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特開2017-43637安定化された薬学的サブミクロン懸濁物およびその形成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-43637(P2017-43637A)
(43)【公開日】2017年3月2日
(54)【発明の名称】安定化された薬学的サブミクロン懸濁物およびその形成方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/00 20060101AFI20170210BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20170210BHJP
   A61K 31/165 20060101ALI20170210BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20170210BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20170210BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20170210BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20170210BHJP
【FI】
   A61K45/00
   A61K9/10
   A61K31/165
   A61K47/38
   A61P27/02
   A61P29/00
   A61P43/00 111
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-234682(P2016-234682)
(22)【出願日】2016年12月2日
(62)【分割の表示】特願2014-250576(P2014-250576)の分割
【原出願日】2009年9月16日
(31)【優先権主張番号】61/098,280
(32)【優先日】2008年9月19日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】508185074
【氏名又は名称】アルコン リサーチ, リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】アーネスト ジェイ. カスティロ
(72)【発明者】
【氏名】バーラム アスゲリアン
(72)【発明者】
【氏名】マスード エー. チョウハン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA22
4C076BB11
4C076BB24
4C076CC04
4C076CC10
4C076DD21
4C076DD22
4C076DD23
4C076DD30
4C076DD49
4C076DD51
4C076EE09
4C076EE10
4C076EE14
4C076EE16
4C076EE23
4C076EE32
4C076EE37
4C076FF16
4C076FF36
4C076FF61
4C076FF70
4C076GG45
4C084AA17
4C084MA23
4C084MA58
4C084MA66
4C084NA03
4C084NA05
4C084ZA331
4C084ZA332
4C084ZB111
4C084ZB112
4C084ZC201
4C084ZC202
4C206AA01
4C206AA02
4C206GA09
4C206GA22
4C206MA01
4C206MA04
4C206MA43
4C206MA78
4C206MA86
4C206NA03
4C206NA05
4C206ZA33
4C206ZB11
(57)【要約】
【課題】安定化された薬学的サブミクロン懸濁物およびその形成方法の提供。
【解決手段】本発明は、薬学的サブミクロン懸濁物および上記サブミクロン懸濁物を形成するための方法に関する。上記サブミクロン懸濁物は、比較的疎水性であり、そして/もしくは低溶解度の治療剤の送達に有用である。上記サブミクロン懸濁物、および上記サブミクロン懸濁物を形成するための方法は、代表的には、上記治療剤の凝集の防止を補助するポリマー物質を使用する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書の一部に記載された発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連する出願との相互参照)
本願は、米国特許法§119に基づき、2008年9月19日に出願された米国仮特許出願第61/098,280号の優先権を主張する。この仮特許出願の全内容は参照により本明細書中に援用される。
【0002】
(発明の技術分野)
本発明は、安定化のために低分子量ポリマーを使用する薬学的サブミクロン懸濁物に関する。より具体的には、本発明は、治療剤を安定化するために低分子量荷電性ポリマーを使用すると同時に、その薬剤がサブミクロン粒子に形成される、そして/またはその治療剤が上記サブミクロン懸濁物内でサブミクロン粒子として存在する、薬学的サブミクロン懸濁物に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
何年もの間、製薬産業は、治療剤を含む組成物、ならびにそれら治療剤の送達に適した系および/もしくはビヒクルを継続して開発してきた。眼、耳および鼻の分野において、眼、耳もしくは鼻への治療剤の送達のために適した系および/もしくはビヒクルを含む流体薬学的組成物、特に、水溶液を開発するにあたって多大なエネルギーが費やされてきた。このような開発の間に、多くの問題および困難に遭遇し得る。
