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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-186618(P2018-186618A)
(43)【公開日】2018年11月22日
(54)【発明の名称】回転電機およびその回転子
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/32 20060101AFI20181026BHJP
   H02K 1/20 20060101ALI20181026BHJP
   H02K 9/06 20060101ALI20181026BHJP
【FI】
   H02K1/32 A
   H02K1/32 C
   H02K1/20 D
   H02K9/06 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-86189(P2017-86189)
(22)【出願日】2017年4月25日
(71)【出願人】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】特許業務法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西村 孔三
【テーマコード(参考)】
5H601
5H609
【Fターム(参考)】
5H601AA07
5H601AA16
5H601CC19
5H601DD01
5H601DD09
5H601DD11
5H601DD25
5H601DD29
5H601DD30
5H601EE19
5H601FF04
5H601FF17
5H601GA03
5H601GA13
5H601GC02
5H601GC12
5H601GC25
5H601GE01
5H601GE04
5H601GE15
5H609BB02
5H609BB18
5H609PP02
5H609PP06
5H609PP07
5H609QQ02
5H609QQ13
5H609QQ14
5H609RR02
5H609RR27
5H609RR33
5H609RR40
5H609RR42
5H609RR52
(57)【要約】
【課題】回転電機の機内の冷却を効果的に行う。
【解決手段】回転電機は、軸方向に延びて回転可能に支持されたロータシャフトと、その径方向外側に設けられて軸方向に積層された複数の回転子鉄心用電磁鋼板14を具備する円筒形状の回転子鉄心12とを有する回転子と、固定子鉄心と固定子巻線とを有する固定子と、結合側軸受および反結合側軸受とを備える。回転子鉄心用電磁鋼板14のそれぞれは、楕円形であり、回転子鉄心12は、互いに隣接し互いの周方向の円周角ピッチが所定の角度となりそれぞれが少なくとも1枚の回転子鉄心用電磁鋼板14を有する電磁鋼板ユニットを複数有し、電磁鋼板ユニットは、軸方向にみて、周方向の一方向にらせん状に形成されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に延びて回転可能に支持されたロータシャフトと、前記ロータシャフトの径方向外側に設けられて軸方向に積層された複数の回転子鉄心用電磁鋼板を具備する円筒形状の回転子鉄心と、を有する回転子と、
前記回転子鉄心の径方向外側に設けられて軸方向に積層された複数の電磁鋼板を有する複数の積層構造体を具備し互いに隣接する前記積層構造体間には径方向外側への冷却用気体の流路となる固定子ダクトが形成された円筒状の固定子鉄心と、前記固定子鉄心の径方向内側部分を軸方向に貫通する固定子巻線とを有する固定子と、
前記回転子鉄心を挟んで軸方向の前記ロータシャフトの両側のそれぞれで前記ロータシャフトを支持する結合側軸受および反結合側軸受と、
を備える回転電機であって、
前記複数の回転子鉄心用電磁鋼板のそれぞれは、楕円形であり、
前記回転子鉄心は、互いに隣接し互いの周方向の円周角ピッチが所定の角度となりそれぞれが少なくとも1枚の回転子鉄心用電磁鋼板を有する電磁鋼板ユニットを複数有し、前記電磁鋼板ユニットは、軸方向にみて、周方向の一方向にらせん状に形成されていることを特徴とする回転電機。
【請求項2】
前記回転子は、回転子巻線をさらに具備し、
