特開2018-182991(P2018-182991A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-182991(P2018-182991A)
(43)【公開日】2018年11月15日
(54)【発明の名称】接地端子
(51)【国際特許分類】
   H02G 1/02 20060101AFI20181019BHJP
   H01R 4/64 20060101ALI20181019BHJP
【FI】
   H02G1/02
   H01R4/64 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-83593(P2017-83593)
(22)【出願日】2017年4月20日
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100114432
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 寛昭
(74)【代理人】
【識別番号】100138416
【弁理士】
【氏名又は名称】北田 明
(72)【発明者】
【氏名】河田 雅俊
(72)【発明者】
【氏名】大西 修造
(72)【発明者】
【氏名】安藤 隆章
(72)【発明者】
【氏名】赤木 確
(72)【発明者】
【氏名】板谷 怜
(72)【発明者】
【氏名】太田 栄司
(72)【発明者】
【氏名】平野 憲二
(72)【発明者】
【氏名】藤原 恭彦
【テーマコード(参考)】
5G352
【Fターム(参考)】
5G352AE01
(57)【要約】
【課題】 接地構造物に対する位置ずれ防止機能を発揮させる前に設置されることを避けられる接地端子を提供することを課題とする。
【解決手段】 貫通孔が形成され且つ大地につながる接地構造物に取り付ける接地端子であり、導電性を有する端子本体部と、該端子本体部を接地構造物に固定する固定部とを備え、端子本体部は、接地構造物に当接させる当接部と、該当接部に対向する対向部とを有し、当接部には対向部に向けて開口するねじ孔が形成され、対向部にはねじ孔と一直線に並ぶ位置で貫通するスライド孔が形成され、固定部は、スライド孔に挿通される軸状のスライド軸部と、該スライド軸部の一端から延び且つ外面にねじ山が形成された固定軸部と、スライド軸部の一端に設けられ且つスライド軸部よりも大径の押圧部とを有し、固定軸部がねじ孔に螺合可能である接地端子。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通孔が形成され且つ大地につながるように設置されている接地構造物に取り付ける接地端子であって、導電性を有する端子本体部と、該端子本体部を接地構造物に固定するための固定部とを備え、前記端子本体部は、前記接地構造物に当接させる当接部と、該当接部に対向する対向部とを有し、前記当接部には前記対向部に向けて開口するねじ孔が形成され、前記対向部には前記ねじ孔と対向する対向方向において直線上に並ぶ位置で貫通するスライド孔が形成され、前記固定部は、軸状であり且つ軸線方向における一端が前記当接部と前記対向部との間に配置されるよう前記スライド孔にスライド可能に挿通されるスライド軸部と、該スライド軸部の前記一端に延設された固定軸部であって、外面にねじ山が形成された固定軸部と、前記スライド軸部の前記一端部に設けられる押圧部であって、外周側端が該スライド軸部の外面よりも外側に位置する押圧部とを有し、前記固定軸部が前記ねじ孔に螺合可能である接地端子。
【請求項2】
前記押圧部には、前記当接部との間を視認するための視認部が形成されている請求項1に記載の接地端子。
【請求項3】
前記ねじ孔に対する前記固定軸部の螺合を規制すべく、前記ねじ孔の前記開口上に配置され、且つ前記接地構造物に押されることによって、前記固定軸部が前記ねじ孔に対して螺合可能となるように前記ねじ孔の前記開口上から退避する螺合規制部4を備える請求項1又は請求項2に記載の接地端子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線や電気設備等の接地をとるために用いられる接地端子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電路となる電線や電気設備に対して作業を行う際に、作業対象とする電路の接地をとることがある。
【0003】