【0004】
一例として、所望の治療特性を示す多くの治療剤はまた、それら薬剤を送達するための薬学的ビヒクルを開発するにあたって困難を引き起こす1種以上の特性を示し得る。例えば、治療剤は、比較的高度の疎水性を示し得、懸濁物として処方される。このことは、それらの薬剤を水溶液内で不要に凝集させ得る。続いて、上記懸濁物全体は、均質性を欠き得、結論として、一貫しない量の治療剤を標的に送達し得る。
【0005】
これら所望されない特性に配慮する努力をして、多くの物質(例えば、界面活性剤)が、新たな安定系を開発する目的で、薬学的ビヒクルに添加されてきた。しかし、より近年の発見は、これら新たな系のうちの多くが、生体適合性を欠き得、ヒト組織に刺激もしくは他の望ましくない影響を引き起こし得ることを示した。
【0006】
治療剤の望ましくない特性に配慮する努力をさらにして、眼用の、耳用のおよび鼻用の薬学的組成物が、懸濁物として開発されてきた。懸濁物は、疎水性、比較的水に不溶性であることなどのような特性を示す治療剤に配慮する際に特に有効であり得る。しかし、懸濁物として送達される治療剤はまた、ヒト組織を標的とするために送達される場合、比較的不十分な治療活性を示し得る。
【0007】
治療剤の活性を増大させるための1つの方法は、その薬剤の表面積を増大させることである。例えば、治療剤をサブミクロン粒子もしくはナノ粒子として提供することは、上記治療剤の表面積を増大させ得、その同じ治療剤をより大きな粒子として提供する場合に、その同じ治療剤に対して顕著に増大した活性を示し得ることが見いだされた。このようなサブミクロン粒子は、サブミクロン懸濁物の一部として送達される場合に、増大した活性を示し得ることもまた、見いだされた。しかし、サブミクロン懸濁物の形成は困難であり得る。例えば、上記サブミクロン粒子の形成を補助する適切な物質(例えば、粉砕因子(milling agent))を見いだすことは困難であり得る。なぜならこのような物質は、代表的には、サブミクロン粒子形成の間に1種以上の所望の特性(例えば、濡れ性および/もしくは低発泡性)を示す必要があり、最終的に上記サブミクロン懸濁物になったときに、最終的には、1種以上のさらなる所望の特性(例えば、安定性および/もしくは生体適合性)を示す必要もあるからである。
【0008】
上記に鑑みれば、薬学的サブミクロン懸濁物(特に、サブミクロン眼用懸濁物)、その懸濁物を形成するための方法および/もしくはその懸濁物を形成するのに適した物質を提供することは望ましく、これらのことは、1種以上の前述の困難、問題および欠点を克服する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の要旨)
よって、本発明は、サブミクロン懸濁物および上記サブミクロン懸濁物を形成するためのプロセスに関する。上記プロセスによれば、治療剤が提供される。上記治療剤は、少なくとも約900nm、より代表的には、少なくとも約1.0ミクロンおよびさらにより代表的には、少なくとも約1.3ミクロン、およびさらにあるいは少なくとも2.0ミクロン、4.0ミクロン以上の、元の平均流体力学的半径を有する。上記治療剤は、ポリマー物質と合わせられて、混合物を形成する。上記ポリマー物質は、低分子量荷電性ポリマーを含み、完全にもしくは実質的に完全に低分子量荷電性ポリマーから形成され得る。次いで、上記混合物は加工処理されて、上記治療剤の粒子をより小さな治療剤のサブミクロン粒子へと変形させる。ここで上記治療剤のサブミクロン粒子は、1ミクロン未満、より代表的には、850nm以下、なおより代表的には、700nm以下である、平均流体力学的半径を有する。その後、上記混合物は、好ましくは、1種以上の賦形剤を上記混合物に添加した際に、および/もしくはさらなる加工処理の際に、上記サブミクロン懸濁物になる。有利なことには、上記低分子量荷電性ポリマーは、上記加工処理の間の、および/もしくは薬学的サブミクロンナノ懸濁物を形成する際の、上記粒子およびサブミクロン粒子の凝集を阻害する。
【0010】
好ましい実施形態において、上記治療剤は、レセプターチロシンキナーゼインヒビター(RTKi)もしくは非ステロイド系抗炎症剤(NSAID)(例えば、ネパフェナク)である。同様に、好ましい実施形態において、上記低分子量荷電性ポリマーは、実質的に完全にもしくは完全にカルボキシメチルセルロースである。また、本発明は以下を提供する:
(項目1)
薬学的サブミクロン懸濁物であって、
サブミクロン粒子から形成される疎水性治療剤;
低分子量荷電性ポリマーを含むポリマー物質;および
1種以上の賦形剤
を含み、ここで
i)該低分子量荷電性ポリマーは、該懸濁物内の該サブミクロン粒子の凝集を阻害し;そして
ii)該サブミクロン粒子は、1ミクロン未満の平均流体力学的半径を有する、薬学的サブミクロン懸濁物。
(項目2)
前記治療剤が、RTKiもしくはNSAIDである、項目1に記載の懸濁物。
(項目3)
前記低分子量荷電性ポリマーが、実質的に完全にもしくは完全にカルボキシメチルセルロースである、項目1または2に記載の懸濁物。
(項目4)
前記1種以上の賦形剤が、水を含む、項目1〜3のいずれか1項に記載の懸濁物。
(項目5)
前記低分子量ポリマーが、200,000キロダルトン(kDa)未満である平均分子量をそれ自体が有するかもしくは協同して有する、1種以上のポリマーを含む、項目1〜4のいずれか1項に記載の懸濁物。
(項目6)
