特開2018-178486(P2018-178486A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-178486(P2018-178486A)
(43)【公開日】2018年11月15日
(54)【発明の名称】構造部材の切断装置
(51)【国際特許分類】
   E04G 23/08 20060101AFI20181019BHJP
【FI】
   E04G23/08 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-78062(P2017-78062)
(22)【出願日】2017年4月11日
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000165424
【氏名又は名称】株式会社コンセック
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100146835
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 義文
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(72)【発明者】
【氏名】奥山 信博
(72)【発明者】
【氏名】小林 昭
【テーマコード(参考)】
2E176
【Fターム(参考)】
2E176AA01
2E176DD22
(57)【要約】
【課題】例えば梁成が大きい地中梁等の大型のコンクリート部材をワイヤーソーで切断/解体する場合であっても、ワイヤーソーの動きに合わせて好適に水を供給でき、粉塵の発生を抑え、低騒音、低振動の好適な切断/解体作業を可能にする構造部材の切断装置を提供する。
【解決手段】ワイヤーソー機構1が、複数のプーリー7〜10と、複数のプーリー7〜10に無端ループ状に巻き掛けられ、駆動プーリー7の回転駆動とともに循環回動するワイヤーソー11と、ワイヤーソー11が構造部材12に切り込む切削部Sに水を供給するための給水機構13とを備える。給水機構13が、順次構造部材12に切り込まれて変化する切削部Sの位置に応じて給水位置を調整する給水位置調整機構14を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造部材を切断/解体するためのワイヤーソー機構を備えた切断装置であって、
前記ワイヤーソー機構が、複数のプーリーと、前記複数のプーリーに無端ループ状に巻き掛けられ、駆動プーリーの回転駆動とともに循環回動するワイヤーソーと、前記ワイヤーソーが構造部材に切り込む切削部に水を供給するための給水機構とを備えており、
前記給水機構が、順次構造部材に切り込まれて変化する前記切削部の位置に応じて給水位置を調整する給水位置調整機構を備えて構成されていることを特徴とする構造部材の切断装置。
【請求項2】
請求項1記載の構造部材の切断装置において、
前記給水位置調整機構が、順次構造部材に切り込まれて変化するワイヤーソーの角度を捉え、このワイヤーソーの角度に基づいて給水位置を調整するように構成されていることを特徴とする構造部材の切断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物などの構造物の部材を切断するための切断装置に関し、特に、大型の地中梁など、上下方向に立設されるとともに横方向の一方向に延びる大型のコンクリート部材の切断/解体に用いて好適な切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地中梁など、上下方向に立設されるとともに横方向の一方向に延びる大型のコンクリート部材を解体する際には、一般の削岩機では作業効率が著しく悪いため、ジャイアントブレーカなどの大型の破砕機を用いるケースが多い。
【0003】
しかしながら、このような大型の削岩機を用いて大型のコンクリート部材を解体すると、非常に大きな騒音や振動、大量の粉塵が発生する。特に地中梁を解体する際には地下にあるため、大きな振動が発生する。
【0004】
また、一般の削岩機などを用いて大型のコンクリート部材の一部を切断/解体するなどした後、発破によって全体を解体する手法も提案されているが、この場合においても、やはり、大きな騒音や振動、大量の粉塵が発生する。
【0005】