電路の接地をとるには、大地につながる接地構造物(例えば、鉄塔のアングル材)に設置する接地端子と、電路に取り付ける接地器具(例えば、アースフック)とが用いられており、接地端子と接地器具とを接地線で接続した後、接地端子を接地構造物に設置し、接地器具を電路に取り付けることによって、誤通電等の理由で電路に流れた電流が接地器具及び接地端子を通じて接地構造物に流れるようにしている。
【0004】
上記接地端子には、例えば、特許文献1に開示されているように、接地構造物に形成されている貫通孔を利用して接地構造物に対する位置ずれを防止できる機能(以下、位置ずれ防止機能と称する)を発揮できるように構成されたものがある。
【0005】
かかる接地端子は、接地線が接続される接地端子本体と、該接地端子本体に接地構造物を押しつける押圧手段とを備えている。
【0006】
接地端子本体は、コの字状に形成されており、対向する一対の腕部を有する。また、一対の腕部のうちの一方の腕部(以下、第1の腕部と称する)には、他方の腕部(以下、第2の腕部と称する)と対向する対向方向において貫通するねじ孔が形成され、第2の腕部には、第1の腕部に向けて開口する凹状の保持穴が形成されている。そして、ねじ孔と保持穴とは、前記対向方向において同一直線上に並ぶように形成されている。
【0007】
前記押圧手段は、長尺な雄ネジ部であって、軸線方向における一端が第1の腕部と第2の腕部との間に配置されるようねじ孔に螺合した雄ネジ部と、該雄ネジ部の前記一端に延設された係合突部であって、保持穴に抜差可能な係合突部と、該雄ネジ部の前記一端の外周全周から外側に張り出す押圧部とを有する。
【0008】
接地端子を接地構造物に取り付けるには、第2の腕部と係合突部の間に接地構造物を介在させたうえで、第2の腕部を接地構造物に当接させる。
【0009】
そして、第2の腕部の保持穴の位置を接地構造物の貫通孔の位置に合わせた後、雄ネジ部を回転させて係合突部と押圧部とを接地構造物に接近させる。
【0010】
雄ネジ部を回転させ続けると、接地構造物の貫通孔と第2の腕部の保持穴とに係合突部が差し込まれる。これにより、係合突部と接地構造物とが係合し、接地構造物に対する位置ずれが防止される。
【0011】
そして、雄ネジ部をさらに回転させ続けると、押圧部によって接地構造物が第2の腕部側に押し付けられ、接地構造物が押圧部と第2の腕部とによって挟持される。
【0012】
従って、前記接地端子は、設置されている状態において、接地構造物に対する位置ずれが防止されるため、使用中に接地構造物から脱落してしまうことを防止できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2011−66952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところで、従来の接地端子では、雄ネジ部の回転動作に連動して押圧部と係合突部とが接地構造物に接近するように構成されているため、作業者は、雄ネジ部を回転させることができなくなった時点で接地構造物への接地端子の設置作業が完了したと判断している。
【0015】
しかしながら、雄ネジ部は、係合突部が接地構造物に突き当った場合、すなわち、係合突部が接地構造物の貫通孔に挿通されずに、係合突部の先端と第2の腕部とで接地構造物を挟持してしまった場合においても回転しなくなるため、作業者は、係合突部により接地構造物に対する位置ずれが防止されていない不適切な状態(すなわち、位置ずれ防止機能が発揮されていない状態)であっても、接地構造物に対して接地端子が適切に設置されていると誤認してしまうことがある。
【0016】
そして、このように誤認した状態では、例えば、接地端子に外力が加わると、該接地端子が接地構造物から外れる虞がある。
【0017】
そこで、本発明は、かかる実情に鑑み、接地構造物に対して位置ずれ防止機能が発揮されずに誤って設置されてしまうことを避けることができる接地端子を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の接地端子は、貫通孔が形成され且つ大地につながるように設置されている接地構造物に取り付ける接地端子であって、導電性を有する端子本体部と、該端子本体部を接地構造物に固定するための固定部とを備え、前記端子本体部は、前記接地構造物に当接させる当接部と、該当接部に対向する対向部とを有し、前記当接部には前記対向部に向けて開口するねじ孔が形成され、前記対向部には前記ねじ孔と対向する対向方向において直線上に並ぶ位置で貫通するスライド孔が形成され、前記固定部は、軸状であり且つ軸線方向における一端が前記当接部と前記対向部との間に配置されるよう前記スライド孔にスライド可能に挿通されるスライド軸部と、該スライド軸部の前記一端に延設された固定軸部であって、外面にねじ山が形成された固定軸部と、前記スライド軸部の前記一端部に設けられる押圧部であって、外周側端が該スライド軸部の外面よりも外側に位置する押圧部とを有し、前記固定軸部が前記ねじ孔に螺合可能である。
