特開2018-193501(P2018-193501A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-193501(P2018-193501A)
(43)【公開日】2018年12月6日
(54)【発明の名称】ポリオレフィン材料
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/00 20060101AFI20181109BHJP
   C08K 5/098 20060101ALI20181109BHJP
   C08K 5/523 20060101ALI20181109BHJP
【FI】
   C08L23/00
   C08K5/098
   C08K5/523
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-99708(P2017-99708)
(22)【出願日】2017年5月19日
(71)【出願人】
【識別番号】000000387
【氏名又は名称】株式会社ADEKA
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(72)【発明者】
【氏名】横山 亮
(72)【発明者】
【氏名】山脇 和馬
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002BB031
4J002BB041
4J002BB061
4J002BB071
4J002BB121
4J002BB151
4J002BB171
4J002BE031
4J002BP021
4J002EG037
4J002EG106
4J002EL106
4J002EL136
4J002EW046
4J002FD050
4J002FD070
4J002FD090
4J002FD100
4J002FD130
4J002FD170
4J002FD206
4J002FD207
4J002GC00
4J002GG01
4J002GN00
4J002GQ00
(57)【要約】
【課題】高光沢で、かつ表面粗さが少ないポリオレフィン材料を提供すること。
【解決手段】ポリオレフィン樹脂100質量部に対し、核剤が、0.02〜0.2質量部、脂肪酸カルシウム塩が、0.03〜0.2質量部含有することを特徴とするオレフィン樹脂組成物を用いてなる、ポリオレフィン材料。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィン樹脂100質量部に対し、核剤が、0.02〜0.2質量部、脂肪酸カルシウム塩が、0.03〜0.2質量部含有することを特徴とするオレフィン樹脂組成物を用いてなる、ポリオレフィン材料。
【請求項2】
表面粗さSaが、1μm以下であることを特徴とする請求項1に記載のポリオレフィン材料。
【請求項3】
核剤が、式(1)で表される化合物を含有するものである請求項1に記載のポリオレフィン材料。
【化1】
(式(1)中、R〜Rは各々独立に、水素原子または炭素原子数1〜9の直鎖または分岐を有するアルキル基を表し、Rは、炭素原子数1〜4のアルキリデン基を表す。)
【請求項4】
核剤が、式(2)で表される化合物を含有するものである請求項2に記載のポリオレフィン材料。
【化2】
(式(2)中、M、Mは、それぞれ独立して、ナトリウム、リチウム、カリウム、または、MとMが連結して、カルシウム、亜鉛、マグネシウムを表し、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数2〜10のアルケニル基を表し、アルキル基またはアルコキシ基の炭素鎖は、カルボニル基または酸素原子で中断されていてもよく、不飽和結合を有するものであってもよく、二つのビシナルアルキル基は、一緒になって6個までの炭素水素環を形成してもよい。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料用カップ、食品包装容器など透明材料でかつ高光沢であることが求められる用途に好適なポリオレフィン材料に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリオレフィン材料は、透明性や成形加工性が良好であり、かつ安価であるので、食品包装材料、各種物品の表面保護シートなど、種々の用途で広く使用されている。
【0003】
ポリオレフィンは、核剤を添加することによって、ポリオレフィン樹脂の成形加工時の結晶化を制御することが知られている。一般に、結晶化されたポリオレフィン樹脂は、成形加工サイクルが短縮したり、ポリオレフィン樹脂の成形品の透明性が改善されたり、耐熱性や物理的特性が向上する等の利点が得られる。
【0004】
ポリオレフィン系樹脂の結晶化作用を促進させる結晶核剤としては、例えば、安息香酸ナトリウム、4−tert−ブチル安息香酸アルミニウム塩、アジピン酸ナトリウムおよび 2ナトリウムビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボキシレート等のカルボン酸金属塩、ナトリウムビス(4−tert−ブチルフェニル)ホスフェート、ナトリウム−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフェート、リチウム−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフェート等のリン酸エステル化合物、ジベンジリデンソルビトール、ビス(メチルベンジリデン)ソルビトール、ビス(3,4−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、ビス(p−エチルベンジリデン)ソルビトール、およびビス(ジメチルベンジリデン)ソルビトール等の多価アルコール誘導体、N,N’,N”−トリス[2−メチルシクロヘキシル]−1, 2,3−プロパントリカルボキサミド、N,N’,N”−トリシクロヘキシル−1,3,5−ベンゼントリカルボキサミド、N,N’−ジシクロヘキシルナフタレンジカルボキサミド、1,3,5−トリ(2,2−ジメチルプロパンアミド)ベンゼン等のアミド化合物等が知られている。
【0005】
例えば、特許文献1では、環状有機リン酸エステル塩基性アルミニウム塩および、アルカリ金属カルボン酸塩、アルカリ金属β−ジケトナートまたはアルカリ金属塩β−ケト酢酸エステル塩等のアルカリ金属化合物をポリオレフィンやポリエチレンテレフタレートに添加することが提案されている。また、特許文献2では、酸性リン酸エステル金属塩および脂肪族有機酸金属塩を含有する造核剤組成物が提案されており、ポリオレフィンの透明性や曲げ弾性率を改善することが示されている。