精製水中の前記低分子量荷電性ポリマーの1%の溶液の粘度が、25℃において少なくとも4.2センチポアズであり、その溶液の粘度は、25℃において約20センチポアズ未満である、項目1〜5のいずれか1項に記載の懸濁物。
(項目7)
前記低分子量荷電性ポリマーが、少なくとも約100であり、最大約4,000までである平均重合度(DP)を有する、項目1〜6のいずれか1項に記載の懸濁物。
(項目8)
前記平均重合度が、少なくとも約200である、項目7に記載の懸濁物。
(項目9)
前記平均重合度が、最大約1000までである、項目7または8に記載の懸濁物。
(項目10)
前記懸濁物が、ヒトの眼への投与に適した眼用懸濁物である、項目1〜9のいずれか1項に記載の懸濁物。
(項目11)
前記懸濁物が、硝子体内注射物として処方される、項目10に記載の懸濁物。
(項目12)
薬学的サブミクロン懸濁物を形成する方法であって、該方法は、
粒子の形態の疎水性治療剤を提供する工程であって、ここで該粒子は、少なくとも1ミクロンの平均流体力学的半径を有する、工程;
該治療剤の粒子と、ポリマー物質とを合わせて、混合物を形成する工程であって、該ポリマー物質は、低分子量荷電性ポリマーを含む、工程;
該混合物を加工処理して、該治療剤の粒子を、該治療剤のサブミクロン粒子へと変形させる工程であって、該治療剤のサブミクロン粒子は、900nm未満の平均流体力学的半径を有する、工程;および
該混合物と、1種以上の賦形剤とを合わせて、それによって、該薬学的サブミクロン懸濁物を形成する工程であって、ここで該低分子量荷電性ポリマーは、該加工処理の間に、もしくは該懸濁物の形成の際に、該粒子およびサブミクロン粒子の凝集を阻害する、工程を包含する、方法。
(項目13)
前記治療剤が、RTKiもしくはNSAIDである、項目12に記載の方法。
(項目14)
前記低分子量荷電性ポリマーが、カルボキシメチルセルロースである、項目12または13に記載の方法。
(項目15)
前記混合物を加工処理する工程が、該混合物の湿式粉砕工程を包含する、項目12、13、または14に記載の方法。
(項目16)
前記混合物の湿式粉砕工程が、複数回起こる、項目15に記載の方法。
(項目17)
前記1種以上の賦形剤が水を含む、項目12〜16のいずれか1項に記載の方法。
(項目18)
前記低分子量荷電性ポリマーが、200,000キロダルトン(kDa)未満である平均分子量をそれ自体が有するかもしくは協同して有する、1種以上のポリマーを含む、項目12〜17のいずれか1項に記載の方法。
(項目19)
前記懸濁物が、眼への投与に適した眼用懸濁物である、項目12〜18のいずれか1項に記載の方法。
(項目20)
前記懸濁物を、硝子体内注射としてヒトの眼へ投与する工程をさらに包含する、項目12〜18のいずれか1項に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(発明の詳細な説明)
本発明は、治療剤をサブミクロン粒子の形態で含み、上記サブミクロン懸濁物内の上記治療剤の安定化を補助するポリマー物質(例えば、荷電性ポリマー)を含む薬学的組成物および特にサブミクロン懸濁物の形成に基づく。上記ポリマー物質はまた、上記治療剤を安定化するために使用され得る。なぜなら、治療剤の比較的大きな粒子は、1種以上の加工処理機械を使用して、サブミクロンもしくはさらにはナノ粒子へと縮小されるからである。上記薬学的サブミクロン懸濁物が、種々の薬学的状況において適用可能であり得るが、耳および鼻の適用に対して特に有用であり得ることが企図される。従って、上記サブミクロン懸濁物が、哺乳動物(特に、ヒト)の耳もしくは鼻内に局所的に適用され得ることが企図される。しかし、最も好ましくは、上記サブミクロン懸濁物は、ヒトの眼に局所的にもしくは硝子体内に適用され得る眼用懸濁物である。
【0012】
本明細書で使用される場合、用語「安定化する」およびその語形変化は、その用語が上記治療剤を安定化する上記ポリマー物質に言及して使用される場合、上記ポリマー物質が、上記治療剤の粒子の凝塊形成を阻害することを少なくとも意味する。本明細書で使用される場合、用語「サブミクロン」とは、粒子に言及して使用される場合、上記粒子が1ミクロン未満の大きさを有することを意味するが、このような粒子はまた、850nm以下およびさらにあるいは700nm以下の大きさを有し得る。サブミクロン懸濁物は、溶液中に懸濁されたそのような粒子を含む懸濁物である。本明細書で使用される場合、用語「ナノ粒子」とは、200nm以下の大きさを有する粒子を意味するが、このような粒子はまた、70nm以下、およびさらにあるいは50nm以下の大きさを有し得る。ナノ懸濁物は、溶液中に懸濁されたこのようなナノ粒子を含む懸濁物であり、本発明のサブミクロン懸濁物は、上記懸濁された粒子が十分に小さければ、ナノ懸濁物であり得る。
【0013】
別段示されなければ、粒度は、機械計算によって決定される。いくつかの測定機器は、非常に小さな許容誤差内で粒度を測定するために市販されている。このような機器は、粒度を、例えば、動的光散乱によって測定し、次いで、平均粒子流体力学的半径をあるセットの粒子について計算する。それらの平均粒子半径は、別段示されなければ、本明細書で議論される粒度である。1つの好ましい例示的機器は、ZETASIZER NANO(これは、Malvern Instruments Ltd.,Enigma Business Park,Grovewood Road,Worcestershire WR14 1XZ,United Kingdomから市販されている)である。
【0014】
