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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-184679(P2018-184679A)
(43)【公開日】2018年11月22日
(54)【発明の名称】製紙装置
(51)【国際特許分類】
   D21F 11/02 20060101AFI20181026BHJP
【FI】
   D21F11/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2017-87140(P2017-87140)
(22)【出願日】2017年4月26日
(71)【出願人】
【識別番号】390002129
【氏名又は名称】デュプロ精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138014
【弁理士】
【氏名又は名称】東山 香織
(72)【発明者】
【氏名】東本 佳久
(72)【発明者】
【氏名】太田 竜一
(72)【発明者】
【氏名】奥野 将人
【テーマコード(参考)】
4L055
【Fターム(参考)】
4L055CD01
(57)【要約】
【課題】抄紙ベルトの耐久性の低下を防ぐことができる、また、効率よく湿紙を抄紙部から乾燥部に受け渡すことができる製紙装置の提供を目的とする。
【解決手段】抄紙ベルト41から湿紙Wの前端が剥離される剥離部45を有し、抄紙ベルト41が、湿紙Wを担持し搬送する抄紙往路410、及び湿紙Wとの接触を終えて抄紙往路410の始端部に循環する抄紙復路411を含む、抄紙部4と、湿紙Wを加熱面501において加熱しながら搬送する加熱搬送体50を有し、剥離部45において抄紙ベルト41から剥離された湿紙Wを受け取る受取り部53が設けられる、乾燥部5とを備え、抄紙ベルト41は、加熱搬送体50から所定距離離間して設けられる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルプ懸濁液を抄紙し湿紙が生成される抄紙部と、湿紙を乾燥させ用紙を生成する乾燥部とを備える製紙装置であって、
前記抄紙部は、無端状の抄紙ベルトを備え、前記抄紙ベルトから湿紙の前端が剥離される剥離部を有し、
前記抄紙ベルトは、湿紙を担持し搬送する抄紙往路、及び湿紙との接触を終えて前記抄紙往路の始端部に循環する抄紙復路を含み、
前記乾燥部は、湿紙を加熱面において加熱しながら搬送する加熱搬送体を有し、
前記乾燥部には、前記剥離部において前記抄紙ベルトから剥離された湿紙を受け取る受取り部が設けられ、
前記抄紙ベルトは、前記加熱搬送体から所定距離離間して設けられる、製紙装置。
【請求項2】
前記抄紙部は、前記抄紙往路の途中に設けられ、湿紙を脱水する脱水部を備えている、請求項1に記載の製紙装置。
【請求項3】
前記抄紙ベルトは、複数の支持ローラに掛け渡され、前記抄紙往路の終端部に位置する前記支持ローラに沿って湾曲走行する湾曲走行部を有し、
前記剥離部は、前記湾曲走行部に設けられている、請求項1または2に記載の製紙装置。
【請求項4】
前記湾曲走行部において、前記抄紙ベルトは、湿紙の腰によって湿紙の前端が湾曲走行する前記抄紙ベルトから剥離可能な所定の曲率半径を有する、請求項3に記載の製紙装置。
【請求項5】
前記乾燥部は、前記受取り部で受け取った湿紙を前記加熱搬送体との間で挟持して搬送する無端状の挟持用ベルトを備える、請求項1乃至4の何れか1つに記載の製紙装置。
【請求項6】
前記挟持用ベルトは、前記受取り部を有し、
前記受取り部は、前記抄紙ベルトが湿紙と接触を終える最終接触位置よりも低い位置に設けられている、請求項5に記載の製紙装置。
【請求項7】
前記加熱搬送体は、前記受取り部を有し、
前記受取り部は、前記抄紙ベルトが湿紙と接触を終える最終接触位置よりも低い位置に設けられている、請求項1乃至5の何れか1つに記載の製紙装置。
【請求項8】
前記剥離部と前記受取り部との間には、間隙が設けられ、
前記間隙の距離は、前記剥離部における湿紙の前端の厚さ以下に設定されている、請求項5または6に記載の製紙装置。
【請求項9】
前記抄紙部と前記乾燥部との間には、前記抄紙ベルトから剥離された湿紙の前端が、自重によって前記受取り部に向けて偏向可能な、受渡し部が設けられている、請求項1乃至8の何れか1つに記載の製紙装置。
【請求項10】
前記偏向した湿紙の前端の前記受取り部における進行方向上流側と、前記加熱搬送体または前記挟持用ベルトの前記受取り部における湿紙搬送方向下流側とのなす角が、90度以上となるように設定されている、請求項9に記載の製紙装置。
【請求項11】
前記加熱搬送体は、前記加熱面が湿紙の前記抄紙ベルトとの接触面に接触するように設けられている、請求項1乃至10の何れか1つに記載の製紙装置。
【請求項12】
前記挟持用ベルトの湿紙搬送速度は、前記抄紙ベルトの湿紙搬送速度よりも速く設定されている、請求項5、または請求項6、または請求項5を引用する請求項7、または請求項8、または請求項5を引用する請求項9乃至11の何れか1つに記載の製紙装置。
【請求項13】
前記加熱搬送体の湿紙搬送速度は、前記抄紙ベルトの湿紙搬送速度よりも速く設定されている、請求項1乃至12の何れか1つに記載の製紙装置。
【請求項14】
前記抄紙ベルトから剥離された湿紙が前記受取り部に受け渡されたことを検知する、湿紙検知手段を備えている、請求項1乃至13の何れか1つに記載の製紙装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製紙装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、抄紙部でパルプ懸濁液を抄紙して湿紙を生成し、生成した湿紙を脱水して乾燥部に移送し、乾燥部で湿紙を乾燥させて乾紙を作製することは行われていた。
【0003】
下記特許文献1では、パルプ懸濁液を網状ベルトにより抄紙し、生成された湿紙を網状ベルトから平滑面ベルトに加圧転移し、平滑面ベルト上の湿紙を加熱して乾燥させている。また、下記特許文献2では、パルプ懸濁液を抄紙ワイヤーで抄紙し、生成された湿紙を脱水用ベルトに接触転移し、そして湿紙を脱水用ベルトから乾燥用ベルトに加圧転移し、乾燥用ベルトで搬送される湿紙を加熱して乾燥させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−32604号公報
【特許文献2】特開2011−69015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に示される装置では、網状ベルトから平滑面ベルトに湿紙を転移する際、プレスロール及び脱水ロールにより圧搾しており、湿紙の下面に絞り出された水分は網状ベルトの網目から速やかに下方に抜け出る。しかし、湿紙の上面に絞り出された水分は平滑面ベルトにより上方へ抜け出ることを阻害されるため、湿紙のパルプ繊維を押し退けて湿紙の下面側に移動することとなる。そのため、湿紙の地合を悪化させることがあった。また、加熱された平滑面ベルトは室温よりも十分高い温度を有する状態で、脱水ロール部に至る。そのため、網状ベルトは、湿紙の存在しない領域で、加熱された平滑面ベルトと直接接触することから、網状ベルトを耐熱性に優れる材質で構成しない場合には、網状ベルトの耐久性が低かった。また、上記特許文献2に示される装置では、脱水用ベルトはフェルト等の吸水性を有する素材により構成され、抄紙ワイヤーと乾燥用ベルトは網目状の部材で構成されており、湿紙の転移の際に、地合を悪化させることはない。また、抄紙ワイヤーと乾燥用ベルトは直接接触することがないので、抄紙ワイヤーの耐久性も高く維持できる。しかしながら、脱水用ベルトが吸水性を有する素材であるため、吸水した水分に含まれる細かなパルプ繊維等が脱水用ベルト内に蓄積し目詰まりすると、脱水用ベルトから乾燥用ベルトに湿紙が転移しづらくなり、転移ミスを生じやすくなる。
【0006】
