特開2017-224793(P2017-224793A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-224793(P2017-224793A)
(43)【公開日】2017年12月21日
(54)【発明の名称】冷却器およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/473 20060101AFI20171124BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20171124BHJP
【FI】
   H01L23/46 Z
   H05K7/20 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-121170(P2016-121170)
(22)【出願日】2016年6月17日
(71)【出願人】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】特許業務法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河内 達磨
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322FA03
5F136BC05
5F136CB06
5F136CB07
5F136CB08
5F136DA27
5F136FA03
5F136FA70
5F136FA75
5F136GA40
(57)【要約】
【課題】冷却用流体が充填される空間を容易に形成でき、電子部品を良好に冷却できる冷却器およびその製造方法を提供する。
【解決手段】冷却器1は、ベースプレート5aと、ベースプレート5a上に積層配置された複数枚の積層プレート5bとを含む積層構造体6を有している。複数枚の積層プレート5bは、複数の貫通孔9をそれぞれ有しており、平面視で複数の貫通孔9同士が互いに重なり合うようにベースプレート5a上に積層配置されている。積層構造体6において、複数枚の積層プレート5bの積層方向に連通する複数の貫通孔9によって形成された複数の空間14には、潜熱蓄熱材7が充填されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を冷却するための冷却器であって、
ベースプレートと、それぞれが複数の貫通孔を有し、平面視で前記複数の貫通孔同士が互いに重なり合うように前記ベースプレート上に積層配置された複数枚の積層プレートとを含む積層構造体と、
前記積層構造体において、前記複数枚の積層プレートの積層方向に連通する前記複数の貫通孔によって形成された複数の空間に充填された冷却用流体とを含む、冷却器。
【請求項2】
前記冷却用流体が充填された前記複数の空間を閉塞するように前記積層構造体に圧入嵌合された金属製の蓋部材をさらに含む、請求項1に記載の冷却器。
【請求項3】
各前記積層プレートは、円板状に形成されており、前記円板状の径方向に沿って延びる平面視帯状の第1領域と、前記第1領域と交差するように前記円板状の径方向に沿って延びる平面視帯状の第2領域とを含み、
各前記積層プレートにおいて、前記複数の貫通孔は、前記第1領域および前記第2領域以外の領域に選択的に形成されている、請求項2に記載の冷却器。
【請求項4】
前記複数枚の積層プレートは、当該複数枚の積層プレートの前記第1領域同士が互いに接続され、かつ、当該複数枚の積層プレートの前記第2領域同士が互いに接続されるように積層されている、請求項3に記載の冷却器。
【請求項5】
電子部品を冷却するための冷却器の製造方法であって、
積層プレートに複数の貫通孔を選択的に形成する貫通孔形成工程と、
前記複数の貫通孔が形成された複数枚の前記積層プレートを、平面視で前記複数の貫通孔同士が互いに重なり合うようにベースプレート上に積層することによって積層構造体を形成する工程と、
前記積層構造体において、前記複数枚の積層プレートの積層方向に連通する前記複数の貫通孔によって形成された複数の空間に冷却用流体を充填する工程とを含み、