【0019】
かかる接地端子を接地構造物に対して設置するには、接地構造物を当接部と固定軸部との間に介在させ、さらに、接地構造物に当接部をあてがう。
【0020】
そして、前記対向方向においてねじ孔と接地構造物の貫通孔とが連通している場合(すなわち、接地構造物の貫通孔の位置とねじ孔の位置とが合っている場合)は、固定部全体を接地構造物側にスライドさせると、固定軸部が接地構造物の貫通孔に挿通され、該固定軸部がねじ孔に到達する。これにより、接地構造物に対する接地端子の位置ずれが防止され、さらに、固定軸部がねじ孔に締め込まれると、押圧部と当接部とで接地構造物が挟持される。
【0021】
一方、前記対向方向において接地構造物の貫通孔とねじ孔とが連通していない場合(すなわち、接地構造物の貫通孔の位置とねじ孔の位置とが合っていない場合)は、固定部全体を接地構造物側にスライドさせると、固定軸部が接地構造物に突き当たる。そのため、接地構造物に対する接地端子の位置ずれが防止されず、さらに、固定軸部をねじ孔に締め込むこと、すなわち、押圧部と当接部とで接地構造物を挟持することもできない状態になる。
【0022】
このように、前記接地端子は、押圧部と当接部とが接地構造物を挟持する前に接地構造物に対する位置ずれ防止機能を発揮させる操作を要する構造になっている。
【0023】
本発明の接地端子において、前記押圧部には、前記当接部との間を視認するための視認部が形成されている。
【0024】
かかる構成によれば、視認部を通じて押圧部と当接部との間を視認することができるため、押圧部と当接部の間に位置する固定軸部や、当接部のねじ孔を視認することができる。従って、前記接地端子は、視認部を通じて固定軸部とねじ孔との位置関係を把握し易くすることができる。
【0025】
また、本発明の接地端子は、前記ねじ孔に対する前記固定軸部の螺合を規制すべく、前記ねじ孔の前記開口上に配置され、且つ前記接地構造物に押されることによって、前記固定軸部が前記ねじ孔に対して螺合可能となるように前記ねじ孔の前記開口上から退避する螺合規制部を備えていてもよい。
【0026】
かかる構成によれば、螺合規制部を接地構造物に当接させて螺合規制部が退避するように当接部と対向部との間に接地構造物を十分に差し込むと、螺合規制部がねじ孔と固定軸部との間から十分に退避するため、固定軸部を接地構造物の挿込孔に差し込むことができ、さらに、該固定軸部をねじ孔に螺合させることができる状態になる。
【0027】
一方、当接部と対向部との間への接地構造物の差し込みが不十分である場合、螺合規制部がねじ孔と固定軸部との間から完全に退避していない場合には、固定部全体を接地構造物側にスライドさせると固定軸部が螺合規制部に干渉するため、固定軸部をねじ孔に螺合させることができない状態になる。
【0028】
従って、前記接地端子は、当接部と対向部との間への接地構造物の差し込みが不十分であることが原因で、接地構造物に対する位置ずれ防止機能が発揮されていない状態のまま誤って設置されてしまうことを避けることができる。
【発明の効果】
【0029】
以上のように、本発明の接地端子によれば、接地構造物に対する位置ずれ防止機能が発揮されずに誤って設置されてしまうことを避けることができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る接地端子の側面図である。
図2図2は、図1におけるII−II線における断面図である。
図3図3は、図1におけるIII−III線における断面図である。
図4図4は、同実施形態に係る接地端子の使用状態の説明図である。
図5図5は、同実施形態に係る接地端子の使用状態の説明図であって、(a)は当接部と固定軸部の間に接地構造物を介在させた状態の説明図であり、(b)は当接部のねじ孔の位置を接地構造物の貫通孔の位置に合わせた状態の説明図であり、(c)は当接部と押圧部とで接地構造物を挟持した状態の説明図である。
図6図6は、本発明の他実施形態に係る接地端子の横断面図である。
図7図7は、本発明の別の実施形態に係る接地端子の横断面図である。
