特開2017-221614(P2017-221614A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-221614(P2017-221614A)
(43)【公開日】2017年12月21日
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/15 20060101AFI20171124BHJP
   A61F 13/51 20060101ALI20171124BHJP
   A61L 15/20 20060101ALI20171124BHJP
   A61L 15/44 20060101ALI20171124BHJP
   A61F 13/53 20060101ALI20171124BHJP
【FI】
   A61F13/15 142
   A61F13/51
   A61L15/20 200
   A61L15/44 200
   A61F13/53 300
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-121255(P2016-121255)
(22)【出願日】2016年6月17日
(11)【特許番号】特許第6234508号(P6234508)
(45)【特許公報発行日】2017年11月22日
(71)【出願人】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100093665
【弁理士】
【氏名又は名称】蛯谷 厚志
(74)【代理人】
【識別番号】100139022
【弁理士】
【氏名又は名称】小野田 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100192463
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 剛規
(74)【代理人】
【識別番号】100169328
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 健治
(72)【発明者】
【氏名】植田 隆宏
(72)【発明者】
【氏名】林 俊久
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200BB17
3B200BB24
3B200DA16
3B200DB12
3B200DB20
(57)【要約】
【課題】カルボキシル基を有する高分子吸収剤を含む吸収性物品において、抗菌性と、吸液性とに優れる吸収性物品を提供すること。
【解決手段】液透過性シート3と、液不透過性シート5と、液透過性シート3及び液不透過性シート5の間の吸収コア11とを備える吸収性物品1であって、吸収コア11が、カルボキシル基を有する高分子吸収剤17を含み、吸収性物品1が、吸収コア11と、液不透過性シート5との間に、カチオン性抗菌剤が配置されたカチオン性抗菌剤配置シート21を備えることを特徴とする吸収性物品1。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液透過性シートと、液不透過性シートと、前記液透過性シート及び液不透過性シートの間の吸収コアとを備える吸収性物品であって、
前記吸収コアが、カルボキシル基を有する高分子吸収剤を含み、
前記吸収性物品が、前記吸収コアと、前記液不透過性シートとの間に、カチオン性抗菌剤が配置されたカチオン性抗菌剤配置シートを備える、
ことを特徴とする、前記吸収性物品。
【請求項2】
前記カチオン性抗菌剤が、カチオン性抗菌剤溶液として、前記カチオン性抗菌剤配置シートに配置されている、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記吸収コアが、セルロース系繊維をさらに含む、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記吸収コアが、前記吸収コアの厚さ方向の中心面を境界にして、上方領域及び下方領域に区画され、前記上方領域における前記高分子吸収剤の比率が、前記下方領域における前記高分子吸収剤の比率よりも高い、請求項1〜3のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記吸収コアと、前記カチオン性抗菌剤配置シートとの間に追加シートをさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記追加シートのシート密度が、前記カチオン性抗菌剤配置シートのシート密度よりも低い、請求項5に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記追加シートが、セルロース系繊維を含む、請求項5又は6に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記追加シートが疎水性を有する、請求項5〜7のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記吸収コアと、前記カチオン性抗菌剤配置シートとの間に、液不透過性材料層を有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項10】
前記液透過性シートの肌当接面と、前記吸収コアの着衣側面との間にカチオン性抗菌剤が配置されていない、請求項1〜9のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