粒度決定機器での測定は、懸濁物もしくは他の溶液中で粒度を測定する前に、上記機器に特定のパラメーターを提供することが必要であり得る。必要とされる場合、パラメーターは、以下のように決定され得る:溶液のゼロ剪断速度(η)での粘度は、振動粘度計(oscillometer viscometer)によって決定され得る;上記粒子の屈折率(RI)は、ベッケ線顕微鏡法(Becke Line Microscopic method)を使用して決定され得る;任意の希釈剤の屈折率(RI)は、屈折計で決定され得る;および誘電率(κ)は、キャパシタンス測定によって決定され得る。一般規則として、上記粒度測定が、多重散乱および粒子相互作用が結果に影響を及ぼす前に、比較的高濃度の粒子を有する溶液を使用して決定されることは、好ましい。
【0015】
別段示されなければ、本発明の薬学的組成物の成分について提供されるパーセンテージは、重量/体積(w/v)パーセンテージである。
【0016】
(治療剤)
代表的には、本発明のサブミクロン懸濁物は、治療剤を含む。上記治療剤は、単一の治療剤であってもよいし、複数の治療剤から構成されてもよい。治療剤としては、所望の治療効果をもたらすために使用され得る任意の成分、化合物、もしくは低分子が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、所望の効果は、疾患もしくは状態の治癒、緩和、処置、もしくは予防を含み得る。治療剤はまた、被験体における身体部分もしくは器官の構造もしくは機能に影響を及ぼし得る。
【0017】
一般に、上記治療剤が少なくとも1種の疎水性の薬物もしくは治療剤を含むことは好ましい。疎水性治療剤は、水性媒体中で不十分にしか溶解しない(例えば、上記治療剤が水性組成物中で投与されるとき、特に、上記薬剤の可溶化を補助する補助物質なしでこのような水性媒体中に浸される場合の濃度で、媒体中に完全には溶解しない)薬剤を含む。上記治療剤は、上記サブミクロン懸濁物のうち、代表的には、少なくとも約0.001w/v%、より代表的には、少なくとも約0.01w/v%、およびなおより代表的には、少なくとも約0.1w/v%である。上記治療剤は、代表的には、上記サブミクロン懸濁物のうちの約10w/v%未満、より代表的には、約5w/v%未満、およびなおより代表的には、約2.0w/v%未満である。
【0018】
本発明の治療剤は、好ましくは、粒子形態の固体である。しかし、治療剤(例えば、液体形態の治療剤)が、本発明において使用するために、粒子(例えば、ポリマー粒子)によって吸収され得るか、または別の方法で粒子(例えば、ポリマー粒子)上に配置され得ることもまた、企図される。
【0019】
治療剤の好ましいクラスとしては、眼用、耳用および鼻用の薬物、特に、疎水性のおよび/もしくは低溶解度の眼用、耳用および鼻用の薬物が挙げられる。非限定的な例としては、抗緑内障薬剤、抗脈管形成薬剤;抗感染剤;抗炎症剤;増殖因子;免疫抑制剤;および抗アレルギー剤が挙げられる。抗緑内障薬剤としては、β遮断薬(例えば、ベタキソロールおよびレボベタキソロール);カルボニックアンヒドラーゼインヒビター(例えば、ブリンゾラミドおよびドルゾラミド);プロスタグランジン(例えば、トラボプロスト、ビマトプロスト、およびラタノプロスト);セロトニン作動薬;ムスカリン作用薬;ドパミン作働性アゴニストが挙げられる。抗脈管形成薬剤としては、酢酸アネコルタブ(RETAANETM、Fort Worth,Tex.のAlconTM Laboratories,Inc.)およびレセプターチロシンキナーゼインヒビターが挙げられる。抗炎症剤としては、非ステロイド系およびステロイド系の抗炎症剤(例えば、トリアムシノロンアセトニド(triamcinolone actinide)、スプロフェン、ジクロフェナク、ケトロラク、ネパフェナク、リメキソロン、およびテトラヒドロコルチゾールが挙げられる。増殖因子としては、EGFもしくはVEGFが挙げられる。抗アレルギー薬剤としては、オロパタジンおよびエピナスチンが挙げられる。上記眼用薬物は、薬学的に受容可能な塩の形態で存在し得る。
【0020】
本発明のサブミクロン懸濁物は、上記治療剤がレセプターチロシンキナーゼインヒビター(RTKi)を含むか、または実質的に完全にもしくは完全にRTKiである場合に、眼の適用(例えば、局所的もしくは硝子体内)に特に望ましいことが見いだされた。従って、1つの好ましい実施形態において、上記治療剤は、重量で少なくとも50%、より代表的には、少なくとも80%およびさらにより代表的には、少なくとも95%(例えば、100%)のRTKiであり得る。
【0021】
本発明において使用するための好ましいRTKiは、マルチ標的化レセプターチロシンキナーゼインヒビターである。以下の表1に列挙されるものに実質的に類似の結合プロフィールを有するマルチ標的結合プロフィールを有するRTKi(例えば、N−[4−(3−アミノ−1H−インダゾール−4−イル)フェニル]−N’−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)ウレアが最も好ましい。本発明の組成物における使用が企図されるさらなるマルチ標的化レセプターチロシンキナーゼインヒビターは、米国特許出願第2004/0235892号(全ての目的で本明細書に参考として援用される)に記載されている。本明細書で使用される場合、用語「マルチ標的化レセプターチロシンキナーゼインヒビター」とは、脈管形成において重要であることが示され、同時係属中の米国特許出願第2006/0189608号(全ての目的で本明細書に参考として援用される)に記載される複数のレセプターに対して選択性を示すレセプター結合プロフィール(例えば、表1に示されるプロフィール)を有する化合物をいう。より具体的には、本発明の組成物において使用するための上記マルチ標的化レセプターチロシンキナーゼインヒビター化合物の好ましい結合プロフィールは、KDR(VEGFR2)、Tie−2およびPDGFRである。