図8図8は、本発明のさらに別の実施形態に係る接地端子の説明図であって、(a)は当接部と固定軸部の間に接地構造物を介在させる前の状態の説明図であり、(b)は当接部と押圧部とで接地構造物を挟持した状態の説明図である。
図9図9は、本発明のさらなる別の実施形態に係る接地端子の説明図であって、(a)は側面図であり、(b)は(a)のIX−IX線における断面図である。
図10図10において、(a)は図9に示す接地端子の側面図であって、当接部と押圧部とで接地構造物を挟持した状態の側面図であり、(b)は(a)のX−X線における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の一実施形態にかかる接地端子について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0032】
本実施形態に係る接地端子は、電線や電気設備等の接地をとる際に、大地につながる接地構造物に設置するものである。また、本実施形態に係る接地端子は、該接地構造物に形成されている貫通穴を利用して、該接地構造物に対する位置ずれを防止する機能(以下、位置ずれ防止機能と称する)を発揮できるように構成されている。
【0033】
具体的に説明すると、接地端子は、図1に示すように、接地構造物に取り付ける接地端子1であって、導電性を有する端子本体部2と、該端子本体部2を接地構造物に固定するための固定部3とを備えている。
【0034】
端子本体部2は、接地構造物に当接させる当接部20と、該当接部20に対向する対向部21と、対向部21と当接部20とに繋がる連設部22と、該端子本体部2に設けられる接続部23であって、接地線を電気的に接続するための接続部23とを有する。なお、接地線とは、電線に取り付けるアースフック等の接地器具と接地端子1とを電気的に接続するための長尺なケーブルである。
【0035】
端子本体部2は、側面視においてコの字状であり、接地構造物を抜差な凹部を画定するように構成されている。
【0036】
本実施形態に係る端子本体部2では、当接部20と対向部21とが連設部22から同方向に延出している。また、本実施形態に係る端子本体部2では、当接部20の先端と対向部21の先端との間が開放されているため、この当接部20の先端と対向部21の先端との間を通じて接地構造物を当接部20と対向部21の間に抜き差しできるようになっている。
【0037】
本実施形態では、当接部20と対向部21とが対向する方向を対向方向と称し、当接部20と対向部21との間に接地構造物を抜き差しする方向を抜差方向と称し、前記対向方向及び該抜差方向のそれぞれに直交する方向を横幅方向と称して以下の説明を行うこととする。なお、本実施形態においては、当接部20と対向部21とが連設部22から延出する方向と、前記抜差方向とは同じ方向である。
【0038】
当接部20は、対向部21に向けて配置された対向面(以下、当接側対向面と称する)200を有する。また、当接側対向面200には、前記対向方向に直交する各方向(すなわち、前記抜差方向及び前記横幅方向)に広がる平面領域200aと、前記抜差方向において平面領域200aの手前側に位置し且つ前記対向方向における外方側に向けて切り欠かれた形状の切欠領域200bが含まれている。
【0039】
このように、平面領域200aは、対向部21の基端部側(前記抜差方向における奥側)に位置し、切欠領域200bは、平面領域200aよりも対向部21の先端部側(前記抜差方向において平面領域200aよりも手前側)に位置している(図3参照)。
【0040】
平面領域200aは、前記対向部21の基端部から前記抜差方向における対向部21の中央部よりも先端部側の位置まで形成されている。そのため、前記抜差方向において、平面領域200aの寸法は、切欠領域200bの寸法よりも大きくなっている。
【0041】
切欠領域200bは、該平面領域200aの外縁から前記抜差方向における一方向側(当接部20と対向部21との間から接地構造物を引き抜く方向側)に延出しつつ、前記対向方向において対向部21とは反対側に向かうように傾斜した傾斜面によって構成されている。
【0042】
さらに、当接部20には、前記対向部21に向けて開口するねじ孔201が形成されている。ねじ孔201は、平面領域200a内であり且つ前記抜差方向における当接部20の中央部に形成されている。また、本実施形態では、ねじ孔201が前記対向方向において当接部20を貫通するように形成されている。
【0043】
対向部21は、当接部20に向けて配置された対向面(以下、対面側対向面と称する)210を有する。対面側対向面210は、前記対向方向に直交する各方向(前記抜差方向及び前記横幅方向)に広がる平面である。
