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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-165117(P2018-165117A)
(43)【公開日】2018年10月25日
(54)【発明の名称】車両の前部車体構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 37/02 20060101AFI20180928BHJP
   B62D 25/20 20060101ALI20180928BHJP
【FI】
   B62D37/02 Z
   B62D25/20 C
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-63584(P2017-63584)
(22)【出願日】2017年3月28日
(71)【出願人】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
【住所又は居所】広島県安芸郡府中町新地3番1号
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100197561
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 三喜男
(72)【発明者】
【氏名】西田 周平
【住所又は居所】広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】溝兼 通矢
【住所又は居所】広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】岡本 哲
【住所又は居所】広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ株式会社内
【テーマコード(参考)】
3D203
【Fターム(参考)】
3D203AA01
3D203BA13
3D203BB40
3D203BC03
3D203BC09
3D203CB09
3D203CB27
3D203DA22
3D203DA83
(57)【要約】
【課題】車体前方及びエンジンルーム内からホイルハウス内に流入する空気を抑制することで、走行中にホイルハウス内から車体側方への空気の流出量を抑制し、車体側部における空気の乱れを抑制することによって、空気抵抗を低減させる。
【解決手段】車両の前部車体構造は、フロントバンパ4の左右両端部の下方のデフレクタ7と、該フロントバンパ4後方のホイルハウス5とエンジンルームとを仕切るスプラッシュシールド81、82と、前記フロントバンパ4の左右両端部のダクト部40と、を有するので、車体前方からの走行風及びエンジンルーム内の空気のホイルハウス5内への流入を抑制し、前記ダクト部40から排出される空気が、前記ホイルハウス5内の前輪6に当接することで、前記ダクト部40の排出口42と前輪6との間に、ホイルハウス5内と車外とを仕切るエアカーテンcが形成され、ホイルハウス5内から車体側方への空気の流出が抑制される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の前部に配置されたフロントバンパと、
該フロントバンパの後方で車体の左右両側部に設けられたホイルハウスと、
前記フロントバンパの後方で車体前後方向に延びる左右一対のフロントサイドフレームと、
該フロントサイドフレームの下方で、かつ、前記左右のホイルハウスの間に配置されたサブフレームと、を有する車両の前部車体構造であって、
前記フロントバンパの左右両端部の下方に配設されて、前方から前記ホイルハウス内への走行風の流入を抑制するデフレクタと、
前記左右のフロントサイドフレームと前記サブフレームとの間に配設されて、エンジンルームから前記ホイルハウス内への空気の流入を抑制するスプラッシュシールドと、
前記フロントバンパの左右両端部に設けられて、前方からの走行風を取り入れる導風口と、該導風口から取り入れた走行風をホイルハウス内に排出する排出口とを有するダクト部と、を備え、
前記スプラッシュシールドは、前記サブフレーム上部から車体上方に延設されて、前記エンジンルームと前記ホイルハウスとを仕切るとともに、前記スプラッシュシールドの下縁部にて車体上方に凹む複数の凹部が形成され、
前記凹部は前記エンジンルーム内から前記ホイルハウス内に突入する複数の軸部材に沿って配置され、