前記複数の回転子鉄心用電磁鋼板のそれぞれの径方向外側表面近傍には、前記回転子巻線が軸方向に貫通する複数のスロットが周方向に互いに等しい角度間隔をもって形成され、
前記所定の角度は、前記角度間隔の整数倍であることを特徴とする請求項1に記載の回転電機。
【請求項3】
軸方向に積層された前記複数の回転子鉄心用電磁鋼板には、軸方向に間隔をあけて、互いに隣接する2つの回転子鉄心用電磁鋼板の間の間隔を保持する回転子ダクトが形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の回転電機。
【請求項4】
回転電機の回転子であって、
軸方向に延びて回転可能に支持されたロータシャフトと、
前記ロータシャフトの径方向外側に設けられて軸方向に積層された複数の回転子鉄心用電磁鋼板を具備する円筒形状の回転子鉄心と、
を備え、
前記複数の回転子鉄心用電磁鋼板のそれぞれは、楕円形であり、軸方向に互いに隣接しそれぞれが少なくとも1枚の回転子鉄心用電磁鋼板を有する電磁鋼板ユニットどうしの周方向の円周角ピッチは所定の角度またはゼロであることを特徴とする回転子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機およびその回転子に関する。
【背景技術】
【0002】
回転電機は、回転子と固定子とを備えている。回転子は、通常、回転軸回りを回転するロータシャフトと、そのロータシャフトの径方向外側に設けられた回転子鉄心とを有する。また、固定子は、強磁性体の鋼板を軸方向に積層した円筒形状の固定子鉄心と、この固定子鉄心に形成されたティースに巻回された固定子コイルを有する。回転子鉄心および固定子鉄心には、磁束を効果的に通過させられるように、一定の領域の磁路が確保されている。
【0003】
たとえば、誘導式回転電機においては、回転子に生ずる渦電流による鉄損を低減するために、通常、回転子鉄心が電磁鋼板を積層した構造となっている。また、巻線型の誘導式回転電機の場合は、回転子にも回転子巻線が設けられている。
【0004】
負荷運転時には、回転電機の機内においては、固定子巻線および回転子巻線では主に銅損が発生し、また固定子鉄心および回転子鉄心においては主に鉄損が発生する。このように固定子および回転子において生ずる鉄損および銅損による発熱による固定子巻線や回転子巻線等の温度上昇から固定子および回転子を保護するために、これらを冷却する必要がある。
【0005】
このため、たとえば、ロータシャフトに取り付けた内扇により、空気などの冷却用気体を強制的に循環させ、冷却用気体により固定子および回転子を冷却している。また、固定子鉄心内に冷却用気体の流路を設けて、冷却用気体による冷却機能を高めている。さらには回転子鉄心内にも冷却用気体の流路を設けて、冷却用気体による冷却機能を高めている技術が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−253015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
回転電機において、冷却用気体の機内の循環機能を向上させるために、内扇を大きくすること、あるいは、回転子および固定子内の流路を広げることは、大きな効果を有するが、以下のように、いずれも回転電機のサイズアップをもたらす。
【0008】
内扇は、通常、固定子巻線の端部(固定子巻線の固定子鉄心の軸方向外側部分)の軸方向の先端より軸方向内側に配されていることが多い。すなわち、固定子巻線の端部の径方向内側に配されることになる。ここで、内扇の容量増大を図ろうとすると、径方向の寸法を増大させる必要があり、固定子巻線の端部との干渉回避という制約がある。内扇を固定子巻線の端部よりも軸方向の外側に配すれば、内扇の径を大きくすることはできるが、ロータシャフトの軸長を長くする結果となる。
【0009】
また、回転子および固定子内の流路は、通常、回転子および固定子それぞれの積層板の間に軸方向に間隙を設けることにより行われる。このため、回転子および固定子内の流路を広げることは、ロータシャフトの軸長を長くする結果となる。
【0010】