【0044】
対向部21には、前記対向方向で貫通するスライド孔211が形成されている。スライド孔211は、対面側対向面210の略中央部に形成されており、前記対向方向においてねじ孔201と同一直線上に並ぶように形成されている。
【0045】
連設部22は、板状に形成された部分であり、各板面が前記抜差方向に向くように配置されている。そして、本実施形態では、当接部20と対向部21とが連設部22の一対の板面のうちの一方の板面(以下、連設内面と称する)220から前記抜差方向における前記一方向側に向けて延出している。そのため、連設内面220は、前記抜差方向における接地端子1の内底を構成している。
【0046】
接続部23は、連設部22の一対の板面のうちの他方の板面(以下、連設外面と称する)221に設けられている。また、接続部23は、連設外面221から前記対向方向に対して直交する方向に向けて延出している。接続部23の先端には、接地線が電気的に接続される。
【0047】
なお、本実施形態に係る接続部23には、接続孔230が形成されている。接続孔230は、接続部23を貫通するように形成されていてもよいし、接続部23に対して非貫通であってもよい。
【0048】
前記固定部3は、軸状であり且つ軸線方向における一端が当接部20と対向部21との間に配置されるようスライド孔211にスライド可能に挿通されるスライド軸部30と、該スライド軸部30の前記一端に延設された固定軸部であって、外面にねじ山が形成された固定軸部31と、スライド軸部30の前記一端部に設けられる押圧部であって、外周側端が該スライド軸部30の外面よりも外側に位置する押圧部32と、スライド軸部30の軸線方向における他端に設けられた摘部33とを有する。
【0049】
スライド軸部30の前記軸線方向における長さは、平面領域200aから対向部21の外面(対向部21の対面側対向面210とは反対側の面)までの距離よりも長くなっていることが好ましい。また、スライド軸部30の外径は、接地構造物の貫通穴の内径よりも僅かに小さくなっている。
【0050】
固定軸部31は、スライド軸部30に対して同心である。そして、固定軸部31の長さは、当接部20の厚み(前記対向方向における厚み)よりも大きくなっている。また、固定軸部31の外径は、接地構造物の貫通穴の内径よりも小さく、且つスライド軸部30の外径よりも僅かに小さくなっている。
【0051】
なお、固定部3におけるスライド軸部30と固定軸部31とは、いわゆる、半ねじ状に形成された部分である。
【0052】
押圧部32は、平板状(本実施形態では、円板状)に形成されている(図2参照)。また、押圧部32の中央部には、スライド軸部30が挿通された状態で固定されている。
【0053】
さらに、押圧部32は、スライド軸部30の前記一端からスライド軸部30の他端側にずれた位置に設けられている。そのため、固定部3では、スライド軸部30の前記一端と固定軸部31とが押圧部32よりも当接部20側に配置されている。
【0054】
押圧部32の一方の板面は当接部20側に向けて配置され、押圧部32の他方の板面は対向部21側に向けて配置されている。そして、押圧部32の一方の板面は、前記対向方向において平面領域200a及び切欠領域200bのそれぞれに対向している。
【0055】
摘部33は、スライド軸部30の外周面よりも外方(スライド軸部30の径方向における外方向)に張り出した形状になっている。そのため、スライド軸部30の前記対向方向におけるスライド量は、摘部33と押圧部32との間隔に対応している。
【0056】
続いて、接地端子1の使用方法について説明する。なお、本実施形態では、図4に示すように、接地端子1には接地線Lを介して接地器具であるアースフックFが接続されていること、及び接地構造物Gとしての鉄塔のアングル材に該接地端子1を設置することを前提として、接地端子1の使用方法についての説明を行うこととする。
【0057】
接地端子1をアングル材に固定するにあたり、押圧部32を当接部20から十分に離間させた状態にする。そして、図5(a)に示すように、当接部20と押圧部32及び固定軸部31の間にアングル材が介在するよう、接地端子1の位置を調整した後に、当接部20をアングル材にあてがう。
【0058】
このとき、図5(b)に示すように、前記対向方向においてアングル材の貫通孔Hとねじ孔201とが連通している場合(すなわち、貫通孔Hの位置とねじ孔201の位置とが合っている場合)は、固定部3全体をアングル材側にスライドさせると、図5(c)に示すように、固定軸部31がアングル材の貫通孔Hに挿通され、該固定軸部31がねじ孔201に到達する。