【0006】
さらに、特許文献3では、環状リン酸エステルのリチウム塩と、脂肪族有機酸リチウム塩と、二価の金属原子からなる脂肪族有機酸塩と、を含有する造核剤組成物が提案されており、ポリオレフィン系樹脂に対して透明性を改善することが示されている。さらにまた、特許文献4〜9において、オレフィン重合時にヒドロキシ基を有する環状リン酸エステル化合物を添加し、重合後、さらに脂肪酸金属塩や酸化防止剤等を添加して溶融混練したポリオレフィン系樹脂組成物が提案されている。
特許文献10において、芳香族リン酸エステル金属塩および高級脂肪酸の周期律表第二属金属塩を含有する組成物が提案されている。
特許文献11には、顔料、有機リン酸塩系造核剤、脂肪酸のカルシウム塩をポリプロピレンに添加したポリプロピレン組成物が提案されている。
特許文献12には、デヒドロアビエチン酸またはデヒドロアビエチン酸を必須成分とするロジン酸混合物に、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸アルミニウムおよびステアリン酸マグネシウムなどの金属塩を含有するポリオレフィン樹脂用核剤組成物が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−48743号公報
【特許文献2】特開2003−313444号公報
【特許文献3】特開2005−54036号公報
【特許文献4】特開2013−256628号公報
【特許文献5】特開2014−95042号公報
【特許文献6】特開2014−95043号公報
【特許文献7】特開2014−95044号公報
【特許文献8】特開2014−95045号公報
【特許文献9】特開2014−95046号公報
【特許文献10】特開昭63−69853号公報
【特許文献11】特開平8−081592号公報
【特許文献12】特開平10−279739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、これまでに種々の核剤の検討がなされているが、核剤を添加したオレフィン樹脂をシート状に成形してみると、表面にスポットが多数形成され、核剤を配合しない成形品と比較して、光沢が大きく損なわれる問題があった。
特許文献10〜12において、核剤と脂肪酸金属塩を含有するオレフィン樹脂組成物が、開示されているが、核剤と脂肪酸カルシウム塩の配合による影響については、何ら記載されていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、核剤と脂肪酸カルシウム塩を特定量配合することで、課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、ポリオレフィン樹脂100質量部に対し、核剤が、0.02〜0.2質量部、脂肪酸カルシウム塩が、0.03〜0.2質量部含有するポリオレフィン材料を提供するものである。
【0010】
本発明のポリオレフィン材料は、表面粗さSaが、1μm以下であることが好ましい。
【0011】
本発明は、核剤が、式(1)で表される化合物を含有することが好ましい。
【0012】
【化1】
(式(1)中、R〜Rは各々独立に、水素原子、または直鎖または分岐を有する炭素原子数1〜9のアルキル基を表し、Rは、炭素原子数1〜4のアルキリデン基を表す。)
【0013】
本発明は、核剤が、式(2)で表される化合物を含有することが好ましい。
【0014】
【化2】
(式(2)中、M、Mは、それぞれ独立して、ナトリウム、リチウム、カリウム、または、MとMが連結して、カルシウム、亜鉛、マグネシウムを表し、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数2〜10のアルケニル基を表し、アルキル基またはアルコキシ基の炭素鎖は、カルボニル基または酸素原子で中断されていてもよく、不飽和結合を有するものであってもよく、二つのビシナルアルキル基は、一緒になって6個までの炭素水素環を形成してもよい。)
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、表面粗さが少ないポリオレフィン材料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0017】
本発明において、表面粗さSaとは、成形品の表層における測定面積Aにおいて、Aの基準面に対して、鉛直方向の高さzを積算し、それらを測定面積Aで割ったものを表し、式(3)で表される。Saは、10μm以下であることが好ましく、5μm以下がより好ましく、1μm以下がさらに好ましい。
【0018】
【数1】
【0019】
本発明のポリオレフィン材料に用いられるオレフィン樹脂は、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(L−LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、ヘミアイソタクチックポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、ステレオブロックポリプロピレン、ポリ−3−メチル−1−ブテン、ポリ−3−メチル−1−ペンテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン重合体、エチレン/プロピレンブロック又はランダム共重合体、インパクトコポリマーポリプロピレン、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−ブチルアクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール樹脂(EVOH)等のα−オレフィン共重合体等が挙げられ、エラストマーであってもよい。本発明においては、これら2種以上をブレンドして使用してもよく、ブロック共重合体を形成してブロックポリマー型として使用してもよく、樹脂がアロイ化されていてもよい。また、これらのオレフィン系樹脂の塩素化物であってもよい。
【0020】
オレフィン系樹脂のエラストマーとしては、ハードセグメントとしてポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン、ソフトセグメントとしてエチレン−プロピレンゴム等のゴムを用いて、これらをブレンドすることにより得られるエラストマー、或いは動的架橋により得られるエラストマーが挙げられる。
