特開2018-196309(P2018-196309A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ルネサスエレクトロニクス株式会社の特許一覧
特開2018-196309オイルポンプ用モータ駆動装置及びオイルポンプ用モータの駆動制御方法
<>
  • 特開2018196309-オイルポンプ用モータ駆動装置及びオイルポンプ用モータの駆動制御方法 図000009
  • 特開2018196309-オイルポンプ用モータ駆動装置及びオイルポンプ用モータの駆動制御方法 図000010
  • 特開2018196309-オイルポンプ用モータ駆動装置及びオイルポンプ用モータの駆動制御方法 図000011
  • 特開2018196309-オイルポンプ用モータ駆動装置及びオイルポンプ用モータの駆動制御方法 図000012
  • 特開2018196309-オイルポンプ用モータ駆動装置及びオイルポンプ用モータの駆動制御方法 図000013
  • 特開2018196309-オイルポンプ用モータ駆動装置及びオイルポンプ用モータの駆動制御方法 図000014
  • 特開2018196309-オイルポンプ用モータ駆動装置及びオイルポンプ用モータの駆動制御方法 図000015
  • 特開2018196309-オイルポンプ用モータ駆動装置及びオイルポンプ用モータの駆動制御方法 図000016
  • 特開2018196309-オイルポンプ用モータ駆動装置及びオイルポンプ用モータの駆動制御方法 図000017
  • 特開2018196309-オイルポンプ用モータ駆動装置及びオイルポンプ用モータの駆動制御方法 図000018
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-196309(P2018-196309A)
(43)【公開日】2018年12月6日
(54)【発明の名称】オイルポンプ用モータ駆動装置及びオイルポンプ用モータの駆動制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02P 6/18 20160101AFI20181109BHJP
【FI】
   H02P6/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-100771(P2017-100771)
(22)【出願日】2017年5月22日
(71)【出願人】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】青木 尚彦
(72)【発明者】
【氏名】石川 潔
【テーマコード(参考)】
5H560
【Fターム(参考)】
5H560AA10
5H560BB04
5H560BB07
5H560BB12
5H560DA14
5H560DB20
5H560DC12
5H560EB01
5H560EC01
5H560HA09
5H560SS01
5H560TT15
5H560TT18
5H560UA05
5H560XA02
5H560XA08
5H560XA12
5H560XA13
(57)【要約】
【課題】ベクトル制御センサレス方式により、低速回転時にも安定してオイルポンプ用のブラシレスモータの駆動制御をすることができるオイルポンプ用モータ駆動装置を提供する。
【解決手段】、オイルポンプ用モータ駆動装置は、ステータのコイルに流れる複数相の電流をそれぞれ検出する電流検出部と、検出された複数相の電流を、d軸電流Idおよびq軸電流Iqに変換し、d軸電流Idとd軸電流指令値Idrefとの比較、およびq軸電流Iqとd軸電流指令値Idrefとの比較によりロータの実回転位置と仮想回転位置との位相誤差を算出し、当該位相誤差が零に近づくように制御を行い、ブラシレスモータの各相に印加する電圧指令値をモータ駆動回路に出力する制御部と、を備え、制御部は、ブラシレスモータの回転数が所定の回転数よりも小さい場合に、d軸電流指令値Idrefを零より大きい値に設定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オイルポンプ用でステータとロータとを有するブラシレスモータが回転している際に、前記ステータのコイルに流れる複数相の電流をそれぞれ検出する電流検出部と、