本発明は上記の課題を解決するものであり、抄紙ベルトの耐久性の低下を防ぐことができる、また、効率よく湿紙を抄紙部から乾燥部に受け渡すことができる製紙装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の製紙装置は、パルプ懸濁液を抄紙し湿紙が生成される抄紙部と、湿紙を乾燥させ用紙を生成する乾燥部とを備える製紙装置であって、前記抄紙部は、無端状の抄紙ベルトを備え、前記抄紙ベルトから湿紙の前端が剥離される剥離部を有し、前記抄紙ベルトは、湿紙を担持し搬送する抄紙往路、及び湿紙との接触を終えて前記抄紙往路の始端部に循環する抄紙復路を含み、前記乾燥部は、湿紙を加熱面において加熱しながら搬送する加熱搬送体を有し、前記乾燥部には、前記剥離部において前記抄紙ベルトから剥離された湿紙を受け取る受取り部が設けられ、前記抄紙ベルトは、前記加熱搬送体から所定距離離間して設けられる。
【0008】
本発明は、上記内容に加え、更に、次のような構成を備えることができる。
【0009】
(a)前記抄紙部は、前記抄紙往路の途中に設けられ、湿紙を脱水する脱水部を備えている。
【0010】
(b)前記抄紙ベルトは、複数の支持ローラに掛け渡され、前記抄紙往路の終端部に位置する前記支持ローラに沿って湾曲走行する湾曲走行部を有し、前記剥離部は、前記湾曲走行部に設けられている。
【0011】
(c)前記湾曲走行部において、前記抄紙ベルトは、湿紙の腰によって湿紙の前端が湾曲走行する前記抄紙ベルトから剥離可能な所定の曲率半径を有する。
【0012】
(d)前記乾燥部は、前記受取り部で受け取った湿紙を前記加熱搬送体との間で挟持して搬送する無端状の挟持用ベルトを備える。
【0013】
(e)前記挟持用ベルトは、前記受取り部を有し、前記受取り部は、前記抄紙ベルトが湿紙と接触を終える最終接触位置よりも低い位置に設けられている。
【0014】
(f)前記加熱搬送体は、前記受取り部を有し、前記受取り部は、前記抄紙ベルトが湿紙と接触を終える最終接触位置よりも低い位置に設けられている。
【0015】
(g)前記剥離部と前記受取り部との間には、間隙が設けられ、前記間隙の距離は、前記剥離部における湿紙の前端の厚さ以下に設定されている。
【0016】
(h)前記抄紙部と前記乾燥部との間には、前記抄紙ベルトから剥離された湿紙の前端が、自重によって前記受取り部に向けて偏向可能な、受渡し部が設けられている。
【0017】
(i)前記偏向した湿紙の前端の前記受取り部における進行方向上流側と、前記加熱搬送体または前記挟持用ベルトの前記受取り部における湿紙搬送方向下流側とのなす角が、90度以上となるように設定されている。
【0018】
(j)前記加熱搬送体は、前記加熱面が湿紙の前記抄紙ベルトとの接触面に接触するように設けられている。
【0019】
(k)前記挟持用ベルトの湿紙搬送速度は、前記抄紙ベルトの湿紙搬送速度よりも速く設定されている。
【0020】
(l)前記加熱搬送体の湿紙搬送速度は、前記抄紙ベルトの湿紙搬送速度よりも速く設定されている。
【0021】
(m)前記抄紙ベルトから剥離された湿紙が前記受取り部に受け渡されたことを検知する、湿紙検知手段を備えている。
【発明の効果】
【0022】
本発明の製紙装置は、抄紙部において、抄紙ベルトから湿紙の前端を剥離する剥離部を有し、乾燥部には、剥離部において抄紙ベルトから剥離された湿紙を受け取る受取り部が設けられ、抄紙ベルトは、乾燥部の加熱搬送体から所定距離離間して設けられるので、抄紙ベルトの材質に拘らずに抄紙ベルトの耐久性の低下を防ぎ、湿紙を抄紙部から乾燥部に受け渡すことができる。
【0023】
更に上記構成(a)を備える製紙装置によると、湿紙が抄紙往路の途中で脱水されるので、剥離部において湿紙を抄紙ベルトから容易に剥離することができる。
【0024】
更に上記構成(b)を備える製紙装置によると、剥離部において湿紙を抄紙ベルトから容易に剥離することができる。
【0025】
更に上記構成(c)を備える製紙装置によると、湾曲走行部において湿紙を抄紙ベルトからより容易に剥離することができる。
【0026】
更に上記構成(d)を備える製紙装置によると、抄紙ベルトから剥離されて乾燥部で受け取った湿紙を効率よく乾燥させて搬送することができる。
【0027】
更に上記構成(e)を備える製紙装置によると、抄紙ベルトから剥離された湿紙を乾燥部に容易に受け渡すことができる。
【0028】
更に上記構成(f)を備える製紙装置によると、抄紙ベルトから剥離された湿紙を乾燥部に容易に受け渡すことができる。
【0029】
更に上記構成(g)を備える製紙装置によると、抄紙ベルトから剥離された湿紙を乾燥部に効率よく受け渡すことができる。
【0030】
更に上記構成(h)を備える製紙装置によると、抄紙ベルトから剥離された湿紙を乾燥部に容易に受け渡すことができる。
【0031】
更に上記構成(i)を備える製紙装置によると、抄紙ベルトから剥離された湿紙を乾燥部で効率よく受け取って搬送することができる。
【0032】
更に上記構成(j)を備える製紙装置によると、抄紙ベルトの網目模様が紙に形成されることを抑制することができる。
【0033】
更に上記構成(k)を備える製紙装置によると、抄紙部と乾燥部との間で湿紙が弛むことを抑制し、紙に皺や折れ目が形成されることを防ぐことができる。
【0034】
更に上記構成(l)を備える製紙装置によると、抄紙部と乾燥部との間で湿紙が弛むことを抑制し、紙にしわや折れが形成されることを防ぐことができる。
【0035】
更に上記構成(m)を備える製紙装置によると、抄紙部から乾燥部への湿紙の受渡し成否を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明の製紙装置の構成概略図である。
図2】第1実施形態に係る抄紙部及び乾燥部の正面図である。
図3図2の抄紙部及び乾燥部の部分拡大図である。
図4】第1実施形態に係る抄紙部及び乾燥部の部分拡大平面図である。
図5】第1実施形態に係る抄紙動作における湿紙の受渡し検知の制御フロー図である。
図6】第2実施形態に係る抄紙部及び乾燥部の正面図である。
図7図6の抄紙部及び乾燥部の部分拡大図である。
図8】第2実施形態に係る抄紙部及び乾燥部の部分拡大平面図である。
図9】第3実施形態に係る抄紙部及び乾燥部の正面図である。
図10】第4実施形態に係る抄紙部及び乾燥部の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
<第1実施形態>
図1に基づいて、製紙装置の全体構成を説明する。図1は、製紙装置の構成概略図である。
【0038】
製紙装置1は、製紙機本体10の内部に、パルプ液製造部2、脱墨部3、抄紙部4、乾燥部5、仕上げ部6を備えるものである。
【0039】
パルプ液製造部2は、パルプ原料を離解してパルプを含むパルプ懸濁液(図示省略)を製造するものである。本実施形態では、古紙11をパルプ原料として、パルプ懸濁液を製造する。
【0040】
脱墨部3は、パルプ液製造部2において製造されたパルプ懸濁液を脱墨するものである。
【0041】
抄紙部4は、脱墨部3から供給される脱墨されたパルプ懸濁液を抄紙し、湿紙W(図2参照)を生成するものである。
【0042】
乾燥部5は、抄紙部4で生成された湿紙Wを乾燥させるものである。
【0043】
仕上げ部6は、乾燥部5により湿紙Wを乾燥させたものに、裁断等の仕上げ処理を行って用紙12を得るものである。
【0044】
また、製紙機本体10の内部には、製紙装置1の作動を制御する、制御部7を備えている。
【0045】
また、製紙機本体10は、例えばオフィスなどに設置することが可能な大きさに形成されている。すなわち、製紙装置1は、小型の製紙装置として構成される。
【0046】
図2乃至図4に基づいて、抄紙部4及び乾燥部5の詳細を説明する。図2は、本実施形態に係る抄紙部4及び乾燥部5の正面図であり、図3は、図2の抄紙部4及び乾燥部5の部分拡大図である。図4は、本実施形態に係る抄紙部4及び乾燥部5の部分拡大平面図である。
【0047】
(抄紙部)
