【課題】一の通信チャンネルを利用した通信を途切れさせることなく、切り替え先の他の通信チャンネルを検索できるようにすることが可能な「通信装置、通信制御方法および通信システム」を提供する。
【解決手段】Wi−Fi通信により、一の通信チャンネルを利用して、スマートフォン30aとの通信を行う通信部101と、Wi−Fi通信の通信状況の良否を判定する通信状況判定部103と、通信状況が良くないと判定された場合、LTE−LAA通信による基地局20との通信により、切替先の通信チャンネルを検索する通信チャンネル検索部104と、Wi−Fi通信に利用する通信チャンネルを、検索された通信チャンネルに切り替える通信切替部105とを備えることにより、スマートフォン30aとのWi−Fi通信を継続したまま、別のLTE−LAA通信を利用して切替先の通信チャンネルの検索を並行して行うことができるようにする。
前記通信チャンネル検索部は、前記第2の通信装置との通信に利用可能な複数の通信チャンネルの各々の通信遅延時間を測定し、前記複数の通信チャンネルのうち、測定した通信遅延時間が最も短い通信チャンネルを、前記切替先の通信チャンネルとして決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
前記通信チャンネル検索部は、前記通信部が前記第2の通信装置との間で利用中の通信チャンネルの通信遅延時間を測定し、測定された通信遅延時間を閾値として用い、前記複数の通信チャンネルのうち、測定した通信遅延時間が前記閾値よりも短い通信チャンネルを、前記切替先の通信チャンネルとして決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
前記通信チャンネル検索部は、前記複数の通信チャンネルのうち、測定した通信遅延時間が前記閾値よりも短い通信チャンネルが最初に見つかった時点で、当該通信チャンネルを、前記切替先の通信チャンネルとして決定する
ことを特徴とする請求項3に記載の通信装置。
前記通信チャンネル検索部は、前記複数の通信チャンネルのうち、測定した通信遅延時間が前記閾値よりも短く、且つ、測定した通信遅延時間が最も短い通信チャンネルを、前記切替先の通信チャンネルとして決定する
ことを特徴とする請求項3に記載の通信装置。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る車載機の機能構成例を示すブロック図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る車載機による処理の一例を示すフローチャートである。
【
図3】通信チャンネル検索部による検索処理の一例を示すフローチャートである。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る車載機による通信チャンネルの切り替え動作の一例を示す図である。
【
図5】通信チャンネル検索部による検索処理の変形例を示すフローチャートである。
【
図6】本発明の第2実施形態に係る車載機及びスマートフォンの機能構成例を示すブロック図である。
【
図7】本発明の第2実施形態に係る車載機及びスマートフォンによる処理の一例を示すフローチャートである。
【
図8】本発明の第3実施形態に係るスマートフォンの機能構成例を示すブロック図である。
【
図9】本発明の第4実施形態に係る車載機及びスマートフォンの機能構成例を示すブロック図である。
【0017】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
〔車載機100aの機能構成例〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る車載機100aの機能構成例を示すブロック図である。
【0019】
図1では、車載機100a(第1の通信装置)と、スマートフォン30a(第2の通信装置)と、基地局20とを備えて構成された通信システム10aを示している。車載機100aは、自動車等の車両に搭載される通信装置である。車載機100aは、Wi−Fi通信(第1の通信方式の一例)による無線通信機能と、LTE−LAA通信(第2の通信方式の一例)による無線通信機能とを有している。車載機100aは、Wi−Fi通信におけるアクセスポイント(以下、「AP」と示す)としての機能を有している。これにより、車載機100aは、自身のAPの通信エリア内にスマートフォン30aが存在するとき、Wi−Fi通信により、複数の通信チャンネルのうちのいずれか一の通信チャンネルを利用して、スマートフォン30aと無線通信を行うことが可能である。
