL−34のほか、細胞内のプロセシングから結果として生じるIL−34の任意の形態も包摂する。この用語はまた、IL−34の自然発生の変異体、例えば、スプライス変異体又は対立遺伝子変異体も包摂する。例示的なヒトIL−34のアミノ酸配列を、配列番号1に示す。幾つかの実施態様では、ヒトIL−34は、配列番号1に示されるアミノ酸配列であって、81位におけるアミノ酸Qが欠失したアミノ酸配列を含む。
【0044】
「抗CSF−1抗体」及び「CSF−1に結合する抗体」という用語は、抗体が、CSF−1のターゲティングにより診断剤及び/又は治療剤として有用であるように、CSF−1に十分なアフィニティーで結合することが可能な抗体を指す。幾つかの実施態様では、抗CSF−1抗体の、非類縁の非CSF−1タンパク質への結合の程度は、例えば、BIACOREアッセイ又はBLIアッセイにより測定される、この抗体のCSF−1への結合の約10%未満である。幾つかの実施態様では、CSF−1に結合する抗体の解離定数(K)は、≦1μM、≦500nM、≦250nM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、≦0.1nM、≦0.01nM、又は≦0.001nM(例えば、10−8M以下、例えば、10−8M〜10−13M、例えば、10−9M〜10−13M)である。幾つかの実施態様では、抗CSF−1抗体は、CSF−1のエピトープであって、異なる種に由来するCSF−1の間で保存されているエピトープに結合する。
【0045】
本明細書で用いられる「CSF−1」という用語は、別段に示されない限り、霊長動物(例えば、ヒト)及び齧歯動物(例えば、マウス及びラット)などの哺乳動物を含めた任意の脊椎動物供給源に由来する任意の天然CSF−1を指す。この用語は、「全長」のプロセシングされていないCSF−1のほか、細胞内のプロセシングから結果として生じるCSF−1の任意の形態も包摂する。この用語はまた、CSF−1の自然発生の変異体、例えば、スプライス変異体又は対立遺伝子変異体も包摂する。例示的なヒトCSF−1は、Takahashiら、Biochem.BiopHys.Res.Commun.、161(2)、892〜901(1989)において記載されている。
【0046】
「抗CSF−1R抗体」及び「CSF−1Rに結合する抗体」という用語は、抗体が、CSF−1Rのターゲティングにより診断剤及び/又は治療剤として有用であるように、CSF−1Rに十分なアフィニティーで結合することが可能な抗体を指す。幾つかの実施態様では、抗CSF−1R抗体の、非類縁の非CSF−1Rタンパク質への結合の程度は、例えば、BIACOREアッセイ又はBLIアッセイにより測定される、この抗体のCSF−1Rへの結合の約10%未満である。幾つかの実施態様では、CSF−1Rに結合する抗体の解離定数(K)は、≦1μM、≦500nM、≦250nM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、≦0.1nM、≦0.01nM、又は≦0.001nM(例えば、10−8M以下、例えば、10−8M〜10−13M、例えば、10−9M〜10−13M)である。幾つかの実施態様では、抗CSF−1R抗体は、CSF−1Rのエピトープであって、異なる種に由来するIL−34の間で保存されているエピトープに結合する。
【0047】
本明細書で用いられる「CSF−1R」又は「CSF1R」という用語は、別段に示されない限り、霊長動物(例えば、ヒト)及び齧歯動物(例えば、マウス及びラット)などの哺乳動物を含めた任意の脊椎動物供給源に由来する任意の天然CSF−1Rを指す。この用語は、「全長」のプロセシングされていないCSF−1Rのほか、細胞内のプロセシングから結果として生じるCSF−1Rの任意の形態も包摂する。この用語はまた、CSF−1Rの自然発生の変異体、例えば、スプライス変異体又は対立遺伝子変異体も包摂する。例示的なヒトCSF−1Rのアミノ酸配列を、配列番号2に示す。
【0048】
本発明に従う治療剤には、(1又は複数の)ポリペプチド(例えば、抗体、イムノアドヘシン、又はペプチボディー)、アプタマー、又はタンパク質に結合しうる低分子、もしくは本明細書で同定される標的をコードする核酸分子に結合しうる核酸分子(すなわち、siRNA)など、本明細書の上記で同定した標的に結合しうる薬剤が含まれる。
【0049】
「CSF1−R経路阻害剤」という用語は、CSF1−Rによるシグナル伝達を阻害する治療剤を指す。一実施態様では、CSF1−R経路阻害剤は、CSF−1、IL−34、CSF1−R、又はCSF−1及びIL−34に結合する。一実施態様では、CSF−1、IL−34、又はCSF−1及びIL−34に結合する薬剤は、このような(1又は複数の)タンパク質の、CSF1−Rへの結合を阻害する。別の実施態様では、CSF1−Rに結合する薬剤は、CSF1−Rの、IL−34及びCSF−1への結合を阻害する。一実施態様では、CSF1−Rのキナーゼ活性の低減は、CSF−1Rによるシグナル伝達の低減を示す。一実施態様では、CSF1−R経路阻害剤は、本発明の抗体である。別の実施態様では、CSF−1R経路阻害剤は、CSF1−Rの低分子阻害剤である。別の実施態様では、CSF1−R経路阻害剤は、Fcへと融合させたCSF1−Rの細胞外ドメインである。
【0050】
本明細書では、「抗体」という用語が最も広義で用いられ、それらが所望の抗原結合活性を呈示する限りにおいて、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、及び抗体断片が含まれるがこれらに限定されない、多様な抗体構造を包摂する。
【0051】
「可変領域」又は「可変ドメイン」という用語は、抗体重鎖又は抗体軽鎖のドメインであって、抗体の抗原への結合に関与するドメインを指す。天然抗体の重鎖及び軽鎖の可変ドメイン(それぞれ、VH及びVL)は一般に、類似する構造であって、各ドメインが、4つずつの保存されたフレームワーク領域(FR)及び3つずつの超可変領域(HVR)を含む構造を有する(例えば、Kindtら、「Kuby Immunology」、6版、W.H.Freeman and Co.、91ページ(2007)を参照されたい)。単一のVHドメイン又はVLドメインは、抗原結合特異性を付与するのに十分でありうる。更にまた、特定の抗原に結合する抗体は、抗原に結合する抗体に由来するVHドメイン又はVLドメインを用い、それぞれの相補的なVLドメイン又はVHドメインのライブラリーをスクリーニングして単離することもできる。例えば、Portolanoら、J.Immunol.、150:880〜887(1993);Clarksonら、Nature、352:624〜628(1991)を参照されたい。
【0052】
本明細書で用いられる「超可変領域」又は「HVR」という用語は、配列において超可変的であり、及び/又は構造的に規定されたループ(「超可変ループ」)を形成する、抗体可変ドメインの領域の各々を指す。一般に、天然の4本鎖抗体は、6つのHVR:VH内の3つ(H1、H2、H3)及びVL内の3つ(L1、L2、L3)を含む。HVRは一般に、超可変ループに由来するアミノ酸残基、及び/又は「相補性決定領域」(CDR)に由来するアミノ酸残基を含み、後者は、配列可変性が最大であり、かつ/もしくは抗原認識に関与する。本明細書で用いられるHVRは、24〜36位(L1の場合)、46〜56位(L2の場合)、89〜97位(L3の場合)、26〜35B位(H1の場合)、47〜65位(H2の場合)、及び93〜102位(H3の場合)内に位置する残基を含みうる。例えば、HVRは、既に記載されている位置における残基:
A)24〜34(L1)、50〜56(L2)、89〜97(L3)、26〜32(H1)、52〜56(H2)、及び95〜102(H3)(Chothia及びLesk、J.Mol.Biol.、196:901〜917(1987));
B)L1の24〜34、L2の50〜56、L3の89〜97、H1の31〜35B、H2の50〜65、及びH3の95〜102(Kabatら、「Sequences of Proteins of Immunological Interest」、5版、Public Health Service、National Institutes of Health、BetheSDa、MD(1991));並びに
C)30〜36(L1)、46〜55(L2)、89〜96(L3)、30〜35(H1)、47〜58(H2)、93〜101(H3)(MacCallumら、J.Mol.Biol.、262:732〜745(1996))を包含しうる。
【0053】
本明細書では、別段に示されない限り、可変ドメイン内のHVR残基及び他の残基(例えば、FR残基)を、Kabatら、前出に従い番号付けする。
【0054】
VH内のCDR1を例外として、CDRは一般に、超可変ループを形成するアミノ酸残基を含む。CDRはまた、抗原に接触する残基である「特異性決定残基」又は「SDR」も含む。SDRは、短縮CDR又はa−CDRと呼ばれるCDRの領域内に含有されている。例示的なa−CDR(a−CDRL1、a−CDRL2、a−CDRL3、a−CDRH1、a−CDRH2、及びa−CDRH3)は、L1のアミノ酸残基31〜34、L2の50〜55、L3の89〜96、H1の31〜35B、H2の50〜58、及びH3の95〜102において認められる(Almagro及びFransson、Front.Biosci.、13:1619〜1633(2008)を参照されたい)。本明細書では、別段に示されない限り、可変ドメイン内のHVR残基及び他の残基(例えば、FR残基)を、Kabatら、前出に従い番号付けする。
【0055】
「フレームワーク」又は「FR」は、超可変領域(HVR)残基以外の可変ドメイン残基を指す。可変ドメインのFRは一般に、4つのFRドメイン:FR1、FR2、FR3、及びFR4からなる。したがって、HVR配列及びFR配列は一般に、VH(又はVL)内の以下の配列:FR1−H1(L1)−FR2−H2(L2)−FR3−H3(L3)−FR4内にあると考えられる。
【0056】
「ヒトコンセンサスフレームワーク」とは、ヒト免疫グロブリンVLフレームワーク配列又はヒト免疫グロブリンVHフレームワーク配列を選択するときに最も一般に生じるアミノ酸残基を表すフレームワークである。一般に、ヒト免疫グロブリンVL配列又はヒト免疫グロブリンVH配列の選択は、可変ドメイン配列の亜群から行われる。一般に、配列の亜群とは、Kabatら、「Sequences of Proteins of Immunological Interest」、5版、NIH Publication、91〜3242、Bethesda MD(1991)、1〜3巻における亜群である。幾つかの実施態様では、VLの亜群とは、Kabatら、前出における亜群カッパIである。幾つかの実施態様では、VHの亜群とは、Kabatら、前出における亜群IIIである。
【0057】
本明細書における目的のための「アクセプターのヒトフレームワーク」とは、下記で規定されるヒト免疫グロブリンフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワークに由来する、軽鎖可変ドメイン(VL)フレームワーク又は重鎖可変ドメイン(VH)フレームワークのアミノ酸配列を含むフレームワークである。ヒト免疫グロブリンフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワーク「に由来する」アクセプターのヒトフレームワークは、その同じアミノ酸配列を含む場合もあり、アミノ酸配列の変化を含有する場合もある。幾つかの実施態様では、アミノ酸変化の数は、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、又は2以下である。幾つかの実施態様では、アクセプターのヒトVLフレームワークは、配列において、ヒト免疫グロブリンVLフレームワーク配列又はヒトコンセンサスフレームワーク配列と同一である。
【0058】
抗体の「クラス」とは、その重鎖により保有される定常ドメイン又は定常領域の種類を指す。5つの主要な抗体クラス:IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMが存在し、これらのうちの幾つかは、サブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG、IgG、IgG、IgG、IgA、及びIgAへと更に分けることができる。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれ、α、δ、ε、γ、及びμと呼ばれる。
【0059】
本明細書では、「Fc領域」という用語を、免疫グロブリン重鎖のC末端領域であって、定常領域の少なくとも一部分を含有する領域を定義するのに用いる。この用語は、天然配列のFc領域及び変異体のFc領域を包含する。幾つかの実施態様では、ヒトIgG重鎖のFc領域は、重鎖のCys226又はPro230〜カルボキシル末端に及ぶ。しかし、Fc領域のC末端のリシン(Lys447)は、存在する場合もあり、存在しない場合もある。本明細書では、別段に指定されない限り、Fc領域内又は定常領域内のアミノ酸残基の番号付けは、Kabatら、「Sequences of Proteins of Immunological Interest」、5版、Public Health Service、National Institutes of Health、Bethesda、MD、1991年において記載されている通り、また、EUインデックスとも呼ばれる、EUによる番号付けシステムに従う。
【0060】
「天然抗体」とは、構造が様々な自然発生の免疫グロブリン分子を指す。例えば、天然IgG抗体とは、ジスルフィド結合した2つの同一な軽鎖及び2つの同一な重鎖からなる、約150,000ドルトンのヘテロ四量体の糖タンパク質である。N末端〜C末端において、各重鎖は、可変重鎖ドメイン又は重鎖可変ドメインともまた呼ばれる可変領域(VH)に続いて、3つの定常ドメイン(CH1、CH2、及びCH3)を有する。同様に、N末端〜C末端において、各軽鎖も、可変軽鎖ドメイン又は軽鎖可変ドメインともまた呼ばれる可変領域(VL)に続いて、軽鎖定常(CL)ドメインを有する。抗体の軽鎖は、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づき、カッパ(κ)及びラムダ(λ)と呼ばれる2つの種類のうちの1つへと割り当てることができる。
【0061】
本明細書で用いられる「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に同種の抗体の集団から得られる抗体を指す、すなわち、集団を構成する個別の抗体は、例えば、自然発生の突然変異を含有するか、又はモノクローナル抗体調製物の作製時において生じる、潜在的な変異体抗体(このような変異体一般に少量で存在する)を除き、同一であり、及び/又は同じエピトープに結合する。異なる決定基(エピトープ)を指向する異なる抗体を包含することが典型的なポリクローナル抗体調製物とは対照的に、モノクローナル抗体調製物の各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基を指向する。したがって、修飾語である「モノクローナル」とは、実質的に同種の抗体集団から得られるものとしての抗体の特徴を示すものであり、任意の特定の方法による抗体の作製を要請するとはみなされないものとする。例えば、本発明に従い用いられるモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ法、組換えDNA法、ファージディスプレイ法、及びヒト免疫グロブリン遺伝子座の全部又は一部を含有するトランスジェニック動物を使用する方法が含まれるがこれらに限定されない様々な技法(本明細書では、モノクローナル抗体を作製するためのこのような方法及び他の例示的な方法について記載する)により作製することができる。
【0062】
「キメラ」抗体という用語は、重鎖及び/又は軽鎖の一部分が、特定の供給源又は種に由来する一方で、重鎖及び/又は軽鎖の残余は、異なる供給源又は種に由来する抗体を指す。
【0063】
「ヒト化」抗体とは、非ヒトHVRに由来するアミノ酸残基と、ヒトFRに由来するアミノ酸残基とを含むキメラ抗体を指す。幾つかの実施態様では、ヒト化抗体は、少なくとも一つの可変ドメインであり、典型的には2つの可変ドメインであって、HVR(例えば、CDR)のうちの全て又は実質的に全てが、非ヒト抗体のHVRに対応し、FRのうちの全て又は実質的に全てが、ヒト抗体のFRに対応する可変ドメインのうちの実質的に全てを含むであろう。ヒト化抗体は場合によって、ヒト抗体に由来する抗体定常領域の少なくとも一部分を含みうる。抗体、例えば、非ヒト抗体の「ヒト化形態」とは、ヒト化を経た抗体を指す。
【0064】
「ヒト抗体」とは、ヒト又はヒト細胞により産生される抗体のアミノ酸配列、又はヒト抗体レパートリーもしくは他のヒト抗体コード配列を使用する非ヒト供給源に由来する抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を保有する抗体である。ヒト抗体のこの定義はとりわけ、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を除外する。
【0065】
「抗体断片」とは、無傷抗体以外の分子であって、無傷抗体が結合する抗原に結合する、無傷抗体の一部分を含む分子を指す。抗体断片の例には、Fv、Fab、Fab’、Fab’−SH、F(ab’);ダイアボディー;線状抗体;単鎖抗体分子(例えば、ScFv);及び抗体断片から形成される多重特異性抗体が含まれるがこれらに限定されない。
【0066】
本明細書では、「全長抗体」、「無傷抗体」、及び「全抗体」という用語を、天然抗体の構造と実質的に類似する構造を有する抗体、又は本明細書で規定されるFc領域を含有する重鎖を有する抗体を指すように互換的に用いる。
【0067】
「単離」抗体とは、その天然の環境の構成要素から分離された抗体である。幾つかの実施態様では、抗体を、例えば、電気泳動(例えば、SDS−PAGE、等電点電気泳動(IEF)、キャピラリー電気泳動)又はクロマトグラフィー(例えば、イオン交換クロマトグラフィー又は逆相HPLC)により決定される、95%を超えるか又は99%の純度まで精製する。抗体の純度を評価するための方法の総説については、例えば、Flatmanら、J.Chromatogr.B、848:79〜87(2007)を参照されたい。
【0068】
「アフィニティー成熟」抗体とは、1又は複数の超可変領域(HVR)内に、1又は複数の改変であって、このような改変を保有しない親抗体と比較して、抗体の抗原に対するアフィニティーの改善を結果としてもたらす、改変を伴う抗体を指す。
【0069】
「アフィニティー」とは、分子(例えば、抗体)の単一の結合部位と、その結合パートナー(例えば、抗原)との間の非共有結合的相互作用全体を合計した強度を指す。別段に示されない限り、本明細書で用いられる「結合アフィニティー」とは、結合対のメンバー(例えば、抗体及び抗原)の間の1:1の相互作用を反映する、内因性の結合アフィニティーを指す。分子XのそのパートナーYに対するアフィニティーは一般に、解離定数(K)により表すことができる。アフィニティーは、本明細書で記載される方法を含め、当技術分野で知られている一般的な方法により測定することができる。結合アフィニティーを測定するための特定の実例的及び例示的な実施態様については、以下で記載する。
【0070】
基準抗体と「同じエピトープに結合する抗体」とは、競合アッセイにおいて、基準抗体のその抗原への結合を50%以上遮断する抗体を指し、逆に、競合アッセイにおいて、抗体のその抗原への結合を50%以上遮断する基準抗体も指す。本明細書では、例示的な競合アッセイが提示される。
【0071】
「エフェクター機能」とは、抗体のFc領域へと帰することができる生物学的活性であって、抗体のアイソタイプにより変化する生物学的活性を指す。抗体のエフェクター機能の例には、C1qの結合及び補体依存性細胞傷害作用(CDC);Fc受容体の結合;抗体依存性細胞介在性細胞傷害作用(ADCC);食作用;細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体)の下方調節;及びB細胞の活性化が含まれる。
【0072】
「ネイキッド抗体」とは、異種部分(例えば、細胞傷害性部分)又は放射性標識へとコンジュゲートされていない抗体を指す。薬学的製剤中には、ネイキッド抗体も存在させることができる。
【0073】
「単離」核酸とは、その天然の環境の構成要素から分離された核酸分子を指す。単離核酸には、核酸分子を含有することが通例である細胞内に含有される核酸分子も含まれるが、核酸分子は、染色体外又はその天然の染色体上の位置と異なる染色体上の位置にも存在する。
【0074】
「抗IL−34抗体をコードする単離核酸」とは、単一のベクター内又は個別のベクター内のこのような(1又は複数の)核酸分子を含め、抗体の重鎖及び軽鎖(又はその断片)をコードする1又は複数の核酸分子を指し、このような(1又は複数の)核酸分子は、宿主細胞内の1又は複数の位置に存在する。
【0075】
基準のポリペプチド配列に照らした「アミノ酸配列の同一性パーセント(%)」は、候補配列内のアミノ酸残基であって、最大の配列同一性パーセントを達成するために、配列決定し、必要な場合は、ギャップを導入した後において、基準ポリペプチド配列内のアミノ酸残基と同一なアミノ酸残基の百分率と定義され、任意の保存的置換を配列同一性の一部とは考えない。アミノ酸配列の同一性パーセントを決定することを目的とするアライメントは、当技術分野の範囲内にある多様な手段により、例えば、BLASTソフトウェア、BLAST−2ソフトウェア、ALIGNソフトウェア、又はMegalign(DNASTAR)ソフトウェアなど、一般に入手可能なコンピュータソフトウェアを用いて達成することができる。当業者は、比較される配列の全長にわたり最適なアライメントを達成するのに必要とされる任意のアルゴリズムを含め、配列決定するのに適切なパラメータを決定することができる。しかし、本明細書の目的では、アミノ酸配列同一性%の値を、配列比較のためのコンピュータプログラムであるALIGN−2を用いて求める。配列比較のためのコンピュータプログラムであるALIGN−2は、Genetech,Inc.により作成され、ソースコードは、使用者向け文書と共に、U.S.Copyright Office、Washington D.C.、20559に提出され、ここで、U.S.Copyright Registration第TXU510087号の下に登録されている。ALIGN−2プログラムは、Genetech,Inc.、South San Francisco、Californiaから一般に入手可能であるか、又はソースコードからコンパイルすることもできる。ALIGN−2プログラムは、ディジタル式のUNIX V4.0Dを含めた、UNIXオペレーションシステム上での使用のためにコンパイルされるものとする。全ての配列比較パラメータは、ALIGN−2プログラムにより設定されており、変化しない。
【0076】
アミノ酸配列を比較するためにALIGN−2を用いる状況では、所与のアミノ酸配列Aの、所与のアミノ酸配列Bに照らした、所与のアミノ酸配列Bとの、又は所与のアミノ酸配列Bに対するアミノ酸配列同一性%(これは代替的に、所与のアミノ酸配列Bに照らした、所与のアミノ酸配列Bとの、又は所与のアミノ酸配列Bに対する一定のアミノ酸配列同一性%を有するか又は含む所与のアミノ酸配列Aとも言い表すことができる)を、以下の通りに計算する。
100×割合X/Y
[式中、Xは、配列アライメントプログラムであるALIGN−2により、そのプログラムによるA及びBのアライメントにおいて同一なマッチとして評定されたアミノ酸残基の数であり、Yは、B内のアミノ酸残基の総数である]。アミノ酸配列Aの長さが、アミノ酸配列Bの長さと等しくない場合は、AのBに対するアミノ酸配列同一性%は、BのAに対するアミノ酸配列同一性%と等しくないことが察知されるであろう。別段に具体的に言明されない限り、本明細書で用いられる全てのアミノ酸配列同一性%の値は、直前の段落で記載した通りに、ALIGN−2コンピュータプログラムを用いて得られる。
【0077】
本明細書で用いられる「ベクター」という用語は、それが連結された別の核酸を伝搬することが可能な核酸分子を指す。この用語は、自己複製核酸構造としてのベクターのほか、それが導入された宿主細胞のゲノムへと組み込まれるベクターも包含する。ある種のベクターは、それらが作動的に連結された核酸の発現を方向付けることが可能である。本明細書では、このようなベクターを「発現ベクター」と称する。
【0078】
「宿主細胞」、「宿主細胞系」、及び「宿主細胞培養物」という用語は、互換的に用いられ、このような細胞の子孫細胞を含め、外因性核酸が導入された細胞を指す。宿主細胞は、継代の数を考慮せずに、初代形質転換細胞及びそこから派生した子孫細胞を包含する、「形質転換体」及び「形質転換細胞」を包含する。子孫細胞は、核酸含量が親細胞と完全に同一ではない場合もあり、突然変異も含有しうる。本明細書には、元の形質転換細胞においてスクリーニング又は選択されたのと同じ機能又は生物学的活性を有する突然変異体の子孫細胞も包含される。
【0079】
本明細書で用いられる「治療(処置)」(及び「〜を治療する」又は「〜を治療すること」などのその文法的変化形)とは、治療される個体の自然の経過を変化させようとする試みにおける臨床的介入を指し、予防のために実施することもでき、臨床的病態の経過時において実施することもできる。治療の所望の効果には、疾患の発生又は再発の防止、症状の軽減、疾患の任意の直接又は間接の病理学的帰結の縮減、転移の防止、疾患進行の速度の減少、疾患状態の改善又は緩和、及び寛解又は予後の改善が含まれるがこれらに限定されない。幾つかの実施態様では、本発明の抗体を用いて、疾患の発生を遅延させるか、又は疾患の進行を緩徐化する。
【0080】
「個体」又は「対象」とは、哺乳動物である。哺乳動物には、家畜化動物(例えば、ウシ、ヒツジ、ネコ、イヌ、及びウマ)、霊長動物(例えば、ヒト及びサルなどの非ヒト霊長動物)、ウサギ、及び齧歯動物(例えば、マウス及びラット)が含まれるがこれらに限定されない。幾つかの実施態様では、個体又は対象は、ヒトである。
【0081】
「薬学的製剤」という用語は、その中に含有される有効成分の生物学的活性が有効となることを可能とするような形態にあり、製剤が投与される対象に対して許容されない形で毒性であるさらなる成分を含有しない調製物を指す。
【0082】
「薬学的に許容される担体」とは、薬学的製剤中の、有効成分以外の含有物であって、対象に対して非毒性の含有物を指す。薬学的に許容される担体には、緩衝剤、賦形剤、安定化剤、又は保存剤が含まれるがこれらに限定されない。
【0083】
薬剤、例えば、薬学的製剤の「有効量」とは、所望の治療的結果又は予防的結果を達成するのに必要な投与法で、必要な期間にわたり有効な量を指す。
【0084】
臨床的文脈において理解される通り、治療剤(例えば、本明細書で提示される抗体)、薬物、化合物、又は薬学的組成物の有効量は、別の薬物、化合物、又は薬学的組成物と共に達成される場合もあり、達成されない場合もある。したがって、「有効量」は、1又は複数の治療剤を投与する文脈で考えることができ、単一の薬剤は、1又は複数の他の薬剤と共に、所望の結果が達成されうるか又は達成される場合、有効量で施されると考えることができる。
【0085】
本明細書で用いられる「〜と共に」とは、別の治療モダリティーに加えた1つの治療モダリティーの投与を指す。したがって、「〜と共に」とは、1つの治療モダリティーの、他の治療モダリティーの投与前、他の治療モダリティーの投与時、又は他の治療モダリティーの投与後における、個体への投与を指す。
【0086】
「添付文書」という用語は、市販の治療用製品パッケージ内に通常組み入れられる指示書であって、適応、用法、投与量、投与、組合せ療法、禁忌、及び/又はこのような治療用製品の使用に関する警告についての情報を含有する指示書を指すのに用いられる。
【0087】
「炎症性腸疾患」又は「IBD」とは、腸を炎症状態とし、一般に腹部の疝痛及び疼痛、下痢、体重の減少、及び腸内出血を含めた症状により顕示される障害群を指す。IBDの主要な形態は、潰瘍性大腸炎(UC)及びクローン病である。
【0088】
本明細書で用いられる「骨髄病原性免疫疾患」とは、骨髄病原性の構成要素を伴う炎症性疾患及び/又は自己免疫疾患を指す。
【0089】
本明細書で用いられる「DMARD」とは、疾患修飾性抗リウマチ薬を指す。DMARDの例には、アダリムマブ、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、スルファサラジン、メトトレキサート、レフルノミド、アザチオプリン、D−ペニシラミン、金塩(金チオリンゴ酸ナトリウム、オーラノフィン)、金(経口)、金(筋内)、ミノサイクリン、シクロスポリン、エタネルセプト、ゴリムマブ、インフリキシマブ、ミノサイクリン、及びリツキシマブが含まれる。
【0090】
本明細書で用いられる「F1」とは、線維芽細胞に富む亜型の1型を指し、「F2」とは、線維芽細胞に富む亜型の2型を指し、「L」とは、リンパに富む亜型又はリンパ亜型を指し、「M」とは、骨髄に富む亜型又は骨髄亜型を指す。まとめて、これらの亜型は、遺伝子発現解析に基づく関節リウマチ患者の4つの分子亜型を同定する。まとめて、F1亜型及びF2亜型を、線維亜型又は「F」亜型と称する。RA患者のL亜型は一般に、B細胞、形質細胞、T細胞、及びマクロファージの関与に特徴的な遺伝子発現パターン、並びにB細胞及びT細胞の活性化、アイソタイプスイッチ、Igの分泌、及びサイトカインの産生の証拠を有する。RA患者の骨髄亜型は一般に、単球、マクロファージ、好中球、及びリンパ球の関与に特徴的な遺伝子発現パターン、並びにマクロファージの活性化、食作用、呼吸バースト、T細胞の活性化、及びサイトカインの産生の証拠を有する。RA患者の線維亜型は一般に、線維芽細胞及び骨芽細胞の関与に特徴的な遺伝子発現パターン、並びに骨の形成、成長、及び分化、並びに血管新生の証拠を有する。
【0091】
文脈により別段であることが明らかに示されない限り、本明細書及び付属の特許請求の範囲で用いられる単数形の「ある1つの(a)」、「ある1つの(an)」、及び「その(the)」は、複数の言及を包含する。例えば、「抗体」への言及は、モル量など、1つ〜多くの抗体への言及であり、当業者に知られているその同等物などを包含する。
【0092】
本明細書における「約」づきのある値又はパラメータへの言及は、その値又はパラメータ自体を対象とする実施態様を包含する(そしてそれについて記載する)。例えば、「約X」に言及する記載は、「X」についての記載を包含する。
【0093】
本明細書で記載される本発明の態様及び変化形は、態様及び変化形「からなること」、及び/又は態様及び変化形「から本質的になること」を包含することが理解される。
【0094】
組成物及び方法
本発明は、IL−34に結合する抗体、IL−34に対する第1の結合特異性及びCSF−1に対する第2の結合特異性を伴う二重特異性抗体(本明細書では更に、二重特異性抗IL−34/CSF−1抗体とも称する)、並びにCSF−1Rに結合する抗体を提供する。本発明の抗体は、例えば、炎症性腸疾患、関節リウマチ、及び多発性硬化症が含まれるがこれらに限定されない骨髄病原性免疫疾患を診断又は治療するのに有用である。幾つかの実施態様では、抗IL−34抗体は、哺乳動物(例えば、ヒト)IL−34に結合する。幾つかの実施態様では、二重特異性抗IL−34/CSF−1抗体は、哺乳動物(例えば、ヒト)IL−34に対する第1の結合特異性及び哺乳動物(例えば、ヒト)CSF−1に対する第2の結合特異性を含む。幾つかの実施態様では、抗CSF−1R抗体は、哺乳動物(例えば、ヒト)CSF−1Rに結合する。
【0095】
例示的な抗IL−34及びCSF−1R抗体
抗IL−34抗体
一態様では、本発明は、IL−34に結合する単離抗体(例えば、ヒトIL−34)を提供する。本明細書で記載される抗IL−34抗体は、以下の特徴:(i)IL−34(例えば、ヒトIL−34)の、CSF−1R(例えば、ヒトCSF−1R)への結合の阻害;(ii)IL−34活性(例えば、ヒトIL−34活性)の中和;(iii)末梢血単核細胞の、IL−34誘導性増殖の阻害;(iv)IL−34(例えば、ヒトIL−34)の二量体への結合;(v)IL−34(例えば、ヒトIL−34)の両方のプロトマーにわたるエピトープへの結合;(vi)CSF−1(例えば、ヒトCSF−1)の、CSF−1R(例えば、ヒトCSF−1R)への結合の阻害が見られないことのうちの1又は複数を有しうる。幾つかの実施態様では、抗IL−34抗体の、非類縁の非IL−34タンパク質への結合の程度は、例えば、BIACOREアッセイ又はバイオレイヤー干渉(BLI)アッセイにより測定される、この抗体のIL−34への結合の約10%未満である。幾つかの実施態様では、IL−34に結合する抗体の解離定数(K)は、≦1μM、≦500nM、≦250nM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、≦0.1nM、≦0.01nM、又は≦0.001nM(例えば、10−8M以下、例えば、10−8M〜10−13M、例えば、10−9M〜10−13M)である。幾つかの実施態様では、抗IL−34抗体のK値は、約500nM未満である。幾つかの実施態様では、抗IL−34抗体のK値は、約100nM又は10nM未満である。幾つかの実施態様では、抗IL−34抗体のK値は、約1nM未満である。幾つかの実施態様では、IL−34抗体のK値は、約100pM未満である。幾つかの実施態様では、抗IL−34抗体のKは、約100〜200pM、約100〜500pM、約100pM−1nM、又は約1nM〜50nMである。幾つかの実施態様では、抗IL−34抗体のKは、約17nMである。幾つかの実施態様では、抗IL−34抗体のKは、約120nMである。幾つかの実施態様では、抗IL−34抗体は、異なる種に由来するIL−34の間で保存されているIL−34のエピトープに結合する。
【0096】