抄紙部4は、複数の支持ローラ40と、抄紙ベルト41と、ヘッドボックス42とを備えている。支持ローラ40は、フレーム(図示省略)に、回動可能に軸支されている。抄紙ベルト41は、通水性を有する網状のベルトである。また、抄紙ベルト41は、複数の支持ローラ40に掛け渡され、無端状に形成されている。ヘッドボックス42には、脱墨部3から脱墨処理されたパルプ懸濁液が送給される。ヘッドボックス42は、脱墨部3から送給されたパルプ懸濁液を、抄紙ベルト41上に均一に流出させるものである。したがって、抄紙ベルト41は、ヘッドボックス42から流出されたパルプ懸濁液を濾過して湿紙Wを生成する。
【0048】
また、抄紙ベルト41は、抄紙往路410と、抄紙復路411とを有している。抄紙往路410は、湿紙Wを担持し搬送する抄紙ベルト41の走行路である。抄紙復路411は、湿紙Wとの接触を終えて抄紙往路410の始端部に循環する抄紙ベルト41の走行路である。
【0049】
抄紙往路410における抄紙ベルト41の下方には、複数の水切り板43が所定間隔で配置されている。各水切り板43は、抄紙ベルト41上に流出されたパルプ懸濁液の水切りを行うものである。各水切り板43は、抄紙ベルト41の走行方向に対して直交する幅方向に延在し、且つ、抄紙往路410において抄紙ベルト41の下面に摺接するよう設けられている。
【0050】
抄紙往路410の途中には、湿紙Wを脱水する脱水部44が設けられている。脱水部44は、押圧ローラ440と、対向ローラ441とを有している。押圧ローラ440と対向ローラ441とは、抄紙ベルト41を挟んで対向配置される。また、押圧ローラ440と対向ローラ441とは、表面に吸水性を有する吸水層を有している。
【0051】
押圧ローラ440は対向ローラ441に向けてバネ(図示省略)によって所定の圧力で付勢されている。対向ローラ441には、抄紙駆動手段(図示省略)が連結している。該抄紙駆動手段が、対向ローラ441を駆動回転させることにより、抄紙ベルト41を矢印X1が示す走行方向に走行させる。また、各支持ローラ40及び押圧ローラ440は、抄紙ベルト41の走行に伴い、従動回転する。
【0052】
なお、本実施形態においては、抄紙駆動手段を対向ローラ441に連結して抄紙ベルト41を駆動走行するようにしているが、抄紙駆動手段を、各支持ローラ40のうち何れか1つの支持ローラ40に連結してもよい。例えば、抄紙駆動手段を支持ローラ40aに連結した場合、支持ローラ40aを駆動回転させることにより、抄紙ベルト41を走行させる。
【0053】
抄紙往路410の終端部には、各支持ローラ40のうち支持ローラ40aが配設されている。支持ローラ40aは、押圧ローラ440よりも高い位置に設けられている。したがって、図2に示すように、ヘッドボックス42から矢印Xが示す湿紙搬送方向の、下流側を見たときに、脱水部44から支持ローラ40aに到達するまでの抄紙往路410は、脱水部44に到達するまでの抄紙往路410に対して、上向きに傾斜している。
【0054】
また、抄紙往路410の終端部には、剥離部45が設けられている。抄紙ベルト41は、抄紙往路410の終端部において、湾曲走行部410aを有している。抄紙ベルト41は、湾曲走行部410aにおいて、支持ローラ40aに沿って湾曲走行している。
【0055】
抄紙ベルト41は、湾曲走行部410aにおいて、所定の曲率半径Rを有するように形成されている。本実施形態において、曲率半径Rは、支持ローラ40aの半径により規定される。また、曲率半径Rは、湿紙Wの前端が湿紙Wの腰によって、湾曲走行する抄紙ベルト41から剥離可能な値に設定されている。したがって、湿紙Wの前端は、湾曲走行部410aにおいて、湿紙Wの腰によって抄紙ベルト41から剥離される。すなわち、剥離部45は、抄紙ベルト41の湾曲走行部410aに設けられている。
【0056】
湾曲走行部410aにおける曲率半径Rは、湿紙Wの前端を剥離できるように50mm以下に設定されることが好ましく、本実施形態においては、25mmに設定されている。また、剥離部45の変形例としては、抄紙ベルト41に当接する薄板状の剥離部材を設け、湿紙Wの前端を剥離するようにしてもよい。薄板状の剥離部材は、先端部を抄紙ベルト41に摺接するように設けられ、湿紙Wの前端に接触して湿紙Wの前端を剥離する。また、剥離部45の別の変形例としては、湾曲走行部410aと剥離部材とによって形成してもよい。
【0057】
抄紙ベルト41の下方には、白水タンク46が設けられている。白水タンク46は、パルプ懸濁液を抄紙ベルト41で濾過することによって生じた水分(白水)を貯留するものである。白水タンク46に貯留された白水は、パルプ液製造部2や脱墨部3に供給され、各部における処理用水として適宜利用される。
【0058】
(乾燥部)
乾燥部5は、加熱搬送体50と、複数の架設支持ローラ51と、挟持用ベルト52とを備えている。加熱搬送体50と各架設支持ローラ51とは、フレーム(図示省略)に、回動可能に軸支されている。
【0059】
加熱搬送体50は、内部に加熱手段(図示省略)を有し、円筒形状をなしている。加熱搬送体50は、例えば金属などの耐熱性を有する材質により形成されている。加熱搬送体50は、加熱手段により適当な温度に加熱される、加熱面501を有している。すなわち、加熱搬送体50は、湿紙Wを加熱面501において加熱しながら搬送し、湿紙Wを乾燥させるものである。本実施形態において、加熱面501は、90℃〜110℃の範囲になるように加熱される。
【0060】
挟持用ベルト52は、各架設支持ローラ51に掛け渡され、無端状に形成されている。挟持用ベルト52は、乾燥往路520と、乾燥復路521とを有している。乾燥往路520は、湿紙Wに接触して走行することにより湿紙Wを搬送する挟持用ベルト52の走行路である。乾燥復路521は、湿紙Wとの接触を終え乾燥往路520の始端部に循環する挟持用ベルト52の走行路である。
【0061】
乾燥往路520の始端部には、各架設支持ローラ51のうち架設支持ローラ51aが配設されている。また、乾燥往路520の終端部には、各架設支持ローラ51のうち架設支持ローラ51bが配設されている。架設支持ローラ51bには、駆動手段(図示省略)が連結している。該駆動手段が、架設支持ローラ51bを駆動回転させることにより、挟持用ベルト52を矢印X2が示す走行方向に走行させる。また、加熱搬送体50は、挟持用ベルト52の走行に伴い、矢印X3が示す回転方向に従動回転する。したがって、加熱搬送体50は、挟持用ベルト52の湿紙搬送速度(走行速度)と同じ周速で回転する。
【0062】
なお、本実施形態においては、駆動手段を架設支持ローラ51bに連結して挟持用ベルト52を駆動走行するようにしているが、駆動手段を加熱搬送体50に連結してもよい。この場合、加熱搬送体50を駆動回転させることにより、挟持用ベルト52を走行させる。したがって、この場合、挟持用ベルト52は、加熱搬送体50の湿紙搬送速度(回転速度)と同じ周速で走行する。
【0063】
また、挟持用ベルト52の湿紙搬送速度(走行速度)が、抄紙ベルト41の湿紙搬送速度(走行速度)よりも速くなるように設定されている。前述のように駆動手段を加熱搬送体50に連結して構成する場合は、加熱搬送体50の湿紙搬送速度(回転速度)が、抄紙ベルト41の湿紙搬送速度(走行速度)よりも速くなるように設定される。また、具体的には、挟持用ベルト52の湿紙搬送速度(走行速度)または加熱搬送体50の湿紙搬送速度(回転速度)は、抄紙ベルト41の湿紙搬送速度(走行速度)よりも、1%〜3%速く設定されている。そのため、抄紙ベルト41から剥離された湿紙Wは、少し乾燥部5に引っ張られる状態で搬送されることとなり、抄紙部4と乾燥部5との間で湿紙Wが弛むことを抑制できる。
【0064】
挟持用ベルト52には、乾燥往路520の始端部において、受取り部53が設けられている。そして、挟持用ベルト52は、抄紙部4の剥離部45で剥離された湿紙Wを受取り部53で受け取る。
【0065】
抄紙部4と乾燥部5との間には、受渡し部Sが設けられている。受渡し部Sは、湿紙Wの前端の、自重による受取り部53に向けた偏向を可能とするための空間である。
【0066】
湿紙Wの前端は、図3の実線で示すように、抄紙往路410における湾曲搬送部410aの始端部近傍の剥離地点450で、湿紙Wの腰によって抄紙ベルト41から剥離する。剥離部45は、剥離地点450において湾曲走行する抄紙ベルト41により構成される。
【0067】