【0020】
スマートフォン30aは、ユーザ(車両の搭乗者)が所持する携帯端末である。スマートフォン30aは、Wi−Fi通信による無線通信機能を有している。また、スマートフォン30aは、Wi−Fi通信におけるステーション(以下、「STA」と示す)としての機能を有している。これにより、スマートフォン30aは、車載機100a(AP)の通信エリア内に自身が存在するとき、Wi−Fi通信により、車載機100aと無線通信を行うことが可能である。
【0021】
図1に示すように、本実施形態の車載機100aは、その機能構成として、通信部101、通信遅延測定部102、通信状況判定部103、通信チャンネル検索部104および通信切替部105を備えている。
【0022】
上記各機能ブロック101〜105は、ハードウェア、DSP(Digital Signal Processor)、ソフトウェアの何れによっても構成することが可能である。例えばソフトウェアによって構成する場合、上記各機能ブロック101〜105は、実際にはコンピュータのCPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROM、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記録媒体に記憶されたプログラムが動作することによって実現される。
【0023】
通信部101は、Wi−Fi通信により、複数の通信チャンネルのうちのいずれか一の通信チャンネルを利用して、スマートフォン30aとの無線通信を行う。スマートフォン30aとの間で行われる無線通信として、例えば、スマートフォン30aからの動画のストリーミング再生、車載機100aのタッチパネル(図示省略)からのスマートフォン30aの操作等が挙げられる。但し、これらに限らない。
【0024】
通信遅延測定部102は、通信部101が利用している一の通信チャンネルを利用して、スマートフォン30aへpingコマンドを送信することにより、スマートフォン30aとの通信における通信遅延時間(本実施形態では、pingコマンドを発してから、その応答を受け取るまでにかかった時間を意味する)を測定する。
【0025】
通信状況判定部103は、通信部101によるスマートフォン30aとの通信における通信状況の良否を判定する。本実施形態では、通信状況判定部103は、通信遅延測定部102によって測定された通信遅延時間が所定の閾値thを超えた場合、通信部101によるスマートフォン30aとの通信における通信状況が良くないと判定する。反対に、通信状況判定部103は、通信遅延測定部102によって測定された通信遅延時間が所定の閾値thを超えていない場合、通信部101によるスマートフォン30aとの通信における通信状況が良いと判定する。なお、所定の閾値thは、適切な値が予めメモリ等に格納されている。
【0026】
通信チャンネル検索部104は、通信状況判定部103によってスマートフォン30aとの通信における通信状況が良くないと判定された場合、LTE−LAA通信による基地局20との通信により、スマートフォン30aとの通信に利用可能な切替先の通信チャンネルを検索する。
【0027】
一例として、通信チャンネル検索部104は、LTE−LAA通信による基地局20との通信により、基地局20へpingコマンドを送信することで、通信部101がスマートフォン30aとの間で利用中の一の通信チャンネルの通信遅延時間を測定し、測定された通信遅延時間を閾値th2とする。また、通信チャンネル検索部104は、LTE−LAA通信による基地局20との通信により、基地局20へpingコマンドを送信することで、複数の通信チャンネル(但し、現在利用中の一の通信チャンネルを除く)の各々の通信遅延時間を測定する。そして、通信チャンネル検索部104は、複数の通信チャンネルのうち、測定した通信遅延時間が閾値th2よりも短く且つ、測定した通信遅延時間が最も短い通信チャンネルを、切替先の通信チャンネルとして決定する。
【0028】
