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特開2017-206618グリース組成物およびその製造方法、ならびに当該グリース組成物が封入された転がり軸受
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-206618(P2017-206618A)
(43)【公開日】2017年11月24日
(54)【発明の名称】グリース組成物およびその製造方法、ならびに当該グリース組成物が封入された転がり軸受
(51)【国際特許分類】
   C10M 115/08 20060101AFI20171027BHJP
   F16C 19/06 20060101ALI20171027BHJP
   C10N 20/00 20060101ALN20171027BHJP
   C10N 20/02 20060101ALN20171027BHJP
   C10N 30/00 20060101ALN20171027BHJP
   C10N 40/02 20060101ALN20171027BHJP
   C10N 50/10 20060101ALN20171027BHJP
【FI】
   C10M115/08
   F16C19/06
   C10N20:00 Z
   C10N20:02
   C10N30:00 Z
   C10N40:02
   C10N50:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-99789(P2016-99789)
(22)【出願日】2016年5月18日
(71)【出願人】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】特許業務法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古橋 資丈
(72)【発明者】
【氏名】三宅 一徳
(72)【発明者】
【氏名】長岡 温
【テーマコード(参考)】
3J701
4H104
【Fターム(参考)】
3J701AA02
3J701AA32
3J701AA42
3J701AA52
3J701AA62
3J701BA80
3J701CA12
3J701CA32
3J701DA20
3J701EA63
3J701EA70
3J701FA01
3J701FA32
3J701GA01
3J701XE01
3J701XE03
3J701XE33
3J701XE50
4H104BA04A
4H104BA07A
4H104BB08A
4H104BB31A
4H104BB41A
4H104BE13B
4H104CB14A
4H104CD01A
4H104CD04A
4H104CJ02A
4H104EA01Z
4H104EA02A
4H104LA20
4H104PA01
4H104QA18
(57)【要約】
【課題】簡単な手法で軸受の静音性を長期にわたって確保できるグリース組成物およびその製造方法、ならびに当該グリース組成物が封入された転がり軸受を提供する。
【解決手段】合成油を含む基油と、アミンおよびジイソシアネートからなるジウレア化合物を含む増ちょう剤とを含有し、前記ジウレア化合物は、少なくとも脂肪族アミンを含むアミンと、トリレンジイソシアネート(TDI)またはジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)との組み合わせからなり、前記基油と前記増ちょう剤とのハンセン溶解度パラメータ(HSP)距離が10(J/cm1/2以下である、グリース組成物(G)を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成油を含む基油と、
アミンおよびジイソシアネートからなるジウレア化合物を含む増ちょう剤とを含有し、
前記ジウレア化合物は、少なくとも脂肪族アミンを含むアミンと、トリレンジイソシアネート(TDI)またはジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)との組み合わせからなり、
前記基油と前記増ちょう剤とのハンセン溶解度パラメータ(HSP)距離が10(J/cm1/2以下である、グリース組成物。
【請求項2】
前記基油の動粘度(40℃)が25mm/s〜35mm/sであり、前記増ちょう剤の割合が9〜18質量%である、請求項1に記載のグリース組成物。
【請求項3】
前記アミンは、少なくとも脂肪族アミンを含む2種以上のアミンを含む、請求項1または2に記載のグリース組成物。
【請求項4】