一方、本願の出願人は、ワイヤーソーを備えた構造部材の切断装置、これを用いたコンクリート部材の解体方法の発明について特許出願を行っている(例えば、特許文献1参照)。この切断装置、解体方法においては、高圧水噴出機構を装備して水を噴出させながらワイヤーソーで大型のコンクリート部材を切断することにより、粉塵、騒音、振動の発生を大幅に抑え、好適に解体作業を行うことが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014−201931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一方、引き切り方式のワイヤーソー装置では、ワイヤーソーの冷却やノロの除去清掃などのために、切断対象部材とのワイヤーソーの切断接触箇所に水を供給する必要がある。このため、例えば、切断口にホースを差し込んで水を供給したり、高圧水ノズルで水を噴射して供給しながら切断作業を行うようにしている。
【0008】
しかしながら、例えば地中梁をワイヤーソー切断装置で切断解体しようとした場合には、地中梁の梁せいが大きいと(例えば2〜4m)、梁底側から切り上がってくるワイヤーソーの切断接触箇所にワイヤーソーの動きに追従して作業員がホースを突っ込むことが難しい。また、高圧水を遠隔から吹き付けることも、やはりワイヤーソーの上下方向移動が大きく難しい。
【0009】
このため、例えば梁成が大きい地中梁等をワイヤーソーで解体する場合であっても、ワイヤーソーの動きに合わせて好適に水を供給できる手法が強く望まれていた。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑み、例えば梁成が大きい地中梁等の大型のコンクリート部材をワイヤーソーで切断/解体する場合であっても、ワイヤーソーの動きに合わせて好適に水を供給でき、粉塵の発生を抑え、低騒音、低振動の好適な切断/解体作業を可能にする構造部材の切断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
【0012】
本発明の構造部材の切断装置は、コンクリート部材を切断/解体するためのワイヤーソー機構を備えた切断装置であって、前記ワイヤーソー機構が、複数のプーリーと、前記複数のプーリーに無端ループ状に巻き掛けられ、駆動プーリーの回転駆動とともに循環回動するワイヤーソーと、前記ワイヤーソーがコンクリート部材に切り込む切削部に水を供給するための給水機構とを備えており、前記給水機構が、順次前記コンクリート部材に切り込まれて変化する前記切削部の位置に応じて給水位置を調整する給水位置調整機構を備えて構成されていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の構造部材の切断装置においては、前記給水位置調整機構が、順次前記コンクリート部材に切り込まれて変化するワイヤーソーの角度を捉え、このワイヤーソーの角度に基づいて給水位置を調整するように構成されていることが望ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の構造部材の切断装置においては、梁成が大きい地中梁などの大型のコンクリート部材をワイヤーソー装置で切断/解体する場合であっても、作業員が近くに行くことを不要にし、安全に水を供給できる。
【0015】
また、ワイヤーソーの切り上がりの動きに合わせて、適宜、水供給箇所を追従させることができる。
【0016】
よって、本発明の構造部材の切断装置によれば、例えば梁成が大きい地中梁等の大型のコンクリート部材をワイヤーソーで切断/解体する場合であっても、ワイヤーソーの動きに合わせて好適に水を供給でき、粉塵の発生を抑え、低騒音、低振動の好適な切断/解体作業が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る構造部材の切断装置を示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る構造部材の切断装置の水受け部材を示す斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係る構造部材の切断装置の変更例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図1から図3を参照し、本発明の一実施形態に係る構造部材の切断装置について説明する。