一態様では、ヒトIL−34のアミノ酸残基Glu103、Leu109、Gln106、Asn150、Leu127、Asn128、Ser184、Leu186、Asn187、Lys44、Glu121、Asp107、Glu111、Ser104、Gln120、Trp116、及びAsn61のうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、13、14、15、16、又は17の少なくとも何れか1つを含むエピトープに結合する抗IL−34抗体が本発明において提供される。一態様では、ヒトIL−34のアミノ酸残基Glu103〜Asn150のうちの少なくとも一つを含むエピトープに結合する抗IL−34抗体が本発明において提供される。一態様では、ヒトIL−34のアミノ酸残基Glu103、Leu109、Gln106、及びAsn150のうちの1つ、2つ、又は3つ、又は4つの少なくとも何れか1つを含むエピトープに結合する抗IL−34抗体が本発明において提供される。上記の態様のうちの何れかでは、抗IL−34抗体は、ヒトIL−34のアミノ酸残基Ser100、Glu123、Trp116、Thr124、Leu127、Asn128、Gln131、及びThr134のうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、又は7つ、又は8つの少なくとも何れか1つを更に含むエピトープに結合しうる。幾つかの実施態様では、抗IL−34抗体は、ヒトIL−34の100〜108、116〜134、109、及び150位内のアミノ酸に結合する。幾つかの実施態様では、抗IL−34抗体は、ヒトIL−34とヒトCSF−1Rとの間の結合を阻害する。幾つかの実施態様では、抗IL−34抗体は、ヒトIL−34活性を中和する。幾つかの実施態様では、抗IL−34抗体は、ヒトIL−34の二量体に結合する。幾つかの実施態様では、抗IL−34抗体は、ヒトIL−34の両方のプロトマーにわたるエピトープに結合する。幾つかの実施態様では、抗IL−34抗体は、モノクローナル抗体である。幾つかの実施態様では、抗IL−34抗体は、ヒト抗体、ヒト化抗体、又はキメラ抗体である。幾つかの実施態様では、抗IL−34抗体は、ヒトIL−34に結合する抗体断片である。本明細書で用いられる、本明細書における残基位置は、配列番号1における残基位置に対応する。
【0097】
一態様では、ヒトIL−34のアミノ酸残基Glu103、Leu109、Gln106、Asn150、Leu127、Asn128、Ser184、Leu186、Asn187、Lys44、Glu121、Asp107、Glu111、Ser104、Gln120、Trp116、及びAsn61のうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、13、14、15、又は16、又は17の少なくとも何れか1つを含むエピトープに結合する抗IL−34抗体が本発明において提供される。一態様では、ヒトIL−34のアミノ酸残基Asn128、Ser184、Leu186、Asn187、Lys44、及びGlu121のうちの1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つ、又は6つの少なくとも何れか1つを含むエピトープに結合する抗IL−34抗体が本発明において提供される。上記の態様のうちの何れかでは、抗IL−34抗体は、ヒトIL−34のアミノ酸残基Phe40、Asp43、Leu125、Gln189、Thr36、及びVal185のうちの1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つ、又は6つの少なくとも何れか1つを更に含むエピトープに結合しうる。幾つかの実施態様では、抗IL−34抗体は、ヒトIL−34の36〜44、121〜128、及び184〜187位内のアミノ酸に結合する。幾つかの実施態様では、抗IL−34抗体は、ヒトIL−34とヒトCSF−1Rとの間の結合を阻害する。幾つかの実施態様では、抗IL−34抗体は、ヒトIL−34活性を中和する。幾つかの実施態様では、抗IL−34抗体は、ヒトIL−34の二量体に結合する。幾つかの実施態様では、抗IL−34抗体は、ヒトIL−34の両方のプロトマーにわたるエピトープに結合する。幾つかの実施態様では、抗IL−34抗体は、モノクローナル抗体である。幾つかの実施態様では、抗IL−34抗体は、ヒト抗体、ヒト化抗体、又はキメラ抗体である。幾つかの実施態様では、抗IL−34抗体は、ヒトIL−34に結合する抗体断片である。本明細書で用いられる、本明細書における残基位置は、配列番号1における残基位置に対応する。
【0098】
一態様では、ヒトIL−34のアミノ酸残基Glu103〜Leu127のうちの少なくとも一つを含むエピトープに結合する抗IL−34抗体が本発明において提供される。一態様では、ヒトIL−34のアミノ酸残基Asp107、Glu111、Ser104、Gln120、Glu103、Leu109、Trp116、及びAsn61のうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、又は7つ、又は8つの少なくとも何れか1つを含むエピトープに結合する抗IL−34抗体が本発明において提供される。上記で提示した態様のうちの何れかでは、抗体は、ヒトIL−34のアミノ酸残基Pro152、Val108、Leu110、Gln106、Glu123、Leu127、Lys117、Ile60、及びLys55のうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、又は8つ、又は9つの少なくとも何れか1つを更に含むエピトープに結合しうる。幾つかの実施態様では、抗体は、ヒトIL−34の55〜61、100〜108、109、111〜127、及び152位内のアミノ酸に結合する。幾つかの実施態様では、抗IL−34抗体は、ヒトIL−34とヒトCSF−1Rとの間の結合を阻害する。幾つかの実施態様では、抗IL−34抗体は、ヒトIL−34活性を中和する。幾つかの実施態様では、抗IL−34抗体は、ヒトIL−34の二量体に結合する。幾つかの実施態様では、抗IL−34抗体は、ヒトIL−34の両方のプロトマーにわたるエピトープに結合する。幾つかの実施態様では、抗IL−34抗体は、モノクローナル抗体である。幾つかの実施態様では、抗IL−34抗体は、ヒト抗体、ヒト化抗体、又はキメラ抗体である。幾つかの実施態様では、抗IL−34抗体は、ヒトIL−34に結合する抗体断片である。本明細書で用いられる、本明細書における残基位置は、配列番号1における残基位置に対応する。
【0099】
一態様では、本発明は、1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つ、又は6つのHVRのうちの少なくとも何れか1つを、図10A及び10Bにおいて示される任意の組合せで含む抗IL−34抗体を提供する。幾つかの実施態様では、抗IL−34抗体は、(a)STWIH(配列番号59)のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)アミノ酸配列RISPYYYYSDYADSVKG(配列番号52)を含むHVR−H2;(c)アミノ酸配列GLGKGSKRGAMDY(配列番号33)を含むHVR−H3;(d)アミノ酸配列RASQDVSTAVA(配列番号50)を含むHVR−L1;(e)アミノ酸配列SASFLYS(配列番号53)を含むHVR−L2;及び(f)アミノ酸配列QQSFYFPNT(配列番号39)を含むHVR−L3から選択される1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つ、又は6つのHVRのうちの少なくとも何れか1つを含む。幾つかの実施態様では、抗IL−34抗体は、(a)アミノ酸配列STWIH(配列番号59)又はGFTFSST(配列番号30)又はSSTWIH(配列番号57)を含むHVR−H1、(b)アミノ酸配列RISPYYYYSDYADSVKG(配列番号52)又はPYYYY(配列番号37)又はWVARISPYYYYSD(配列番号62)を含むHVR−H2;(c)アミノ酸配列GLGKGSKRGAMDY(配列番号33)又はARGLGKGSKRGAMD(配列番号28)を含むHVR−H3;(d)アミノ酸配列RASQDVSTAVA(配列番号50)又はSTAVAWY(配列番号58)を含むHVR−L1;(e)アミノ酸配列SASFLYS(配列番号53)又はLLIYSASFLY(配列番号34)を含むHVR−L2;及び(f)QQSFYFPNT(配列番号39)又はQQSFYFPN(配列番号38)のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つ、又は6つのHVRのうちの少なくとも何れか1つを含む。
【0100】
幾つかの実施態様では、抗IL−34抗体は、(a)STWIH(配列番号59)のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)アミノ酸配列RISPYSGYTNYADSVKG(配列番号51)を含むHVR−H2;(c)アミノ酸配列GLGKGSKRGAMDY(配列番号33)を含むHVR−H3;(d)RASQDVSTAVA(配列番号50)のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)アミノ酸配列SASFLYS(配列番号53)を含むHVR−L2;及び(f)アミノ酸配列QQYSDLPYT(配列番号45)を含むHVR−L3から選択される1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つ、又は6つのHVRのうちの少なくとも何れか1つを含む。幾つかの実施態様では、抗IL−34抗体は、(a)アミノ酸配列STWIH(配列番号59)又はGFTFSST(配列番号30)又はSSTWIH(配列番号57)を含むHVR−H1;(b)アミノ酸配列RISPYSGYTNYADSVKG(配列番号51)又はPYSGY(配列番号36)又はWVARISPYSGYTN(配列番号61)を含むHVR−H2;(c)アミノ酸配列GLGKGSKRGAMDY(配列番号33)又はARGLGKGSKRGAMD(配列番号28)を含むHVR−H3;(d)RASQDVSTAVA(配列番号50)又はSTAVAWY(配列番号58)のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SASFLYS(配列番号53)又はLLIYSASFLY(配列番号34)のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)アミノ酸配列QQYSDLPYT(配列番号45)又はQQYSDLPY(配列番号44)を含むHVR−L3から選択される1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つ、又は6つのHVRのうちの少なくとも何れか1つを含む。
【0101】
幾つかの実施態様では、抗IL−34抗体は、(a)アミノ酸配列STWIH(配列番号59)を含むHVR−H1;(b)アミノ酸配列RISPYYYYSDYADSVKG(配列番号52)又はRISPYSGYTNYADSVKG(配列番号51)を含むHVR−H2;(c)アミノ酸配列GLGKGSKRGAMDY(配列番号33)又はGINQGSKRGAMDY(配列番号32)を含むHVR−H3;(d)アミノ酸配列RASQDVSTAVA(配列番号50)を含むHVR−L1;(e)アミノ酸配列SASFLYS(配列番号53)を含むHVR−L2;及び(f)アミノ酸配列QQSFYFPNT(配列番号39)又はQQSYTTPPT(配列番号43)又はQQYTALPYT(配列番号49)又はQQYSDLPYT(配列番号45)又はQQYSDVPYT(配列番号47)又はQQSRTARPT(配列番号41)を含むHVR−L3から選択される1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、又は6つのHVRのうちの少なくとも何れか1つを含む。幾つかの実施態様では、抗IL−34抗体は、(a)アミノ酸配列GLGKGSKRGAMDY(配列番号33)又はGINQGSKRGAMDY(配列番号32)を含むHVR−H3;(b)アミノ酸配列QQSFYFPNT(配列番号39)又はQQSYTTPPT(配列番号43)又はQQYTALPYT(配列番号49)又はQQYSDLPYT(配列番号45)又はQQYSDVPYT(配列番号47)又はQQSRTARPT(配列番号41)を含むHVR−L3;及び(c)アミノ酸配列RISPYYYYSDYADSVKG(配列番号52)又はRISPYSGYTNYADSVKG(配列番号51)を含むHVR−H2を含む。幾つかの実施態様では、抗IL−34抗体は、(a)アミノ酸配列STWIH(配列番号59)又はGFTFSST(配列番号30)又はSSTWIH(配列番号57)を含むHVR−H1;(b)アミノ酸配列RISPYYYYSDYADSVKG(配列番号52)又はRISPYSGYTNYADSVKG(配列番号51)又はPYYYY(配列番号37)又はPYSGY(配列番号36)又はWVARISPYYYYSD(配列番号62)又はWVARISPYSGYTN(配列番号61)を含むHVR−H2;及び(c)アミノ酸配列GLGKGSKRGAMDY(配列番号33)又はGINQGSKRGAMDY(配列番号32)又はARGLGKGSKRGAMD(配列番号28)又はARGINQGSKRGAMD(配列番号27)を含むHVR−H3;(d)アミノ酸配列RASQDVSTAVA(配列番号50)又はSTAVAWY(配列番号58)を含むHVR−L1;(e)アミノ酸配列SASFLYS(配列番号53)又はLLIYSASFLY(配列番号34)を含むHVR−L2;及び(f)アミノ酸配列QQSFYFPNT(配列番号39)又はQQSYTTPPT(配列番号43)又はQQYTALPYT(配列番号49)又はQQYSDLPYT(配列番号45)又はQQYSDVPYT(配列番号47)又はQQSRTARPT(配列番号41)又はQQSFYFPN(配列番号38)又はQQSYTTPP(配列番号42)又はQQYTALPY(配列番号48)又はQQYSDLPY(配列番号44)又はQQYSDVPY(配列番号46)又はQQSRTARP(配列番号40)を含むHVR−L3から選択される1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つ、又は6つのHVRのうちの少なくとも何れか1つを含む。
【0102】
幾つかの実施態様では、抗IL−34抗体は、(a)アミノ酸配列SNYIH(配列番号55)を含むHVR−H1;(b)アミノ酸配列SITPASGDTDYADSVKG(配列番号54)を含むHVR−H2;(c)アミノ酸配列SRGAYRFAY(配列番号56)を含むHVR−H3;(d)アミノ酸配列RASQDVSTAVA(配列番号50)を含むHVR−L1;(e)アミノ酸配列SASFLYS(配列番号53)を含むHVR−L2;及び(f)アミノ酸配列QQSYTTPPT(配列番号43)を含むHVR−L3から選択される1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つ、又は6つのHVRのうちの少なくとも何れか1つを含む。幾つかの実施態様では、抗IL−34抗体は、(a)アミノ酸配列SRGAYRFAY(配列番号56)を含むHVR−H3;(b)アミノ酸配列QQSYTTPPT(配列番号43)を含むHVR−L3;及び(c)アミノ酸配列SITPASGDTDYADSVKG(配列番号54)を含むHVR−H2を含む。幾つかの実施態様では、抗IL−34抗体は、(a)アミノ酸配列SNYIH(配列番号55)又はGFTFTSN(配列番号31)又はTSNYIH(配列番号60)を含むHVR−H1;(b)アミノ酸配列SITPASGDTDYADSVKG(配列番号54)又はPASGD(配列番号35)又はWVASITPASGDTD(配列番号63)を含むHVR−H2;(c)アミノ酸配列SRGAYRFAY(配列番号56)又はARSRGAYRFA(配列番号29)を含むHVR−H3;(d)アミノ酸配列RASQDVSTAVA(配列番号50)又はSTAVAWY(配列番号58)を含むHVR−L1;(e)アミノ酸配列SASFLYS(配列番号53)又はLLIYSASFLY(配列番号34)を含むHVR−L2;及び(f)アミノ酸配列QQSYTTPPT(配列番号43)又はQQSYTTPP(配列番号42)を含むHVR−L3から選択される1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つ、又は6つのHVRのうちの少なくとも何れか1つを含む。
【0103】
一態様では、本発明は、(a)アミノ酸配列STWIH(配列番号59)を含むHVR−H1;(b)アミノ酸配列RISPYYYYSDYADSVKG(配列番号52)を含むHVR−H2;(c)アミノ酸配列GLGKGSKRGAMDY(配列番号33)を含むHVR−H3から選択される少なくとも一つ、少なくとも2つ、又は3つ全てのVH HVR配列を含む抗IL−34抗体を提供する。幾つかの実施態様では、抗IL−34抗体は、アミノ酸配列GLGKGSKRGAMDY(配列番号33)を含むHVR−H3を含む。幾つかの実施態様では、抗IL−34抗体は、(a)アミノ酸配列GLGKGSKRGAMDY(配列番号33)を含むHVR−H3、及び(b)アミノ酸配列QQSFYFPNT(配列番号39)を含むHVR−L3を含む。幾つかの実施態様では、抗IL−34抗体は、(a)アミノ酸配列GLGKGSKRGAMDY(配列番号33)を含むHVR−H3;(b)アミノ酸配列QQSFYFPNT(配列番号39)を含むHVR−L3;及び(c)アミノ酸配列RISPYYYYSDYADSVKG(配列番号52)を含むHVR−H2を含む。幾つかの実施態様では、抗体は、(a)アミノ酸配列STWIH(配列番号59)を含むHVR−H1;(b)アミノ酸配列RISPYYYYSDYADSVKG(配列番号52)を含むHVR−H2;及び(c)アミノ酸配列GLGKGSKRGAMDY(配列番号33)を含むHVR−H3を含む。
【0104】
別の態様では、本発明は、(a)アミノ酸配列RASQDVSTAVA(配列番号50)を含むHVR−L1;(b)アミノ酸配列SASFLYS(配列番号53)を含むHVR−L2;及び(c)アミノ酸配列QQSFYFPNT(配列番号39)を含むHVR−L3から選択される少なくとも一つ、少なくとも2つ、又は3つ全てのVL HVR配列を含む抗IL−34抗体を提供する。幾つかの実施態様では、抗体は、(a)アミノ酸配列RASQDVSTAVA(配列番号50)を含むHVR−L1;(b)アミノ酸配列SASFLYS(配列番号53)を含むHVR−L2;及び(c)アミノ酸配列QQSFYFPNT(配列番号39)を含むHVR−L3を含む。
【0105】
別の態様では、本発明の抗IL−34抗体は、(a)(i)アミノ酸配列STWIH(配列番号59)を含むHVR−H1、(ii)アミノ酸配列RISPYYYYSDYADSVKG(配列番号52)を含むHVR−H2、及び(iii)アミノ酸配列GLGKGSKRGAMDY(配列番号33)を含むHVR−H3から選択される少なくとも一つ、少なくとも2つ、又は3つ全てのVH HVR配列を含むVHドメイン;並びに(b)(i)アミノ酸配列RASQDVSTAVA(配列番号50)を含むHVR−L1、(ii)アミノ酸配列SASFLYS(配列番号53)を含むHVR−L2、及び(iii)アミノ酸配列QQSFYFPNT(配列番号39)を含むHVR−L3から選択される少なくとも一つ、少なくとも2つ、又は3つ全てのVL HVR配列を含むVLドメインを含む。
【0106】
別の態様では、本発明は、(a)STWIH(配列番号59)のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)アミノ酸配列RISPYYYYSDYADSVKG(配列番号52)を含むHVR−H2;(c)アミノ酸配列GLGKGSKRGAMDY(配列番号33)を含むHVR−H3;(d)アミノ酸配列RASQDVSTAVA(配列番号50)を含むHVR−L1;(e)アミノ酸配列SASFLYS(配列番号53)を含むHVR−L2;及び(f)アミノ酸配列QQSFYFPNT(配列番号39)を含むHVR−L3を含む抗IL−34抗体を提供する。
【0107】
一態様では、本発明は、(a)アミノ酸配列STWIH(配列番号59)を含むHVR−H1;(b)アミノ酸配列RISPYSGYTNYADSVKG(配列番号51)を含むHVR−H2;(c)アミノ酸配列GLGKGSKRGAMDY(配列番号33)を含むHVR−H3から選択される少なくとも一つ、少なくとも2つ、又は3つ全てのVH HVR配列を含む抗IL−34抗体を提供する。幾つかの実施態様では、抗IL−34抗体は、アミノ酸配列GLGKGSKRGAMDY(配列番号33)を含むHVR−H3を含む。幾つかの実施態様では、抗IL−34抗体は、(a)アミノ酸配列GLGKGSKRGAMDY(配列番号33)を含むHVR−H3、及び(b)アミノ酸配列QQYSDLPYT(配列番号45)を含むHVR−L3を含む。幾つかの実施態様では、抗IL−34抗体は、(a)アミノ酸配列GLGKGSKRGAMDY(配列番号33)を含むHVR−H3;(b)アミノ酸配列QQYSDLPYT(配列番号45)を含むHVR−L3;及び(c)アミノ酸配列RISPYSGYTNYADSVKG(配列番号51)を含むHVR−H2を含む。幾つかの実施態様では、抗体は、(a)アミノ酸配列STWIH(配列番号59)を含むHVR−H1;(b)アミノ酸配列RISPYSGYTNYADSVKG(配列番号51)を含むHVR−H2;及び(c)アミノ酸配列GLGKGSKRGAMDY(配列番号33)を含むHVR−H3を含む。
【0108】
別の態様では、本発明は、(a)RASQDVSTAVA(配列番号50)のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)アミノ酸配列SASFLYS(配列番号53)を含むHVR−L2;及び(c)アミノ酸配列QQYSDLPYT(配列番号45)を含むHVR−L3から選択される少なくとも一つ、少なくとも2つ、又は3つ全てのVL HVR配列を含む抗IL−34抗体を提供する。幾つかの実施態様では、抗体は、(a)アミノ酸配列RASQDVSTAVA(配列番号50)を含むHVR−L1;(b)アミノ酸配列SASFLYS(配列番号53)を含むHVR−L2;及び(c)アミノ酸配列QQYSDLPYT(配列番号45)を含むHVR−L3を含む。
【0109】
別の態様では、本発明の抗IL−34抗体は、(a)(i)アミノ酸配列STWIH(配列番号59)を含むHVR−H1、(ii)アミノ酸配列RISPYSGYTNYADSVKG(配列番号51)を含むHVR−H2、(iii)アミノ酸配列GLGKGSKRGAMDY(配列番号33)を含むHVR−H3から選択される少なくとも一つ、少なくとも2つ、又は3つ全てのVH HVR配列を含むVHドメイン;並びに(b)(i)RASQDVSTAVA(配列番号50)のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(ii)アミノ酸配列SASFLYS(配列番号53)を含むHVR−L2;及び(iii)アミノ酸配列QQYSDLPYT(配列番号45)を含むHVR−L3から選択される少なくとも一つ、少なくとも2つ、又は3つ全てのVL HVR配列を含むVLドメインを含む。
【0110】
別の態様では、本発明は、(a)アミノ酸配列STWIH(配列番号59)を含むHVR−H1;(b)アミノ酸配列RISPYSGYTNYADSVKG(配列番号51)を含むHVR−H2;(c)アミノ酸配列GLGKGSKRGAMDY(配列番号33)を含むHVR−H3;(d)RASQDVSTAVA(配列番号50)のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)アミノ酸配列SASFLYS(配列番号53)を含むHVR−L2;及び(f)アミノ酸配列QQYSDLPYT(配列番号45)を含むHVR−L3を含む抗IL−34抗体を提供する。
【0111】
別の態様では、本発明は、(a)アミノ酸配列SNWIH(配列番号79)を含むHVR−H1、(b)アミノ酸配列RISPNSGYTDYADSVKG(配列番号80)を含むHVR−H2;(c)アミノ酸配列SMRARRGFDY(配列番号81)を含むHVR−H3;(d)RASQDVSTAVA(配列番号50)のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)アミノ酸配列SASFLYS(配列番号53)を含むHVR−L2;及び(f)アミノ酸配列QQSYTTPPT(配列番号43)を含むHVR−L3を含む抗IL−34抗体を提供する。
【0112】
別の態様では、本発明は、本明細書で例示される抗IL−34抗体に由来する抗IL−34抗体を提供する。
【0113】
幾つかの実施態様では、抗IL−34抗体は、以下:
HVR−H1:SXIH[配列中、Xは、N又はTであり、Xは、Y又はWである](配列番号64);
HVR−H2:XIXPXYADSVKG[配列中、Xは、S又はRであり;Xは、T又はSであり;Xは、A又はYであり;Xは、S又はYであり;Xは、G又はYであり;Xは、D又はYであり;Xは、T又はSであり;Xは、D又はNである](配列番号65);
HVR−H3:SRGAYRFAY(配列番号56)、又はGXGSKRGAMDY[配列中、Xは、L又はIであり;Xは、G又はNであり;Xは、K又はQである](配列番号66);
HVR−L1:RASQDVSTAVA(配列番号50);
HVR−L2:SASFLYS(配列番号53);
HVR−L3:QQXIXPXT[配列中、Xは、S又はYであり;Xは、Y、T、S、F、又はRであり;Xは、T、A、D、又はYであり;Xは、T、L、V、F、又はAであり;Xは、P又はRであり;Xは、P、Y、又はNである](配列番号67)
のHVRのうちの何れか1つ、又はこれらのうちの2つ、3つ、4つ、5つ、もしくは6つの任意の組合せを含む。
【0114】
幾つかの実施態様では、HVR内の1又は複数のアミノ酸残基を置換することができる。幾つかの実施態様では、置換は、本明細書で提示される保存的置換である。
【0115】
上記の実施態様のうちの何れかでは、抗IL−34抗体をヒト化する。幾つかの実施態様では、抗IL−34抗体は、上記の実施態様のうちの何れかにおける通りのHVRを含み、アクセプターのヒトフレームワーク、例えば、ヒト免疫グロブリンフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワークを更に含む。別の実施態様では、抗IL−34抗体は、上記の実施態様のうちの何れかにおける通りのHVRを含み、配列番号17のFR1配列、配列番号18のFR2配列、配列番号19のFR3配列、配列番号20のFR4配列を含むVH、及び/又は配列番号21のFR1配列、配列番号22のFR2配列、配列番号23のFR3配列、配列番号24のFR4配列を含むVLを更に含む。
【0116】
別の態様では、抗IL−34抗体は、配列番号3のアミノ酸配列(図10Aに示されている抗体404.33.56のVHアミノ酸配列)に対する、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、又は100%のうちの少なくとも何れか1つの配列同一性を有する重鎖可変ドメイン(VH)配列を含む。幾つかの実施態様では、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、又は98%、又は99%のうちの少なくとも何れか1つの同一性を有するVH配列は、基準配列と比べて、置換(例えば、保存的置換)、挿入、又は欠失を含有するが、この配列を含む抗IL−34抗体は、IL−34に結合する能力を保持する。幾つかの実施態様では、配列番号3内の合計1〜10アミノ酸が、置換され、挿入され、及び/又は欠失している。幾つかの実施態様では、置換、挿入、又は欠失は、HVR外の領域内で(すなわち、FR内で)生じる。場合によって、抗IL−34抗体は、この配列の翻訳後修飾を含めた、配列番号3内のVH配列を含む。特定の実施態様では、VHは、(a)アミノ酸配列STWIH(配列番号59)を含むHVR−H1;(b)アミノ酸配列RISPYYYYSDYADSVKG(配列番号52)を含むHVR−H2;(c)アミノ酸配列GLGKGSKRGAMDY(配列番号33)を含むHVR−H3から選択される1つ、2つ、又は3つのHVRを含む。
【0117】
別の態様では、配列番号4のアミノ酸配列(図10Bに示されている抗体404.33.56のVLアミノ酸配列)に対する、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、又は100%のうちの少なくとも何れか1つの配列同一性を有する軽鎖可変ドメイン(VL)を含む抗IL−34抗体が提供される。幾つかの実施態様では、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、又は98%、又は99%のうちの少なくとも何れか1つの同一性を有するVL配列は、基準配列と比べて、置換(例えば、保存的置換)、挿入、又は欠失を含有するが、この配列を含む抗IL−34抗体は、IL−34に結合する能力を保持する。幾つかの実施態様では、配列番号4内の合計1〜10アミノ酸が、置換され、挿入され、及び/又は欠失している。幾つかの実施態様では、置換、挿入、又は欠失は、HVR外の領域内で(すなわち、FR内で)生じる。場合によって、抗IL−34抗体は、この配列の翻訳後修飾を含めた、配列番号4内のVL配列を含む。特定の実施態様では、VLは、(a)アミノ酸配列RASQDVSTAVA(配列番号50)を含むHVR−L1;(b)アミノ酸配列SASFLYS(配列番号53)を含むHVR−L2;及び(c)アミノ酸配列QQSFYFPNT(配列番号39)を含むHVR−L3から選択される1つ、2つ、又は3つのHVRを含む。
【0118】
別の態様では、抗IL−34抗体は、配列番号11のアミノ酸配列(図10Aに示されている抗体404.33.12のVHアミノ酸配列)に対する、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、又は100%のうちの少なくとも何れか1つの配列同一性を有する重鎖可変ドメイン(VH)配列を含む。幾つかの実施態様では、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、又は98%、又は99%のうちの少なくとも何れか1つの同一性を有するVH配列は、基準配列と比べて、置換(例えば、保存的置換)、挿入、又は欠失を含有するが、この配列を含む抗IL−34抗体は、IL−34に結合する能力を保持する。幾つかの実施態様では、配列番号11内の合計1〜10アミノ酸が、置換され、挿入され、及び/又は欠失している。幾つかの実施態様では、置換、挿入、又は欠失は、HVR外の領域内で(すなわち、FR内で)生じる。場合によって、抗IL−34抗体は、この配列の翻訳後修飾を含めた、配列番号11内のVH配列を含む。特定の実施態様では、VHは、(a)STWIH(配列番号59)のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)アミノ酸配列RISPYSGYTNYADSVKG(配列番号51)を含むHVR−H2;(c)アミノ酸配列GLGKGSKRGAMDY(配列番号33)を含むHVR−H3から選択される1つ、2つ、又は3つのHVRを含む。
【0119】
別の態様では、配列番号12のアミノ酸配列(図10Bに示されている抗体404.33.12のVLアミノ酸配列)に対する、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、又は100%のうちの少なくとも何れか1つの配列同一性を有する軽鎖可変ドメイン(VL)を含む抗IL−34抗体が提供される。幾つかの実施態様では、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、又は98%、又は99%のうちの少なくとも何れか1つの同一性を有するVL配列は、基準配列と比べて、置換(例えば、保存的置換)、挿入、又は欠失を含有するが、この配列を含む抗IL−34抗体は、IL−34に結合する能力を保持する。幾つかの実施態様では、配列番号12内の合計1〜10アミノ酸が、置換され、挿入され、及び/又は欠失している。幾つかの実施態様では、置換、挿入、又は欠失は、HVR外の領域内で(すなわち、FR内で)生じる。場合によって、抗IL−34抗体は、この配列の翻訳後修飾を含めた、配列番号12内のVL配列を含む。特定の実施態様では、VLは、(a)RASQDVSTAVA(配列番号50)のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)アミノ酸配列SASFLYS(配列番号53)を含むHVR−L2;及び(c)アミノ酸配列QQYSDLPYT(配列番号45)を含むHVR−L3から選択される1つ、2つ、又は3つのHVRを含む。
【0120】
別の態様では、上記で提示した実施態様のうちの何れかにおける通りのVH、及び上記で提示した実施態様のうちの何れかにおける通りのVLを含む抗IL−34抗体が提供される。幾つかの実施態様では、抗体は、これらの配列の翻訳後修飾を含めた、配列番号3及び配列番号4のそれぞれの中のVH及びVL配列を含む。幾つかの実施態様では、抗体は、これらの配列の翻訳後修飾を含めた、配列番号11及び配列番号12のそれぞれの中のVH及びVL配列を含む。幾つかの実施態様では、抗体は、これらの配列の翻訳後修飾を含めた、配列番号5及び配列番号6のそれぞれの中のVH及びVL配列を含む。幾つかの実施態様では、抗体は、これらの配列の翻訳後修飾を含めた、配列番号7及び配列番号8のそれぞれの中のVH及びVL配列を含む。幾つかの実施態様では、抗体は、これらの配列の翻訳後修飾を含めた、配列番号9及び配列番号10のそれぞれの中のVH及びVL配列を含む。幾つかの実施態様では、抗体は、これらの配列の翻訳後修飾を含めた、配列番号13及び配列番号14のそれぞれの中のVH及びVL配列を含む。幾つかの実施態様では、抗体は、これらの配列の翻訳後修飾を含めた、配列番号15及び配列番号16のそれぞれの中のVH及びVL配列を含む。幾つかの実施態様では、抗体は、これらの配列の翻訳後修飾を含めた、配列番号77及び配列番号78のそれぞれの中のVH及びVL配列を含む。
【0121】
さらなる態様では、本発明は、本明細書で提示される抗IL−34抗体と同じエピトープに結合する抗体を提供する。例えば、幾つかの実施態様では、配列番号3のVH配列及び配列番号4のVL配列を含む抗IL−34抗体、配列番号11のVH配列及び配列番号12のVL配列を含む抗IL−34抗体、配列番号5のVH配列及び配列番号6のVL配列を含む抗IL−34抗体、配列番号7のVH配列及び配列番号8のVL配列を含む抗IL−34抗体、配列番号9のVH配列及び配列番号10のVL配列を含む抗IL−34抗体、配列番号13のVH配列及び配列番号14のVL配列を含む抗IL−34抗体、又は配列番号15のVH配列及び配列番号16のVL配列を含む抗IL−34抗体から選択される抗IL−34抗体と同じエピトープに結合する抗体が提供される。幾つかの実施態様では、抗IL−34抗体は、配列番号3のVH配列及び配列番号4のVL配列を含む抗IL−34抗体と同じエピトープに結合する。幾つかの実施態様では、抗IL−34抗体は、配列番号11のVH配列及び配列番号12のVL配列を含む抗IL−34抗体と同じエピトープに結合する。幾つかの実施態様では、エピトープは、コンフォメーショナルエピトープである。幾つかの実施態様では、抗IL−34抗体は、配列番号77のVH配列及び配列番号78のVL配列を含む抗IL−34抗体と同じエピトープに結合する。幾つかの実施態様では、エピトープは、コンフォメーショナルエピトープである。幾つかの実施態様では、エピトープは、直鎖状エピトープである。
【0122】