前記アミンは、8〜18の炭素鎖長を有する脂肪族アミンを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のグリース組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のグリース組成物が封入された、転がり軸受。
【請求項6】
合成油を含む基油と、アミンおよびジイソシアネートからなるジウレア化合物を含む増ちょう剤とを含有するグリース組成物の製造方法であって、
前記ジウレア化合物として、少なくとも脂肪族アミンを含むアミンと、トリレンジイソシアネート(TDI)またはジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)との組み合わせからなる化合物を使用し、
前記基油と前記増ちょう剤とのハンセン溶解度パラメータ(HSP)距離が10(J/cm1/2以下となる条件で前記基油と前記増ちょう剤とを混合する工程を含む、グリース組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリース組成物およびその製造方法、ならびに当該グリース組成物が封入された転がり軸受に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高温条件で使用される軸受のグリースとして、耐熱性、長期潤滑特性に優れるウレア系グリースが知られている。
ウレア系グリース組成物として、例えば、特許文献1は、40℃における動粘度が20mm/sのポリα−オレフィン油からなる基油と、オクチルアミンを含むジウレア化合物からなる増ちょう剤9.0質量%とを含有するグリース組成物を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−29473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年の自動車の電動化に伴い静音化の要求が高まっており、その要求はウレア系グリースにも向けられている。例えば玉軸受においては、ボール−外輪間に侵入した増ちょう剤粒子にボールが乗り上げることによって上下方向の振動量が増加することが、音響値に影響を与えていると考えられる。
音響値は、基油や増ちょう剤の種類を変えることで変化する。これは、基油と増ちょう剤の組み合わせによって基油中に分散した増ちょう剤の凝集粒子の数や大きさ、硬さ等が変化するためである。
【0005】
音響値の低減のためには、例えば、ホモゲナイザーやロールミル等の分散処理によって増ちょう剤の凝集粒子の潰し込みを行う方策が考えられる。
しかしながら、こうした分散処理で凝集粒子を潰し込むのには限界があり、多大な労力を必要とする場合がある。また、グリースでは増ちょう剤が凝集しやすいため、上記のような物理的な処理を行っても、凝集粒子を分散させる効果は限定的である。例えば、上記の分散処理によって増ちょう剤の凝集粒子を強制的に分散させても、グリースの経時変化や使用状況によって再凝集しやすい場合がある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、簡単な手法で軸受の静音性を長期にわたって確保できるグリース組成物およびその製造方法、ならびに当該グリース組成物が封入された転がり軸受を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するための本発明のグリース組成物は、合成油を含む基油と、アミンおよびジイソシアネートからなるジウレア化合物を含む増ちょう剤とを含有し、前記ジウレア化合物は、少なくとも脂肪族アミンを含むアミンと、トリレンジイソシアネート(TDI)またはジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)との組み合わせからなり、前記基油と前記増ちょう剤とのハンセン溶解度パラメータ(HSP)距離が10(J/cm1/2以下である(請求項1)。
【0008】
本発明のグリース組成物では、前記基油の動粘度(40℃)が25mm/s〜35mm/sであり、前記増ちょう剤の割合が9〜18質量%であってもよい(請求項2)。
本発明のグリース組成物では、前記アミンは、少なくとも脂肪族アミンを含む2種以上のアミンを含んでいてもよい(請求項3)。
本発明のグリース組成物では、前記アミンは、8〜18の炭素鎖長を有する脂肪族アミンを含んでいてもよい(請求項4)。
【0009】
本発明の転がり軸受(1)には、本発明のグリース組成物(G)が封入されている(請求項5)。