【0019】
ここで、本実施形態は、地中梁など、上下方向に立設されるとともに横方向に延びる大型のコンクリート部材を切断/解体する際に用いて好適な構造部材の切断装置に関するものである。なお、本発明は、RC造(鉄筋コンクリート造)やSRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)などのコンクリート部材だけでなく、S造(鉄骨造)の構造部材の切断にも適用可能である。
【0020】
はじめに、本実施形態の構造部材の切断装置は、ワイヤーソーを備えた切断装置(ワイヤーソー切断装置)であり、コンクリート部材などの構造部材を引き切り方式で切断するように構成したものである。
【0021】
具体的に、図1に示すように、本実施形態の構造部材の切断装置Aは、クレーンなどの揚重機、油圧ショベルなどの建設作業機などのベースマシンに取り付けて切断装置Aを支持させるためのアダプター(不図示)と、アダプターに一体に取り付けられるガイドフレーム(不図示)と、ガイドフレームに支持されるワイヤーソー機構1とを備えて構成されている。
【0022】
本実施形態のワイヤーソー機構1は、左右の横方向T1に所定の間隔をあけて上下方向T2に延設された一対のガイド部材2、3と、両端部側を一対のガイド部材2、3に繋げて左右の横方向T1に延設されるとともに一対のガイド部材2、3に案内されて上下方向T2に進退自在に設けられた支持部材4と、一対のガイド部材2、3の間に配設されるとともに上下方向T2に延設された駆動プーリーガイド部材5とからなるプーリー支持機構6を備えている。
【0023】
また、本実施形態のワイヤーソー機構1は、駆動手段に繋がる回転軸の軸線方向を水平T3に向けて駆動プーリーガイド部材5に上下方向T2に進退自在に支持された駆動プーリー7と、軸線方向を水平T3に向け、左右の横方向T1に所定の間隔をあけてそれぞれ支持部材4に支持された一対の内側ガイドプーリー8と、軸線方向を水平T3に向け、各ガイド部材2、3の上端側と下端側にそれぞれ支持された一対の上側ガイドプーリー9及び一対の下側ガイドプーリー10と、これら複数のプーリー7〜10に無端ループ状に巻き掛けられ、駆動プーリー7の回転駆動とともに循環回動するワイヤーソー11とを備えて構成されている。
【0024】
さらに、本実施形態のワイヤーソー機構1は、循環回動するワイヤーソー11が切り込まれるコンクリート部材(構造部材)12の切削部Sに水を供給するための給水機構13を備えている。
【0025】
この給水機構13は、中空構造の一方のガイド部材2の中空部からなる流通路13aと、一方のガイド部材2の上端側に設けられて上方から流通路13aに水を供給するための給水口13bと、一方のガイド部材2の下端側に流れ落ちた水を受けるとともに切削部Sに向けて水を誘導する水受け部材13cと、切削部Sの位置に応じて給水位置を調整するための給水位置調整機構14とを備えて構成されている。
【0026】
水受け部材13cは、一方のガイド部材2の下端側に設けられた下側ガイドプーリー10によって案内されるワイヤーソー11の角度θに合わせ傾斜して設けられており、この傾設した水受け部材13cで水を受けるとともに切削部Sに向けて水が流れるように構成されている。
【0027】
さらに、図2に示すように、水受け部材13cの下端側に、流れ落ちた水の一部を一時的に貯留するための水止め板13dが設けられている。水止め板13dにはワイヤーソー11を挿通する挿通孔13eが貫通形成されている。
【0028】
図1に示すように、給水位置調整機構14は、水受け部材13cの傾斜角度が可変となるように回動自在に水受け部材13cを支持する水受け部材回動軸14aと、ワイヤーソー11に接触し、順次変化するワイヤーソー11の角度θに応じて水受け部材13cを回動軸周りに回動させ、水受け部材13cの角度を自動的にワイヤーソー11の角度θに合わせるように調整するためのワイヤー角度従動プーリー14bとを備えて構成されている。
【0029】
そして、上記構成からなる本実施形態の構造部材の切断装置Aを用いて地中梁(コンクリート部材、構造部材)12を切断する際には、一対のガイド部材2、3を上下方向T2に延設するように配置するとともに、一対のガイド部材2、3の間に地中梁12が配されるように、地中梁12の上方の所定位置に切断装置Aを配置する。
