特開2017-213811(P2017-213811A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-213811(P2017-213811A)
(43)【公開日】2017年12月7日
(54)【発明の名称】ゴム製品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/53 20060101AFI20171110BHJP
【FI】
   B29C45/53
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-110371(P2016-110371)
(22)【出願日】2016年6月1日
(71)【出願人】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(72)【発明者】
【氏名】光真坊 誠
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 有二
【テーマコード(参考)】
4F206
【Fターム(参考)】
4F206AA46
4F206AH20
4F206AP02
4F206AP03
4F206AR02
4F206AR03
4F206AR06
4F206AR11
4F206AR17
4F206JA07
4F206JD04
4F206JL02
4F206JM04
4F206JP14
(57)【要約】
【課題】未加硫ゴムを成型モールドの中に注入してゴム製品を製造する際に、成型モールド内のゴム圧を適切は範囲に維持して製造不良を抑制するゴム製品の製造方法を提供する。
【解決手段】未加硫ゴムRを注入機2から流路6を通じて成型モールド7の中に注入する際に、注入している未加硫ゴムRの流動方向に間隔をあけた第1測定位置D1および第2測定位置D2で未加硫ゴムRの注入圧P1、P2を測定し、測定した注入圧P1、P2と、注入圧P1、P2の間の圧力勾配Aとに基づいて、成型モールド7内のゴム圧を予め設定した所定範囲に維持して未加硫ゴムRを成型モールド7により加硫成形する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
未加硫ゴムを注入機から流路を通じて成型モールドの中に注入し、この未加硫ゴムを前記成型モールドにより成形加硫するゴム製品の製造方法において、
注入している前記未加硫ゴムの流動方向に間隔をあけた第1測定位置および第2測定位置で前記未加硫ゴムの注入圧を測定し、第1測定位置および第2測定位置の両方を前記流路における所定の位置に設定し、または、いずれか一方を前記注入機における所定位置、いずれか他方を前記流路における所定位置に設定して、
測定した第1測定位置および第2測定位置での注入圧と、第1測定位置と第2測定位置の間の注入圧の圧力勾配とに基づいて、前記成型モールド内のゴム圧を予め設定した所定範囲に維持することを特徴とするゴム製品の製造方法。
【請求項2】
測定した第1測定位置および第2測定位置での注入圧と、予め設定している第1測定位置および第2測定位置における注入圧の目標値との偏差に基づいて、製造条件を変更する請求項1に記載のゴム製品の製造方法。
【請求項3】
前記製造条件が、前記成型モールドの温度、前記未加硫ゴムの粘度、前記注入機による注入時間、前記注入機での注入圧のうちの少なくとも1つである請求項2に記載のゴム製品の製造方法。
【請求項4】
前記ゴム製品がタイヤ加硫用ブラダである請求項1〜3のいずれかに記載のゴム製品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム製品の製造方法に関し、さらに詳しくは、未加硫ゴムを成型モールドの中に注入してゴム製品を製造する際に、成型モールド内のゴム圧を適切な範囲に維持して製造不良の発生を抑制することができるゴム製品の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ゴム製品には、成型モールドの中に未加硫ゴムを、押出機により押出して、または、射出機により射出して製造する製品がある(例えば、特許文献1参照)。例えば、タイヤ加硫用ブラダ等は、成型モールドの中に未加硫ゴムを射出して注入して、所定形状に成形するとともに加硫して製造される。このようなゴム製品を製造する際には一般に、注入機(押出機や射出機)における未加硫ゴムの注入圧を所定圧力に制御している。