本発明のグリース組成物の製造方法は、合成油を含む基油と、アミンおよびジイソシアネートからなるジウレア化合物を含む増ちょう剤とを含有するグリース組成物の製造方法であって、前記ジウレア化合物として、少なくとも脂肪族アミンを含むアミンと、トリレンジイソシアネート(TDI)またはジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)との組み合わせからなる化合物を使用し、前記基油と前記増ちょう剤とのハンセン溶解度パラメータ(HSP)距離が10(J/cm1/2以下となる条件で前記基油と前記増ちょう剤とを混合する工程を含む(請求項6)。
【発明の効果】
【0010】
本発明のグリース組成物によれば、基油と増ちょう剤とのハンセン溶解度パラメータ(HSP)距離が10(J/cm1/2以下である。つまり、基油と増ちょう剤の親和性を高めることによって、基油中に増ちょう剤が分散しやすくなり、増ちょう剤の凝集を抑制することができる。これにより、当該グリース組成物が封入された転がり軸受では、静音性を向上させることができる。しかも、ホモゲナイザーやロールミル等の物理的な処理によって増ちょう剤を分散させるのではなく、ハンセン溶解度パラメータ(HSP)距離という化学的なパラメータに基づいて種々の基油と増ちょう剤とを組み合わせる手法であるため、グリースの経時変化や使用状況による影響を受けにくい。その結果、軸受の静音性を長期にわたって確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る転がり軸受を示す断面図である。
図2図2は、トリレンジイソシアネート(TDI)とアミンとの組み合わせからなるジウレア化合物の分子構造を示す図である。
図3図3は、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)とアミンとの組み合わせからなるジウレア化合物の分子構造を示す図である。
図4図4は、凝集粒子数と軸受振動加速度との関係を示す図である。
図5図5は、基油と増ちょう剤とのHSP距離と軸受振動加速度との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る転がり軸受1を示す断面図である。
転がり軸受1は、互いの間に環状の領域2を区画する一対の軌道部材としての内輪3および外輪4と、領域2に配置され内輪3および外輪4に対して転動する複数の転動体としてのボール5と、領域2に配置され、各ボール5を保持する保持器6と、領域2に充填されたグリースGと、外輪4に固定されて内輪3と摺接する一対の環状のシール部材7,8とを備えている。
【0013】
各シール部材7,8は、環状の芯金9,9と、この芯金9,9に焼き付けられた環状のゴム体10,10とを有している。各シール部材7,8は、その外周部が外輪4の両端面に形成した溝部11,11に嵌められて固定されており、内周部が内輪3の両端面に形成した溝部12,12に嵌められて固定されている。
グリースGは、両輪3,4間に一対のシール部材7,8で区画された領域2内に略一杯となるように封入されている。
【0014】
次に、グリースGを構成するグリース組成物について詳細に説明する。
本発明のグリース組成物は、基油および増ちょう剤を含有している。
基油としては、合成油が使用される。合成油としては、例えば、合成炭化水素油、エステル油、シリコーン油、フッ素油、フェニルエーテル油、ポリグリコール油、アルキルベンゼン油、アルキルナフタレン油、ビフェニル油、ジフェニルアルカン油、ジ(アルキルフェニル)アルカン油、ポリグリコール油、ポリフェニルエーテル油、パーフルオロポリエーテル、フッ素化ポリオレフィン等のフッ素化合物等が挙げられる。これらのうち、好ましくは、合成炭化水素油が使用される。
【0015】
合成炭化水素油として、さらに具体的には、エチレン、プロピレン、ブテンおよびこれらの誘導体等を原料として製造されたα−オレフィンを、単独または2種以上混合して重合したものが挙げられる。α−オレフィンとしては、好ましくは、炭素数6〜20のものが使用され、さらに好ましくは、1−デセンや1−ドデセンのオリゴマーであるポリ−α−オレフィン(PAO)が使用される。
【0016】
基油の動粘度(40℃)は、好ましくは、25mm/s〜35mm/sである。
基油の配合量は、好ましくは、グリース組成物全量に対して82質量%〜91質量%である。
増ちょう剤としては、ジウレア化合物が使用される。ジウレア化合物は、少なくとも脂肪族アミンを含むアミンと、トリレンジイソシアネート(TDI)またはジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)との組み合わせからなる。TDI由来のジウレア化合物およびMDI由来のジウレア化合物は、グリース組成物中に単独で存在していてもよいし、併存していてもよい。