抗菌剤を含む吸収性物品が知られている。吸収性物品が抗菌剤を含むことにより、吸収した、体液等の液体から、腐敗等による臭気が発生しにくくなる。
例えば、特許文献1には、抗菌性を有する金属を含むカンクリナイト様鉱物、粘土鉱物、針葉樹晒しクラフトパルプ及び広葉樹晒しクラフトパルプを含む消臭抗菌繊維製品、並びに表面シートと吸収体との間、該吸収体内、又は該吸収体と裏面シートとの間に、シート状の形態をした消臭抗菌繊維製品を配した吸収性物品が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−307404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の吸収性物品では、高分子吸収剤が特定の官能基を有する場合に、高分子吸収剤の吸液性を阻害しない抗菌剤の配置については開示していない。
従って、本開示は、カルボキシル基を有する高分子吸収剤を含む吸収性物品において、抗菌性と、吸液性とに優れる吸収性物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示者らは、液透過性シートと、液不透過性シートと、上記液透過性シート及び液不透過性シートの間の吸収コアとを備える吸収性物品であって、上記吸収コアが、カルボキシル基を有する高分子吸収剤を含み、上記吸収性物品が、上記吸収コアと、上記液不透過性シートとの間に、カチオン性抗菌剤が配置されたカチオン性抗菌剤配置シートを備えることを特徴とする吸収性物品を見出した。
【発明の効果】
【0006】
本開示の吸収性物品は、高分子吸収剤がカルボキシル基を有し、抗菌性と、吸液性とに優れる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1実施形態に従う吸収性物品1の平面図である。
図2図2は、図1に示される吸収性物品1のII−II端面における部分端面図である。
図3図3は、第2実施形態に従う吸収性物品1を説明するための図である。
図4図4は、第3実施形態に従う吸収性物品1を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[定義]
・カチオン性抗菌剤配置シート
「カチオン性抗菌剤配置シート」は、布帛シートに、カチオン性抗菌剤を配置することにより形成される。
上記布帛シートとしては、吸収性物品を構成する資材のうち、布帛、例えば、不織布、織布、織物等であれば特に制限されず、例えば、液透過性シート、液不透過性シート、コアラップ(上方コアラップ、下方コアラップ)、追加シート、セカンドシート等が挙げられる。
【0009】
また、カチオン性抗菌剤は、固形状で、又は液状で布帛シートに配置されることができ、カチオン性抗菌剤は、布帛シートを構成する繊維の空隙に少なくとも存在している。なお、カチオン性抗菌剤が固形状であり、布帛シートに固定されていない場合には、カチオン性抗菌剤の一部が、カチオン性抗菌剤配置シートに隣接するシート等に移動し、隣接するシート等に存在する場合がある。また、カチオン性抗菌剤が液状で布帛シートに配置された場合には、例えば、カチオン性抗菌剤溶液が、布帛シートに塗工された場合には、カチオン性抗菌剤配置シートに含まれる、カチオン性抗菌剤溶液の一部が、カチオン性抗菌剤配置シートに隣接するシート等に移動し、隣接するシート等に存在する場合がある。
【0010】
・「上方」及び「下方」
本明細書では、「上方」及び「下方」は、2つの対比すべき要素の厚さ方向の位置関係を表し、一方の要素が、他方の要素の上方にあるとは、一方の要素が、他方の要素よりも、液透過性シートの肌当接面よりにあることを意味し、そして一方の要素が、他方の要素の下方にあるとは、一方の要素が、他方の要素よりも液不透過性シートの着衣当接面よりにあることを意味する。
【0011】
本開示は、以下の態様に関する。
[態様1]
液透過性シートと、液不透過性シートと、上記液透過性シート及び液不透過性シートの間の吸収コアとを備える吸収性物品であって、
上記吸収コアが、カルボキシル基を有する高分子吸収剤を含み、
上記吸収性物品が、上記吸収コアと、上記液不透過性シートとの間に、カチオン性抗菌剤が配置されたカチオン性抗菌剤配置シートを備える、
ことを特徴とする、上記吸収性物品。
【0012】
本願発明者が確認したところ、カルボキシル基を有する高分子吸収剤には、カチオン性抗菌剤が吸着され、カチオン性抗菌剤により、カルボキシル基を有する高分子吸収剤の吸液性が阻害される傾向があることを見出された。
【0013】
吸液性の観点では、上記吸収性物品では、カチオン性抗菌剤が配置されたカチオン性抗菌剤配置シートが、カルボキシル基を有する高分子吸収剤を含む吸収コアよりも下方に存在するので、液透過性シートを透過して吸収コアに到達した、体液等の液体が、カチオン性抗菌剤配置シートと接触しにくく、そして体液等の液体が、カチオン性抗菌剤を物理的に含みにくい。その結果、カチオン性抗菌剤が、カルボキシル基を有する高分子吸収剤に吸着されにくく、カルボキシル基を有する高分子吸収剤の吸液性が、カチオン性抗菌剤により阻害されにくくなる。従って、高分子吸収剤が、その本来の機能を発揮する、すなわち、液透過性シートを透過し、吸収コアに到達した液体を吸収することができる。
【0014】