そこで、本発明は、回転電機のサイズへの影響を最小限に抑えながら機内の冷却を効果的に行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の目的を達成するため、本発明は、軸方向に延びて回転可能に支持されたロータシャフトと、前記ロータシャフトの径方向外側に設けられて軸方向に積層された複数の回転子鉄心用電磁鋼板を具備する円筒形状の回転子鉄心と、を有する回転子と、前記回転子鉄心の径方向外側に設けられて軸方向に積層された複数の電磁鋼板を有する複数の積層構造体を具備し互いに隣接する前記積層構造体間には径方向外側への冷却用気体の流路となる固定子ダクトが形成された円筒状の固定子鉄心と、前記固定子鉄心の径方向内側部分を軸方向に貫通する固定子巻線とを有する固定子と、前記回転子鉄心を挟んで軸方向の前記ロータシャフトの両側のそれぞれで前記ロータシャフトを支持する結合側軸受および反結合側軸受と、を備える回転電機であって、前記複数の回転子鉄心用電磁鋼板のそれぞれは、楕円形であり、前記回転子鉄心は、互いに隣接し互いの周方向の円周角ピッチが所定の角度となりそれぞれが少なくとも1枚の回転子鉄心用電磁鋼板を有する電磁鋼板ユニットを複数有し、前記電磁鋼板ユニットは、軸方向にみて、周方向の一方向にらせん状に形成されていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、回転電機の回転子であって、軸方向に延びて回転可能に支持されたロータシャフトと、前記ロータシャフトの径方向外側に設けられて軸方向に積層された複数の回転子鉄心用電磁鋼板を具備する円筒形状の回転子鉄心と、を備え、前記複数の回転子鉄心用電磁鋼板のそれぞれは、楕円形であり、軸方向に互いに隣接しそれぞれが少なくとも1枚の回転子鉄心用電磁鋼板を有する電磁鋼板ユニットどうしの周方向の円周角ピッチは所定の角度またはゼロであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、回転電機のサイズへの影響を最小限に抑えながら機内の冷却を効果的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1の実施形態に係る回転電機の構成を示す回転軸に沿った立断面図である。
図2】第1の実施形態に係る回転電機の回転子鉄心および固定子鉄心の構成を示す回転軸に沿った縦断面図である。
図3】第1の実施形態に係る回転電機の回転子鉄心の構成要素である回転子鉄心用電磁鋼板を示す正面図である。
図4】第1の実施形態に係る回転電機の回転子鉄心の構成要素である回転子鉄心用電磁鋼板の積層の概念図である。
図5】第2の実施形態に係る回転電機の回転子鉄心の構成要素である回転子鉄心用電磁鋼板の積層の概念図である。
図6】第2の実施形態に係る回転電機の回転子鉄心の構成要素である電磁鋼板ユニットの相互の関係を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る回転電機およびその回転子について説明する。ここで、互いに同一または類似の部分には、共通の符号を付して、重複説明は省略する。
【0016】
[第1の実施形態]
本実施形態では、回転電機が、全閉外扇式の誘導式回転電機の場合を例にとって説明する。図1は、第1の実施形態に係る回転電機の構成を示す回転軸に沿った立断面図である。回転電機100は、回転子10、固定子20、およびフレーム40を有する。
【0017】
回転子10は、回転軸方向に水平に延びたロータシャフト11、回転子鉄心12、および回転子鉄心12内を貫通する回転子巻線17を有する。
【0018】
ロータシャフト11の一端には、駆動対象あるいは原動機などの結合対象との結合のためのカップリング部11aが形成されている。以下、回転軸方向(「軸方向」)に、カップリング部11a側を結合側、その反対側を反結合側と呼ぶ。ロータシャフト11は、両端を、反結合側軸受30aおよび結合側軸受30bにより回転可能に支持されている。ロータシャフト11には、軸方向に、回転子鉄心12と反結合側軸受30aとの間に内扇51aが、また、回転子鉄心12と結合側軸受30bとの間に内扇51bが取り付けられている。
【0019】
回転子鉄心12は、ロータシャフト11の径方向外側に設けられ円筒状である。回転子鉄心12の径方向外側表面近傍には、軸方向に貫通し、周方向に互いに間隔をもって、複数の回転子鉄心スロット12a(図3)が形成されている。
【0020】
