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特開2017-217732Oリング装着方法およびOリング装着装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-217732(P2017-217732A)
(43)【公開日】2017年12月14日
(54)【発明の名称】Oリング装着方法およびOリング装着装置
(51)【国際特許分類】
   B23P 19/02 20060101AFI20171117BHJP
   B25B 27/28 20060101ALI20171117BHJP
【FI】
   B23P19/02 E
   B25B27/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-114410(P2016-114410)
(22)【出願日】2016年6月8日
(71)【出願人】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】特許業務法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】畠山 敏
(72)【発明者】
【氏名】奥川 佳昭
【テーマコード(参考)】
3C030
3C031
【Fターム(参考)】
3C030BB13
3C030BC11
3C031EE25
(57)【要約】
【課題】Oリングの捩じれを抑制した状態で被装着体に装着できるOリング装着方法を提供する。
【解決手段】Oリング100の一部101が被装着体90の環状段部96および外周円周面94に当接保持されるプリセット状態で、Oリング100の残余部102と外周円周面94との間に介在するテーパ部6cを含む治具ピン6が、外周円周面94の周囲に旋回される。旋回に伴って、テーパ部6cが、残余部102の周方向の一端102aから他端へと順次に係合し、テーパ部6cに順次に係合されるOリング100の被係合部102kが、環状段部96に当接する位置までテーパ部6c上をスライド移動する。テーパ部に係合される被係合部102kと一部101との間の領域Rが、領域Rの張力で外周円周面94に嵌合される。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸線と前記中心軸線を中心とする外周円周面と前記外周円周面から径方向外方に張り出す環状段部とを含む被装着体の、前記外周円周面に対して、Oリングを当該Oリングが前記環状段部に当接する状態に嵌めるOリング装着方法であって、
前記Oリングの周方向の任意の一部を前記被装着体の前記環状段部および前記外周円周面に当接する状態に保持するように、前記Oリングを前記被装着体にプリセットするプリセット工程と、
前記中心軸線と平行な中心軸線を有する治具ピンであって前記環状段部側に向かって先細り状のテーパ部を含む治具ピンを、プリセットされた前記Oリングの前記一部を除く残余部の前記周方向の一端と前記外周円周面との間に前記テーパ部が介在する状態から、前記残余部の前記周方向の他端と前記外周円周面との間に前記テーパ部が介在する状態まで、前記外周円周面の周囲に旋回させ、旋回に伴って順次に前記テーパ部に係合される前記Oリングの被係合部を前記テーパ部によって前記環状段部に当接する位置までスライドさせながら、前記Oリングの前記被係合部と前記一部との間の領域を、当該領域の張力を用いて前記外周円周面に嵌合させる装着工程と、を含むOリング装着方法。
【請求項2】
中心軸線と前記中心軸線を中心とする外周円周面と前記外周円周面から径方向外方に張り出す環状段部とを含む被装着体の、前記外周円周面に対して、Oリングを当該Oリングが前記環状段部に当接する状態に嵌めるOリング装着装置であって、
基準軸線を有するフレームと、
前記基準軸線を中心とする円弧状に配置される状態で前記フレームによって支持され、前記Oリングの周方向の任意の一部が受けられるOリング受け部と、
前記フレームによって支持され、前記被装着体の前記中心軸線が前記基準軸線と一致するように前記被装着体を支持する被装着体支持部であって、当該被装着部支持によって支持された前記被装着体の前記環状段部および前記外周円周面に前記一部が当接する状態に保持されるように、前記被装着体が支持される被装着体支持部と、
前記フレームによって支持され前記基準軸線を中心として旋回駆動可能な旋回部と、
前記基準軸線と平行な中心軸線を有して前記旋回部に一体旋回可能に支持された治具ピンであって、前記被装着体支持部に支持された前記被装着体の前記環状段部側に向かって先細り状のテーパ部を含み、前記旋回部の旋回に伴って、前記被装着体にプリセットされた前記Oリングの前記一部を除く残余部の前記周方向の一端と前記外周円周面との間に前記テーパ部が介在する状態から、前記残余部の前記周方向の他端と前記外周円周面との間に前記テーパ部が介在する状態まで、前記外周円周面の周囲に旋回される治具ピンとを備えるOリング装着装置。