検出された前記複数相の電流を、前記ロータの磁石が作る磁束方向のd軸とd軸に直交するq軸からなり前記ロータとともに回転するd−q座標系におけるd軸電流Idおよびq軸電流Iqに変換し、前記d軸電流Idとd軸電流指令値Idrefとの比較、および前記q軸電流Iqとd軸電流指令値Idrefとの比較により前記ロータの実回転位置と仮想回転位置との位相誤差を算出し、当該位相誤差が零に近づくように制御を行い、前記ブラシレスモータの各相に印加する電圧指令値をモータ駆動回路に出力する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記ブラシレスモータの回転数が所定の回転数よりも小さい場合に、前記d軸電流指令値Idrefを零より大きい値に設定する、オイルポンプ用モータ駆動装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記ブラシレスモータの回転数が所定の回転数よりも小さい場合に、前記d軸電流指令値Idrefを所定の値に設定する、請求項1に記載のオイルポンプ用モータ駆動装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記ブラシレスモータの回転数が所定の回転数よりも小さい場合に、前記d軸電流指令値Idrefを前記ブラシレスモータの回転数に応じた値に設定する、請求項1に記載のモータ駆動装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記ブラシレスモータの回転数が所定の回転数以上である場合に、前記d軸電流指令値Idrefを零に設定する、請求項1に記載のオイルポンプ用モータ駆動装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記ブラシレスモータの回転数が所定の回転数よりも小さい場合に、前記q軸電流Iqの変化を監視し、前記q軸電流Iqの増減に追随させて前記d軸電流指令値Idrefを増減させる、請求項1に記載のオイルポンプ用モータ駆動装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記ブラシレスモータの起動時に、d軸電流Idのオープンループ制御を行うことより前記ロータの位置を検出する、請求項1に記載のオイルポンプ用モータ駆動装置。
【請求項7】
オイルポンプ用でステータとロータを有するブラシレスモータが回転している際に、前記ステータのコイルに流れる複数相の電流をそれぞれ検出し、
検出された前記複数相の電流を、前記ロータの磁石が作る磁束方向のd軸とd軸に直交するq軸からなり前記ロータとともに回転するd−q座標系におけるd軸電流Idおよびq軸電流Iqに変換し、前記d軸電流Idとd軸電流指令値Idrefとの比較、および前記q軸電流Iqとd軸電流指令値Idrefとの比較により前記ロータの実回転位置と仮想回転位置との位相誤差を算出し、当該位相誤差が零に近づくように制御を行い、前記ブラシレスモータの各相に印加する電圧指令値をモータ駆動回路に出力し、
前記ブラシレスモータの回転数が所定の回転数よりも小さい場合に、前記d軸電流指令値Idrefを零より大きい値に設定する、オイルポンプ用モータの駆動制御方法。
【請求項8】
前記ブラシレスモータの回転数が所定の回転数よりも小さい場合に、前記d軸電流指令値Idrefを所定の値に設定する、請求項7に記載のオイルポンプ用モータの駆動制御方法。
【請求項9】
前記ブラシレスモータの回転数が所定の回転数よりも小さい場合に、前記d軸電流指令値Idrefを前記ブラシレスモータの回転数に応じた値に設定する、請求項7に記載のオイルポンプ用モータの駆動制御方法。
【請求項10】
前記ブラシレスモータの回転数が所定の回転数以上である場合に、前記d軸電流指令値Idrefを零に設定する、請求項7に記載のオイルポンプ用モータの駆動制御方法。
【請求項11】
前記ブラシレスモータの回転数が所定の回転数よりも小さい場合に、前記q軸電流Iqの変化を監視し、前記q軸電流Iqの増減に追随させて前記d軸電流指令値Idrefを増減させる、請求項7に記載のオイルポンプ用モータの駆動制御方法。
【請求項12】
前記ブラシレスモータの起動時に、d軸電流Idのオープンループ制御を行うことより前記ロータの位置を検出する、請求項7に記載のオイルポンプ用モータの駆動制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オイルポンプ用モータ駆動装置及びオイルポンプ用モータの駆動制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ブラシレスモータにおける、電流、電圧、巻線抵抗などのモータ定数から計算したモータの誘起電圧をもとにロータの位置を推定するベクトル制御型センサレス方式が知られている。特許文献1には、ベクトル制御型センサレス方式において、ブラシレスモータの回転速度が、最低モータ回転速度を上回る高速領域では、誘起電圧に基づきロータの位置情報を得る180度通電正弦波駆動を実施し、最低モータ回転速度を下回る低速領域では、120度通電矩形波駆動を実施する技術が開示されている。特許文献2には、起動時にはオープンループ制御(起動モード)によりセンサレスでブラシレスモータを駆動させ、モータ起動後は電流フィードバック制御(電流制御モード)によりブラシレスモータを駆動させるように制御モードの切替えを行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−064385号公報