そして、抄紙ベルト41から剥離された湿紙Wの前端は、受渡し部Sにおいて、自重によって受取り部53に向けて偏向する。具体的には、湿紙Wの前端は、受渡し部Sにおいて、図3の実線で示す状態から、一点鎖線で示すW1の状態を経て、二点鎖線で示すW2の状態になるように偏向する。二点鎖線で示すW2の状態の湿紙Wの前端は、最終接触位置Eにおいて、抄紙ベルト41との接触を終える。また、二点鎖線で示すW2の状態の湿紙Wの前端は、受取り地点530において、挟持用ベルト52に受け取られる。このとき、受取り部53は、受取り地点530において走行する挟持用ベルト52により構成される。
【0068】
二点鎖線で示すW2の状態に偏向した湿紙Wの前端の、受取り部53(受取り地点530)における湿紙Wの進行方向上流側と、挟持用ベルト52の受取り部53(受取り地点530)における湿紙搬送方向下流側とによって、所定の角Aが形成されている。角Aが、90度以上に設定されるように、受取り部53を設けている。
【0069】
本実施形態では、受取り部53は、架設支持ローラ51aの周面に沿って湾曲した挟持用ベルト52の走行路上に形成されている。したがって、図3に示すように、湿紙Wの前端の受取り部53における湿紙Wの進行方向上流側は、受取り部53から湿紙搬送方向上流側(図3において受取り地点530の左側)に位置する湿紙Wの裏面により示される。また、挟持用ベルト52の受取り部53における湿紙搬送方向下流側は、図3において受取り地点530の右側に引かれた、受取り地点530を接点とする挟持用ベルト52表面における接線により示される。そして、角Aは、図3に示すように、略180度に設定されている。
【0070】
抄紙ベルト41と挟持用ベルト52との間には、図3に示すように、最も近接した部分において、間隙Dが設けられている。間隙Dの距離は、湿紙Wの前端の厚さ以下に設定されている。なお、間隙Dの距離は、湿紙Wの前端の厚さ未満に設定することが、より好ましい。また、抄紙ベルト41と挟持用ベルト52とは、間隙Dが設けられていることにより、互いに接触することなく走行する。抄紙ベルト41の走行方向と挟持用ベルト52の走行方向とは、間隙Dの形成される場所において、逆方向となっている。
【0071】
湿紙Wの前端が、間隙Dに向けて搬送された場合、湿紙Wの前端は、剥離地点451で、抄紙ベルト41から強制的に剥離される。剥離部45は、剥離地点451において走行する抄紙ベルト41により構成される。また、湿紙Wの前端は、受取り地点531において、挟持用ベルト52に受け取られる。このとき、受取り部53は、受取り地点531において走行する挟持用ベルト52により構成される。すなわち、剥離部45と受取り部53との間には、間隙Dが設けられている。
【0072】
また、図3に示すように、剥離部45よりも湿紙搬送方向下流側で、且つ受取り部53よりも湿紙搬送方向上流側に、湿紙検知手段54を備えている。湿紙検知手段54は、剥離部45と受取り部53との間に設けられ、抄紙ベルト41から剥離された湿紙Wが受取り部53に受け渡されたことを検知するためのものである。湿紙検知手段54は、発光センサ540と受光センサ541を有している。
【0073】
発光センサ540は、図3に示すように、二点鎖線で示すW2の状態の湿紙Wよりも上方に設けられ、且つ、図4に示すように、湿紙搬送方向に対して直交する幅方向の一端側に設けられている。受光センサ541は、図3に示すように、二点鎖線で示すW2の状態の湿紙Wよりも下方に設けられ、且つ図4に示すように、湿紙搬送方向に対して直交する幅方向の他端側に設けられている。したがって、発光センサ540が受光センサ514に向けて照射する光ビームの光軸542が、湿紙Wの搬送面に対して交差するようになっている。
【0074】
また、図2に示すように、加熱搬送体50には、加熱搬送体50の半周以上にわたって挟持用ベルト52が巻回されている。加熱搬送体50に挟持用ベルト52が巻回されて走行する範囲が、挟持搬送部55をなす。
【0075】
挟持搬送部55は、受取り部53で受け取った湿紙Wを加熱搬送体50と挟持用ベルト52とにより挟持して搬送する。湿紙Wは、挟持搬送部55において加熱面501に接触し、加熱搬送体50により加熱され、乾燥させられる。湿紙Wは、乾燥させられて乾紙(図示省略)となる。
【0076】
挟持搬送部55の下流側には、掻き取り部材56が設けられている。掻き取り部材56は、挟持搬送部55において乾燥させた湿紙W(乾紙)の前端を、加熱搬送体50の加熱面501から剥離するものである。
【0077】
本実施形態の製紙装置の作動について説明する。
【0078】
まず、古紙11をパルプ製造部2に投入する。パルプ製造部2には、古紙11以外に、水道水供給部(図示省略)から供給される水道水、または白水タンク46に貯留されている白水が、離解用水として供給される。
【0079】
パルプ製造部2において、古紙11と離解用水を攪拌し古紙11を離解することにより、パルプ懸濁液を製造する。パルプ懸濁液の製造が完了すると、パルプ懸濁液の脱墨部3への移送を開始する。また、パルプ懸濁液を脱墨部3に移送する経路中で、パルプ懸濁液に、水道水供給部(図示省略)から供給される水道水、または白水タンク46に貯留されている白水を、希釈水として供給する。
【0080】
脱墨部3において、脱墨処理が開始される。パルプ懸濁液が脱墨部3に供給されると、散気手段(図示省略)を作動させて、パルプ懸濁液中で気泡を発生させる。パルプ懸濁液に含まれるトナーやインクなどの印刷成分は、パルプ懸濁液中で発生させた気泡に付着し、気泡とともにパルプ懸濁液中を浮上する。すなわち、気泡は、パルプ懸濁液に含まれる印刷成分とパルプとを分離する。掻き取り手段(図示省略)が、気泡とともにパルプ懸濁液中を浮上した印刷成分を除去する。
【0081】
脱墨処理されたパルプ懸濁液は、ヘッドボックス42に供給される。ヘッドボックス42に供給されたパルプ懸濁液は、走行する抄紙ベルト41上に、均一に流出される。抄紙ベルト41上において、パルプ懸濁液が濾過され、湿紙Wが生成される。
【0082】
抄紙往路の途中に設けられた、複数の水切り板43及び脱水部44の作用により、湿紙Wの濾過、脱水が促進される。湿紙Wは、脱水部44において、押圧ローラ440と対向ローラ441との間で圧搾され、所定の含水率になるように脱水される。本実施形態では、湿紙Wは、脱水部44において、60%程度の含水率になるまで脱水される。
【0083】
脱水部44を通過した湿紙Wは、抄紙ベルト41の湾曲走行部410aに向けて搬送される。湾曲走行部410aにおいて抄紙ベルト41は、曲率半径Rを有する湾曲した状態で走行している。したがって、湾曲走行部410aに搬送された湿紙Wの前端は、湿紙Wの腰によって、剥離地点450において、容易に抄紙ベルト41から剥離される。
【0084】
ところで、本実施形態においては、湿紙Wの前端の厚さを、前端以外の部分の湿紙W(以下、「通常の湿紙W」という。)と同じになるように形成しているが、湿紙Wの前端の厚さを、通常の湿紙Wの厚さよりも厚く形成することもできる。その場合、湿紙Wの前端は、湿紙搬送方向の所定長さに亘って、通常の湿紙Wの厚さよりも厚くなるように抄紙される。
【0085】
例えば、制御部7が、抄紙ベルト41の走行速度を、通常の湿紙Wを抄紙するときの走行速度よりも遅くするように制御して、湿紙Wの前端の厚さを厚く形成する。また、更に、抄紙ベルト41に対して接離可能な堰部材(図示せず)を設け、湿紙Wの前端縁を直線状に揃えることも可能である。
【0086】
堰部材は、湿紙Wの幅方向に延在し、抄紙ベルト41に対して隙間なく接触可能な直線状の先端を有する板状部材で形成されている。湿紙Wの前端を形成するとき、堰部材の先端を抄紙ベルト41に接触させ、抄紙ベルト41上でのパルプ懸濁液の湿紙搬送方向下流側への拡散を抑止する。その結果、湿紙Wの前端を厚く形成するとともに、前端縁を直線状に揃えることができる。
【0087】
湿紙Wの前端の厚さは、通常の湿紙Wの厚さに比べて、2〜15倍の厚さに設定される。湿紙Wの前端は、厚く形成されることにより、通常の湿紙Wに比べて、強い腰を有する。したがって、湾曲走行部410aに搬送された湿紙Wの前端は、強い腰によって、剥離地点450において、より容易に抄紙ベルト41から剥離される。また、湿紙Wの前端を直線状に揃えて形成することにより、湿紙Wの前端は、幅方向に亘って均一に、抄紙ベルト41から剥離される。