変形例として、通信チャンネル検索部104は、LTE−LAA通信による基地局20との通信により、基地局20へpingコマンドを送信することで、通信部101がスマートフォン30aとの間で利用中の一の通信チャンネルの通信遅延時間を測定し、測定された通信遅延時間を閾値th2とする。また、通信チャンネル検索部104は、LTE−LAA通信による基地局20との通信により、基地局20へpingコマンドを送信することで、複数の通信チャンネル(但し、現在利用中の一の通信チャンネルを除く)の各々の通信遅延時間を測定する。そして、通信チャンネル検索部104は、複数の通信チャンネルのうち、測定した通信遅延時間が閾値th2よりも短い通信チャンネルが最初に見つかった時点で、当該通信チャンネルを、切替先の通信チャンネルとして決定する。
【0029】
上記処理において、現在利用中の一の通信チャンネルの通信遅延時間を閾値th2とする理由は、少なくとも、現在利用中の一の通信チャンネルよりも通信状況の良好な他の通信チャンネルを、切替先の通信チャンネルとして決定できるようにするためである。また、現在利用中の一の通信チャンネルの遅延時間を、LTE−LAA通信により測定する理由は、他の通信チャンネルの通信遅延時間を測定するときと通信方式についての条件を揃えることで、比較精度を高めるためである。
【0030】
通信切替部105は、通信状況判定部103によってスマートフォン30aとの通信における通信状況が良くないと判定された場合、通信部101がスマートフォン30aとの通信に利用する通信チャンネルを、現在利用中の一の通信チャンネルから、通信チャンネル検索部104によって検索された切替先の通信チャンネルに切り替える。以降、通信部101によるスマートフォン30aとの通信には、切替先の通信チャンネルが利用される。
【0031】
〔車載機100aによる処理の一例〕
図2は、本発明の第1実施形態に係る車載機100aによる処理の一例を示すフローチャートである。
図2に示す処理は、例えば、車載機100aにおいて、通信部101によるスマートフォン30aとのWi−Fi通信が行われている間、繰り返し実行される。
【0032】
まず、通信遅延測定部102が、スマートフォン30aへpingコマンドを送信することにより、スマートフォン30aとのWi−Fi通信における通信遅延時間を測定する(ステップS202)。次に、通信状況判定部103が、ステップS202で測定された通信遅延時間が、所定の閾値thを超えたか否かを判定する(ステップS204)。
【0033】
ここで、通信遅延時間が所定の閾値thを超えていないと通信状況判定部103が判定した場合(ステップS204:No)、車載機100aは、ステップS202以降の処理を再度実行する。
【0034】
一方、通信遅延時間が所定の閾値thを超えたと通信状況判定部103が判定した場合(ステップS204:Yes)、通信チャンネル検索部104が、LTE−LAA通信による基地局20との通信により、スマートフォン30aとの通信に利用可能な切替先の通信チャンネルを検索する(ステップS206)。なお、当該ステップS206の詳細については、
図3を用いて後述する。
【0035】
そして、通信切替部105が、通信部101がスマートフォン30aとの通信に利用する通信チャンネルを、現在利用中の一の通信チャンネルから、ステップS206で検索された切替先の通信チャンネルに切り替える(ステップS208)。そして、車載機100aは、
図2に示す一連の処理を終了する。
【0036】
〔通信チャンネル検索部104による検索処理の一例〕
図3は、通信チャンネル検索部104による検索処理の一例を示すフローチャートである。具体的には、
図3は、
図2に示したフローチャートにおける、通信チャンネル検索部104による切替先の通信チャンネルの検索処理(ステップS206)の詳細の一例を示すものである。
【0037】
まず、通信チャンネル検索部104は、LTE−LAA通信による基地局20との通信により、基地局20へpingコマンドを送信することで、通信部101がスマートフォン30aとの間で利用中の一の通信チャンネルの通信遅延時間を測定する(ステップS302)。そして、通信チャンネル検索部104は、ステップS302で測定された通信遅延時間を閾値th2に設定する(ステップS304)。
【0038】