本発明のさらなる態様では、上記の実施態様のうちの何れかに従う抗IL−34抗体は、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体を含めたモノクローナル抗体である。幾つかの実施態様では、抗IL−34抗体は、抗体断片、例えば、Fv、Fab、Fab’、ScFv、ダイアボディー、又はF(ab’)断片である。別の実施態様では、抗体は、本明細書で規定される全長抗体、例えば、無傷IgG1もしくはIgG4抗体、又は他の抗体クラスもしくはアイソタイプである。
【0123】
さらなる態様では、上記の実施態様のうちの何れかに従う抗IL−34抗体には、下記の1〜7節で記載される特色のうちの何れかを、単独又は組合せで組み込むことができる。
【0124】
抗CSF−1R抗体
別の態様では、本発明は、CSF−1R(例えば、ヒトCSF−1R)に結合する単離抗体を提供する。一態様では、ヒトCSF−1Rのアミノ酸残基Arg144、Gln248、Gln249、Ser250、Phe252、及びAsn254のうちの1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つ、又は6つの少なくとも何れか1つを含むエピトープに結合する抗CSF−1R抗体が本発明において提供される。一態様では、ヒトCSF−1Rのアミノ酸残基Arg144を含むエピトープに結合する抗CSF−1R抗体が本発明において提供される。一態様では、ヒトCSF−1Rのアミノ酸残基Arg144、Arg142、Arg146、及びArg250のうちの1つ、2つ、又は3つ、又は4つの少なくとも何れか1つを含むエピトープに結合する抗CSF−1R抗体が本発明において提供される。上記の態様のうちの何れかの抗CSF−1R抗体は、ヒトCSF−1Rの少なくとも一つ又は2つのアミノ酸残基Ser172及びArg192を更に含むエピトープに結合しうる。上記の態様のうちの何れかの抗CSF−1R抗体は、ヒトCSF−1Rのアミノ酸残基Arg146、Met149、Arg150、Phe169、Ile170、及びGln173のうちの1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つ、又は6つの少なくとも何れか1つを更に含むエピトープに結合しうる。幾つかの実施態様では、抗CSF−1R抗体は、CSF−1Rの142〜150及び169〜172位内のアミノ酸に結合する。本明細書で用いられる、本明細書における残基位置は、配列番号2における残基位置に対応する。幾つかの実施態様では、抗CSF−1R抗体は、ヒトIL−34及び/又はヒトCSF−1の、ヒトCSF−1Rへの結合を阻害する。
【0125】
別の態様では、ヒトCSF−1Rのアミノ酸残基Arg144、Gln248、Gln249、Ser250、Phe252、及びAsn254のうちの1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つ、又は6つの少なくとも何れか1つを含むエピトープに結合する抗CSF−1R抗体が本発明において提供される。一態様では、ヒトCSF−1Rのアミノ酸残基Gln248、Gln249、Ser250、Phe252、及びAsn254のうちの1つ、2つ、3つ、又は4つ、又は5つの少なくとも何れか1つを含むエピトープに結合する抗CSF−1R抗体が本発明において提供される。一態様では、ヒトCSF−1Rのアミノ酸残基Gln248、Gln249、Ser250、Phe252、Asn254、及びTyr257のうちの1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つ、又は6つの少なくとも何れか1つを含むエピトープに結合する抗CSF−1R抗体が本発明において提供される。上記の態様のうちの何れかの抗CSF−1R抗体は、ヒトCSF−1Rのアミノ酸残基Pro247、Gln258、及びLys259のうちの少なくとも一つ、少なくとも2つ、又は3つを更に含むエピトープに結合しうる。上記の態様のうちの何れかの抗CSF−1R抗体は、ヒトCSF−1Rのアミノ酸残基Val231、Asp251、及びTyr257のうちの少なくとも一つ、少なくとも2つ、又は3つを更に含むエピトープに結合しうる。幾つかの実施態様では、抗CSF−1R抗体は、CSF−1Rの231、248〜252及び254位内のアミノ酸に結合する。本明細書で用いられる、本明細書における残基位置は、配列番号2における残基位置に対応する。幾つかの実施態様では、抗CSF−1R抗体は、ヒトIL−34及び/又はヒトCSF−1の、ヒトCSF−1Rへの結合を阻害する。
【0126】
本発明のさらなる態様では、上記の実施態様のうちの何れかに従う抗CSF1R抗体は、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体を含めたモノクローナル抗体である。幾つかの実施態様では、抗CSF−1R抗体は、抗体断片、例えば、Fv、Fab、Fab’、scFv、ダイアボディー、又はF(ab’)断片である。別の実施態様では、抗体は、本明細書で規定される全長抗体、例えば、無傷IgG1もしくはIgG4抗体、又は他の抗体クラスもしくはアイソタイプである。
【0127】
さらなる態様では、上記の実施態様のうちの何れかに従う抗CSF−1R抗体には、下記の1〜7節で記載される特色のうちの何れかを、単独又は組合せで組み込むことができる。
【0128】
抗体アフィニティー
幾つかの実施態様では、本明細書で提示される抗体の解離定数(K)は、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、≦0.1nM、≦0.01nM、又は≦0.001nM(例えば、10−8M以下、例えば、10−8M〜10−13M、例えば、10−9M〜10−13M)である。
【0129】
幾つかの実施態様では、Kは、放射性標識された抗原結合アッセイ(RIA)であって、以下のアッセイで記載される対象の抗体のFab変化形及びその抗原により実施されるRIAにより測定する。Fabの抗原に対する、溶液中の結合アフィニティーは、非標識抗原の滴定系列の存在下において、Fabを、最小濃度の125I標識された抗原で平衡化し、次いで、結合した抗原を、抗Fab抗体でコーティングしたプレートで捕捉することにより測定する(例えば、Chenら、J.Mol.Biol.、293:865〜881(1999)を参照されたい)。アッセイのための条件を確立するためには、MICROTITER(登録商標)マルチウェルプレート(Thermo Scientific)を、50mMの炭酸ナトリウム(pH9.6)中に5μg/mlの捕捉用抗Fab抗体(Cappel Labs)で一晩にわたりコーティングし、その後、PBS中に2%(w/v)のウシ血清アルブミンにより、室温(約23℃)で2〜5時間にわたりブロッキングする。非吸着型プレート(Nunc;型番269620)、100pM又は26pMの[125I]−抗原を、対象のFabの希釈系列と共に混合する(例えば、Prestaら、Cancer Res.、57:4593〜4599(1997)における、抗VEGF抗体であるFab−12の評価に準拠する)。次いで、対象のFabを、一晩にわたりインキュベートするが、インキュベーションをいっそう長時間(例えば、約65時間)にわたり持続して、平衡に達したことを確認することもできる。その後、混合物を、室温での(例えば、1時間にわたる)インキュベーションのための捕捉プレートへと移す。次いで、溶液を除去し、プレートを、PBS中に0.1%のポリソルベート20(TWEEN−20(登録商標))で8回にわたり洗浄する。プレートが乾燥したら、ウェル1つ当たり150μlのシンチレーション剤(MICROSCINT−20(商標);Packard)を添加し、プレートを、TOPCOUNT(商標)ガンマカウンター(Packard)上で、10分間にわたりカウントする。最大の結合の20%以下を示す濃度の各Fabを、競合的結合アッセイにおける使用のために選び出す。
【0130】
別の実施態様によれば、Kは、BIACORE(登録商標)−2000又はBIACORE(登録商標)−3000(BIAcore,Inc.、Piscataway、NJ)を、25℃で、約10反応単位(RU)の固定化抗原CM5チップと共に用いる、表面プラズモン共鳴アッセイを用いて測定する。略述すると、カルボキシメチル化デキストランバイオセンサーチップ(CM5;BIACORE,Inc)を、販売元の指示書に従い、N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミドヒドロクロリド(EDC)及びN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)で活性化する。抗原を、10mMの酢酸ナトリウム、pH4.8で、5μg/ml(約0.2μM)へと希釈してから、5μl/分の流量で注入して、約10反応単位(RU)のカップリングタンパク質を達成する。抗原を注入した後、1Mのエタノールアミンを注入して、非反応基をブロッキングした。反応速度を測定するには、2倍の希釈系列(0.78nM〜500nM)のFabを、0.05%のポリソルベート20(TWEEN−20(商標))界面活性剤(PBST)と共に、25℃、約25μl/分の流量でPBS中に注入する。会合速度(kon)及び解離速度(koff)は、単純一対一ラングミュア結合モデル(BIACORE(登録商標)Evaluation Software version 3.2)を用いて、会合センサーグラムと解離センサーグラムとを同時に近似することにより計算する。平衡解離定数(K)は、比koff/konとして計算する。例えば、Chenら、J.Mol.Biol.、293:865〜881(1999)を参照されたい。上記の表面プラズモン共鳴アッセイによるオン速度が10−1−1を超える場合、オン速度は、ストップフロー装置を装備した分光光度計(Aviv Instruments)又は撹拌型キュベットを伴う8000シリーズのSLM−AMINCO(商標)分光光度計(ThermoSpectronic)などの分光計により測定される、濃度を増大させる抗原の存在下における、PBS、pH7.2中に20nMの抗抗原抗体(Fab形態)の、25℃における蛍光発光強度(励起波長=295nm;発光波長=340nm、16nmのバンドパス)の増大又は減少を測定する蛍光消光法を用いることにより決定することができる。
【0131】
別の実施態様によれば、Kは、例えば、本明細書で記載されるBLIアッセイを用いて測定する。
【0132】
抗体断片
幾つかの実施態様では、本明細書で提示される抗体は、抗体断片である。抗体断片には、Fab断片、Fab’断片、Fab’−SH断片、F(ab’)断片、Fv断片、及びscFv断片、並びに下記で記載される他の断片が含まれるがこれらに限定されない。ある種の抗体断片の総説については、Hudsonら、Nat.Med.、9:129〜134(2003)を参照されたい。scFv断片の総説については、例えば、Plueckthun、「Pharmacology of Monoclonal Antibodies」、113巻、Rosenburg及びMoore編、(Springer−Verlag、New York)、269〜315ページ(1994)を参照されたい。また、WO93/16185;並びに米国特許第5,571,894号及び同第5,587,458号も参照されたい。サルベージ受容体結合エピトープ残基を含み、in vivoにおける半減期を延長させたFab断片及びF(ab’)断片の議論については、米国特許第5,869,046号を参照されたい。
【0133】
ダイアボディーとは、二価又は二重特異性でありうる、2つの抗原結合部位を伴う抗体断片である。例えば、EP404,097;WO1993/01161;Hudsonら、Nat.Med.、9:129〜134(2003);及びHollingerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、90:6444〜6448(1993)を参照されたい。Hudsonら、Nat.Med.、9:129〜134(2003)ではまた、トリアボディー及びテトラボディーについても記載されている。
【0134】
単一ドメイン抗体とは、抗体の重鎖可変ドメインの全部もしくは一部分、又は軽鎖可変ドメインの全部もしくは一部分を含む抗体断片である。幾つかの実施態様では、単一ドメイン抗体は、ヒト単一ドメイン抗体(Domantis,Inc.、Waltham、MA;例えば、米国特許第6,248,516B1号を参照されたい)である。
【0135】
幾つかの実施態様では、抗体断片は、in vivoにおける半減期が無傷抗体と実質的に類似する一価抗体である。例えば、このような抗体断片は、in vivoにおける安定性を断片へと付与することが可能なFc配列へと連結された、1つの抗原結合アームを含みうる。一実施態様では、本発明の抗体は、WO2005/063816において記載されている、1アーム抗体である。一実施態様では、1アーム抗体は、WO2005/063816において記載されている「ノブ」及び「ホール」を構成するFcの突然変異を含む。
【0136】
抗体断片はまた、例えば、米国特許第5,641,870号において記載されている「線状抗体」でもありうる。このような線状抗体断片は、単一特異性の場合もあり、二重特異性の場合もある。
【0137】
抗体断片は、タンパク質分解による無傷抗体の消化のほか、本明細書で記載される組換え宿主細胞(例えば、大腸菌(E.coli)又はファージ)による産生が含まれるがこれらに限定されない多様な技法により作製することができる。
【0138】
キメラ抗体及びヒト化抗体
幾つかの実施態様では、本明細書で提示される抗体は、キメラ抗体である。ある種のキメラ抗体は、例えば、米国特許第4,816,567号;及びMorrisonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、81:6851〜6855(1984))において記載されている。一例では、キメラ抗体は、非ヒト可変領域(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、又はサルなどの非ヒト霊長動物に由来する可変領域)とヒト定常領域とを含む。さらなる例では、キメラ抗体は、クラス又はサブクラスを、親抗体のクラス又はサブクラスから変化させた、「クラススイッチ」抗体である。キメラ抗体は、その抗原結合断片を包含する。
【0139】
幾つかの実施態様では、キメラ抗体は、ヒト化抗体である。典型的に、非ヒト抗体をヒト化して、非ヒト親抗体の特異性及びアフィニティーを保持する一方で、ヒトに対する免疫原性を低減する。一般に、ヒト化抗体は、1又は複数の可変ドメインであって、HVR、例えば、CDR(又はその部分)が非ヒト抗体に由来し、FR(又はその部分)がヒト抗体配列に由来する可変ドメインを含む。ヒト化抗体は場合によってまた、ヒト定常領域の少なくとも一部分も含むであろう。幾つかの実施態様では、ヒト化抗体内の一部のFR残基を、非ヒト抗体(例えば、HVR残基が由来する抗体)に由来する、対応する残基で置換して、例えば、抗体の特異性又はアフィニティーを回復又は改善する。
【0140】
ヒト化抗体及びそれらを作製する方法は、例えば、Almagro及びFransson、Front.Biosci.、13:1619〜1633(2008)において総説されており、例えば、Riechmannら、Nature、332:323〜329(1988);Queenら、Proc.Nat’l Acad.Sci.USA、86:10029〜10033(1989);米国特許第5,821,337号、同第7,527,791号、同第6,982,321号、及び同第7,087,409号;Kashmiriら、Methods、36:25〜34(2005)(SDR(a−CDR)移植について記載している);Padlan、Mol.Immunol.、28:489〜498(1991)(「表面置換」について記載している);Dall’Acquaら、Methods、36:43〜60(2005)(「FRシャフリング」について記載している);及びOsbournら、Methods、36:61〜68(2005);及びKlimkaら、Br.J.Cancer、83:252〜260(2000)(FRシャフリングのための「誘導選択」法について記載している)において更に記載されている。
【0141】
ヒト化のために用いうるヒトフレームワーク領域には、「ベストフィット」法(例えば、Simsら、J.Immunol.、151:2296(1993)を参照されたい)を用いて選択されるフレームワーク領域;軽鎖可変領域又は重鎖可変領域の特定の亜群のヒト抗体のコンセンサス配列に由来するフレームワーク領域(例えば、Carterら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、89:4285(1992);及びPrestaら、J.Immunol.、151:2623(1993)を参照されたい);ヒト成熟(体細胞突然変異させた)フレームワーク領域又はヒト生殖細胞系フレームワーク領域(例えば、Almagro及びFransson、Front.Biosci.、13:1619〜1633(2008)を参照されたい);及びFRライブラリーのスクリーニングに由来するフレームワーク領域(例えば、Bacaら、J.Biol.Chem.、272:10678〜10684(1997)及びRosokら、J.Biol.Chem.、271:22611〜22618(1996)を参照されたい)が含まれるがこれらに限定されない。
【0142】
ヒト抗体
幾つかの実施態様では、本明細書で提示される抗体は、ヒト抗体である。ヒト抗体は、当技術分野で知られている多様な技法を用いて作製することができる。ヒト抗体は、van Dijk及びvan de Winkel、Curr.Opin.Pharmacol.、5:368〜74(2001);並びにLonberg、Curr.Opin.Immunol.、20:450〜459(2008)において一般に記載されている。
【0143】
ヒト抗体は、抗原による感作に応答して、無傷ヒト抗体又はヒト可変領域を伴う無傷抗体を産生するように改変されたトランスジェニック動物へと免疫原を投与することにより調製することができる。このような動物は、内因性の免疫グロブリン遺伝子座を置きかえるか、又は染色体外に存在するかもしくは動物の染色体へとランダムに組み込まれる、ヒト免疫グロブリン遺伝子座の全部又は一部分を含有することが典型的である。このようなトランスジェニックマウスでは、内因性の免疫グロブリン遺伝子座は一般に不活化されている。トランスジェニック動物からヒト抗体を得るための方法の総説については、Lonberg、Nat.Biotech.、23:1117〜1125(2005)を参照されたい。また、例えば、XENOMOUSE(商標)技術について記載している米国特許第6,075,181号及び同第6,150,584号;HUMAB(登録商標)技術について記載している米国特許第5,770,429号;K−M MOUSE(登録商標)技術について記載している米国特許第7,041,870号、及びVELOCIMOUSE(登録商標)技術について記載している米国特許出願公開第US2007/0061900号も参照されたい。このような動物により生み出された無傷抗体に由来するヒト可変領域は、例えば、異なるヒト定常領域と組み合わせることにより更に修飾することができる。
【0144】
ヒト抗体はまた、ハイブリドーマベースの方法により作製することもできる。ヒトモノクローナル抗体を産生するための、ヒト骨髄腫細胞系及びマウス−ヒトヘテロ骨髄腫細胞系は記載されている(例えば、Kozbor、J.Immunol.、133:3001(1984);Brodeurら、「Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications」、51〜63ページ(Marcel Dekker,Inc.、New York、1987);及びBoernerら、J.Immunol.、147:86(1991)を参照されたい)。また、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術を介して生み出されたヒト抗体も、Liら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、103:3557〜3562(2006)において記載されている。さらなる方法には、例えば、米国特許第7,189,826号(ハイブリドーマ細胞系からのヒトモノクローナルIgM抗体の作製について記載している)及びNi、Xiandai Mianyixue、26(4):265〜268(2006)(ヒト−ヒトハイブリドーマについて記載している)において記載されている方法が含まれる。また、ヒトハイブリドーマ技術(トリオーマ技術)も、Vollmers及びBrandlein、「Histology and Histopathology」、20(3):927〜937(2005);並びにVollmers及びBrandlein、Methods and Findings in Experimental and Clinical PHarmacology、27(3):185〜91(2005)において記載されている。
【0145】
ヒト抗体はまた、ヒトに由来するファージディスプレイライブラリーから選択されるFvクローンの可変ドメイン配列を単離することにより創成することもできる。次いで、このような可変ドメイン配列を、所望のヒト定常ドメインと組み合わせることができる。ヒト抗体を抗体ライブラリーから選択するための技法については、下記で記載する。
【0146】
ライブラリーに由来する抗体
本発明の抗体は、コンビナトリアルライブラリーを、1又は複数の所望の活性を伴う抗体についてスクリーニングすることにより単離することができる。例えば、当技術分野では、ファージディスプレイライブラリーを創成し、このようなライブラリーを、所望の結合特徴を保有する抗体についてスクリーニングするための様々な方法が知られている。このような方法は、例えば、Hoogenboomら、「Methods in Molecular Biology」、178:1〜37(O’Brienら編、Humana Press、Totowa、NJ、2001)において総説されており、例えば、McCaffertyら、Nature、348:552〜554;Clacksonら、Nature、352:624〜628(1991);Marksら、J.Mol.Biol.、222:581〜597(1992);Marks及びBradbury、「Methods in Molecular Biology」、248:161〜175(Lo編、Humana Press、Totowa、NJ、2003);Sidhuら、J.Mol.Biol.、338(2):299〜310(2004);Leeら、J.Mol.Biol.、340(5):1073〜1093(2004);Fellouse、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、101(34):12467〜12472(2004);及びLeeら、J.Immunol.Methods、284(1〜2):119〜132(2004)において更に記載されている。
【0147】
ある種のファージディスプレイ方法では、VH遺伝子及びVL遺伝子のレパートリーを、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により個別にクローニングし、ファージライブラリーによりランダムに組み換え、次いで、これを、Winterら、Ann.Rev.Immunol.、12:433〜455(1994)において記載されている抗原結合ファージについてスクリーニングすることができる。ファージは、単鎖Fv(scFv)断片又はFab断片としての抗体断片を提示することが典型的である。免疫化された供給源に由来するライブラリーは、ハイブリドーマを構築することを要請せずに、高アフィニティーの抗体を、免疫原へともたらす。代替的に、ナイーブレパートリーをクローニングして(例えば、ヒトから)、Griffithsら、EMBO J、12:725〜734(1993)により記載されている通り、免疫化を伴わずに、広範な非自己抗原に対する抗体の単一の供給源をもたらすことができ、また、広範な自己抗原に対する抗体の単一の供給源をもたらすこともできる。最後に、ナイーブライブラリーはまた、Hoogenboom及びWinter、J.Mol.Biol.、227:381〜388(1992)により記載されている通り、再配列されていないV遺伝子セグメントを幹細胞からクローニングし、ランダム配列を含有するPCRプライマーを用いて、高度に可変的なCDR3領域をコードさせ、in vitroにおいて再配列を達成することにより合成的に作製することもできる。ヒト抗体ファージライブラリーについて記載している特許公開には、例えば、米国特許第5,750,373号、並びに米国特許公開第2005/0079574号、同第2005/0119455号、同第2005/0266000号、同第2007/0117126号、同第2007/0160598号、同第2007/0237764号、同第2007/0292936号、及び同第2009/0002360号が含まれる。
【0148】
本明細書では、ヒト抗体ライブラリーから単離される抗体又は抗体断片を、ヒト抗体又はヒト抗体断片と考える。
【0149】
6.多重特異性抗体
二重特異性抗体
二重特異性抗体とは、2つの異なる抗原に対する結合特異性を有するモノクローナル抗体である。幾つかの実施態様では、二重特異性抗体は、ヒト抗体又はヒト化抗体である。幾つかの実施態様では、結合特異性のうちの1つは、IL−34(例えば、ヒトIL−34)に対する結合特異性であり、他の結合特異性は、任意の他の抗原に対する結合特異性である。幾つかの実施態様では、二重特異性抗体は、IL−34(例えば、ヒトIL−34)の2つの異なるエピトープに結合しうる。幾つかの実施態様では、二重特異性抗体は、IL−34に対する第1の結合特異性(例えば、ヒトIL−34)及びCSF−1に対する第2の結合特異性(例えば、ヒトCSF−1)を含む。幾つかの実施態様では、二重特異性抗体は、本明細書で記載される抗IL−34抗体のうちの何れかと同じIL−34上のエピトープに結合する。幾つかの実施態様では、二重特異性抗体は、本明細書で記載される抗IL−34抗体のうちの何れか1つの1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つ、又は6つのHVRのうちの少なくとも何れか1つを含む。二重特異性抗体は、全長抗体として調製することもでき、抗体断片(例えば、F(ab’)二重特異性抗体)として調製することもできる。
【0150】
当技術分野では、二重特異性抗体を作製するための方法が知られている。従来、二重特異性抗体の組換えによる作製は、2つの重鎖が異なる特異性を有する、2つの免疫グロブリン重鎖−軽鎖対の共発現に基づく(Milstein及びCuello、Nature、305:537(1983))。免疫グロブリン重鎖と免疫グロブリン軽鎖との任意組合せのために、これらのハイブリドーマ(クァドローマ)は、それらのうちの1つだけが適正な二重特異性構造を有する、10の異なる抗体分子の潜在的な混合物を産生する。通例アフィニティークロマトグラフィーステップによりなされる適正な分子の精製は、かなり煩瑣であり、生成物の収率も低い。同様の手順は、1993年5月13日に公開されたWO93/08829、及びTrauneckerら、EMBOJ.、10:3655(1991)においても開示されている。
【0151】
異なる手法によれば、所望の結合特異性(抗体−抗原間の結合部位)を伴う抗体可変ドメインを、免疫グロブリンの定常ドメイン配列へと融合させる。融合は、例えば、ヒンジ領域、CH2領域、及びCH3領域のうちの少なくとも一部を含む免疫グロブリン重鎖定常ドメインとの融合である。幾つかの実施態様では、軽鎖への結合に必要な部位を含有する第1の重鎖定常領域(CH1)が、融合体のうちの少なくとも一つの中に存在する。免疫グロブリン重鎖融合体、及び、所望の場合、免疫グロブリン軽鎖をコードするDNAを、個別の発現ベクターへと挿入し、適切な宿主生物へと共トランスフェクトする。これは、構築において用いられる3つのポリペプチド鎖の比が等しくないときに最適の収率がもたらされる実施態様では、3つのポリペプチド断片の相互の比率の調整に大きな柔軟性をもたらす。しかし、少なくとも2つのポリペプチド鎖の比が等しいときの発現により高い収率が結果としてもたらされる場合、又は比が特定の意義を有さない場合は、2つ又は3つ全てのポリペプチド鎖のコード配列を、1つの発現ベクター内に挿入することも可能である。
【0152】
この手法についての幾つかの実施態様では、二重特異性抗体は、一方のアームにおける、第1の結合特異性を伴うハイブリッド体の免疫グロブリン重鎖と、他方のアームにおける、ハイブリッド体の免疫グロブリン重鎖−軽鎖対(第2の結合特異性をもたらす)とからなる。この非対称構造は、二重特異性分子の片方だけに免疫グロブリン軽鎖が存在することにより、容易な分離手段をもたらすので、所望の二重特異性化合物の、望ましくない免疫グロブリン鎖の組合せからの分離を容易とすることが見出された。この手法は、WO94/04690において開示されている。二重特異性抗体を創成するさらなる詳細については、例えば、Sureshら、Methods in Enzymology、121:210(1986)を参照されたい。
【0153】
別の手法によれば、抗体分子対の間の界面を操作して、組換え細胞培養物から回収されるヘテロ二量体の百分率を最大化することができる。界面は、抗体定常ドメインのCH3ドメインのうちの少なくとも一部を含む。この方法では、第1の抗体分子の界面に由来する1又は複数の小型のアミノ酸側鎖を、大型の側鎖(例えば、チロシン又はトリプトファン)で置きかえる。大型のアミノ酸側鎖を、小型のアミノ酸側鎖(例えば、アラニン又はトレオニン)で置きかえることにより、(1又は複数の)大型の側鎖とサイズが同一であるか又は類似する補完的「凹部」を、第2の抗体分子の界面上に創出する。これにより、ヘテロ二量体の収率を、ホモ二量体などの他の望ましくない最終生成物を凌駕して増大させるための機構がもたらされる。
【0154】
二重特異性抗体には、架橋抗体又は「ヘテロコンジュゲート」抗体が含まれる。例えば、ヘテロコンジュゲート内の抗体のうちの一方を、アビジンへとカップリングさせ、他方の抗体をビオチンへとカップリングさせることができる。このような抗体は、例えば、免疫系細胞に望ましくない細胞をターゲティングさせるため(米国特許第4,676,980号)に提起されているが、HIV感染を治療するため(WO91/00360、WO92/00373、及びEP03089)にも提起されている。ヘテロコンジュゲート抗体は、任意の簡便な架橋法を用いて作製することができる。当技術分野では、適切な架橋剤がよく知られており、米国特許第4,676,980号においても、多数の架橋法と共に開示されている。
【0155】
文献には、二重特異性抗体を抗体断片から創成するための技法もまた記載されている。例えば、二重特異性抗体は、化学的連結を用いて調製することができる。Brennanら、Science、229:81(1985)は、無傷抗体を、タンパク質分解により切断して、F(ab’)断片を創成する手順について記載している。これらの断片を、ジチオール錯化剤である亜ヒ酸ナトリウムの存在下で還元して、近接ジチオールを安定化させ、分子間のジスルフィド形成を防止する。次いで、創成されたFab’断片を、チオニトロベンゾエート(TNB)誘導体へと転換する。次いで、Fab’−TNB誘導体のうちの1つを、メルカプトエチルアミンで還元することにより、Fab’−チオールへと再転換し、等モル量の他のFab’−TNB誘導体と共に混合して、二重特異性抗体を形成する。作製された二重特異性抗体は、酵素を選択的に固定化するための薬剤として用いることができる。
【0156】
近年の進歩により、大腸菌からのFab’−SH断片の直接的な回収が容易となっているが、Fab’−SH断片を化学的にカップリングして、二重特異性抗体を形成することができる。Shalabyら、J.Exp.Med.、175:217〜225(1992)は、完全ヒト化二重特異性抗体であるF(ab’)分子の産生について記載している。各Fab’断片は、大腸菌から個別に分泌させ、in vitroにおける、二重特異性抗体を形成するように方向付けされた化学的カップリングにかけた。このようにして形成された二重特異性抗体は、HER2受容体を過剰発現させる細胞及び正常なヒトT細胞に結合するほか、ヒト乳癌標的に対するヒト細胞傷害性リンパ球の溶解活性を誘発することも可能であった。
【0157】
また、二重特異性抗体断片を、組換え細胞培養物から直接作製及び単離するための多様な技法も記載されている。例えば、二重特異性抗体は、ロイシンジッパーを用いて産生されている(Kostelnyら、J.Immunol.、148(5):1547〜1553(1992))。Fosタンパク質及びJunタンパク質に由来するロイシンジッパーペプチドを、2つの異なる抗体のFab’部分へと、遺伝子融合により連結した。抗体のホモ二量体がヒンジ領域で還元して、単量体を形成し、次いで、再度酸化させて、抗体のヘテロ二量体を形成した。この方法はまた、抗体のホモ二量体を産生するためにも使用することができる。Hollingerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、90:6444〜6448(1993)により記載されている「ダイアボディー」技術により、二重特異性抗体断片を作製するための代替的な機構が提供されている。断片は、同じ鎖上の2つのドメインの間の対合を可能とするには短過ぎるリンカーにより軽鎖可変ドメイン(VL)へと接合された重鎖可変ドメイン(VH)を含む。したがって、1つの断片のVHドメイン及びVLドメインは、別の断片の相補的なVLドメイン及びVHドメインと対合することを強いられ、これにより、2つの抗原結合部位を形成する。また、単鎖Fv(sFv)二量体の使用による、二重特異性抗体断片を作製するための別の戦略も報告されている。Gruberら、J.Immunol.、152:5368(1994)を参照されたい。
【0158】
一実施態様によれば、本発明の抗原結合ドメインを含む1つのポリペプチドは、ヘテロ二量体化ドメインを含む。本明細書で用いられる「ヘテロ多量体化ドメイン」とは、ヘテロ多量体の形成を促進し、ホモ多量体の形成を妨害するような、生物学的分子への改変又は付加を指す。ホモ二量体を凌駕してヘテロ二量体を形成するための強力な優先性を有する、任意のヘテロ二量体化ドメインは、本発明の範囲内にある。実例的な例には、例えば、米国特許出願第20030078385号(Arathoonら;KIH(knob−into−hole)について記載している);WO2007147901(Kjaergaardら;イオン性相互作用について記載している);WO2009089004(Kannanら;静電ステアリング効果について記載している);WO2011/034605(Christensenら;コイルドコイルについて記載している)が含まれるがこれらに限定されない。また、例えば、ロイシンジッパーについて記載している、Pack,P.及びPlueckthun,A.、Biochemistry、31、1579〜1584(1992);又はヘリックスターンヘリックスモチーフについて記載している、Packら、Bio/Technology、11、1271〜1277(1993)も参照されたい。本明細書では、「ヘテロ多量体化ドメイン」及び「ヘテロ二量体化ドメイン」という語句を互換的に用いる。