前記貫通孔形成工程は、エッチングによって前記複数の貫通孔を形成する工程を含む、冷却器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品を冷却するための冷却器およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電子部品を冷却するための冷却器の一例としてのヒートシンクが開示されている。このヒートシンクは、その内部に、冷却用流体が充填される複数の流路(空間)が形成された1つの金属体からなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−183119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
金属体に形成された空間内に冷却用流体が充填される構造では、当該冷却用流体と金属体との接触面積を大きくするため、金属体内に複数の空間を形成する必要がある。しかし、特許文献1に開示されているように、冷却器が1つの金属体からなる場合では、当該金属体の厚さ方向に比較的深い複数の空間を作り込まなければならないため、製造が容易でない。
【0005】
そこで、本発明は、冷却用流体が充填される空間を容易に形成でき、電子部品を良好に冷却できる冷却器およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、電子部品(4)を冷却するための冷却器(1)であって、ベースプレート(5a)と、それぞれが複数の貫通孔(9)を有し、平面視で前記複数の貫通孔同士が互いに重なり合うように前記ベースプレート上に積層配置された複数枚の積層プレート(5b)とを含む積層構造体(6)と、前記積層構造体において、前記複数枚の積層プレートの積層方向に連通する前記複数の貫通孔によって形成された複数の空間(14)に充填された冷却用流体(7)とを含む、冷却器(1)である。なお、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素等を表すが、むろん、この発明の範囲は当該実施形態に限定されない。以下、この項において同じ。
【0007】
請求項2に記載の発明は、前記冷却用流体が充填された前記複数の空間を閉塞するように前記積層構造体に圧入嵌合された金属製の蓋部材(8)をさらに含む、請求項1に記載の冷却器である。
請求項3に記載の発明は、各前記積層プレートは、円板状に形成されており、前記円板状の径方向に沿って延びる平面視帯状の第1領域(11)と、前記第1領域と交差するように前記円板状の径方向に沿って延びる平面視帯状の第2領域(12)とを含み、各前記積層プレートにおいて、前記複数の貫通孔は、前記第1領域および前記第2領域以外の領域(A1、A2,A3,A4)に選択的に形成されている、請求項2に記載の冷却器である。
【0008】
請求項4に記載の発明は、前記複数枚の積層プレートは、当該複数枚の積層プレートの前記第1領域同士が互いに接続され、かつ、当該複数枚の積層プレートの前記第2領域同士が互いに接続されるように積層されている、請求項3に記載の冷却器である。
請求項5に記載の発明は、電子部品(4)を冷却するための冷却器(1)の製造方法であって、積層プレート(5b)に複数の貫通孔(9)を選択的に形成する貫通孔形成工程(S1)と、前記複数の貫通孔が形成された複数枚の前記積層プレートを、平面視で前記複数の貫通孔同士が互いに重なり合うようにベースプレート(5a)上に積層することによって積層構造体(6)を形成する工程(S2)と、前記積層構造体において、前記複数枚の積層プレートの積層方向に連通する前記複数の貫通孔によって形成された複数の空間(14)に冷却用流体(7)を充填する工程(S3)とを含み、前記貫通孔形成工程は、エッチングによって前記複数の貫通孔を形成する工程を含む、冷却器(1)の製造方法である。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明は、積層構造体に形成された複数の空間に冷却用流体が充填された構成を有している。これにより、電子部品で生じた熱を、積層構造体を介して冷却用流体によって吸収させることができるから、電子部品で生じた熱を効率良く放熱できる。よって、電子部品を良好に冷却できる。
