特開2018-173424(P2018-173424A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特開2018-173424周囲温度を測定するデバイスが組み込まれている着用可能なデバイスによって周囲温度を測定する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-173424(P2018-173424A)
(43)【公開日】2018年11月8日
(54)【発明の名称】周囲温度を測定するデバイスが組み込まれている着用可能なデバイスによって周囲温度を測定する方法
(51)【国際特許分類】
   G01J 5/04 20060101AFI20181012BHJP
   G04G 21/02 20100101ALI20181012BHJP
   G01J 5/10 20060101ALI20181012BHJP
【FI】
   G01J5/04
   G04G21/02 A
   G01J5/10 Z
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-121879(P2018-121879)
(22)【出願日】2018年6月27日
(62)【分割の表示】特願2015-132372(P2015-132372)の分割
【原出願日】2015年7月1日
(31)【優先権主張番号】14176984.4
(32)【優先日】2014年7月15日
(33)【優先権主張国】EP
(71)【出願人】
【識別番号】506425538
【氏名又は名称】ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ・ジェルミケ
(72)【発明者】
【氏名】ダヴィド・フーヴァー
【テーマコード(参考)】
2F002
2G066
【Fターム(参考)】
2F002AA12
2F002AB06
2F002BB05
2F002GA04
2G066AC20
2G066BA57
2G066BB01
2G066BC02
2G066BC05
2G066CA14
2G066CA16
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ユーザーの手首に着用可能であり、着用者の体温を回避しつつ供給される周囲温度の正確な測定を可能にするような、温度計が組み込まれたデバイスを提供する。
【解決手段】着用可能なデバイス2には、周囲温度を測定するデバイスが組み込まれている。これは、赤外線センサー18を有する。周囲温度測定モードにおいて、制御回路30が、赤外線センサー18を数回アクティブにする。これによって、特定の期間にわたって複数の測定信号を供給することができる。測定信号の処理回路30は、測定信号の少なくとも一部に対応する温度値を供給し、これらの温度値の少なくとも一部の平均を取得して周囲温度を表すと考えられる平均温度値を得るように構成する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用可能なデバイスに組み入れられた赤外線センサーによって周囲温度を測定する方法であって、周囲温度測定モードにおいて、
(A)前記着用可能なデバイスが動くことによって特定の期間にわたって前記赤外線センサーのアクティブな面に当たる、前記着用可能なデバイスの外からの赤外線の複数の測定を行うステップであって、この赤外線センサーは、複数の測定信号をこれらの測定信号の処理回路に送信するものであるような、ステップと、
(B)前記複数の測定信号の少なくとも一部に対応する温度値を前記処理回路によって供給するステップと、
(C)前記温度値の少なくとも一部の平均を取得して、周囲温度を表すと考えられる平均温度値を得るステップと
を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記赤外線センサーは、少なくとも所与の幾何学的な平面において少なくとも20°のアパーチャ角にわたってこの着用可能なデバイスの外から赤外線を受けるように構成する
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記赤外線センサーは、少なくとも所与の幾何学的な平面において少なくとも35°のアパーチャ角にわたってこの着用可能なデバイスの外から赤外線を受けるように構成する
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