【0030】
また、複数のプーリー7〜10、14bに巻き掛け、その内部に地中梁12が配されるように無端状のワイヤーソー11を設置する。
【0031】
この段階で駆動プーリー7を軸線周りに回転駆動させるとともに駆動プーリー7を上方に(後方)に退避させ、所定の張力を発現させつつワイヤーソー11を地中梁12の下面側から上方に向けて切り込ませる。
【0032】
さらに、順次駆動プーリー7を上方に退避させてゆくことにより、地中梁12の上面までワイヤーソー11が到達し、地中梁11を切断することができる。
なお、一対のガイド部材2、3を進退機構16によって上下方向(前後方向)T2に進退駆動(伸縮駆動)させてワイヤーソー11を地中梁11に切り込ませて切断するようにしてもよい。特に部材の成(幅、厚さ、高さ等の切断長)が大きい場合には、一対のガイド部材2、3を進退駆動させることで効率的に切断を行うことができる。また、進退機構16は一対のガイド部材2、3を進退駆動させることが可能であれば特にその構成を限定する必要はないが、例えばモータとラックピニオンなどを備えて構成すればよい。
【0033】
一方、本実施形態においては、ワイヤーソー11を切り込ませて地中梁12を切削する際に、給水機構13の供水口13bから水を送る。すると、一方のガイド部材2の中空部を流通路13aとして水が下方に流れ、所定の傾斜角度θで配設された水受け部材13cに流れ落ちる。
【0034】
そして、この水が水受け部材13cに誘導されて地中梁12の切削部S/切断面に流れてゆき、梁成が大きい地中梁などの大型のコンクリート部材をワイヤーソー装置Aで切断/解体する場合であっても、作業員が近くに行くことを不要にし、安全に水を供給できる。
【0035】
また、本実施形態では、水受け部材13cの下端側に、流れ落ちた水の一部を一時的に貯留するための水止め板13dが設けられ、この水止め板13dの挿通孔13eにワイヤーソー11が挿通して回動する。これにより、水止め板13dによって一時的に貯留した水がワイヤーソー11に接触し、特に本実施形態では一時的に貯留した水の中をワイヤーソー11が通り、供給した水によってワイヤーソー11の汚れを除去することもできる。
【0036】
また、給水角度調整手段14を備えていることによって、ワイヤーソー11の切り上がりの動きに合わせ、適宜、水受け部材13cの傾斜角度θを調整し、水の供給箇所を追従させることができる。
【0037】
よって、本実施形態の構造部材の切断装置Aによれば、例えば梁成が大きい地中梁等の大型のコンクリート部材をワイヤーソー11で切断/解体する場合であっても、ワイヤーソー11の動きに合わせて好適に水を供給でき、粉塵の発生を抑え、低騒音、低振動の好適な切断/解体作業が可能になる。
【0038】
ここで、給水位置調整機構14は、ワイヤーソー11の切り上がりに応じて水を切削部Sに供給できればよく、必ずしも上記のように構成しなくてもよい。
例えば、図3に示すように、水供給ホース15を下方に延設し、この水供給ホース15の下端から出た水を切削部Sに流すためのロート状(ジョウゴ状)の水受け部材16と、ワイヤーソー11に接触し、順次変化するワイヤーソー11の角度θを捉えるワイヤーソー従動プーリー14bと、ワイヤー角度従動プーリー14bの動きに応じて水受け部材13cを上方に引き上げ、確実に切削部Sに水を供給させる水受け部材移動手段とを備えて構成してもよい。なお、水受け部材13cを手動で動かし、給水位置を順次調整してもよい。
【0039】
以上、本発明に係る構造部材の切断装置の一実施形態について説明したが、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 ワイヤーソー機構
2 ガイド部材
3 ガイド部材
4 支持部材
5 駆動プーリーガイド部材
6 プーリー支持機構
7 駆動プーリー
8 内側ガイドプーリー
9 上側ガイドプーリー
10 下側ガイドプーリー
11 ワイヤーソー
12 地中梁(コンクリート部材/構造部材)
13 給水機構
13a 流通路
13b 給水口
13c 水受け部材
13d 水止め板
13e 挿通孔
14 給水位置調整機構
14a 水受け部材回動軸
14b ワイヤー角度従動プーリー
15 水供給ホース
16 進退機構
A 構造部材の切断装置
S 切削部/切断面
T1 左右方向
T2 上下方向
θ 傾斜角度
図1
図2
図3