【特許文献2】特開2010−233301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
昨今、オイルポンプ用のブラシレスモータの駆動に、ベクトル制御型センサレス方式を適用する取り組みがなされている。オイルポンプ用のブラシレスモータにおいて、高速運転での使用のみならず、低速運転での使用のニーズも高い。特許文献1に記載の技術では、上述したように、ブラシレスモータが、高速回転しているときと、低速回転しているときと、でモータ駆動方式を切替える。しかしながら、このようなモータ駆動方式の切り替えを行うと制御が複雑になりがちである。オイルポンプ用のブラシレスモータの駆動では、よりシンプルな制御方法が求められている。ところが、全ての速度領域において、誘起電圧に基づいてロータの位置を推定する180度通電正弦波駆動を実施しようとすると、誘起電圧が低くなる低速運転時にはロータの位置の推定精度が低下する。このため、低速運転時にはロータの円滑な回転が得られないおそれがある。
【0005】
また、特許文献2に記載の技術では、低速運転におけるロータ位置の推定精度の低下は抑えられる。しかしながら、当該技術をオイルポンプ用などの比較的大型のブラシレスモータの駆動に適用した場合、起動モードにおいて電流を大きくすることに伴うロータの変形によって振動が発生するおそれがあった。
【0006】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施の形態によれば、オイルポンプ用モータ駆動装置は、電流検出部と、制御部と、を備える。電流検出部は、オイルポンプ用でステータとロータとを有するブラシレスモータが回転している際に、ステータのコイルに流れる複数相の電流をそれぞれ検出する。制御部は、検出された複数相の電流を、ロータの磁石が作る磁束方向のd軸とd軸に直交するq軸からなりロータとともに回転するd−q座標系におけるd軸電流Idおよびq軸電流Iqに変換し、d軸電流Idとd軸電流指令値Idrefとの比較、およびq軸電流Iqとd軸電流指令値Idrefとの比較によりロータの実回転位置と仮想回転位置との位相誤差を算出し、当該位相誤差が零に近づくように制御を行う。そして、制御部は、ブラシレスモータの各相に印加する電圧指令値をモータ駆動回路に出力する。さらに、制御部は、ブラシレスモータの回転数が所定の回転数よりも小さい場合に、d軸電流指令値Idrefを零より大きい値に設定する。
【発明の効果】
【0008】
前記一実施の形態によれば、ベクトル制御センサレス方式により、低速回転時にも安定してオイルポンプ用のブラシレスモータの駆動制御をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態の概要にかかるオイルポンプ用モータ駆動装置の構成の一例を示す模式図である。
図2】実施の形態1にかかるオイルポンプ用モータ駆動装置の一実施形態を示す回路ブロック図である。
図3】実施の形態1にかかるオイルポンプ用モータ駆動装置における、ベクトル制御の処理フローの概略について説明するフローチャートである。
図4】d−q座標系とγ−δ座標系との関係を模式的に示す図である。
図5】ブラシレスモータにおけるロータの回転数に対するd軸電流指令値Idrefの一例を示す模式図である。
図6】ロータの回転数が所定の回転数より小さい場合に、d軸電流指令値Idrefを零より大きい所定の値に設定する処理フローの一例について説明するフローチャートである。
図7】ブラシレスモータにおけるロータの回転数に対するd軸電流指令値Idrefの別の一例を示す模式図である。
図8】ブラシレスモータにおけるロータの回転数が所定の回転数より小さい場合に、d軸電流指令値Idrefを、零より大きく、かつ、ブラシレスモータの回転数に応じた値に設定する処理フローの一例について説明するフローチャートである。
図9】実施の形態2にかかるオイルポンプ用モータ駆動装置における、ブラシレスモータの回転数が所定の回転数よりも小さい場合のd軸電流Idとq軸電流Iqの経時変化の一例を模式的に示す図である。