【0022】
【表1】

本発明の懸濁物における使用に適した別の非常に好ましい治療剤は、限定することなく、非ステロイド系抗炎症剤である。上記好ましい非ステロイド系抗炎症剤は、プロスタグランジンH合成インヒビター(Cox IもしくはCox II)(シクロオキシゲナーゼタイプIおよびタイプIIインヒビター(例えば、ジクロフェナク、フルルビプロフェン、ケトロラク、スプロフェン、ネパフェナク、アンフェナク、インドメタシン、ナプロキセン、イブプロフェン、ブロムフェナク、ケトプロフェン、メクロフェナメート、ピロキシカム、スリンダク、メフェナム酸(mefanamic acid)、ジフルニサール(diflusinal)、オキサプロジン、トルメチン、フェノプロフェン、ベノキサプロフェン、ナブメトン(nabumetome)、エトドラク、フェニルブタゾン、アスピリン、オキシフェンブタゾン、NCX−4016、HCT−1026、NCX−284、NCX−456、テノキシカムおよびカルプロフェン)ともいわれる);シクロオキシゲナーゼタイプII選択的インヒビター(例えば、NS−398、vioxx、セレコキシブ、P54、エトドラク、L−804600およびS−33516);PAFアンタゴニスト(例えば、SR−27417、A−137491、ABT−299、アパファント、ベパファント、ミノパファント(minopafant)、E−6123、BN−50727、ヌパファントおよびモジパファント);PDE IVインヒビター(例えば、アリフロ(ariflo)、トルバフィリン、ロリプラム、フィラミナスト、ピクラミラスト、シパムフィリン(cipamfylline)、CG−1088、V−11294A、CT−2820、PD−168787、CP−293121 DWP−205297、CP−220629、SH−636、BAY−19−8004、およびロフルミラスト);サイトカイン生成のインヒビター(例えば、NFkB転写因子のインヒビター);もしくは当業者に公知の他の抗炎症剤である。本発明の組成物もしくは本発明の方法においてプロスタグランジン合成インヒビターとして使用するための好ましい化合物は、2−アミノ−3−(4−フルオロベンゾイル)−フェニルアセトアミド;2−アミノ−3−ベンゾイル−フェニルアセトアミド(ネパフェナク);および2−アミノ−3−(4−クロロベンゾイル)−フェニルアセトアミドから選択されるフェニルアセトアミドであり、これらのうち最も好ましいのは、ネパフェナクである。
【0023】
本発明の組成物に含まれる抗炎症剤の濃度は、選択される薬剤および処置されている炎症のタイプに基づいて変動する。上記濃度は、標的とされる眼、耳もしくは鼻の組織への上記組成物の局所適用後に、標的とされる眼、耳もしくは鼻の組織における炎症を軽減するに十分である。このような量は、本明細書中、「抗炎症上有効な量」といわれる。本発明の組成物は、代表的には、約0.01〜約3.0w/v%、より代表的には、約0.05〜約1.0w/v%およびなおより代表的には、約0.08〜約0.5w/v%の量の1種以上の抗炎症剤を含む。
【0024】
示唆されるように、本発明の懸濁物中に懸濁される上記治療剤(例えば、RTKiもしくはNSAID(例えば、ネパフェナク))は疎水性であることが好ましい。よって、上記治療剤は、代表的には、0.1より大きい、より好ましくは、0.4より大きい、より好ましくは、0.6より大きい、およびさらにあるいは1.0より大きいもしくはさらに1.5より大きいlog Dを有する。
【0025】
本明細書で使用される場合、log Dは、2相(オクタノール相および水相)の各々における上記治療剤の全ての形態(イオン化+非イオン化)の濃度の合計の割合である。分配係数の測定のために、上記水相のpHは、上記pHが、上記化合物の導入によって顕著に乱れないように、7.4に緩衝化される。一方の溶媒における上記溶質の種々の形態の濃度の合計 対 他方の溶媒におけるその形態の濃度の合計の比の対数は、Log Dといわれる:
【0026】
【数1】

本発明の懸濁物および方法において有用であり得る他の薬剤としては、以下が挙げられる:抗VEGF抗体(すなわち、ベバシズマブもしくはラニビズマブ);VEGFトラップ;siRNA分子、もしくはこれらの混合物(表1において200nM未満のIC50値を有するチロシンキナーゼレセプターのうちの少なくとも2種を標的とする);グルココルチコイド(すなわち、デキサメタゾン、フルオロメトロン(fluoromethalone)、メドリゾン、ベタメタゾン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、プレドニゾン、プレドニゾロン、ヒドロコルチゾン、リメキソロン、およびこれらの薬学的に受容可能な塩、プレドニカルベート、デフラザコルト、ハロメタゾン、チキソコルトール、プレドニリデン(21−ジエチルアミノアセテート)、プレドニバール、パラメタゾン、メチルプレドニゾロン、メプレドニゾン、マジプレドン、イソフルプレドン、ハロプレドンアセテート、ハルシノニド、ホルモコータル、フルドロキシコルチド(flurandrenolide)、フルプレドニゾロン、フルプレドニジンアセテート(fluprednidine acetate)、フルペロロンアセテート、フルオコルトロン、フルオコルチンブチル、フルオシノニド、フルオシノロンアセトニド、フルニソリド、フルメタゾン、フルドロコルチゾン、フルクロリニド(fluclorinide)、エノキソロン、ジフルプレドナート、ジフルコルトロン、ジフロラゾンジアセテート、デソキシメタゾン(デスオキシメタゾン)、デソニド、デスシノロン、コルチバゾール、コルチコステロン、コルチゾン、クロプレドノール、クロコルトロン、クロベタゾン、クロベタゾール、クロロプレドニゾン、カフェストール、ブデソニド、ベクロメタゾン、アムシノニド、アロプレグナンアセトニド、アルクロメタゾン、21−アセトキシプレグネノロン、トラロニド、ジフロラゾンアセテート、デアシルコルチバゾール、RU−26988、ブデソニド、ならびにデアシルコルチバゾールオキセタノン(deacylcortivazol oxetanone));ナフトヒドロキノン抗生物質(すなわち、リファマイシン)。