【請求項3】
請求項2において、前記Oリングの前記一部が前記Oリング受け部によって受けられた状態で、前記残余部を前記一部よりも下方で受ける補助受け部を備えるOリング装着装置。
【請求項4】
請求項2または3において、前記旋回部が旋回終了位置に達するときに、前記被装着体支持部を前記基準軸線の方向に変位させて、前記被装着体に装着された前記Oリングを前記Oリング受け部から離反させるエジェクト機構を備えるOリング装着装置。
【請求項5】
請求項4において、前記エジェクト機構は、前記旋回部に設けられたカム面と、前記被装着体支持部に設けられ前記カム面にカム係合するカムフォロワ面とを有し、前記旋回部の旋回を前記被装着体支持部の前記基準軸線の方向の移動に変換する運動変換機構を含むOリング装着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Oリング装着方法およびOリング装着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、Oリングをワークの外周面の環状溝に装着するときに、ワーク側に向かって漸次に拡径するテーパ筒状の装着ガイド部材を用いることが提案されている。
特許文献1では、装着ガイド部材の外周面に全周で嵌合されたOリングが、装着ガイドの外周面を滑りながら、一旦、拡径された後、ワークの外周面の環状溝に嵌められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭61−191830号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
Oリングの全周が、装着ガイドの外周面をスライドするときに、Oリングが線径の中心の回りに部分的に捩じられる。このため、Oリングが、捩じり変形を生じた状態で、ワークに装着され、組立不良を発生するおそれがある。
また、Oリングが、環状溝がなく且つ軸方向に短いワークの外周面に嵌合される場合、捩じり変形されたOリングが、ワークから脱落するおそれがある。特に、Oリングのリング径が大きい場合には、ねじり変形量が大きくなり、ワークから脱落し易い。
【0005】
本発明の目的は、Oリングの捩じれを抑制した状態で被装着体に装着することができるOリング装着方法およびOリング装着装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、中心軸線(K1)と前記中心軸線を中心とする外周円周面(94)と前記外周円周面から径方向外方に張り出す環状段部(96)とを含む被装着体の、前記外周円周面に対して、Oリング(100)を当該Oリングが前記環状段部に当接する状態に嵌めるOリング装着方法であって、前記Oリングの周方向の任意の一部(101)を前記被装着体の前記環状段部および前記外周円周面に当接する状態に保持するように、前記Oリングを前記被装着体にプリセットするプリセット工程と、前記中心軸線と平行な中心軸線を有する治具ピン(6)であって前記環状段部側に向かって先細り状のテーパ部(6c)を含む治具ピンを、プリセットされた前記Oリングの前記一部を除く残余部(102)の前記周方向の一端(102a)と前記外周円周面との間に前記テーパ部が介在する状態から、前記残余部の前記周方向の他端と前記外周円周面との間に前記テーパ部が介在する状態まで、前記外周円周面の周囲に旋回させ、旋回に伴って順次に前記テーパ部に係合される前記Oリングの被係合部(102k)を前記テーパ部によって前記環状段部に当接する位置までスライドさせながら、前記Oリングの前記被係合部と前記一部との間の領域を、当該領域の張力を用いて前記外周円周面に嵌合させる装着工程と、を含むOリング装着方法を提供する。
【0007】
なお、括弧内の英数字は、後述する実施形態における対応構成要素等を表すが、このことは、むろん、本発明がそれらの実施形態に限定されるべきことを意味するものではない。以下、この項において同じ。