【0003】
この製造方法では、未加硫ゴムの配合や成型モールドの温度のばらつき等に起因して未加硫ゴムの流動性に異常が発生しても、注入機における注入圧が所定圧力の範囲内であれば、その異常を検知することができない。この異常を検知できるのは、ゴム製品を製造した後で成型モールドを開型した時になる。それ故、この時に製造したゴム製品は不良品となり、使用した材料や時間は無駄になる。
【0004】
成型モールド内のゴム圧を直接検知して、このゴム圧を適切な範囲に制御することも考えられるが、成型モールド内のゴム圧を検知する圧力計を設置することは難しい。仮に、このゴム圧を検知できたとしても、このゴム圧を検知してから注入機における注入圧を適切な圧力に変更するのでは間に合わないことがある。
【0005】
そこで、成型モールド内のゴム圧の不足を回避するために、注入圧を意図的に高めに設定していることが多い。しかし、注入圧が必要以上に高くなると、成型モールドの継ぎ目に未加硫ゴムが流出して、いわゆるバリが発生し易くなる。また、注入圧を高くすると、成型モールドやその付随設備の歪み等の原因になったり、より大型で強度の高い成型モールドや設備が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−239565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、未加硫ゴムを成型モールドの中に注入してゴム製品を製造する際に、成型モールド内のゴム圧を適切な範囲に維持して製造不良の発生を抑制することができるゴム製品の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため本発明のゴム製品の製造方法は、未加硫ゴムを注入機から流路を通じて成型モールドの中に注入し、この未加硫ゴムを前記成型モールドにより成形加硫するゴム製品の製造方法において、注入している前記未加硫ゴムの流動方向に間隔をあけた第1測定位置および第2測定位置で前記未加硫ゴムの注入圧を測定し、第1測定位置および第2測定位置の両方を前記流路における所定の位置に設定し、または、いずれか一方を前記注入機における所定位置、いずれか他方を前記流路における所定位置に設定して、測定した第1測定位置および第2測定位置での注入圧と、第1測定位置と第2測定位置の間の注入圧の圧力勾配とに基づいて、前記成型モールド内のゴム圧を予め設定した所定範囲に維持することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
第1測定位置および第2測定位置の両方を流路における所定の位置に設定し、または、いずれか一方を注入機における所定位置、いずれか他方を流路における所定位置に設定することで、注入している未加硫ゴムの流動方向に間隔をあけた第1測定位置および第2測定位置で未加硫ゴムの注入圧を測定し、これら注入圧と、第1測定位置と第2測定位置の間の注入圧の圧力勾配とに基づいて、成型モールド内のゴム圧を精度よく予測することができる。そのため、成型モールド内のゴム圧を予め設定した適切な所定範囲に維持して未加硫ゴムを加硫成型することが可能になる。これに伴い、ゴム製品の製造不良の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】ゴム製品の製造装置の主要部を縦断面視で例示する説明図である。
図2図1の成型モールドを平面視で例示する説明図である。
図3図1の流路に未加硫ゴムが流れている状態を例示する説明図である。
図4】未加硫ゴムを図1の成型モールドで加硫成型している状態を例示する説明図である。
図5】製造された加硫用ブラダを縦断面視で例示する説明図である。
図6図5の加硫用ブラダを平面視で例示する説明図である。
図7】未加硫ゴムの注入開始からの経過時間(注入時間)と注入圧との関係を例示するグラフ図である。
図8】未加硫ゴムの流動方向の位置と注入圧との関係を例示するグラフ図である。
図9】未加硫ゴムの注入先端位置と第1測定位置での注入圧との関係を例示するグラフ図である。
図10】未加硫ゴムの注入先端位置と第2測定位置での注入圧との関係を例示するグラフ図である。