また、請求項1に記載の発明では、1つの金属体からなる冷却器と同等の厚さの冷却器を製造する場合を想定すると、当該金属体よりも薄い複数枚の積層プレートを積層させた構造となるから、1枚当たりの積層プレートの加工が容易となる。したがって、積層プレートに複数の貫通孔を容易に形成できる。そして、これら複数の貫通孔が積層方向に連通するように複数枚の積層プレートを積層配置することによって、冷却用流体が充填される複数の空間を形成できるので、1つの金属体に対して複数の空間を形成する場合に比べて、当該空間の形成が容易である。よって、冷却用流体が充填される空間を容易に形成でき、電子部品を良好に冷却できる冷却器を提供できる。
【0010】
請求項2に記載の発明では、複数の空間を閉塞する蓋部材を備えているので、積層構造内に冷却用流体を良好に封入できる。よって、電子部品で生じた熱を冷却用流体によって良好に吸収させることができる。
請求項3に記載の発明では、互いに交差するように径方向に沿って延びる平面視帯状の第1部分および第2部分によって、各積層プレートが縮径するのを抑制できる。これにより、積層構造体が蓋部材に圧入される際に、当該積層構造体が縮径するのを良好に抑制できる。よって、蓋部材への圧入前後において積層構造内に冷却用流体が封入された状態を良好に維持できる。
【0011】
請求項4に記載の発明では、各積層プレートの第1部分同士が積層方向に互いに接続され、かつ各積層プレートの第2部分同士が積層方向に互いに接続されているので、径方向に対する積層構造体の強度をより一層高めることができる。
請求項5に記載の発明によれば、請求項1において述べた効果と同様の効果を奏することのできる冷却器を製造し、提供できる。また、貫通孔を形成する手段としてエッチングを選択することにより、ドリル加工、ワイヤカット加工、放電加工等のエッチング以外の加工法によって貫通孔を形成する場合に比べて、平面視形状が複雑な貫通孔を容易に形成できる。また、エッチング以外の加工法によって貫通孔を積層プレートに形成する場合に比べて、積層プレートの材質強度による制限を緩和できるから、複数の貫通孔間の距離を良好に狭めることができる。よって、冷却用流体が充填される空間の容積を良好に増加させることができると共に、冷却用流体と積層構造体(積層プレート)との接触面積を良好に増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る冷却器が適用された回路モジュールの模式的な断面図である。
図2図2は、積層構造体のみを示す模式的な分解斜視図である。
図3図3は、図1の冷却器の製造方法の一例を示す工程図である。
図4図4は、積層プレートの一変形例を示す模式的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、本発明の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る冷却器1が適用された回路モジュール101の模式的な断面図である。図2は、後述する積層構造体6のみを示す模式的な分解斜視図である。
図1を参照して、回路モジュール101は、冷却器1と、冷却器1に接合された絶縁基板3と、絶縁基板3に接合された半導体スイッチング素子4(電子部品)とを含む。冷却器1は、半導体スイッチング素子4で生じた熱を吸収することによって、当該半導体スイッチング素子4を冷却する。
【0014】
冷却器1は、複数枚のプレート5a,5bが積層配置された積層構造体6と、積層構造体6内に封入された潜熱蓄熱材7(冷却用流体)と、積層構造体6を収容する蓋部材8とを含む。なお、図1および図2では、説明の便宜上、6枚のプレート5a,5bが積層配置された構成を示しているが、積層構造体6は、実際には、30枚〜50枚程度のプレート5a,5bが積層された構成とされる。むろん、プレート5a,5bの枚数は、これに限定されるものではなく、積層構造体6は、30枚以下または50枚以上のプレート5a,5bを含んでいてもよい。
【0015】
複数枚のプレート5a,5bは、いずれも厚さが0.1mm以上1.0mm以下(本実施形態では0.5mm程度)の金属製(たとえば銅製)の薄板からなり、固相接合によって一体化されている。これらの複数枚のプレート5a,5bには、積層構造体6の底部を形成するベースプレート5aと、当該ベースプレート5a上に積層配置された複数枚の積層プレート5bとが含まれる。
【0016】