請求項2の発明は、中心軸線(K1)と前記中心軸線を中心とする外周円周面(94)と前記外周円周面から径方向外方に張り出す環状段部(96)とを含む被装着体(90)の、前記外周円周面に対して、Oリング(100)を当該Oリングが前記環状段部に当接する状態に嵌めるOリング装着装置であって、基準軸線(C1)を有するフレーム(2)と、前記基準軸線を中心とする円弧状に配置される状態で前記フレームによって支持され、前記Oリングの周方向の任意の一部(101)が受けられるOリング受け部(3)と、前記フレームによって支持され、前記被装着体の前記中心軸線が前記基準軸線と一致するように前記被装着体を支持する被装着体支持部(4)であって、当該被装着部支持によって支持された前記被装着体の前記環状段部および前記外周円周面に前記一部が当接する状態に保持されるように、前記被装着体が支持される被装着体支持部と、前記フレームによって支持され前記基準軸線を中心として旋回駆動可能な旋回部(5)と、前記基準軸線と平行な中心軸線を有して前記旋回部に一体旋回可能に支持された治具ピン(6)であって、前記被装着体支持部に支持された前記被装着体の前記環状段部側に向かって先細り状のテーパ部(6c)を含み、前記旋回部の旋回に伴って、前記被装着体にプリセットされた前記Oリングの前記一部を除く残余部(102)の前記周方向の一端(102a)と前記外周円周面との間に前記テーパ部が介在する状態から、前記残余部の前記周方向の他端と前記外周円周面との間に前記テーパ部が介在する状態まで、前記外周円周面の周囲に旋回される治具ピンとを備えるOリング装着装置(1)を提供する。
【0008】
請求項3のように、請求項2において、前記Oリングの前記一部が前記Oリング受け部によって受けられた状態で、前記残余部を前記一部よりも下方で受ける補助受け部(42h)を備えていてもよい。
請求項4のように、請求項2または3において、前記旋回部が旋回終了位置に達するときに、前記被装着体支持部を前記基準軸線の方向に変位させて、前記被装着体に装着された前記Oリングを前記Oリング受け部から離反させるエジェクト機構(MC)を備えていてもよい。
【0009】
請求項5のように、請求項4において、前記エジェクト機構は、前記旋回部に設けられたカム面(50)と、前記被装着体支持部に設けられ前記カム面にカム係合するカムフォロワ面(60)とを有し、前記旋回部の旋回を前記被装着体支持部の前記基準軸線の方向の移動に変換する運動変換機構(MC)を含んでいてもよい。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明では、Oリングの一部が被装着体の環状段部および外周円周面に当接保持されるプリセット状態で、Oリングの残余部と前記外周円周面との間に介在するテーパ部を含む治具ピンが、外周円周面の周囲に旋回される。旋回に伴って、テーパ部が、前記残余部の周方向の一端から他端へと順次に係合し、テーパ部に順次に係合されるOリングの被係合部が、環状段部に当接する位置までテーパ部上をスライド移動する。Oリングにおいてテーパ部に係合される被係合部と前記一部との間の領域が、当該領域の張力で外周円周面に嵌合される。旋回移動する治具ピンのテーパ部に係合される、Oリングの周方向の狭い領域のみをテーパ部に沿ってスライド移動させるので、Oリングの捩じれを抑制して被装着体に装着することができる。
【0011】
請求項2の発明では、Oリング受け部によって受けられたOリングの一部が、被装着体支持部に支持された被装着体の環状段部および外周円周面に当接する状態に保持されるようにプリセットされる。そのプリセット状態で、Oリングの前記一部を除く残余部と外周円周面との間に介在するテーパ部を含む治具ピンが、旋回部の旋回に伴って、外周円周面の周囲に旋回される。旋回に伴って、テーパ部が、前記残余部の周方向の一端から他端へと順次に係合し、テーパ部に順次に係合されるOリングの部分が、環状段部に当接する位置までテーパ部上をスライド移動する。Oリングにおいて、テーパ部に係合される被係合部と前記一部との間の領域が、当該領域の張力で外周円周面に嵌合される。旋回移動する治具ピンのテーパ部に係合される、Oリングの周方向の狭い領域のみをテーパ部に沿ってスライド移動させるので、Oリングの捩じれを抑制して被装着体に装着することができる。
【0012】
請求項3の発明では、Oリング受け部によって受けられたOリングの一部を除く残余部が、補助受け部によって受けられるので、プリセット状態においてOリングが安定して保持される。
請求項4の発明では、旋回部が旋回終了位置に達して、Oリングの装着が完了すると、エジェクト機構によって、被装着体に装着されたOリングが、Oリング受け部から離反される。このため、作業性が向上する。
【0013】
請求項5の発明では、カム面とカムフォロワ面とをカム係合させる簡単な構造で、エジェクト機構を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】(a)は本発明の一実施形態のOリング装着方法において、Oリングが装着される前の被装着体の概略断面図であり、(b)はOリングが装着された後の被装着体の概略断面図である。
図2】Oリング装着装置の概略斜視図である。
図3】Oリング装着装置の概略断面図である。