【0088】
抄紙ベルト41から剥離した湿紙Wの前端は、その後しばらく搬送されると、受渡し部Sにおいて、図3の実線で示す湿紙Wの状態から、一点鎖線で示すW1の状態を経て、二点鎖線で示すW2の状態になるように、自重によって偏向する。そして、受渡し部Sにおいて偏向した湿紙Wの前端は、挟持用ベルト52の受取り部53(受取り地点530)で受け取られる。
【0089】
また、例えば湿紙Wの脱水が不十分な場合、湿紙Wの前端が抄紙ベルト41から剥離しないことがある。このとき、湿紙Wの前端は、間隙Dに向けて搬送される。間隙Dの距離は、湿紙Wの前端の厚さ以下に設定されているので、湿紙Wの前端を通過させない。湿紙Wの前端は、剥離地点451(剥離部45)において抄紙ベルト41から剥離されるとともに、受取り地点531(受取り部53)において挟持用ベルト52に受け取られる。
【0090】
湿紙Wが図3のW2の状態にあるとき、発光センサ540が照射する光ビームは、湿紙Wに遮られて、受光センサ541に入射せず、湿紙検知手段54は、遮光状態であることを検知する。そして制御部7は、湿紙検知手段54において遮光状態を検知すると、受取り部53に湿紙Wが受け渡されていると判断する。すなわち、湿紙検知手段54は、遮光状態を検知することにより、湿紙Wが受取り部53に受け渡されたことを検知する。
【0091】
ところで、湿紙Wが図3のW2以外の状態(実線で示される状態、一点鎖線で示されるW1の状態や、間隙Dに向けて搬送されている状態など)にあるとき、発光センサ540が照射する光ビームが、受光センサ541に入射し、湿紙検知手段54は、通光状態であることを検知する。そして制御部7は、湿紙検知手段54において所定時間継続して通光状態を検知すると、受取り部53に湿紙Wが受け渡されていないと判断する。すなわち、湿紙検知手段54は、所定時間継続して通光状態を検知することにより、湿紙Wが受取り部53に受け渡されずに、受渡しミスが発生したことを検知する。
【0092】
ここで、図5に基づいて、湿紙Wの受渡し検知に関する制御について説明する。図5は、抄紙動作における湿紙Wの受渡し検知の制御フロー図である。
【0093】
抄紙動作が開始され、停止した状態の抄紙ベルト41上にパルプ懸濁液が供給されると、湿紙Wの前端が形成される(ステップS1)。所定時間パルプ懸濁液が供給されて湿紙Wの前端が形成されると、抄紙ベルト41を駆動走行させて湿紙Wの搬送を開始する。湿紙Wの搬送が開始されると、制御部7のカウンタを作動させ、抄紙ベルト41の駆動走行開始からの経過時間のカウントを開始する(ステップS2)。湿紙Wの前端は、剥離部45で剥離されるまで、抄紙往路410上を搬送される。そして、抄紙ベルト41から剥離された湿紙Wの前端は、乾燥部5に受け渡される。
【0094】
続いて、制御部7のカウンタによるカウント値が所定値t1に達したか判断する(ステップS3)。所定値t1は、抄紙ベルト41の駆動走行が開始された時点の湿紙Wの前端縁の位置から挟持開始部P2までの、予め決められた搬送距離を、湿紙搬送速度(抄紙ベルト41の走行速度、挟持用ベルト52の走行速度)で搬送したときの第1の所要時間に相当する。挟持開始部P2は、挟持搬送部55の湿紙搬送方向の最上流位置である。すなわち、ステップS3では、挟持開始部P2への、湿紙Wの前端縁の到達予測を判断する。
【0095】
ステップS3において、カウント値が所定値t1に達していない場合には、湿紙Wの前端縁が挟持開始部P2に到達していないと予測し、カウント値が所定値t1に達するまで、ステップS3の判断を繰り返す。また、ステップS3において、カウント値が所定値t1に達した場合には、湿紙Wの前端が挟持開始部P2に到達していると予測し、湿紙検知手段54による、湿紙Wの検知を開始する(ステップS4)。
【0096】
そして、抄紙ベルト41上へのパルプ懸濁液の供給が停止された時点からの制御部7のカウンタによるカウント値が所定値t2に達したか判断する(ステップS5)。所定値t2は、パルプ懸濁液の供給が停止された時点の湿紙Wの後端縁の位置から所定位置P1までの、予め決められた搬送距離を、湿紙搬送速度(抄紙ベルト41の走行速度、挟持用ベルト52の走行速度)で搬送したときの第2の所要時間に相当する。湿紙Wの後端縁は、抄紙ベルト41上へのパルプ懸濁液の供給が停止されることにより形成される。所定位置P1は、受取り部53より湿紙搬送方向下流側、且つ挟持開始部P2より湿紙搬送方向上流側の位置である。すなわち、ステップS5では、所定位置P1への、湿紙Wの後端縁の到達予測を判断する。
【0097】
ステップS5において、パルプ懸濁液の供給が停止された時点からのカウント値が所定値t2に達した場合は、抄紙動作が終了し湿紙Wの後端縁が所定位置P1に到達していると予測し、処理を終了する(ステップS6)。抄紙動作が終了する条件としては、例えば、ユーザにより製紙の停止指示が入力された場合、抄紙部4に供給可能なパルプ懸濁液が無くなり抄紙を継続できなくなった場合や、作製した用紙の枚数が必要枚数に達した場合などである。また、ステップS5において、パルプ懸濁液の供給が継続されている場合、又は、パルプ懸濁液の供給が停止された時点からのカウント値が所定値t2に達していない場合は、湿紙Wの後端縁が所定位置P1に達していないと予測し、湿紙検知手段54により通光状態を検知した時点からの制御部7カウンタによるカウント値が、湿紙検知手段54の通光状態が継続している状態で、所定値t3に達したかどうか判断する(ステップS7)。
【0098】
所定値t3は、第1所定距離L1を、湿紙搬送速度(抄紙ベルト41の走行速度、挟持用ベルト52の走行速度)で搬送した時の第3の所要時間に相当する。すなわち、ステップS7では、湿紙検知手段54において通光状態を継続した状態で、湿紙Wの第1所定距離L1の搬送を行ったか判断する。
【0099】
ステップS7において、湿紙Wが受取り部53に受け渡され発光センサ540と受光センサ541との間に存在するとき、すなわち、湿紙検知手段54で通光状態ではなく遮光状態を検知した場合は、ステップS5の判断に戻る。また、発光センサ540と受光センサ541との間に湿紙Wが存在しないが、存在湿紙検知手段54で通光状態を検知した時点からのカウント値が所定値t3に達していない場合も、ステップS5の判断に戻る。
【0100】
ステップS7において、湿紙検知手段54で遮光状態を検知せずに通光状態を継続した状態で、湿紙検知手段54で通光状態を検知した時点からのカウント値が所定値t3に達した場合は、湿紙検知手段54の通光状態が継続している状態で、湿紙Wの第1所定距離L1の搬送を行ったとして、乾燥部5における湿紙搬送速度を増速する(ステップS8)。
【0101】
本実施形態において、ステップS8では、挟持用ベルト52の走行速度を、通常搬送時の走行速度に対して、105%の走行速度になるように5%増速する。通常搬送時の速度で湿紙Wを搬送するとき、抄紙ベルト41の走行速度よりも挟持用ベルト52の走行速度の方が1〜3%速くなるように設定されており、抄紙部4と乾燥部5との間で湿紙Wが弛むことを抑制している。しかし、抄紙の状態によっては、湿紙Wが、抄紙部4と乾燥部5との間で弛むことがある。湿紙Wが、抄紙部4と乾燥部5との間で弛むと、湿紙検知手段54は、通光状態となり湿紙Wを検知することができなくなる。そこで、ステップS8において、抄紙部4と乾燥部5との間での湿紙Wの弛みを解消するために、乾燥部5の湿紙搬送速度を増速するようになっている。
【0102】
そして、ステップS5と同様に、抄紙ベルト41上へのパルプ懸濁液の供給が停止された時点からの制御部7のカウンタによるカウント値が所定値t2に達したか判断する(ステップS9)。ステップS9において、パルプ懸濁液の供給が停止された時点からのカウント値が所定値t2に達した場合は、抄紙動作が終了し湿紙Wの後端縁が所定位置P1に到達していると予測し、処理を終了する(ステップS10)。また、ステップS9において、パルプ懸濁液の供給が継続されている場合、又は、パルプ懸濁液の供給が停止された時点からのカウント値が所定値t2に達していない場合は、湿紙Wの後端縁が所定位置P1に達していないと予測し、湿紙検知手段54が通光状態を検知しているか判断する(ステップS11)。