図2を参照して、ベースプレート5aは、平坦な円板状に形成されており、複数枚の積層プレート5bは、いずれもベースプレート5aとほぼ同一径の円板状に形成されている。複数枚の積層プレート5bは、複数の貫通孔9を有しており、平面視で複数の貫通孔9同士が互いに重なり合うようにベースプレート5a上に積層配置されている。
より具体的には、複数枚の積層プレート5bは、いずれもほぼ等しい平面視形状に形成されており、径方向に沿って延びる平面視帯状の第1領域11と、第1領域11と交差(本実施形態では直交)するように径方向に沿って延びる平面視帯状の第2領域12と、第1領域11の端部および第2領域12の端部同士を連結するように周方向に沿って延び、当該積層プレート5bの外周縁を形成する円環状の連結領域13とを含む。なお、「径方向」および「周方向」とは、円板状の積層プレート5bの径方向および周方向を意味する。第1領域11および第2領域12は、各積層プレート5bの中央部において互いに交差(直交)しており、これら第1領域11および第2領域12によって、各積層プレート5bに十字形状の領域が形成されている。
【0017】
複数の貫通孔9は、第1領域11および第2領域12以外の領域に選択的に形成されている。より具体的には、複数の貫通孔9は、第1領域11、第2領域12および連結領域13によって区画された4つの領域A1,A2,A3,A4内に形成されている。複数の貫通孔9は、本実施形態では、前記4つの領域A1,A2,A3,A4内のそれぞれにおいて、第2領域12に沿って延びるストライプ状に形成されている。
【0018】
複数枚の積層プレート5bは、それらの平面視形状が互いに整合する態様でベースプレート5a上に積層配置されている。より具体的には、複数枚の積層プレート5bは、平面視で貫通孔9同士が互いに重なり合うように積層されている。また、複数枚の積層プレート5bは、それらの第1領域11同士が積層方向に互いに接続され、かつ、それらの第2領域12同士が積層方向に互いに接続されるように積層されている。このようにして、積層構造体6には、積層方向に連通する複数の貫通孔9によって複数の凹状の空間14が形成されている。これら複数の空間14は、複数の貫通孔9の平面視形状に整合する平面視形状を有しており、当該複数の空間14の底部には、ベースプレート5aが露出している。
【0019】
図1を参照して、潜熱蓄熱材7は、積層構造体6に形成された複数の空間14のそれぞれに充填されている。潜熱蓄熱材7としては、たとえばエリスリトール、パラフィン等が用いられる。粘度を上げるため、増粘材がエリスリトール、パラフィン等に加えられたものが潜熱蓄熱材7として用いられていてもよい。
蓋部材8は、潜熱蓄熱材7が充填された複数の空間14を閉塞するように積層構造体6に圧入嵌合されている。より具体的には、蓋部材8は、金属製(たとえば銅製)の部材からなり、複数の空間14を閉塞する円板状の底壁部8aと、積層構造体6の側面に沿って底壁部8aの周縁からベースプレート5a側に向けて延びる円筒状の側壁部8bとを含む。蓋部材8の側壁部8bは、全ての積層プレート5bの側面を被覆していると共に、ベースプレート5aの側面も被覆している。
【0020】
絶縁基板3は、冷却器1の蓋部材8上に配置されており、当該蓋部材8に対向する一方表面3aと、その反対側の他方表面3bとを含む。絶縁基板3の一方表面3aには、第1金属膜21が選択的に形成されており、絶縁基板3の他方表面3bには、第2金属膜22が選択的に形成されている。絶縁基板3の一方表面3a側に形成された第1金属膜21は、たとえば金属製の第1接合材23を介して冷却器1の蓋部材8に接合されている。
【0021】
半導体スイッチング素子4は、本実施形態では、複数の電極が設けられた電極面4aと、その反対面であり、いずれの電極も形成されていない非電極面4bとを有する、いわゆる横型のFET(Field effect transistor:電界効果トランジスタ)である。半導体スイッチング素子4の非電極面4bは、たとえば金属製の第2接合材24を介して絶縁基板3の他方表面3b側に形成された第2金属膜22に接合されている。これにより、半導体スイッチング素子4は、非電極面4bを絶縁基板3の他方表面3bに対向させた状態で当該絶縁基板3に接合されている。また、これにより、半導体スイッチング素子4は、絶縁基板3を介して冷却器1に熱的に接続されている。
【0022】