図4】Oリング装着装置の概略平面図である。
図5】Oリングおよび被装着体がセットされた状態のOリング装着装置の第3部材の周辺の構造の拡大断面図である。
図6】(a)〜(c)は、被装着体支持部の第1部材と旋回部との間に設けられたカムを含む運動変換機構の動作を順次に示す模式図である。
図7】治具ピンの周辺の構造の概略斜視図である。
図8】治具ピンの周辺の構造の概略断面図である。(a)は治具ピンの旋回前の状態を示し、(b)は治具ピンの旋回後の状態を示している。
図9】(a)はプリセット工程に含まれるOリングセット工程において、Oリングがセットされた状態を示すOリング装着装置の平面図である。(b)は(a)のA部の拡大図である。
図10】プリセット工程に含まれる被装着体セット工程を示すOリング装着装置の概略断面図である。
図11】(a)および(b)は、旋回開始時の治具ピンの周辺の構造の一部破断斜視図および概略断面図である。(c)および(d)は、旋回途中の治具ピンの周辺の構造の一部破断斜視図および概略断面図である。(e)は、(d)のE−E断面図であり、(f)は、(d)のF−F断面図である。
図12】Oリング装着装置の概略断面図であり、Oリングの装着が完了した被装着体がエジェクトされた状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に従って説明する。
図1(a)は、本発明の一実施形態のOリング装着方法において、Oリング100が装着される前の被装着体90の概略断面図であり、図1(b)は、Oリング100が装着された後の被装着体90の概略断面図である。図2は、本発明のOリング装着方法に用いるOリング装着装置1の概略斜視図である。
【0016】
図1(a)に示すように、被装着体90は、一端91aが開放された円筒部91と、円筒部91の他端91bを閉塞する端壁部92と、円筒部91の他端91bから径方向外方に延設された環状フランジ93とを含む。被装着体90は、例えば、図示しない対象部品に対して前記対象部品の開口部を閉塞するように装着されるカバー部材である。
円筒部91は、外周円周面94と、内周円周面95とを含む。円筒部91の外周円周面94には、他端91bの近傍において、径方向外方に張り出す環状段部96が形成されている。環状段部96は、一端91a側に開いている。端壁部92の内側面92aには、複数のリブ97が突出形成されている。
【0017】
Oリング100は、本実施形態のOリング装着方法およびOリング装着装置を用いて、被装着体90の円筒部91の一端91a側から、図1(b)に示されるように環状段部96に当接する状態まで、外周円周面94に嵌められる。
仮に、従来のように手作業でOリング100の例えば半周等を同時に外周円周面94に滑らしながら装着する場合を想定する。円筒部91が例えば直径50mm以上と大径に設定される場合では、Oリング100に線径中心回りの捩じり変形が生じ、シール性能に影響する。また、外周円周面94の軸方向の長さが例えば10mm以下と短く設定される場合、Oリング100の弾性による捩じり戻しによってOリング100が外周円周面94から脱落するという問題の発生が懸念される。本実施形態のOリング装着方法およびOリング装着装置1では、装着のときにOリング100に捩じれが生じないようにすることを目的としている。
【0018】
図2に示すように、Oリング装着装置1は、フレーム2と、Oリング受け部3と、被装着体支持部4と、旋回部5と、治具ピン6と、駆動機構7とを備える。図3は、Oリング装着装置1の概略断面図であり、図4は、Oリング装着装置1の概略平面図である。
図2および図3に示すように、フレーム2は、ベース21と、ブロック22と、中心軸23と、複数の支軸24とを含む。中心軸23は、ベース21にブロック22を介して固定されている。中心軸23の中心軸線によって、フレーム2の基準軸線C1が構成されている。複数の支軸24は、中心軸23を中心として円周等配に配置され、各支軸24の下端24aは、ベース21に固定されている。支軸24とを含む。
【0019】
図2に示すように、Oリング受け部3は、基準軸線C1を中心とするリング部材である。Oリング受け部3は、複数の支軸24の上端に固定されている。図3に示すように、Oリング受け部3は、上面3aと、下面3bと、外周3cと、内周3dとを有している。
図2図4に示すように、Oリング受け部3は、内周3dの周方向の一部に、径方向内方へ突出する円弧状の凸部3eを有している。Oリング受け部3は、円弧状の凸部3eの上面から窪む円弧状の受け凹部3fを有している。受け凹部3fは、Oリング受け部3の上方および径方向内方に開放している。受け凹部3fは、Oリング100の周方向の一部101(図5を参照)を受けるように機能する。
【0020】