前記ダクト部の排出口は、上下方向に長い扁平な形状とされ、前記ホイルハウス内に配設された前輪の前部の上下方向に長い領域に走行風を排出するように形成されることを特徴とする車両の前部車体構造。
【請求項2】
前記デフレクタは、該デフレクタの後方に位置する前記前輪の下部に向けて大きな傾斜角で下方に傾斜する第1斜面部と、その車体幅方向内側に隣接して設けられ、前記ホイルハウス内の前輪よりも車内側の空間に向けて前記第1斜面部より小さな傾斜角で下方に傾斜する第2斜面部と、を有することを特徴とする請求項1に記載の車両の前部車体構造。
【請求項3】
前記ダクト部の通路断面形状は前記ダクト部の排出口に向けて車体幅方向に絞縮されていると共に、
前記ダクト部の排出口は、車両の直進時に、前記ダクト部を通過した走行風が前記前輪の前部と前記前輪の車外側の側部との間の角部に当たるように形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両の前部車体構造。
【請求項4】
車体の前部に配置されたフロントバンパと、
該フロントバンパの後方で車体の左右両側部に設けられるホイルハウスと、
前記フロントバンパの後方で車体前後方向に延びる左右一対のフロントサイドフレームと、
該フロントサイドフレームの下方で、かつ、前記左右のホイルハウスの間に配置されたサブフレームと、を有する車両の前部車体構造であって、
前記フロントバンパの左右両端部の下方に配設されて、前方から前記ホイルハウス内への空気の流入を抑制するデフレクタと、
前記左右のフロントサイドフレームと前記サブフレームとの間に配設されて、エンジンルームから前記ホイルハウス内への空気の流入を抑制するスプラッシュシールドと、
前記フロントバンパの左右両端部に設けられて、前方からの走行風を前記ホイルハウス内の前輪の前部に当てることにより、前記ホイルハウスの前面と前記前輪の前部との間に該ホイルハウス内から車体側方への空気の流出を抑制するエアカーテンを形成するダクト部とを設けたことを特徴とする車両の前部車体構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の前部車体構造、詳しくは、車両前部からホイルハウス内へ流入する走行風が、該ホイルハウスから車体側方へ流出されることによる車体側部における空気の乱れを抑制するための車両の前部車体構造に関し、自動車等の車両の車体構造の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
通常、走行中の車両は走行風によって空気抵抗を受けているが、この空気抵抗は、特に高速走行中の車両の燃費性能に大きく影響を与えるため、例えば、車体側部における空気の乱れを抑制することによって、空気抵抗を低減する対策が取られている。
【0003】
このような車体側部の空気の乱れの原因の1つとして、ホイルハウス内から車体側方への空気の流れ出しが考えられる。
【0004】
ここで、車体側面を流れる走行風とホイルハウス内から流出される空気の関係について説明すると、まず、ホイルハウス内に前方からフロントバンパ下方を通って走行風が流れ込むと共に、エンジンルームからも前記ホイルハウス内へ空気が流れ込む。一方、フロントバンパに当たって左右に掻き分けられた走行風は該フロントバンパの左右両端部の角部に沿って後方に流れることで、該フロントバンパの角部後方に負圧が発生し、この負圧により、前記ホイルハウス内に流れ込んだ空気が、該ホイルハウス内における前輪の前方を通って吸い出される。このとき、ホイルハウスの車外側に渦流が発生し、これが乱流となって車体側面に沿って流れることで車体側面に作用する空気抵抗が増大することになる。
【0005】
このような問題に関して、特許文献1には、車体前部に設けられるフロントバンパの左右両端部に、前方からの走行風が導入される導入口と、前輪が収納されるホイルハウスの前面で前輪の前面に向けて開口する排出口とを有するダクトを備える車体構造が開示されている。
【0006】