次に、図3を参照して、冷却器1の製造方法の一例について説明する。
冷却器1を製造するに当たり、まず、積層プレート5bに貫通孔9が選択的に形成される(図3のステップS1)。より具体的には、貫通孔9を形成するに当たり、まず、当該貫通孔9を形成すべき領域を露出させる開口を選択的に有するマスクが積層プレート5bの表面に形成される。次いで、当該マスクを介するエッチングにより、積層プレート5bの不要な部分が除去される。これにより、第1領域11、第2領域12および連結領域13を有し、それらの領域外の領域A1,A2,A3,A4に複数の貫通孔9が選択的に形成された積層プレート5bが形成される。
【0023】
次いで、ステップS1の工程を経て複数の貫通孔9が形成された複数枚の積層プレート5bが、貫通孔9を有さない平坦なベースプレート5a上に積層されて、積層構造体6が形成される(図3のステップS2)。ベースプレート5aおよび積層プレート5b、ならびに積層方向に対向する複数枚の積層プレート5bは、いずれも固相接合法によって互いに固相接合される。複数枚の積層プレート5bは、平面視で貫通孔9同士が互いに重なり合うように積層される。また、複数枚の積層プレート5bは、それらの第1領域11同士が積層方向に互いに接続され、かつ、それらの第2領域12同士が積層方向に互いに接続されるように積層される。
【0024】
次いで、複数枚の積層プレート5bの積層方向に連通する複数の貫通孔9によって形成された空間14に、潜熱蓄熱材7が充填される(図3のステップS3)。
次いで、円板状の底壁部8aと、底壁部8aの周縁に立設された円筒状の側壁部8bとを含む蓋部材8が、潜熱蓄熱材7が充填された複数の空間14を閉塞するように積層構造体6に圧入嵌合される(図3のステップS4)。このようにして、冷却器1が製造される。その後、半導体スイッチング素子4が実装された前述の絶縁基板3を所定の態様で冷却器1の蓋部材8に接合することによって、回路モジュール101を製造してもよい。
【0025】
以上、本実施形態の冷却器1は、積層構造体6に形成された複数の空間14に潜熱蓄熱材7が充填された構成を有している。したがって、半導体スイッチング素子4で生じた熱は、蓋部材8を介して積層構造体6に伝達される。積層構造体6に伝達された熱は、潜熱蓄熱材7が融解することによって、当該潜熱蓄熱材7によって吸収される。積層構造体6や蓋部材8は、熱伝導性が高い金属から構成されているので、半導体スイッチング素子4で生じた熱は、当該積層構造体6内に充填された潜熱蓄熱材7に効率良く伝達されると同時に、当該潜熱蓄熱材7によって効率良く吸収される。これにより、半導体スイッチング素子4で生じた熱を、効率良く放熱することができる。
【0026】
また、1つの厚い金属体からなる冷却器と同等の厚さの冷却器を製造する場合を想定すると、本実施形態の冷却器1では、当該金属体よりも薄い複数枚の積層プレート5bを積層させた構造となるから、1枚当たりの積層プレート5bの加工が容易となる。したがって、積層プレート5bに複数の貫通孔9を容易に形成できる。そして、これら複数の貫通孔9が積層方向に連通するように複数枚の積層プレート5bを積層配置することによって、潜熱蓄熱材7が充填される複数の空間を形成できるので、1つの金属体に対して複数の空間14を形成する場合に比べて、当該空間14の形成が容易である。
【0027】
とりわけ、本実施形態の冷却器1の製造方法では、貫通孔9を形成する手段としてエッチングが選択されている(図3のステップS1)。したがって、ドリル加工、ワイヤカット加工、放電加工等のエッチング以外の加工法によって貫通孔9を積層プレート5bに形成する場合に比べて、平面視形状が複雑な貫通孔9を容易に形成できる。また、エッチング以外の加工法によって貫通孔9を積層プレート5bに形成する場合に比べて、積層プレート5bの材質強度による制限を緩和できるから、複数の貫通孔9間の距離を良好に狭めることができる。よって、潜熱蓄熱材7が充填される空間14の容積を良好に増加させることができると共に、潜熱蓄熱材7と積層構造体6(積層プレート5b)との接触面積を良好に増加させることができる。
【0028】
よって、潜熱蓄熱材7が充填される空間14を容易に形成でき、半導体スイッチング素子4を良好に冷却できる冷却器1を提供できる。