回転子巻線17は、たとえば界磁用の巻線であり、回転子巻線17を構成する複数の回転子巻線用導体(図示せず)は、複数の回転子鉄心スロット12aのそれぞれを貫通する。回転子巻線用導体は、回転子鉄心12の軸方向の外側で、互いに結合し、あるいは回転子巻線17の外部と電気的に結合する。
【0021】
固定子20は、ギャップ18を介して回転子鉄心12の径方向外側に設けられた円筒状の固定子鉄心21、および固定子鉄心21の径方向内側表面近傍を回転軸方向に貫通する固定子巻線22を有する。固定子鉄心21は、軸方向に積層された構造体を有する。
【0022】
フレーム40は、固定子20および回転子鉄心12を収納するように、これらの径方向外側を囲んでいる。フレーム40の回転軸方向の両側には、反結合側軸受ブラケット45aおよび結合側軸受ブラケット45bが設けられており、それぞれ反結合側軸受30aおよび結合側軸受30bを固定支持している。
【0023】
フレーム40の上部には、冷却器60が設けられている。冷却器60は、複数の冷却管61、端板62aおよび62b、ガイド板66aおよび66b、および冷却管61を収納する冷却器カバー63を有する。
【0024】
冷却管61は、軸方向延びて、互いに平行に配されており、両端が端板62a、62bを貫通し、端板62a、62bにより固定支持されている。それぞれの冷却管61の両端は開口している。ガイド板66aおよび66bは、冷却管61をその長手方向の中間で支持するとともに、冷却器60内を通過する内気、すなわちフレーム40内の各部を冷却する冷却用気体の流れのガイドとして設けられている。
【0025】
ロータシャフト11の反結合側の端部近傍には、当該回転電機100を自ら冷却するために、外扇55が設けられている。フレーム40および端板62aには、外扇55を覆うように外扇カバー56が取り付けられている。外扇カバー56には、外気の取り入れ口である流入口56aが形成されている。冷却器カバー63内の雰囲気は、それぞれの冷却管61の内部に連通している。
【0026】
フレーム40、反結合側軸受ブラケット45a、結合側軸受ブラケット45b、冷却器カバー63、および端板62a、62bは、互いに相俟って閉空間40aを形成する。また、冷却器60においては、冷却管61も閉空間40aを形成する要素であり、冷却管61の外側が閉空間40aの一部となっている。閉空間40aを構成するフレーム40内の空間と冷却器カバー63内の空間とは、冷却器入口開口64および冷却器出口開口65a、65bで連通している。
【0027】
閉空間40a内は、たとえば空気などの冷却用気体が満たされている。冷却用気体は、内扇51a、51bに駆動されて、閉空間40a内を循環する。内扇51a、51bにより駆動された冷却用気体は、軸方向の両側から回転子鉄心12および固定子20に流入する。
【0028】
回転子鉄心12および固定子20を通過してこれらを冷却した冷却用気体は、固定子鉄心21の径方向外側に流出し、冷却器入口開口64を経由して、冷却器60に流入する。冷却器60に流入した冷却用気体は、ガイド板66aとガイド板66bとの間を、複数の冷却管61の外表面で冷却されながら上部連通空間67まで上昇する。冷却用気体は、上部連通空間67で方向を転換して反結合側と結合側の2方向に分離する。
【0029】
反結合側の方向に方向転換した冷却用気体は、下方に方向転換し、ガイド板66aと端板62aの間の複数の冷却管61の外表面で冷却されながら、冷却管61の外側を下降し、その後、冷却器出口開口65aを経由して冷却器60から流出する。冷却器60から流出した冷却用気体は、フレーム40内に流入し、内扇51aに流入する。
【0030】
結合側の方向に方向転換した冷却用気体は、下方に方向転換し、ガイド板66bと端板62bの間の複数の冷却管61の外表面で冷却されながら、冷却管61の外側を下降し、その後、冷却器出口開口65bを経由して冷却器60から流出する。冷却器60から流出した冷却用気体は、フレーム40内に流入し、内扇51bに流入する。
【0031】
図2は、回転子鉄心および固定子鉄心の構成を示す回転軸に沿った立断面図である。なお、回転子巻線17および固定子巻線22の図示は省略している。
【0032】