これによれば、導入口から導入され、排出口から排出される走行風が前輪の前面に当接し、前記ホイルハウスの前面と前輪の前面との間に、該ホイルハウス内と車外とを仕切るエアカーテンが形成される。その結果、ホイルハウス内に流れ込んだ空気が前輪の前方から車外に流れ出すことが抑制され、前輪の車体幅方向外側の領域において、ホイルハウス内から車体幅方向外側へ排出される空気流が、車体側面における空気の流れに当たることが抑制されるので、車体側面における空気の剥離の発生及び渦流の発生による空気抵抗が低減される可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2014−76728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記特許文献1に開示された前述のエアカーテンだけでは、ホイルハウス内に流れ込む空気の車体側方への流出を完全に抑制することができず、特にホイルハウス内への空気の流れ込み量が多い場合や、ホイルハウス内の圧力が高まっている場合などは車体側方への空気の流出量が多くなり、空気抵抗の増大する虞がある。
【0009】
そこで、本発明は、車体前方及びエンジンルーム内からホイルハウス内に流入する空気を抑制することで、走行中にホイルハウス内から車体側方へ流出する空気の量を抑制し、車体側部における空気の乱れを抑制することによって、空気抵抗を低減させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明に係る車両の前部車体構造は次のように構成したことを特徴とする。
【0011】
まず、本願の請求項1に記載の発明は、
車体の前部に配置されたフロントバンパと、
該フロントバンパの後方で車体の左右両側部に設けられたホイルハウスと、
前記フロントバンパの後方で車体前後方向に延びる左右一対のフロントサイドフレームと、
該フロントサイドフレームの下方で、かつ、前記左右のホイルハウスの間に配置されたサブフレームと、を有する車両の前部車体構造であって、
前記フロントバンパの左右両端部の下方に配設されて、前方から前記ホイルハウス内への走行風の流入を抑制するデフレクタと、
前記左右のフロントサイドフレームと前記サブフレームとの間に配設されて、エンジンルームから前記ホイルハウス内への空気の流入を抑制するスプラッシュシールドと、
前記フロントバンパの左右両端部に設けられて、前方からの走行風を取り入れる導風口と、該導風口から取り入れた走行風をホイルハウス内に排出する排出口とを有するダクト部と、を備え、
前記スプラッシュシールドは、前記サブフレームの上部から車体上方に延設されて、前記エンジンルームと前記ホイルハウスとを仕切るとともに、前記スプラッシュシールドの下縁部にて車体上方に凹む複数の凹部が形成され、
前記凹部は前記エンジンルーム内から前記ホイルハウス内に突入する複数の軸部材に沿って配置され、
前記ダクト部の排出口は、上下方向に長い扁平な形状とされ、前記ホイルハウス内に配設された前輪の前部の上下方向に長い領域に走行風を排出するように形成されることを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の発明において、
前記デフレクタは、該デフレクタの後方に位置する前記前輪の下部に向けて大きな傾斜角で下方に傾斜する第1斜面部と、その車体幅方向内側に隣接して設けられ、前記ホイルハウス内の前輪よりも車内側の空間に向けて前記第1斜面部より小さな傾斜角で下方に傾斜する第2斜面部と、を有することを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の発明は、前記請求項3に記載の発明において、
前記ダクト部の通路断面形状は前記ダクト部の排出口に向けて車体幅方向に絞縮されていると共に、
前記ダクト部の排出口は、車両の直進時に、前記ダクト部を通過した走行風が前記前輪の前部と前記前輪の車外側の側部との間の角部に当たるように形成されていることを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の発明は、
車体の前部に配置されたフロントバンパと、
該フロントバンパの後方で車体の左右両側部に設けられるホイルハウスと、
前記フロントバンパの後方で車体前後方向に延びる左右一対のフロントサイドフレームと、
該フロントサイドフレームの下方で、かつ、前記左右のホイルハウスの間に配置されたサブフレームと、を有する車両の前部車体構造であって、
前記フロントバンパの左右両端部の下方に配設されて、前方から前記ホイルハウス内への空気の流入を抑制するデフレクタと、
前記左右のフロントサイドフレームと前記サブフレームとの間に配設されて、エンジンルームから前記ホイルハウス内への空気の流入を抑制するスプラッシュシールドと、