また、抗菌性の観点では、吸収性物品が、例えば、一時的に大量の液体を吸収した場合には、液体が液透過性シート及び吸収コアを透過し、液体が吸収コアよりも下方に滞留することになる。吸収コアよりも下方に滞留した液体には、時間の経過とともに、菌が繁殖し、液体から悪臭が発生しやすくなる傾向がある。しかし、上記吸収性物品では、カチオン性抗菌剤配置シートに含まれるカチオン性抗菌剤が、吸収コアよりも下方に滞留した液体に直接作用し、吸収コアよりも下方に滞留する液体に菌が繁殖することを抑制し、液体から悪臭が発生することを抑制することができる。
【0015】
[態様2]
上記カチオン性抗菌剤が、上記カチオン性抗菌剤配置シートに、カチオン性抗菌剤溶液として配置されている、態様1に記載の吸収性物品。
上記吸収性物品では、カチオン性抗菌剤が、カチオン性抗菌剤配置シートにカチオン性抗菌剤溶液として配置されているので、体液等の液体が、カチオン性抗菌剤配置シートに到達した際に、カチオン性抗菌剤溶液中に溶解したカチオン性抗菌剤が、迅速に体液等の液体に作用することができる。
【0016】
また、カチオン性抗菌剤溶液は、カチオン性抗菌剤が固形(例えば、粉末)である場合と比較して、吸収コアにより移動しやすくなり、ひいては吸収コアに含まれるカルボキシル基を有する高分子吸収剤の吸液性がカチオン性抗菌剤により阻害されやすいとも考えられるが、上記吸収性物品では、態様1に記載されるように、カチオン性抗菌剤が吸収コアに到達しにくい構成を採用しているため、カチオン性抗菌剤が、カチオン性抗菌剤配置シートにカチオン性抗菌剤溶液として配置されている場合であっても、高分子吸収剤の吸液性が、カチオン性抗菌剤により阻害されにくい。
【0017】
[態様3]
上記吸収コアが、セルロース系繊維をさらに含む、態様1又は2に記載の吸収性物品。
上記吸収性物品では、吸収コアがセルロース系繊維をさらに含むので、吸収性物品の使用時間が長くなる等により、カチオン性抗菌剤配置シートに含まれるカチオン性抗菌剤が、吸収した液体に溶解して吸収コアに移動した場合であっても、セルロース系繊維(のヒドロキシル基)が、カチオン性抗菌剤を吸着することができるので、カルボキシル基を有する高分子吸収剤の吸液性が、カチオン性抗菌剤により阻害されにくい。また、カチオン性抗菌剤が、カチオン性抗菌剤配置シートにカチオン性抗菌剤溶液として配置されている場合には、カチオン性抗菌剤溶液が、吸収コアに移動したときに、セルロース系繊維(のヒドロキシル基)が、カチオン性抗菌剤を吸着することができるので、カルボキシル基を有する高分子吸収剤の吸液性が、カチオン性抗菌剤により阻害されにくい。
【0018】
[態様4]
上記吸収コアが、上記吸収コアの厚さ方向の中心面を境界にして、上方領域及び下方領域に区画され、上記上方領域における上記高分子吸収剤の比率が、上記下方領域における上記高分子吸収剤の比率よりも高い、態様1〜3のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【0019】
上記吸収性物品では、吸収コアの上方領域における高分子吸収剤の比率が、吸収コアの下方領域における高分子吸収剤の比率よりも高いので、液透過性シートを透過し、吸収コアに到達した液体を、上方領域に存在する高分子吸収剤が迅速に吸収しつつ、吸収コアの上方領域が吸収しきれなかった液体を、下方領域に存在する高分子吸収剤が吸収することができるので、吸収コアよりも下方、具体的には、カチオン性抗菌剤配置シートに到達する液体の量を少なくすることができる。
【0020】
また、液透過性シート及び吸収コアを透過し、カチオン性抗菌剤配置シートに到達した液体が、カチオン性抗菌剤を溶解した状態で、上方、具体的には、吸収コアの下方領域に戻ってきた場合であっても、吸収コアの下方領域では、高分子吸収剤の比率が低いため、液体中に溶解したカチオン性抗菌剤による、高分子吸収剤の吸液性への影響を小さくすることができる。さらに、カチオン性抗菌剤が、カチオン性抗菌剤配置シートにカチオン性抗菌剤溶液として配置されている場合には、カチオン性抗菌剤溶液が、吸収コアに移動したときに、吸収コアの下方領域では、高分子吸収剤の比率が低いため、液体中に溶解したカチオン性抗菌剤による、高分子吸収剤の吸液性への影響を小さくすることができる。
【0021】
[態様5]
上記吸収コアと、上記カチオン性抗菌剤配置シートとの間に追加シートをさらに含む、態様1〜4のいずれか一項に記載の吸収性物品。
上記吸収性物品は、吸収コアと、カチオン性抗菌剤配置シートとの間に追加シートをさらに含むので、カチオン性抗菌剤配置シートに配置されたカチオン性抗菌剤が、カチオン性抗菌剤配置シートから、追加シートを超えて吸収コアに移動しにくくなり、高分子吸収剤の吸液性が、カチオン性抗菌剤により阻害されにくい。また、(i)液透過性シート及び吸収コアを透過し、カチオン性抗菌剤配置シートに到達した液体が、カチオン性抗菌剤を溶解した場合、並びに(ii)カチオン性抗菌剤が、カチオン性抗菌剤配置シートにカチオン性抗菌剤溶液として配置されている場合においても、同様の効果が得られる。
【0022】
[態様6]
上記追加シートのシート密度が、上記カチオン性抗菌剤配置シートのシート密度よりも低い、態様5に記載の吸収性物品。
上記吸収性物品では、上記追加シートのシート密度が、カチオン性抗菌剤配置シートのシート密度よりも低い、すなわち、追加シートの毛細管力が、カチオン性抗菌剤配置シートの毛管力より弱い。従って、液透過性シート及び吸収コアを透過し、カチオン性抗菌剤配置シートに到達した液体が、カチオン性抗菌剤を溶解した場合に、液体に溶解したカチオン性抗菌剤が、カチオン性抗菌剤配置シートから追加シートに移動しにくくなり、ひいては液体に溶解したカチオン性抗菌剤が、追加シートを超えて吸収コアに移動しにくくなる。その結果、高分子吸収剤の吸液性が、カチオン性抗菌剤により阻害されにくい。