回転子鉄心12は、軸方向に積層された、強磁性体であるたとえばケイ素鋼板などの複数の回転子鉄心用電磁鋼板14を有する。回転子鉄心12の軸方向には、互いに間隔をおいて、軸方向に間隙を有する複数の回転子ダクト13が形成されている。それぞれの回転子ダクト13は、たとえばスペーサ(図示せず)により互いに隣接する回転子鉄心用電磁鋼板14の相互の間隔が維持されている。それぞれの回転子ダクト13においては、互いに隣接する回転子鉄心用電磁鋼板14およびスペーサ等によって、径方向の内側から外側に向かう冷却用気体の流路が形成されている。
【0033】
ロータシャフト11の表面には、軸方向に、回転子鉄心12の軸方向外側まで延びた冷却用気体の軸方向流路11bが形成されている。この軸方向流路11bは、回転子鉄心12の軸方向外側の空間と回転子ダクト13間を連通する。
【0034】
ギャップ18を挟んで、回転子鉄心12の径方向外側には、中空円筒状の固定子鉄心21が配されている。固定子鉄心21は、強磁性体であるたとえばケイ素鋼板などの複数の電磁鋼板が軸方向に積層されて1つのグループを構成する複数の積層構造体23を有する。積層構造体23を構成する電磁鋼板は、中央に回転子が貫通する円形の開口が形成された孔明き円板である。
【0035】
互いに隣接する積層構造体23は、軸方向に間隙を有する空間である固定子ダクト24を形成する。それぞれの固定子ダクト24は、たとえばスペーサ(図示せず)により間隙寸法が維持されている。固定子ダクト24は、固定子鉄心21の軸方向に互いに間隔をもって形成されている。固定子ダクト24は、ギャップ18に流入した冷却用気体、あるいは回転子鉄心12から径方向外側に流出した冷却用気体が、径方向内側から径方向外側に流れる流路となる。
【0036】
図3は、回転子鉄心の構成要素である回転子鉄心用電磁鋼板を示す正面図である。
【0037】
回転子鉄心12の構成要素であるそれぞれの回転子鉄心用電磁鋼板14は、完全な円板形状ではなく、楕円形状である。回転子鉄心用電磁鋼板14を正面に見て、最大径La側を通る回転子鉄心用電磁鋼板14の直線を長軸LL、最小径Lb側を通る直線を短軸SSとし、その交点を中心点Cとする。最大径La>最小径Lbである。
【0038】
ここで、最大径Laは、固定子鉄心21の径方向内側表面の径、すなわち内径Di(図4)より、所定の値δr1(図4)の2倍だけ小さく形成されている。ここで、所定の値δr1は、固定子鉄心21の孔明け、積層等に伴う製作誤差、回転子鉄心用電磁鋼板14の加工、積層等に伴う製作誤差、回転電機100の組み立て誤差、運転中の各部の変形等を考慮した必要な値より大きな値に設定する。
【0039】
また、最小径Lbは、内径Diより、所定の値δr2(図4)の2倍だけ小さく形成されている。所定の値δr2は、回転子巻線17により生成される磁束の回転子鉄心12への浸透、回転子巻線17により生成される磁束の固定子鉄心21への浸透を確保するために必要な固定子鉄心21と回転子鉄心12との近接の程度の確保をさらに考慮した最大寸法よりも小さな値に設定する。なお、この近接の程度の条件は、図4で説明するような回転子鉄心用電磁鋼板14が積層された回転子鉄心12全体と、固定子鉄心21の全体の体系に基づいて設定することが好ましい。
【0040】
回転子鉄心用電磁鋼板14の中央には、ロータシャフト貫通用孔14bが形成されている。ロータシャフト貫通用孔14bは、円形であり、ロータシャフト11の外径に対応している。この結果、すべての回転子鉄心用電磁鋼板14について、ロータシャフト貫通用孔14bの中心は、中心点Cに一致する。また、回転子鉄心用電磁鋼板14の重心も、中心点Cに一致する。
【0041】
回転子鉄心用電磁鋼板14の径方向外側部には、複数の回転子鉄心スロット用孔14aが形成されている。回転子鉄心スロット用孔14aは、周方向に互いに等間隔に配されている。すなわち、互いに隣接する回転子鉄心スロット用孔14aの周方向の中心線どうしが形成する円周角θは、いずれの箇所でも等しい。
【0042】
それぞれの回転子鉄心スロット用孔14aの最も中心点Cに近い部分の包絡線は、楕円ではなく、半径rの円C1である。この結果、たとえば、最大径La側を通る回転子鉄心スロット用孔14aの深さ、すなわち径方向の長さDLは、最小径Lb側を通る回転子鉄心スロット用孔14aの深さ、すなわち径方向の長さDSよりも、長くなるように形成されている。
【0043】