図10】実施の形態2にかかるオイルポンプ用モータ駆動装置において、ロータの回転数が所定の回転数より小さい場合に、q軸電流Iqの変化を監視し、q軸電流Iqの増減に追随させてd軸電流指令値Idrefを増減させる処理フローの一例について説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、上記課題を解決するための手段を適用した実施形態を詳細に説明する。説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。また、様々な処理を行う機能ブロックとして図面に記載される各要素は、ハードウェア的には、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、又はその他の回路で構成することができ、ソフトウェア的には、メモリにロードされたプログラムなどによって実現される。したがって、これらの機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、又はそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは当業者には理解されるところであり、何れかに限定されるものではない。なお、各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0011】
また、上述したプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスク)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)CD−R、CD−R/W、及び半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0012】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクション又は実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部又は全部の変形例、応用例、詳細説明、又は補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
【0013】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(動作ステップ等も含む)は、特に明示した場合及び原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、又は位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数等(個数、数値、量、範囲等を含む)についても同様である。
【0014】
<実施の形態の概要>
実施の形態の詳細について説明する前に、まず、実施の形態の概要について説明する。図1は、実施の形態の概要にかかるオイルポンプ用モータ駆動装置10の構成の一例を示す模式図である。図1に示すように、オイルポンプ用モータ駆動装置10は、モータ駆動回路12と、電流検出部13と、制御部14と、を備えている。
【0015】
電流検出部13は、オイルポンプ用でステータとロータ16とを有するブラシレスモータ11が回転している際に、ステータのコイル15に流れる複数相の電流をそれぞれ検出する。制御部14は、検出された複数相の電流を、d−q座標系におけるd軸電流Idおよびq軸電流Iqに変換する。ここで、d−q座標系は、ロータ16の磁石が作る磁束方向のd軸とd軸に直交するq軸からなり、ロータ16とともに回転する座標系である。制御部14は、d軸電流Idとd軸電流指令値Idrefとの比較、およびq軸電流Iqとd軸電流指令値Idrefとの比較によりロータ16の実回転位置と仮想回転位置との位相誤差を算出する。さらに、制御部14は、当該位相誤差が零に近づくように制御を行い、ブラシレスモータ11の各相に印加する電圧指令値をモータ駆動回路12に出力する。制御部14は、ブラシレスモータ11の回転数が所定の回転数よりも小さい場合に、d軸方向の電流指令値であるd軸電流指令値Idrefを零より大きい値に設定する。
【0016】
上述したように、オイルポンプ用モータ駆動装置10は、ブラシレスモータ111におけるロータ116の回転数が所定の回転数より小さい場合に、d軸電流指令値Idrefを零より大きい値に設定する。このようにすると、誘起電圧eを大きくすることができるので、低速回転時にもセンサレスで位相誤差を精度良く推定することができる。これにより、ベクトル制御センサレス方式により、低速回転時にも安定してオイルポンプ用のブラシレスモータの駆動制御をすることができる。
【0017】
<実施の形態1>
次に、実施の形態1の詳細について説明する。図2は、実施の形態1にかかるオイルポンプ用モータ駆動装置110の一実施形態を示す回路ブロック図である。ここで、オイルポンプ用モータ駆動装置110は、オイルポンプ用のブラシレスモータ111における回転子の角度位置を、エンコーダやホール素子などの位置センサを用いずにセンサレスで検出し、ブラシレスモータ111を駆動する装置である。図2に示すように、オイルポンプ用モータ駆動装置110は、電流検出部113と、制御部114と、モータ駆動回路112と、ゲートドライブ回路120と、を備えている。
【0018】