【0159】
本明細書で言及される「KIH(knob−into−hole)」技術又は「KnH」技術という用語は、それらが相互作用する界面において、凸部(ノブ)を一方のポリペプチドへと導入し、凹部(ホール)を他方のポリペプチドへと導入することにより、2つのポリペプチドの対合を、in vitro又はin vivoにおいて、併せて方向付ける技術を指す。例えば、KnHは、抗体のFc:Fc結合界面、CL:CH1間界面、又はVH/VL間界面内に導入されている(例えば、US2007/0178552、WO96/027011、WO98/050431;及びZhuら(1997)、Protein Science、6:781〜788)。
【0160】
多重特異性抗体、例えば、二重特異性抗体を作製するためのさらなる技法には、「KIH(knob−into−hole)」操作(例えば、米国特許第5,731,168号)、抗体のFCヘテロ二量体分子を作製するために静電ステアリング効果を用いる操作(WO2009/089004A1)が含まれるがこれらに限定されない。
【0161】
価数が2を超える抗体を想定する。例えば、三特異性抗体も調製することができる(Tuttら、J.Immunol.、147:60(1991))。
【0162】
本明細書にはまた、「オクトパス抗体」を含め、3つ以上の機能的な抗原結合部位を伴う操作抗体も包含される(例えば、US2006/0025576A1を参照されたい)。
【0163】
本明細書の抗体又は断片にはまた、IL−34のほか、別の異なる抗原(例えば、CSF−1)にも結合する抗原結合部位を含む、「二重作用型Fab」又は「DAF」も含まれる(例えば、US2008/0069820を参照されたい)。
【0164】
7.抗体変異体
幾つかの実施態様では、本明細書で提示される抗体のアミノ酸配列の変異体が想定される。例えば、抗体の結合アフィニティー及び/又は他の生物学的特性を改善することが所望でありうる。抗体のアミノ酸配列の変異体は、抗体をコードするヌクレオチド配列へと、適切な修飾を導入することにより調製することもでき、ペプチド合成により調製することもできる。このような修飾には、例えば、抗体のアミノ酸配列からの欠失、及び/又は抗体のアミノ酸配列への挿入、及び/又は抗体のアミノ酸配列内の残基の置換が含まれる。最終構築物が所望の特徴、例えば、抗原結合特徴を保有するという条件で、欠失、挿入、及び置換を任意に組み合わせて、最終構築物に到達することができる。
【0165】
置換変異体、挿入変異体、及び欠失変異体
幾つかの実施態様では、1又は複数のアミノ酸置換を有する抗体の変異体が提供される。置換突然変異誘発のための対象の部位には、HVR及びFRを組み入れる。保存的置換を、表1の「好ましい置換」の見出しの下に示す。より実質的な変化を、表1の「例示的な置換」の見出しの下に提示し、下記で更に記載される通り、アミノ酸側鎖のクラスに言及しながら提示する。アミノ酸置換を対象の抗体へと導入し、生成物を所望の活性についてスクリーニングすることができる。例えば、抗原への結合の保持/改善、免疫原性の減少、又はADCCもしくはCDCの改善。
【0166】
アミノ酸は、共通の側鎖特性に従い群分けすることができる。
(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
(3)酸性:Asp、Glu;
(4)塩基性:His、Lys、Arg;
(5)鎖の配向に影響を及ぼす残基:Gly、Pro;
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe
【0167】
非保存的置換は、これらのクラスのうちの1つのメンバーを、別のクラスに交換することを伴う。
【0168】
置換変異体の1つの種類は、親抗体(例えば、ヒト化抗体又はヒト抗体)の1又は複数の超可変領域残基を置換することを伴う。一般に、結果としてもたらされ、さらなる研究のために選択される(1又は複数の)変異体では、ある種の生物学的特性(例えば、アフィニティーの増大、免疫原性の低減)の、親抗体と比べた修飾(例えば、改善)がなされ、及び/又は親抗体のある種の生物学的特性も実質的に保持されるであろう。例示的な置換変異体は、アフィニティー成熟させた抗体であって、例えば、本明細書で記載されるアフィニティー成熟法など、ファージディスプレイベースのアフィニティー成熟法を用いて簡便に創成しうる抗体である。略述すると、1又は複数のHVR残基を突然変異させ、ファージ上に提示された変異体抗体を、特定の生物学的活性(例えば、結合アフィニティー)についてスクリーニングする。
【0169】
改変(例えば、置換)は、例えば、抗体アフィニティーを改善するために、HVR内に施すことができる。このような改変は、HVRの「ホットスポット」、すなわち、体細胞の成熟過程において突然変異を高頻度で受けるコドンによりコードされる残基(例えば、Chowdhury、Methods Mol.Biol.、207:179〜196(2008)を参照されたい)、及び/又はSDR(a−CDR)に施すことができ、結果としてもたらされる変異体のVH又はVLを結合アフィニティーについて調べる。二次ライブラリーからの構築及び再選択によるアフィニティー成熟については、例えば、Hoogenboomら、「Methods in Molecular Biology」、178:1〜37(O’Brienら編、Humana Press、Totowa、NJ、(2001))において記載されている。アフィニティー成熟についての幾つかの実施態様では、様々な方法(例えば、エラープローンPCR、鎖シャフリング、又はオリゴヌクレオチド指向突然変異誘発)のうちの何れかにより、成熟させるために選び出された可変遺伝子へと多様性を導入する。次いで、二次ライブラリーを創出する。次いで、ライブラリーをスクリーニングして、所望のアフィニティーを伴う任意の抗体の変異体を同定する。多様性を導入する別の方法は、HVR指向法を伴うが、この場合、幾つかのHVR残基(例えば、一度に4〜6残基)をランダム化する。抗原結合に関与するHVR残基は、例えば、アラニン走査突然変異誘発又はモデル化を用いて、特異的に同定することができる。CDR−H3及びCDR−L3は特に、ターゲティングされることが多い。
【0170】
幾つかの実施態様では、置換、挿入、又は欠失を、このような改変が、抗原に結合する抗体の能力を実質的に低減しない限りにおいて、1又は複数のHVR内に施すことができる。例えば、結合アフィニティーを実質的に低減しない保存的改変(例えば、本明細書で提示される保存的置換)を、HVR内に施すことができる。このような改変は、HVR「ホットスポット」又はSDRの外部でありうる。上記で提示した変異体のVH及びVL配列についての幾つかの実施態様では、各HVRは、不変であるか、又は1つ、2つ、もしくは3つ以下のアミノ酸置換を含有する。
【0171】
突然変異誘発のためにターゲティングされうる抗体の残基又は領域を同定するのに有用な方法は、Cunningham及びWells(1989)、Science、244:1081〜1085により記載されている通り、「アラニン走査突然変異誘発」と呼ばれる。この方法では、残基又は標的残基群(例えば、arg、asp、his、lys、及びgluなどの帯電残基)を、同定し、中性アミノ酸又は負に帯電したアミノ酸(例えば、アラニン又はポリアラニン)で置きかえて、抗体の抗原との相互作用が影響を受けるのかどうかを決定する。さらなる置換は、初期の置換に対して機能的な感受性を顕示するアミノ酸位置に導入することができる。代替的に、又は加えて、抗原−抗体複合体の結晶構造を決定して、抗体と抗原との間の接触点を同定する。このような接触残基及び近傍残基は、置換のための候補としてターゲティングするか又は消失させることができる。変異体をスクリーニングして、それらが所望の特性を含有するのかどうかを決定することができる。
【0172】
アミノ酸配列の挿入には、アミノ末端及び/又はカルボキシル末端における、長さが1残基〜百残基以上を含有するポリペプチドの範囲の融合のほか、配列内における単一又は複数のアミノ酸残基の挿入も含まれる。末端における挿入の例には、N末端のメチオニル残基を伴う抗体が含まれる。抗体分子の他の挿入変異体には、酵素に対する抗体(例えば、ADEPTの場合)のN末端もしくはC末端への融合体、又は抗体の血清半減期を延長するポリペプチドのN末端もしくはC末端への融合体が含まれる。
【0173】
グリコシル化変異体
幾つかの実施態様では、本明細書で提示される抗体を変化させて、抗体がグリコシル化される程度を増大又は減少させる。グリコシル化部位の、抗体への付加又は欠失は、1又は複数のグリコシル化部位を創出又は除去するようにアミノ酸配列を変化させることにより、簡便に達成することができる。
【0174】
抗体がFc領域を含む場合、それへと接合された炭水化物を変化させることができる。哺乳動物細胞により産生される天然抗体は、Fc領域のCH2ドメインのAsn297へのN連結により一般に接合された、分枝状、二分枝状のオリゴ糖を含むことが典型的である。例えば、Wrightら、TIBTECH、15:26〜32(1997)を参照されたい。オリゴ糖には、多様な炭水化物、例えば、マンノース、N−アセチルグルコサミン(GlcNAc)、ガラクトース、及びシアル酸のほか、二分枝状オリゴ糖構造の「ステム」内のGlcNAcへと接合されたフコースも含まれうる。幾つかの実施態様では、ある種の特性が改善された抗体の変異体を創出するために、本発明の抗体におけるオリゴ糖の修飾を施すことができる。
【0175】
幾つかの実施態様では、Fc領域へと接合される(直接的に又は間接的に)フコースを欠く炭水化物構造を有する抗体の変異体が提供される。例えば、このような抗体内のフコースの量は、1%〜80%、1%〜65%、5%〜65%又は20%〜40%でありうる。フコースの量は、例えば、WO2008/077546において記載されているMALDI−TOF質量分析により測定される、Asn297へと接合された全ての糖構造(例えば、複合体構造、ハイブリッド構造、及び高マンノース構造)の合計と比べた、Asn297における糖鎖内のフコースの平均量を計算することにより決定する。Asn297とは、Fc領域内の297位近傍(Fc領域残基のEUによる番号付け)に位置するアスパラギン残基を指すが、Asn297はまた、抗体内のわずかな配列変化に起因して、297位の約±3アミノ酸上流又は下流、すなわち、294位と300位との間に位置する場合もある。このようなフコシル化変異体では、ADCC機能を改善することができる。例えば、米国特許公開第US2003/0157108号(Presta,L.);U.S.2004/0093621(協和発酵工業株式会社)を参照されたい。「脱フコシル化」抗体変異体又は「フコース欠損」抗体変異体に関する刊行物の例には、US2003/0157108;WO2000/61739;WO2001/29246;US2003/0115614;US2002/0164328;US2004/0093621;US2004/0132140;US2004/0110704;US2004/0110282;US2004/0109865;WO2003/085119;WO2003/084570;WO2005/035586;WO2005/035778;WO2005/053742;WO2002/031140;Okazakiら、J.Mol.Biol.、336:1239〜1249(2004);Yamane−Ohnukiら、Biotech.Bioeng.、87:614(2004)が含まれる。脱フコシル化抗体を産生することが可能な細胞系の例には、タンパク質のフコシル化を欠損させたLec13 CHO細胞(Ripkaら、Arch.Biochem.BiopHys.、249:533〜545(1986);米国特許出願第US2003/0157108A1号、Presta,L;及びWO2004/056312A1;Adamsら、Acta crystallographica Section D、Biological crystallography、66:213〜221(2010)、とりわけ、例11)、及びアルファ−1,6−フコシルトランスフェラーゼ遺伝子であるFUT8をノックアウトしたCHO細胞(例えば、Yamane−Ohnukiら、Biotech.Bioeng.、87:614(2004);Kanda,Y.ら、Biotechnol.Bioeng.、94(4):680〜688(2006);及びWO2003/085107を参照されたい)などのノックアウト細胞系が含まれる。
【0176】
例えば、抗体のFc領域へと接合された二分枝状オリゴ糖が、GlcNAcにより二分された二分オリゴ糖を伴う抗体の変異体も更に提供される。このような抗体の変異体では、フコシル化を低減し、及び/又はADCC機能を改善することができる。このような抗体の変異体の例は、例えば、WO2003/011878(Jean−Mairetら);米国特許第6,602,684号(Umanaら);及びUS2005/0123546(Umanaら)において記載されている。また、Fc領域へと接合されたオリゴ糖内に少なくとも一つのガラクトース残基を伴う抗体の変異体も提供される。このような抗体の変異体では、CDC機能を改善することができる。このような抗体の変異体は、例えば、WO1997/30087(Patelら);WO1998/58964(Raju,S.);及びWO1999/22764(Raju,S.)において記載されている。
【0177】
Fc領域変異体
幾つかの実施態様では、1又は複数のアミノ酸修飾を、本明細書で提示される抗体のFc領域へと導入し、これにより、Fc領域変異体を創成することができる。Fc領域変異体は、1又は複数のアミノ酸位置においてアミノ酸修飾(例えば、置換)を含むヒトFc領域配列(例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3又はIgG4のFc領域)を含みうる。
【0178】
幾つかの実施態様では、本発明は、一部のエフェクター機能は保有するが、全てのエフェクター機能を保有するわけではないことから、抗体のin vivoにおける半減期は重要であるが、ある種のエフェクター機能(補体機能及びADCC機能など)は不要であるか又は有害である適用のための所望の候補となる、抗体の変異体を想定する。In vitro及び/又はin vivoの細胞傷害作用アッセイを実行して、CDC活性及び/又はADCC活性の低減/枯渇を確認することができる。例えば、Fc受容体(FcR)結合アッセイを実行して、抗体が、FcγRへの結合は欠く(よって、ADCC活性を欠く可能性が高い)が、FcRnへの結合能は保持することを確認することができる。ADCCを媒介する主要な細胞であるNK細胞が、FcγRIIIだけを発現させるのに対し、単球は、FcγRI、FcγRII、及びFcRIIIを発現させる。造血細胞上のFcRの発現については、Ravetch及びKinet、Annu.Rev.Immunol.、9:457〜492(1991)の464ページの表3にまとめられている。対象の分子のADCC活性を評価するためのin vitroアッセイの非限定的な例は、米国特許第5,500,362号(例えば、Hellstrom,I.ら、Proc.Nat’l Acad.Sci.USA、83:7059〜7063(1986)を参照されたい)及びHellstrom,Iら、Proc.Nat’l Acad.Sci.USA、82:1499〜1502(1985);米国特許第5,821,337号(Bruggemann,M.ら、J.Exp.Med.、166:1351〜1361(1987)を参照されたい)において記載されている。
【0179】
代替的に、非放射性アッセイ法(例えば、フローサイトメトリー用のACTI(商標)非放射性細胞傷害作用アッセイ(Cell Technology,Inc.、Mountain View、CA);及びCytoTox 96(登録商標)非放射性細胞傷害作用アッセイ(Promega、Madison、WI)を参照されたい)を用いることもできる。このようなアッセイに有用なエフェクター細胞には、末梢血単核細胞(PBMC)及びナチュラルキラー(NK)細胞が含まれる。代替的に、又は加えて、対象の分子のADCC活性は、in vivoにおいて、例えば、Clynesら、Proc.Nat’l Acad.Sci.USA、95:652〜656(1998)において開示されている動物モデルなどの動物モデルにおいて評価することもできる。また、C1q結合アッセイを、実行して、抗体が、C1qに結合することが不可能であり、よって、CDC活性を欠くことを確認することもできる。例えば、WO2006/029879及びWO2005/100402におけるC1q及びC3c結合ELISAを参照されたい。補体の活性化を評価するためには、CDCアッセイを実施することができる(例えば、Gazzano−Santoroら、J.Immunol.Methods、202:163(1996);Cragg,M.S.ら、Blood、101:1045〜1052(2003);及びCragg,M.S.及びM.J.Glennie、Blood、103:2738〜2743(2004)を参照されたい)。また、当技術分野で知られている方法を用いて、FcRnの結合及びin vivoにおけるクリアランス/半減期の決定も実施することができる(例えば、Petkova,S.B.ら、Int’l.Immunol.、18(12):1759〜1769(2006)を参照されたい)。
【0180】
エフェクター機能を低減した抗体には、Fc領域残基238、265、269、270、297、327、及び329のうちの1又は複数を置換した抗体が含まれる(米国特許第6,737,056号)。このようなFc突然変異体には、残基265及び297をアラニンへと置換した、いわゆる「DANA」Fc突然変異体(米国特許第7,332,581号)を含め、アミノ酸位置265、269、270、297、及び327のうちの2つ以上における置換を伴うFc突然変異体が含まれる。
【0181】
FcRへの結合を改善又は減弱したある種の抗体の変異体については記載されている(例えば、米国特許第6,737,056号;WO2004/056312;及びShieldsら、J.Biol.Chem.、9(2):6591〜6604(2001)を参照されたい)。
【0182】
幾つかの実施態様では、例えば、米国特許第6,194,551号;WO99/51642;及びIdusogieら、J.Immunol.、164:4178〜4184(2000)において記載されている通り、Fc領域に、C1qへの結合及び/又は補体依存性細胞傷害作用(CDC)の改変(すなわち、改善又は減弱)を結果としてもたらす改変を施す。
【0183】
半減期を延長し、母体のIgGを胎児へと移送する一因となる胎児性Fc受容体(FcRn)(Guyerら、J.Immunol.、117:587(1976)及びKimら、J.Immunol.、24:249(1994))への結合を改善した抗体は、US2005/0014934A1(Hintonら)において記載されている。これらの抗体は、その中に、Fc領域のFcRnへの結合を改善する1又は複数の置換を伴うFc領域を含む。このようなFc変異体には、Fc領域残基のうちの1又は複数:238、256、265、272、286、303、305、307、311、312、317、340、356、360、362、376、378、380、382、413、424、又は434における置換、例えば、Fc領域残基434の置換を伴うFc変異体(米国特許第7,371,826号)が含まれる。
【0184】
また、Fc領域変異体の他の例に関する、Duncanら、Nature、322:738〜40(1988);米国特許第5,648,260号;米国特許第5,624,821号;及びWO94/29351も参照されたい。
【0185】
システイン操作抗体変異体
幾つかの実施態様では、システインで操作した抗体、例えば、抗体の1又は複数の残基をシステイン残基で置換した「チオmAb」を創出することが所望でありうる。特定の実施態様では、置換された残基は、抗体の接触可能な部位において生じる。これらの残基をシステインで置換することにより、反応性チオール基をそれにより抗体の接触可能な部位に配置し、これを用いて、抗体を、薬物部分又はリンカー−薬物部分などの他の部分へとコンジュゲートし、本明細書で更に記載されるイムノコンジュゲートを創出することができる。幾つかの実施態様では、以下の残基:軽鎖のV205(Kabatによる番号付け);重鎖のA118(EUによる番号付け);及び重鎖Fc領域のS400(EUによる番号付け)のうちの任意の1又は複数を、システインで置換することができる。システインで操作した抗体は、例えば、米国特許第7,521,541号において記載される通りに創成することができる。
【0186】
抗体誘導体
幾つかの実施態様では、本明細書で提示される抗体を、当技術分野で知られており、たやすく利用可能な、さらなる非タンパク質性部分を含有するように、更に修飾することができる。抗体の誘導体化に適する部分には、水溶性ポリマーが含まれるがこれらに限定されない。水溶性ポリマーの非限定的な例には、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレングリコール/プロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ−1、3−ジオキソラン、ポリ−1,3,6−トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、ポリアミノ酸(ホモポリマー又はランダムコポリマー)、及びデキストラン又はポリ(N−ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールホモポリマー、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール(例えば、グリセロール)、ポリビニルアルコール、及びこれらの混合物が含まれるがこれらに限定されない。ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドは、水中のその安定性に起因して製造における利点を有しうる。ポリマーは、任意の分子量のポリマーであることが可能であり、分枝状の場合もあり、非分枝状の場合もある。抗体へと接合されるポリマーの数は、変化させることができ、複数のポリマーを接合する場合、それらは、同じ分子の場合もあり、異なる分子の場合もある。一般に、誘導体化のために用いられるポリマーの数及び/又は種類は、改善される抗体の特定の特性又は機能、抗体の誘導体が規定された条件下における治療で用いられるのかどうかなどが含まれるがこれらに限定されない検討事項に基づき決定することができる。
【0187】
別の実施態様では、放射線へと曝露することにより選択的に加熱しうる、抗体のコンジュゲート及び非タンパク質性部分が提供される。幾つかの実施態様では、非タンパク質性部分は、カーボンナノチューブである(Kamら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、102:11600〜11605(2005))。放射線は、任意の波長の放射線であることが可能であり、これらには、通常の細胞は傷つけないが、非タンパク質性部分を、抗体の非タンパク質性部分に近位の細胞が死滅する温度まで加熱する波長が含まれるがこれらに限定されない。
【0188】
組換え法及び組換え組成物
抗体は、例えば、米国特許第4,816,567号において記載されている組換え法及び組換え組成物を用いて作製することができる。幾つかの実施態様では、本明細書で記載される抗IL−34抗体、二重特異性抗IL−34/CSF−1抗体、又は抗CSF−1R抗体をコードする単離核酸が提供される。このような核酸は、抗体のVLを含むアミノ酸配列及び/又は抗体のVHを含むアミノ酸配列(例えば、抗体の軽鎖及び/又は重鎖)をコードしうる。幾つかの実施態様では、このような核酸を含む1又は複数のベクター(例えば、発現ベクター)が提供される。幾つかの実施態様では、このような核酸を含む宿主細胞が提供される。幾つかの実施態様では、宿主細胞は、(1)抗体のVLを含むアミノ酸配列及び抗体のVHを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含むベクター、又は(2)抗体のVLを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第1のベクター及び抗体のVHを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第2のベクターを含む(例えば、これらで形質転換されている)。幾つかの実施態様では、宿主細胞は、真核細胞、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞又はリンパ細胞(例えば、Y0細胞、NS0細胞、Sp20細胞)である。幾つかの実施態様では、抗IL−34抗体、二重特異性抗IL−34/CSF−1抗体、又は抗CSF−1R抗体を作製する方法であって、抗体の発現に適する条件下で、上記で提示した抗体をコードする核酸を含む宿主細胞を培養することと、場合によって、抗体を宿主細胞(又は宿主細胞の培養培地)から回収することとを含む方法が提供される。
【0189】
組換えにより抗IL−34抗体、二重特異性抗IL−34/CSF−1抗体、又は抗CSF−1R抗体を作製するには、例えば、上記で記載した、抗体をコードする核酸を単離し、宿主細胞内のさらなるクローニング及び/又は発現のために、1又は複数のベクターへと挿入する。このような核酸は、従来の手順を用いて(例えば、抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することが可能なオリゴヌクレオチドプローブを用いることにより)、たやすく単離及び配列決定することができる。
【0190】
抗体コードベクターのクローニング又は発現に適する宿主細胞には、本明細書で記載される原核細胞又は真核細胞が含まれる。例えば、抗体は、特に、グリコシル化及びFcエフェクター機能が必要とされない場合は、細菌内で作製することができる。抗体断片及びポリペプチドを細菌内で発現させるには、例えば、米国特許第5,648,237号、同第5,789,199号、及び同第5,840,523号を参照されたい(また、大腸菌内の抗体断片の発現について記載している、Charlton、Methods in Molecular Biology、248巻(B.K.C.Lo編、Humana Press、Totowa、NJ、2003)、245〜254ページも参照されたい)。発現の後、抗体は、可溶性画分中の細菌細胞ペーストから単離し、更に精製することができる。
【0191】
原核生物に加えて、それらのグリコシル化経路を「ヒト化」させた結果、部分的又は完全なヒトグリコシル化パターンを伴う抗体の産生をもたらす真菌株及び酵母株を含めた、線維状真菌又は線維状酵母などの真核微生物も、抗体コードベクターに適するクローニング宿主又は発現宿主である。Gerngross、Nat.Biotech.、22:1409〜1414(2004)、及びLiら、Nat.Biotech.、24:210〜215(2006)を参照されたい。
【0192】
グリコシル化された抗体の発現に適する宿主細胞はまた、多細胞生物(非脊椎動物及び脊椎動物)にも由来する。非脊椎動物細胞の例には、植物細胞及び昆虫細胞が含まれる。昆虫細胞と共に用いうる多数のバキュロウイルス株、特に、ヨウトガ(Spodoptera frugiperda)細胞のトランスフェクションに用いうる多数のバキュロウイルス株が同定されている。
【0193】
また、植物細胞培養物も、宿主として使用することができる。例えば、米国特許第5,959,177号、同第6,040,498号、同第6,420,548号、同第7,125,978号、及び同第6,417,429号(トランスジェニック植物内で抗体を作製するためのPLANTIBODIES(商標)技術について記載している)を参照されたい。
【0194】
また、脊椎動物細胞も、宿主として用いることができる。例えば、懸濁液中で成長するよう適合させた哺乳動物細胞系は有用でありうる。有用な哺乳動物宿主細胞系の他の例は、SV40(COS−7)で形質転換されたサル腎臓CV1細胞系;ヒト胚腎臓細胞系(例えば、Grahamら、J.Gen Virol.、36:59(1977)において記載されている、293細胞);ベビーハムスター腎臓細胞(BHK);マウスセルトリ細胞(例えば、Mather、Biol.Reprod.、23:243〜251(1980)において記載されている、TM4細胞);サル腎臓細胞(CV1);アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO−76);ヒト子宮頸癌細胞(HELA);イヌ腎臓細胞(MDCK);バッファローラット肝臓細胞(BRL 3A);ヒト肺細胞(W138);ヒト肝臓細胞(Hep G2);マウス乳癌(MMT 060562);例えば、Matherら、Annals N.Y.Acad.Sci.、383:44〜68(1982)において記載されている、TRI細胞;MRC 5細胞;及びFS4細胞である。他の有用な哺乳動物宿主細胞系には、DHFRCHO細胞(Urlaubら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、77:4216(1980))を含めたチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞;並びにY0、NS0、及びSp2/0などの骨髄腫細胞系が含まれる。抗体の産生に適するある種の哺乳動物宿主細胞系の総説については、例えば、Yazaki及びWu、Methods in Molecular Biology、248巻(B.K.C.Lo編、Humana Press、Totowa、NJ)、255〜268ページ(2003)を参照されたい。
【0195】
アッセイ
本明細書で提示される抗IL−34抗体、二重特異性抗IL−34/CSF−1抗体、及び抗CSF−1R抗体は、当技術分野で知られている多様なアッセイにより、同定することもでき、それらの物理的/化学的特性及び/又は生物学的活性についてスクリーニングすることもでき、これらについて特徴付けることもできる。
【0196】
結合アッセイ及び他のアッセイ
一態様では、本発明の抗体を、例えば、ELISA、ウェスタンブロットなどなど、知られている方法により、その抗原結合活性について調べる。
【0197】
別の態様では、競合アッセイを用いて、例えば、本明細書で記載される抗IL−34抗体と競合する、抗IL−34抗体又は二重特異性抗IL−34/CSF−1抗体を同定することができる。例えば、IL−34への結合について、配列番号5のVH配列及び配列番号6のVL配列を含む抗IL−34抗体と競合する抗体である。幾つかの実施態様では、このような競合抗体は、例えば、配列番号5のVH配列及び配列番号6のVL配列を含む抗IL−34抗体が結合する、同じエピトープ(例えば、直鎖状エピトープ又はコンフォメーショナルエピトープ)に結合する。抗体が結合するエピトープをマッピングするための詳細な例示的な方法は、Morris(1996)「Epitope Mapping Protocols」、「Methods in Molecular Biology」、66巻(Humana Press、Totowa、NJ)において提示されている。
【0198】
例示的な競合アッセイでは、固定化IL−34を、IL−34に結合する第1の標識抗体(例えば、配列番号5のVH配列及び配列番号6のVL配列を含む抗IL−34抗体)及びIL−34への結合について第1の抗体と競合するその能力について調べつつある第2の非標識抗体を含む溶液中でインキュベートする。第2の抗体は、ハイブリドーマ上清中に存在させることができる。対照としては、固定化IL−34を、第1の標識抗体は含むが第2の非標識抗体は含まない溶液中でインキュベートする。第1の抗体のIL−34への結合に対して許容的な条件下におけるインキュベーションの後、過剰な非結合抗体を除去し、固定化IL−34と会合した標識の量を測定する。固定化IL−34と会合した標識の量が、被験試料において、対照試料と比べて実質的に低減される場合は、これにより、第2の抗体は、IL−34への結合について、第1の抗体と競合することが示される。Harlow及びLane(1988)、「Antibodies:A Laboratory Manual」、14章(Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor、NY)を参照されたい。
【0199】
一態様では、生物学的活性を有する抗IL−34抗体、二重特異性抗IL−34/CSF−1抗体、又は抗CSF1R抗体を同定するためのアッセイが提供される。生物学的活性には、例えば、ヒト末梢血単核細胞(PBMC)の増殖の阻害、IL−34のCSF−1Rへの結合の阻害、又はCSF−1のCSF−1Rへの結合の阻害が含まれうる。また、in vivo及び/又はin vitroにおいてこのような生物学的活性を有する抗体も提供される。
【0200】
幾つかの実施態様では、本発明の抗体を、このような生物学的活性について調べる。例えば、抗IL−34抗体、二重特異性抗IL−34/CSF−1抗体、又は抗CSF−1R抗体の中和活性は、CellTiter−Gloによる細胞増殖アッセイを用いて測定することができる。末梢血単核細胞(PBMC)などの細胞へと添加する前に、hIL−34又はmIL−34を、抗IL−34mAb、二重特異性抗IL−34/CSF−1抗体、又は抗CSF1抗体の希釈系列と混合する。抗体阻害活性は、プレートを37℃で72時間にわたりインキュベートした後で、RLUを測定することにより得られる。IL−34が、70〜80%の増殖応答を誘発する濃度で存在する場合に、細胞上のIL−34活性の50%阻害をもたらすのに要請される抗体濃度として定義される50%阻害濃度(IC50)は、KaleidaGraphにより計算することができる。
【0201】
IL−34又はCSF−1の、CSF−1Rへの結合の、本明細書で提示される抗体による阻害は、抗体、例えば、抗IL−34抗体、二重特異性IL−34/CSF−1抗体、又は抗CSF−1抗体の希釈系列の存在下で、固定化IL−34又は固定化CSF−1及び可溶性CSF−1Rを用いるELISAアッセイにより調べることができる。
【0202】
診断及び検出のための方法及び組成物
幾つかの実施態様では、本明細書で提示される抗IL−34抗体及び抗CSF−1Rのうちの何れかが、生物学的試料中のIL−34又はCSF−1Rの存在を検出するのに有用である。本明細書で用いられる「〜を検出すること」という用語は、定量的検出又は定性的検出を包摂する。幾つかの実施態様では、生物学的試料は、細胞又は組織を含む。
【0203】