図11】未加硫ゴムの注入先端位置と、第1測定位置と第2測定位置との間の注入圧の圧力勾配との関係を例示するグラフ図である。
図12】別の製造装置を縦断側面視で例示する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明のゴム製品の製造方法を、ゴム製品がタイヤ加硫用ブラダである場合を例にして図に示した実施形態に基づいて説明する。
【0012】
本発明のゴム製品の製造方法には、図1図2に例示するゴム製品の製造装置1を使用する。製造装置1は未加硫ゴムRの注入機2を備えていて、この実施形態では注入機2がゴム射出機になっている。注入機2としては、その他にゴム押出機を用いることもできる。
【0013】
注入機2は、未加硫ゴムRが収容される筒状のシリンダ3と、シリンダ3の内部に配置されるプランジャー4と、プランジャー4を移動させる駆動機構5とを有している。駆動機構5の動作は演算部10により制御される。演算部10としては、各種コンピュータ等を用いることができる。シリンダ3の先端には流路6の一端が接続されている。流路6の他端は成型モールド7に接続されている。
【0014】
成型モールド7は、中子型7bと、この中子型7bの外側で上下に組み付けられる2つの分割型7aとで構成されている。それぞれの分割型7aの内周面と、中子型7bの外周面との間に形成されたすき間がキャビティ7cになっている。成型モールド7はこの形態に限らず、様々な形態を採用することができる。
【0015】
この実施形態では、流路6がシリンダ3の先端から延びる直線部6aと、この直線部6aに連結して一方の分割型7aの内周面と中子型7bの外周面との間に形成されている円盤状部6bとで構成されている。この円盤状部6bの外縁がキャビティ7cの上端部に接続している。シリンダ3の内部とキャビティ7とは流路6を通じて連通した状態になる。
【0016】
流路6の延在方向に間隔をあけた所定の位置(第1測定位置D1および第2測定位置D2)にはそれぞれ、圧力センサ9a、9bが設置されている。圧力センサ9a、9bはそれぞれ、第1測定位置D1、第2測定位置D2における未加硫ゴムRの注入圧P1、P2を逐次、測定する。圧力センサ9a、9bが測定した注入圧P1、P2は逐次、演算部10に入力される。
【0017】
成型モールド7には加熱部8が設けられている。成型モールド7に対する加熱部8による加熱および加熱停止、加熱の程度は演算部10により制御される。また、注入機2での未加硫ゴムRの注入圧、キャビティ7cへの未加硫ゴムRの注入時間(プランジャー4の移動速度)等は演算部10により制御される構成になっている。
【0018】
次に、本発明によりゴム製品RPを製造する手順を説明する。
【0019】
図1に例示するように、中子型7bの外側に上下2つの分割型7aを組み付けてキャビティ7cを形成する。ゴム注入機2のシリンダ3には未加硫ゴムRを収容しておく。
【0020】
次いで、図3に例示するように、プランジャー4を下方移動させて未加硫ゴムRをシリンダから流路6に送り出す。流路6に送り出された未加硫ゴムRは、図4に例示するようにキャビティ7cに射出され、キャビティ7cは未加硫ゴムRで充填される。
【0021】
この時、分割型7aは所定温度で加熱されている。充填された未加硫ゴムRは成型モールド7によって所定形状に成型されるとともに加硫される。この状態が所定時間経過すると未加硫ゴムRの加硫が完了する。
【0022】
次いで、組み付けた分割型7aを上下に分離する。これにより、中子型7bを被覆している状態のゴム製品RPが現れる。次いで、ゴム製品RPの中から中子型7bを抜き出す。その後、余分な部分(円盤状部6bに充填された未加硫ゴムRが加硫成型された部分)を除去する等の工程を経て、図5図6に例示するゴム製品RPの製造が完了する。
【0023】
ここで、注入機2からキャビティ7cに未加硫ゴムRを注入した時の第1測定位置D1、第2測定位置D2、キャビティ7cの所定位置(図4では符号D3とする)のそれぞれの位置での未加硫ゴムRの注入圧P1、P2、P3の経時変化を図7に例示する。図7では、良品が製造される場合の圧力曲線を実線で示し、不良品が製造される場合の圧力曲線を破線で示している。符号D3の位置は、図4ではキャビティ7cの上端になっているが、キャビティ7cの任意の位置にすることができる。
【0024】