次に、通信チャンネル検索部104は、複数の通信チャンネル(現在利用中の一の通信チャンネルを除く)のうちの一つを選択する(ステップS306)。また、通信チャンネル検索部104は、LTE−LAA通信による基地局20との通信により、基地局20へpingコマンドを送信することで、ステップS306で選択した通信チャンネルの通信遅延時間を測定する(ステップS308)。そして、通信チャンネル検索部104は、ステップS308で測定した通信遅延時間を、車載機100aが備えるメモリに格納する(ステップS310)。
【0039】
その後、通信チャンネル検索部104は、全ての通信チャンネルについて通信遅延時間を測定したか否かを判断する(ステップS312)。ここで、全ての通信チャンネルについて通信遅延時間を測定していないと通信チャンネル検索部104が判断した場合(ステップS312:No)、通信チャンネル検索部104は、ステップS306以降の処理を再度実行する。
【0040】
一方、全ての通信チャンネルについて通信遅延時間を測定したと通信チャンネル検索部104が判断した場合(ステップS312:Yes)、通信チャンネル検索部104は、複数の通信チャンネルのうち、測定した通信遅延時間が閾値th2よりも短い通信チャンネルがあるか否かを判断する(ステップS314)。
【0041】
ここで、測定した通信遅延時間が閾値th2よりも短い通信チャンネルがないと通信チャンネル検索部104が判断した場合(ステップS314:No)、通信チャンネル検索部104は、
図3に示す一連の処理を終了する。なお、ここで処理を終了した場合は、現在利用中の一の通信チャンネルよりも通信状況が良好な通信チャンネルが存在しないことを意味するため、車載機100aは、スマートフォン30aとの通信に利用する通信チャンネルの切り替えを行わない。
【0042】
一方、測定した通信遅延時間が閾値th2よりも短い通信チャンネルがあると通信チャンネル検索部104が判断した場合(ステップS314:Yes)、通信チャンネル検索部104は、測定した通信遅延時間が閾値th2よりも短い通信チャンネルのうち、測定した通信遅延時間が最も短い通信チャンネルを、切替先の通信チャンネルとして決定する(ステップS316)。そして、通信チャンネル検索部104は、
図3に示す一連の処理を終了する。
【0043】
〔車載機100aによる切り替え動作の一例〕
図4は、本発明の第1実施形態に係る車載機100aによる通信チャンネルの切り替え動作の一例を示す図である。
【0044】
図4(a)は、車載機100aによる通信チャンネルの切り替え動作が行われる前の、通信チャンネルの利用状態を示している。
図4(a)に示す例では、車載機100a(AP)とスマートフォン30a(STA)とのWi−Fi通信において、複数の通信チャンネル1〜11のうち、通信部101によって任意に選択された通信チャンネル1が利用されている。
【0045】
図4(b)は、通信チャンネル1を利用した通信部101とスマートフォン30とのWi−Fi通信において、通信遅延時間が所定の閾値thを超えたときに、通信チャンネル検索部104によって、LTE−LAA通信によるpingコマンドを基地局20へ送信することによって測定された、複数の通信チャンネル1〜11の各々の通信遅延時間を示す。このように、複数の通信チャンネル1〜11の通信遅延時間が測定されると、通信チャンネル検索部104は、まず、通信部101とスマートフォン30との通信に現在利用されている通信チャンネル1の通信遅延時間(
図4(b)の例では、「10ms」)を、他の通信チャンネル2〜11の通信遅延時間との比較に用いる閾値th2に設定する。そして、通信チャンネル検索部104は、複数の通信チャンネル2〜11のうち、通信遅延時間が閾値th2(通信チャンネル1の通信遅延時間)よりも短く、且つ、通信遅延時間が最も短い通信チャンネルを、切替先の通信チャンネルとして決定する。例えば、
図4(b)に示す例では、通信チャンネル検索部104は、上記条件を満たす通信チャンネル4(通信遅延時間=「6ms」)を、切替先の通信チャンネルとして決定する。
【0046】
図4(c)では、車載機100aによる通信チャンネルの切り替え動作が行われた後の、通信チャンネルの利用状態を示している。
図4(b)で説明したように、通信チャンネル検索部104によって、通信チャンネル4が切替先の通信チャンネルとして決定されると、