ブラシレスモータ111は、車両などに適用されるオイルポンプ用のブラシレスモータである。ブラシレスモータ111は、3相DCブラシレスモータであり、U相、V相およびW相の3相巻線(U相巻線115u,V相巻線115v,W相巻線115w)が円筒状のステータに設けられ、該ステータの中央部に形成された空間に永久磁石のロータ116が配置される。
【0019】
電流検出部113は、ブラシレスモータ111の各相(U相、V相、W相)に流れる電流Iu,Iv,Iwを検出するセンサである。制御部114は、例えばMCU(Micro Control Unit)で、180度通電センサレスベクトル方式でブラシレスモータ111の駆動を制御する。すなわち、制御部114は、180度通電正弦波駆動におけるベクトル制御型センサレス方式によりブラシレスモータ111の各相に印加する電圧指令値を算出し、当該電圧指令値をモータ駆動回路112に出力する。なお、制御部114による、ブラシレスモータ111の駆動制御方法の詳細については後述する。ゲートドライブ回路120は、制御部114からの6本の制御信号を6相の電圧信号(U+/−、V+/−、W+/−)に変換してモータ駆動回路112に出力する。
【0020】
モータ駆動回路112は、インバータ回路で、逆並列のダイオード118a〜118fを含むスイッチング素子117a〜117fを3相ブリッジ接続した回路と、電源回路119と、を有する。スイッチング素子117a〜117fは、各制御端子(ゲート端子)においてゲートドライブ回路120と接続されている。スイッチング素子117a〜117fは、例えばFET(Field effect transistor)で構成される。スイッチング素子117a〜117fの各制御端子(ゲート端子)は、ゲートドライブ回路120と接続されている。スイッチング素子117a〜117fは、ゲートドライブ回路120を介して制御部114からの制御信号によりオン、オフ制御される。
【0021】
次に、制御部114による、ブラシレスモータ111の駆動制御方法について説明する。なお、以下の説明では、図2に示すオイルポンプ用モータ駆動装置110の回路ブロック図についても適宜参照する。
【0022】
図3は、ベクトル制御の処理フローの概略について説明するフローチャートである。図3に示すように、まず、電流検出部113によって検出された3相電流Iu,Iv,Iwを取り込む(ステップS101)。そして、取り込んだ3相電流Iu,Iv,Iwを、A/D変換した後、2相電流Iα,Iβに変換する(ステップS102)。ここで、2相電流Iα,Iβは、それぞれ、U相方向をα軸とする2軸静止座標系であるα−β座標系における、α軸成分、β軸成分である。3相電流Iu,Iv,Iwから2相電流Iα,Iβに変換する演算式は以下の通りである。
【0023】
【数1】
【0024】
ステップS102に続き、2相電流Iα,Iβは、さらにd軸電流Id、q軸電流Iqに変換される(ステップS103)。ここで、d軸電流Id、q軸電流Iqは、それぞれ、ブラシレスモータ111のロータ116と共に回転する座標系であるd−q座標系における、d軸成分、q軸成分である。d軸は、ロータに取り付けられた永久磁石の作る磁束方向の軸であり、q軸は、d軸に直交する方向の軸である。q軸電流Iqは回転トルクを発生させる成分であり、d軸電流Idは磁束を作る成分である。2相電流Iα,Iβをd軸電流Id、q軸電流Iqに変換する演算式は以下の通りである。
【0025】
【数2】
【0026】
ステップS103に続き、d軸電流Id、q軸電流Iqが、それぞれ、d軸電流指令値Idref、q軸電流指令値Iqrefに早く安定するようにPI制御(比例積分制御)を行い、d軸電圧指令値Vd、q軸電圧指令値Vqを算出する(ステップS104)。そして、d軸電圧指令値Vd、q軸電圧指令値Vqは、それぞれ、α−β座標系におけるα軸成分の電圧指令値Vα、β軸成分の電圧指令値Vβに変換される(ステップS105)。Vd、VqからVα、Vβに変換する演算式は以下の通りである。
【0027】
【数3】
【0028】
ステップS105に続き、α−β座標系における電圧指令値Vα、Vβは、PWM変調により3相電圧指令値Vu,Vv,Vwに変換され、ゲートドライブ回路120を介してモータ駆動回路112に出力される(ステップS106)。
【0029】
次に、ベクトル制御型センサレス方式におけるロータ116の位置情報の推定について説明する。
ブラシレスモータ111は、ロータ116の位置情報を検出する、エンコーダやホール素子などの位置センサを備えていない。位置センサを備えていないブラシレスモータのベクトル制御方法(ベクトル制御型センサレス方式)については、例えば、論文「電流推定誤差に基づくセンサレスブラシレスDCモータ制御(電気学会論文誌D 平成7年115巻4号)」などに開示されている。ベクトル制御型センサレス方式によるブラシレスモータの駆動制御においては、ロータの実回転位置と、制御上で仮定しているロータの仮想回転位置との偏差(位相誤差)を推定し、この位相誤差が零になるように仮想回転位置を修正する。位相誤差の演算は、誘起電圧から間接的に求める。