前記フロントバンパの左右両端部に設けられて、前方からの走行風を前記ホイルハウス内の前輪の前部に当てることにより、前記ホイルハウスの前面と前記前輪の前部との間に該ホイルハウス内から車体側方への空気の流出を抑制するエアカーテンを形成するダクト部とを設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明によれば、車両の前部車体構造は、フロントバンパの左右両端部の下方のデフレクタと、前記フロントバンパ後方のホイルハウスとエンジンルームとを仕切るスプラッシュシールドと、前記フロントバンパの左右両端部のダクト部と、を備えているので、前記デフレクタによって車体前方からの走行風が前記ホイルハウス内へ流入することが抑制され、前記スプラッシュシールドによって前記エンジンルーム内の空気が前記ホイルハウス内へ流入することが抑制される。
【0016】
そして、前記フロントバンパのダクト部の排出口から排出される空気が、前記ホイルハウス内の前輪に当接することで、前記ダクト部の排出口と前記前輪との間に、前記ホイルハウス内と車外とを仕切るエアカーテンが形成される。
【0017】
これにより、前記フロントバンパの左右両端の角部後方に負圧が発生しても、この負圧による前記ホイルハウス内からの空気の吸い出しが抑制され、該ホイルハウス内から車体側方へ流出する空気が、車体側面における空気の流れに当たることが抑制されるので、車体側面における空気の剥離の発生及び渦流の発生による空気抵抗が低減される。
【0018】
そして、特に請求項1の前記スプラッシュシールドは、前記サブフレーム上部から車体上方に延設されて、前記エンジンルームと前記ホイルハウスとを仕切るとともに、前記スプラッシュシールドの下縁部にて車体上方に凹む複数の凹部が形成され、前記凹部は前記エンジンルーム内からホイルハウス内に突入する複数の軸部材に沿って配置されているので、前記エンジンルーム内の空気が前記ホイルハウス内へ流入されることがより効果的に抑制される。
【0019】
一方、前記ダクト部の排出口は、上下方向に長い扁平な形状とされ、前記ホイルハウス内の前輪の前部の上下方向に長い領域に走行風を排出するように形成されているので、前述のエアカーテンが車体側面視において上下に広い範囲に設けられることになる。すなわち、前記エアカーテンによってホイルハウス内と車体側方とが広い面で仕切られることができる。
【0020】
以上、2点から、ホイルハウス内から車体側方への空気の流出がより確実に抑制され、ホイルハウス内から車体側方へ流出する空気と、車体側方の走行風とが衝突することが抑制されるので、車体側面の空気の乱れをより確実に抑制することができる。
【0021】
請求項2に記載の発明によれば、前記デフレクタは、該デフレクタの後方に位置する前記前輪の下部に向けて大きな傾斜角で下方に傾斜する第1斜面部と、その車体幅方向内側に隣接して設けられ、前記ホイルハウス内の前輪の車内側の空間に向けて前記第1斜面部より小さな傾斜角で下方に傾斜する第2斜面部とを有するので、前記デフレクタの車体幅方向の外側では、前記第1斜面部により、前記ホイルハウス内への走行風の流入が抑制されると共に、前記前輪に走行風が直接衝突することが回避され、該ホイルハウス内の圧力上昇が抑制される。
【0022】
一方、前記第2斜面部により、車体幅方向の内側では、走行風がその流れを妨げられないように、ゆるやかに前記ホイルハウスの下方へ整流されるので、該走行風がデフレクタに衝突することによる空気抵抗が抑制される。そして、前記デフレクタの第2傾斜面部を流動する走行風の流速は、前記ホイルハウス内の空気の流速に対して速くなるため、該ホイルハウス内における該デフレクタの車体後方に低圧となる領域を発生させることができ、例えば、ホイルハウスから車体側方へ排出されてしまった空気を、該ホイルハウス内或いはホイルハウスの車体後方側へ引き込むことができる。これにより、ホイルハウスの車体前方に加え、後方においても車体側方への空気の乱れを抑制することができる。また、車体側面を流れる走行風の一部についても、該ホイルハウス内或いはホイルハウスの車体後方側へ引き込むことができ、前記ホイルハウス内に配置されているブレーキロータ等の冷却の効果も期待できる。
【0023】
請求項3に記載の発明によれば、前記ダクト部の排出口は、車両の直進時に、前記ダクト部を通過した走行風が前記前輪の前部と前記前輪の車外側の側部との間の角部に当たるように形成されているので、車両の直進時において、前記ホイルハウス内の内圧上昇を抑制すると共に、良好なエアカーテンを形成することができる。その結果、高速走行時において燃費に大きく影響する空気抵抗をより効果的に低減することができる。