幾つかの実施態様では、診断又は検出の方法における使用のための抗IL−34抗体が提供される。さらなる態様では、生物学的試料中のIL−34の存在を検出する方法が提供される。幾つかの実施態様では、方法は、生物学的試料を、本明細書で記載される抗IL−34抗体と、抗IL−34抗体のIL−34への結合に対して許容的な条件下で接触させることと、抗IL−34抗体とIL−34との間で複合体が形成されるのかどうかを検出することとを含む。このような方法は、in vitro法の場合もあり、in vivo法の場合もある。幾つかの実施態様では、例えば、IL−34が、患者を選択するためのバイオマーカーである場合、抗IL−34抗体を用いて、抗IL−34抗体による治療に適格な対象を選択する。
【0204】
幾つかの実施態様では、診断又は検出の方法における使用のための抗CSF−1R抗体が提供される。さらなる態様では、生物学的試料中のCSF−1Rの存在を検出する方法が提供される。幾つかの実施態様では、方法は、生物学的試料を、本明細書で記載される抗CSF−1R抗体と、抗CSF−1R抗体のCSF−1Rへの結合に対して許容的な条件下で接触させることと、抗CSF−1R抗体とCSF−1Rとの間で複合体が形成されるのかどうかを検出することとを含む。このような方法は、in vitro法の場合もあり、in vivo法の場合もある。幾つかの実施態様では、例えば、CSF−1Rが、患者を選択するためのバイオマーカーである場合、抗CSF−1R抗体を用いて、抗CSF−1R抗体による治療に適格な対象を選択する。
【0205】
本発明の抗体を用いて診断されうる例示的な障害には、関節リウマチ、炎症性腸疾患、又は多発性硬化症など、骨髄病原性免疫疾患が含まれる。
【0206】
幾つかの実施態様では、標識された抗IL−34抗体及び抗CSF−1Rが提供される。標識には、直接的に検出される標識又は部分(蛍光標識、色素体標識、高電子密度標識、化学発光標識、及び放射性標識など)のほか、例えば、酵素反応又は分子的相互作用を介して間接的に検出される酵素又はリガンドなどの部分が含まれるがこれらに限定されない。例示的な標識には、放射性同位元素である32P、14C、125I、H、及び131I、希土類キレート又はフルオレセインなどのフルオロフォア及びその誘導体、ローダミン及びその誘導体、ダンシル、ウンベリフェロン、ルシフェラーゼ、例えば、ホタルルシフェラーゼ及び細菌ルシフェラーゼ(米国特許第4,737,456号)、ルシフェリン、2,3−ジヒドロフタラジンジオン、セイヨウワサビベルオキシダーゼ(HRP)、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、サッカリドオキシダーゼ、例えば、グルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、及びグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、HRP、ラクトペルオキシダーゼ、又はマイクロペルオキシダーゼなど、過酸化水素を用いて色素前駆体を酸化する酵素とカップリングさせた、ウリナーゼ及びキサンチンオキシダーゼなどの複素環オキシダーゼ、ビオチン/アビジン、スピン標識、バクテリオファージ標識、安定性のフリーラジカルなどが含まれるがこれらに限定されない。
【0207】
骨髄亜型及び線維亜型についてのバイオマーカー
一実施態様では、CSF1−R経路阻害剤で治療されるRA患者は、RAの骨髄亜型又は線維亜型(F1及び/又はF2)に対応するRA患者である。ある種の実施態様では、M亜型の治療標的が、WO2011/028945の表6に列挙されている1つの遺伝子又は遺伝子の組合せから選択される。ある種の実施態様では、M亜型の治療標的が、WO2011/028945の表2に列挙されている1つの遺伝子又は遺伝子の組合せから選択される。ある種の実施態様では、M亜型の治療標的が、WO2011/028945の表11に列挙されている1つの遺伝子又は遺伝子の組合せから選択される。ある種の実施態様では、M亜型の治療標的が、WO2011/028945の表6に列挙されている1つの遺伝子又は遺伝子の組合せによりコードされる1つのタンパク質又はタンパク質の組合せから選択される。ある種の実施態様では、M亜型の治療標的が、WO2011/028945の表2に列挙されている1つの遺伝子又は遺伝子の組合せによりコードされる1つのタンパク質又はタンパク質の組合せから選択される。ある種の実施態様では、M亜型の治療標的が、WO2011/028945の表11に列挙されている1つの遺伝子又は遺伝子の組合せによりコードされる1つのタンパク質又はタンパク質の組合せから選択される。ある種の実施態様では、RAのM亜型の治療標的が、CLEC5A、CLEC7A、ALCAM、IL1RAP、IRAK1、NRP2、TREM1、及びVEGFのうちの1又は複数から選択される。
【0208】
別の態様では、本明細書でM亜型として記載されるRAのある種の亜型を診断する方法は、WO2011/028945の表6に列挙されている1つの遺伝子もしくは遺伝子の組合せによる遺伝子発現を測定すること、又はWO2011/028945の表6に列挙されている1つの遺伝子もしくは遺伝子の組合せが発現させるタンパク質の量を測定することを含む。ある種の実施態様では、WO2011/028945の表6で同定された遺伝子のうちの1もしくは複数、又は前記遺伝子によりコードされるタンパク質は、M亜型のバイオマーカーである。ある種の実施態様では、M亜型のRAを診断する方法は、WO2011/028945の表2に列挙されている1つの遺伝子もしくは遺伝子の組合せによる遺伝子発現を測定すること、又はWO2011/028945の表2に列挙されている1つの遺伝子もしくは遺伝子の組合せが発現させるタンパク質を測定することを含む。ある種の実施態様では、WO2011/028945の表2で同定された遺伝子のうちの1もしくは複数、又は前記遺伝子によりコードされるタンパク質は、M亜型のバイオマーカーである。ある種の実施態様では、M亜型のRAを診断する方法は、WO2011/028945の表11に列挙されている1つの遺伝子もしくは遺伝子の組合せによる遺伝子発現を測定すること、又はWO2011/028945の表11に列挙されている1つの遺伝子もしくは遺伝子の組合せが発現させるタンパク質を測定することを含む。ある種の実施態様では、WO2011/028945の表11で同定された遺伝子のうちの1もしくは複数、又は前記遺伝子によりコードされるタンパク質は、M亜型のバイオマーカーである。ある種の実施態様では、RAのM亜型を診断する方法は、ADAM8、CTSB、CXCL3、ICAM1、IL18BP、IL1B、IL8、MMP12、CCL2、VEGFA、及びS100A11のうちの1又は複数の遺伝子発現又はタンパク質発現を測定することを含む。
【0209】
ある種の実施態様では、F2亜型の治療標的が、WO2011/028945の表7に列挙されている1つの遺伝子又は遺伝子の組合せから選択される。ある種の実施態様では、F2亜型の治療標的が、WO2011/028945の表3に列挙されている1つの遺伝子又は遺伝子の組合せから選択される。ある種の実施態様では、F2亜型の治療標的が、WO2011/028945の表12に列挙されている1つの遺伝子又は遺伝子の組合せから選択される。ある種の実施態様では、F2亜型の治療標的が、WO2011/028945の表7に列挙されている1つの遺伝子又は遺伝子の組合せによりコードされる1つのタンパク質又はタンパク質の組合せから選択される。ある種の実施態様では、F2亜型の治療標的が、WO2011/028945の表3に列挙されている1つの遺伝子又は遺伝子の組合せによりコードされる1つのタンパク質又はタンパク質の組合せから選択される。ある種の実施態様では、F2亜型の治療標的が、WO2011/028945の表12に列挙されている1つの遺伝子又は遺伝子の組合せによりコードされる1つのタンパク質又はタンパク質の組合せから選択される。ある種の実施態様では、RAのF2亜型の治療標的が、IL17D、IL17RC、TIMP3、及びTNFRSF11Bのうちの1又は複数から選択される。
【0210】
別の態様では、本明細書でF2亜型として記載されるRAのある種の亜型を診断する方法は、WO2011/028945の表7に列挙されている1つの遺伝子もしくは遺伝子の組合せによる遺伝子発現を測定すること、又はWO2011/028945の表7に列挙されている1つの遺伝子もしくは遺伝子の組合せが発現させるタンパク質を測定することを含む。ある種の実施態様では、WO2011/028945の表7で同定された遺伝子のうちの1もしくは複数、又は前記遺伝子によりコードされるタンパク質は、F2亜型のバイオマーカーである。ある種の実施態様では、F2亜型のRAを診断する方法は、WO2011/028945の表3に列挙されている1つの遺伝子もしくは遺伝子の組合せによる遺伝子発現を測定すること、又は表3に列挙されている1つの遺伝子もしくは遺伝子の組合せが発現させるタンパク質を測定することを含む。ある種の実施態様では、WO2011/028945の表3で同定された遺伝子のうちの1もしくは複数、又は前記遺伝子によりコードされるタンパク質は、F2亜型のバイオマーカーである。ある種の実施態様では、F2亜型のRAを診断する方法は、WO2011/028945の表12に列挙されている1つの遺伝子もしくは遺伝子の組合せによる遺伝子発現を測定すること、又はWO2011/028945の表12に列挙されている1つの遺伝子もしくは遺伝子の組合せが発現させるタンパク質を測定することを含む。ある種の実施態様では、WO2011/028945の表12で同定された遺伝子のうちの1もしくは複数、又は前記遺伝子によりコードされるタンパク質は、F2亜型のバイオマーカーである。ある種の実施態様では、RAのF2亜型を診断する方法は、FGF10、FGF18、FGF2、LRP6、TGFbeta2、WNT11、BMP6、BTC、CLU、CRLF1、TIMP3、FZD10、FZD7、FZD8、及びIL17Dのうちの1又は複数の遺伝子発現又はタンパク質発現を測定することを含む。
【0211】
ある種の実施態様では、F1亜型の治療標的が、WO2011/028945の表8に列挙されている1つの遺伝子又は遺伝子の組合せから選択される。ある種の実施態様では、F1亜型の治療標的が、WO2011/028945の表4に列挙されている1つの遺伝子又は遺伝子の組合せから選択される。ある種の実施態様では、F1亜型の治療標的が、WO2011/028945の表13に列挙されている1つの遺伝子又は遺伝子の組合せから選択される。ある種の実施態様では、F1亜型の治療標的が、WO2011/028945の表8に列挙されている1つの遺伝子又は遺伝子の組合せによりコードされる1つのタンパク質又はタンパク質の組合せから選択される。ある種の実施態様では、F1亜型の治療標的が、WO2011/028945の表4に列挙されている1つの遺伝子又は遺伝子の組合せによりコードされる1つのタンパク質又はタンパク質の組合せから選択される。ある種の実施態様では、F1亜型の治療標的が、WO2011/028945の表13に列挙されている1つの遺伝子又は遺伝子の組合せによりコードされる1つのタンパク質又はタンパク質の組合せから選択される。ある種の実施態様では、RAのF1亜型の治療標的が、CDH11、ITGA11、及びCLEC11Aのうちの1又は複数から選択される。
【0212】
別の態様では、本明細書でF1亜型として記載されるRAのある種の亜型を診断する方法は、WO2011/028945の表8に列挙されている1つの遺伝子もしくは遺伝子の組合せによる遺伝子発現を測定すること、又はWO2011/028945の表8に列挙されている1つの遺伝子もしくは遺伝子の組合せが発現させるタンパク質を測定することを含む。ある種の実施態様では、WO2011/028945の表8で同定された遺伝子のうちの1もしくは複数、又は前記遺伝子によりコードされるタンパク質は、F1亜型のバイオマーカーである。ある種の実施態様では、F1亜型のRAを診断する方法は、WO2011/028945の表4に列挙されている1つの遺伝子もしくは遺伝子の組合せによる遺伝子発現を測定すること、又はWO2011/028945の表4に列挙されている1つの遺伝子もしくは遺伝子の組合せが発現させるタンパク質を測定することを含む。ある種の実施態様では、WO2011/028945の表4で同定された遺伝子のうちの1もしくは複数、又は前記遺伝子によりコードされるタンパク質は、F1亜型のバイオマーカーである。ある種の実施態様では、F1亜型のRAを診断する方法は、WO2011/028945の表13に列挙されている1つの遺伝子もしくは遺伝子の組合せによる遺伝子発現を測定すること、又はWO2011/028945の表13に列挙されている1つの遺伝子もしくは遺伝子の組合せが発現させるタンパク質を測定することを含む。ある種の実施態様では、表13で同定された遺伝子のうちの1又は複数、又は前記遺伝子によりコードされるタンパク質は、F1亜型のバイオマーカーである。ある種の実施態様では、RAのF1亜型を診断する方法は、ITGA11、MMP11、MMP13、MMP16、MMP28、ADAM12、ADAM22、CTSK、CTHRC1、ENPEP、POSTN、ANGPT2、SFRP2、TIE1、及びVWFのうちの1又は複数の遺伝子発現又はタンパク質発現を測定することを含む。
【0213】
薬学的製剤
本明細書で記載される抗IL−34抗体、二重特異性抗IL−34/CSF−1抗体、又は抗CSF−1R抗体の薬学的製剤は、所望の程度の純度を有するこのような抗体を、1又は複数の任意選択の薬学的に許容される担体(「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、16版、Osol,A.編(1980))と、凍結乾燥製剤又は水溶液の形態で混合することにより調製する。薬学的に許容される担体は、用いられる投与量及び濃度でレシピエントに対して一般に非毒性であり、これらには、リン酸、クエン酸、及び他の有機酸などの緩衝剤;アスコルビン酸及びメチオニンを含めた抗酸化剤;保存剤(オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム;ベンゼトニウム塩化物;フェノール、ブチルアルコール、又はベンジルアルコール;メチルパラベン又はプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3−ペンタノール;及びm−クレゾールなど);低分子量(約10残基未満)のポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、又はリシンなどのアミノ酸;単糖、二糖、及びグルコース、マンノース、又はデキストリンを含めた他の炭水化物;EDTAなどのキレート化剤;スクロース、マンニトール、トレハロース、又はソルビトールなどの糖;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn−タンパク質錯体);及び/又はポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤が含まれるがこれらに限定されない。本明細書の例示的な、薬学的に許容される担体には、可溶性の中性活性ヒアルロニダーゼ糖タンパク質(sHASEGP)、例えば、rHuPH20(HYLENEX(登録商標)、Baxter International,Inc.)などのヒト可溶性PH−20ヒアルロニダーゼ糖タンパク質などの間質用薬物分散剤が更に含まれる。rHuPH20を含めたある種の例示的なsHASEGP及び使用法は、米国特許公開第2005/0260186号及び同第2006/0104968号において記載されている。一態様では、sHASEGPを、コンドロイチナーゼなどの1又は複数のさらなる糖アミノグリカナーゼと組み合わせる。
【0214】
例示的な凍結乾燥抗体製剤は、米国特許第6,267,958号において記載されている。水性抗体製剤には、米国特許第6,171,586号及びWO2006/044908において記載されている水性抗体製剤が含まれ、後者の製剤には、酢酸ヒスチジン緩衝剤が含まれる。
【0215】
本発明における製剤はまた、治療される特定の適応に必要な有効成分として、複数の有効成分、好ましくは互いに有害な影響を及ぼさない相補的活性を伴う有効成分も含有する。例えば、抗CSF−1抗体を更に提供することが所望でありうる。このような有効成分は、意図される目的に有効な量の組合せで適切に存在する。
【0216】
有効成分は、例えば、コアセルベーション法又は界面重合により調製されるマイクロカプセル、例えば、それぞれ、コロイド状薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子、及びナノカプセル)内又はマクロエマルジョン中の、ヒドロキシメチルセルロース又はゼラチンマイクロカプセル内及びポリ(メチルメタクリレート)マイクロカプセル内に封入することができる。このような技法は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、16版、Osol,A.編(1980)においても開示されている。
【0217】
徐放調製物を調製することもできる。適する徐放調製物の例には、抗体を含有する疎水性の固体ポリマーによる半透性マトリックスであって、成形品、例えば、フィルム又はマイクロカプセルの形態にあるマトリックスが含まれる。
【0218】
in vivoにおける投与のために用いられる製剤は、一般に無菌である。無菌性は、例えば、無菌濾過膜を介する濾過により、たやすく達成することができる。
【0219】
治療法及び治療用組成物
本明細書で提示される抗IL−34抗体、二重特異性抗IL−34/CSF−1抗体、又は抗CSF−1R抗体のうちの何れかを、治療法において用いることができる。
【0220】
一態様では、医薬としての使用のための抗IL−34抗体又は抗CSF−1R抗体が提供される。さらなる態様では、骨髄病原性免疫疾患の治療における使用のための抗IL−34抗体又は抗CSF−1R抗体が提供される。幾つかの実施態様では、骨髄病原性免疫疾患とは、関節リウマチ、炎症性腸疾患、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、喘息、骨粗鬆症、ページェット病、アテローム性動脈硬化、メタボリック症候群、II型糖尿病、LSD(シスチン蓄積症、シアル酸蓄積症、ゴーシェ病などであるがこれらに限定されないリソソーム蓄積症)、ロザイ−ドルフマン病、ファイサラバード組織球症が含まれるがこれらに限定されない組織球症、H症候群、インスリン依存型糖尿病を伴う色素性多毛症(PHID)である。幾つかの実施態様では、治療法における使用のための抗IL−34抗体又は抗CSF−1R抗体が提供される。幾つかの実施態様では、本発明は、骨髄病原性免疫疾患(例えば、関節リウマチ、炎症性腸疾患、又は多発性硬化症)を有する個体を治療する方法であって、有効量の抗IL−34抗体又は抗CSF−1R抗体を個体へと投与することを含む方法における使用のための抗IL−34抗体又は抗CSF−1R抗体を提供する。幾つかの実施態様では、方法は、有効量の、例えば、下記で記載される、少なくとも一つのさらなる治療剤を個体へと投与することを更に含む。幾つかの実施態様では、本発明は、IL−34のCSF−1Rへの結合の阻害における使用のための抗IL−34抗体又は抗CSF−1R抗体を提供する。幾つかの実施態様では、本発明は、個体におけるIL−34のCSF−1Rへの結合を阻害する方法であって、有効量の抗IL−34抗体又は抗CSF−1R抗体を個体へと投与して、IL−34のCSF−1Rへの結合を阻害することを含む方法における使用のための抗IL−34抗体又は抗CSF−1R抗体を提供する。幾つかの実施態様では、本発明は、IL−34の活性の中和における使用のための抗IL−34抗体又は抗CSF−1R抗体を提供する。幾つかの実施態様では、本発明は、個体におけるIL−34の活性を中和する方法であって、有効量の抗IL−34抗体又は抗CSF−1R抗体を個体へと投与して、IL−34の活性を中和することを含む方法における使用のための抗IL−34抗体又は抗CSF−1R抗体を提供する。上記の実施態様のうちの何れかに従う「個体」は、ヒトであることが好ましい。
【0221】
さらなる態様では、本発明は、医薬の製造又は調製における抗IL−34抗体又は抗CSF−1R抗体の使用を提供する。幾つかの実施態様では、医薬は、骨髄病原性免疫疾患を治療するための医薬である。幾つかの実施態様では、骨髄病原性免疫疾患とは、関節リウマチ、炎症性腸疾患、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、喘息、骨粗鬆症、ページェット病、アテローム性動脈硬化、メタボリック症候群、II型糖尿病、LSD(シスチン蓄積症、シアル酸蓄積症、ゴーシェ病などであるがこれらに限定されないリソソーム蓄積症)、ロザイ−ドルフマン病、ファイサラバード組織球症が含まれるがこれらに限定されない組織球症、H症候群、インスリン依存型糖尿病を伴う色素性多毛症(PHID)である。幾つかの実施態様では、医薬は、骨髄病原性免疫疾患(例えば、関節リウマチ、炎症性腸疾患、又は多発性硬化症)を治療する方法であって、骨髄病原性免疫疾患(例えば、関節リウマチ、炎症性腸疾患、又は多発性硬化症)を有する個体へと、有効量の医薬を投与することを含む方法における使用のための医薬である。幾つかの実施態様では、方法は、有効量の、例えば、下記で記載される、少なくとも一つのさらなる治療剤を個体へと投与することを更に含む。幾つかの実施態様では、医薬は、個体におけるIL−34のCSF−1Rへの結合を阻害するための医薬である。幾つかの実施態様では、医薬は、個体におけるIL−34のCSF−1Rへの結合を阻害する方法であって、個体へと有効量の医薬を投与して、個体におけるIL−34のCSF−1Rへの結合を阻害することを含む方法における使用のための医薬である。幾つかの実施態様では、医薬は、個体におけるIL−34の活性を中和するための医薬である。幾つかの実施態様では、医薬は、個体におけるIL−34の活性を中和する方法であって、個体へと有効量の医薬を投与して、個体におけるIL−34の活性を中和することを含む方法における使用のための医薬である。上記の実施態様のうちの何れかに従う「個体」は、ヒトでありうる。
【0222】
さらなる態様では、本発明は、骨髄病原性免疫疾患を治療するための方法を提供する。幾つかの実施態様では、骨髄病原性免疫疾患とは、関節リウマチ、炎症性腸疾患、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、喘息、骨粗鬆症、ページェット病、アテローム性動脈硬化、メタボリック症候群、II型糖尿病、LSD(シスチン蓄積症、シアル酸蓄積症、ゴーシェ病などであるがこれらに限定されないリソソーム蓄積症)、ロザイ−ドルフマン病、ファイサラバード組織球症が含まれるがこれらに限定されない組織球症、H症候群、インスリン依存型糖尿病を伴う色素性多毛症(PHID)である。幾つかの実施態様では、方法は、骨髄病原性免疫疾患(例えば、関節リウマチ、炎症性腸疾患、又は多発性硬化症)を有する個体へと、有効量の抗IL−34抗体又は抗CSF−1R抗体を投与することを含む。幾つかの実施態様では、方法は、個体へと、有効量の、下記で記載される、少なくとも一つのさらなる治療剤を投与することを更に含む。上記の実施態様のうちの何れかに従う「個体」は、ヒトでありうる。
【0223】
さらなる態様では、本発明は、個体におけるIL−34のCSF−1Rへの結合を阻害するための方法を提供する。幾つかの実施態様では、方法は、個体へと、有効量の抗IL−34抗体又は抗CSF−1R抗体を投与して、個体におけるIL−34のCSF−1Rへの結合を阻害することを含む。さらなる態様では、本発明は、個体におけるIL−34の活性を中和するための方法を提供する。幾つかの実施態様では、方法は、個体へと、有効量の抗IL−34抗体又は抗CSF−1R抗体を投与して、個体におけるIL−34の活性を中和することを含む。幾つかの実施態様では、「個体」とは、ヒトである。
【0224】
一態様では、医薬としての使用のための二重特異性抗IL−34/CSF−1抗体が提供される。さらなる態様では、骨髄病原性免疫疾患の治療における使用のための二重特異性抗IL−34/CSF−1抗体が提供される。幾つかの実施態様では、骨髄病原性免疫疾患とは、関節リウマチ、炎症性腸疾患、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、喘息、骨粗鬆症、ページェット病、アテローム性動脈硬化、メタボリック症候群、II型糖尿病、LSD(シスチン蓄積症、シアル酸蓄積症、ゴーシェ病などであるがこれらに限定されないリソソーム蓄積症)、ロザイ−ドルフマン病、ファイサラバード組織球症が含まれるがこれらに限定されない組織球症、H症候群、インスリン依存型糖尿病を伴う色素性多毛症(PHID)である。幾つかの実施態様では、治療法における使用のための二重特異性抗IL−34/CSF−1抗体が提供される。幾つかの実施態様では、本発明は、骨髄病原性免疫疾患(例えば、関節リウマチ、炎症性腸疾患、又は多発性硬化症)を有する個体を治療する方法であって、個体へと、有効量の二重特異性抗IL−34/CSF−1抗体を投与することを含む方法における使用のための二重特異性抗IL−34/CSF−1抗体を提供する。幾つかの実施態様では、本発明は、IL−34のCSF−1Rへの結合及びCSF−1のCSF−1Rへの結合の阻害における使用のための二重特異性抗IL−34/CSF−1抗体を提供する。幾つかの実施態様では、本発明は、個体におけるIL−34のCSF−1Rへの結合及びCSF−1のCSF−1Rへの結合を阻害する方法であって、個体へと、有効量の二重特異性抗IL−34/CSF−1抗体を投与して、IL−34のCSF−1Rへの結合及びCSF−1のCSF−1Rへの結合を阻害することを含む方法における使用のための二重特異性抗IL−34/CSF−1抗体を提供する。幾つかの実施態様では、本発明は、IL−34及び/又はCSF−1の活性の中和における使用のための二重特異性抗IL−34/CSF−1抗体を提供する。幾つかの実施態様では、本発明は、個体におけるIL−34及び/又はCSF−1の活性を中和する方法であって、個体へと、有効量の二重特異性抗IL−34/CSF−1抗体を投与して、IL−34及び/又はCSF−1の活性を中和することを含む方法における使用のための二重特異性抗IL−34/CSF−1抗体を提供する。上記の実施態様のうちの何れかに従う「個体」は、ヒトであることが好ましい。
【0225】
さらなる態様では、本発明は、医薬の製造又は調製における、二重特異性抗IL−34/CSF−1抗体の使用を提供する。幾つかの実施態様では、医薬は、骨髄病原性免疫疾患を治療するための医薬である。幾つかの実施態様では、骨髄病原性免疫疾患とは、関節リウマチ、炎症性腸疾患、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、喘息、骨粗鬆症、ページェット病、アテローム性動脈硬化、メタボリック症候群、II型糖尿病、LSD(シスチン蓄積症、シアル酸蓄積症、ゴーシェ病などであるがこれらに限定されないリソソーム蓄積症)、ロザイ−ドルフマン病、ファイサラバード組織球症が含まれるがこれらに限定されない組織球症、H症候群、インスリン依存型糖尿病を伴う色素性多毛症(PHID)である。幾つかの実施態様では、医薬は、骨髄病原性免疫疾患(例えば、関節リウマチ、炎症性腸疾患、又は多発性硬化症)を治療する方法であって、骨髄病原性免疫疾患(例えば、関節リウマチ、炎症性腸疾患、又は多発性硬化症)を有する個体へと、有効量の医薬を投与することを含む方法における使用のための医薬である。幾つかの実施態様では、医薬は、個体におけるIL−34のCSF−1Rへの結合及びCSF−1のCSF−1Rへの結合を阻害するための医薬である。幾つかの実施態様では、医薬は、個体におけるIL−34のCSF−1Rへの結合及びCSF−1のCSF−1Rへの結合を阻害する方法であって、個体へと有効量の医薬を投与して、個体におけるIL−34のCSF−1Rへの結合及びCSF−1のCSF−1Rへの結合を阻害することを含む方法における使用のための医薬である。幾つかの実施態様では、医薬は、個体におけるIL−34及び/又はCSF−1の活性を中和するための医薬である。幾つかの実施態様では、医薬は、個体におけるIL−34及び/又はCSF−1の活性を中和する方法であって、個体へと、有効量の医薬を投与して、個体におけるIL−34及び/又はCSF−1の活性を中和することを含む方法における使用のための医薬である。上記の実施態様のうちの何れかに従う「個体」は、ヒトでありうる。
【0226】
さらなる態様では、本発明は、骨髄病原性免疫疾患を治療するための方法を提供する。幾つかの実施態様では、骨髄病原性免疫疾患とは、関節リウマチ、炎症性腸疾患、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、喘息、骨粗鬆症、ページェット病、アテローム性動脈硬化、メタボリック症候群、II型糖尿病、LSD(シスチン蓄積症、シアル酸蓄積症、ゴーシェ病などであるがこれらに限定されないリソソーム蓄積症)、ロザイ−ドルフマン病、ファイサラバード組織球症が含まれるがこれらに限定されない組織球症、H症候群、インスリン依存型糖尿病を伴う色素性多毛症(PHID)である。幾つかの実施態様では、方法は、骨髄病原性免疫疾患(例えば、関節リウマチ、炎症性腸疾患、又は多発性硬化症)を有する個体へと、有効量の二重特異性抗IL−34/CSF−1抗体を投与することを含む。上記の実施態様のうちの何れかに従う「個体」は、ヒトでありうる。
【0227】
さらなる態様では、本発明は、個体におけるIL−34のCSF−1への結合及びCSF−1のCSF−1Rへの結合を阻害するための方法を提供する。幾つかの実施態様では、方法は、個体へと、有効量の二重特異性抗IL−34/CSF−1抗体を投与して、個体におけるIL−34のCSF−1Rへの結合及びCSF−1のCSF−1Rへの結合を阻害することを含む。さらなる態様では、本発明は、個体におけるIL−34及び/又はCSF−1の活性を中和するための方法を提供する。幾つかの実施態様では、方法は、個体へと、有効量の二重特異性抗IL−34/CSF−1抗体を投与して、個体におけるIL−34及び/又はCSF−1の活性を中和することを含む。幾つかの実施態様では、「個体」とは、ヒトである。
【0228】
さらなる態様では、本発明は、例えば、上記の治療法のうちの何れかにおける使用のための、本明細書で提示される抗IL−34抗体、二重特異性抗IL−34/CSF−1抗体、又は抗CSF−1R抗体のうちの何れかを含む薬学的製剤を提供する。幾つかの実施態様では、薬学的製剤は、本明細書で提示される抗IL−34抗体、二重特異性抗IL−34/CSF−1抗体、又は抗CSF−1R抗体のうちの何れかと、薬学的に許容される担体とを含む。別の実施態様では、薬学的製剤は、本明細書で提示される抗IL−34抗体、二重特異性抗IL−34/CSF−1抗体、又は抗CSF−1R抗体のうちの何れかと、例えば、下記で記載される、少なくとも一つのさらなる治療剤とを含む。
【0229】
本発明の抗体は、治療において、単独で用いることもでき、他の薬剤と組み合わせて用いることもできる。例えば、本発明の抗体は、少なくとも一つのさらなる治療剤と共に共投与することができる。幾つかの実施態様では、さらなる治療剤は、抗CSF1−抗体である。
【0230】
上記で言及したこのような組合せ療法は、組合せ投与(2つ以上の治療剤を、同じ製剤中又は個別の製剤中に組み入れる)及び個別投与を包摂し、個別投与の場合、本発明の抗体の投与は、さらなる治療剤及び/又はアジュバントの投与前に行うこともでき、これらの投与と同時に行うこともでき、及び/又はこれらの投与後に行うこともできる。
【0231】
さらなる態様では、骨髄病原性免疫疾患の治療における使用のための抗IL−34抗体及び抗CSF−1抗体が提供される。幾つかの実施態様では、骨髄病原性免疫疾患とは、関節リウマチ、炎症性腸疾患、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、喘息、骨粗鬆症、ページェット病、アテローム性動脈硬化、メタボリック症候群、II型糖尿病、LSD(シスチン蓄積症、シアル酸蓄積症、ゴーシェ病などであるがこれらに限定されないリソソーム蓄積症)、ロザイ−ドルフマン病、ファイサラバード組織球症が含まれるがこれらに限定されない組織球症、H症候群、インスリン依存型糖尿病を伴う色素性多毛症(PHID)である。幾つかの実施態様では、治療法における使用のための抗IL−34抗体及び抗CSF−1抗体が提供される。幾つかの実施態様では、本発明は、骨髄病原性免疫疾患(例えば、関節リウマチ、炎症性腸疾患、又は多発性硬化症)を有する個体を治療する方法であって、個体へと、有効量の抗IL−34抗体を、抗CSF−1抗体と共に投与することを含む方法における使用のための抗IL−34抗体及び抗CSF−1抗体を提供する。幾つかの実施態様では、本発明は、IL−34のCSF−1Rへの結合及びCSF−1のCSF−1Rへの結合の阻害における使用のための抗IL−34抗体及び抗CSF−1抗体を提供する。幾つかの実施態様では、本発明は、個体におけるIL−34のCSF−1Rへの結合及びCSF−1のCSF−1Rへの結合を阻害する方法であって、個体へと、有効量の抗IL−34抗体を、抗CSF−1抗体と共に投与して、IL−34のCSF−1Rへの結合及びCSF−1のCSF−1Rへの結合を阻害することを含む方法における使用のための抗IL−34抗体及び抗CSF−1抗体を提供する。幾つかの実施態様では、本発明は、IL−34及び/又はCSF−1の活性の中和における使用のための抗IL−34抗体及び抗CSF−1抗体を提供する。幾つかの実施態様では、本発明は、個体におけるIL−34及び/又はCSF−1の活性を中和する方法であって、個体へと、有効量の抗IL−34抗体を、抗CSF−1抗体と共に投与して、IL−34及び/又はCSF−1の活性を中和することを含む方法における使用のための抗IL−34抗体及び抗CSF−1抗体を提供する。上記の実施態様のうちの何れかに従う「個体」は、ヒトであることが好ましい。
【0232】
さらなる態様では、本発明は、骨髄病原性免疫疾患を治療するための方法を提供する。幾つかの実施態様では、骨髄病原性免疫疾患とは、関節リウマチ、炎症性腸疾患、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、喘息、骨粗鬆症、ページェット病、アテローム性動脈硬化、メタボリック症候群、II型糖尿病、LSD(シスチン蓄積症、シアル酸蓄積症、ゴーシェ病などであるがこれらに限定されないリソソーム蓄積症)、ロザイ−ドルフマン病、ファイサラバード組織球症が含まれるがこれらに限定されない組織球症、H症候群、インスリン依存型糖尿病を伴う色素性多毛症(PHID)である。幾つかの実施態様では、方法は、骨髄病原性免疫疾患(例えば、関節リウマチ、炎症性腸疾患、又は多発性硬化症)を有する個体へと、有効量の抗IL−34抗体を、抗CSF−1抗体と共に投与することを含む。上記の実施態様のうちの何れかに従う「個体」は、ヒトでありうる。
【0233】
さらなる態様では、本発明は、個体におけるIL−34のCSF−1Rへの結合及びCSF−1のCSF−1Rへの結合を阻害するための方法を提供する。幾つかの実施態様では、方法は、個体へと、有効量の抗IL−34抗体を、抗CSF−1抗体と共に投与して、個体におけるIL−34のCSF−1Rへの結合及びCSF−1のCSF−1Rへの結合を阻害することを含む。幾つかの実施態様では、「個体」とは、ヒトである。