所定の範囲から外れている測定信号又は温度値を除去するステップをさらに有する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記着用可能なデバイスに組み入れられた傾斜計によって、地球基準方向と、前記赤外線センサーの向きの方向との間の角の測定を行い、
前記赤外線センサーの制御回路は、前記向きの方向が特定の角度的空間内に位置する場合にのみ、自身をアクティブにし、
対応する測定の間の前記向きの方向がこの角度的空間の外に位置する場合には、前記処理回路は、前記赤外線センサーから受けた測定信号を除外する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記地球基準方向は、垂直方向の軸であり、前記赤外線センサーの前記向きの方向は、そのアクティブな面に垂直な法線ベクトルによって定められ、
前記角度的空間は、この垂直方向の軸を中心軸として有する直円錐によって定められ、その頂点は、この円錐の頂上に位置している
ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記赤外線センサーによる対応する測定の間に前記傾斜計で測定される角の関数として、前記温度値に重み付けするステップを有する
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
前記制御回路は、前記赤外線センサーの前記向きの方向が最後の一又は複数の測定と比較して実質的に変わっていると判断した場合にのみ、新しい測定信号を供給するように前記赤外線センサーをアクティブにし、あるいは
前記処理回路は、少なくとも一部が実質的に異なる向きの方向に対応するような温度値を選択することによって前記平均を取得する
ことを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記着用可能なデバイスは、ユーザーの手首に着用されるように構成し、
周囲温度測定機能がアクティブである場合に、請求項1から8のいずれかに記載の周囲温度を測定する方法を自動的に周期的に繰り返す方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周囲温度を測定するように構成する温度測定デバイス(温度計とも呼ばれる)が組み込まれている着用可能なデバイスの分野に関する。具体的には、本発明は、ユーザーの手首に着用することができるデバイスに関し、例えば、上記のような温度計が取り付けられた腕時計に関する。
【背景技術】
【0002】
温度計が取り付けられた着用可能なデバイス、特に、腕時計が、提案されている。周囲温度を表示することは、多くのユーザーに評価されるような有益な情報を与えるからである。一般的には、使用される温度センサーは、抵抗性タイプのセンサーや、熱電対で形成されるセンサーである。このようなセンサーは、その直接的な周囲の温度を示す。特に、腕時計の場合に、温度計がケース内に設けられている場合は、時計用ケース内の温度が測定される。しかし、腕時計が手首に着用される場合には、ケース内部の温度に大きな影響を与えるエネルギー源は、一般に、人体である。したがって、腕時計が手首に着用されている場合に周囲温度を正確に測定することは、困難ないし不可能である。実際に、腕時計を外して熱くならない支持体上に置いて、そして、腕時計の温度が周囲温度の近くになると、最終的に周囲温度の測定を行うことができる。このようになるまでは、比較的長い時間待つことが必要となる。この状況は、ユーザーにとって非常に不便であり、このことによって、着用可能な物(特に、腕時計)にこの周囲温度測定機能を備えさせる魅力を減らしてしまう。一部の構成においては、このセンサーを手首からなるべく遠くに移したり、及び/又は人体と直接接触する部分から熱的に絶縁させたりすることを試みている。しかし、これらの手法は、技術的に複雑であって腕時計において実装するのが難しい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、(特に、ユーザーの手首に)着用可能であり、着用者の体温を回避しつつ供給される周囲温度の正確な測定を可能にするような、温度計が組み込まれたデバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
このために、本発明は、周囲温度を測定するように構成する温度測定デバイスが組み込まれている着用可能なデバイスに関する。この測定デバイスは、赤外線センサー(IRセンサー)と、赤外線センサーのための制御回路と、及び赤外線センサーによって供給される測定信号の処理回路とを有する。周囲温度測定モードにおいて、この赤外線センサーは、この着用可能なデバイスの外部から赤外線を受けることができるように構成している。周囲温度測定モードにおいて、制御回路は、赤外線センサーを数回アクティブにすることができるように構成する。これによって、特定の期間にわたってこの着用可能なデバイスの外からの赤外線の複数の測定信号を供給することができる。この周囲温度測定モードにおいて、この処理回路は、複数の測定信号の少なくとも一部に対応する温度値を供給し、これらの温度値の少なくとも一部の平均を取得して、周囲温度を表すと考えられる平均温度値を得る。