【0024】
すなわち、前記ダクト部を通った空気が、前記前輪の角部において所定の幅よりも車体幅方向内側に排出される場合、前記ホイルハウス内に走行風が流入されることになり、前記ダクト部を通った空気が、前記前輪の角部において所定の幅よりも車体幅方向外側に排出される場合、エアカーテンを確実に発生させられなくなることを防止できる。したがって、前記エアカーテンを最適な領域に設けることができ、前記ホイルハウス内から車体側方へ空気が流出することが抑制されている。
【0025】
さらに、前記ダクトの排出口は、車体幅方向に絞縮するように形成されているので、前記ダクトの排出口の上下方向の拡幅に対して車体幅方向においては前記ダクトの排出口を絞ることで、前記ダクトを通って排出される空気流の流速が落ちることが抑制されている。その結果、前記ダクトを通って排出される空気流の流速が確保され、より確実にエアカーテンを発生させることができる。
【0026】
請求項4に記載の発明によれば、車両の前部車体構造は、フロントバンパとその後方で車体の左右両端部に設けられるホイルハウスとが設けられ、前記フロントバンパの左右両端部の下方に配設されて、前記ホイルハウス内への空気の流入による前記ホイルハウス内の圧力上昇を抑制するデフレクタと、エンジンルームから前記ホイルハウス内に空気の流入による該ホイルハウス内の圧力上昇を抑制するスプラッシュシールドと、前記フロントバンパの左右両端部に設けられて、前方からの走行風を前記ホイルハウス内の前輪の前部に当てることによりエアカーテンを形成するダクト部と、を備えているので、前記請求項1と同様に、前記エアカーテンによって、前記ホイルハウス内から車体側方への空気の流出が抑制され、前記デフレクタ及び前記スプラッシュシールドによって、前記ホイルハウス内へ流入する空気量が抑制されると共に、該ホイルハウス内の圧力の上昇が抑制されるので、前記ホイルハウス内から車体側方への空気の流出がより効果的に抑制される。また、前記ホイルハウス内を低圧化することができるので、前記エアカーテンを通り抜けて前記ホイルハウス内の前輪前方部から車体側方へ流出された空気を、該ホイルハウス内の前輪後方部において引き込むことができ、車体側面の空気の乱れを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の実施形態に係る車両の前部車体構造を示す左側面図である。
図2】前記前部車体構造を社内側から見た右側面断面図である。
図3図2のX−X断面図である。
図4】本発明の実施形態に係るデフレクタ単体の(a)底面図、(b)側面図、(c)正面図である。
図5】デフレクタの(a)第1傾斜面及び(b)第2傾斜面における作用の説明図である。
図6】本発明の実施形態に係るスプラッシュシールドの斜視図である。
図7】本発明の実施形態に係るダクト部の(a)図2のX−X断面及び(b)車体側面における作用の説明図である。
図8】本発明の実施形態に係る車両の前部車体構造の作用を説明するための図3相当の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態に係る車両の前部車体構造の詳細を説明する。なお、以下においては、図示された車両左側の前部車体構造について説明する。
【0029】
図1に示すように、車体1の前部は、車体前部の上面を覆うように形成されるフード2と、車体の左右の側面部を覆うように形成されるフロントフェンダ3(左側のもののみ図示、以下同様)と、車体の正面部から左右の側面部にかけて車体前部を覆うように形成されるフロントバンパ4と、によって形成されており、該フロントバンパ4は車体幅方向に延びると共に、前記フロントフェンダ3と連続するように形成されている。
【0030】
また、車体側面には、前記フロントバンパ4と前記フロントフェンダ3にかけて、略半円形状で下方へ開放されたホイルハウス5(左側のもののみ図示、以下同様)が設けられている。そして、該ホイルハウス5を形成する前記フロントフェンダ3のホイルアーチ31の内側には、フェンダライナ32(左側のもののみ図示、以下同様)が結合されており、該フェンダライナ32は前記ホイルハウス5に沿うように、略円筒面で形成されている。(図3参照)また、ホイルハウス5内には、前輪6(左側のもののみ図示、以下同様)が配置されて、該前輪6内には、車両のブレーキ装置を構成するブレーキロータまたはブレーキドラム61取り付けられている。
【0031】