【0103】
ステップS11において、湿紙Wが受取り部53に受け渡され発光センサ540と受光センサ541との間に存在するとき、すなわち、湿紙検知手段54で通光状態ではなく遮光状態を検知している場合は、乾燥部5の湿紙搬送速度を通常速度に戻し(ステップS12)、ステップS5の判断に戻る。ところで、湿紙Wが受取り部53に受け渡されているにもかかわらず、乾燥部5の湿紙搬送速度を増速した状態で搬送し続けると、抄紙部4と乾燥部5との湿紙搬送速度の差により、湿紙Wが破断する。そのため、湿紙Wの破断を防ぐために、ステップS11で湿紙検知手段54が遮光状態を検知した場合は、ステップS12において、乾燥部5の湿紙搬送速度を通常速度に戻すようになっている。
【0104】
また、ステップS11において、発光センサ540と受光センサ541との間に湿紙Wが存在しないとき、すなわち、湿紙検知手段54が通光状態を検知している場合には、湿紙検知手段54により通光状態を検知した時点からの制御部7カウンタによるカウント値が、湿紙検知手段54の通光状態が継続している状態で、所定値t4に達したか判断する(ステップS13)。
【0105】
所定値t4は、第2所定距離L2を、湿紙搬送速度(抄紙ベルト41の走行速度、挟持用ベルト52の走行速度)で搬送した時の第4の所要時間に相当する。また、第2所定距離L2は、抄紙ベルト41から剥離せずに抄紙復路411に搬送されたときの、湿紙検知手段54による湿紙Wの検知を開始した時点の湿紙Wの前端縁の予測到達位置を起点とし、湿紙Wの前端縁が、第1所定距離L1だけ搬送された位置から後述する洗浄液の供給を受ける位置に到達するまでの距離に設定されている。すなわち、ステップS13では、湿紙検知手段54において通光状態を継続した状態で、湿紙Wの第2所定距離L2の搬送を行ったか判断する。
【0106】
ステップS13において、湿紙Wが受取り部53に受け渡され発光センサ540と受光センサ541との間に存在するとき、すなわち、湿紙検知手段54で通光状態ではなく遮光状態を検知した場合は、ステップS9の判断に戻る。また、発光センサ540と受光センサ541との間に湿紙Wが存在しないが、湿紙検知手段54で通光状態を検知した時点からのカウント値が所定値t4に達していない場合も、ステップS9の判断に戻る。
【0107】
ステップS13において、湿紙検知手段54で遮光状態を検知せずに通光状態を継続した状態で、湿紙検知手段54で通光状態を検知した時点からのカウント値が所定値t4に達した場合は、抄紙部4から乾燥部5への湿紙Wの受渡しミスが生じたと判断して、受渡しエラーの信号を出力するとともに抄紙ベルト41上へのパルプ懸濁液の供給を停止する(ステップS14)。そして、抄紙動作を終了する(ステップS15)。
【0108】
なお、湿紙Wが抄紙部4から乾燥部5に受け渡された後の抄紙動作においては、ステップS5乃至ステップS13の処理を繰り返す。ところで、一旦は乾燥部5に受け渡された湿紙Wが、抄紙部4と乾燥部5との間で破断し、破断して生成された後続の湿紙Wの前端が乾燥部5に受渡しできなかった場合には、繰り返されるステップS5乃至ステップS13の処理を経て、ステップS14の処理に進むことにより、湿紙Wの受渡しミスが生じたことを検出することができる。
【0109】
制御部7は、ステップS14における受渡しエラーの信号に基づき、抄紙ベルト41の洗浄動作を開始する。また、制御部7に接続された操作パネル(図示省略)に湿紙Wの受渡しエラーが生じた旨、または抄紙ベルト41の洗浄動作中である旨のメッセージを表示する。抄紙ベルト41の洗浄動作においては、抄紙ベルト41の循環走行路の内側に設けられる洗浄液供給手段(図示せず)から、抄紙復路411を走行する抄紙ベルト41の所定領域に洗浄液を供給する。抄紙復路411に洗浄液を供給することにより、受渡しミスで抄紙ベルト41の表面に残留する湿紙Wを取り除く。洗浄動作によって取り除かれた湿紙Wは、抄紙ベルト41の下方に設けられた白水タンク46に、供給された洗浄液とともに回収される。抄紙ベルト41の洗浄動作が行われた後、ステップS1に戻り、抄紙動作を再開する。
【0110】
湿紙Wが抄紙部4から乾燥部5に受け渡されると、挟持用ベルト52は、受取り部53で受け取った湿紙Wを挟持搬送部55に向けて搬送する。湿紙Wは、挟持搬送部55において、挟持用ベルト52により加熱面501に押し付けられて搬送される。したがって、加熱搬送体50は、挟持搬送部55において、湿紙Wと隙間なく接触した状態で湿紙Wを加熱することにより、効率よく湿紙Wを乾燥させることができる。湿紙Wは、乾燥させられて乾紙となる。
【0111】
挟持搬送部55を通過した乾紙の前端縁は、掻き取り部材56によって、加熱搬送体50の加熱面501から剥離される。乾燥部5から送り出された乾紙は、仕上げ部6に搬送される。仕上げ部6は、搬送された乾紙に、所定サイズへの裁断等の仕上げ処理を施す。乾紙を仕上げ処理して生成された用紙は、製紙装置1の排紙口から製紙機本体10の外に排出される。
【0112】
[効果]
本実施形態の製紙装置によれば、次のような効果を発揮できる。
【0113】
(1)抄紙ベルト41が加熱搬送体50から所定距離離間して設けられるので、抄紙ベルト41は、加熱搬送体50から受ける熱の影響を抑制できる。したがって、抄紙ベルト41の材質に拘らずに抄紙ベルト41の耐久性の低下を防ぐことができる。
【0114】
(2)抄紙往路410の途中に脱水部44が設けられているので、湿紙Wを脱水し、湿紙Wの腰を強くすることができる。したがって、剥離部45において湿紙Wの前端を抄紙ベルト41から容易に剥離し、乾燥部5に受け渡すことができる。
【0115】
(3)抄紙ベルト41が湾曲走行部410aを有し、湾曲走行部410aに剥離部45が設けられているので、湿紙Wの前端を抄紙ベルト41から容易に剥離し、乾燥部5に受け渡すことができる。また、湾曲走行部410aにおいて、抄紙ベルト41は、湿紙Wの前端が湿紙Wの腰によって湾曲走行する抄紙ベルト41から剥離可能な値に設定されている曲率半径Rを有しているので、湿紙Wの前端を抄紙ベルト41からより容易に剥離し、乾燥部5に受け渡すことができる。
【0116】
(4)乾燥部5は、抄紙ベルト41から剥離された湿紙Wを受け取る受取り部53が設けられているので、抄紙部4から乾燥部5に湿紙Wを効率よく受け渡すことができる。
【0117】
(5)乾燥部5は、挟持用ベルト52を有し、抄紙ベルト41から剥離された湿紙Wを、加熱搬送体50と挟持用ベルト52との間で挟持して搬送するので、湿紙Wの前端を挟持すると、後続する湿紙Wを抄紙部4から引き込むことができる。また、挟持搬送部55において、挟持用ベルト52により湿紙Wを加熱面501に押し付けて搬送するので、効率よく湿紙Wを乾燥させることができる。
【0118】
(6)挟持用ベルト52は、受取り部53を有しているので、湿紙Wを搬送しながら容易に受け取ることができる。したがって、抄紙ベルト41から剥離された湿紙Wを乾燥部5に効率よく受け渡すことができる。
【0119】
(7)抄紙部4と乾燥部5との間には、抄紙ベルト41から剥離された湿紙Wの前端が、自重によって受取り部53に向けて偏向可能な受渡し部Sが設けられているので、湿紙Wの前端を安定して受取り部53に受け渡すことができる。したがって、抄紙ベルト41から剥離された湿紙Wを乾燥部5に容易に受け渡すことができる。
【0120】
(8)剥離部45と受取り部53との間には、剥離部45における湿紙Wの前端の厚さ以下の距離を有する間隙Dが設けられているので、湿紙Wの前端が、間隙Dに向けて搬送された場合でも、抄紙ベルト41から湿紙Wの前端を強制的に剥離することができる。したがって、抄紙ベルト41から剥離された湿紙Wを乾燥部5に効率よく受け渡すことができる。
【0121】