【0059】
そのため、アングル材に対する接地端子1の位置ずれが防止された状態、すなわち、位置ずれ防止機能を発揮した状態になり、さらに、摘部33を操作して固定軸部31をねじ孔201に締め込むことによって、押圧部32と当接部20とでアングル材を挟持することができる。
【0060】
一方、当接部20と押圧部32との間にアングル材が深く差し込まれているものの、前記対向方向においてアングル材の貫通孔Hとねじ孔201とが連通していない場合(すなわち、貫通孔Hの位置とねじ孔201の位置とが合っていない場合)は、固定部3全体をアングル材側にスライドさせると固定軸部31がアングル材に突き当たる。そのため、アングル材に対する位置ずれ防止機能を発揮できず、また、固定軸部31をねじ孔201に締め込むこと、すなわち、押圧部32と当接部20とでアングル材を挟持することもできない状態になる。
【0061】
このように、接地端子1は、アングル材が押圧部32と対向部21の間に適切に差し込まれている状態において、アングル材に対する接地端子1の位置ずれを防止する機能を発揮でき、さらに、押圧部32と当接部20とでアングル材を挟持できるようになっている。
【0062】
従って、本実施形態に係る接地端子1によれば、押圧部32と当接部20とが接地構造物Gを挟持する前に接地構造物Gに対する位置ずれ防止機能を発揮させる操作を要する構造となっているため、接地構造物Gに対する位置ずれ防止機能が発揮されていない状態のまま誤って設置されてしまうことを避けることができるという優れた効果を奏し得る。
【0063】
また、当接部20のねじ孔201の手前側(前記抜差方向における手前側)には、前記対向方向において対向部21とは反対側に向かうように傾斜した傾斜面(切欠領域200b)が形成されているため、押圧部32と対向部21との間に介在させた接地構造物Gが前記抜差方向においてねじ孔201の手前までしか到達していない場合は、当接部20に押圧部32を接近させたとしても、接地構造物Gが押圧部32と当接部20とによって適切に挟持されず、該接地構造物Gが端子本体部2から外れる。
【0064】
そのため、本実施形態に係る接地端子1は、押圧部32と対向部21の間への接地構造物Gの差し込みが不十分である場合においても、接地構造物Gに対する位置ずれ防止機能が発揮されていない状態のまま誤って設置されてしまうことを避けることができる。
【0065】
なお、本発明の接地端子は、上記一実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更を行うことは勿論である。
【0066】
上記実施形態において、対向部21の当接側対向面200には、切欠領域200bが形成されていたが、この構成に限定されない。例えば、対向部21の当接側対向面200は、全域に亘って前記抜差方向及び前記横幅方向に広がる平面で構成されていてもよい。但し、位置ずれ防止機能が発揮されずに誤って設置されてしまうことを避けるうえでは、当接側対向面200に切欠領域200bが形成されていることが好ましい。
【0067】
上記実施形態において、切欠領域200bは、平面領域200aから延出するとともに前記対向方向において対向部21とは反対側に向かうように傾斜していたが、この構成に限定されない。例えば、切欠領域200bは、平面領域200aと平行に広がり且つ前記対向方向において平面領域200aよりも外側に位置する平面であってもよい。すなわち、当接側対向面200は、段状に形成されていてもよい。
【0068】
上記実施形態において、ねじ孔201は、前記対向方向において当接部20を貫通するように形成されていたが、この構成に限定されない。例えば、ねじ孔201は、当接部20に対して非貫通の凹部であってもよい。
【0069】
上記実施形態において、押圧部32は、スライド軸部30の一端からスライド軸部30の他端側にずれた位置に設けられていたが、この構成に限定されない。例えば、押圧部32は、スライド軸部30の一端と対応する位置に設けられていてもよい。
【0070】
上記実施形態において、特に言及しなかったが、押圧部32には、図6に示すように、押圧部32と当接部20との間を視認するための視認部320が形成されていてもよい。
【0071】
この場合、例えば、押圧部32の一部が切り欠かれた形状、例えば、円板状の押圧部32の一部が切り欠かれた形状や、図7に示すように、矩形状の押圧部32の一部(各角部)が切り欠かれた形状とすることによって視認部320を形成してもよい。