【0023】
また、カチオン性抗菌剤が、カチオン性抗菌剤配置シートにカチオン性抗菌剤溶液として配置されている場合においても、カチオン性抗菌剤溶液が、カチオン性抗菌剤配置シートから追加シートに移動しにくくなり、ひいてはカチオン性抗菌剤溶液が、追加シートを超えて吸収コアに移動しにくくなる。その結果、高分子吸収剤の吸液性が、カチオン性抗菌剤により阻害されにくい。
【0024】
[態様7]
上記追加シートが、セルロース系繊維を含む、態様5又は6に記載の吸収性物品。
上記吸収性物品では、追加シートがセルロース系繊維を含むので、カチオン性抗菌剤が、カチオン性抗菌剤配置シートから追加シートに移動した場合であっても、カチオン性抗菌剤が、セルロース系繊維(のヒドロキシル基)に吸着されやすく、カチオン性抗菌剤が、吸収コアに移動しにくくなり、ひいてはカチオン性抗菌剤が、追加シートを超えて吸収コアに移動しにくくなる。その結果、高分子吸収剤の吸液性が、カチオン性抗菌剤により阻害されにくい。また、(i)液透過性シート及び吸収コアを透過し、カチオン性抗菌剤配置シートに到達した液体が、カチオン性抗菌剤を溶解した場合、並びに(ii)カチオン性抗菌剤が、カチオン性抗菌剤配置シートにカチオン性抗菌剤溶液として配置されている場合においても、同様の効果が得られる。
【0025】
[態様8]
上記追加シートが疎水性を有する、態様5〜7のいずれか一項に記載の吸収性物品。
上記吸収性物品では、追加シートが疎水性を有するので、液透過性シート及び吸収コアを透過し、カチオン性抗菌剤配置シートに到達した、体液等の液体が、カチオン性抗菌剤を溶解した場合に、カチオン性抗菌剤を含む液体が、カチオン性抗菌剤配置シートから、疎水性を有する追加シートを超えて、吸収コアに移動しにくくなる。また、カチオン性抗菌剤が、カチオン性抗菌剤配置シートにカチオン性抗菌剤溶液として配置されている場合にも、カチオン性抗菌剤溶液が、カチオン性抗菌剤配置シートから、疎水性を有する追加シートを超えて、吸収コアに移動しにくくなる。その結果、高分子吸収剤の吸液性が、カチオン性抗菌剤により阻害されにくい。
【0026】
[態様9]
上記吸収コアと、上記カチオン性抗菌剤配置シートとの間に、液不透過性材料層を有する、態様1〜8のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【0027】
上記吸収性物品では、吸収コアと、カチオン性抗菌剤配置シートとの間に液不透過性材料層が存在するので、液透過性シート及び吸収コアを透過し、カチオン性抗菌剤配置シートに到達した、体液等の液体が、カチオン性抗菌剤を溶解した場合に、カチオン性抗菌剤を含む液体が、カチオン性抗菌剤配置シートから、液不透過性材料層を超えて、吸収コアに移動しにくくなる。また、カチオン性抗菌剤が、カチオン性抗菌剤配置シートにカチオン性抗菌剤溶液として配置されている場合にも、カチオン性抗菌剤溶液が、カチオン性抗菌剤配置シートから、液不透過性材料層を超えて、吸収コアに移動しにくくなる。その結果、高分子吸収剤の吸液性が、カチオン性抗菌剤により阻害されにくい。
【0028】
[態様10]
上記液透過性シートの肌当接面と、上記吸収コアの着衣側面との間にカチオン性抗菌剤が配置されていない、態様1〜9のいずれか一項に記載の吸収性物品。
上記吸収性物品では、上記液透過性シートの肌当接面と、上記吸収コアの着衣側面との間にカチオン性抗菌剤が配置されていないので、液透過性シートを透過し、吸収コアに到達する液体が、カチオン性抗菌剤を含みにくい。その結果、高分子吸収剤の吸液性が、カチオン性抗菌剤により阻害されにくい。
【0029】
本開示の吸収性物品について、以下、詳細に説明する。
[第1実施形態]
図1及び図2は、本開示の実施形態の1つ(以下、「第1実施形態」と称する)に従う吸収性物品1、具体的には、生理用ナプキンを説明するための図である。具体的には、図1は、第1実施形態に従う吸収性物品1の平面図である。図2は、図1に示される吸収性物品1のII−II端面における部分端面図である。
【0030】
第1実施形態に従う吸収性物品1は、お互いに直交する、長手方向L、幅方向W及び厚さ方向Tを有し、そして液透過性シート3と、吸収体7と、布帛シート9と、液不透過性シート5とを、その順番で備える。第1実施形態に従う吸収性物品1は、サイドシート101と、吸収性物品1の端部をシールするシール部103と、液透過性シート3、吸収体7及び布帛シート9をエンボスすることにより形成されたエンボス部105と、吸収性物品1を着衣に固定する固定部107とを有するが、いずれも当技術分野で公知の物であるので詳細な説明を省略する。
【0031】
吸収体7は、吸収コア11と、コアラップ、具体的には、吸収コア11の液透過性シート3よりに配置された上方コアラップ13と、吸収コア11の液不透過性シート5よりに配置された下方コアラップ15とを備える。吸収コア11は、カルボキシル基を有する高分子吸収剤17と、パルプ繊維19とを含む。また、吸収コア11は、吸収コア11の厚さ方向Tの中心面(図示せず)を境界にして、上方領域23及び下方領域25に区画される。
【0032】