図4(c)に示すように、通信切替部105によって、通信部101とスマートフォン30aとの通信に利用する通信チャンネルが、通信チャンネル1から通信チャンネル4に切り替えられる。以降、車載機100aの通信部101とスマートフォン30aとの通信が、通信遅延時間が最も短い通信チャンネル4を利用して行われることとなり、通信状況が改善されることとなる。
【0047】
〔通信チャンネル検索部104による検索処理の変形例〕
図5は、通信チャンネル検索部104による検索処理の変形例を示すフローチャートである。具体的には、
図5は、
図2に示したフローチャートにおける、通信チャンネル検索部104による切替先の通信チャンネルの検索処理(ステップS206)の詳細の変形例を示すものである。
【0048】
まず、通信チャンネル検索部104は、LTE−LAA通信による基地局20との通信により、基地局20へpingコマンドを送信することで、通信部101がスマートフォン30aとの間で利用中の一の通信チャンネルの通信遅延時間を測定する(ステップS502)。そして、通信チャンネル検索部104は、ステップS502で測定された通信遅延時間を閾値th2に設定する(ステップS504)。
【0049】
次に、通信チャンネル検索部104は、複数の通信チャンネル(現在利用中の一の通信チャンネルを除く)のうちの一つを選択する(ステップS506)。また、通信チャンネル検索部104は、LTE−LAA通信による基地局20との通信により、基地局20へpingコマンドを送信することで、ステップS506で選択した通信チャンネルの通信遅延時間を測定する(ステップS508)。
【0050】
そして、通信チャンネル検索部104は、ステップS508で測定した通信遅延時間が閾値th2よりも短いか否かを判断する(ステップS510)。ステップS510において、ステップS508で測定した通信遅延時間が閾値th2よりも短くないと通信チャンネル検索部104が判断した場合(ステップS510:No)、通信チャンネル検索部104は、全ての通信チャンネルについて通信遅延時間を測定したか否かを判断する(ステップS512)。
【0051】
ここで、全ての通信チャンネルについて通信遅延時間を測定していないと通信チャンネル検索部104が判断した場合(ステップS512:No)、通信チャンネル検索部104は、ステップS506以降の処理を再度実行する。一方、全ての通信チャンネルについて通信遅延時間を測定したと通信チャンネル検索部104が判断した場合(ステップS512:Yes)、通信チャンネル検索部104は、
図5に示す一連の処理を終了する。なお、ここで処理を終了した場合は、現在利用中の一の通信チャンネルよりも通信状況が良好な通信チャンネルが存在しないことを意味するため、車載機100aは、スマートフォン30aとの通信に利用する通信チャンネルの切り替えを行わない。
【0052】
ステップS510において、ステップS508で測定した通信遅延時間が閾値th2よりも短いと通信チャンネル検索部104が判断した場合(ステップS510:Yes)、通信チャンネル検索部104は、ステップS506で選択した通信チャンネルを、切替先の通信チャンネルとして決定する(ステップS514)。そして、通信チャンネル検索部104は、
図5に示す一連の処理を終了する。
【0053】
図5に示す処理によれば、全ての通信チャンネルの通信遅延時間を測定しなくとも、閾値th2よりも通信遅延時間が短い通信チャンネルが検出された時点で、その通信チャンネルを切替先の通知チャンネルとして決定することができる。このため、
図3に示す処理と比較して、切替先の通信チャンネルの検索時間をより短くすることができる。すなわち、より早く通信チャンネルの切り替えを行うことができる。但し、通信遅延時間がより短い通信チャンネルを検索することができるという観点からすれば、
図5に示す処理よりも、
図3に示す処理のほうが優位である。
【0054】
以上説明したとおり、本発明の第1実施形態によれば、車載機100aがスマートフォン30aとの通信を行っている際に、その通信において他の通信との電波干渉により通信性能が劣化し、通信遅延時間が閾値thを超えた場合、スマートフォン30aとの通信に利用しているWi−Fi通信とは異なるLTE−LAA通信により、基地局20に対して、切替先の通信チャンネルの検索が行われるようになる。すなわち、車載機100aとスマートフォン30aとの間のWi−Fi通信を継続したまま、切替先の通信チャンネルの検索を並行して行うことができる。したがって、本発明の第1実施形態によれば、一の通信チャンネルを利用した通信において、電波干渉よる性能低下が生じた際に、その通信を途切れさせることなく、切り替え先の他の通信チャンネルを検索することができる。