【0005】
本発明は、内部空間の温度が、一般に、この空間の限界を定める表面及びこの空間にある物の温度の平均に十分に正確に対応するという発明者の発見に基づく。このことは、存在する様々な材料の熱慣性を考慮すると、この空間が特定の期間にわたって熱的に安定状態にあった場合に特に言える。このように、本発明は、ユーザーの温度に依存しない、ユーザーの周辺領域にある材料の温度測定を可能にする赤外線センサーを使用する。この赤外線センサーは、着用時に様々な運動をすることがある着用可能なデバイスに組み入れられる。センサーが覆われない場合には、赤外線センサーの様々な向きに対応する特定の期間にわたるいくつかの測定を得ることが可能となる。これらの測定の平均値は、周囲温度に実質的に対応する。そこで、本発明者は、閉じた空間のために適切なこの一般的な方法を単に適用することでは、外部での測定が正確な結果をしばしば与えないことを観測した。下記の好ましい実施形態は、外部のために有効な手法を与える。
【0006】
好ましい実施形態の1つによれば、着用可能なデバイスは、傾斜計を有し、これは、地球基準方向と赤外線センサーの向きの方向との間の角を測定するように構成する。周囲温度測定モードにおいては、制御回路は、向きの方向が特定の角度的空間内に位置する場合にのみ、赤外線センサーをアクティブにするように構成し、向きの方向がこの角度的空間の外に位置する場合には、処理回路は、赤外線センサーから受けた測定信号を除外するように構成する。
【0007】
特定の変種の1つにおいて、地球基準方向は、垂直方向の軸の方向であり、前記向きの方向は、赤外線センサーのアクティブな面に垂直な法線ベクトルによって定められる。そして、角度的空間は、この垂直方向の軸を中心軸として有する直円錐によって定められ、その頂点は、この円錐の頂上に位置している。したがって、外部の周囲温度測定については、赤外線センサーが空の方向を向いている場合には、温度測定が止められるか又はこれらの測定が除去される。なぜなら、空から到来する赤外線は、一般に、周囲温度にまったく対応しないような極低温を与えるからである。傾斜計の結果、着用可能なデバイスの周辺領域の表面への赤外線センサーの向きに対応する温度測定だけを選択することができる。
【0008】
本発明は、さらに、請求項12において定められている、着用可能なデバイスに組み入れられた赤外線センサーによって周囲温度を測定する方法に関する。
【0009】
本発明の他の特定の特徴が従属請求項の主題となっており、これらを下の本発明の詳細な説明において開示する。
【0010】
以下、添付図面(限定的でない)を用いて、本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る腕時計の平面図である。
図2図1の部分断面図である。
図3】本発明に係る腕時計の別の実施形態の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
まず、図1及び2に基づいて、周囲温度を測定するように構成する温度測定デバイスが組み込まれている本発明に係る着用可能なデバイス2の一般的な実施形態を説明する。この図示した実施形態において、この着用可能なデバイス2は、ケース4、蓋ガラス6、表盤8、及び時計用バンド10を有する腕時計である。また、アナログ表示12及びデジタル表示14を有する。このデジタル表示14は、具体的には、周囲温度の測定を表示するために設けられる。しかし、変種の1つでは、針の1つをインジケーターとして、また、表盤8上の対応する温度目盛を用いて周囲温度を示すように、アナログ表示が使用される。これによって、周囲温度の指示するためにデジタル表示が必要ではなくなる。
【0013】