図3に示すように、被装着体支持部4は、第1部材41と、第2部材42と、第3部材43とを含む。第1部材41は、旋回部5の上面5aによって受けられている。第1部材41は、上面41aと、下面41bと、外周41cと、一対の挿通孔41dとを有している。一対の挿通孔41dは、基準軸線C1と平行に延びている。
第2部材42は、Oリング受け部3の径方向内方に同心的に配置されたリング部材である。第2部材42は、上面42aと、下面42bと、外周42cと、内周42dとを有している。第2部材42は、下面42bが第1部材41の上面41aに沿う状態で、第1部材41に固定されている。
【0021】
中心軸23の上面23aに、基準軸線C1と平行な中心軸線を有する一対の案内軸8が、固定されている。案内軸8は、第1部材41の挿通孔41dに保持されたブッシュ10を挿通して、第2部材42の径方向内方まで延びている。案内軸8は、第1部材41および第2部材42の基準軸線C1回りの回転を規制しつつ、第1部材41および第2部材42を基準軸線C1の方向に案内する。第1部材41の下面41bは、旋回部5の上面5aと摺接しつつ、旋回部5の旋回を許容する。
【0022】
図3および図4に示すように、第2部材42の外周42cとOリング受け部3の内周3dとの間には、隙間Sが設けられている。図4に示すように、第2部材42の外周42cは、Oリング受け部3の内周3dの円弧状の凸部3eに対して相似形で径方向に間隔を設けて対向する円弧状の凹部42eを有している。
Oリング受け部3の凸部3eおよび第2部材42の凹部42eの互いの対向面は、一対の円弧面からなる一対の案内面3g,42gを構成している。案内面3gは、凸部3eの頂面であり、案内面42gは凹部42eの底面である。
【0023】
図5はOリング100および被装着体90がセットされた状態のOリング装着装置1の第3部材43の周辺の構造の拡大断面図である。
図4および図5に示すように、第3部材43は、一対の案内面3g,42gによって、基準軸線C1と平行な方向に案内支持される円弧状部材である。第3部材43は、上面43aと、下面43bと、案内面3gに沿う外面43cと、案内面42gに沿う内面43dとを含む。また、第3部材43の下面43bと第1部材41の上面41aとの間に、付勢部材としての圧縮コイルばね12が介在している。
【0024】
図3図5に示すように、第3部材43の上部の外面43cには、円弧状の凹部43eが設けられている。凹部43eは、径方向外方および上方に開放している。第3部材43の凹部43eと外面43cとの間には、位置決め段部43fが形成されている。
図5に示すように、被装着体支持部4に被装着体90が装着されるときに、被装着体90の円筒部91の内周円周面95の周方向の一部が凹部43eに嵌合され、且つ円筒部91の一端91aの端面91cが、位置決め段部43fに当接し基準軸線C1の方向に位置決めされる。
【0025】
図3および図4に示すように、第2部材42の外周42cには、上面42aから所定距離だけ離隔し、上方に向く環状段部42fが設けられている。図4に示すように、環状段部42fは、C字形をなす径方向の補助受け部としての幅広部42hと、凹部42eに径方向に隣接する幅狭部42kとを含む。
図9(a)に示すように、補助受け部としての幅広部42hは、Oリング100の周方向の一部101が、Oリング受け部3の受け凹部3fに受けられた状態で、Oリング100の一部を除く残余部102を、一部101よりも下方で受ける働きをする。
【0026】
図3に示すように、旋回部5は、ブロック22の上方で中心軸23を取り囲む環状部材である。旋回部5は、フレーム2によって基準軸線C1を中心として旋回可能に支持されている。旋回部5は、中心軸23の外周に保持された軸受9を介して、基準軸線C1を中心として所定の角度範囲(例えば270度)で旋回可能に支持されている。
旋回部5は、上面5aと、下面5bと、外周面5cと、内周面5dとを含む。旋回部5の旋回に伴って、旋回部5の上面5aが第1部材41の下面41bに対して回転する。
【0027】
概略図である図6(a)に示すように、旋回部5の上面5aには、周方向に延びるカム面50が設けられている。カム面50は、低位部51と、高位部52と、第1勾配部53とを含む。低位部51および高位部52は、基準軸線C1と直交する平坦面からなり、周方向に離隔している。高位部52は、低位部51よりも高位に配置されている。第1勾配部53は、低位部51と高位部52との間を接続する傾斜面である。
【0028】