【0030】
具体的には、ブラシレスモータ111が位置センサを備えていない場合、ロータ116の実回転位置であるd軸、q軸の位置が不明なので、ロータ116の仮想回転位置を基準とするγ−δ座標系を設定する。図4は、d−q座標系とγ−δ座標系との関係を模式的に示す図である。図4に示すように、γ−δ座標系では、d軸からΔθ遅れたところにγ軸を定め、γ軸から90度進んだところにδ軸を定める。すなわち、γ軸のd軸からの遅れΔθは、ロータ16の実回転位置と仮想回転位置との位相誤差である。位相誤差Δθの回転行列により、d−q座標系からγ−δ座標系に変換することができる。d−q座標系からγ−δ座標系に変換する演算式は以下の通りである。
【0031】
【数4】
【0032】
d−q座標系におけるブラシレスモータ111の電圧方程式は以下の式で表される。ここで、vdはd軸方向の電圧[V]、vqはq軸方向の電圧[V]、Idはd軸方向の電流[A]、Iqはq軸方向の電流[A]、Rは巻線抵抗[Ω]、Ldはd軸巻線自己インダクタンス[H]、Lqはq軸巻線自己インダクタンス[H]、eは誘起電圧[V]、pは演算子である。
【0033】
【数5】
【0034】
上記d−q座標系におけるブラシレスモータ111の電圧方程式に対して、上述した、d−q座標系からγ−δ座標系に変換する演算式を施してγ−δ座標系におけるブラシレスモータ111の電圧方程式を求める。そして、求めたγ−δ座標系におけるブラシレスモータ111の電圧方程式から電流推定誤差を導出する。γ軸のd軸からの遅れ(位相誤差)Δθが十分に小さい時、サンプル点nでの電流推定誤差ΔI(n)は以下の式で表される。ここで、Tはモータトルク、e(n−1)はサンプル点n−1での誘起電圧、Δθ(n−1)はサンプル点n−1での位相誤差である。
【0035】
【数6】
【0036】
上記電流推定誤差の式から位相誤差Δθを推定することができる。上記電流推定誤差の式から分かるように、位相誤差Δθを精度良く推定するためには、誘起電圧eがある程度大きくなければならない。しかしながら、ロータ116が低速回転している時には、誘起電圧eが小さくなるため、電流推定誤差の式から位相誤差Δθを推定し難くなる。
【0037】
ところで、誘起電圧eは、モータ角速度(電気角)ω[rad/sec]と誘起電圧定数KE[V/(rad/sec)]との関数で表される(e=KE×ω)。誘起電圧定数KEは磁気の大きさと関係している。すなわち、磁気の大きさが大きくなると誘起電圧定数KEの値が大きくなる。磁気はd軸電流Idにプラスの電流を流すことにより大きくすることができる。つまり、d軸電流Idにプラスの電流を流すことにより誘起電圧eを大きくすることができる。よって、ブラシレスモータ111のロータ116が低速回転している場合に、d軸電流Idにプラスの電流を流せば誘起電圧eが大きくなり、位相誤差Δθを精度良く推定することができる。
【0038】
そこで、本実施の形態にかかるオイルポンプ用モータ駆動装置110では、ブラシレスモータ111におけるロータ116の回転数が所定の回転数(例えば300rpm)より小さい場合に、d軸電流指令値Idrefが零より大きい値に設定する。このようにすると、d軸電流Idにプラスの電流が流れるようになり、誘起電圧eを大きくすることができるので、位相誤差Δθを精度良く推定することができる。
【0039】
図5は、ブラシレスモータ111におけるロータ116の回転数に対するd軸電流指令値Idrefの一例を示す模式図である。図5に示すように、ブラシレスモータ111におけるロータ116の回転数が300rpmより小さい場合、d軸電流指令値Idrefが零より大きい所定値(例えば3[A])に設定する。このようにすると、ブラシレスモータ111のロータ116が低速回転している時に誘起電圧eを大きくすることができるので、電流誤差ΔIを精度良く検出することができる。これにより、ブラシレスモータ111のロータ116が低速回転している時にもセンサレスで位相誤差Δθを精度良く推定することができる。
【0040】
一方、ブラシレスモータ111におけるロータ116の回転数が300rpmより大きい場合、誘起電圧eは、d軸電流Idを流さなくても電流誤差ΔIを精度良く検出するために十分な大きさである。このため、ブラシレスモータ111におけるロータ116の回転数が300rpmより大きい場合、d軸電流指令値Idrefを零に設定し、トルクに寄与しないd軸電流Idが零になるように制御する。これにより、ブラシレスモータ111の消費電力を低減することができる。
【0041】
図6は、ロータ116の回転数が所定の回転数より小さい場合に、d軸電流指令値Idrefを零より大きい所定の値に設定する処理フローの一例について説明するフローチャートである。なお、以下の説明において、図2に示すオイルポンプ用モータ駆動装置110の回路ブロック図を適宜参照する。