【0234】
さらなる態様では、本発明は、個体におけるIL−34及び/又はCSF−1の活性を中和するための方法を提供する。幾つかの実施態様では、方法は、個体へと、有効量の抗IL−34抗体を、抗CSF−1抗体と共に投与して、個体におけるIL−34及び/又はCSF−1の活性を中和することを含む。幾つかの実施態様では、「個体」とは、ヒトである。
【0235】
本明細書で記載される抗IL−34抗体、抗CSF−1R抗体、及び二重特異性抗IL−34/CSF−1抗体を、腫瘍の骨髄支質をターゲティングするために用いることができる。幾つかの実施態様では、癌(結腸癌、肺癌、乳癌、前立腺癌、及び子宮癌など)を治療するために抗体を用いる。幾つかの実施態様では、個体における癌を治療するために、抗体を、個体へと、別の抗癌治療と共に投与する。幾つかの実施態様では、抗癌治療は、Herceptin(登録商標)、Avastin(登録商標)、又はTarceva(登録商標)による治療である。
【0236】
本明細書で記載される抗IL−34抗体、抗CSF−1R抗体、及び二重特異性抗IL−34/CSF−1抗体はまた、リソソーム蓄積症(LSD)、及び関節リウマチ、炎症性腸疾患(IBD、例えば、クローン病、潰瘍性大腸炎)、多発性硬化症が含まれるがこれらに限定されない自己免疫疾患、アテローム性動脈硬化、心筋梗塞、及び狭心症が含まれるがこれらに限定されない血管疾患、骨粗鬆症、アルツハイマー病、糖尿病(1型及び/又は2型)、感染性疾患、並びに癌を治療するためにも用いることができる。
【0237】
リソソーム蓄積症(LSD)とは、リソソーム機能の欠陥から結果として生じる代謝障害である。リソソーム蓄積症は、体内細胞の特殊な細胞小器官(リソソーム)が機能不全である場合に生じる。LSDの例には、欠陥がある/欠損するリソソームヒドロラーゼなど、欠損する/欠陥があるタンパク質により引き起こされる疾患(例えば、ガングリオシドーシス、ゴーシェ病、及び多様なニーマン−ピック病などのスフィンゴリピドーシス)、翻訳後修飾されたスルファターゼにより引き起こされる疾患(例えば、多重スルファターゼ欠損症)、欠陥がある/欠損するヌクレオチド/ヌクレオシド輸送体又はN−アセチルグルコサミン−1−リン酸トランスフェラーゼなどの膜輸送タンパク質により引き起こされる疾患(例えば、II型ムコ脂質症及びIIIA型ムコ脂質症)、欠陥がある/欠損するカテプシンAなどの酵素保護タンパク質により引き起こされる疾患(例えば、変異型ABのGM2−AP欠損症、C2型ニーマン−ピック病、SAP欠損症)、欠陥がある/欠損するM−CSFR、ENT3、NPC1、及びシアリンなどの膜貫通タンパク質により引き起こされる疾患(例えば、C1型ニーマン−ピック病、サラ病)が含まれるがこれらに限定されない。LSDの類型には、脂質蓄積障害(例えば、スフィンゴリピドーシス)、ガングリオシドーシス(例えば、テイ−サックス病)、大脳白質萎縮症、ムコ多糖症(ハンター症候群及びハーラー病を含めた)、糖タンパク質蓄積障害(例えば、ポンペ病)及びムコ脂質症が含まれる。
【0238】
以下の通りのより一般的なLSD:GM2活性化因子欠損症/GM2ガングリオシドーシス、アルファ−マンノーシドーシス、アスパルチルグルコサミン尿症、コレステリルエステル蓄積症、慢性ヘキソヘキソサミニダーゼA欠損症、シスチン症、ダノン病、ファブリー病、ファーバー病、フコシドーシス、ガラクトシアリドーシス、ゴーシェ病(I型、II型、III型)、GM1ガングリオシドーシス(乳児型、後期乳児型/若年型、成年型/慢性)、I細胞病/II型ムコ脂質症、乳児型遊離シアル酸蓄積症/ISSD、若年型ヘキソヘキソサミニダーゼA欠損症、クラッベ病(乳児期発症型、遅発型)、異染性白質ジストロフィー、ムコ多糖症による障害(例えば、偽ハーラー多発性ジストロフィー/IIIA型ムコ脂質症、MPSI(I型ムコ多糖症)であるハーラー症候群、MPSIであるシャイエ症候群、MPS Iハーラー−シャイエ症候群、MPS IIであるハンター症候群、A型サンフィリポ症候群/MPS IIIA、B型サンフィリポ症候群/MPS IIIB、C型サンフィリポ症候群/MPS IIIC、D型サンフィリポ症候群/MPS IIID、A型モルキオ症候群/MPS IVA、B型モルキオ症候群/MPS IVB、MPS IXであるヒアルロニダーゼ欠損症、MPS VIであるマロトー−ラミー症候群、MPS VIIであるスライ症候群、I型ムコ脂質症/シアリドーシス、IIIC型ムコ脂質症、IV型ムコ脂質症)、多重スルファターゼ欠損症、ニーマン−ピック病(A型、B型、C型)、ニューロンセロイド脂褐素症(例えば、CLN6疾患(非定型後期乳児型、遅発型変異体、早期若年型)、バッテン−シュピールマイヤ−フォークト病/若年型NCL/CLN3疾患、フィンランド変異体による後期乳児型CLN5、ヤンスキー−ビールショースキー病/後期乳児型CLN2/TPP1疾患、クーフス病/成年発症型NCL/CLN4疾患、ノーザンエピレプシー/変異体後期乳児型CLN8、サンタブォーリ−ハルチア病/乳児型CLN1/PPT疾患、ベータ−マンノーシドーシス)、ポンペ病/II型グリコーゲン蓄積症、濃化異骨症、サンドホッフ病/成年発症型/GM2ガングリオシドーシス、サンドホッフ病/GM2ガングリオシドーシス(乳児型)、サンドホッフ病/GM2ガングリオシドーシス(若年型)、シンドラー病、サラ病/シアル酸蓄積症、テイ−サックス病/GM2ガングリオシドーシス、及びウォルマン病も知られている。
【0239】
本明細書で記載される「自己免疫疾患」とは、個体自身の組織もしくは共分泌物から生じ、これに対する疾患もしくは障害、又はその症状もしくはそこから生じる状態である。自己免疫疾患又は障害の例には、関節炎(急性関節リウマチ、慢性関節リウマチなどの関節リウマチ、通風性関節炎、急性通風性関節炎、慢性炎症性関節炎、変性性関節炎、感染性関節炎、ライム関節炎、増殖性関節炎、乾癬性関節炎、脊椎性関節炎、及び若年発症型関節リウマチ、骨関節炎、慢性進行性関節炎、変形性関節炎、慢性原発性多発性関節炎、反応性関節炎、及び強直性脊椎炎)、炎症性過剰増殖性皮膚疾患、尋常性乾癬、滴状乾癬、膿疱性乾癬、及び爪乾癬などの乾癬、接触性皮膚炎、慢性接触性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎、アレルギー性接触性皮膚炎、疱疹状皮膚炎、及びアトピー性皮膚炎を含めた皮膚炎、X連鎖高IgM症候群、慢性アレルギー性蕁麻疹、及び慢性自己免疫性蕁麻疹を含めた慢性特発性蕁麻疹などの蕁麻疹、多発性筋炎/皮膚筋炎、若年型皮膚筋炎、中毒性表皮剥離症、強皮症(全身性強皮症を含めた)、全身性硬化症、脊椎眼MS、原発性進行性MS(PPMS)、及び再発寛解型MS(RRMS)などの多発性硬化症(MS)、進行性全身性硬化症、アテローム性動脈硬化、動脈硬化症、播種性硬化症、及び失調性硬化症などの硬化症、炎症性腸疾患(IBD)(例えば、クローン病、自己免疫介在性消化管疾患、潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis、colitis ulcerosa)、顕微鏡的大腸炎、コラーゲン性大腸炎、大腸ポリープ、壊死性腸炎、及び全層性大腸炎などの大腸炎、及び自己免疫性炎症性腸疾患)、壊疽性膿皮症、結節性紅斑、原発性硬化性胆管炎、上強膜炎、成年型呼吸逼迫症候群又は急性呼吸逼迫症候群(ARDS)を含めた呼吸逼迫症候群、髄膜炎、ブドウ膜の全部又は一部の炎症、虹彩炎、脈絡膜炎、自己免疫性血液障害、リウマチ様脊椎炎、突発性難聴、アナフィラキシー並びにアレルギー性及びアトピー性鼻炎などのIgE介在性疾患、ラスムッセン脳炎並びに辺縁系脳炎及び/又は脳幹脳炎などの脳炎、前部ブドウ膜炎、急性前部ブドウ膜炎、肉芽腫性ブドウ膜炎、非肉芽腫性ブドウ膜炎、水晶体起因性ブドウ膜炎、後部ブドウ膜炎、又は自己免疫性ブドウ膜炎などのブドウ膜炎、原発性GN、免疫介在性GN、膜性GN(膜性腎症)、特発性膜性GN又は特発性膜性腎症、I型膜性増殖性GN及びII型膜性増殖性GNを含めた膜増殖性(membrano−proliferative)又は膜性増殖性(membranous proliferative)GN(MPGN)、急速進行性GNなどの慢性糸球体腎炎又は急性糸球体腎炎など、ネフローゼ症候群を伴う糸球体腎炎(GN)及びネフローゼ症候群を伴わないGN、アレルギー性状態、アレルギー反応、アレルギー性湿疹又はアトピー性湿疹を含めた湿疹、気管支喘息(asthma bronchiale、bronchial asthma)及び自己免疫性喘息などの喘息、T細胞の浸潤及び慢性炎症性応答を伴う状態、慢性肺炎症性疾患、自己免疫性心筋炎、白血球接着不全症、皮膚性SLEなどの全身性エリテマトーデス又は全身性紅斑性狼瘡(SLE)、亜急性皮膚性エリテマトーデス、新生児ループス症候群(NLE)、播種性エリテマトーデス、ループス(ループス腎炎、ループス脳炎、小児性ループス、非腎性ループス、腎外性ループス、円板状ループス、円形脱毛症を含めた)、小児性インスリン依存型糖尿病(IDDM)を含めた若年発症型(I型)糖尿病、成年発症型糖尿病(II型糖尿病)、自己免疫性糖尿病、特発性尿崩症、サイトカイン及びTリンパ球により媒介される急性過敏性及び遅発性過敏性と関連する免疫応答、結核、サルコイドーシス、リンパ腫様肉芽腫症、ウェゲナー肉芽腫症を含めた肉芽腫症、無顆粒球症、血管炎(vasculitis)(大型血管炎(リウマチ性多発性筋痛及び巨細胞性動脈炎又は高安動脈炎を含めた)、中型血管炎(川崎病及び結節性多発性動脈炎を含めた)、顕微鏡的多発性動脈炎、CNS血管炎、壊死性血管炎、皮膚性血管炎、又は過敏性血管炎、全身性壊死性血管炎、及びチャーグ−シュトラウス血管炎又はチャーグ−シュトラウス症候群(CSS)などのANCA関連血管炎を含めた)を含めた血管炎(vasculitides)、側頭動脈炎、再生不良性貧血、自己免疫性再生不良性貧血、クームス陽性貧血、ダイアモンドブラックファン貧血、溶血性貧血又は自己免疫性溶血性貧血(AIHA)を含めた免疫溶血性貧血、悪性貧血(pernicious anemia(anemia perniciosa))、アジソン病、真正赤血球性貧血又は赤芽球癆(PRCA)、因子VIII欠損症、A型血友病、自己免疫性好中球減少症、汎血球減少症、白血球減少症、白血球漏出を伴う疾患、CNS炎症性障害、敗血症、外傷、又は出血に続発する多臓器不全症候群などの多臓器不全症候群、抗原−抗体複合体介在性疾患、抗糸球体基底膜疾患、抗リン脂質抗体症候群、アレルギー性腎炎、ベーチェット病(Bechet’s disease又はBehcet’s disease)、キャッスルマン症候群、グッドパスチャー症候群、レイノー症候群、シェーグレン症候群、スチーブンス−ジョンソン症候群、水疱性類天疱瘡及び皮膚類天疱瘡などの類天疱瘡、天疱瘡(を含めた尋常性天疱瘡、落葉状天疱瘡、粘膜性天疱瘡(粘膜性類天疱瘡)、及び紅斑性天疱瘡)、自己免疫性多腺性内分泌障害、ライター病又はライター症候群、免疫複合体腎炎、抗体介在性腎炎、視神経脊髄炎、IgM多発神経障害又はIgM介在性神経障害などの多発神経障害、慢性神経障害、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、及び慢性ITP又は急性ITPを含めた特発性血小板減少性紫斑病(ITP)など、自己免疫性血小板減少症又は免疫介在性血小板減少症を含めた血小板減少症(例えば、心筋梗塞患者が発症する)、自己免疫性精巣炎及び自己免疫性卵巣炎を含めた精巣及び卵巣の自己免疫疾患、原発性甲状腺機能低下症、副甲状腺機能低下症、自己免疫性甲状腺炎、橋本病、慢性甲状腺炎(橋本甲状腺炎)、又は亜急性甲状腺炎などの甲状腺炎、自己免疫性甲状腺疾患、特発性甲状腺機能低下症、グレーブス病、自己免疫性多腺性症候群(又は多腺性内分泌障害症候群)などの多腺性症候群を含めた自己免疫性内分泌疾患、ランバート−イートン筋無力症候群又はイートン−ランバート症候群、スティッフマン症候群又はスティッフパーソン症候群などの傍腫瘍性神経症候群を含めた傍腫瘍性症候群、アレルギー性脳脊髄炎(allergic encephalomyelitis又はencephalomyelitis allergica)及び実験的アレルギー性脳脊髄炎(EAE)などの脳脊髄炎、胸腺腫関連重症筋無力症などの重症筋無力症、小脳変性症、神経性筋緊張、オプソクローヌス又はオプソクローヌス−ミオクローヌス症候群(OMS)、及び感覚神経障害、多巣性運動神経障害、シーハン症候群、自己免疫性肝炎、慢性肝炎、ルポイド肝炎、巨細胞性肝炎、慢性活動性肝炎又は自己免疫性慢性活動性肝炎、リンパ球様間質性肺炎、非特異性間質性肺炎(NSIP)と対比される閉塞性細気管支炎(非移植)、ギラン−バレー症候群、ベルジェ病(IgA腎症)、特発性IgA腎症、線状IgA皮膚病、原発性胆汁性肝硬変、肺硬変、自己免疫性腸症症候群、セリアック病(Celiac disease、Coeliac disease)、セリアックスプルー(グルテン性腸症)、不応性スプルー、特発性スプルー、寒冷グロブリン血症、筋委縮性側索硬化症(ALS;ルーゲーリック病)、冠動脈疾患、自己免疫性内耳疾患(AIED)、自己免疫性難聴などの自己免疫性耳疾患、オプソクローヌス−ミオクローヌス症候群(OMS)、不応性多発性軟骨炎又は再発性多発性軟骨炎などの多発性軟骨炎、肺胞タンパク症、アミロイドーシス、強膜炎、非癌性リンパ球増加症、単クローン性B細胞性リンパ球増加症(例えば、良性単クローン性ガンマグロブリン血症、及び意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症;MGUS)が含まれる原発性リンパ球増加症、末梢神経障害、傍腫瘍性症候群、てんかん、片頭痛、不整脈、筋障害、難聴、失明、周期性四肢麻痺、及びCNSのチャネル病などのチャネル病、自閉症、炎症性筋疾患、巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)、内分泌性眼障害、ブドウ膜網膜炎、脈絡網膜炎、自己免疫性肝障害、線維筋痛症、多発性内分泌不全症、シュミット症候群、副腎炎、胃萎縮、初老性認知症、自己免疫性脱髄疾患などの脱髄疾患、糖尿病性腎症、ドレスラー症候群、円形脱毛症、クレスト症候群(石灰症、レイノー現象、食道運動障害、強指症、及び毛細管拡張症)、男性自己免疫性不妊症及び女性自己免疫性不妊症、混合性結合組織病、シャーガス病、リウマチ熱、反復性流産、農夫肺、多形性紅斑、心切開術後症候群、クッシング症候群、愛鳥家肺、アレルギー性肉芽腫性血管炎、良性リンパ球性血管炎、アルポート症候群、アレルギー性肺胞隔炎及び線維化性肺胞隔炎などの肺胞隔炎、間質性肺疾患、輸血反応、ハンセン病、マラリア、リーシュマニア症、キパノソミアシス(kypanosomiasis)、住血吸虫症、回虫症、アスペルギルス症、サンプター症候群、カプラン症候群、デング熱、心内膜炎、心内膜心筋線維症、びまん性間質性肺線維症、間質性肺線維症、特発性肺線維症、嚢胞線維症、眼内炎、持久性隆起性紅斑、胎児赤芽球症、好酸球性筋膜炎、シャルマン症候群、フェルティ症候群、フィラリア症、慢性毛様体炎、異時性毛様体炎、虹彩毛様体炎、又はフックス毛様体炎などの毛様体炎、ヘノッホ−シェーンライン紫斑病、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症、エコーウイルス感染症、心筋症、アルツハイマー病、パルボウイルス感染症、風疹ウイルス感染症、ワクチン接種後症候群、先天性風疹感染症、エプスタイン−バーウイルス感染症、ムンプス、エバンス症候群、自己免疫性性腺不全症、シドナム舞踏病、溶連菌感染後腎炎、閉塞性血栓性血管炎、甲状腺中毒症、脊髄癆、脈絡膜炎、巨細胞性多発筋痛症、内分泌性眼障害、慢性過敏性肺臓炎、乾性角結膜炎、流行性角結膜炎、特発性ネフローゼ症候群、微小変化型腎症、良性家族性及び虚血再灌流傷害、網膜自己免疫病、関節炎、気管支炎、慢性閉塞性気道疾患、ケイ肺症、アフタ、アフタ性口内炎、動脈硬化性障害、無精子症、自己免疫性溶血、ベック病、寒冷グロブリン血症、デュピュイトラン拘縮、水晶体過敏性眼内炎、アレルギー性腸炎、らい性結節性紅斑、特発性顔面神経麻痺、慢性疲労症候群、リウマチ熱、ハンマン−リッチ病、感覚神経性難聴、発作性ヘモグロビン尿症、性腺機能低下症、限局性回腸炎、白血球減少症、感染性単核球症、横断性脊髄炎、原発性特発性粘液水腫、ネフローゼ、交感性眼炎、肉芽腫性精巣炎、膵炎、急性多発性神経根炎、壊疽性膿皮症、ドケルバン甲状腺炎、後天性脾臓委縮症、抗精子抗体に起因する不妊症、非悪性胸腺腫、めまい、SCID及びエプスタイン−バーウイルス関連疾患、後天性免疫不全症候群(AIDS)、リーシュマニア(Lesihmania)属寄生虫症などの寄生虫症、中毒性ショック症候群、食中毒、T細胞の浸潤を伴う状態、白血球接着欠損症、サイトカイン及びTリンパ球により媒介される急性及び遅発性の過敏症と関連する免疫応答、白血球漏出を伴う疾患、多臓器不全症候群、抗原−抗体複合体介在性疾患、抗糸球体基底膜疾患、アレルギー性腎炎、自己免疫性多腺性内分泌障害、卵巣炎、原発性粘液水腫、自己免疫性萎縮性胃炎、交感性眼炎、リウマチ性疾患、混合性結合組織病、ネフローゼ症候群、膵島炎、多腺性内分泌不全症、末梢神経障害、自己免疫性多腺性症候群I型、成年期発症型特発性副甲状腺機能低下症(AOIH)、全頭性脱毛症、拡張型心筋症、後天性表皮水疱症(EBA)、ヘモクロマトーシス、心筋炎、ネフローゼ症候群、原発性硬化性胆管炎、化膿性副鼻腔炎又は非化膿性副鼻腔炎、急性副鼻腔炎又は慢性副鼻腔炎、篩骨洞炎、前頭洞炎、上顎洞炎、又は蝶形骨洞炎、好酸球増多症、肺浸潤性好酸球増多症、好酸球増多性筋痛症候群、レフラー症
候群、慢性好酸球性肺炎、熱帯性肺好酸球増多症、気管支肺アスペルギルス症、アスペルギルス腫、又は好酸球を含有する肉芽腫などの好酸球関連障害、アナフィラキシー、血清反応陰性脊椎関節炎、多腺性内分泌性自己免疫疾患、硬化性胆管炎、強膜炎、上強膜炎、慢性粘膜皮膚カンジダ症、ブルトン症候群、乳児期一過性低ガンマグロブリン血症、ウィスコット−アルドリッチ症候群、毛細管拡張性運動失調症、膠原病と関連した自己免疫性障害、リウマチ、神経疾患、虚血再灌流障害、血圧反応の低減、血管機能不全、血管拡張症、組織損傷、心血管虚血症、痛覚過敏、脳虚血症、及び血管新生に随伴する疾患、アレルギー性過敏性障害、糸球体腎炎、再灌流傷害、心筋組織又は他の組織の再灌流傷害、急性炎症性成分を伴う皮膚疾患、急性化膿性髄膜炎又は他の中枢神経系炎症性障害、眼球炎症性障害及び眼窩炎症性障害、顆粒球輸血関連症候群、サイトカイン誘導毒性、急性漿液性炎症、慢性難治性炎症、腎盂炎、肺硬変、糖尿病性網膜症、糖尿病性大動脈障害、動脈内過形成、消化性潰瘍、弁膜炎、並びに子宮内膜症が含まれるがこれらに限定されない。
【0240】
本発明の抗体(及び任意のさらなる治療剤)は、非経口投与、肺内投与、及び鼻腔内投与、並びに、局所治療に所望の場合、病変内投与を含めた、任意の適切な手段により投与することができる。非経口注入には、筋内投与、静脈内投与、動脈内投与、腹腔内投与、又は皮下投与が含まれる。投薬は、任意の適する経路、例えば、投与が短期であるのか長期であるのかに部分的に依存して、静脈内注射又は皮下注射などの注射により可能である。本明細書では、多様な時点にわたる単回又は複数回の投与、ボーラス投与、及びパルス注入が含まれるがこれらに限定されない、多様な投薬スケジュールが想定される。
【0241】
本発明の抗体は、適正な医療行為にのっとった形で調合、投薬、及び投与されるであろう。この文脈における検討のための因子には、治療される特定の障害、治療される特定の哺乳動物、個々の患者の臨床状態、障害の原因、薬剤の送達部位、投与法、投与のスケジュール決定、及び医療従事者に知られている他の因子が含まれる。抗体は、その必要はないが、場合によって、問題となる障害を防止又は治療するのに現時点で用いられている1又は複数の薬剤と共に調合される。このような他の薬剤の有効量は、製剤中に存在する抗体の量、障害又は処置の種類、及び上記で論じた他の因子に依存する。このような他の薬剤は一般に、本明細書で記載される同じ投与量で、かつ、本明細書で記載される投与経路により、もしくは本明細書で記載される投与量の約1〜99%で、又は適切であることが経験的/臨床的に決定されている任意の投与量で、かつ、任意の経路を介して用いる。
【0242】
疾患を防止又は治療するために、本発明の抗体の適切な投与量(単独で用いる場合、又は1又は複数の他のさらなる治療剤と組み合わせて用いる場合の)は、治療される疾患の種類、抗体の種類、疾患の重症度及び経過、抗体が防止的目的で投与されるのか、治療的目的で投与されるのか、既往の治療、患者の臨床的既往歴及び抗体に対する応答、並びに主治医の裁量に依存するであろう。抗体は、一度に、又は一連の処置にわたり、適切な形で患者へと投与する。疾患の種類及び重症度に応じて、約1μg/kg〜15mg/kg(例えば、0.1mg/kg〜10mg/kg)の抗体が、例えば、1回又は複数回の個別の投与による場合であれ、持続的注入による場合であれ、患者へと投与するための初期の候補投与量でありうる。1つの典型的な毎日の投与量となれば、上記で言及した因子に応じて、約1μg/kg〜100mg/kg以上の範囲でありうるであろう。数日間以上にわたる反復投与では、状態に応じて、治療は一般に、疾患症状の所望の抑制が生じるまで維持することになろう。1つの例示的な抗体の投与量は、約0.05mg/kg〜約10mg/kgの範囲であろう。したがって、約0.5mg/kg、2.0mg/kg、4.0mg/kg、又は10mg/kg(又はこれらの任意の組合せ)の1回用量又は複数回用量を、患者へと投与することができる。このような用量は、間欠的に、例えば、毎週又は3週間ごとに(例えば、患者に、約2〜約20回、又は、例えば、約6回用量の抗体を投与するように)投与することができる。初回の高負荷用量に続いて、1回又は複数回の低用量を投与することができる。例示的な投薬レジメンは、投与することを含む。しかし、他の投与レジメンも有用でありうる。本療法の進捗状況は、従来の技法及びアッセイにより容易にモニタリングされる。
【0243】
製造品又はキット
本発明の別の態様では、上記で記載した障害を治療、防止、及び/又は診断するのに有用な材料を含有する製造品又はキットが提供される。製造品は、容器及び容器上の表示又は容器に付随する添付文書を含む。適切な容器には、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ、IV溶液用バッグなどが含まれる。容器は、ガラス又はプラスチックなど、様々な材料から形成することができる。容器は、それ自体で、又は別の組成物と組み合わせて、状態を治療、防止、及び/又は診断するために有効な組成物を保持し、滅菌の接続ポートを有しうる(例えば、容器は、皮下注射針により穿刺可能な止栓を有する静脈内注入溶液用のバッグ又はバイアルでありうる)。組成物中の少なくとも一つの活性薬剤は、本発明の抗体である。表示又は添付文書は、組成物が、選り抜きの状態を治療するために用いられることを示す。また更に、製造品は、(a)本発明の抗体を含む組成物をその中に含有する第1の容器;及び(b)細胞傷害剤又は他の形で治療的な薬剤を含む組成物をその中に含有する第2の容器を含みうる。本発明のこの実施態様における製造品は、組成物を、用いて、特定の状態を治療しうることを示す添付文書も更に含みうる。幾つかの実施態様では、製造品は、本明細書で記載される抗IL−34抗体を含む。幾つかの実施態様では、製造品は、本明細書で記載される二重特異性IL−34/CSF−1抗体を含む。幾つかの実施態様では、製造品は、本明細書で記載される抗CSF−1R抗体を含む。幾つかの実施態様では、製造品は、本明細書で記載される抗IL−34抗体及び抗CSF−1抗体を含む。代替的に、又は加えて、製造品は、注射用静菌水(BWFI)、リン酸緩衝生理食塩液、リンゲル液及びデキストロース溶液など、薬学的に許容される緩衝剤を含む第2の(又は第3の)容器を更に含みうる。製造品には更に、他の緩衝剤、希釈剤、フィルター、注射針、及びシリンジを含め、販売上の観点及び使用者の観点から所望される他の材料も組み入れることができる。
【実施例】
【0244】
以下は、本発明の方法及び組成物の実施例である。上記で提示した一般的な記載を踏まえ、他の多様な実施態様も実施しうることが理解される。
【0245】
実施例1:IL−34、IL−34/CSF−1R複合体、及びIL−34/抗体複合体の構造
方法
タンパク質の発現及び精製
C末端のFlagタグ又はHis6タグと融合させたヒトIL−34の活性コア(hIL−34sでは、残基N21〜V193であり、hIL−34flでは、残基N21〜P242である)、及びC末端のHis6タグと接合されたヒトCSF−1Rの細胞外ドメイン(ドメインD1〜D3では、残基20〜299であり、ドメインD1〜D5では、残基20〜512である)のコード配列を、pAcGP67ベクター(BD Biosciences)へとクローニングした。組換えバキュロウイルスは、sf9細胞を、製造元(Pharmingen)の指示書に従い、BaculoGold(商標)Expression Systemを用いて、ESF 921培地(Expression System LLC、Woodland、CA)中のpAcGP67A構築物及び直鎖化されたバキュロウイルスDNAで共トランスフェクトすることにより創成した。ウイルスは、3ラウンドの増幅を介して発生させ、4mlのラウンド3原液を用いて、1ml当たり2×10個の細胞の密度で、1リットルのTni.PRO細胞に感染させた。細胞は、27℃で48時間にわたり成長させ、遠心分離により培地から除去した。上清を細胞から除去し、50mMのトリス−HCl、pH7.5中に1mMのNiCl、5mMのCaClを補充した。上清中のタンパク質は、重力流を用いてNi−NTAカラム(Qiagen)により捕捉し、30mlの洗浄緩衝液(50mMのトリス−HCl、pH7.5、300mMのNaCl、10mMのイミダゾール)で洗浄し、溶出緩衝液(50mMのトリス−HCl、pH7.5、300mMのNaCl、300mMのイミダゾール)でカラムから溶出させた。タンパク質を濃縮し、5mMのトリス−HCl、pH7.5及び100mMのNaClで平衡化させたサイズ除外カラム(HiLoad 16/60 Superdex 200、GE Biosciences)により更に精製した。対象のタンパク質を含有する画分は、SDS−PAGEにより解析し、プールし、濃度は、280nmにおける吸光度により決定した。
【0246】
分析用ゲル濾過
1mg/mlの濃度のタンパク質試料500μlを、PBSで平衡化させたSuperdex 200 10/300 GLカラム(GE Biosciences)へと、逐次的に注入した。同じカラムを、タンパク質の分子量基準物質(Bio−Rad)の混合物により較正し、対象のタンパク質の溶出容量を用いて、それらの対応する分子量を推定した。
【0247】
等温滴定熱量測定
ITC実験の前に、Superdex 200 10/300 GLカラムを用いて、全てのタンパク質試料を、PBS緩衝剤へと緩衝剤交換して、緩衝液の希釈効果を最小化した。VP−ITC 200熱量測定計(MicroCal、Northampton、MA)上で、熱量測定のための滴定を実行し、MicroCal Origin 7.0ソフトウェアでデータを処理した。注入物質であるIL−34タンパク質又はCSF−1タンパク質を、CSF−1R D1〜D3又はCSF−1R D1〜D5へと、受容体が完全に飽和するまで、多数回の注入過程にわたり添加した。注入物質であるCSF−1R D1〜D3又はD1〜D5を、IL−34、CSF−1、又はIL−34/CSF−1R D1〜D3複合体を含有する細胞へと、受容体が完全に飽和するまで、多数回の注入過程にわたり添加した。
【0248】
Bio−Layer干渉(BLI)を用いるアフィニティー測定
IL−34又はCSF−1の、CSF−1R D1〜D3への結合
Octet RED384(商標)BLI測定器(forteBio)を用いて、結合アッセイを実行した。ビオチン化IL−34又はビオチン化CSF−1を、ストレプトアビジンでコーティングしたバイオセンサー上に固定化し、洗浄し、CSF−1R D1〜D3の4倍の希釈系列(IL−34のためには、1600nM〜25nMであり、CSF−1のためには、3200nM〜50nMである)を含有する反応緩衝液(1倍濃度の反応速度アッセイ緩衝液、forteBio;型番18−5032)へと移した。結合が定常状態に達するまで、会合反応をモニタリングした。その後、結合した材料を、反応緩衝液へと移し、解離反応をモニタリングして、サイトカインとCSF−1R D1〜D3との間の可逆性の結合を確認した。会合速度(kon)及び解離速度(koff)は、単純な単一部位結合式を用いて計算した。平衡解離定数(K)は、比koff/konとして計算した。結合反応速度は、30℃で測定し、試料は、1000rpmで撹拌した。
【0249】
また、BIACORE3000を用いて、抗体アフィニティーも査定した。アフィニティーは一般に、BLI測定と符合した。抗ヒトIL−34 IgGは、約250反応単位(RU)を達成するように、CM5センサーチップ上にコーティングされた、マウス抗ヒトIgGにより捕捉した。反応速度を測定するために、ヒトIL−34及びマウスIL−34の2倍の希釈系列(3.9nM〜500nM)を、25℃のPBT緩衝液(0.05%のTween 20を含むPBS)中に、30ml/分の流量で注入した。会合速度(kon)及び解離速度(koff)は、単純一対一ラングミュア結合モデル(BIAcore Evaluation Software version 3.2)を用いて計算した。平衡解離定数(K)は、比koff/konとして計算した。
【0250】
結晶化及び構造決定
hIL−34s_CFlag/YW405.3 Fab
等モル比のhIL−34s_CFlagとYW405.3 Fabとを混合し、HiLoad 16/60 Superdex 200カラムを用いる最後のゲル濾過ステップにかけ、30mg/mlまで濃縮してから、結晶化試験を行った。hIL−34s_CFlag/YW405.3 Fab複合体の斜方晶は、19℃で、0.2Mの酒石酸カリウムナトリウム四水和物、20%w/vのポリエチレングリコール3,350を含有するHampton Research Index HT H02(86)から成長させた。
【0251】
hIL−34s_CFlag
hIL−34s_CFlagの二次元プレートは、19℃で、等容量、10mg/mlのタンパク質と、0.1MのHepes、pH7.5、10%w/vのポリエチレングリコール6,000、5%v/vの(+/−)−2−メチル−2,4−ペンタンジオール(Hampton Research Crystal Screen HT G06(78))を含有する貯留槽溶液とを混合することにより得た。
【0252】
hIL−34s_CHis/hCSF−1R D1〜D3 CHis
hIL−34s_CHisとHCSF−1R D1〜D3_CHisとを昆虫細胞内で共発現させ、HiLoad 16/60 Superdex 200カラムを用いるニッケルアフィニティーサイズ除外クロマトグラフィーで精製した。複合体は、20mg/mlまで濃縮し、シッティングドロップ蒸気拡散法でスクリーニングした。hIL−34s_CHis/hCSF−1R D1〜D3 CHis複合体の紡錘形結晶は、19℃で、0.1MのCaAcet、0.1MのMes、pH6、15%のPEG 400を含有するQiagen Protein Complex SCReen A02(2)から成長させた。
【0253】
hIL−34s_CFlag/YW404.33.56 Fab
YW404.33.56のFab断片を、hIL−34s_CFlagと、1:1のモル比で混合し、HiLoad 16/60 Superdex 200カラムで更に精製し、20mg/mlまで濃縮した。単一のhIL−34s_CFlag/YW404.33.56 Fab複合体の結晶は、1カ月後に、19℃で、0.2Mの一塩基性リン酸アンモニウム、0.1Mのトリス、pH8.5、50%v/vの(+/−)−2−メチル−2,4−ペンタンジオールによる貯留槽溶液上で成長させた。
【0254】
データ収集
全ての低温安定化結晶を、液体窒素中で瞬時凍結させてから、データ収集を行った。全てのデータセットは、ADSC Q315 CCD検出器を用いるALS BL 5.0.2により収集した。回折画像は、HKL2000(Otwinowskiら、Methods in Enzymology、276:307〜326(1997))を用いてインデクシングし、統合し、スケーリングした。データ収集、位相決定、及び結晶構造の精密化についての全ての統計の概要を、表2に示す。
【0255】
構造の決定及び精密化
1.85Å、3.0Å、2.6Å、及び3.0Åの完全なデータセットを、h−IL−34s、hIL−34s/CSF−1R D1〜D3複合体、hIL−34s/YW405.3 Fab複合体、及びhIL−34s/YW404.33.56 Fab複合体のそれぞれの単一の結晶から収集した(表2)。
【0256】
hIL−34s_CFlag/YW405.3 Fab及びhIL−34s_CFlag
hIL−34s_CFlag/YW405.3 Fab複合体の構造は、FabのFv領域及びFc領域について逐次的に検索することにより単一のFab(Protein Data Bank(PDB)受託番号:2QQN)から創成された検索モデルを伴うPHASERプログラム(Storoniら、Acta crystallographica Section D、Biological crystallography、60:432〜438(2004))を用いる分子置換により解明した。2 Fabを含め単一の明瞭な解が見出されたことから、FabのCDR領域の外部のIL−34については、極めて限定的な電子密度が明らかとなる。この初期解に由来する位相は、PHENIX AutoBuild(Adamsら、Acta crystallographica Section D、Biological crystallography、66:213〜221(2010))のプライムアンドスイッチマッププロットルーチンを用いて、溶媒平滑化、2倍のNCS平均化をかけることにより根本的に改善した。結果としてもたらされるマップは、Cootによる、IL−34の全骨格の手作業での追跡を可能とするのに十分に高品質のマップであった。この部分的なIL−34モデルを、分子置換により、hIL−34s_CFlagの、分解能1.85Åのデータセットへとフィードし、Cootを用いるモデルの再構築(Emsleyら、Acta crystallographica Section D、Biological crystallography、66:486〜501(2010))、及びRefmacを用いる精密化(Murshudovら、Acta crystallographica Section D、Biological crystallography、53:240〜255(1997))に繰り返しかけた。精密化の最終ラウンドでは、4つのN−アセチル−グルコサミン基及び4つのマンノース部分を、IL−34の残基Asn75へと付加したところ、486個の水分子が、最終モデルに組み入れられた。次いで、完成したIL−34モデルを、2.6Åの分解能で収束する、hIL−34s_CFlag/YW405.3 Fab複合体構造の再構築及び精密化に用いた。