一方、第1部材41の下面41bには、周方向に延びるカムフォロワ面60が設けられている。カムフォロワ面60は、低位部61と、高位部62と、第2勾配部63とを含む。低位部61および高位部62は、基準軸線C1と直交する平坦面からなり、周方向に離隔している。高位部62は、低位部61よりも高位に配置されている。第2勾配部63は、低位部61と高位部62との間を接続する傾斜面である。カム面50の第1勾配部53と、カムフォロワ面60の第2勾配部63とは、互いに逆向きに傾斜している。
【0029】
旋回部5の旋回開始から旋回終了直前までは、図6(a)に示すように、旋回部5および第1部材41の低位部51,61同士が当接し、また高位部52,62同士が当接している。
旋回部5の旋回終了位置付近まで旋回すると、図6(b)に示すように、第1勾配部53と第2勾配部63とがカム係合し、旋回に伴って低位部51,61同士の距離および、高位部52,62同士の距離が漸次拡大されて、第1部材41が押し上げられる。すなわち、第1勾配部53と第2勾配部63とがカム係合することにより、旋回部5の回転が、を第1部材41を基準軸線C1の方向に押し上げる方向の直線運動に変換される。
【0030】
旋回部5が旋回終了位置に達すると、図6(c)に示すように、旋回部5の高位部52が、第1部材41の低位部61と当接し、第1部材41が低位部51と高位部52とのレベル差に相当する量で押し上げられる。
カム面50とカムフォロワ面60とにより、旋回部5が旋回終了位置に達するときに、被装着体支持部4を基準軸線C1の方向に変位させて、被装着体90に装着されたOリング100をOリング受け部3から離反させるエジェクト機構としての運動変換機構MCが構成されている。運動変換機構MCは、旋回部5の旋回を被装着体支持部4の基準軸線C1の方向の上昇移動に変換する。
【0031】
図7は、治具ピン6の周辺の構造の概略斜視図である。図7に示すように、治具ピン6の下端である基端6aは、旋回部5の上面5aの周方向の一部に設けられた固定ブロック11に固定されている。治具ピン6は、基準軸線C1と平行な中心軸線を有している。治具ピン6は、円柱状のピンであり、上端である先端6bに向かって先細り状のテーパ部6cを含む。治具ピン6は、基準軸線C1を中心として、旋回部5と一体に旋回される。
【0032】
概略断面図である図8(a)に示すように、第1部材41の外周41cには、C字形状に延びる嵌合溝41eが形成されている。C字形の嵌合溝41eの周方向の両端位置には、嵌合溝41eの内底面と第1部材41の外周41cとを接続する第1規制部81および第2規制部82が設けられている。
具体的には、旋回部5の旋回に伴って、固定ブロック11が、図8(a)に示すように第1規制部81に当接する状態から、図8(b)に示すように、第2規制部82に当接する状態まで、嵌合溝41eにより案内されて、基準軸線C1回りに旋回される。
【0033】
固定ブロック11に固定された治具ピン6も、固定ブロック11と同行移動して基準軸線C1回りに旋回される。治具ピン6は、第2部材42の外周42cとOリング受け部3の内周3dとの間の隙間S(図3参照)に沿って、旋回される。この旋回のとき、治具ピン6のテーパ部6cが、被装着体90の円筒部91の外周円周面94とOリング100の内周との間を旋回する。
【0034】
図2および図3に示すように、駆動機構7は、駆動プーリ71と、旋回部5により構成される従動プーリ72と、例えば無端ベルトからなる伝達部材73と、支持機構74と、手回し用のハンドルノブ75とを含む。
駆動プーリ71は、基準軸線C1と平行に離隔した中心軸線C2の回りに回転される。従動プーリ72は、旋回部5と一体に形成されている。伝達部材73は、駆動プーリ71と従動プーリ72とに巻き回され、駆動プーリ71の回転を従動プーリ72(旋回部5)に伝達する。
【0035】
支持機構74は、駆動プーリ71をベース21上に支持する。支持機構74は、固定部76と、支軸77と、軸受78とを含む。固定部76は、ベース21に固定されている。固定部76は、中心軸線C2を中心とする中心孔76aを有している。支軸77は、固定部76の中心孔76aに同心的に挿通され,軸受78を介して固定部76に回転可能に支持されている。支軸77は、駆動プーリ71と一体回転可能に連結されている。
【0036】
固定部76は、ベース21に対して位置調整可能に固定され、その位置調整によって、伝達部材73の張力が調整されるようになっている。ハンドルノブ75は、中心軸線C2から離隔した位置に中心軸線C3を有し、駆動プーリ71によって中心軸線C3の回りに回転可能に支持されている。ハンドルノブ75を手で握って駆動プーリ71を中心軸線C2回りに回転させると、その回転が伝達部材73を介して従動プーリ72(旋回部5)に伝達される。
【0037】
次いで、Oリング装着方法を説明する。Oリング装着方法は、プリセット工程と、装着工程とを含む。