また、図2に示すように、前記車体1は、その前後方向に延びる左右一対のフロントサイドフレーム11(左側のもののみ図示、以下同様)と、該フロントサイドフレーム11の下方に配設されたサブフレーム12と、該サブフレーム12と前記フロントサイドフレーム11とをつなぐ車体構造部材13(左側のもののみ図示、以下同様)と、を備えている。そして、前記左右のフロントサイドフレーム11の間には、車体幅方向に延びてエンジンルームYと車室Z内を仕切るダッシュパネル14が設けられている。
【0032】
図2及び図3に示すように、前記サブフレーム12は、車体幅方向の左右に設けられて車両前後方向に延びる一対のサイドメンバ部12a(左側のもののみ図示、以下同様)と、両サイドメンバ部12aの後部同士を連結するように車幅方向に延設されたクロスメンバ部12bとを有する。
【0033】
また、前記サブフレーム12のクロスメンバ部12bの上には、前記エンジンルームY内から前記ホイルハウス5、5内に突入する軸部材として、車体前方から前記ダッシュパネル14側に向かって順にドライブシャフト91、ステアリングラック92、スタビライザー93、が配設されており、これらの軸部材91、92、93はエンジンルームY内からホイルハウス5、5を通り抜けて左右の前輪6、6に連結されている。また、該前輪6、6用サスペンション部材であるサスペンションアーム9、9が、前記サブフレーム12のクロスメンバ部12bにより支持されている。
【0034】
以上の構成に加えて、この車体1には、車体側部の空力性能向上のための構造として、前記フロントバンパの左右の両端下方に装着固定されたデフレクタ7(左側のもののみ図示、以下同様)と、前記フロントサイドフレーム11と前記サブフレーム12との間を覆うように設けられた前側及び後側スプラッシュシールド81、82と、前記フロントバンパ4の左右両端で車両前方からの走行風を導入すると共に前記ホイルハウス5内に該走行風を排出するように設けられたダクト部40(左側のもののみ図示、以下同様)と、が設けられている。
【0035】
前記デフレクタ7は、図4に示すように、前輪6の前方に設けられて、ほぼ水平方向に延びる水平面部71と、該水平面部71の後端に連続して設けられて前輪6の下部に向けて大きな傾斜角で下方に傾斜する第1斜面部72と、前記前輪6より車体幅方向の車内側に設けられて、前記第1斜面部72より小さな傾斜角で下方に傾斜する第2斜面部73と、前記水平面部71及び第1斜面部72と第2斜面部73との間を連結する縦面部74と、を有している。
【0036】
前記デフレクタ7の後端部には、前記水平面部71及び第2斜面部73から立ち上がる後方フランジ部75が設けられており、該後方フランジ部75は、樹脂クリップ75a、75aを用いて、前記フェンダライナ32と締結されており、前記デフレクタ7の車体内側かつ後方の端部には、内側フランジ部76が設けられており、該内側フランジ部76は、樹脂クリップ76aを用いて前記前側スプラッシュシールド81と締結されている。また、前記デフレクタ7の前端部から車体外側の側部には、前記水平面部71及び第2斜面部73から車体外側に延びる外側フランジ部77が延設されており、該外側フランジ部77は、樹脂クリップ77a…77aを用いて前記フロントバンパ4と締結されている。
【0037】
そして、図2に示すように、前記デフレクタ7は、前記フロントバンパ4の左右の両端部の下側の先端から前記ホイルハウス5前端までの範囲を覆うように、前記フロントバンパ4と、前記フェンダライナ32、32と、前側スプラッシュシールド81と、に固定されている。
【0038】
前記スプラッシュシールド81、82は、図2に示すように、前記ドライブシャフト91よりも車体前後方向前側に設けられた、前側スプラッシュシールド81と、該ドライブシャフト91よりも車体前後方向後側に設けられた、後側スプラッシュシールド82と、が設けられている。なお、特許請求の範囲における「スプラッシュシールド」は、前記後側スプラッシュシールド82に相当する。
【0039】
前記前側スプラッシュシールド81は、その上部が前記フロントサイドフレーム11の外面下辺部にボルト(図示せず)止めされると共に、下部がサブフレーム12の外面部にボルト(図示せず)止めされることにより、前記フロントサイドフレーム11および前記サブフレーム12の前記ドライブシャフト91から車体前方の範囲を、車幅方向外面側から覆うように設置されている。
【0040】