【0027】
(ポリマー物質)
複数のポリマーが、本発明のポリマー物質の一部であり得る。潜在的に適切なポリマーの例としては、コンドロイチン硫酸、低分子量ヒアルロン酸、または表面張力を下げるかもしくは低下させる望ましい能力を有する他の低分子量荷電性ポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。本発明のサブミクロン懸濁物が、上記ポリマー物質の一部に加えてポリマーを含んでいてもよいし、上記ポリマーの一部としてとして含まれなくてもよいこともまた、企図される。潜在的に適切なさらなるポリマーの例としては、ポリオール、NIPAMポリマー、ポリエチレングリコール、これらの組み合わせなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0028】
しかし、代表的には、上記ポリマー物質は、1種以上の低分子量ポリマー(これは、好ましくは、荷電性である)から構成される。本明細書で使用される場合、語句「低分子量」とは、上記ポリマー物質のポリマーを記載するために使用される場合、上記ポリマー物質のうちのそれらのポリマーが、500,000キロダルトン(kDa)未満、より代表的には、200,000kDa未満、およびさらにより代表的には、100,000kDa未満の平均分子量を協力して有することを意味する。精製水中の1% ポリマー物質の溶液の粘度は、代表的には、25℃において少なくとも3.0センチポアズ、より代表的には、少なくとも4.5センチポアズおよびなおより代表的には、少なくとも6.0センチポアズであり、その溶液の粘度は、代表的には、25℃において約100センチポアズ未満、より代表的には、約20センチポアズ未満およびさらにより代表的には、約8.0センチポアズ未満である。
【0029】
セルロースポリマー(例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)ポリマー)は、上記サブミクロン懸濁物の上記ポリマー物質のために特に望ましい。本明細書で使用される場合、セルロースポリマーは、式(C10)に従う2つ以上の基を有する任意のポリマーを含む。このようなポリマーは、これらが塩形態にある場合に荷電性であり得る。特に望ましいセルロースポリマーは、塩であるカルボキシメチルセルロースポリマー(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム)である。本発明における使用に適したカルボキシメチルセルロースナトリウムは、少なくとも0.2および好ましくは、少なくとも約0.5の置換度(DS)を有する。上記カルボキシメチルセルロースナトリウムの置換度は、最大約2.5まで、好ましくは、最大約0.9までであり得る。上記カルボキシメチルセルロースナトリウムの重合度(DP)は、少なくとも約100、好ましくは、少なくとも約200である。上記カルボキシメチルセルロースナトリウムの重合度は、最大約4,000まで、好ましくは、最大約1,000までであり得る。1つの適切な例示的セルロースポリマーは、カルボキシメチルセルロースナトリウムであり、これは、商用名AQUALON 7L2Pおよび7LF CMCの下で販売されており、Hercules Inc.から市販されている。
【0030】
本発明のサブミクロン懸濁物は、上記ポリマー物質が、セルロースポリマー(例えば、塩であるセルロースポリマー(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム)を含むか、実質的に完全に上記セルロースポリマーであるか、もしくは完全に上記セルロースポリマーである場合に、眼の適用(例えば、局所的もしくは硝子体内)に特に望ましいことが分かった。従って、上記ポリマー物質は、少なくとも50重量%、より代表的には、少なくとも80重量%およびさらにより代表的には、少なくとも95重量%(例えば、100重量%)のセルロースポリマー(例えば、塩であるセルロースポリマー(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム)であり得る。
【0031】
(さらなる成分)
種々のさらなる成分が、本発明のサブミクロン懸濁物中に含められ得る。本発明のサブミクロン懸濁物は、代表的には、水性であり、代表的には、実質的な量(例えば、少なくとも80w/v%もしくは90w/v%)の水を含む。他のさらなる成分の包含は、代表的には、上記サブミクロン懸濁物がどの程度投与されるべきかに依存する。
【0032】
上記サブミクロン懸濁物が眼もしくは他のヒト組織に局所投与されるべき場合、上記懸濁物は、代表的には、種々のさらなる成分を含み得る。このような成分としては、さらなる治療剤、抗菌剤、懸濁剤、界面活性剤、等張化剤、緩衝化剤、抗酸化剤、粘度改変剤、任意のこれらの組み合わせなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