注入機2からキャビティ7cに対して注入している未加硫ゴムRの注入圧(ゴム圧)は、その流動方向に対して直線的に低下する特性を有している。本発明は、この特性を利用する。図7の横軸を経過時間から注入圧の測定位置に書き換えると図8に例示するとおりである。
【0025】
図8では、良品が製造される場合の未加硫ゴムRの注入が完了した時のデータを太線実線で示し、完了前の任意の時点Xでのデータを細線実線で示している。一方、不良品が製造される場合の未加硫ゴムRの注入が完了した時のデータを太線破線で示し、完了前の任意の時点でのデータを細線破線で示している。
【0026】
図8の太線実線では、未加硫ゴムRがキャビティ7cに充填されて注入が完了した時点(E)の位置D3での注入圧(ゴム圧)がP3(E)になっている。このP3(E)は、必要なゴム圧に達していることになる。一方、図8の太線破線では、未加硫ゴムRの注入が完了した時点(E)の位置D3での注入圧(ゴム圧)がP3’(E)になっている。このP3’(E)は、必要なゴム圧に達していないことになる。
【0027】
図8を参照すると、注入機2から未加硫ゴムRの注入を開始してから任意の時点Xでの第1測定位置D1、第2測定位置D2における注入圧P1(X)、P1’(X)、P2(X)、P2’(X)に基づいて、注入している未加硫ゴムRの注入先端位置D(X)、D’(X)および注入完了時のキャビティ7c(位置D3)での注入圧P3(E)、P3’(E)を予測することが可能になる。即ち、任意の時点Xにおける第1測定位置D1および第2測定位置D2での注入圧と、これら位置の間の注入圧の圧力勾配とに基づいて、注入している未加硫ゴムRの注入先端位置を予測することが可能になる。
【0028】
図9に例示するように、注入している未加硫ゴムRの注入先端位置と、第1測定位置D1における未加硫ゴムRの注入圧との関係は、注入初期の注入圧毎に異なる関係線になり、初期の注入圧が大きい程、グラフの上側にシフトする。図10に例示するように、注入している未加硫ゴムRの注入先端位置と、第2測定位置D2における未加硫ゴムRの注入圧との関係も、注入初期の注入圧毎に異なる関係線になり、初期の注入圧が大きい程、グラフの上側にシフトする。
【0029】
図11は、注入している未加硫ゴムRの注入先端位置と、第1測定位置D1と第2測定位置D2との間の注入圧P1、P2の圧力勾配Aとの関係を示している。即ち、圧力勾配A=(P2−P1)/(D2とD1との間の距離)である。
【0030】
初期の注入圧が同じであれば、第1測定位置D1と第2測定位置D2の注入圧P1、P2の状態は常に同じである。それ故、任意の位置での注入圧とおよびこれら位置の間の注入圧の圧力勾配は、初期の注入圧と、第1測定位置D1と第2測定位置D2との間の注入圧P1、P2の圧力勾配Aとに基づいて、予測することが可能である。
【0031】
そこで、具体的には以下の手順を行う。まず、良品が製造される場合の図7に例示する圧力曲線(実線で示すデータ)を予め取得する。次いで、第1測定位置D1および第2測定位置D2と、それぞれの位置D1、D2での注入完了時の注入圧P1(E)、P2(E)とに基づいて、キャビティ7c(位置D3)での注入圧P3(E)と、注入圧がゼロになる未加硫ゴムの注入先端位置D(E)を算出する。
【0032】
そして、ゴム製品PRを製造する際に、未加硫ゴムRの注入を開始した後の任意の時点Xで、第1測定位置D1、第2測定位置D2において注入圧P1’(X)、P2’(X)を測定する。第1測定位置D1と第2測定位置D2との間の距離と、注入圧P1’(X)、P2’(X)とに基づいて、注入圧がゼロになる未加硫ゴムの注入先端位置D’(X)を演算部10により算出する。
【0033】
次いで、図9、10、11の関係線において、算出した注入先端位置D’(X)に対するP1’(X)、P2’(X)、圧力勾配A’(X)をプロットして、対応するそれぞれの関係線を決定する。次いで、良品が製造される場合の位置D(E)での注入圧P1’(E)を演算部10により算出する。
【0034】
次いで、注入圧P3’(E)を演算部10により算出する。この注入圧P3’(E)は下記(1)式により算出される。
P3’(E)=A’(E)×(D3とD1と間の距離)・・・(1)
ここで、A’(E)=P1’(E)/(D(E)とD1との間の距離)
【0035】
次いで、算出した注入圧P3’(E)と注入圧P3(E)とを演算部10により比較する。注入圧P3(E)は下記(2)式により算出される。