ハードセグメントとしては、例えば、ポリプロピレンホモポリマー、ポリプロピレンブロックコポリマー、ポリプロピレンランダムコポリマー等から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
ソフトセグメントとしては、エチレン−プロピレン共重合体(EPM)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、酢酸ビニルホモポリマー等が挙げられる。これら2種以上をブレンドして使用してもよい。
【0021】
上記オレフィン系樹脂の製造方法は、チーグラー触媒、チーグラー・ナッタ触媒、メタロセン触媒その他の各種重合触媒を助触媒、触媒の担体、連鎖移動剤を含め、また、気相重合、溶液重合、乳化重合、塊状重合などの各種重合方法において、温度、圧力、濃度、流速や触媒残渣の除去などの各種重合条件など包装資材に適した物性の樹脂が得られるものや包装資材の成形加工に適した物性の樹脂が得られるものを適宜選択して製造される。オレフィン系樹脂の数平均分子量、重量平均分子量、分子量分布、メルトフローレート、融点、融解ピーク温度、アイソタクチック、シンジオタクチックなどの立体規則性、分岐の有無や程度、比重、各種溶媒への溶解成分の比率、Haze、グロス、衝撃強度、曲げ弾性率、オルゼン剛性、その他の特性および各特性値が特定の式を満足するか否かなどは所望する特性に応じて適宜選択することができる。
本発明における核剤は、オレフィン樹脂に用いられる核剤であれば、特に制限なく用いることができる。
【0022】
次に、核剤について説明する。
本発明において、核剤はオレフィン樹脂に用いられる化合物であれば、特に制限なく用いることができる。特に、式(1)で表される化合物を含有することが好ましい。
【0023】
【化3】
(式(1)中、R〜Rは各々独立に、水素原子、または直鎖または分岐を有する炭素原子数1〜9のアルキル基を表し、Rは、炭素原子数1〜4のアルキリデン基を表す。)
【0024】
式(1)中のR〜Rで表される炭素原子数1〜9の直鎖または分岐を有するアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、アミル基、tert−アミル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、tert−オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、イソノニル基等が挙げられるが、R〜Rは、tert−ブチル基が好ましい。
【0025】
式(1)中のRで表される炭素原子数1〜4のアルキリデン基としては、例えば、メチレン基、エチリデン基、プロピリデン基、ブチリデン基等が挙げられるが、本発明においては、メチレン基が好ましい。
【0026】
上記式(1)で表される化合物の具体例として、下記の化合物が挙げられる。但し、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
【0027】
【化4】
【0028】
また、本発明は、核剤が式(2)で表される化合物を含有することが好ましい。
【0029】
【化5】
ここで、M、Mは、それぞれ独立して、ナトリウム、リチウム、カリウム、または、MとMが連結して、カルシウム、亜鉛、マグネシウムを表し、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数2〜10のアルケニル基を表し、アルキル基またはアルコキシ基の炭素鎖は、カルボニル基または酸素原子で中断されていてもよく、不飽和結合を有するものであってもよく、二つのビシナルアルキル基は、一緒になって6個までの炭素水素環を形成してもよい。
【0030】
炭素原子数1〜10のアルキル基としては、直鎖状または分岐状のアルキル基、あるいは、炭素原子数3〜10のシクロアルキル基が挙げられる。具体的には、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、イソブチル、シクロブチル、アミル、tert−アミル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、シクロヘプチル、オクチル、シクロオクチル、イソオクチル、tert−オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、イソノニル、デシル等が挙げられる。
【0031】
炭素原子数1〜10のアルコキシ基としては、直鎖状または分岐状のアルコキシ基、あるいは、炭素原子数5〜10のシクロアルコキシ基が挙げられる。具体的には、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、n−ブトキシ、n−ヘキシルオキシ、1−メチルエトキシ、2−メチルプロポキシ、1−メチルブトキシ、4−メチルペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシなどが挙げられる。
【0032】
炭素原子数2〜10のアルケニル基としては、ビニル、アリル、プロペニル、デセニル等が挙げられる。
【0033】
二つのビシナルアルキル基とは、ベンゼン環の2つの隣接した炭素原子と結合した二つのアルキル基を表し、炭素原子数6個までの炭化水素環とは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロヘプチル、シクロヘキシル、ベンゼン環を表す。
【0034】
式(2)で表される化合物の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
ただし、本発明は以下の化合物によって制限を受けるものではない。
【0035】
【化6】
【0036】
本発明において、核剤の粒子径や粒度分布等の粒子状態によって限定されるものではないが、粒子径が微細であれば樹脂中への分散性が良化することが知られており、体積平均粒子径が20μm以下であることが好ましく、10μm以下がより好ましい。
【0037】
本発明においては、ナトリウム[2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフェート]または、リチウム[2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフェート]が、ポリオレフィン系樹脂に対して優れた物理的特性を付与することができるので好ましい。