上記サブミクロン懸濁物が、身体内に(特に、硝子体内に)、注射(例えば、ニードル)もしくは他の方法によって投与されるべき場合、上記サブミクロン懸濁物は、代表的には、上記サブミクロン懸濁物中に含められるさらなる成分の量を最小にすることが望ましい。このような場合において、上記サブミクロン懸濁物は、上記サブミクロン懸濁物は、以下の成分のみからなるかもしくは以下の成分のみから本質的になる場合であり得る:上記ポリマー物質;上記治療剤および水。
【0034】
(加工処理)
上記サブミクロン懸濁物は、本発明の範囲内で、種々の技術に従って形成され得る。好ましいプロトコルによれば、上記サブミクロン懸濁物は、以下の工程を使用して形成される:i)上記治療剤は、上記ポリマー物質および可能ならば賦形剤とともに粒子として混合されて、混合物を形成する;ii)上記混合物は、上記治療剤の粒度を下げるように構成された機械(例えば、製粉機)に供給される;およびiii)上記混合物は、水および可能ならば賦形剤と合わされて、上記サブミクロン懸濁物を形成する。
【0035】
上記混合物中のポリマー物質および治療剤の量は変動し得、上記混合物に対して使用されるべき加工処理に依存し得る。しかし、一般に、上記混合物が水性であり、その結果、上記ポリマー物質および治療剤が水に添加されることが好ましい。好ましい実施形態において、ならびに特にRTKiの実質的な部分を治療剤として、およびセルロースポリマーの実質的な部分を上記ポリマー物質として含む実施形態において、治療剤 対 ポリマー物質の重量比は、代表的には、約10:1〜約1:10、より代表的には、約5:1〜約1:4、およびさらにより代表的には、約1.5:1〜約1:1の範囲にある。このような実施形態において、上記混合物は、代表的には、少なくとも約0.5w/v%、より代表的には、少なくとも約1.5w/v%、およびさらにより代表的には、少なくとも約3.0w/v%を含み、そして代表的には、約12w/v%未満、より代表的には、約8w/v%未満、およびさらにより代表的には、約4.0w/v%未満の治療剤を含む。さらに、このような実施形態において、上記混合物は、代表的には、少なくとも約0.5w/v%、より代表的には、少なくとも約1.2w/v%、およびさらにより代表的には、少なくとも約2.5w/v%を含み、そして代表的には、約12w/v%未満、より代表的には、約7w/v%未満、およびさらにより代表的には、約3.8w/v%未満のポリマー物質を含む。
【0036】
粒度を低下させるための機械の例としては、高圧ホモジナイゼーションおよび/もしくは高剪断混合を行う機械が挙げられるが、これらに限定されない。上記治療剤の粒度を低下させるための好ましい機械は、湿式製粉機である。このような機械は、代表的には、約0.05mm〜約1mm(例えば、0.2mm)の直径の製粉ビーズで満たされたチャンバを含み得る。次いで、上記チャンバは、代表的には、約2000〜約4000回転/分(RPM)の速度で回転させられ得る。1つの適切な例示的湿式製粉機は、MINICER High Grinding System(Netzsche Fine Particle Technology,Exton,PA,USAから市販されている)である。上記粒子が、所望のサブミクロンもしくはナノの粒度が達成される前に、複数回機械加工される(例えば、製粉される)必要があり得ることは理解されるべきである。
【0037】
上記治療剤の粒子は、機械加工もしくは加工処理される前には、代表的には、500nmより大きい、より代表的には、1.0ミクロンより大きい、およびさらにより代表的には、約1.3ミクロンより大きい平均粒度を有する。上記粒子の機械加工もしくは別の加工処理の後に、上記粒子は、サブミクロン粒子になるか、もしくは約900nm未満、より代表的には、約820nm未満、およびさらにより代表的には、約730nm未満の粒度を有するより小さなサブミクロン粒子になるかのいずれかである。特定の実施形態について(例えば、RTKi治療剤について)は、上記治療剤の粒度が、機械加工後に、特定の大きさ(例えば、ナノ粒度)より大きくなって、上記薬剤について、長期間にわたって治療効果を提供することは望ましいことであり得る。従って、上記サブミクロン粒子は、約200nmより大きい、より代表的には、約350nmより大きい、およびさらにあるいは約400nmより大きい大きさを有し得る。より短時間にわたるより大きな治療効果の送達が望ましいさらに他の実施形態において、上記治療剤が、機械加工後にさらに小さくなることは望ましいことであり得る。このような実施形態において、上記サブミクロン粒子は、約200nm未満、より代表的には、約150nm未満、およびさらによりあるいは約100nm未満の粒度を有し得る。
【0038】
他の治療剤(特に、NSAIDS(例えば、ネパフェナク))については、上記平均粒度は、異なり得る。このような粒度は、代表的には、少なくとも約50nm、より代表的には、少なくとも約200nm、およびさらにより代表的には、少なくとも約250nmである。このような粒度は、代表的には、820nm未満、より代表的には、500nm未満、およびさらにより代表的には、350nm未満である。
【0039】