(9)湿紙Wの前端の受取り部53における湿紙Wの進行方向上流側と、挟持用ベルト52の受取り部53における湿紙搬送方向下流側とのなす角Aが、90度以上に設定されているので、湿紙Wの前端が折れ曲がって搬送不良となることを防止できる。したがって、抄紙ベルト41から剥離された湿紙Wを乾燥部5で効率よく受け取って搬送することができる。
【0122】
(10)挟持用ベルト52の湿紙搬送速度(走行速度)が、抄紙ベルト41の湿紙搬送速度(走行速度)よりも速くなるように設定されているので、抄紙部4と乾燥部5との間で湿紙Wが弛むことを抑制し、湿紙Wにしわや折れが形成されることを防止できる。また、駆動手段を加熱搬送体50に連結して構成する場合は、加熱搬送体50の湿紙搬送速度(回転速度)が、抄紙ベルト41の湿紙搬送速度(走行速度)よりも速くなるように設定されているので、抄紙部4と乾燥部5との間で湿紙Wが弛むことを抑制し、湿紙Wに皺や折れ目が形成されることを防止できる。
【0123】
(11)剥離部45よりも湿紙搬送方向下流側で、且つ受取り部53よりも湿紙搬送方向上流側、すなわち、剥離部45と受取り部53との間に設けられた湿紙検知手段54により、湿紙Wを検知しているので、湿紙Wが抄紙部4から乾燥部5に受け渡されたことを検出することができる。また、抄紙部4から乾燥部5への湿紙Wの受渡しミスが生じたことを検出することができる。したがって、抄紙部から乾燥部への湿紙の受渡し成否を検出することができる。
【0124】
<第2実施形態>
図6乃至図8に基づいて、第2実施形態に係る製紙装置について、上記第1実施形態と異なる構成を中心に説明する。なお、上記第1実施形態と同じ構成の部品及び部分については、同じ符号を付してある。
【0125】
図6は、本実施形態に係る抄紙部4及び乾燥部5の正面図であり、図7は、図6の抄紙部4及び乾燥部5の部分拡大図であり、図8は、本実施形態に係る抄紙部4及び乾燥部5の部分拡大平面図である。
【0126】
図6に示すように、本実施形態では、架設支持ローラ51aが支持ローラ40aよりも低い位置に設けられている。
【0127】
図7に示すように、抄紙ベルト41から剥離された湿紙Wの前端は、受渡し部Sにおいて、図7の実線で示す状態から、一点鎖線で示すW1の状態を経て、二点鎖線で示すW2の状態になるように水平よりも下向きに偏向する。抄紙ベルト41が湿紙Wと接触を終える最終接触位置Eは、図7に示すように、支持ローラ40aの上端位置よりも、湾曲搬送面410aに沿って少し右側にずれた位置(抄紙ベルト41の走行方向下流側に少しずれた位置)に形成される。
【0128】
受取り地点530において走行する挟持用ベルト52により構成される受取り部53は、抄紙ベルト41と湿紙Wとの最終接触位置Eよりも低い位置に設けられている。二点鎖線で示すW2の状態に偏向した湿紙Wの前端は、受取り地点530において、挟持用ベルト52に受け取られる。
【0129】
二点鎖線で示すW2の状態に偏向した湿紙Wの前端の、受取り部53(受取り地点530)における湿紙Wの進行方向上流側と、挟持用ベルト52の受取り部53(受取り地点530)における湿紙搬送方向下流側とによって形成される角Aは、180度未満の鈍角となるように設定されている。
【0130】
本実施形態では、受取り部53は、架設支持ローラ51aとの接触を終え、加熱搬送体50に向けて直線状に走行する挟持用ベルト52の走行路上に形成されている。したがって、図7に示すように、湿紙Wの前端の受取り部53における湿紙Wの進行方向上流側は、受取り部53から湿紙搬送方向上流側(図7において受取り地点530の左上側)に位置する湿紙Wの裏面により示される。また、挟持用ベルト52の受取り部53における湿紙搬送方向下流側は、図7において受取り地点530から右下側に位置する、挟持用ベルト52の表面により示される。
【0131】
また、剥離部45よりも湿紙搬送方向下流側で、且つ受取り部53よりも湿紙搬送方向上流側に、湿紙検知手段54を備えている点は、上記第1実施形態と同様である。しかし本実施形態では、図7において発光センサ540が受光センサ514に向けて照射する光ビームの光軸542が傾斜するように、湿紙検知手段54を設けている点で、上記第1実施形態と異なる。
【0132】
すなわち、湿紙検知手段54は、図7に示すように、水平よりも下向きに傾斜した(二点鎖線で示すW2の状態にある)湿紙Wを検知するように設けられている。発光センサ540は、図7に示すように、二点鎖線で示すW2の状態の湿紙Wよりも上方(湿紙Wの表面側)に設けられ、且つ、図8に示すように、湿紙搬送方向に対して直交する幅方向の一端側に設けられている。受光センサ541は、図7に示すように、二点鎖線で示すW2の状態の湿紙Wよりも下方(湿紙Wの裏面側)に設けられ、且つ図8に示すように、湿紙搬送方向に対して直交する幅方向の他端側に設けられている。
【0133】
ところで、上記第1実施形態の製紙装置によれば、図3において二点鎖線で示すW2の状態に偏向した湿紙Wの前端は、自身の腰によって、受取り地点530を接点とする接線方向に沿った水平状態を維持している。そして、湿紙Wの搬送が進むと、湿紙Wの前端は、水平状態を維持したまま加熱搬送体50の加熱面501に接触する。その結果、湿紙Wの前端の腰に抗して、加熱搬送体50により挟持用ベルト52に向けて偏向されることとなり、その際、湿紙Wに折れ目が形成されたり皺が生じたりする恐れがあった。
【0134】
しかし、本実施形態の製紙装置によれば、架設支持ローラ51aが支持ローラ40aよりも低い位置に設けられ、受取り部53が抄紙ベルト41と湿紙Wとの最終接触位置Eよりも低い位置に設けられているので、湿紙Wの前端は、加熱搬送体50の加熱面501に沿いやすくなる。そのため、湿紙Wの前端が、加熱搬送体50により挟持用ベルト52に向けて偏向される際に受ける力を低くできる、または図7に示すように加熱搬送体50により偏向されない。したがって、湿紙Wに折れ目が形成されたり皺が生じたりすることを抑制できる。また、受取り部53が、最終接触位置Eよりも低い位置に設けられているので、自重により垂れ下がろうとする湿紙Wを、容易に受取り部53で受け取ることができ、湿紙Wの乾燥部5への受渡しミスを抑制できる。したがって、抄紙ベルト41から剥離された湿紙Wを乾燥部5に容易に受け渡すことができる。
【0135】
また、上記第1実施形態に係る製紙装置と同様の構成により得られる効果は、本実施形態においても上記第1実施形態と同じである。
【0136】
<第3実施形態>
図9に基づいて、第3実施形態に係る製紙装置について、上記各実施形態と異なる構成を中心に説明する。なお、上記各実施形態と同じ構成の部品及び部分については、同じ符号を付してある。図9は、本実施形態に係る抄紙部4及び乾燥部5の正面図である。
【0137】
図9に示すように、本実施形態では、架設支持ローラ51aが支持ローラ40aよりも高い位置に設けられている。また、架設支持ローラ51bが支持ローラ40aよりも低い位置に設けられている。
【0138】
挟持用ベルト52は、駆動手段(図示省略)により矢印X4が示す走行方向に駆動走行する。また、加熱搬送体50は、挟持用ベルト52の走行に伴い、矢印X5が示す回転方向に従動回転する。
【0139】
抄紙ベルト41から剥離された湿紙Wの前端は、受渡し部Sにおいて、図9の実線で示す状態から、一点鎖線で示すW1の状態になるように偏向する。一点鎖線で示すW1の状態の湿紙Wの前端は、加熱搬送体50で受け取られる。受取り部53は、挟持搬送部55の湿紙搬送方向の上流側において従動回転する加熱搬送体50の加熱面501により構成されている。すなわち、加熱搬送体50は、受取り部53を有しているので、湿紙Wを搬送しながら容易に受け取ることができる。したがって、抄紙ベルト41から剥離された湿紙Wを乾燥部5に効率よく受け渡すことができる。
【0140】
加熱搬送体50の加熱面501が、湿紙Wの抄紙ベルト41との接触面に接触するようになっている。すなわち、加熱搬送体50は、湿紙Wの抄紙ベルト41との接触面と、湿紙Wの加熱面501との接触面とが、同一の面となるように設けられている。
【0141】
図9に示すように、一点鎖線で示すW1の状態に偏向した湿紙Wの前端の、受取り部53における湿紙Wの進行方向上流側と、加熱搬送体50の受取り部53における湿紙搬送方向下流側とによって形成される角Aは、180度未満の鈍角となるように設定されている。