吸収コア11と、液不透過性シート5との間、より具体的には、下方コアラップ15と、液不透過性シート5との間に存在する布帛シート9には、カチオン性抗菌剤(図示せず)が配置されており、具体的には塗工されており、布帛シート9が、カチオン性抗菌剤配置シート21を構成している。
【0033】
カチオン性抗菌剤配置シート21を構成する布帛シート9が、吸収コア11よりも着衣側、具体的には、下方コアラップ15と、液不透過性シート5との間に存在することにより、液透過性シート3を透過し、吸収コア11に到達した、体液等の液体が、カチオン性抗菌剤配置シート21と物理的に接触しにくく、カチオン性抗菌剤を含みにくい。従って、カチオン性抗菌剤が、カルボキシル基を有する高分子吸収剤17に吸着されにくく、カルボキシル基を有する高分子吸収剤17の吸液性が、カチオン性抗菌剤により阻害されにくい。その結果、高分子吸収剤17が、その本来の機能に従って、液透過性シート3を透過し、吸収コア11に到達した液体を吸収することができる。
【0034】
また、吸収性物品1が、例えば、一時的に大量に液体を吸収する等により、液透過性シート3及び吸収コア11を透過した液体が、吸収コア11よりも下方に滞留した場合には、時間の経過とともに液体に菌が繁殖し、液体から悪臭が発生する場合がある。吸収性物品1では、吸収コア11よりも下方に滞留した液体に、カチオン性抗菌剤配置シート21に含まれるカチオン性抗菌剤(図示せず)が直接作用し、菌の繁殖、並びに悪臭の発生を抑制することができる。
なお、吸収性物品1が、少量から通常量の液体を吸収した場合には、液透過性シート3を透過して吸収コア11に到達した液体は、吸収コア11に含まれる高分子吸収剤17に吸収されるので、液体に菌が繁殖しにくく、液体から悪臭が発生しにくい。
【0035】
また、第1実施形態に従う吸収性物品1では、吸収コア11の上方領域23における高分子吸収剤17の比率が、吸収コア11の下方領域25における高分子吸収剤17の比率よりも高い。そうすることにより、液透過性シート3を透過し、吸収コア11に到達した液体を、上方領域23に存在する高分子吸収剤17が迅速に吸収しつつ、上方領域23が吸収しきれなかった液体を、下方領域25に存在する高分子吸収剤17が吸収することができるので、カチオン性抗菌剤配置シート21に到達する液体の量を少なくすることができる。
【0036】
また、液透過性シート3及び吸収コア11を透過し、カチオン性抗菌剤配置シート21に到達した液体が、カチオン性抗菌剤を溶解した状態で、吸収コア11の下方領域25に戻ってきた場合であっても、吸収コア11の下方領域25では、高分子吸収剤17の比率が低いため、液体中に溶解したカチオン性抗菌剤による、高分子吸収剤17の吸液性への影響を小さくすることができる。さらに、カチオン性抗菌剤が、カチオン性抗菌剤配置シート21にカチオン性抗菌剤溶液として配置されている場合には、カチオン性抗菌剤溶液が、吸収コア11に移動したときに、吸収コア11の下方領域25では、高分子吸収剤17の比率が低いため、液体中に溶解したカチオン性抗菌剤による、高分子吸収剤17の吸液性への影響を小さくすることができる。
なお、高分子吸収剤17の比率は、吸収コア11、具体的には、高分子吸収剤17及びパルプ繊維19に対する、高分子吸収剤17の質量比を意味する。
【0037】
カチオン性抗菌剤配置シート21を構成している布帛シート9と、吸収コア11との間には、追加シートとしての下方コアラップ15が存在し、下方コアラップ15は、カチオン性抗菌剤が、カチオン性抗菌剤配置シート21を構成する布帛シート9から、吸収コア11の内部へ移動することを抑制するように機能する。第1実施形態では、下方コアラップ15が、パルプ繊維から構成されているため、カチオン性抗菌剤が、カチオン性抗菌剤配置シート21から下方コアラップ15に移動した場合であっても、カチオン性抗菌剤が、パルプ繊維(のヒドロキシル基)に吸着されやすく、カチオン性抗菌剤が、吸収コア11に移動しにくくなり、ひいてはカチオン性抗菌剤が、下方コアラップ15を超えて吸収コア11に移動しにくくなる。
【0038】
第1実施形態では、カチオン性抗菌剤配置シート21を構成する布帛シート9のシート密度が、下方コアラップ15のシート密度よりも高い。そうすることにより、カチオン性抗菌剤配置シート21を構成する布帛シート9の毛管力が、下方コアラップ15の毛管力より高くなり、液透過性シート3及び吸収コア11を透過し、カチオン性抗菌剤配置シート21を構成する布帛シート9に到達した液体が、カチオン性抗菌剤を溶解した場合に、液体に溶解したカチオン性抗菌剤が、カチオン性抗菌剤配置シート21から下方コアラップ15に移動しにくくなり、ひいては液体に溶解したカチオン性抗菌剤が、下方コアラップ15を超えて吸収コア11に移動しにくくなる。
【0039】
また、カチオン性抗菌剤が、カチオン性抗菌剤配置シート21を構成する布帛シート9にカチオン性抗菌剤溶液として配置されている場合においても、カチオン性抗菌剤溶液が、カチオン性抗菌剤配置シート21から下方コアラップ15に移動しにくくなり、ひいてはカチオン性抗菌剤溶液が、下方コアラップ15を超えて吸収コア11に移動しにくくなる。
【0040】
第1実施形態では、液透過性シート3の肌当接面(図示せず)と、吸収コア11の着衣側面(図示せず)との間、具体的には、液透過性シート3、上方コアラップ13及び吸収コア11に、カチオン性抗菌剤が配置されていない。そうすることにより、液透過性シート3を透過し、吸収コア11に到達する液体が、カチオン性抗菌剤を含みにくい。その結果、高分子吸収剤17の吸液性が、カチオン性抗菌剤により阻害されにくい。