図6に示すように、まず、ロータ116の回転数を検出する(ステップS201)。続いて、ロータ116の回転数が所定の回転数より小さいか否かを判断する(ステップS202)。ステップS202において、ロータ116の回転数が所定の回転数以上の場合(NOの場合)、処理を後述するステップS204に進める。ステップS202において、ロータ116の回転数が所定の回転数より小さい場合(YESの場合)、d軸電流指令値Idrefを所定の値に設定する(ステップS203)。ステップS203に続き、ブラシレスモータ111が停止したか否かを判断する(ステップS204)。ステップS204において、ブラシレスモータ111が停止した場合には処理を終了し、ブラシレスモータ111が停止していない場合には処理をステップS201に戻す。
【0042】
[変形例1]
【0043】
図7は、ブラシレスモータ111におけるロータ116の回転数に対するd軸電流指令値Idrefの別の一例(図5に示す一例とは異なる一例)を示す模式図である。図7に示すように、ブラシレスモータ111におけるロータ116の回転数が300rpmより小さい場合、d軸電流指令値Idrefを、零より大きく、かつ、ブラシレスモータ111の回転数に応じた値に設定する。ここでは、ロータ116の回転数が300rpmより小さい場合、d軸電流指令値Idref[A]とロータ116の回転数R[rpm]との関係は、Idref[A]=3−R[rpm]/100である。このようにすると、ブラシレスモータ111のロータ116が低速回転している時に誘起電圧eを必要十分な大きさにすることができる。このため、図5に示す場合よりも、ロータ116が低速回転している時の消費電力を低減できる。
【0044】
ブラシレスモータ111におけるロータ116の回転数が300rpmより大きい場合には、図5に示す一例と同様に、d軸電流指令値Idrefを零に設定し、トルクに寄与しないd軸電流Idが零になるように制御する。
【0045】
図8は、ブラシレスモータ111におけるロータ116の回転数が所定の回転数より小さい場合に、d軸電流指令値Idrefを、零より大きく、かつ、ブラシレスモータ111の回転数に応じた値に設定する処理フローの一例について説明するフローチャートである。なお、以下の説明において、図2に示すオイルポンプ用モータ駆動装置110の回路ブロック図を適宜参照する。
【0046】
図8に示すように、まず、ロータ116の回転数を検出する(ステップS301)。続いて、ロータ116の回転数が所定の回転数より小さいか否かを判断する(ステップS302)。ステップS302において、ロータ116の回転数が所定の回転数以上の場合(NOの場合)、処理を後述するステップS305に進める。ステップS302において、ロータ116の回転数が所定の回転数より小さい場合(YESの場合)、Idrefテーブルから、現在のロータ116の回転数に対応するIdslowrefを抽出する(ステップS303)。ここで、Idrefテーブルとは、図7に示す、ロータ116の回転数とd軸電流指令値Idrefの設定値Idslowrefとの対応関係を記憶させたデータテーブルである。ステップS303に続いて、d軸電流指令値Idrefとして、ステップS303において抽出したIdslowrefを設定する(ステップS304)。
【0047】
ステップS304に続いて、ブラシレスモータ111が停止したか否かを判断する(ステップS305)。ステップS305において、ブラシレスモータ111が停止した場合には処理を終了し、ブラシレスモータ111が停止していない場合には処理をステップS201に戻す。
【0048】
以上より、実施の形態1にかかるオイルポンプ用モータ駆動装置110では、ブラシレスモータ111におけるロータ116の回転数が所定の回転数より小さい場合に、d軸電流指令値Idrefを零より大きい値に設定する。このようにすると、d軸電流Idにプラスの電流が流れて誘起電圧eを大きくすることができるので、ブラシレスモータ111のロータ116が低速回転している時にもセンサレスで位相誤差Δθを精度良く推定することができる。これにより、ベクトル制御センサレス方式により、低速回転時にも脱調などを引き起こす可能性がなく安定してオイルポンプ用のブラシレスモータの駆動制御をすることができる。
【0049】
また、オイルポンプ用モータ駆動装置110では、回転指令が急に変化した場合に、特許文献2に記載の技術のようにオープンループ制御を行う必要がないので、特許文献2に記載の技術で制御する場合と比べて速度応答性が速い。また、オイルポンプ用モータ駆動装置110では、低速回転時に、ロータの変形に伴う振動が発生するおそれもない。
【0050】
<実施の形態2>
以下、図面を参照して本発明の実施の形態2について説明する。なお、実施の形態1と共通の部分については共通の符号を付してその説明を省略する。