温度測定デバイスは、周囲の赤外線を測定するユニット16内に配置された赤外線センサー18を有する。このユニット16は、小さな箱20で形成されており、その内壁に赤外線センサーが配置されており、このセンサーのアクティブな面に面する壁は、赤外線(IR放射)を透過するラグ(lug)によって形成されている。このように、赤外線センサーは、測定デバイスが中に組み入れられている着用可能なデバイスの外からの赤外線を受けることができるように構成している。箱20は、ケース4の横側の窪み内に収容されている。具体的には、図1及び2に示す変種において、ケース4の横側の窪みは、赤外線センサー18のアクティブな面に垂直な法線ベクトル22が、概して、腕時計の「6時−12時」の軸26を含みケース4の主平面(表盤8の平面)に垂直な平面(図2の切断面に対応する)に位置するように設けられている。上記の法線ベクトル22は、ケース4の中心から「12時」の方向に向いており、軸26に対する角度的変位は、時計用バンド10から離れる方向の角方向において30°未満であることができる。図2の例において、角度的変位はなく、よって、法線ベクトル22は軸26と平行である。このセンサーは、時計用バンドがケースに取り付けられている領域において設けられているので、ケース4の横側の時計用バンドの中央に窪み24が設けられている。ケース4をしっかり閉じることと測定ユニット16の保護を確実にするために、この測定ユニットの前の外側にロック用ディスク28が設けられている。このディスク28は、古典的な密閉用細長片によって、又は接着のような当業者に知られている別の方法によって、密閉するようにマウントされる。このディスク28は、赤外線を実質的に透過するように設計されている。例えば、金属性の外観を有するゲルマニウムの結晶で形成され、したがって、可視域においては実質的に透過しない。
【0014】
なお、図示した構成は、概略図であり、当業者であれば、時計用バンドを時計用ケースに取り付けるデバイスに変更することによって、及び/又は法線ベクトル22の方向の周辺の領域を自由とするような構成となるように時計用バンドを設計することによって、様々な変種を実現することができる。上記の法線ベクトル22の上方向の角度的変位によって、概して時計用バンドが占める領域(赤外線が比較的大きな開口で受けられることを可能にするために自由としなければならない領域)を小さくすることが可能になる。表盤の「12時」の位置の延長上に位置するケース4の領域内へのセンサー18の位置合わせは、腕時計2がユーザーの手首に着用される場合に所望の方向にて赤外線の測定を行うことができるように選択される。実際に、このようなセンサー18に対する法線ベクトルの向きによって、腕時計の着用者から到来する放射の検出を、この着用者の前腕の大部分の位置において防ぐことができることになる。そして、着用者の着座位置では、このセンサーの向きの方向は、概して水平面よりも下であり、このことによって、大部分が下方向に向いた測定を自動的に行うことが可能になり、また、空の方を向く外側の測定を防ぐことができる。その理由は、上記の本発明の概要において説明してある。また、このことは、着用者が立っていて、このセンサーの向きの方向が水平面の近くであるが主として水平面よりも下にあって着用者の体から離れている場合にも、部分的に真となる。しかし、着座位置では、このセンサーの向きの方向が着用者の脚の方向を向いていることがあり得る。この場合、寄生的な測定をなくすために、フィルターを設けることができる。これについては、以下でさらに説明する。
【0015】
赤外線センサー18は、電子ユニット30に電気的に接続される。これは、導電体の線路と回路コネクター34とを有するフレキシブル基板32を介して行われる。回路コネクター34は、フレキシブル基板32の少なくとも1つの領域を、電子ユニット30が上に配置されるプリント回路36の少なくとも1つの対応する領域に接続する。この電子ユニットは、赤外線センサーの制御回路と、及びこの赤外線センサーによって供給される測定信号の処理回路とを形成する。周囲温度測定モードにおいて、この制御回路は、赤外線センサーを複数回アクティブにできるように構成する。これによって、このセンサーは、特定の期間にわたって複数の測定信号を供給することができる。そして、この周囲温度測定モードにおいて、処理回路は、複数の測定信号の少なくとも一部に対応する温度値を供給し、これらの温度値の少なくとも一部の平均を求めて、周囲温度を表すと考えられる平均温度値を得る。
【0016】
なお、変種の1つでは、制御回路及び処理回路は、別個の特定の回路で形成することができる。また、制御回路及び/又は処理回路の少なくとも一部を、測定ユニット16に組み入れることができ、また、本出願のために特に設計された赤外線センサーにさえも組み入れることができる。したがって、電子回路の様々なレベルのインテグレーションを考えることができる。既知の方法で、センサー18が発生させる測定信号がセンサー18の温度に依存することを考えると、測定ユニット16に温度センサーを組み入れることで、センサー18による赤外線の測定の精度を向上させることができる。
【0017】