【0041】
[第2実施形態]
図3は、本開示の別の実施形態(以下、「第2実施形態」と称する)に従う吸収性物品1を説明するための図である。具体的には、図3は、図1のII−II端面における部分端面図に相当する。
第2実施形態に従う吸収性物品1は、液透過性シート3と、第1吸収体29と、布帛シート9と、第2吸収体31と、液不透過性シート5とをその順番で備える。
【0042】
第1吸収体29は、第1実施形態に従う吸収性物品1の吸収体7と同様であり、具体的には、第1吸収体29は、上方コアラップ13と、吸収コア11と、下方コアラップ15とを、その順番で備える。吸収コア11は、カルボキシル基を有する高分子吸収剤17と、パルプ繊維19とを含む。
また、第1吸収体29と、第2吸収体31との間には、カチオン性抗菌剤を含むカチオン性抗菌剤配置シート21を構成する布帛シート9が配置されている。なお、第2実施形態に従う吸収性物品1は、第1吸収体29と、布帛シート9とをエンボスすることにより形成されたエンボス部105を備える。
【0043】
第2吸収体31は、液透過性シート3よりの第2上方コアラップ35と、液不透過性シート5よりの第2下方コアラップ37と、第2上方コアラップ35及び第2下方コアラップ37の間の高分子吸収剤層33とを備える。高分子吸収剤層33は、カルボキシル基を有する高分子吸収剤17から構成されている。
【0044】
第2実施形態に従う吸収性物品1は、液透過性シート3よりの第1吸収体29と、液不透過性シート5よりの第2吸収体31とを含み、第1吸収体29は、カチオン性抗菌剤配置シート21を構成する布帛シート9よりも肌面側に配置されている。従って、第1実施形態と同様に、第1吸収体29、特にカルボキシル基を有する高分子吸収剤17が、その吸液性を発揮することができる。
【0045】
また、第2実施形態に従う吸収性物品1は、第1吸収体29と、カチオン性抗菌剤配置シート21を構成する布帛シート9とよりも下方に第2吸収体31を備えるとともに、第2吸収体31が、カルボキシル基を有する高分子吸収剤17から成る高分子吸収剤層33を含む。従って、例えば、吸収性物品1が、一時的に大量の液体を吸収した場合等に、液透過性シート3及び第1吸収体29を透過し、第1吸収体29よりも下方に滞留した液体に対し、第2吸収体31の高分子吸収剤層33の高分子吸収剤17が、液体を吸収するまでの間に、カチオン性抗菌剤配置シート21を構成する布帛シート9のカチオン性抗菌剤が作用し、液体に菌が繁殖すること、並びに液体から悪臭が発生することを抑制することができる。
その他の部分は、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0046】
[第3実施形態]
図4は、本開示の別の実施形態(以下、「第3実施形態」と称する)に従う吸収性物品1を説明するための図である。具体的には、図4は、図1のII−II端面における部分端面図に相当する。
第3実施形態に従う吸収性物品1は、液透過性シート3と、吸収体7と、液不透過性材料層39と、カチオン性抗菌剤配置シート21を構成する布帛シート9と、液不透過性シート5とをその順番で備える。また、吸収体7は、吸収コア11の液透過性シート3よりに配置された上方コアラップ13と、吸収コア11と、吸収コア11の液不透過性シート5よりに配置された下方コアラップ15とを備える。
【0047】
液不透過性材料層39は、下方コアラップ15の着衣側面(図示せず)に間欠的に塗工されたホットメルト接着剤により形成され、吸収性物品1の平面方向に網状に拡がっている。第3実施形態に従う吸収性物品1が、吸収体7と、カチオン性抗菌剤配置シート21を構成する布帛シート9との間に、液不透過性材料層39を備えることにより、カチオン性抗菌剤配置シート21を構成する布帛シート9から、カチオン性抗菌剤が、液不透過性材料層39を超えて、吸収コア11に移動しにくくなり、ひいては吸収コア11に含まれるカルボキシル基を有する高分子吸収剤17の吸液性が、カチオン性抗菌剤により阻害されにくくなる。
その他の部分は、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0048】
本開示の吸収性物品では、吸収コアに含まれる、カルボキシル基を有する高分子吸収剤としては、カルボキシル基を有するものであれば、特に制限されず、例えば、デンプン系、セルロース系、合成ポリマー系の高分子吸収剤が挙げられる。デンプン系又はセルロース系の高分子吸収剤としては、例えば、デンプン−アクリル酸(塩)グラフト共重合体、デンプン−アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物等が挙げられ、合成ポリマー系の高分子吸収剤としては、例えば、ポリアクリル酸塩系、ポリスルホン酸塩系、無水マレイン酸塩系、ポリアクリルアミド系、ポリビニルアルコール系、ポリエチレンオキシド系、ポリアスパラギン酸塩系、ポリグルタミン酸塩系、ポリアルギン酸塩系、デンプン系、セルロース系等の高吸水性ポリマー(SAP,Super absorbent Polymer)等が挙げられ、本開示の効果の観点からは、ポリアクリル酸塩系(特に、ポリアクリル酸ナトリウム系)の高分子吸収剤が好ましい。
【0049】
本開示の吸収性物品では、カチオン性抗菌剤配置シートに配置されうるカチオン性抗菌剤としては、当技術分野で公知のものが含まれ、例えば、第4級アンモニウム塩、グアニジン系抗菌剤(例えば、グルコン酸クロルヘキシジン、塩酸クロルヘキシジン)、ビグアナイド系抗菌剤、金属イオン担持物、ヘキセチジン、メタロニダゾール等が挙げられ、第4級アンモニウム塩が好ましい。