また、本実施形態の冷却器1は、各積層プレート5bが、互いに交差(直交)するように径方向に沿って延びる平面視帯状の第1領域11および第2領域12を有しているので、これら第1領域11および第2領域12によって、各積層プレート5bが縮径するのを抑制できる。とりわけ、本実施形態の冷却器1では、複数枚の積層プレート5b間において、第1領域11同士が積層方向に互いに接続され、かつ第2領域12同士が積層方向に互いに接続されているので、径方向に対する積層構造体6の強度がより一層高められている。
【0029】
これにより、積層構造体6が蓋部材8に圧入される際に、当該積層構造体6が縮径するのを良好に抑制できるので、積層構造体6の変形によって積層プレート5bが剥離するのを良好に抑制できる。また、蓋部材8が積層構造体6に圧入嵌合されているから、潜熱蓄熱材7の熱膨張によって積層構造体6が変形したり、積層プレート5bが剥離したりするのも良好に抑制できる。これにより、蓋部材8への圧入前後において、潜熱蓄熱材7が積層構造体6の外部に漏れ出すのを良好に抑制できるから、積層構造内に潜熱蓄熱材7が封入された状態を良好に維持できる。よって、半導体スイッチング素子4で生じた熱を潜熱蓄熱材7によって良好に吸収させることができる。
【0030】
また、本実施形態に係る冷却器1では、ベースプレート5aおよび各積層プレート5bが円板状に形成されることによって、積層構造体6が円柱状に形成されている。これにより、蓋部材8を積層構造体6に圧入嵌合する際に、積層構造体6の周方向に対して圧縮力を均等に加えることができるから、積層構造体6の変形をより一層良好に抑制できる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はさらに他の形態で実施することもできる。
【0031】
たとえば、前述の実施形態では、第1領域11、第2領域12および連結領域13によって取り囲まれた4つの領域A1,A2,A3,A4内に、ストライプ状に延びる複数の貫通孔9が形成された例について説明した。しかし、積層プレート5bの一変形例を示す図4に示されるように、前記4つの領域A1,A2,A3,A4内において、平面視円形状の複数の貫通孔9が、第1領域11および第2領域12に沿って互いに間隔を空けて行列状の配列となるように形成されていてもよい。
【0032】
むろん、複数の貫通孔9は、前記4つの領域A1,A2,A3,A4内において、千鳥状の配列となるように形成されていてもよいし、離散的な配列で形成されていてもよい。また、平面視四角形状、平面視六角形状等の平面視多角形状の複数の貫通孔9が形成されていてもよい。
また、前述の実施形態において、各積層プレート5bが縮径するのを抑制するための領域(縮径抑制領域)として、互いに交差するように径方向に沿って延びる平面視帯状の第1領域11および第2領域12を含む例について説明した。しかし、各積層プレート5bは、第1領域11および第2領域12のいずれか一方のみを含む構成とされてもよい。この場合、複数の貫通孔9は、第1領域11と連結領域13とによって区画された領域または第2領域12と連結領域13とによって区画された領域に選択的に形成される。
【0033】
また、前述の実施形態において、絶縁基板3を介さずに半導体スイッチング素子4が蓋部材8に接合された形態が採用されてもよい。
また、前述の実施形態では、半導体スイッチング素子4がFETである例について説明したが、半導体スイッチング素子4は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)であってもよいし、BJT(Bipolar Junction Transistor:バイポーラトランジスタ)であってもよい。
【0034】
また、前述の実施形態において、電子部品の一例として半導体スイッチング素子4が採用された例について説明したが、半導体スイッチング素子4に代えて、抵抗素子や、コンデンサ素子等の半導体スイッチング素子4以外の電子部品が採用されてもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0035】
1…冷却器、4…半導体スイッチング素子、5a…ベースプレート、5b…積層プレート、6…積層構造体、7…潜熱蓄熱材、8…蓋部材、9…貫通孔、11…第1領域、12…第2領域、14…空間
図1
図2
図3
図4