より小さな粒度を達成するために上記治療剤を加工処理する前、その間もしくはその後のいくつかの時点で、賦形剤および/もしくは活性剤は、上記サブミクロン懸濁物を形成するために、上記治療剤、上記ポリマー物質、その混合物もしくはそれらの組み合わせに添加される。従って、賦形剤もしくはさらなる活性薬剤が、上記ポリマー物質が治療剤と合わされる前もしくはその後に、上記粒度が低下する前もしくはその後に、または上記加工処理の間の任意の時点で、添加されうることが企図され得る。好ましい工程において、上記混合物は、好ましくは精製水で、上記所望の粒度が達成された後にさらに希釈され、その結果、ポリマー物質および治療剤の最終重量体積%は、上記サブミクロン懸濁物に対して達成される。完了時に、上記サブミクロン懸濁物は、代表的には、少なくとも約0.1w/v%、より代表的には、少なくとも約0.5w/v%、およびさらにより代表的には、少なくとも約1.0w/v%を含み、そして代表的には、約7w/v%未満、より代表的には、約5w/v%未満、およびさらにより代表的には、約2.5w/v%未満の治療剤を含む。また、上記サブミクロン懸濁物は、代表的には、少なくとも約0.1w/v%、より代表的には、少なくとも約0.5w/v%、およびさらにより代表的には、少なくとも約1.0w/v%を含み、そして代表的には、約7w/v%未満、より代表的には、約5w/v%未満、およびさらにより代表的には、約2.5w/v%未満のポリマー物質を含む。
【0040】
有利なことには、本発明のポリマー物質は、上記治療剤をサブミクロン粒子へ加工処理(例えば、製粉のような機械加工)することへの補助を提供し、同時に、上記治療剤の粒子の凝集を阻害する傾向にあり、そして/またはこのような加工処理の間に比較的低い発泡度を示す傾向にある。さらに、上記ポリマー物質は、上記サブミクロン懸濁物中のサブミクロン粒子の凝集を阻害するように作用し得る。理論には束縛されずに、低分子量荷電性ポリマーの電荷は、上記ポリマーと上記治療剤とを密に会合させるのを補助すると考えられ、この電荷は、代表的には、反対に荷電している。続いて、この会合は、上記治療剤の凝塊形成を防止するのを補助すると考えられる。さらに利点として、本発明のポリマー物質は、生体適合性である傾向にある。
【0041】
出願人は、この開示において全ての引用文献の内容全体を具体的に援用する。さらに、パラメーターの量、濃度、もしくは他の値が、範囲、好ましい範囲、もしくは好ましい上限値および好ましい下限値の列挙のいずれかとして示される場合、これは、範囲が別個に開示されているか否かに拘わらず、任意の上限範囲もしくは好ましい値と、任意の下限範囲もしくは好ましい値の任意の対から形成される全ての範囲を具体的に開示しているとして理解されるべきである。数値範囲が本明細書に記載される場合、別段示されなければ、上記範囲は、その終点、および上記範囲内の全ての整数および有理数を含むことが意図される。本発明の範囲は、範囲を定義する場合に記載される特定の値に限定されることは意図されない。
【0042】
本発明の他の実施形態は、本明細書の考慮および本明細書に開示される本発明の実施から当業者に明らかになる。本明細書および実施例は、例示として考慮されることが意図され、ただ、本発明の真の範囲および趣旨は、以下の特許請求の範囲およびその等価物によって示される。
【実施例】
【0043】
(実験および比較実施例)
粒子の凝集に対する効果を決定するために、RTKiおよびカルボキシメチルセルロース(CMC)を含むサブミクロン懸濁物を、本発明の教示に従って調製した。特に、水、CMCおよびRTKiの混合物を、MicroCer Netzch High Energy Grinding Systemを使用して製粉した。次いで、さらに水を上記混合物に添加して、4センチポアズ溶液として上記サブミクロン懸濁物を形成した。上記サブミクロン懸濁物内の粒度を、上記懸濁物の形成の直後に測定した。その後、上記サブミクロン懸濁物を冷蔵保存し、次いで、上記粒度を、上記懸濁物形成後の1週間、6週間および8週間で再測定した。これら測定の各々を、ZETASIZER NANO粒度測定器(Malvern Instrumentsから市販されている)を使用して行った。その結果は、表A中にある。表Aは、以下のように、多分散指数(Pd I)とともに示される:
【表A】
【0044】
認められ得るように、粒度において有意な変化はない。このことは、粒子の凝塊形成が、時間間隔の各々でほとんどもしくは全く生じなかったことを示唆する。特に、粒度を測定するために使用した上記測定機器は、粒子が凝塊形成する場合には、より大きな粒度測定値を生じる。表A中の粒度の測定値は、実質的に変化しないままであったので、上記サブミクロン懸濁物内の粒子は、示された時間間隔で顕著に凝塊形成しなかった。上記表A中の粒度は、上記粒度測定機器への入力の正確さに依存して、正確でないかもしれないが、大きさの変化の低さはなお、上記低い凝塊形成レベルを極めて反映していることに注意すべきである。なぜなら、上記粒度測定機器への入力は、同じ溶液のその後の測定値に一致していたからである。
【0045】
実施例はまた、種々の異なる潜在的な製粉補助物質に対して行い、CMCと比較した。
【表B】
【0046】
認められ得るように、CMCは、発泡を最小限にし、所望のレベルの濡れを提供する。
【0047】
粒子の凝集に対する効果をさらに決定するために、ネパフェナクおよびカルボキシメチルセルロース(CMC)を、High Energy Grinding Systemを使用して製粉した。次いで、他の成分を添加して、表C中の眼用懸濁物を形成した:
【表C】
【0048】
上記サブミクロン懸濁物を、最大13週間までの時間関数として、および25℃および40℃においてモニターした。上記粒度を、動的光散乱(Zatasizer)によって評価し、以下に報告した。上記粒度を、いずれかの温度においても、最大13週間まで有意に変化しなかった。
【0049】
【表2】


【外国語明細書】
2017043637000001.pdf