【0142】
湿紙Wの前端の受取り部53における湿紙Wの進行方向上流側は、受取り部53から湿紙搬送方向上流側(図9において受取り部の左下側)に位置する湿紙Wの裏面により示される。また、加熱搬送体50の受取り部53における湿紙搬送方向下流側は、図9において受取り部53の右上側に引かれた、受取り部53を接点とする加熱面501における接線により示される。
【0143】
湿紙検知手段54は、図9に示すように、水平よりも上向きに傾斜した(一点鎖線で示すW1の状態にある)湿紙Wを検知するように設けられている。
【0144】
また、架設支持ローラ51bは、加熱搬送体50の下方、且つ加熱面501から離間した位置に設けられている。加熱支持ローラ51bに対して水平方向に挟持用ベルト52を介して対向する位置に、挟持ローラ57が設けられている。挟持搬送部55を搬送されて乾燥した湿紙W(乾紙)の前端縁は、掻き取り部材56により加熱面501から剥離される。そして、乾紙は、挟持用ベルト52と挟持ローラ57とに挟持されて、下方に送り出され、仕上げ部6に搬送される。
【0145】
本実施形態の製紙装置によれば、加熱搬送体50は、加熱面501が湿紙Wの抄紙ベルト41との接触面に接触するように設けられているので、抄紙ベルト41と接触していた湿紙Wの裏面は、平滑な加熱面501に接触した状態で搬送される。そのため、湿紙Wの裏面には、抄紙ベルト41との接触により、抄紙ベルト41の網目の凹凸が転写されるが、乾燥部5において湿紙Wの裏面が平滑な加熱面501に接触した状態で加熱されることにより、湿紙Wの裏面の凹凸が低減される。したがって、抄紙ベルト41の網目模様が紙に形成されることを抑制することができる。
【0146】
また、湿紙Wの前端の受取り部53における湿紙Wの進行方向上流側と、加熱搬送体50の受取り部53における湿紙搬送方向下流側とのなす角Aが、90度以上に設定されているので、湿紙Wの前端が折れ曲がって搬送不良となることを防止できる。したがって、抄紙ベルト41から剥離された湿紙Wを乾燥部5で効率よく受け取って搬送することができる。
【0147】
また、上記各実施形態に係る製紙装置と同様の構成により得られる効果は、本実施形態においても上記各実施形態と同じである。
【0148】
<第4実施形態>
図10に基づいて、第4実施形態に係る製紙装置について、上記各実施形態と異なる構成を中心に説明する。なお、上記各実施形態と同じ構成の部品及び部分については、同じ符号を付してある。図10は、本実施形態に係る抄紙部4及び乾燥部5の正面図である。
【0149】
図10に示すように、本実施形態では、加熱搬送体50が支持ローラ40aの下方に設けられている。すなわち、加熱搬送体50は、支持ローラ40よりも低い位置に設けられている。
【0150】
挟持用ベルト52は、駆動手段(図示省略)により矢印X6が示す走行方向に駆動走行する。また、加熱搬送体50は、挟持用ベルト52の走行に伴い、矢印X7が示す回転方向に従動回転する。
【0151】
本実施形態における支持ローラ40aは、対向ローラ441よりも低い位置に設けられている。したがって、抄紙往路410は、ヘッドボックス42から湿紙搬送方向の下流側を見たときに、脱水部44から支持ローラ40aに到達するまでの抄紙往路410が、脱水部44に到達するまでの抄紙往路410に対して、下向きに傾斜している。
【0152】
また、抄紙動作において、抄紙ベルト41から落下する白水などの液体が、乾燥部5に付着しないように、該液体を白水タンク46に誘導する誘導板(図示省略)を設ける。誘導板は、抄紙ベルト41と乾燥部5との間に設けられる。
【0153】
抄紙ベルト41から剥離された湿紙Wの前端は、受渡し部Sにおいて、図10の実線で示す状態から、一点鎖線で示すW1の状態になるように偏向する。一点鎖線で示すW1の状態の湿紙Wの前端は、加熱搬送体50で受け取られる。受取り部53は、挟持搬送部55の湿紙搬送方向の上流側において従動回転する加熱搬送体50の加熱面501により構成されている。
【0154】
加熱搬送体50が、支持ローラ40よりも低い位置に設けられているため、受取り部53は、抄紙ベルト41と湿紙Wとの最終接触位置Eよりも低い位置に設けられる。
【0155】
また、本実施形態の加熱搬送体50は、上記第3実施形態と同様に、加熱面501が湿紙Wの抄紙ベルト41との接触面に接触するように設けられている。
【0156】
図10に示すように、一点鎖線で示すW1の状態に偏向した湿紙Wの前端の、受取り部53における湿紙Wの進行方向上流側と、加熱搬送体50の受取り部53における湿紙搬送方向下流側とによって形成される角Aは、180度未満の鈍角となるように設定されている。
【0157】
湿紙Wの前端の受取り部53における湿紙Wの進行方向上流側は、受取り部53から湿紙搬送方向上流側(図10において受取り部の左上側)に位置する湿紙Wの裏面により示される。また、加熱搬送体50の受取り部53における湿紙搬送方向下流側は、図10において受取り部53の右側に引かれた、受取り部53を接点とする加熱面501における接線により示される。
【0158】
上記各実施形態における湿紙検知手段54と同様に、本実施形態においても湿紙検知手段を備えるが、図10において図示を省略している。本実施形態における湿紙検知手段は、図10に示すように水平よりも下向きに傾斜した湿紙Wを、検知するように設けられている。
【0159】
本実施形態の製紙装置によれば、加熱搬送体50は、受取り部53を有し、受取り部53は、抄紙ベルト41と湿紙Wとの最終接触位置Eよりも低い位置に設けられているので、自重により垂れ下がろうとする湿紙Wを、容易に受取り部53で受け取ることができ、湿紙Wの乾燥部5への受渡しミスを抑制できる。したがって、抄紙ベルト41から剥離された湿紙Wを乾燥部5に容易に受け渡すことができる。
【0160】
また、湿紙Wの前端の受取り部53における湿紙Wの進行方向上流側と、加熱搬送体50の受取り部53における湿紙搬送方向下流側とのなす角Aが、90度以上に設定されているので、湿紙Wの前端が折れ曲がって搬送不良となることを防止できる。したがって、抄紙ベルト41から剥離された湿紙Wを乾燥部5で効率よく受け取って搬送することができる。また、受取り部53が抄紙ベルト41と湿紙Wとの最終接触位置Eよりも低い位置に設けられているので、自重により垂れ下がろうとする湿紙Wを、容易に受取り部53で受け取ることができ、湿紙Wの乾燥部5への受渡しミスを抑制できる。したがって、抄紙ベルト41から剥離された湿紙Wを乾燥部5に容易に受け渡すことができる。
【0161】
また、上記各実施形態に係る製紙装置と同様の構成により得られる効果は、本実施形態においても上記各実施形態と同じである。
【0162】
<他の実施形態>
上記各実施形態においては、制御部7のカウンタで経過時間をカウントすることより、湿紙Wの到達位置や搬送距離を判断していたが、経過時間のカウントに代えて、抄紙ベルト41及び挟持用ベルトを駆動走行させ各駆動手段の回転パルス数をカウントすることにより、湿紙Wの到達位置や搬送距離を判断するようにしてもよい。
【0163】
本発明は、上記各実施形態で説明した構成には限定されず、特許請求の範囲に記載した内容を逸脱することなく、当業者が考え得る各種形態を含むことができる。
【符号の説明】
【0164】
1 製紙装置
4 抄紙部
5 乾燥部
7 制御部
40,40a 支持ローラ
41 抄紙ベルト
44 脱水部
45 剥離部
50 加熱搬送体
51,51a,51b 架設支持ローラ
52 挟持用ベルト
53 受取り部
54 湿紙検知手段
55 挟持搬送部
410 抄紙往路
410a 湾曲走行部
411 抄紙復路
440 押圧ローラ
441 対向ローラ
450 剥離地点
501 加熱面
520 乾燥往路
521 乾燥復路
530 受取り地点
540 発光センサ
541 受光センサ
A 角
E 最終接触位置
R 曲率半径
S 受渡し部
T 湿紙前端厚さ
W 湿紙
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10