プリセット工程では、図5に示すように、Oリング100の周方向の任意の一部101が被装着体90の環状段部96および外周円周面94に当接する状態に保持されるように、Oリング100が、被装着体90にプリセットされる。
【0038】
具体的には、プリセット工程は、図9(a)および図9(a)のA部拡大図である図9(b)に示すように、Oリング装着装置1にOリング100をセットするOリングセット工程と、Oリングセット工程の後に、被装着体90に対して図5に示すようにOリング100の一部101がプリセットされるように、図10および図11に示すようにOリング装着装置1に被装着体90を被装着体セット工程とを含む。
【0039】
Oリングセット工程では、図5および図9(a)に示すように、Oリング100の周方向の一部101が、Oリング受け部3の受け凹部3fによって受けられ、Oリング100の一部101を除く残余部102が、C字形状の補助受け部(幅広部42h)によって受けられる状態にOリング100がセットされる。
Oリング100のセット状態では、図9(b)に示すように、治具ピン6のテーパ部6cが、Oリング100の残余部102の周方向の一端102aの内周に嵌合している。
【0040】
被装着体セット工程では、図10に示すように、被装着体90を円筒部91の一端91a側から、円筒部91が、Oリング受け部3内に基準軸線C1の方向に沿って挿入される。
挿入に伴って、図5に示すように、円筒部91の一部の内周円周面95が、第3部材43の凹部43eに嵌合される。また、挿入に伴って、円筒部91の一端91aの端面91cが、位置決め段部43fに当接し、圧縮コイルばね12が圧縮されて、第3部材43が下降する。
【0041】
下降に伴って、円筒部91の外周円周面94が、Oリング受け部3の受け凹部3fによって受けられたOリング100の一部101の内周に嵌合される。また、被装着体90の端壁部92のリブ97が第2部材42の上面42aで受けられる。また、円筒部91の一端91a側で内周円周面95の一部が、Oリング受け部3の内周3dの一部である案内面3gに嵌合される。すなわち、円筒部91は、第3部材43の凹部43eおよびOリング受け部3の内周3d(の案内面3g)に摩擦係合され、その摩擦係合力によって、被装着体90が被装着体支持部4およびOリング受け部3に保持される。
【0042】
また、第3部材43の下降に伴って、円筒部91が、Oリング100の周方向の一部101が被装着体90の環状段部96および外周円周面94に当接する状態に保持されるように、Oリング100が被装着体90にプリセットされる。
次いで、装着工程では、作業者が、駆動機構7の駆動プーリ71上のハンドルノブ75を握って、駆動プーリ71を中心軸線C2回りに回転駆動する。これにより、従動プーリ72と一体化されている旋回部5が旋回される。
【0043】
図11(a)および図11(b)は、旋回開始時の治具ピン6の周辺の構造の一部破断斜視図および概略断面図である。旋回部5の旋回と同行して旋回される治具ピン6は、そのテーパ部6cが、図11(a)および図11(b)に示すように、Oリング100の残余部102の周方向の一端102aと外周円周面94との間に介在する状態から、図示していないが、テーパ部6cが、残余部102の周方向の他端102b[図9(a)を参照]と外周円周面94との間に介在する状態まで、外周円周面94の周囲に旋回される。
【0044】
治具ピン6の旋回に伴って、テーパ部6cが、残余部102の周方向の一端102aから他端102bへと順次に係合する。
図11(c)および図11(d)は、旋回途中の治具ピン6の周辺の構造の一部破断斜視図および概略断面図である。図11(e)は、図11(d)のE−E断面図であり、図11(f)は、図11(d)のF−F断面図である。
【0045】
図11(c)および図11(d)に示すように、テーパ部6cに順次に係合されるOリング100の被係合部102kが、図11(e)に示すように、環状段部96に当接する位置までテーパ部6c上をスライド移動する。
図11(c)および図11(d)に示すように、Oリング100において、テーパ部6cに係合される被係合部102kと一部101との間の領域Rが、領域Rの張力で、図11(f)に示すように、外周円周面94に嵌合される。
【0046】
図8に示される第2規制部82によって固定ブロック11が第2規制部82に当接して旋回部5の旋回終了位置に達するときに、図6で説明したエジェクト機構としての運動変換機構MCの働きで、図12に示すように、被装着体支持部4が、基準軸線C1の方向に上昇移動される。これにより、被装着体90に装着されたOリング100が、Oリング受け部3(受け凹部3f)から離反される。
【0047】