【0038】
本発明のオレフィン材料において、核剤は、オレフィン樹脂100質量部に対し、0.02〜0.2質量部の範囲内であることを特徴とする。
【0039】
つぎに、脂肪酸カルシウム塩について説明する。
脂肪酸は、炭素原子数10〜40のアルキル基、アルケニル基、2つ以上の不飽和結合が導入された炭化水素基が挙げられ、アルキル基、アルケニル基、炭化水素基の水素原子が、ヒドロキシル基で置換されていてもよく、アルキル基、アルケニル基、炭化水素基の炭素鎖が、分岐を有していてもよい。
具体的には、カプリン酸、2−エチルヘキサン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルチミン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデシル酸、アラキジン酸、ヘイコシル酸、ベヘン酸、トリコシル酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸等の飽和脂肪酸、4−デセン酸、4−ドデセン酸、パルミトレイン酸、α−リノレン酸、リノール酸、γ−リノレン酸、ステアリドン酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸等の直鎖不飽和脂肪酸、トリメシン酸等の芳香族脂肪酸が挙げられる。
本発明においては、炭素原子数10〜21である脂肪族基が好ましく、特に、ミリスチン酸、ステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等の飽和脂肪酸が、本発明の効果が顕著になるのでより好ましい。
【0040】
本発明のオレフィン材料において、脂肪酸カルシウム塩は、オレフィン樹脂100質量部に対し、0.03〜0.2質量部の範囲内であることを特徴とする。
【0041】
本発明のオレフィン材料において、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、任意で公知の樹脂添加剤(例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、その他の酸化防止剤、ヒンダードアミン化合物、紫外線吸収剤、難燃剤、難燃助剤、滑剤、充填剤、ハイドロタルサイト類、脂肪酸金属塩、帯電防止剤、蛍光増白剤、顔料、染料等)を含有させてもよい。
【0042】
フェノール系酸化防止剤は、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、2−tert−ブチル−4,6−ジメチルフェノール、スチレン化フェノール、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス−(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2−メチル−4,6−ビス(オクチルスルファニルメチル)フェノール、2,2’−イソブチリデンビス(4,6−ジメチルフェノール)、イソオクチル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド、2,2’−オキサミド−ビス[エチル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2−エチルヘキシル−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−エチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンゼンプロパン酸およびC13−15アルキルのエステル、2,5−ジ−tert−アミルヒドロキノン、ヒンダードフェノールの重合物(アデカパルマロール社製商品名「AO.OH.98」)、2,2’−メチレンビス[6−(1−メチルシクロヘキシル)−p−クレゾール]、2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−tert−ペンチルフェニルアクリレート、6−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−tert−ブチルベンズ[d,f][1,3,2]−ジオキサホスフォビン、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ビス[モノエチル(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート]カルシウム塩、5,7−ビス(1,1−ジメチルエチル)−3−ヒドロキシ−2(3H)−ベンゾフラノンとo−キシレンとの反応生成物、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール、DL−a−トコフェノール(ビタミンE)、2,6−ビス(α−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、ビス[3,3−ビス−(4’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−フェニル)ブタン酸]グリコールエステル、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ステアリル(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ジステアリル(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、トリデシル−3,5−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルチオアセテート、チオジエチレンビス[(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、2−オクチルチオ−4,6−ジ(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−s−トリアジン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ビス[3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−tert−