前記後側スプラッシュシールド82は、その車体前方側が前記フロントサイドフレーム11と前記サブフレーム12とを連結する車体構造部材13にボルト83…83で締結されると共に、車体後方側が前記サブフレーム12の上面部にボルト83で固定されることにより、前記フロントサイドフレーム11及び前記サブフレーム12の車両前後方向の前記ドライブシャフト91よりも後方の領域を覆うように設置されている。
【0041】
そして、前記後側スプラッシュシールド82は、図5に示すように、上下方向に延びてエンジンルームYとホイルハウス5とを仕切る縦面部82aを有し、該縦面部82aの上端部から車体幅方向外側に延びるフランジ面部82bが設けられ、該フランジ面部82bに設けられた締結部82b’で前記車体構造部材13にボルト83によって結合されている。また、後側スプラッシュシールド82の縦面部82aの下方の面には、段差部82cが設けられていると共に、その前方側には、前記ステアリングラック92の外周面に沿って形成された第1凹部82dが設けられ、その後方側には、前記スタビライザー93の外周面に沿って形成された第2凹部82eが設けられている。前記後側スプラッシュシールド82の縦面部82aの下方で車体前後方向後端部には、車体後方に延びるフランジ部82fが設けられており、該フランジ部82fに設けられた締結部82f’と、前記サブフレーム12のクロスメンバ部12bとがボルト83によって結合されている。
【0042】
これらの前側及び後側スプラッシュシールド81、82によって、図2及び図3に示すように、前記エンジンルームYとホイルハウス5とが仕切られている。
【0043】
そして、前記ダクト部40は、図1及び図3に示すように、前記フロントバンパ4の左右両端部に設けられており、導風口41と、排出口42と、連通路43とで形成されている。前記導風口41は、前記フロントバンパ4の車体幅方向の両端部に形成されると共に、車体前側へ開放されている。
【0044】
また、前記ダクト部40の排出口42は、前記ホイルハウス5の前端において、上下方向に長い扁平な形状とされ、前記前輪6の前部6aの上下方向に長い領域に走行風を排出するように形成されている。また、前記ダクト部40の排出口42は、前記ダクト部40を通過した走行風が、前記前輪6の前部6aと車外側の側部6bとの間の角部6c(R止まり)に当たるように形成され、例えば、前記前輪6の角部6cを中心として、車体幅方向において左右それぞれ5mmの幅を持った通路で形成されている。
【0045】
ここで、図6を用いて、前方からの走行風が前記フロントバンパ4に当たる場合における、前記デフレクタ7の作用を説明する。図6(a)は、前記デフレクタ7の第1斜面部72に沿った走行風Aの流れを示しており、図6(b)は、前記デフレクタ7の第2斜面部73に沿った走行風Bの流れを示している。
【0046】
図6(a)に示すように、車体前方からの走行風Aは前記フロントバンパ4に当たり、車体側方に回り込むと共に、前記フロントバンパ4の下方に流入する。そして、前記走行風Aは、前記デフレクタ7の水平面部71を通り抜け、前記デフレクタ7の第1斜面部72に到達後、該第1斜面部72に沿って走行風Aの方向が前記前輪6よりも前方、かつ、下方に偏向されることになる。したがって、前記走行風Aは、例えば、矢印A’で示すように前記前輪6に直接衝突することが回避されるので、前記ホイルハウス5内の圧力の上昇を抑制することができる。
【0047】
一方、図6(b)に示すように、車体前方からの走行風Bは前記フロントバンパ4に当たり、車体側方に回り込むと共に、前記フロントバンパ4の下方に流入する。そして、前記走行風Bは、前記デフレクタ7の第2斜面部73に沿って通り抜け、前記サスペンションアーム9よりも下方を通るように傾斜しており、前記デフレクタ7の第1斜面部72のように該デフレクタ7自体に衝突することも防止されているので、前記デフレクタ7の先端部から後方にかけて、スムーズに空気を流すことができる。
【0048】
また、図7を用いて、前方からの走行風が前記フロントバンパ4に当たる場合における、記ダクト部40の作用について説明する。
【0049】
図7(a)に示すように、車体前方からの走行風Cは前記フロントバンパ4に当たり、前記ダクト部40の導風口41から導入され、排出口42から排出され、前記ホイルハウス5内の前記前輪6に当接し、前記ダクト部40の排出口42と前記前輪6との間に、前記ホイルハウス5内と車外とを仕切るエアカーテンcが設けられる。
【0050】