【0017】
具体的には、ジウレア化合物は、トリレンジイソシアネート(TDI)またはジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)と、少なくとも脂肪族アミンを含むアミンとを反応させることによって得られる。増ちょう剤の均一分散性が高いジウレア化合物が得られることから、基油中で反応させることが好ましい。また、反応は、アミンを溶解した基油中に、トリレンジイソシアネート(TDI)および/またはジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を溶解した基油を添加して行ってもよいし、トリレンジイソシアネート(TDI)および/またはジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を溶解した基油中に、アミンを溶解した基油を添加して行ってもよい。これらの反応における温度および時間は、特に制限されず、通常のこの種の反応と同様でよい。反応温度は、アミンおよびジイソシアネートの溶解性、揮発性の点から、60℃〜170℃が好ましい。反応時間は、アミンとジイソシアネートの反応を完結させるという点と製造時間短縮による効率化の点から0.5〜2.0時間が好ましい。
【0018】
このようにして得られるジウレア化合物を分子構造で説明すると、当該ジウレア化合物は、図2および図3に示すように、トリレンジイソシアネート(TDI)またはジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)のイソシアネート基(−N=C=O)の炭素原子に、第1のアミン(アミン1)および第2のアミン(アミン2)が結合された構造を有している。アミン1およびアミン2は、同一または相異なるアミンであってもよい。例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)またはジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)と、2種以上のアミンとを同じ反応系(例えば共通の基油中)で反応させると、アミン1およびアミン2の位置に、共通のアミンが結合する場合もあるし、互いに異なるアミンが結合する場合もあるからである。
【0019】
また、使用されるアミンは、好ましくは、少なくとも脂肪族アミンを含む2種以上のアミンである。当該2種以上のアミンは、好ましくは、2種の脂肪族アミンを含む。さらに、脂肪族アミンとしては、好ましくは、8〜18の炭素鎖長を有する脂肪族アミンを使用する。
また、ジウレア化合物に含まれる脂肪族アミン以外のアミンとしては、脂環式アミンが好ましい。
【0020】
増ちょう剤の配合量は、好ましくは、グリース組成物全量に対して9〜18質量%である。
そして、本発明のグリース組成物では、基油と増ちょう剤とのハンセン溶解度パラメータ(HSP)距離が10(J/cm1/2以下である。
ハンセン溶解度パラメータ(HSP)距離は、例えば、グリース組成物の化学構造から基油−増ちょう剤間の距離を算出することによって測定してもよい。具体的には、下記式(1)によって測定することができる。
【0021】
HSP距離={4(δDt−δDo)2+(δPt−δPo)2+(δHt−δHo)21/2…(1)
式(1)中、δDtおよびδDoは、それぞれ、増ちょう剤および基油の分子間の分散力によるエネルギーを示している。δPt−δPoは、それぞれ、増ちょう剤および基油の分子間の双極子相互作用によるエネルギーを示している。δHt−δHoは、それぞれ、増ちょう剤および基油の分子間の水素結合によるエネルギーを示している。
【0022】
基油と増ちょう剤とのハンセン溶解度パラメータ(HSP)距離が上記の範囲であることによって、基油と増ちょう剤の親和性が高くなり、基油中に増ちょう剤が良好に分散し、増ちょう剤の凝集を抑制することができる。これにより、当該グリース組成物(グリースG)が封入された転がり軸受1では、静音性を向上させることができる。しかも、ホモゲナイザーやロールミル等の物理的な処理によって増ちょう剤を分散させるのではなく、ハンセン溶解度パラメータ(HSP)距離という化学的なパラメータに基づいて種々の基油と増ちょう剤とを組み合わせる手法であるため、グリースGの経時変化や使用状況による影響を受けにくい。その結果、転がり軸受1の静音性を長期にわたって確保することができる。
【0023】
10(J/cm1/2以下のハンセン溶解度パラメータ(HSP)距離を発現できる条件は、基油および増ちょう剤の種々の組み合わせによって多数提案することができる。例えば、ハンセン溶解度パラメータ(HSP)距離が10(J/cm1/2以下となるように、基油の種類、増ちょう剤を構成するアミンの種類(脂肪族、脂環式、炭素鎖長等)を適宜選択すればよい。