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、4,4’−ブチリデンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、ビス[2−tert−ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルベンジル)フェニル]テレフタレート、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−tert−ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリス[(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]イソシアヌレート、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’―tert−三ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、2−tert−ブチル−4−メチル−6−(2−アクリロイルオキシ−3−tert−ブチル−5−メチルベンジル)フェノール、3,9−ビス[2−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルヒドロシンナモイルオキシ)−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、トリエチレングリコールビス[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]、ステアリル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド、パルミチル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド、ミリスチル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド、ラウリル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド等の3−(3,5−ジアルキル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸誘導体等が挙げられる。フェノール系酸化防止剤を配合する場合の配合量は、オレフィン樹脂100質量部に対して、0.001〜5質量部、より好ましくは、0.03〜3質量部である。
【0043】
リン系酸化防止剤は、例えば、トリフェニルホスファイト、ジイソオクチルホスファイト、ヘプタキス(ジプロピレングリコール)トリホスファイト、トリイソデシルホスファイト、ジフェニルイソオクチルホスファイト、ジイソオクチルフェニルホスファイト、ジフェニルトリデシルホスファイト、トリイソオクチルホスファイト、トリラウリルホスファイト、ジフェニルホスファイト、トリス(ジプロピレングリコール)ホスファイト、ジオレイルヒドロゲンホスファイト、トリラウリルトリチオホスファイト、ビス(トリデシル)ホスファイト、トリス(イソデシル)ホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト、ジノニルフェニルビス(ノニルフェニル)ホスファイト、ポリ(ジプロピレングリコール)フェニルホスファイト、テトラフェニルジプロピルグリコールジホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチル−5−メチルフェニル)ホスファイト、トリス〔2−tert−ブチル−4−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニルチオ)−5−メチルフェニル〕ホスファイト、トリ(デシル)ホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、ジ(デシル)モノフェニルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールとステアリン酸カルシウム塩との混合物、アルキル(C10)ビスフェノールAホスファイト、テトラフェニル−テトラ(トリデシル)ペンタエリスリトールテトラホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェニル)エチルホスファイト、テトラ(トリデシル)イソプロピリデンジフェノールジホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4’−n−ブチリデンビス(2―tert−ブチル−5−メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタントリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト、9,10−ジハイドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、(1−メチル−1―プロペニル−3−イリデン)トリス(1,1−ジメチルエチル)−5−メチル−4,1−フェニレン)ヘキサトリデシルホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−2−エチルヘキシルホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−オクタデシルホスファイト、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)フルオロホスファイト、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェニルジトリデシル)ホスファイト、トリス(2−〔(2,4,8,10−テトラキス−tert−ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン−6−イル)オキシ〕エチル)アミン、3,9−ビス(4−ノニルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスフェススピロ[5,5]ウンデカン、2,4,6−トリ−tert−ブチルフェニル−2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールホスファイト、ポリ4,4’−イソプロピリデンジフェノールC12−15アルコールホスファイト、ビス(ジイソデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(オクタデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4,6−トリ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられる。リン系酸化防止剤を配合する場合の配合量は、オレフィン樹脂100質量部に対して、0.001〜10質量部、より好ましくは、0.01〜0.5質量部である。