【0055】
特に、本発明の第1実施形態によれば、単に機器間のデータの往復にかかる時間を計測するためのpingコマンドを用いて、スマートフォン30aとの通信における通信遅延時間を測定し、この通信遅延時間に基づいて、スマートフォン30との通信における通信状況の良否を判定するようにしている。このため、スマートフォン30aとの通信における通信状況の良否を判定するための、通信部101とスマートフォン30aとの通信に及ぼす影響を最小限のものとすることができる。
【0056】
〔第2実施形態〕
次に、
図6および
図7を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。なお、以下の説明においては、第1実施形態からの変更点についてのみ説明することとし、その他の点については第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0057】
〔車載機100bの機能構成例〕
図6は、本発明の第2実施形態に係る車載機100b及びスマートフォン30bの機能構成例を示すブロック図である。
図6では、車載機100b(第1の通信装置)と、スマートフォン30b(第2の通信装置)と、基地局20とを備えて構成された通信システム10bを示している。車載機100bは、通信チャンネル検索部104の代わりに検索指示/結果取得部106を備える点で、第1実施形態の車載機100aと異なる。また、スマートフォン30bは、通信部31、通信チャンネル検索部32および検索結果通知部33を備える点で、第1実施形態のスマートフォン30aと異なる。
【0058】
車載機100bの検索指示/結果取得部106は、通信状況判定部103によってスマートフォン30bとの通信における通信状況が良くないと判定された場合、切替先の通信チャンネルの検索指示をスマートフォン30bへ送信する。また、検索指示/結果取得部106は、スマートフォン30bの検索結果通知部33により通知された、切替先の通信チャンネルの検索結果を受信する。
【0059】
スマートフォン30bの通信部31は、車載機100bの通信部101との間でWi−Fi通信を行う。また、通信部31は、車載機100bから送信されてきた、切替先の通信チャンネルの検索指示を受信する。また、通信部31は、切替先の通信チャンネルの検索結果を車載機100bへ送信する。
【0060】
スマートフォン30bの通信チャンネル検索部32は、通信部31が切替先の通信チャンネルの検索指示を受信すると、LTE−LAA通信による基地局20との通信により、車載機100bとスマートフォン30bとの通信に利用可能な切替先の通信チャンネルを検索する。なお、通信チャンネル検索部32による切替先の通信チャンネルを検索処理の詳細については、第1実施形態で説明した通信チャンネル検索部104による検索処理と同様であるため、説明を省略する。
【0061】
スマートフォン30bの検索結果通知部33は、通信チャンネル検索部32による切替先の通信チャンネルの検索結果を、通信部31を介して車載機100bへ通知する。
【0062】
〔車載機及びスマートフォンによる処理の一例〕
図7は、本発明の第2実施形態に係る車載機100b及びスマートフォン30bによる処理の一例を示すフローチャートである。
図7に示す処理は、例えば、車載機100bの通信部101と、スマートフォン30bの通信部31との間でWi−Fi通信が行われている間、繰り返し実行される。
【0063】
まず、車載機100bにおいて、通信遅延測定部102が、スマートフォン30bへpingコマンドを送信することにより、スマートフォン30bとのWi−Fi通信における通信遅延時間を測定する(ステップS702)。次に、通信状況判定部103が、ステップS702で測定された通信遅延時間が、所定の閾値thを超えたか否かを判定する(ステップS704)。
【0064】