図7(b)に示すように、車体前方からの走行風Cは前述したように、前記ダクト部40の導風口41から導入され、排出口42から排出されるが、該排出口42から排出される走行風Cは、前記排出口42の上下方向に長い開放の形状に沿って排出される。その結果、前記ホイルハウス5内の前輪6の前部6aの上下方向に長い領域に排出されるので、前記エアカーテンcが車体側面視において上下に広い範囲に設けられることになる。
【0051】
以上の構成により、図8に示すように、走行中に前方から前記フロントバンパ4の下方を通って前記ホイルハウス5に流入する走行風は、前記デフレクタ7の第1斜面部72及び第2斜面部73によって、それぞれ矢印A、矢印Bで示す方向に偏向される。
【0052】
前記デフレクタ7の第1斜面部72に沿って流れる車体幅方向外側の走行風は、矢印Aで示すように前輪6への衝突を回避するように偏向され、前記ホイルハウス5内の圧力の上昇を抑制している。
【0053】
前記デフレクタ7の第2斜面部73に沿って流れる車体幅方向内側の走行風は、矢印Bで示すように、走行風の流れを妨げることなく、サスペンションアーム9への衝突を回避しながら車体後方に整流される。
【0054】
また、前記ホイルハウス5内の空気の流速に対して、前記デフレクタ7の下方を流動する走行風Bの流速が速くなるため、該ホイルハウス5内における該デフレクタ7の車体後方に低圧となる領域bを発生させることができる。その結果、例えば前記ホイルハウス5から車体側方へ流出されてしまった空気C’をより確実に、前記ホイルハウス5内へ引き込むことができ、前記ホイルハウス5の車体前方に加え、後方においても車体側方の空気の乱れを抑制することができる。また、車体側方を流れる走行風Dの一部を前記ホイルハウス5内に引き込むことで、前記ホイルハウス5内に配置されているブレーキロータ61等の冷却の効果も期待できる。
【0055】
そして、前記エンジンルームYから前記ホイルハウス5へ流れ込むエンジンルームY内の空気Eは、前記前側及び後側スプラッシュシールド81、82によって前記ホイルハウス5へ流れ込むことが抑制され、前記ホイルハウス内の圧力上昇を抑制している。
【0056】
さらに、前記フロントバンパ4の両端部のダクト部40を通り抜けた走行風Cによって、前記ホイルハウス5の前面から前記前輪6の前面においてエアカーテンcが形成され、前記ホイルハウス5内に流れ込んだ空気C’が前記前輪6の前方から車体側方に流れ出すことが抑制される。
【0057】
したがって、前記ホイルハウス5内に流入する走行風の流量を抑制しつつ、該ホイルハウス5内を低圧化することができるので、前記ホイルハウス5内と車外との間を仕切る前記エアカーテンcによる、前記ホイルハウス5内から流出する空気C’をより確実に抑制することができることになる。
【0058】
また、前記フロントバンパ4に当たって左右に掻き分けられた走行風Dによって、該フロントバンパ4の角部後方に負圧となる領域dが発生し、この負圧となる領域dにより、前記ホイルハウス5内に流れ込んだ空気C’が、該ホイルハウス5内における前輪6の前方を通って吸い出されようとするが、これに対しても、前述のエアカーテンcによって、前記ホイルハウス5内の空気が車体側方へ流れ出すことが効果的に抑制される。その結果、前記ホイルハウス5内から車体幅方向外側へ排出される空気C’が、車体側面における走行風Dに当たることが抑制されるので、車体側面における空気の剥離の発生及び渦流の発生による空気抵抗が低減される。
【産業上の利用可能性】
【0059】
以上のように、本発明によれば、自動車等の車両前部からホイルハウス内へ流入する走行風が、該ホイルハウスから車体側方へ流出されることによる車体側部における空気の乱れを抑制するための車両の前部車体構造を有する車体の製造産業分野において好適に利用される可能性がある。
【符号の説明】
【0060】
1 車体
4 フロントバンパ
5 ホイルハウス
6 前輪
6a 前輪の前部
6b 前輪の車外側の側部
6c 前輪の角部
7 デフレクタ
11 フロントサイドフレーム
12 サブフレーム
40 ダクト部
41 導風口
42 排出口
72 第1斜面部
73 第2斜面部
81 前側スプラッシュシールド
82 後側スプラッシュシールド(スプラッシュシールド)
82d、82e 凹部
92 ステアリングラック(軸部材)
93 スタビライザー(軸部材)
c エアカーテン
Y エンジンルーム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8