P3(E)=A(E)×(D3とD1との間の距離)・・・(2)
ここで、A(E)=P1(E)/(D(E)とD1との間の距離)
【0036】
そして、注入圧P3’(E)が注入圧P3(E)以上の時は、キャビティ7c内のゴム圧は十分であると判断して、その製造条件を維持する。一方、算出した注入圧P3’(E)が注入圧P3(E)未満の時はキャビティ7c内のゴム圧は不十分であると判断して、注入機2での注入圧を高くする等、製造条件を変更する。或いは、製造を中止する。
【0037】
例えば、測定した注入圧P1、P2と、予め設定している第1測定位置D1および第2測定位置D2における注入圧P1、P2の目標値との偏差に基づいて、製造条件を変更する。即ち、測定した注入圧P1、P2がそれぞれ目標値に近づくように、製造条件を変更する制御を行う。注入圧P1、P2の目標値は演算部10に入力して記憶させておく。
【0038】
具体的には、これら測定したデータに基づいて演算部10により、加熱部8を制御して成型モールド7(それぞれの分割型7a)の温度を変更する。或いは、未加硫ゴムRの粘度、注入機2による未加硫ゴムRの注入時間、注入機2での注入圧のうちの少なくとも1つの製造条件を変更する。このように本発明では、未加硫ゴムRを注入機2から成型モールド7に対して注入している初期段階で測定した注入圧P1、P2と、注入圧P1、P2の圧力勾配Aとに基づいて、成型モールド7内のゴム圧を予め設定した適切な所定範囲、即ちP3(E)以上に維持して製造を行う。
【0039】
本発明によれば、測定した注入圧P1、P2の間の圧力勾配(圧力差)とに基づいて、成型モールド7内のゴム圧を精度よく予測することができるので、成型モールド7内のゴム圧を予め設定した適切な所定範囲に維持して未加硫ゴムRを加硫成型することが可能になる。これに伴い、ゴム製品RPの製造不良の発生を抑制することができる。即ち、ゴム製品RPが製造される前に成型モールド7内のゴム圧を適切な所定範囲に維持できるので、成型モールド7内でのゴム圧不足に起因して不良品になることを回避できる。
【0040】
それ故、本発明によれば、不良品の製造に使用された材料(未加硫ゴムR)や時間等が無駄になるという従来方法における不具合も回避できるので、生産性向上に有利になる。また、従来方法のように未加硫ゴムRの注入圧を意図的に高く設定する必要がないので、製造したゴム製品PRにはいわゆるバリが発生し難くなるという利点もある。未加硫ゴムRの高い注入圧に起因して成型モールド7やその付随設備に歪みが生じる等の不具合回避にも有利になる。
【0041】
尚、樹脂成型の場合は、射出速度や押出速度がゴム成型に比して著しく速い。そのため、本発明のように注入圧P1、P2を測定しても、即座に射出や押出が完了してしまう。それ故、測定した注入圧P1、P2と、これら注入圧P1、P2の圧力勾配とに基づいて、成型モールド7内の樹脂圧を予め設定した所定範囲に維持することは実質的に不可能である。即ち、本発明は専ら、未加硫ゴムRを成型モールド7に注入する場合に適用する発明になっている。
【0042】
圧力センサ9a、9bにより未加硫ゴムRの注入圧P1、P2を測定する位置(第1測定位置D1、第2測定位置D2)は、この実施形態で例示した位置に限らず、その他の位置に設定することもできる。例えば図12に示すように、圧力センサ9a、9bをそれぞれ、注入機2における第1測定位置D1と流路6における第2測定位置D2に設置することもできる。ただし、図1に例示した実施形態にように、断面積が一定の流路6に第1測定位置D1、第2測定位置D2を設定した方が、注入圧P1、P2を安定して測定することができる。
【0043】
本発明はタイヤ加硫用ブラダに限らず、未加硫ゴムRを射出または押出して加硫成型する様々なゴム製品RPに適用することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 製造装置
2 注入機
3 シリンダ
4 プランジャー
5 駆動機構
6 流路
7 成型モールド
7a 分割型
7b 中子型
7c キャビティ
8 加熱部
9a、9b 圧力センサ
10 演算部
R 未加硫ゴム
RP ゴム製品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12