大部分が熱平衡にある空間における周囲温度がこの空間の限界を定める放射表面及びこの空間にある物の平均周囲温度に十分に正確に対応するので、変種の1つにおいては、測定ユニット16と、その中の赤外線センサー18とを、周囲温度測定モードにおいて、このセンサーが少なくとも所与の幾何学的な平面において少なくとも20°のアパーチャ角にわたって着用可能なデバイスの外から赤外線を受けるように、設ける。したがって、時計用ケースの主平面におけるアパーチャα及び/又は軸26を含むこの主平面に横断する平面におけるアパーチャβは、少なくとも20°の値を有する。別の好ましい変種において、このアパーチャは、少なくとも所与の幾何学的な平面において、少なくとも35°の値を有する。なお、物の温度の測定に使用される赤外線センサーは、一般に、この物から到来する赤外線のみを受けるように、比較的小さなアパーチャを有する。対照的に、ここで説明する変種では、各測定によって得られる温度が、様々な表面及び/又は物の温度の特定の平均に対応するように、比較的大きなアパーチャが設けられている。
【0018】
変種の実施例の1つにおいて、処理回路30は、所定期間赤外線センサーによって供給される複数の測定信号の中からの特定の信号を、又は対応する温度値の中から特定の値を除去するように構成するフィルターを有する。具体的には、このフィルターは、所定の範囲から外れている測定信号又は温度値を少なくとも除去する。変種の1つにおいて、この範囲は、先行する測定の関数として、具体的には、先行する測定の平均及び所定の又は計算された標準偏差の関数として決められる。これによって、熱源、又は太陽の放射を蓄積しやすい特定の材料(例、風のない晴天の天候における戸外にある特定のタール)などに由来する測定を排除することを可能にする。
【0019】
好ましい実施形態によると、具体的には、外側の周囲温度の測定のために、着用可能なデバイスは、傾斜計40を有する。これも図2に基づいて説明される。この傾斜計は、地球基準方向と赤外線センサーの向きの方向の間の角を測定するように構成する。周囲温度測定モードにおいて、赤外線センサーの制御回路は、この向きの方向が特定の角度的空間内に位置する場合に、自身をアクティブにするように構成する。代わりに、この向きの方向が特定の角度的空間の外に位置する場合に赤外線センサーから受けた測定信号を除外するように構成するのは、測定信号の処理回路である。好ましい変種の1つにおいて、地球基準方向は垂直方向の軸であり、上記の向きの方向は、赤外線センサー18のアクティブな面に垂直な法線ベクトル22によって定められる。また、選択される角度的空間は、この垂直方向の軸を中心軸として有する直円錐によって定められ、その頂点はこの円錐の頂上に位置している。すなわち、逆円錐ではない。
【0020】
この好ましい実施形態は、戸外での測定に非常に有利である。なぜなら、水平面よりも上の方向を向いたセンサーによっての測定では、放射が天体の放射から到来するので完全に誤っている可能性が高く、このようなものは除外することができるからである。変種の1つにおいて、別の角度的空間を定めることができる。これは、特に、腕時計2のユーザーないし着用者の体温によって影響を受けることがある測定を除外するために行う。既知の方法で、傾斜計は、垂直方向を正確に決めることを可能にし、よって、着用者のデバイスの各基準軸、特に、軸26に対して、三次元で空間の向きを与えることを可能にするような3軸加速度計で形成することができる。これは、この傾斜計が着用可能なデバイスと一体的であるからである。
【0021】
特定の変種の1つにおいて、着用可能なデバイスは、この赤外線センサーによる赤外線の対応する測定の間に、傾斜計で測定される赤外線センサーの向きの方向の関数として、処理回路によって決定される温度値に重み付けする手段を有する。この場合、周囲温度を定める平均は、重み付けされた平均となる。
【0022】
図3は、本発明に係る腕時計42の特定の実施形態の平面図である。赤外線センサー18は、この平面図において、時計用ケース4A内の配置を理解することができるように示されているが、実際には、このケースの内部に位置している。ここでは既に説明した参照符号を再び説明しない。この腕時計は、赤外線センサー18のケース4A内の特定の配置が異なっている。すなわち、そのアクティブな面に垂直な法線ベクトル22Aがケースの横方向のエッジ48から出ている。図3に示す例において、赤外線測定ユニットを配置するためのケースにおける横側の窪みが、ホーン50において部分的に設けられている。このアパーチャは、赤外線を実質的に透過する窓を形成する側壁29によって閉じられる。変種の1つにおいて、法線ベクトル22Aは、ケースの頂上に向かう方向に(すなわち、表示12をカバーする蓋ガラスの方向に向かって上方に)、ケースの主平面に対して第1の角をなしている。