図4は、回転子鉄心用電磁鋼板の積層の概念図である。なお、説明のために、回転子鉄心用電磁鋼板14の図3に示した最大径Laを最小径Lbより極端に長く見えるように誇張して表示している。また、図が錯綜するため、回転子鉄心用電磁鋼板14の回転子鉄心スロット用孔14aの表示を省略し、回転子鉄心用電磁鋼板14を楕円形のみで表示している。
【0044】
LL1、LL2、LL3、LL4,およびLL5は、それぞれ回転子鉄心用電磁鋼板14の長軸LLの方向、すなわち周方向の角度位置を示す。
【0045】
図4に示すように、積層されて互いに軸方向に隣接する回転子鉄心用電磁鋼板14は、互いに長軸LLの方向、すなわちLL1、LL2、LL3、LL4,およびLL5の方向が、順次、円周角ピッチΦ1だけずれている。また、軸方向に見た場合の長軸LLの方向のずれは、一方向である。図4の場合は、軸方向に図4の奥方向になるにつれて、時計方向にずれていく場合を示しているが、反対に、反時計方向にずれる場合でもよい。
【0046】
ここで、円周角ピッチΦ1は、互いに隣接する回転子鉄心スロット用孔14aどうしが形成する円周角θの整数倍である。したがって、長軸LLの方向が円周角ピッチΦ1だけずれても、回転子鉄心スロット用孔14aの周方向の位置は、軸方向に積層されたいずれの回転子鉄心用電磁鋼板14においても重なっている。
【0047】
また、いずれの回転子鉄心スロット用孔14a(図3)においても、径方向最内部の中心からの距離はrであり、回転子巻線17を構成する導体が貫通する断面が確保されている。この結果、回転子鉄心用電磁鋼板14が積層された回転子鉄心12において、回転子鉄心スロット用孔14a(図3)が形成される。
【0048】
以上のように構成された本実施形態における回転子鉄心12においては、回転子鉄心用電磁鋼板14の長軸LLの周方向の角度位置が、軸方向に順次ずれている。このずれは、周方向に一方向である。固定子鉄心21の内面との距離は、図4に示すように、長軸LLの方向ではδr1、短軸SSの方向ではδr2(<δr1)である。このため、回転子鉄心12がロータシャフト11の回転とともに回転すると、内気、すなわち冷却用気体を撹拌しながら径方向に駆動する効果、すなわち回転子鉄心12のファン効果をもたらす。
【0049】
図2に示すように、冷却用気体は、回転子鉄心12および固定子鉄心21の軸方向の外側から、ロータシャフト11に形成された軸方向流路11b、および回転子鉄心12と固定子鉄心21間のギャップ18に、それぞれ流入する。
【0050】
軸方向流路11bに流入した冷却用気体は、回転子10を冷却しながら軸方向に移動した後に、回転子ダクト13に流入し、径方向の外側に流れ、ギャップ18に流出する。回転子鉄心12からギャップに流出した冷却用気体、およびギャップ18に直接流入した冷却用気体は、固定子鉄心21に形成された固定子ダクト24に流入し、固定子20を冷却しながら径方向外側に移動し固定子鉄心21から流出する。
【0051】
この際、回転子鉄心12のファン効果により、冷却用気体の径方向外側への流れは、加速される。以上のように、本発明によれば、回転電機の機内の冷却を効果的に行うことができる。
【0052】
[第2の実施形態]
図5は、第2の実施形態に係る回転子鉄心の構成要素である回転子鉄心用電磁鋼板の積層の概念図である。本実施形態は、第1の実施形態の変形である。
【0053】
本第2の実施形態における回転子鉄心12は、複数の電磁鋼板ユニット15を有する。それぞれの電磁鋼板ユニット15は、1枚ないし所定の積層数の回転子鉄心用電磁鋼板14を有する。それぞれの電磁鋼板ユニット15においては、回転子鉄心用電磁鋼板14の長軸LLの周方向の角度位置は、すべて同一である。図5では、3つの電磁鋼板ユニット15のみを示し、他の表示を省略している。
【0054】
図6は、電磁鋼板ユニットの相互の関係を示す概念図である。回転子鉄心12を軸方向に見た場合の、最初の電磁鋼板ユニット15の長軸LL1、第2の電磁鋼板ユニット15の長軸LL2、および第3の電磁鋼板ユニット15の長軸LL3それぞれの方向は、順次、円周角ピッチΦ2だけずれている。すなわち、積層されて互いに軸方向に隣接する電磁鋼板ユニット15は、互いに長軸LLの方向が円周角ピッチΦ2だけずれている。図6では、長軸LLの方向のずれは、一方向である場合を示している。
【0055】