本実施形態のOリング装着方法では、Oリング100の一部101が被装着体90の環状段部96および外周円周面94に当接保持されるプリセット状態(図5参照)で、図11(a),(c)ないし図11(b),(d)に示すように、Oリング100の残余部102と外周円周面94との間に介在するテーパ部6cを含む治具ピン6が、外周円周面94の周囲に旋回される。
【0048】
旋回に伴って、テーパ部6cが、残余部102の周方向の一端102aから他端102bへと順次に係合し、テーパ部6cに順次に係合されるOリング100の被係合部102kが、図11(e)に示すように、環状段部96に当接する位置までテーパ部6c上をスライド移動する。
図11(c),(d)に示すように、Oリング100において、テーパ部6cに係合される被係合部102kと一部101との間の領域Rが、領域R自身の張力で外周円周面94に嵌合される。旋回移動する治具ピン6のテーパ部6cに係合される、Oリングの周方向の狭い領域(被係合部102k)のみをテーパ部6cに沿ってスライド移動させるので、Oリング100の捩じれを抑制して被装着体90に装着することができる。
【0049】
また、本実施形態のOリング装着装置1では、Oリング受け部3によって受けられたOリング100の一部101が、被装着体支持部4に支持された被装着体90の環状段部96および外周円周面94に当接する状態に保持されるようにプリセットされる。
そのプリセット状態で、Oリング100の一部101を除く残余部102と外周円周面94との間に介在するテーパ部6cを含む治具ピン6が、旋回部5の旋回に伴って、外周円周面94の周囲に旋回される。その旋回に伴って、テーパ部6cが、残余部102の周方向の一端102aから他端102bへと順次に係合し、テーパ部6cに順次に係合されるOリング100の部分(被係合部102k)が、環状段部96に当接する位置までテーパ部6c上をスライド移動する。テーパ部6cに係合される被係合部102kと一部101との間の領域Rが、領域R自身の張力で外周円周面94に嵌合される。旋回移動する治具ピン6のテーパ部6cに係合される、Oリング100の周方向の狭い領域のみをテーパ部6cに沿ってスライド移動させるので、Oリング100の捩じれを抑制して被装着体90に装着することができる。
【0050】
また、Oリング受け部3(受け凹部3f)によって受けられたOリング100の一部101を除く残余部102が、補助受け部(幅広部42h)によって受けられるので、プリセット状態においてOリング100が安定して保持される。
また、旋回部5が旋回終了位置に達して、Oリング100の装着が完了すると、エジェクト機構(運動変換機構MC)によって、被装着体90に装着されたOリング100が、Oリング受け部3から離反される。このため、作業性が向上する。
【0051】
また、カム面50とカムフォロワ面60とをカム係合させる簡単な構造の運動変換機構MCで、エジェクト機構を実現することができる。このため、構造を簡素化することができる。
本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、手動式の駆動機構7に代えて、電動式の駆動機構を用いてもよい。
【0052】
また、前記実施形態では、プリセット工程が、Oリング装着装置1にOリング100のみをセットするOリングセット工程を含む。これに対して、図示していないが、プリセット工程で、まず、被装着体90にOリング100の一部101をセットし、一部101をクランプ治具等で被装着体90に保持するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1…Oリング装着装置、2…フレーム、3…Oリング受け部、4…被装着体支持部、5…旋回部、5a…上面、6…治具ピン、7…駆動機構、8…案内軸、12…圧縮コイルばね、23…中心軸、24…支軸、41…第1部材、41b…下面、42…第2部材、42h…幅広部(補助受け部)、43…第3部材、43e…凹部、43f…位置決め段部、50…カム面、51…低位部、52…高位部、53…第1勾配部、60…カムフォロワ面、61…低位部、62…高位部、63…第2勾配部、71…駆動プーリ、72…従動プーリ、73…伝達部材、75…ハンドルノブ、81…第1規制部、82…第2規制部、90…被装着体、91…円筒部、91a…一端、91b…他端、92…端壁部、93…環状フランジ、94…外周円周面、95…内周円周面、96…環状段部、97…リブ、100…Oリング、101…一部、102…残余部、102a…一端、102b…他端、102k…被係合部、C1…基準軸線、C2…(駆動プーリの)中心軸線、C3…(ハンドルノブの)中心軸線、K1…(被装着体の)中心軸線、MS…運動変換機構(エジェクト機構)、R…領域、S…隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12