これは、30°未満である。そして、この主平面に垂直で「6時−12時」の軸26を含む平面に対してこの法線ベクトルがなす第2の角θは、時計回りの方向において、20°よりも大きく60°未満である。このような構成は好ましい。なぜなら、まず、2つのホーンの間のピンで形成されるケース用アタッチメントを用いて古典的な時計用バンド10Aを腕時計に嵌めることができるからである。そして、この構成によって、このユーザーの手首に腕時計が着用されている時に、赤外線センサーによって行われる測定の大部分が、水平面より下のセンサーの向きの方向に対応することが確実になる。これは、特に、ユーザーが立っている場合に確実になる。
【0023】
本発明は、さらに、着用可能なデバイスに組み入れられた赤外線センサーによって周囲温度を測定する方法に関する。この方法は、具体的には、本発明に係る着用可能なデバイスによって実装されるので、本発明に係る方法の異なる変種の実装のために、上で説明した着用可能なデバイスの特徴における記載を適用する。したがって、本方法の説明において、不必要な反復を回避する。
【0024】
一般的には、この着用可能なデバイスに組み入れられた赤外線センサーによって周囲温度を測定する方法は、下記ステップを有する。
【0025】
(A)着用可能なデバイスが動くことによって特定の期間にわたって赤外線センサーのアクティブな面に当たる、着用可能なデバイスの外からの赤外線の複数の測定を行うステップであって、この赤外線センサーは、複数の測定信号をこれらの測定信号の処理回路に送信するものであるような、ステップ
【0026】
(B)前記複数の測定信号の少なくとも一部に対応する温度値を処理回路によって供給するステップ
【0027】
(C)温度値の少なくとも一部の平均を取得して、周囲温度を表すと考えられる平均温度値を得るステップ
である。
【0028】
好ましい変種の1つにおいて、ステップ(A)において行われる複数の測定は、実質的に一定間隔で連続して行われる。周囲温度を測定する方法の好ましい実際的な例においては、着用可能なデバイスに組み入れられた傾斜計によって、思い描かれた測定の間ごとに、地球基準方向と赤外線センサーの向きの方向の間の角が測定される。この角の測定を使用して、赤外線センサーの制御回路は、向きの方向が特定の角度的空間内に位置する場合にのみ自身をアクティブにするか、あるいは測定信号の処理回路は、向きの方向がこの角度的空間の外に位置する場合には、赤外線センサーから受けた測定信号を除外する。好ましい変種の1つにおいて、地球基準方向は垂直方向の軸であり、向きの方向はアクティブな面に垂直な法線ベクトルによって定められる。角度的空間は、この垂直方向の軸を中心軸として有する直円錐によって定められ、その頂点は、この円錐の頂上に位置している。
【0029】
特定の変種によれば、この方法は、赤外線センサーによる対応する測定の間に傾斜計で測定される角の関数として、温度値に重み付けするステップを有する。
【0030】
特定の実際的な例によれば、この方法においては、制御回路が、新しい測定信号を供給するように赤外線センサーをアクティブにする。赤外線センサーの向きの方向が最後の一又は複数の測定と比較して実質的に変わっていると判断する。代わりに、測定信号の処理回路は、温度値を選択することによって平均を取得し、その少なくとも一部が実質的に異なる向きの方向に対応する。
【0031】
着用可能なデバイスがユーザーの手首に着用されるような別の特定の実際的な例によれば、本発明に係る周囲温度を測定する方法は、周囲温度測定機能がアクティブである場合、自動的に周期的に繰り返される。このことによって、着用可能なデバイス、特に、腕時計のユーザーがいずれかの特定のふるまいを採用する必要性なしで、周囲温度の新しい測定を規則的に行うことが可能になる。したがって、周囲温度の表示が自動的に更新され、よって、正確性を維持する。この表示は、恒久的であることができ、周囲温度測定モードは、連続的又は周期的であることができる。また、要求された際には、周囲温度の表示を提供することができる。後者の実際的な例によって、周囲温度に対する正確な値を迅速に表示することができる。
【0032】
本発明は、ユーザーの手首上の着用可能なデバイスに対して特に好ましい応用用途を提示しているが、移動体電話や電子タブレットのような他のデバイスにおいても実装することができる。
【符号の説明】
【0033】
2、42 着用可能なデバイス
4 ケース
18 赤外線センサー
22 法線ベクトル
26 「6時−12時」の軸
28 ラグ
29 壁
30 処理回路
40 傾斜計
図1
図2
図3