したがって、回転子鉄心12の径方向の表面は、スパイラル状の突起が形成されることになる。このスパイラル状の突起のピッチ、すなわち、長軸LLの方向の角度位置が円周方向に1周するときの軸方向の位置間隔は、電磁鋼板ユニット15が有する回転子鉄心用電磁鋼板14の所定の積層数と、電磁鋼板ユニット15の円周角上のピッチである円周角ピッチΦ2とにより決定される。回転子鉄心用電磁鋼板14の所定の積層数と、電磁鋼板ユニット15の円周角上のピッチである円周角ピッチΦ2は、回転子鉄心12のファン効果が最も有効となるような数で設定される。
【0056】
スパイラル状の突起による冷却用気体の撹拌効果と回転子ダクト13からギャップ18に流出する冷却用気体の遠心力とから、冷却用気体への径方向の駆動力が生ずる。
【0057】
一方、スパイラル状の突起による軸方向についての冷却用気体の駆動力は、スパイラル状の突起の形成方向、すなわちたとえば右ねじの方向か左ねじの方向かという点、および回転子鉄心12の回転方向とにより決定される。
【0058】
したがって、図1に示すような、軸流ファンが回転子鉄心12の両側に設けられている場合は、スパイラル状の突起の形成方向は、回転子鉄心12の中央で2分した両側で、反対方向となるように形成する。この結果、ギャップ18において、回転子鉄心12の軸方向の両外側から回転子鉄心12の軸方向の中央に向かって冷却用気体を駆動するファン効果が生ずる。
【0059】
一方、遠心ファンが回転子鉄心12の両側に設けられている場合は、軸流ファンの場合と、それぞれ逆方向に形成する。この結果、ギャップ18において、回転子鉄心12の軸方向の中央から回転子鉄心12の軸方向の両外側に向かって冷却用気体を駆動するファン効果が生ずる。
【0060】
また、軸流ファンまたは遠心ファンが、回転子鉄心の一方のみに設けられている場合は、スパイラル状の突起の形成方向は、回転子鉄心12の軸方向全体にわたり一方向となるように形成する。この結果、ギャップ18において、回転子鉄心12の軸方向の一方の外側から回転子鉄心12の反対側に向かって冷却用気体を駆動するファン効果が生ずる。
【0061】
なお、以上の説明では、全ての電磁鋼板ユニット15について、回転子鉄心用電磁鋼板14の所定の積層数が同一である場合を示したが、これに限定されない。すなわち、軸方向に、所定の積層数を変化させてもよい。
【0062】
このように、それぞれの電磁鋼板ユニット15について回転子鉄心用電磁鋼板14の所定の積層数を変化させ、あるいはスパイラル状の突起の形成方向を選択することにより、冷却用気体の流れを好ましい方向に加速することができる。
【0063】
[その他の実施形態]
以上、本発明の実施形態を説明したが、実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。たとえば、実施形態では、横置き型の誘導式回転電機の場合を示したが、これに限定されない。たとえば、縦置き型の場合であってもよい。また、誘導式回転電機ではなく、同期回転電機であってもよい。また、実施形態では、全閉形の回転電機の場合を例にとって示したが、これに限定されない。開放型の回転電機の場合であってもよい。すなわち、本発明は、回転子鉄心と固定子鉄心とに挟まれたアニュラス状の空間において、回転子鉄心の回転により生ずるファン効果をもたらすものであり、この点では、これらの形式等の違いには依存しないためである。
【0064】
さらに、実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0065】
10…回転子、11…ロータシャフト、11a…カップリング部、11b…軸方向流路、12…回転子鉄心、12a…回転子鉄心スロット、13…回転子ダクト、14…回転子鉄心用電磁鋼板、14a…回転子鉄心スロット用孔、14b…ロータシャフト貫通用孔、15…電磁鋼板ユニット、17…回転子巻線、18…ギャップ、20…固定子、21…固定子鉄心、22…固定子巻線,23…積層構造体、24…固定子ダクト、30a…反結合側軸受、30b…結合側軸受、40…フレーム、40a…閉空間、45a…反結合側軸受ブラケット、45b…結合側軸受ブラケット、51a、51b…内扇、55…外扇、56…外扇カバー、56a…流入口、60…冷却器、61…冷却管、62a、62b…端板、63…冷却器カバー、64…冷却器入口開口、65a、65b…冷却器出口開口、66a、66b…ガイド板、67…上部連通空間、100…回転電機
図1
図2
図3
図4
図5
図6