【0044】
チオエーテル系酸化防止剤は、例えば、テトラキス[メチレン−3−(ラウリルチオ)プロピオネート]メタン、ビス(メチル−4−[3−n−アルキル(C12/C14)チオプロピオニルオキシ]5−tert−ブチルフェニル)スルファイド、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオネート、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ラウリル/ステアリルチオジプロピオネート、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、2,2’−チオビス(6−tert−ブチル−p−クレゾール)、ジステアリル−ジサルファイドが挙げられる。チオエーテル系酸化防止剤を配合する場合の配合量は、オレフィン樹脂100質量部に対して、0.001〜10質量部、より好ましくは、0.01〜0.5質量部である。
【0045】
紫外線吸収剤は、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等の2−ヒドロキシベンゾフェノン類;2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス(4−tert−オクチル−6−ベンゾトリアゾリルフェノール)、2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾールのポリエチレングリコールエステル、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−アクリロイルオキシエチル)−5−メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−5−tert−ブチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−5−tert−オクチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−5−tert−ブチルフェニル〕−5−クロロベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−tert−アミル−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−(3−メタクリロイルオキシプロピル)フェニル〕−5−クロロベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−メタクリロイルオキシメチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシプロピル)フェニル〕ベンゾトリアゾール等の2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、オクチル(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、ドデシル(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、テトラデシル(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、ヘキサデシル(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、オクタデシル(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、ベヘニル(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート等のベンゾエート類;2−エチル−2’−エトキシオキザニリド、2−エトキシ−4’−ドデシルオキザニリド等の置換オキザニリド類;エチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアクリレート類;2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシ−5−メチルフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−s−トリアジン等のトリアリールトリアジン類;各種の金属塩、または金属キレート、特にニッケル、クロムの塩、またはキレート類等が挙げられる。紫外線吸収剤を配合する場合の配合量は、オレフィン樹脂100質量部に対して、0.001〜10質量部、より好ましくは、0.01〜0.5質量部である。
【0046】
ヒンダードアミン化合物は、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,4,4−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノ−ル/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−モルホリノ−s−トリアジン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−tert−オクチルアミノ−s−トリアジン重縮合物、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8−12−テトラアザドデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕アミノウンデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕アミノウンデカン、ビス{4−(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル)ピペリジル}デカンジオナート、ビス{4−(2,2,6,6−テトラメチル−1−ウンデシルオキシ)ピペリジル)カーボナート等が挙げられる。ヒンダードアミン化合物を配合する場合の配合量は、オレフィン樹脂100質量部に対して、0.001〜10質量部、より好ましくは、0.01〜0.5質量部である。