【0024】
本発明のグリース組成物では、基油と増ちょう剤とのハンセン溶解度パラメータ(HSP)距離が10(J/cm1/2以下であることに加え、基油の動粘度(40℃)が25mm/s〜35mm/sであり、かつ増ちょう剤の割合が9〜18質量%であることが好ましい。さらに、この条件に加えて、使用されるアミンが2種以上のアミンであることがさらに好ましい。これらの条件を備えることで、転がり軸受1の静音性を、より一層向上させることができる。
【0025】
なお、本発明のグリース組成物は、任意成分として、例えば、極圧剤、油性剤、防錆剤、酸化防止剤、耐摩耗剤、染料、色相安定剤、増粘剤、構造安定剤、金属不活性剤、粘度指数向上剤等の各種添加剤を含有していてもよい。
そして、本発明のグリース組成物を製造するには、例えば、まず、10(J/cm1/2以下のハンセン溶解度パラメータ(HSP)距離を発現できる条件の基油および増ちょう剤を混合して攪拌する。次に、当該混合物をロールミル等に通すことによってロール処理(ロール掛け)する。以上の工程を経て、上記のグリース組成物を得ることができる。
【0026】
本発明は、上記の実施形態に制限されることなく、他の実施形態で実施することもできる。
例えば、上記の実施形態では、(複列)玉軸受によって構成された転がり軸受1にグリース(G)が封入された例を説明したが、本発明のグリース組成物からなるグリースが封入される軸受は、転動体として玉以外のものが使用された針軸受、ころ軸受等、他の転がり軸受であってもよい。
【0027】
また、本発明の転がり軸受は、自動車用途の他、エアコン等の静音性およびメンテナンスフリー性が求められる用途にも好適である。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【実施例】
【0028】
次に、本発明を実施例、比較例および参考例に基づいて説明するが、本発明は下記の実施例によって制限されるものではない。
実施例1〜13、比較例1〜3および参考例1
<グリースの配合>
各実施例および各比較例について表1および表2に示す配合割合で、基油および増ちょう剤を配合してロール処理することによって、試験用グリース組成物を調製した。得られた試験用グリース組成物に対して、次に示す評価を行った。評価結果を表1、表2、図4および図5に示す。
<評価>
(I)増ちょう剤粒子のヤング率(GPa)
各試験用グリース組成物の増ちょう剤粒子のヤング率を、ナノインデンターによって測定した。
(II)HSP距離と凝集粒子数
各試験用グリース組成物について、基油と増ちょう剤とのハンセン溶解度パラメータ(HSP)距離を、HSPiP4によって測定した。また、当該試験用グリース組成物をスライドガラス上に薄く塗布し、カバーガラスを被せた上から偏光顕微鏡を用いて1視野あたりの凝集粒子(1μm以上)の数を測定した。
(III)軸受振動加速度(G)
グリースを軸受に封入し、軸受内輪を回転させたときの軸受外輪の振動加速度を測定した。
(IV)結果
表1および表2から明らかなように、基油と増ちょう剤とのハンセン溶解度パラメータ(HSP)距離が10(J/cm1/2以下である実施例1〜13では、軸受の静音性の指標となる軸受振動加速度が0.1G未満となっており、比較例1〜3(軸受振動加速度>0.1G)に比べて軸受の静音性が向上していた。
【0029】
また、基油の動粘度(40℃)が25mm/s〜35mm/sであり、かつ増ちょう剤の割合が9〜18質量%である実施例1〜6および実施例11では、軸受振動加速度が0.03G未満に低減できた。この効果は、例えば、実施例4と実施例7,8との比較(基油の動粘度のみが異なる)、実施例4と実施例9との比較(増ちょう剤量のみが異なる)、実施例3と実施例10との比較(増ちょう剤量のみが異なる)等によって証明される。
【0030】
さらに、上記の基油の動粘度および増ちょう剤量の条件に加え、増ちょう剤として2種のアミンを用いて生成されたジウレア化合物を使用する実施例1〜5および実施例11では、軸受振動加速度が0.025G未満に低減できた。
また、図4および図5によって、凝集粒子数が少なければ軸受振動加速度が小さくなるという相関関係、およびHSP距離が小さければ軸受振動加速度が小さくなるという相関関係が示すことができた。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【符号の説明】
【0033】
1…転がり軸受、G…グリース
図1
図2
図3
図4
図5