【0072】
視認部320を備える接地端子1によれば、視認部320を通じて押圧部32と当接部20との間を視認することができるため、固定軸部31や当接部20のねじ孔201を視認することができる。従って、前記接地端子1は、視認部320を通じて固定軸部31とねじ孔201との位置関係を把握し易くすることができる。
【0073】
なお、押圧部32と当接部20の間に位置する固定軸部31や当接部20のねじ孔201を視認することができれば、押圧部32に貫通孔を形成し、この貫通穴により視認部320を構成してもよい。
【0074】
上記実施形態おいて、特に言及しなかったが、接地端子1は、図8(a)、及び図8(b)に示すように、ねじ孔201に対する固定軸部31の螺合を規制すべく、ねじ孔201の開口上に配置され、且つ接地構造物Gに押されることによって、固定軸部31がねじ孔201に対して螺合可能となるようにねじ孔201の開口上から退避する螺合規制部4を備えていてもよい。
【0075】
螺合規制部4は、板ばねで構成されており、弾性変形可能である。また、螺合規制部4は、当接側対向面200の平面領域200aに設けられており、当接部20の基端部から当接部20の先端部側に向かって延出している。
【0076】
さらに、螺合規制部4は、前記抜差方向及び前記対向方向に対して交差するように傾斜している。より具体的に説明すると、螺合規制部4は、当接部20の基端部側から当接部20の先端部側に向かうにつれて、対向部21に接近するように傾斜している。
【0077】
なお、ねじ孔201の開口上には螺合規制部4のうちの先端部が配置されている。
【0078】
かかる構成によれば、螺合規制部4を接地構造物Gに当接させて螺合規制部4が退避するように当接部20と押圧部32との間に接地構造物Gを十分に差し込むと、螺合規制部4がねじ孔201と固定軸部31との間から十分に退避するため、固定軸部31を接地構造物Gの挿込孔に差し込むことができ、さらに、該固定軸部31をねじ孔201に螺合させることができる状態になる。
【0079】
一方、当接部20と押圧部32との間への接地構造物Gの差し込みが不十分である場合は、螺合規制部4がねじ孔201と固定軸部31との間から完全に退避していない状態のままとなるため、固定部3全体を接地構造物G側にスライドさせると固定軸部31が螺合規制部4に干渉し、固定軸部31をねじ孔201に螺合させることができない状態になる。
【0080】
従って、前記接地端子1は、当接部20と押圧部32との間への接地構造物Gの差し込みが不十分であることが原因で、接地構造物Gに対する位置ずれ防止機能が発揮されていない状態のまま誤って設置されてしまうことを避けることができる。
【0081】
なお、螺合規制部4は、図9(a)、図9(b)に示すように、前記抜差方向及び前記横幅方向に対して交差するように傾斜していてもよい。より具体的に説明すると、螺合規制部4は、先端部の位置と基端部の位置とが前記横幅方向でずれるように傾斜していてもよい。
【0082】
この場合においても、図10(a)、図10(b)に示すように、螺合規制部4を接地構造物Gに当接させて螺合規制部4が退避するように当接部20と押圧部32との間に接地構造物Gを十分に差し込むと、螺合規制部4がねじ孔201と固定軸部31との間から十分に退避するため、固定軸部31を接地構造物Gの挿込孔に差し込むことができ、さらに、該固定軸部31をねじ孔201に螺合させることができる状態になる。
【0083】
そして、当接部20と押圧部32との間への接地構造物Gの差し込みが不十分である場合は、螺合規制部4がねじ孔201と固定軸部31との間から完全に退避していない状態のままとなるため、固定部3全体を接地構造物G側にスライドさせると固定軸部31が螺合規制部4に干渉し、固定軸部31をねじ孔201に螺合させることができない状態になる。
【符号の説明】
【0084】
1…接地端子、2…端子本体部、3…固定部、4…螺合規制部、20…当接部、、21…対向部、22…連設部、23…接続部、30…スライド軸部、31…固定軸部、32…押圧部、33…摘部、200…当接側対向面、200a…平面領域、200b…切欠領域、201…孔、210…対面側対向面、211…スライド孔、220…連設内面、221…連設外面、230…接続孔、320…視認部、F…アースフック、G…接地構造物、H…貫通孔、L…接地線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10