【0047】
難燃剤は、例えば、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、クレジル−2,6−ジキシレニルホスフェート、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、(1−メチルエチリデン)−4,1−フェニレンテトラフェニルジホスフェート、1,3−フェニレンテトラキス(2,6−ジメチルフェニル)ホスフェート、株式会社ADEKA製商品名「アデカスタブFP−500」、「アデカスタブFP−600」、「アデカスタブFP−800」の芳香族リン酸エステル、フェニルホスホン酸ジビニル、フェニルホスホン酸ジアリル、フェニルホスホン酸(1−ブテニル)等のホスホン酸エステル、ジフェニルホスフィン酸フェニル、ジフェニルホスフィン酸メチル、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド誘導体等のホスフィン酸エステル、ビス(2−アリルフェノキシ)ホスファゼン、ジクレジルホスファゼン等のホスファゼン化合物、リン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸メラム、ポリリン酸アンモニウム、リン酸ピペラジン、ピロリン酸ピペラジン、ポリリン酸ピペラジン、リン含有ビニルベンジル化合物および赤リン等のリン系難燃剤、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ヘキサブロモベンゼン、ペンタブロモトルエン、エチレンビス(ペンタブロモフェニル)、エチレンビステトラブロモフタルイミド、1,2−ジブロモ−4−(1,2−ジブロモエチル)シクロヘキサン、テトラブロモシクロオクタン、ヘキサブロモシクロドデカン、ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化ポリスチレンおよび2,4,6−トリス(トリブロモフェノキシ)−1,3,5−トリアジン、トリブロモフェニルマレイミド、トリブロモフェニルアクリレート、トリブロモフェニルメタクリレート、テトラブロモビスフェノールA型ジメタクリレート、ペンタブロモベンジルアクリレート、および、臭素化スチレン等の臭素系難燃剤等を挙げることができる。これら難燃剤はフッ素樹脂等のドリップ防止剤や多価アルコール、ハイドロタルサイト等の難燃助剤と併用することが好ましい。難燃剤を配合する場合の配合量は、オレフィン樹脂100質量部に対して、1〜100質量部、より好ましくは、10〜70質量部である。
【0048】
滑剤は、成形体表面に滑性を付与し傷つき防止効果を高める目的で加えられる。滑剤としては、例えば、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド等の不飽和脂肪酸アミド;ベヘン酸アミド、ステアリン酸アミド等の飽和脂肪酸アミド、ブチルステアレート、ステアリルアルコール、ステアリン酸モノグリセライド、ソルビタンモノパルミチテート、ソルビタンモノステアレート、マンニトール、ステアリン酸、硬化ひまし油、ステアリンサンアマイド、オレイン酸アマイド、エチレンビスステアリン酸アマイド等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。滑剤を配合する場合の配合量は、オレフィン樹脂100質量部に対して、0.01〜2質量部、より好ましくは、0.03〜 0.5質量部である。
【0049】
ハイドロタルサイト類は、天然物や合成物として知られるマグネシウム、アルミニウム、水酸基、炭酸基および任意の結晶水からなる複合塩化合物であり、マグネシウムまたはアルミニウムの一部をアルカリ金属や亜鉛等他の金属で置換したものや水酸基、炭酸基を他のアニオン基で置換したものが挙げられ、具体的には、例えば、下記一般式(4)で表されるハイドロタルサイトの金属をアルカリ金属に置換したものが挙げられる。また、Al―Li系のハイドロタルサイト類としては、下記一般式(5)で表される化合物も用いることができる。
【0050】
【化7】
ここで、一般式(4)中、x1およびx2はそれぞれ下記式、
0≦x2/x1<10,2≦x1+x2≦20
で表される条件を満たす数を表し、pは0または正の数を表す。
【0051】
【化8】
ここで、一般式(5)中、Aq−は、q価のアニオンを表し、pは0または正の数を表す。
また、前記ハイドロタルサイト類における炭酸アニオンは、一部を他のアニオンで置換したものでもよい。
【0052】
ハイドロタルサイト類は、結晶水を脱水したものであってもよく、ステアリン酸等の高級脂肪酸、オレイン酸アルカリ金属塩等の高級脂肪酸金属塩、ドデシルベンゼンスルホン酸アルカリ金属塩等の有機スルホン酸金属塩、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステルまたはワックス等で被覆されたものであってもよい。
【0053】
ハイドロタルサイト類は、天然物であってもよく、また合成品であってもよい。該化合物の合成方法としては、特公昭46−2280号公報、特公昭50−30039号公報、特公昭51−29129号公報、特公平3−36839号公報、特開昭61−174270号公報、特開平5−179052号公報等に記載されている公知の方法が挙げられる。また、前記ハイドロタルサイト類は、その結晶構造、結晶粒子等に制限されることなく使用することができる。ハイドロタルサイト類を配合する場合の配合量は、オレフィン樹脂100質量部に対して、0.001〜5質量部、より好ましくは、0.01〜3質量部である。
【0054】