【0050】
第4級アンモニウム塩は、第4級アンモニウム塩構造を分子内に有していれば、特に限定されるものではないが、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ポリオキシエチレンアルキルメチルアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩等が挙げられ、下記式(1)〜(4)で示される第4級アンモニウム塩が挙げられる。
[R(CH33+lX 式(1)
[R(CH3)N+(CH2CH2O)mH[(CH2CH2O)nH]]lX 式(2)
[R(CH32+CH265lX 式(3)
[RPy+lX 式(4)
(式中、Rは、それぞれ独立して、アルキル基を表し、Xは、それぞれ独立して、1価または2価の陰イオンを表す。lは、それぞれ独立して、1又は2の整数を表し、m及びnは、それぞれ独立して、2〜40の整数を表し、Pyはピリジン環を表す。)
【0051】
上記アルキル基は、殺菌力の高さから、長鎖アルキル基であることが好ましく、炭素数8〜18の飽和炭化水素基であることがより好ましく、オクチル基、ラウリル基、ミリスチル基、及びセチル基であることがさらに好ましく、そしてラウリル基であることがさらにいっそう好ましい。
第4級アンモニウム塩は、F-、Cl-、Br-、I-等のハロゲン化物イオン、NO-、およびSO42-等との塩であり、電気陰性度が高いCl-等との塩であることが好ましい。
第4級アンモニウム塩の好ましい具体例としては、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化デカリニウム等が挙げられる。
【0052】
上記ビグアナイド系抗菌剤としては、ポリアミノプロピルビグアナイド及びその塩、例えば、塩酸塩、ステアリン酸塩、リン酸塩等、グルコン酸クロルヘキシジン、塩酸クロルヘキシジン、ポリヘキサメチレングアニジン塩酸塩、ポリヘキサメチレングアニジンリン酸塩、ポリヘキサメチレンビグアナイド塩酸塩、ポリヘキサメチレンビグアナイドステアリン酸塩、ポリ[オキシエチレン(ジメチルイミニオ)エチレン(ジメチルイミニオ)エチレンジクロリド]、並びにそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0053】
上記金属イオン担持物としては、金属イオンを放出しうるもの、例えば、金属塩が挙げられる。上記金属イオンとしては、例えば、銀イオン、亜鉛イオン、アルミニウムイオン、コバルトイオン、ジルコニウムイオン、セリウムイオン、鉄イオン、銅イオン、ニッケルイオン、白金イオン等が挙げられ、銀イオンが好ましい。
上記金属塩しては、例えば、硝酸塩、例えば、硝酸銀、硝酸アルミニウム、硝酸コバルト、硝酸ジルコニウム、硝酸セリウム、硝酸鉄、硝酸銅、硝酸ニッケル、酢酸塩、例えば、酢酸銀、塩酸塩、例えば、塩化セリウム、塩化鉄、塩化亜鉛、塩化銅、硫酸塩、例えば、硫酸銀、硫酸アルミニウム、硫酸銅、硫酸亜鉛等が挙げられる。
【0054】
上記カチオン性抗菌剤は、カチオン性抗菌剤配置シートに、固形状で、例えば、カチオン性抗菌剤の粉末として、又は溶液状で、例えば、カチオン性抗菌剤と、溶媒(例えば、水)とを含むカチオン性抗菌剤溶液として配置されうる。
【0055】
本開示の吸収性物品では、第1実施形態に示されるように、吸収コアが、カルボキシル基を有する高分子吸収剤に加えて、セルロース系繊維をさらに含むことが好ましい。吸収性物品の使用時間が長くなる等により、カチオン性抗菌剤配置シートに含まれるカチオン性抗菌剤が、吸収した液体に溶解して吸収コアに移動した場合であっても、セルロース系繊維(のヒドロキシル基)が、カチオン性抗菌剤を吸着することができる等の理由による。
【0056】
上記セルロース系繊維としては、ヒドロキシル基を有するものが挙げられ、例えば、天然セルロース繊維、再生セルロース繊維、精製セルロース繊維及び半合成セルロース繊維が挙げられる。
上記天然セルロース繊維としては、植物繊維、例えば、パルプ繊維(例えば、木材パルプ、非木材パルプ)、種子毛繊維(例えば、コットン)、じん皮繊維(例えば、麻)、葉脈繊維(例えば、マニラ麻)、果実繊維(例えば、やし)が挙げられる。
【0057】
上記再生セルロース繊維としては、レーヨン、例えば、ビスコースから得られるビスコースレーヨン、ポリノジック及びモダール、セルロースの銅アンモニア塩溶液から得られる銅アンモニアレーヨン(「キュプラ」とも称される)等の繊維が挙げられる。
【0058】
上記精製セルロース繊維としては、リヨセル、具体的には、パルプを、N−メチルモルホリンN−オキシドの水溶液に溶解させて紡糸原液(ドープ)とし、N−メチルモルホリンN−オキシドの希薄溶液中に押出して繊維としたものが挙げられる。上記精製セルロースは、例えば、テンセル(商標)として市販されている。
上記半合成繊維としては、半合成セルロース、例えば、アセテート繊維、例えば、トリアセテート及びジアセテート等の繊維が挙げられる。
【0059】
本開示の吸収性物品において、吸収コアが、高分子吸収剤と、その他の成分(例えば、セルロース系繊維)とを含む場合には、吸収コアの厚さ方向において、高分子吸収剤の比率が一定であっても、一定でなくともよい。