ここで、通信遅延時間が所定の閾値thを超えていないと通信状況判定部103が判定した場合(ステップS704:No)、車載機100bは、ステップS702以降の処理を再度実行する。
【0065】
一方、通信遅延時間が所定の閾値thを超えたと通信状況判定部103が判定した場合(ステップS704:Yes)、検索指示/結果取得部106が、切替先の通信チャンネルの検索指示を、スマートフォン30bへ送信する(ステップS706)。
【0066】
スマートフォン30bにおいて、ステップS706で送信された検索指示を通信部31が受信すると(ステップS708)、通信チャンネル検索部32が、LTE−LAA通信による基地局20との通信により、車載機100bとスマートフォン30bとの通信に利用可能な切替先の通信チャンネルを検索する(ステップS710)。なお、当該ステップS710の詳細については、第1実施形態(
図3および
図5)と同様であるため、説明を省略する。そして、検索結果通知部33が、ステップS710による切替先の通信チャンネルの検索結果を、通信部31を介して車載機100bへ通知する(ステップS712)。
【0067】
そして、車載機100bにおいて、検索指示/結果取得部106が、ステップS712で通知された、切替先の通信チャンネルの検索結果を受信する(ステップS714)。さらに、通信切替部105が、通信部101がスマートフォン30bとの通信に利用する通信チャンネルを、現在利用中の一の通信チャンネルから、ステップS714で受信した検索結果によって特定される切替先の通信チャンネルに切り替える(ステップS716)。そして、車載機100bおよびスマートフォン30bは、
図7に示す一連の処理を終了する。
【0068】
以上、本発明の第2実施形態で説明したように、スマートフォン30bから基地局20に対して切替先の通信チャンネルを検索するようにしてもよい。この場合も、第1実施形態と同様に、車載機100bとスマートフォン30bとの間のWi−Fi通信を継続したまま、切替先の通信チャンネルの検索を並行して行うことができる。したがって、本発明の第2実施形態によれば、一の通信チャンネルを利用した通信において、電波干渉よる性能低下が生じた際に、その通信を途切れさせることなく、切り替え先の他の通信チャンネルを検索することができる。特に、本発明の第2実施形態によれば、車載機100bがLTE−LAA通信による切替先の通信チャンネルの検索機能を有していなくても、当該検索機能をスマートフォン30bによって実現することができる。
【0069】
〔第3実施形態〕
次に、
図8を参照して、本発明の第3実施形態について説明する。なお、以下の説明においては、第1実施形態からの変更点についてのみ説明することとし、その他の点については第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0070】
図8は、本発明の第3実施形態に係るスマートフォン30cの機能構成例を示すブロック図である。
図8に示す第3実施形態の通信システム10cは、スマートフォン30cがAPとして機能し、車載機100cがSTAとして機能する点が、第1実施形態の通信システム10a(車載機100aがAPとして機能し、スマートフォン30aがSTAとして機能する)と異なる。
【0071】
これに応じて、スマートフォン30cに、通信部301、通信遅延測定部302、通信状況判定部303、通信チャンネル検索部304、通信切替部305を設けている。これら各機能部301〜305は、第1実施形態で説明した車載機100aが備える各機能部101〜105と同様の機能を有するものである。
【0072】
すなわち、この第3実施形態では、スマートフォン30cが、第1実施形態で説明した車載機100aと同様に動作する。また、車載機100cが、第1実施形態で説明したスマートフォン30aと同様に動作する。よって、この第3実施形態の通信システム10cによれば、第1実施形態の通信システム10aと同様に動作し、第1実施形態の通信システム10aと同様の効果を奏することができる。
【0073】
〔第4実施形態〕
次に、
図9を参照して、本発明の第4実施形態について説明する。なお、以下の説明においては、第2実施形態からの変更点についてのみ説明することとし、その他の点については第2実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0074】