帯電防止剤は、例えば、脂肪酸第四級アンモニウムイオン塩、ポリアミン四級塩等のカチオン系帯電防止剤;高級アルコールリン酸エステル塩、高級アルコールEO付加物、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、アニオン型のアルキルスルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキシド付加物硫酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキシド付加物リン酸エステル塩等のアニオン系帯電防止剤;多価アルコール脂肪酸エステル、ポリグリコールリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル等のノニオン系帯電防止剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン等の両性型アルキルベタイン、イミダゾリン型両性活性剤等の両性帯電防止剤が挙げられる。係る帯電防止剤は単独で用いてもよく、また、2種類以上の帯電防止剤を組み合わせて用いてもよい。帯電防止剤を配合する場合の配合量は、オレフィン樹脂100質量部に対して、0.03〜2質量部、より好ましくは、0.1〜0.8質量部である。
【0055】
顔料は、市販の顔料を用いることもでき、例えば、ピグメントレッド1、2、3、9、10、17、22、23、31、38、41、48、49、88、90、97、112、119、122、123、144、149、166、168、169、170、171、177、179、180、184、185、192、200、202、209、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、254;ピグメントオレンジ13、31、34、36、38、43、46、48、49、51、52、55、59、60、61、62、64、65、71;ピグメントイエロー1、3、12、13、14、16、17、20、24、55、60、73、81、83、86、93、95、97、98、100、109、110、113、114、117、120、125、126、127、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、166、168、175、180、185;ピグメントグリーン7、10、36;ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:5、15:6、22、24、29、56、60、61、62、64;ピグメントバイオレット1、15、19、23、27、29、30、32、37、40、50等が挙げられる。
【0056】
蛍光増白剤とは、太陽光や人工光の紫外線を吸収し、これを紫〜青色の可視光線に変えて輻射する蛍光作用によって、成形体の白色度や青味を助長させる化合物である。蛍光増白剤としては、スチルオキサゾール系化合物C.I.Fluorescent Brightner184;クマリン系化合物C.I.Fluorescent Brightner52;ジアミノスチルベンジスルフォン酸系化合物C.I.Fluorescent Brightner24、85、71等が挙げられる。
蛍光増白剤を用いる場合の配合量は、オレフィン樹脂100質量部に対して、0.00001〜0.1質量部、より好ましくは、0.00005〜0.05質量部である。
【0057】
染料としては、アゾ染料、アントラキノン染料、インジゴイド染料、トリアリールメタン染料、キサンテン染料、アリザリン染料、アクリジン染料、スチルベン染料、チアゾール染料、ナフトール染料、キノリン染料、ニトロ染料、インダミン染料、オキサジン染料、フタロシアニン染料、シアニン染料等の染料等が挙げられ、これらは複数を混合して用いてもよい。
【0058】
本発明のオレフィン材料は、オレフィン樹脂組成物を公知の成形方法を用いて成形することができる。例えば、射出成形法、押出成形法、ブロー成形法、真空成形法、インフレーション成形法、カレンダー成形法、スラッシュ成形法、ディップ成形法、発泡成形法等を用いて成形品を得ることができる。
【0059】
本発明のオレフィン材料は、包装材料、飲料用容器、フィルム、シートなど、表面粗さが少ないことが求められる用途、美的外観が重要な用途で、好適に用いることができる。また、オレフィン樹脂組成物が利用されている用途、例えば、バンパー、ダッシュボード、インパネ等自動車材料、冷蔵庫、洗濯機、掃除機などのハウジング用途、食器、バケツ、入浴用品などの家庭用品、玩具等の雑貨品、タンク類などの貯蔵、保存用容器等も用いることができる。
【実施例】
【0060】
以下、実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例等によって何ら制限を受けるものではない。
【0061】
〔実施例1〜3、比較例1〜4〕
ホモポリプロピレン(メルトフローレート:8g/10min)100質量部に対し、フェノール系酸化防止剤:テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ第三ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン0.05質量部、リン系酸化防止剤:トリス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト0.1質量部、および、表1記載の配合量で、核剤および中和剤を添加、混合し、タッチロール法を用いて平均厚み0.5mmのシートを製造した。シート製造の際の加工条件を下記に示す。
【0062】
(加工条件)
押出機(二軸;スクリュー直径 28mm、L/D=43
Tダイ:面長=400mm、ダイリップ=0.5mm、ダイ温度=230℃
タッチロール:径=150mm、ロール温度=45℃
チルロール:径=300mm、ロール温度=45℃
加工速度=1.5m/min
得られたシートは、常温で24時間経過してから、下記の評価を行った。
【0063】
(表面粗さ)
得られたシートは、キーエンス社製商品名「VK−K250/260」を用いて、シートの算術平均高さSaを測定した。測定条件を下記に示す。これらの測定結果について下記表1に示す。
【0064】
(測定条件)
測定面積:1.5mm
シート表層の鉛直(高さ)方向の測定分解能:0.5nm
シート表層(顕微鏡ステージと平行)方向の測定分解能:1nm
【0065】
(光沢度)
シートの表面の光沢度(グロス)を、日本電色工業株式会社製光沢計(VG−2000)を用いて測定角度60°で測定して試験片の光沢度を測定した。これらの結果について下記表1に示す。
【0066】
【表1】
【0067】
比較例3〜5より、中和剤がハイドロタルサイト類である場合、核剤配合の試験片は、Saが増大し、光沢度も低下したのに対し、実施例1〜3より、中和剤がステアリン酸カルシウムである本発明のポリオレフィン材料は、核剤配合下でもSaが小さく、高光沢であることが確認できた。