【0257】
hIL−34s_CHis/hCSF−1R D1〜D3 CHis
hIL−34s_CHis/hCSF−1R D1〜D3 CHis複合体の個々の成分を、hIL−34s、マウスCSF−1R D1〜D2、及びマウスCSF−1R D3(PDB ID:3EJJ)を検索モデルとする、PHASER分子置換プログラムを用いて逐次的に位置特定した。CSF−1R D1〜D3を、ヒトアミノ酸配列に従い再構築及び精密化し、Refmacによるインタラクティブ型の精密化、及びCootによるモデル構築を介して、最終のhIL−34s_CHis/hCSF−1R D1〜D3 CHisモデルを完成させた。
【0258】
hIL−34s_CFlag/YW404.33.56 Fab
遮断Fabである、YW405.33.56と複合したhIL−34s_CFlagを、hIL−34s並びにFabのFv領域及びFc領域の構造を伴うPHASERプログラム内に実装された分子置換法により、同様のフレームワークで決定した後、YW404.33.56 FabのCDR領域を手作業により近似した。収束に達するまで、3.0Åのデータセットを用いて、数ラウンドにわたるモデルの再構築及び構造の精密化を実行した。
【0259】
4つの構造全てについての精密化統計及び立体化学解析の概要を、表2に示す。MolProbityプログラム(Chenら、Acta crystallographica Section D、Biological crystallography、66:12〜21(2010))を用いて、最終モデルの品質を精査した。座標は、hIL−34s、hIL−34s/hCSF−1R D1〜D3、hIL−34s/YW404.33.56 Fab、及びhIL−34s/YW405.3のそれぞれについて、受託コードxxx,yyy,zzz,wwwで、Protein Data Bank(www.rcsb.org)に寄託した。図は、PyMolプログラム(ウェブサイト:Pymol.sourceforge.net)を用いて作成した。
【0260】
ヒト単核細胞及び細胞生存率/増殖アッセイ
ヒト末梢血単核細胞(PBMC)は、Ficoll上の勾配遠心分離により単離した。細胞生存率/増殖アッセイでは、96ウェルプレート内のウェル1つ当たり1×10個の、単離されたばかりのPBMCを、希釈系列中のIL−34(全長形及び短鎖形)又はCSF−1で刺激した。37℃で72時間にわたるインキュベーション後、細胞生存率/増殖を決定するため、細胞内のATPレベルを、CellTiter−Glo Luminescent Cell Viability Assay Kit(Promega;型番G7571)により測定した。増殖は、相対発光単位(RLU)として示した。
【0261】
ヒトIL−34の生物活性の中和
hIL−34活性を中和するのに要請される最適の抗体濃度は、サイトカインの量、細胞型、及びアッセイの種類に依存する。hIL−34又はmIL−34の、PBMCに対する生物活性を中和する抗体の能力を測定するために、本発明者らは、CellTiter−Gloによる細胞増殖アッセイを用いた。IL−34の希釈系列に対する細胞の応答に基づき、抗体の中和活性を決定するための、100ng/mlというIL−34量を選択した。50%阻害濃度(IC50)は、IL−34が、70〜80%の増殖応答を誘発する濃度で存在する場合に、細胞上のIL−34活性の50%阻害をもたらすのに要請される抗体濃度と定義される。100ng/mlのhIL−34又はmIL−34を、抗IL−34mAb又は抗CSF1抗体の希釈系列と混合してから、100ulの総容量で細胞へと添加した。抗体阻害活性は、37℃で72時間にわたりプレートをインキュベートした後で、RLUを測定することにより得た。IC50値は、KaleidaGraphで計算した。
【0262】
ファージディスプレイによる抗体の創成
抗IL−34抗体を同定するための、ライブラリーの分取及びスクリーニング
マウスIL−34(PRO307278)を、ライブラリー分取のための抗原として用いた。Nunc96ウェルMaxisorpイムノプレートを、4℃で一晩にわたり、標的抗原(10μg/ml)でコーティングし、室温で1時間にわたり、ファージブロッキング緩衝液であるPBST(リン酸緩衝生理食塩液(PBS)及び1%(w/v)のウシ血清アルブミン(BSA)及び0.05%(v/v)のTween−20)でブロッキングした。選択されたCDR内に合成による多様性を伴う、VH(例えば、Leeら、J.Immunol.Meth.、284:119〜132、2004を参照されたい)及びVH/VL(Liangら、Journal of molecular biology、366:815〜829(2007)を参照されたい)のヒト合成抗体ファージライブラリーを、抗原プレートへと個別に添加し、室温で一晩にわたりインキュベートした。翌日、抗原でコーティングしたプレートを、PBT(0.05%のTween−20を含むPBS)で10回にわたり洗浄し、結合したファージを、50mMのHCl及び500mMのNaClで30分間にわたり溶出させ、等容量の1Mトリス塩基(pH7.5)で中和した。回収されたファージは、大腸菌XL−1 Blue細胞内で増幅した。後続の選択ラウンドでは、抗体ファージの、抗原でコーティングしたプレートを伴うインキュベーションを、2〜3時間へと短縮し、プレート洗浄の厳密性を、段階的に増大させた。
【0263】
4ラウンドにわたるパニングの後、著明な濃縮が観察された。96のクローンの各々を、VHライブラリーの分取及びVH/VLライブラリーの分取から選び、それらがヒト/マウスIL−34交雑結合剤であるのか、マウスIL−34特異的結合剤であるのかを決定した。これらのクローンの可変領域は、PCRにより配列決定して、固有の配列によるクローンを同定した。その後、これらの固有のファージクローンは、個々のクローンのVL領域及びVH領域を、それぞれ、LPG3ベクター及びLPG4ベクターへとクローニングし(Carterら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、89:4285〜4289(1992))、哺乳動物のCHO細胞内で一過性に発現させ、プロテインAカラムで精製することにより、IgGへと再フォーマットした。
【0264】
YW404.33のアフィニティーを改善するために、ライブラリーを構築する
ファージミドpW0703(M13バクテリオファージの表面上に一価Fabを提示するファージミドpV0350−2b(Lee、2004)に由来する)が、アフィニティー成熟のために、YW404.33の軽鎖可変ドメイン(VL)及び重鎖可変ドメイン(VH)を移植するためのライブラリーの鋳型として用いられた。次いで、終止コドンを、ライブラリー鋳型のCDR−L3内に組み込んだ。アフィニティー成熟のために、野生型のヌクレオチドを選好する70:10:10:10の塩基混合によるポイズンドオリゴヌクレオチド戦略(Gallopら、Journal of medicinal chemistry、37:1233〜1251(1994))を用いることにより選択された位置において、約50%の突然変異率を導入する、ソフトランダム化戦略を用いた。とりわけ、CDR−L1の28〜32位、CDR−L2の50及び53〜55位、CDR−L3の91〜94及び96位、CDR−H1の28〜35位、CDR−H2の50〜58位、CDR−H3の95〜100位における残基をターゲティングした。そして、ソフトランダム化されたCDRループ、L1/L2/L3、L3/H1/H2、及びL3/H3の組合せによる3つの異なるライブラリーを構築した。
【0265】
アフィニティーの改善を創成するための、ファージ分取戦略
アフィニティーの改善された選択のために、ファージライブラリーを、最初のラウンドでプレート分取にかけた後、4ラウンドの溶液分取にかけた。最初のラウンドのプレート分取では、3つのライブラリーを、マウスIL−34でコーティングされたプレート(NUNC;Maxisorpプレート)に対して、室温で2時間にわたり分取した。次に、更に4ラウンドの溶液分取を、選択の厳密性を増大させる2つの方法と併せて実行した。それらのうちの第1は、ビオチン化された標的タンパク質の濃度を、50nMから0.5nMへと低下させることによる、オン速度による選択のための方法であり、それらのうちの第2は、室温で、過剰量(100〜500倍)の非ビオチン化標的タンパク質を添加して、弱い結合剤を競合除去(compete off)することによる、オフ速度による選択のための方法である。各ファージライブラリーはまた、非ビオチン化mIL−34と共にインキュベートして、各ラウンドのパニングの濃縮度を推定するためのバックグラウンドのファージ結合としても用いられた。
【0266】
ハイスループットのアフィニティースクリーニングELISA(単一スポットの競合)
5ラウンドのパニングの後、記載される(Sidu、2004)通りに、ハイスループットの一点競合ファージELISAを用いて、高アフィニティーのクローンについて迅速にスクリーニングした。5nMのmIL−34の存在下では、mIL−34の非存在下と対比して、固定化mIL−34に対する結合率が低いクローンを、さらなる特徴付けのために選び出した。
【0267】
アフィニティーの測定
ストレプトアビジン(SA)バイオセンサーチップ(forteBio、Menlo park、CA、USA)を装備したOctet QKを、アフィニティー測定のために用いた。SAバイオセンサーチップは、アッセイ緩衝液(1倍濃度の反応速度アッセイ緩衝液、forteBio)中で10分間にわたり平衡化させてから、解析にかけた。結合反応速度は、30℃で測定し、試料は、1000rpmで撹拌した。SAチップは、5ug/mlのビオチン化ヒトIL−34(R&D;型番5265−IL−010/CF)で200秒間にわたり飽和させたが、この結果として、6つのチップのカラム内で0.22±0.02nMの捕捉レベルがもたらされた。抗IL−34抗体の3倍の希釈系列(100nM、33.3nM、11.1nM、3.7nM、1.2nM)のほか、緩衝剤ブランクを調製した。会合及び解離のいずれも、300秒間にわたりモニタリングした。全ての反応及び測定は、室温で実施した。データは、Octetデータ解析ソフトウェア6.4(forteBio)を用いて解析した。
【0268】
結果
本研究では、ヒトIL−34単独及びCSF−1Rと複合したヒトIL−34の最初の結晶構造が提示されるが、それらの溶液中の結合特性も特徴付けられた。IL−34は、実際に短鎖へリックス型サイトカインファミリーに属し、ファミリーメンバーの中でも二量体化界面が最も小さいことが示される。IL−34/CSF−1R複合体の構造は、関与するドメインに関して、CSF−1複合体について見られたのと同様の、全体的なリガンド/受容体アセンブリーの類似を示した。しかし、関与する受容体ドメインは、異なる界面組成を結果としてもたらす、予測外の再配列を受ける。これらの2つのサイトカインによるシグナル伝達複合体の間で注意深い比較を行うことにより、CSF−1Rが、2つの構造的に類縁のリガンドであるが、進化の点では疎遠なリガンドであるIL−34及びCSF−1に無差別的に結合することを可能とする分子的決定因子についての理解がもたらされた。更にまた、2つのファージに由来する抗IL−34モノクローナル抗体のFab断片と複合したIL−34の共結晶構造により、それらのそれぞれの非遮断活性及び中和活性の構造的根拠ももたらされたが、これにより、治療剤開発への新たな洞察も与えられる。
【0269】
ヒトIL−34の活性コアの構造
成熟全長ヒトIL−34は、222アミノ酸を含むが、その最後の約50残基は、Jpred 3(Coleら、Nucleic acids research、36:W197〜201(2008))及びPsiPRED(McGuffinら、Bioinformatics、16:404〜405(2000))で弁別可能な微細な二次構造により大きく攪乱されることが予測されている。なお更に、最初の202又は182残基を含有するIL−34の構築物は、TF−1−fms細胞成長の活性化において、全長タンパク質と識別不可能であるのに対し、最初の162残基だけを包摂する構築物は、活性の著明な減弱を示した(Chiharaら、Cell death and differentiaton、17:1917〜1927(2010))。加えて、ヒトIL−34では、7つのシステイン残基(35、168、177、179、180、191、及び199)が見出されるが、それらのうちの6つ(C199以外の全て)は、種を越えた保存が良好である(図1A図7)。したがって、成熟ポリペプチドの残基N21〜V193を含む切断型IL−34構築物であって、本明細書でhIL−34sと称する構築物を、後続の研究のために選び出した。別段に言及しない限り、hIL−34sは、C末端のFlagタグへと融合させ、昆虫細胞内で組換えにより発現させ、方法において記載されている通りに精製し、後続の全ての研究で用いた。hIL−34sは、CSF−1と同程度に活性であり、ヒト単球の生存能力を促進するその能力において、組換え全長IL−34よりわずかに活性が大きかった(図1B)。ヒトIL−34遺伝子は、認識可能な膜会合領域を含有しないが、マウスオルソログは、代替的なRNAスプライシング及びタンパク質分解によるプロセシングの結果として、天然で、GPIでアンカーされ、可溶性のアイソフォームとして存在する(図1A)。
【0270】
ヒトIL−34の活性コアドメインの構造は、分子置換により、その非遮断抗体であるYW405.3 Fab断片との複合体から、2.6Åの分解能で決定し(表6)、単一のhIL−34s結晶から収集された分解能1.85Åのデータセットを用いて精密化した(表2)。驚くべきことではないが、構造解析は、IL−34が、αA、αB、αC、及びαDからなる、顕著に異なるアンチパラレルの4へリックスバンドルによるサイトカインフォールドを有する(Sprangら、Curr Opin Struc Biol、3:815〜827(1993))が、構造は、このコア部分の外部でも、多数の注目すべき特色を含有することを示した(図1C)。交差するβ−ストランド1及び2は、CSF−1と比較して、はるかに短縮され、3つの短いへリックス(α1、α2、及びα3)で部分的に置換されている(Chenら、Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America、105:18267〜18272(2008);Panditら、Science、258:1358〜1362(1992))(図1D)。更にまた、各プロトマーの極において、二量体界面から離れて位置する2つの分子内ジスルフィド対は、類縁の二量体の「短鎖」へリックス型サイトカインであるCSF−1、SCF、及びFlt3Lの構造において見出されるジスルフィド結合と構造的類似性を共有しない(Jiangら、The EMBO Journal、19:3192〜3203(2000);Savvidesら、Nature structural biology、7:486〜491(2000);Zhangら、Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America、97:7732〜7737(2000))。一方のジスルフィド結合(C35とC180との間のジスルフィド結合)は、へリックスαAとαDとを接合するのに対し、他方のジスルフィド結合(C177とC191との間のジスルフィド結合)は、αDを、C末端のへリックスα4へと接合する。結果として、α4を含めたC末端テールは、CSF−1のC末端テールと比較して反転され、αA及びαDの表面へとパッキングされる。他の2つのシステインであるC168及びC179は、対合されないままとどまり、結果として、IL−34の適正なフォールディングには不可欠とならない。全体として、PDBeFOLDによる構造重ね合わせを介して判定される通り(Krissinelら、Acta crystallographica Section D、Biological crystallography、60:2256〜2268(2004))、IL−34は、構造的にはSCFと最も類似する(二乗平均平方根偏差(rmsd:2.6Å)が、機能的に類縁であるCSF−1との相違は大きい(rmsd:3.2Å)ことが示された。
【0271】
この構造解析の結果はまた、非対称ユニット内のIL−34の2つのプロトマーが、CSF−1、SCF、及びFlt3Lについて見られるものと類似する形で、非共有結合的二量体へと更にアセンブルされることも示した。IL−34二量体を形成するとき、各サブユニットは、一方の単量体に由来するαA〜β1ループ及びαB〜αCループが、他方の単量体の相反的なセグメントとかみ合って、656Åにわたり包埋される。一方のプロトマーのH56、Y57、F58、P59、及びY62の側鎖を、近傍の単量体に由来する残基P114’、H113’、L110’、L109’、V108’、Y62’、P59’、及びF58’に対してパッキングすることにより、P58/P58’を中心として、コンパクトで比較的フラットな疎水性のパッチが形成される。これらの相互作用は、包埋表面積が、それぞれ、1690Å及び1640Åを占める、類縁のSCF及びFlt3Lの非共有結合的二量体と比較して小さい(1310Å)にもかかわらず、必須のIL−34二量体の形成をもたらしうる。IL−34二量体の界面における残基は、他の種に由来するオルソログの間で高度に保存されている(図7)。同じ「ヘッドトゥーヘッドの」二量体配置はまた、本明細書で論じられる3つのIL−34複合体の構造においても存在したので、hIL−34sの結晶において観察されるIL−34の二量体としての組織化は、溶液中のタンパク質の組織化を表す可能性が高い。成熟IL−34内のN76に位置する、1つの予測されるN結合型グリコシル化部位を、結晶化させた構築物に組み入れ、側鎖へと接合された(GlcNAc)2Manの電子密度を観察した。結果が、炭水化物の配向は、IL−34内に保存される3つの残基であるE69、R79、及びK157により媒介される極性相互作用と併せた、Y68の芳香環と第2のGlcNAc残基の疎水性面との間のスタッキング相互作用により固定されることを示したことから、この糖部分は、IL−34構造の不可欠の一部であることが示唆される。齧歯動物IL−34でも、類似のグリコシル化部位が保存されているが、これはまた、hIL−34sの構造では溶媒に接触可能な、ヒトS100と同等の位置において予測される、さらなるN結合型グリコシル化部位も含有する。
【0272】
IL−34/CSF−1R複合体の生物物理的特徴付け
溶液中のhIL−34sのオリゴマー状態をプローブするため、解析用サイズ除外クロマトグラフィーを用いた(図2A)。hIL−34s単量体の理論的分子量は、22kDaであるが、タンパク質は、44kDaの基準物質より早く溶出したことから、hIL−34sは、溶液中で二量体を形成し、これは、hIL−34sの結晶において観察される2倍の非結晶学的対称性二量体構造と符合することが示される。IL−34リガンド/受容体複合体の分子サイズを評価するために、受容体の免疫グロブリンドメインD1〜D5(hCSF−1R D1〜D5)を含め、細胞外ドメイン(ECD)のほぼ全体を含有する構築物を、IL−34と共に、1:1のプロトマーモル比で混合し、同じ技法で解析した。この複合体の見かけのサイズは、2:2の複合体について計算されるサイズと符合した(図2A)。同様に、複合体の形成に必要な最小の受容体構築物の範囲を狭めるために、hIL−34sの、最初の3つの免疫グロブリンドメインだけを含有する受容体構築物(hCSF−1R D1〜D3)との混合物を、サイズ除外解析にかけたところ、見かけのサイズが158kDaより大きいことが明らかとなり、これは、2:2複合体と符合する(図2A)。
【0273】
IL−34のCSF−1Rへの結合の化学量論比及びエネルギー論値を正確に決定し、それらをCSF−1の結合と比較するため、等温滴定熱量測定(ITC)により、結合についての熱力学パラメータを評価した(図2B、D)。CSF−1R受容体を、IL−34サイトカインへと滴定したところ、受容体の全長形態及び切断型形態であるCSF−1R D1〜D5及びCSF−1R D1〜D3のいずれも、等モル量のIL−34単量体で飽和することが確認された。これは、解析用サイズ除外クロマトグラフィーにより決定された見かけのサイズと共に、複合体について、溶液中における2:2のサイトカイン/受容体の化学量論比を強力に裏付けた(図2D)。高アフィニティーのIL−34/CSF−1R D1〜D5間相互作用は、解離定数を高い精度で決定することを不可能とする急勾配の滴定経過をもたらしたので(図2B−1パネル)、CSF−1R D1〜D5を、IL−34の、CSF−1R D1〜D3との混合物へと滴定することにより、置換ITCを実行した(図2B−3パネル)。本明細書で決定された結合等温線は、IL−34のその受容体への結合が、主にエンタルピー項により駆動されることを示した。IL−34の、CSF−1R D1〜D3及びCSF−1R D1〜D5の両方への結合の発熱的性格は、IL−34/CSF−1R複合体の形成が、鍵となる極性相互作用を伴う可能性が高いことを示した。膜近位ドメインであるCSF−1R D4〜D5を組み入れることにより、アフィニティー(D1〜D5及びD1〜D3のそれぞれについて、1.6及び94nMのK)の大きな増大がもたらされ、これは、エントロピー的にはわずかに不適であるが、エンタルピー的には著明により好適である。これらの結果は、高アフィニティーのリガンド結合をもたらすには、hCSF−1R D1〜D3で十分であるが、CSF−1R D4〜D5は、サイトカイン/受容体によるシグナル伝達複合体の全体が形成されると、KIT受容体二量体の完全細胞外ドメインに結合したSCFの複合体構造において見られる(Yuzawaら、Cell、130:323〜334(2007))通り、さらなる同型の受容体相互作用部位を含有する可能性が高いことを示唆した。驚くべきことに、よりよく特徴付けられたリガンドCSF−1は、hCSF−1R D1〜D3及びCSF−1R D1〜D5のそれぞれへの結合について、IL−34と比較して、9.5分の1及び13分の1のアフィニティーを呈示した(図2C、D)。IL−34と比較して、結果は、CSF−1複合体が、好適なエンタルピー及び好適なエントロピーの両方により駆動されることを示した。IL−34と同様にまた、ヒトCSF−1についての滴定も、受容体の何れの形態についても、2:2のリガンド/受容体化学量論比を示唆した。初期の報告(Guilbertら、The Journal of biological chemistry、261:4024〜4032(1986))と符合するが、これは、ヒトCSF−1とマウスCSF−1との間で鍵となる差違を表す。D4及びD5の非存在下で、マウスCSF−1は、マウスCSF−1Rとの、2:1の部分的な複合体を形成し、マウスCSF−1上の受容体の結合表面の半分を、占有されないまま溶液中に放置することが報告された(Chenら、Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America、105:18267〜18272(2008))。
【0274】
この系におけるサイトカイン/受容体結合の反応速度を更に理解するには、Bio−Layer干渉(BLI)法を用いて、受容体の希釈系列により会合速度及び解離速度を測定するために、ビオチン化したIL−34又はCSF−1を、ストレプトアビジンでコーティングしたバイオセンサーチップ上に固定化した。また、この直交的方法から得られる結果によっても、3.8倍のkonが、わずかに遅いkoffとカップリングされていることに主に起因して、IL−34(kon=2.9×10−1−1、koff=3.5×10−2−1、K=120nM)が、CSF−1Rに、CSF−1(kon=7.7×10−1M−、koff=5.4×10−2−1、K=720nM)より緊密に結合することが確認される。
【0275】
IL−34/CSF−1R D1〜D3複合体の構造
hCSF−1R D1〜D3に結合したhIL−34sの、3.0Åの分解能による構造を、hIL−34s及びマウスCSF−1Rの構造を検索プローブとして用いる分子置換(Chenら、Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America、105:18267〜18272(2008))により解明した(表2)。本研究において試みられる全ての生物物理的方法は、hCSF−1R D1〜D3が、溶液中のhIL−34sとの2:2複合体を形成することを示したが、結晶構造は、1つのCSF−1R D1〜D3が、非対称ユニット内の1つのhIL−34sホモ二量体に結合することを明快に明らかにした。構造解析は、隣接するプロトマー上の類似の受容体結合部位が、結晶のパッキングに関与し、この結晶構造形態において予測される2:2複合体の形成を妨げることを示唆した。しかし、この構造は、IL−34/受容体間界面を申し分なく明らかにした。これは、IL−34が、CSF−1RのD2及びD3により形成される凹面に、CSF−1R受容体に結合したときのCSF−1により用いられる立体配置に相似する立体配置で結合することを示した。CSF−1サイトカイン/受容体複合体において見られたのと類似する2部位結合方式が、IL−34/CSF−1R間界面においてもまた保存されている。これらの結果は、部位1が、IL−34と受容体のIgドメインD2との間の相互作用を伴い、部位2が、IL−34と受容体ドメインD3との間の相互作用を伴うことを示した。各部位はそれぞれ、1280Å及び1160Åの総包埋表面積をもたらす。D2とD3との間のリンカーは、構造内で完全に秩序付けられているが、IL−34との相互作用を免れることから、IL−34/CSF−1R間界面を、2つの空間的に分離された部位へと有効に分解する。
【0276】
IL−34リガンド/受容体結合部位1
構造解析は、部位1が、CDループ及びEFループ(それぞれ、残基142〜150及び169〜173)を含む受容体D2ドメイン残基により主に形成され、これが、IL−34のへリックスαB(残基100〜108)、αC(116〜134)、介在ループ(残基109)、及びα3(残基150)(図3A)によりもたらされる、起伏の大きな表面へとドッキングすることを明らかにした。この領域内のIL−34の負に帯電した表面と、CSF−1R上の正に帯電した表面との間の相補的静電相互作用が、この部位におけるIL−34への結合を媒介するのに重要であると考えられた。特に、CSF−1Rの塩基性のアミノ酸R142、R146と、IL−34上の酸性アミノ酸E103との間では、中央に位置する塩架橋が形成される。CSF−1RのCDループの縁辺部におけるR144及びR150は、N150の側鎖酸素並びにQ106及びL109それぞれの骨格カルボニル酸素との水素結合相互作用に関与する。IL−34内のL127の脂肪族側鎖により形成される小さな疎水性のパッチは、CSF−1RのF169とI170との間にぴったりと適合する。表3で詳細に示す通り、この部位では、極性相互作用が優越すると考えられる一方で、多数の分子間ファンデルワールス接触もまた、界面を裏打ちしている。
【0277】
IL−34リガンド/受容体結合部位2
結果は、わずかに小型の部位2が、BCループ及びDEループに由来する受容体D3の残基(それぞれ、残基231及び254)及びストランドD(残基248〜252)により主に形成され、IL−34のへリックスαA、αC、及びα4(それぞれ、残基36〜44、121〜128、184〜187)の部分により創成される表面に対してパッキングされることを更に示した(図3C)。この界面は、IL−34の残基F40及びL125、並びにCSF−1Rの残基V231、Y257、及びF252により形成される疎水性帯域で隔てられた、2つの極性相互作用領域へと更に分けることができる。第1の領域は、CSF−1R D3 Dストランドの先頭部分と、IL−34のα4との間の、骨格と側鎖とを組み合わせた水素結合相互作用により形成される。IL−34のN187の側鎖アミドの水素及び酸素は、受容体との最大3つの水素結合であって、CSF−1Rの、Q249の側鎖アミド、並びに骨格のS248の窒素及びカルボニル酸素を伴う水素結合に関与する。加えて、CSF−1RのQ248と、IL−34のS184及びL186との間では、2つの骨格間水素結合も形成される。IL−34内のα4領域を構成する残基の欠失は、タンパク質発現レベルの大幅な低減、及びTF−1−fms細胞の増殖を刺激する能力に関する活性の著明な低下を結果としてもたらす(Chiharaら、Cell death and differentiaton、17:1917〜1927(2010))。本研究で報告される結果により、α4に包摂される残基は、IL−34の活性コアドメインの不可欠の一部であり、したがって、その活性に重要であることが確認された。部位2内の第2の極性領域は、側鎖により媒介される3つの水素結合であって、IL−34のN128、K44、及びE121の末端側鎖原子と、CSF−1Rの、Y257のヒドロキシル基、F252のカルボニル酸素、及びN254の骨格アミドとの間の水素結合を包摂する。ファンデルワールス接触により媒介されるさらなる相互作用を、表3に列挙する。
【0278】
mAbである、YW404.33.56によるIL−34アンタゴニズムの構造的基礎
IL−34及びCSF−1の個別の機能を腑分けし、IL−34シグナル伝達の遮断からの治療的利益を探索するために、ファージディスプレイ技術を用いて、ヒトIL−34及びマウスIL−34の両方を特異的にアンタゴナイズする抗体を創成し、ヒト患者及び齧歯動物モデルの両方におけるIL−34機能の精査を可能とした。YW404.33は、Vファージディスプレイライブラリー及びV/Vファージディスプレイライブラリーをスクリーニングすることにより同定し、ヒトIL−34に対するその高度な結合アフィニティー(K=17nM、表4)及びその遮断活性に基づき、96のクローンによるパネルから選択した。その後、方法において記載されているソフトランダム化戦略を用いて、YW404.33をアフィニティー成熟させた。YW404.33.56は、BLI実験により測定される通り、親クローンと比較して、結合アフィニティーの140倍の改善(K=120pM)を示す。生存率アッセイ(図4A)及びヒト単球増殖アッセイ(図8)では、IL−34の生物学的活性が、この抗体により、受容体のFc融合体による場合と同様に完全に遮断されたが、抗CSF−1抗体によって完全に遮断されることはなかった。
【0279】
YW404.33.56 mAbがIL−34の生物学的活性を遮断する機構をよりよく理解するために、YW404.33.56のFab断片と複合したhIL−34sの構造を、3.0Åの分解能で解明した(表2)。結晶は、非対称ユニット内の2つのYW404.33.56 Fabに結合した1つのhIL−34s二量体を含有した。構造解析により、各YW404.33.56 Fabが、2つのIL−34プロトマーの接合部において、大部分連続的な帯域を認識することが示されたことは興味深い。IL−34二量体の側では、界面の大部分(786Å又は79%)が、一方のプロトマーに由来するヘリックスαB、αC、及びそれらの介在ループの寄与を受けているのに対し、他方のIL−34プロトマーαB−β1ループによる寄与の割合は小さい(215Å又は21%)(図4B)。YW404.33.56 Fabの側では、相互作用の大部分は、重鎖CDR−H1(55Å)、重鎖CDR−H2(267Å)、及び重鎖CDR−H3(316Å)により媒介されており、軽鎖CDRからの寄与(303Å)は小さい。4つの塩架橋(R50YW404.33.56−E111IL−34、R100bYW404.33.56−E111IL−34、R100bYW404.33.56−D107IL−34、及びK100aYW404.33.56−E103IL−34)は、IL−34のαBとαCとの間の溝に沿った「静電ジッパー」を形成する。IL−34とYW404.33.56 Fabとの間のこの強力な静電相補性は、上記で記載したIL−34/CSF−1R複合体内の部位1の電荷間相互作用を想起させる。加えて、W33YW404.33.56、Y54YW404.33.56、K98YW404.33.56、及びS100YW404.33.56は、それぞれ、D107IL−34、D107IL−34、S104IL−34、及びQ120IL−34との側鎖特異的な水素結合を形成する。加えて、表5に詳細に示す通り、他のYW404.33.56の骨格カルボニル基も、水素結合及び他の幾つかのファンデルワールス相互作用を媒介する。IL−34のグリコシル化されたN76の炭水化物鎖は、相互作用界面から離れて伸長し、YW404.33.56 Fabと直接的には接触しない。予測外なことに、この抗体/抗原系では、界面にわたる疎水性のパッキングであって、高アフィニティーのタンパク質間相互作用を媒介することが多いパッキングが存在しない。FabパラトープとIL−34エピトープとの間の形状相補性は0.61であったが、これは、他の抗体/抗原複合体についての平均値(0.64〜0.68)よりわずかに小さい(Lawrenceら、Journal of molecular biology、234:946〜950(1993))ことから、理論的に述べるならば、YW404.33.56 mAbのパラトープを、更に最適化して、IL−34へのより緊密な結合のためのより高度な形状相補性及び化学的相補性を達成しうることが示唆される。
【0280】
IL−34/YW404.33.56複合体内のIL−34分子と、IL−34/CSF−1R複合体内のIL−34分子とを重ね合わせることにより、Fabの重鎖及び軽鎖のいずれも、CSF−1Rと衝突していることが示された。これらの結果は、YW404.33.56が、部位1におけるCSF−1R D2結合の一因となる結合エピトープと大きく重複し、一方のIL−34プロトマーに由来するヘリックスαB及びαCに由来する残基を包含するエピトープに結合することを示した。IL−34/CSF−1R間結合部位1におけるIL−34に由来する11残基中の6残基、又は溶媒に接触可能な包埋表面積600Å中の220Åは、IL−34/Fab複合体内のYW404.33.56との相互作用により占有されている。したがって、YW404.33.56のIL−34への結合は、受容体CSF−1Rとの会合に対して直接競合することになり、これは、IL−34シグナル伝達のYW404.33.56による阻害の分子機構を説明する。
【0281】
考察
受容体への結合時におけるIL−34内のコンフォメーショナル変化