図9は、本発明の第4実施形態に係る車載機100d及びスマートフォン30dの機能構成例を示すブロック図である。
図9に示す第4実施形態の通信システム10dは、スマートフォン30dがAPとして機能し、車載機100dがSTAとして機能する点が、第2実施形態の通信システム10b(車載機100bがAPとして機能し、スマートフォン30bがSTAとして機能する)と異なる。
【0075】
これに応じて、スマートフォン30dに、通信部301、通信遅延測定部302、通信状況判定部303、通信切替部305、検索指示/結果取得部306を設けている。これら各機能部301〜303,305,306は、第2実施形態で説明した車載機100bが備える各機能部101〜103,105,106と同様の機能を有するものである。
【0076】
また、車載機100dに、通信部111、通信チャンネル検索部112、検索結果通知部113を設けている。これら各機能部111〜113は、第2実施形態で説明したスマートフォン30bが備える各機能部31〜33と同様の機能を有するものである。
【0077】
すなわち、この第4実施形態では、スマートフォン30dが、第2実施形態で説明した車載機100bと同様に動作する。また、車載機100dが、第2実施形態で説明したスマートフォン30bと同様に動作する。よって、この第4実施形態の通信システム10dによれば、第2実施形態の通信システム10bと同様に動作し、第2実施形態の通信システム10bと同様の効果を奏することができる。
【0078】
なお、上記各実施形態では、pingコマンドによって測定された通信遅延時間に基づいて、Wi−Fi通信の通信状況を判定するようにしているが、本発明はこれに限らない。例えば、他の指標値(例えば、スループット測定値、RSSI測定値等)に基づいて、Wi−Fi通信の通信状況を判定するようにしてもよい。
【0079】
また、上記各実施形態では、LTE−LAA通信によるpingコマンドによって測定された通信遅延時間に基づいて、切替先の通信チャンネルを決定するようにしているが、本発明はこれに限らない。例えば、他の指標値(例えば、スループット測定値、RSSI測定値等)に基づいて、切替先の通信チャンネルを決定するようにしてもよい。
【0080】
また、上記各実施形態では、第1の通信装置の一例として、車載機(第1,第2実施形態)またはスマートフォン(第3,第4実施形態)を用いているが、本発明はこれに限らない。また、上記各実施形態では、第2の通信装置の一例として、スマートフォン(第1,第2実施形態)または車載機(第3,第4実施形態)を用いているが、本発明はこれに限らない。すなわち、第1の通信装置および第2の通信装置は、互いに無線通信を行うことができるものであれば、どのような通信装置であってもよい。例えば、第1の通信装置および第2の通信装置は、いずれも、車両に搭載される通信装置であってもよく、それ以外の通信装置であってもよい。また、第1の通信装置および第2の通信装置は、いずれも、特定の場所に固定的に設置される通信装置(例えば、パーソナルコンピュータ等)であってもよく、携帯性を有する通信装置(例えば、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話機等)であってもよい。
【0081】
また、上記各実施形態では、第1の通信方式の一例としてWi−Fi通信を用いているが、本発明はこれに限らない。また、上記各実施形態では、第2の通信方式の一例としてLTE−LAA通信を用いているが、本発明はこれに限らない。少なくとも、第2の通信方式が、第1の通信方式による通信に利用可能な複数の通信チャンネルの各々の通信状況を確認できるものであれば、第1の通信方式と第2の通信方式との組み合わせは、どのようなものであってもよい。
【0082】
また、上記各実施形態(
図3で説明した検索処理)において、複数の通信チャンネルのうち、通信遅延時間が閾値th2よりも短く、且つ、通信遅延時間が最も短い通信チャンネルを、切替先の通信チャンネルとして決定するようにしているが、閾値th2を設定することなく、単に、通信遅延時間が最も短い通信チャンネルを、切替先の通信チャンネルとして決定するようにしてもよい。
【0083】
その他、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。