吸収コアの厚さ方向において、高分子吸収剤の比率が一定でない場合には、第1実施形態に示されるように、吸収コアの上方領域における高分子吸収剤の比率が、吸収コアの下方領域における高分子吸収剤の比率よりも好ましくは高く、より好ましくは1.1〜2.0倍高く、そしてさらに好ましくは1.2〜1.8倍高い。吸液性と、抗菌性との両立の観点からである。
【0060】
高分子吸収剤の比率は、吸収体から上方領域及び下方領域を切り出し、上方領域及び下方領域のそれぞれにおいて、高分子吸収剤と、その他の成分とを選別し、それらの質量を測定することにより算出することができる。
【0061】
本開示の吸収性物品では、カルボキシル基を有する高分子吸収剤を含む吸収コアと、カチオン性抗菌剤を配置したカチオン性抗菌剤配置シートとの間に追加シートが存在することが好ましい。また、上記追加シートは、カチオン性抗菌剤が、カチオン性抗菌剤配置シートから吸収コアに移動することを抑制することができることがより好ましい。そうすることにより、カルボキシル基を有する高分子吸収剤の吸液性が、カチオン性抗菌剤により阻害されにくくなる。
【0062】
上記追加シートとしては、上述のセルロース系繊維を含む布帛(例えば、不織布、織布等)であることが好ましく、ヒドロキシル基を有するセルロース系繊維を含む布帛であることがより好ましい。カチオン性抗菌剤配置シートに配置されたカチオン性抗菌剤が、追加シート内のセルロース系繊維のヒドロキシル基に吸着しやすくなり、カチオン性抗菌剤配置シートから吸収コアに向かって移動したカチオン性抗菌剤が、追加シート内に留まりやすくなり、その結果、カチオン性抗菌剤が、追加シートを超えて吸収コアに移動しにくくなるからである。
【0063】
上述のセルロース系繊維を含む布帛としては、パルプ繊維から構成されるティッシュ等が挙げられ、当該ティッシュを含む例としては、吸収性物品が、吸収体のコアラップとして、ティッシュを含む例が挙げられる。
【0064】
上記追加シートのシート密度は、カチオン性抗菌剤配置シートのシート密度よりも低いことが好ましい。そうすることにより、カチオン性抗菌剤が、カチオン性抗菌剤配置シートから追加シートに移動しにくくなり、ひいては、カチオン性抗菌剤が、カチオン性抗菌剤配置シートから吸収コアに移動しにくくなる。
【0065】
上記シート密度は、カチオン性抗菌剤を含まないシートの坪量を、シートの厚さで除することにより算出される。
また、シートの厚さは、以下の通り測定する。
株式会社大栄科学精器製作所製のFS−60DS(測定子の面積:15cm2)を用いて、シートを、定圧:3g/cm2で加圧し、加圧10秒後の高さを、シートの厚さとして採用する。
【0066】
上記追加シートは、疎水性を有していてもよい。そうすることにより、カチオン性抗菌剤が、カチオン性抗菌剤配置シートから追加シートを透過して、吸収コアに移動しにくくなり、そして高分子吸収剤の吸液性がカチオン性抗菌剤により阻害されにくくなる。
上記作用は、カチオン性抗菌剤配置シートが、カチオン性抗菌剤を、カチオン性抗菌剤水溶液として含む場合により顕著である。
【0067】
本開示の吸収性物品では、吸収コアと、カチオン性抗菌剤含有層との間に、液不透過性材料から構成される液不透過性材料層を含むことができる。当該液不透過性材料層を構成する材料としては、例えば、ホットメルト接着剤が挙げられる。上記液不透過性材料層は、吸収性物品の平面方向に連続的に配置されていてもよいが、吸収性物品の平面方向に間欠的に、例えば、網目状に配置されていることが好ましい。吸収性物品が吸収した液体を、カチオン性抗菌剤含有層に到達させ、液体にカチオン性抗菌剤を作用させる観点からである。
【0068】
上記液不透過性材料層の液不透過性材料は、疎水性を有することが好ましい。そうすることにより、カチオン性抗菌剤が、カチオン性抗菌剤配置シートから液不透過性材料層を透過して、吸収コアに移動しにくくなり、そして高分子吸収剤の吸液性がカチオン性抗菌剤により阻害されにくくなる。
上記作用は、カチオン性抗菌剤配置シートが、カチオン性抗菌剤を、カチオン性抗菌剤水溶液として含む場合により顕著である。
【0069】
本開示の吸収性物品は、液透過性シートの肌当接面と、吸収コアの着衣側面との間にカチオン性抗菌剤が配置されていない、例えば、液透過性シート、吸収コア、上方コアラップ、液透過性シートと、上方コアラップとの間に配置されたセカンドシート等に、カチオン性抗菌剤が配置されていないことが好ましい。換言すると、液透過性シート、吸収コア、上方コアラップ、液透過性シートと、上方コアラップとの間に配置されたセカンドシート等が、カチオン性抗菌剤が配置されたカチオン性抗菌剤配置シートを構成しないことが好ましい。そうすることにより、体液等の液体が、液透過性シートを透過し、吸収コアに移動するまでの間に、液体にカチオン性抗菌剤が溶解しにくくなり、液体に溶解したカチオン性抗菌剤が、吸収コアのカルボキシル基を有する高分子吸収剤の吸液性を阻害することが生じにくくなる。
【符号の説明】
【0070】
1 吸収性物品
3 液透過性シート
5 液不透過性シート
7 吸収体
9 布帛シート
11 吸収コア
13 上方コアラップ
15 下方コアラップ
17 高分子吸収剤
19 パルプ繊維
21 カチオン性抗菌剤配置シート
23 上方領域
25 下方領域
29 第1吸収体
31 第2吸収体
33 高分子吸収剤層
35 第2上方コアラップ
37 第2下方コアラップ
39 液不透過性材料層
101 サイドシート
103 シール部
105 エンボス部
107 固定部
L 長手方向
W 幅方向
T 厚さ方向
図1
図2
図3
図4