本研究では、IL−34の最初の三次元構造であって、それ自体において解明された三次元構造、及びその受容体であるCSF−1Rとの複合において解明された三次元構造の両方が報告される。その非結合形態におけるIL−34のプロトマー構造と、CSF−1Rとの結合形態におけるIL−34のプロトマー構造とを比較することにより、その受容体へと結合しても、サイトカインの構造は、ほとんど変化しないことが明らかとなった。受容体界面の残基により採用される、側鎖の回転異性体のコンフォメーションさえも、驚くべきことに、遊離状態と結合状態との間でわずかな差違しか示さなかったことから、結合していないIL−34プロトマーも、受容体への結合と高度に適合性であり、結合の寸前にあることが示される。本明細書で提示される4つの構造の比較に基づく、IL−34プロトマー構造の見かけの剛直性は、近年決定されたFlt3L構造と符合した(Verstraeteら、Blood、118:60〜68(2011))が、受容体の結合を受け入れるには、著明な局所的構造変化を受けなければならない、塑性の大きなCSF−1(Chenら、Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America、105:18267〜18272(2008))又はSCF(Liuら、The EMBO Journal、26:891〜901(2007);Yuzawaら、Cell、130:323〜334(2007))の構造とは全く異なる。にもかかわらず、複合体の形成時の二量体界面近傍では、一方のIL−34プロトマーの配向の、他方のプロトマーと比べた著明な変化が観察された。αCの傾斜角により記載すると、受容体の結合又はYW404.33.56の結合は、IL−34プロトマー間の角度の、それぞれ、6.6°又は4.6°の増大を誘導した。以前に、同様のヒンジ様剛体の運動が、CSF−1/CSF−1R系、SCF/Kit系、及びFlt3L/Flt3系において報告された。予測外なことに、別の抗体であるYW405.3も、同様の回転を誘発したが、反対方向の回転であった結果、傾斜角の6.4°の減少がもたらされた。このような高度の塑性は、他の二量体の4へリックスバンドルのサイトカインでは前例を見ず、小型で極めて疎水性のIL−34二量体化界面に帰せられる可能性が高い。
【0282】
CSF−1RによるIL−34及びCSF−1の二重の認識
IL−34とCSF−1とは、一次配列のレベルではほとんど類似しないが、それらは実際、類似する4へリックスバンドルによるコアフォールド、類縁の二量体化、及び受容体への結合界面を採用しており、差違は、コア外のループ及び構造的装飾に割り当てられる(へリックス型サイトカイン構造の比較においてしばしばみられる知見である)ことが見出された(Bazan、Neuron、7:197〜208(1991b);Hillら、Journal of molecular biology、322:205〜233(2002);Rozwarskiら、Structure、2:159〜173(1994))。実際、へリックス型サイトカインの祖型に取りつく遺残物(三次元フォールド関係を別とすれば)は、それらのそれぞれの遺伝子のエクソン/イントロン構造における類似性であり(Bazan、Cell、65:9〜10(1991a);Bettsら、The EMBO Journal、20:5354〜5360(2001))、この点で、IL−34遺伝子の構造は、CSF−1遺伝子、SCF遺伝子、及びFlt3L遺伝子と相同である。
【0283】
IL−34及びCSF−1のいずれも、CSF−1R受容体に高アフィニティーで結合し、同一ではないにせよ、同様の生物学的活性を誘導した(Chiharaら、Cell death and differentiaton、17:1917〜1927(2010);Linら、Science、320:807〜811(2008))。この目覚ましい現象が、これらの構造的に類似するが、進化的には相違するリガンドによる受容体の共有を統御する分子機構を決定するために、ヒトIL−34/CSF−1R複合体構造を、マウスCSF−1/CSF−1R複合体構造と直接的に比較することにつながっている。この解析は、CSF−1Rが、その両方のサイトカインとの相互作用に共通の「二重界面モード」を使用することを示した。IL−34とCSF−1Rとの間の界面における、溶媒に接触可能な総包埋表面積は、約2400Åであり、CSF−1/CSF−1R間界面内に包埋される1700Åより著明に大きい。IL−34と相互作用するCSF−1Rの領域と、CSF−1と相互作用するCSF−1Rの領域とは、大きく重複するが、同一ではないことが注目に値する。何れのサイトカインによるシグナル伝達も遮断した抗CSF−1R mAbのクローンである12−2D6(Chiharaら、Cell death and differentiaton、17:1917〜1927(2010))が、CSF−1R受容体の最初の3つのドメイン内の残基1〜308におけるエピトープを認識することは、この結果と符合する。12−2D6は、IL−34/CSF−1間結合部位と重複する受容体上の部位への結合により機能し、したがって、受容体によるシグナル伝達を、リガンドにかかわらず無効にする可能性が極めて高い。これに対し、mAbのクローンである2−4A5は、残基349〜512に存在するエピトープを認識することにより、CSF−1のTF−1−fms細胞への結合は遮断したが、IL−34のTF−1−fms細胞への結合は遮断しなかった(Chiharaら、Cell death and differentiaton、17:1917〜1927(2010))。このエピトープが、何れのサイトカインのリガンド結合部位からも隔たっていることを考慮すると、CSF−1をIL−34から識別する2−4A5の能力は、依然として不可解である。にもかかわらず、この抗体/CSF−1R複合体の特殊な形状により、立体障害が創出され、これが、CSF−1の結合だけに影響を及ぼす可能性はあろう。
【0284】
さらなる解析は、CSF−1Rによる2つのシグナル伝達複合体の間の、相互作用の数及び種類の両方における実質的な差違を明らかにした。ヒトCSF−1R及びマウスCSF−1Rの配列は、D1〜D3内のギャップを伴わずに、70%を超えて同一であり、したがって、ヒトIL−34複合体内のCSF−1Rの、マウスCSF−1複合体のCSF−1Rとの直接的な構造比較を可能とする(Chenら、Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America、105:18267〜18272(2008))。部位1の界面は、多数の共通の特色を共有する。CSF−1RのCDループと、両方のサイトカインのへリックスαBとの間の極性相互作用の大半は、受容体上の塩基性残基の同じ群(R142、R146、及びR150)により媒介されるが、これにより、この領域における電荷相補性の共有が決定される(図3A、B)。CSF−1R上のこれらの3つの残基が、不変のまま維持される一方で、他の共通界面の接触部は、他の真核生物種におけるCSF−1Rオルソログの間で大きく相違することは興味深い。ヘリックスαBの第2のターンの中央に位置する酸性残基(IL−34内のE103及びCSF−1内のD59)は、両方の構造内の塩架橋に関与する。CSF−1RのEFループと、CSF−1内のN85との間の水素結合相互作用の代わりに、近傍のIL−34/CSF−1R複合体内の疎水性パッチが用いられる。最も際立った差違は、CSF−1RのCDループ及びEFループのエッジにある。IL−34/CSF−1Rには、K151CSF−1R、K168CSF−1R、及びE78CSF−1の間の2つの接合ループの下方のエッジに位置する塩架橋が存在しない。代わりに、N150IL−34とR144CSF−1Rとを架橋する固有の水素結合が、IL−34を、CDループの上方のエッジと近接させる。部位2の界面の間の差違は、なおいっそう著しい。この場合は、CSF−1RのCDループ、Dストランド、及びDEループと、IL−34内のへリックスαA、αC、及びα4との間の広範にわたる水素結合ネットワークが、部位2における界面のコアを形成する。しかし、CSF−1/CSF−1R複合体では、このような相互作用が全く存在しない結果として、部位2の界面ははるかに小さくなる。しかし、受容体上のV231を伴う疎水性相互作用は、何れの複合体でも観察される。
【0285】
CSF−1サイトカイン/受容体複合体と対比したIL−34サイトカイン/受容体複合体における、CSF−1R受容体D2〜D3ドメインの配向の大きな再構成
受容体ドメインD1及びD2の配向は、何れのサイトカイン/受容体複合体でも保存されているが、2つの複合体を比較すると、受容体ドメインD3の配向は、D1〜D2と比べて、著明な27°の変化を示した。IL−34が係合すると、CSF−1RのD2とD3との間で回転が誘発され、CSF−1への結合形態の、ねじれた立体配置とは著明に異なる、細長い、ほとんど直鎖状の構成がもたらされた。このCSF−1Rの全体的再配向は、少なくとも部分的に、顕著に異なるIL−34の分子表面であって、本研究で報告される構造において観察される新たな配向を誘導せずにCSF−1Rと立体的に衝突する分子表面に帰することができよう。受容体接触残基を、両方のサイトカインの二次構造上にマッピングすると、何れの相互作用部位も、IL−34上では、CSF−1におけるより大きく散開することが明確に示された(図5A、B)。これは、4へリックスバンドルコア、すなわち、α3及びα4の外部で顕著に異なる構造的特色に主に起因する。よって、IL−34上では、よりフラットな界面が創出され、受容体の拡張型のコンフォメーションが要請されるのに対し、CSF−1は、それらのより「屈曲した」配向から創出される、CSF−1R D2とCSF−1R D3との間のくぼみへと突き出ている。CSF−1/受容体複合体でも、近接するドメインであるD2とD3との間の界面は最小限であるが、IL−34/受容体複合体では、CSF−1/受容体複合体内のD3 E230とD2 K194との間の唯一の塩架橋が破断することから、D2及びD3は、IL−34と結合すると、より拡張型の、ほとんど直鎖状の配置を採用することが可能となる。受容体D2〜D3のヒンジ配列である196NKVIPGP202が、2つの回転軸点としてのK197及びG201を用いて完全に再構成される一方で、N196で終わるD1〜D2及びP202で始まるD3は、構造的攪乱を最小限としてそのまま残される。したがって、D2ドメインとD3ドメインとの間の屈曲部の実質的な柔軟性により、CSF−1R分子は、IL−34及びCSF−1によりもたらされる、顕著に異なる結合表面へと適合することが可能となる(図5A、B)。これに対し、D4及びD5が再編成され、2つのSCFに結合したKIT分子の間の受容体間相互作用を媒介する、KIT受容体のD1〜D2〜D3領域は、SCFと結合すると、剛体として挙動すると考えられた(Yuzawaら、Cell、130:323〜334(2007))。Kitには、ドメインD2〜D3間に、CSF−1Rには存在しない著明な疎水性の界面が存在する。ドメイン間の柔軟性は、複数のウイルスタンパク質が、侵入のために同じ宿主細胞受容体を使用するときの適合機構として用いられている。2つの構造的に非類縁のタンパク質である麻疹ウイルスのヘマグルチニンと11/21型アデノウイルスのノブとは、CD46の最初の2つのSCRドメインを共有し、その間のリンカーは、構造的な塑性が大きい(Cupelliら、Journal of virology、84:3189〜3200(2010);Perssonら、Nature structural & molecular biology、14:164〜166(2007);Santiagoら、Nature structural & molecular biology、17:124〜129(2010))。なお更に、受容体のドメイン配向の攪乱は、合成のアゴニストペプチド及びアンタゴニストペプチドと複合したエリスロポエチン受容体(EPOR)における14°の回転により顕示される、顕著な機能的帰結をもたらしうる(Livnahら、Nature structural biology、5:993〜1004(1998))。IL−34は、CSF−1Rの、強力であるがより一過性の活性化を誘導し、CSF−1Rレベルを、CSF−1と比較して、より迅速に下方調節することが報告された(Chiharaら、Cell death and differentiaton、17:1917〜1927(2010))。このCSF−1R受容体ドメインの再配向によれば、おそらく、これらの2つのサイトカインに対する異なるアフィニティーと組み合わせて、そのシグナル伝達効力が調節されうるであろう。
【0286】
サイトカイン/CSF−1Rシグナル伝達複合体内で間隔が等しいCSF−1R D3〜D4間接合部は、D4、D5を縮重シグナル伝達に向けてプライミングする
受容体により媒介される同型の相互作用であって、III型RTKの活性化における不可欠の役割を果たす相互作用が提起されている。このような相互作用は、KIT D4(Yuzawaら、Cell、130:323〜334(2007))及びVEGFR2 D7(Yangら、Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America、107:1906〜1911(2010))の場合には構造的に捕捉されているか、又はPDGFRβ(Shimら、Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America、107:11307〜11312(2010))の場合には生化学的に特徴付けられている。これらの相互作用の本質は、2つの受容体KITのD4ドメイン(VEGFR内のD7又はPDGFR内のD4)の間のEFループ内の相反的塩架橋の対である。CSF−1R D4内で保存されるこのイオン性対により中断される、CSF−1RとKITとの間の比較的高度な配列同一性に起因して、おそらく、類似する受容体による同型の相互作用もまた、膜を越えてリガンド結合シグナルを中継するときに、CSF−1Rの二量体化を駆動する。本明細書で記載される生物物理的解析により、溶液中のIL−34/CSF−1R複合体の2:2の化学量論比が示されることを踏まえるなら、結晶構造において観察される2:1のIL−34/CSF−1R複合体は、結晶パッキング力の影響を受けた可能性が極めて高い。したがって、2つのIL−34プロトマーの間の2回対称性を、CSF−1Rへと適用することにより、予測される完全な2:2のリガンド/受容体シグナル伝達複合体をモデル化した。存在しないCSF−1Rのコピーを、IL−34二量体上の非占有部位へと付加すると、この2:2のIL−34/CSF−1Rモデルにおける、CSF−1R D3の2つのC末端の間の距離(60Å)は、2:2のCSF−1/CSF−1Rモデルにおける距離(62Å)、及び2:2のSCF/Kit構造における距離(64Å)と極めて類似する(図6)。まとめると、CSF−1R D2〜D3間のヒンジは、2つのサイトカインの顕著に異なる表面トポグラフィーに適合させるために、全く異なるコンフォメーションを採用しうるが、にもかかわらず、D2〜D3の再配向は、2つのサイトカイン/受容体シグナル伝達複合体内で間隔が等しいD3〜D4接合部を結果としてもたらし、CSF−1 D4を、下流において縮重応答を誘発する同型の相互作用のための収束点として提示する。
【0287】
CSF−1Rにおけるリガンド結合の無差別性は、共有の造血サイトカイン受容体とは顕著に異なる機構を使用する
多数の共有サイトカイン受容体については、それらの全ては、少なくとも2つの異なるリガンド結合状態において構造的に捕捉されているので、共通のガンマ鎖(γc)、gp130、及びインターフェロンα受容体(IFNAR1/2)など、サイトカイン結合の無差別性の分子機構が解読されている(Thomasら、Cell、146:621〜632(2011);Wangら、Annual review of immunology、27:29〜60(2009))。γc及びgp130の何れの細胞外ドメインも、III型フィブロネクチン(FNIII)の2つのIg様ドメインからなる1つのサイトカイン結合相同性領域(CHR)を含有する(Wangら、Annual review of immunology、27:29〜60(2009))。サイトカイン結合部位は、いずれにも共有されるクラスIのサイトカイン受容体内のドメイン内接合部に格納されているが、IL−2/γc四元複合体を、IL−4/γc三元複合体と比較して(LaPorteら、Cell、132:259〜272(2008);Wangら、Science、310:1159〜1163(2005))も、リガンド結合していないgp130を、3つのgp130ファミリーのサイトカイン複合体と比較しても、著明な屈曲部の運動が観察されることはなかった(Boulangerら、Molecular cell、12:577〜589(2003a);Boulangerら、Science、300:2101〜2104(2003b);Bravoら、The EMBO Journal、17:1665〜1674(1998);Chowら、Science、291:2150〜2155(2001))。異なるサイトカインへと結合したときの、γc内及びgp130内の界面残基の回転異性体状態であってもなお、依然として大きくは変化しない(Wangら、Annual review of immunology、27:29〜60(2009))。γc及びgp130は、共有される疎水性コア領域を周縁部の極性パッチにより取り囲んだ「化学的に不活性の相補性表面」を用いて、それぞれ、短鎖のサイトカイン及び長鎖のサイトカインを認識する(Boulangerら、Molecular cell、12:577〜589(2003a);Wangら、Annual review of immunology、27:29〜60(2009))。近年決定されたI型IFN受容体複合体は、パラログであるIFNα2及びIFNωが、IFNAR1の最初の3つのFNIIIドメイン(SD1〜SD3)と、よりコンパクトなIFNAR2の2つのFNIII様ドメイン(D1、D2)との間に挟み込まれていることを明らかにした(Thomasら、Cell、146:621〜632(2011))。興味深いことに、IFNに結合するとき、IFNAR1のN末端のSD1ドメインは、SD2〜SD3セグメントと比べて回転するが、ひとたびIFNに結合してしまうと、IFNAR1は、結合したサイトカインの識別にかかわらず、ほとんど同一なコンフォメーションを呈示する。IFNAR1及びIFNAR2のいずれも、交差反応性のために、I型IFNの残基表面上の少数の保存的な「アンカー点」に依拠する(Thomasら、Cell、146:621〜632(2011))。しかし、多数のそれほど保存的でないアミノ酸は、受容体に対するそれらの個別の結合アフィニティーを微調整するために、保存的なIFN結合表面群の一面に散在する。
【0288】
比較によれば、CSF−1Rの無差別性の構造的基礎は、前述した共有サイトカイン受容体とまったく異なる。CSF−1R上のコア及び周縁部の結合界面アーキテクチャーは、クラスIサイトカイン/受容体の認識パラダイムとある程度類似しているが、CSF−1Rは、γc及びgp130において観察される疎水性相互作用の代わりに、部位1内の極性相互作用を、そのコアとして主に用いる。CSF−1Rは、より大きな程度において、そのコンフォメーション塑性に明確に依拠して、他の共有サイトカイン受容体では見られない交差反応性、構造的適合を可能とする。これは、IL−34がCSF−1と共有する配列同一性は11%に過ぎず、予測のためのバイオインフォマティクスルーチンによる認識を免れている(より高感度のフォールド認識法(JFB;非公開)ならよりよく認識するが)ことを考慮すると、おそらく驚くべきことではない(Conklinら、Bioinformatics、21:1776〜1781(2005))。CSF−1Rは、進化において、ドメイン間の構造的塑性と、界面残基の組成変化との組合せにより、IL−34及びCSF−1に対する優れたアフィニティーを維持するように対処している。これは、非近縁のへリックス型サイトカインによる縮重認識の、他のサイトカイン系で証拠立てられている通り、唯一の機構ではないが、極めて有効な機構をもたらしている。
【0289】
実施例2:ヒト抗IL−34抗体の特徴付け
方法
競合ELISAによるエピトープマッピング
ELISAプレートを、PBS中の1H muIL−34flag(1ug/ml)により、4℃で一晩にわたり、又は室温で2時間にわたりコーティングし、1%のBSA及び0.15%のTween20を含むPBSを用いてブロッキングした。30ナノモルの濃度のビオチン化されたYW404.33抗体を、300ナノモルの濃度で始める被験抗IL−34抗体の7点の希釈系列へと添加した。抗体混合物を、短時間にわたり室温でプレインキュベートした。次いで、混合物を、コーティングされたELISAプレートへと添加し、室温で約30分間〜約1時間にわたりインキュベートした。プレートを洗浄し、結合したビオチン化抗体をSA−HRPで検出した。このアッセイでは、抗muIL−34及びHerceptinを、対照として用いた。
【0290】
結果
ヒト抗IL−34抗体は、ファージディスプレイ技術を用いて創成し、実施例1で記載した細胞ベースのアッセイにより、IL−34活性を中和するそれらの能力について調べた。抗IL−34抗体であるYW404.1、YW404.6、及びYW404.33の中和活性を、例えば、図9Aに示す。これらの抗体のヒトIL−34に対する特異性を、マウスIL−34に対する特異性と対比して比較したほか、それらの遮断活性、及び結合アフィニティーについても比較した(表7)。更にまた、これらの抗体を、競合ELISAによって調べ、それらが、IL−34上の重複エピトープに結合するのかどうかも決定した(表7)。
【0291】
次いで、幾つかのヒト抗IL−34抗体を、ソフトランダム化戦略を用いてアフィニティー成熟させ、それらのアフィニティーを、実施例1で記載した通りに測定した。アフィニティー成熟させた抗体を、実施例1で記載した細胞ベースの中和アッセイにより更に調べた。図9Bに示す通り、抗IL−34 Abである、YW404.33、YW404.33.12、及びYW404.33.56について、アフィニティーの改善は、細胞遮断活性とよりよく相関した。
【0292】
更にまた、単核細胞MNFS60上のIL−34の生物活性を中和する抗体の能力に基づき、IC50値も決定した。MNFS50上のflagタグづけされたmIL−34の生物活性を中和する抗体の能力を測定するには、CellTiter−Glo(登録商標)による細胞増殖アッセイを用いた。IL−34の希釈系列に対する細胞の応答に基づき、抗体の中和活性を決定するための、50ng/mlというIL−34量を選択した。50%阻害濃度(IC50)は、IL−34が、70〜80%の増殖応答を誘発する濃度で存在する場合に、細胞上のIL−34活性の50%阻害をもたらすのに要請される抗体濃度と定義される。
【0293】
50ng/mlのhIL−34を、抗IL34 mAbの希釈系列と混合してから、100ulの総容量で細胞へと添加した。抗体阻害活性は、37℃で72時間にわたりプレートをインキュベートした後で、RLUを測定することにより得た。IC50は、KaleidaGraphで計算した。例えば、抗IL−34 AbであるYW404.33.56、404.33、及びYW404.33.93のIC50値は、それぞれ、20.21ng/ml、77.42ng/ml、及び31.62ng/mlであった。
【0294】
これらの抗体のほか、YW404.1、YW404.6、YW405.3、YW404.33.10、YW404.33.12、及びYW404.33.11の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域並びにCDR領域の配列も、図10A及びBに示す。
【0295】
実施例3:抗CSF−1抗体と抗IL−34抗体との組合せを用いる、マウスにおけるDSS誘導性炎症性腸疾患の阻害
方法
処置の前に、Balb/cマウスの体重をあらかじめ測り、これらを無作為化し、以下の通りに処置した。群1(1群当たりのn=8)には、実験を通して、デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)を含まない通常の飲用水を施した。群2〜6には、実験の0日目〜6日目において、3%のDSS(3g/100ml(3%)のデキストラン硫酸ナトリウム)を含む飲用水を施した。6日後、群2〜6には、屠殺するまで、DSSを含まない通常の飲用水を施した。群2は、400ugの抗ブタクサ抗体(a−RW−mIgG2a)で、0日目の前日に始めて8日目までの隔日、陰性対照として処置した。群3は、0日目の前日に始めて8日目までの毎日、0.9%の塩化ナトリウム(CSA)中に25mg/kgのシクロスポリンAで、腹腔内処置した。群4は、0日目の前日に始めて8日目までの隔日、200ugの抗CSF−1抗体(ATCC受託番号:CRL−2702のラット抗体;クローン5A1)及び200ugのa−RW抗体で処置した。群5は、0日目の前日に始めて8日目までの隔日、200ugの抗IL−34抗体(YW 404.33.12)及び200ugのa−RW抗体で処置した。群6は、0日目の前日に始めて8日目までの隔日、200ugの抗CSF−1抗体(ATCC受託番号:CRL−2702のラット抗体;クローン5A1)及び200ugの抗IL−34抗体(YW 404.33.12)で処置した。全てのマウスは、8日目に屠殺し、それらの大腸炎重症度スコアは、陰窩喪失、並びにT細胞、B細胞、及びマクロファージを含めた炎症性細胞の浸潤などのパラメータに基づき決定した。
【0296】
結果
DSS誘導性IBDを伴うマウスであって、抗IL−34抗体又は抗CSF−1抗体で処置されたマウスは、対照のa−RW抗体で処置されたマウスと比較して、大腸炎重症度スコアの低減を示した。このIBDモデルでは、抗CSF−1抗体と抗IL−34抗体との組合せを用いるCSF−1及びIL−34の両方の阻害は、なおいっそう有効であった(図11)。
【0297】
IL−34及びCSF−1のIBDにおける関与は、対照(DSSなし)マウス、及びDSS誘導性IBDを伴うマウスであって、対照抗体(a−RW)で処置されたマウスにおけるIL−34及びCSF−1の血清レベルを測定することにより更に裏付けられた。CSF−1及びIL−34のレベルは、ELISAを用いて決定した。DSS誘導性IBDを伴うマウスであって、対照抗体で処置されたマウスは、IL−34レベル及びCSF−1レベルの、対照マウスと比較した上昇を示した(図12)。
【0298】
実施例4−ヒトRA患者におけるIL−34及びCSF−1
関節リウマチ患者に由来する血清、滑液、及び組織中のCSF−1タンパク質、IL−34タンパク質、及びTNFアルファタンパク質の発現を、図13に示す。これらの体液では、IL−34が、CSF−1及びTNFアルファより低レベルで発現する。RA患者に由来する滑膜組織の、抗IL34抗体によるIHC染色は、IL−34が、組織/細胞外マトリックス(ECM)中で濃縮されている可能性が高いことを示す。
【0299】
(A)TNF遮断に応答したRA患者(TNF−R)もしくはTNF遮断に応答しなかったRA患者(TNF−NR)、又は(B)TNF遮断による不奏効処置の後にリツキシマブで治療されたRA患者の関節中の骨髄亜型遺伝子の遺伝子発現を測定するマイクロアレイの結果を、図14に示す。リツキシマブ非応答患者を「リツキシマブNR」とし、リツキシマブ応答患者を「リツキシマブR」とする。抗TNF応答患者(TNF−R)では、骨髄亜型が濃縮される。結果はまた、原発性及び続発性のTNF−NR RA患者では、CSF1/IL34経路が関与していることも示す。TNF−NR及びリツキシマブNRでは、IL34及びCSF1の転写物が高レベルで存在するので、IL34/CSF1経路は、抗TNFa療法又はリツキシマブ療法に応答しない患者における病原性に著明に寄与している可能性が高い。これらの患者における両方のサイトカインの遮断は、臨床的利益のために要請される可能性が高い。
【0300】
実施例5−CIAモデルにおけるIL−34及びCSF−1の両方の阻害
抗CSF1抗体による治療の、抗IL34抗体による治療との組合せを、マウスCIAモデルにおいて、TNFRII−Fcに対して比較した(図15)。DBA−1Jマウスに、CFA中のウシII型コラーゲンを、0及び21日目にi.d.注射した。次いで、関節炎スコアを毎日モニタリングした。抗体による治療は、24日目又は31日目に開始し(確立された関節炎:臨床スコア=4)、終了まで7週間にわたって行った。抗体による治療は、a−ブタクサ(抗体のmIgG2aアイソタイプ:対照)、TNFRII−Ig(mIgG2a)、抗muCSF1(自家製;mIgG2a)、抗IL34(YW404.33.12;mIgG2a)、抗mCSF1+抗IL34(3及び4の組合せ)、抗mCSF1(DANA)+抗IL34(YW404.33.12 DANA)であり、全ての動物(1群当たりのn=10)は、動物1匹当たり200ugの上記の試薬で、毎週3回、終了まで7週間にわたり腹腔内処置した。エンドポイントPDには、縦断的臨床スコア、組織病理学(四肢及び類縁の組織)、FACS(組織単球サブセット及びMf)、及び骨容量(uCT)解析が含まれる。
【0301】
研究は、TNFRII−Fcに対して、抗CSF1抗体と抗IL−34抗体との組合せによる、とりわけ、ADCC活性を低減した(すなわち、DANA突然変異は、Fc領域におけるD265A、N297Aである)抗体による、臨床スコア及び組織学スコア(炎症、線維増殖、軟骨)の同等であるか又は改善傾向の阻害を示す。更にまた、aCSF1+aIL34の組合せによる治療は、TNFRII−Fcと比較して、骨糜爛に対する保護において明確に優れており、更にまた、抗CSF1と抗IL−34抗体との組合せによる治療は、何れかの治療単独より優れてもいる。
【0302】
実施例6−さらなるIBDモデルにおけるIL−34及びCSF−1の両方の阻害
IBDについての別のモデルでは、6〜8週齢の雌C57BL/6Jマウスにおいて、DSS誘導性大腸炎を誘導した(図16)。C57B6マウスに、3%のDSSを、5日間にわたり経口投与して、上皮の損傷、可逆性の体重の減少、及び大腸における好中球浸潤を特徴とする急性大腸炎を誘導した。抗体による治療は、−1日目に開始し、のべ4回の投与を伴った。研究は、解析のために8日目に終了させた。治療群(1群当たりのn=10):3%のDSS+a−ブタクサ(mIgG2a対照、マウス1匹当たり400ug;腹腔内)、3%のDSS+a−mCSF1 Ab(自家製、マウス1匹当たり200ug;腹腔内)、3%のDSS+a−IL34 Ab(YW404.33.12、マウス1匹当たり200ug;腹腔内)、3%のDSS+a−mCSF1/a−IL34(マウス1匹当たり200ug a−CSF1及びマウス1匹当たり200ug a−IL34、;腹腔内)であった。デキサメタゾンは、0.5mg/kg、QDで、腹腔内投与した。ナイーブマウスは、DSSで治療しなかった。抗ブタクサ抗体を、陰性対照として用いた。終了後、このモデルのために、結腸組織学スコアを読み取った。
【0303】
TNFΔARE大腸炎マウスの解析は、骨髄細胞の増殖及び活性化がなされるとき、CSF−1/IL−34及びCSF−1Rのタンパク質及びmRNAの発現が増大することを示した(データは示さない)。TNFΔAREマウスの脾臓では、Mf及び単球が、著明に増殖及び活性化した。TNFΔAREマウスは、野生型(wt)マウスと比較して、消化管組織で高量のCSF−1及びIL−34を産生した。TNFΔAREマウスの回腸では、CSF−1R mRNA、CSF1 mRNA、及びIL−34 mRNAの、野生型マウスと比較して高い発現レベルが観察された。
【0304】
実施例7−ヒトクローン病患者及びヒトUC患者におけるIL−34及びCSF−1
クローン病又は潰瘍性大腸炎を患うヒト患者の血清及び組織に由来するCSF−1タンパク質及びIL−34タンパク質の解析は、IL−34が、血清中では極めて低レベルで発現するが、組織内では高レベルで発現することを示した。他方、CSF−1は、血清中及び組織内で十分に発現する(図17)。この組織データは、潰瘍性大腸炎及びクローン病を含めた炎症性腸疾患において、IL−34及びCSF1の両方を阻害すれば、何れか単独の阻害剤によるIBD患者の治療よりも優れているであろうという考えを更に裏付ける。
【0305】
RA患者では、IL−34タンパク質の発現がCSF1タンパク質の発現より低度であるが、血清中及び滑液中では容易に検出可能である。これらの同じ患者において、CSF−1タンパク質は、血清及び滑液のいずれでも高度に発現した(図13)。
【0306】
RA患者及び骨関節炎患者の滑液中のIL−34タンパク質、CSF−1タンパク質、及びTNFアルファタンパク質の解析は、関節リウマチ患者及び骨関節炎患者におけるこれらの体液中のIL−34/CSF−1の発現レベルとTNFaの発現レベルとの間では、相関が見られないことを示した(図18)。したがって、データからは、RA及び骨関節炎を患う患者であって、それらの類似する表現型にもかかわらず、顕著に異なる分子プロファイル、すなわち、CSF−1/IL−34の発現と対比して顕著に異なるTNFアルファの発現を示す患者が存在することが示される。
【0307】
実施例8−IL−34及びCSF−1の阻害は、骨髄細胞の浸潤を低減する
マウスCIAは、既に言及されている通りに準備した。動物の関節滑膜細胞/組織を、a−CSF1+a−IL34の組合せAb又は抗ブタクサにより、39日目に始めて7日間で2回にわたり処置されたマウス(確立されたCIA:臨床スコア=4)(試料1例当たりのn=3)から収集した。動物は、7日間にわたる処置の後に安楽死させた。関節滑膜組織/細胞を収集し、単一の細胞懸濁液のために、コラゲナーゼにより消化した。細胞は、標識された抗CD11b抗体、抗Ly6C抗体、抗Ly6G抗体、及び抗F4/80抗体(BD Biosystemから購入)で染色した。標識された細胞は、フローサイトメーターで解析して、骨髄サブセット(Mf:CD11b+/F480+、炎症性単球:CD11b+/Ly6C+/Ly6Glow、及び在住単球:CD11b+/Ly6G+/Ly6Clow)を規定した。
【0308】
このデータは、何らかの臨床的利益が観察されうる前に既に関節炎性の動物に対する抗CSF1/IL−34組合せ処置のわずか7日後における関節滑膜に浸潤するマウス骨髄細胞(Mf及び単球)の低減を示す。これは、組合せ療法による阻害の結果としての骨髄阻害についての主要な機構が、滑膜内の骨髄細胞の遊走、浸潤、及び拡大の低減であることを示す。
【0309】
前出の本発明について、理解の明確さを目的とする例示及び例のために、ある程度詳細に記載してきたが、その記載及び実施例は、本発明の範囲を限定するものとみなすべきではない。本明細書で引用される全ての特許及び研究文献の開示は、出典明示によりそれらの全体において明示的に援用される。これらの開示は、Maら、(2012)、Structure、20:676〜687として引用される刊行物と、それらに由来する利益を本出願が主張し、それらの全てが出典明示によりそれらの全体において援用される、2012年2月6日に出願された米国仮出願第61,595,658号と2012年8月7日に出願された米国仮出願第61/680,674号とを包含する。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B-1】
図2B-2】
図2B-3】
図2C-1】
図2C-2】
図2D
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]
【手続補正書】
【提出日】2017年7月12日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明
【外国語明細書】
2017200482000001.pdf