実施の形態2にかかるオイルポンプ用モータ駆動装置の概略構成は、図2に示すオイルポンプ用モータ駆動装置110の概略構成と同じである。また、オイルポンプ用モータ駆動装置110の制御部114による、ブラシレスモータ111の駆動制御における処理フローは、実施の形態1において図3図6(または図8)を用いて説明した処理と基本的に同じである。
【0051】
本実施の形態では、図2に示すブラシレスモータ111の駆動制御において、ブラシレスモータ111の回転数が所定の回転数よりも小さい場合に、制御部114は、q軸電流Iqの値を監視し、q軸電流Iqの値の増減に追随してd軸電流Idの値が増減するように制御する。つまり、本実施の形態では、制御部114は、q軸電流Iqが外乱などにより変化した場合に、ブラシレスモータ111のトルク変動が起こったと判断し、q軸電流Iqの値の増減に追随してd軸電流Idの値が増減するように、d軸電流指令値Idrefを増減させる。この点が実施の形態1とは異なる特徴点である。
【0052】
図9は、ブラシレスモータ111の回転数が所定の回転数よりも小さい場合の、d軸電流Idとq軸電流Iqの経時変化の一例を模式的に示す図である。ここで、縦軸は電流値[A]、横軸は経過時間[s]である。また、実線L1がd軸電流Id、破線L2がq軸電流Iqである。図9に示すように、q軸電流Iqが増加したタイミングに同期させてd軸電流Idを増加させている。
【0053】
図10は、ロータ116の回転数が所定の回転数より小さい場合に、q軸電流Iqの変化を監視し、q軸電流Iqの増減に追随させてd軸電流指令値Idrefを増減させる処理フローの一例について説明するフローチャートである。なお、以下の説明において、図2に示すオイルポンプ用モータ駆動装置110の回路ブロック図を適宜参照する。また、図10に示す処理フローの一例は、図6に示すフローチャートに、実施の形態1と異なる上記特徴点に関する処理を追加したものである。図6に示すフローチャートの代わりに、図8に示すフローチャートに、実施の形態1と異なる上記特徴点に関する処理を追加してもよいのはいうまでもない。
【0054】
図10に示すように、まず、ロータ116の回転数を検出する(ステップS401)。続いて、ロータ116の回転数が所定の回転数より小さいか否かを判断する(ステップS402)。ステップS402において、ロータ116の回転数が所定の回転数以上の場合(NOの場合)、処理を後述するステップS409に進める。ステップS402において、ロータ116の回転数が所定の回転数より小さい場合(YESの場合)、d軸電流指令値Idrefを所定の値に設定する(ステップS403)。
【0055】
ステップS403に続き、ロータ116の回転数は実質的に一定か否かを判断する(ステップS404)。続いて、q軸電流Iqをサンプリングする(ステップS405)。続いて、今回サンプリングしたq軸電流Iq(n)が前回のサンプリングしたIq(n−1)に対して、増加したか(Iq(n)>Iq(n−1))、減少したか(Iq(n)<Iq(n−1))、増加も減少もしていないか(Iq(n)=Iq(n−1))を判断する(ステップS406)。なお、今回サンプリングしたq軸電流Iq(n)が前回のサンプリングしたIq(n−1)に対して増加も減少もしていない(Iq(n)=Iq(n−1))とは、Iq(n)とIq(n−1)との差分ΔIq(ΔIq=Iq(n)−Iq(n−1))が所定の範囲内(−α≦ΔIq≦α、α>0)にあることを意味する。同様に、差分ΔIqが所定の範囲の上限を上回る場合(ΔIq>α)はIq(n)>Iq(n−1)であり、差分ΔIqが所定の範囲の下限を下回る場合(ΔIq<−α)はIq(n)<Iq(n−1)であると判断する。
【0056】
ステップS406において、Iq(n)=Iq(n−1)と判断された場合、処理を後述するステップS409に進める。ステップS406において、Iq(n)>Iq(n−1)と判断された場合、d軸電流指令値IdrefにΔIqの大きさに応じた電流ΔIdを加えて(Idref=Idref+ΔId)(ステップS407)、処理を後述するステップS409に進める。ステップS406において、Iq(n)<Iq(n−1)と判断された場合、d軸電流指令値IdrefにΔIqの大きさに応じた電流ΔIを減じて(Idref=Idref−ΔId)(ステップS408)、処理を後述するステップS409に進める。
【0057】
そして、ブラシレスモータ111が停止したか否かを判断する(ステップS409)。ステップS409において、ブラシレスモータ111が停止した場合には処理を終了し、ブラシレスモータ111が停止していない場合には処理をステップS401に戻す。
【0058】
q軸電流Iqの増加は、外乱などによりブラシレスモータ111の負荷が増加したときに起こる。これは、ブラシレスモータ111に加わる負荷が増加するとブラシレスモータ111の回転数が低下するが、ブラシレスモータ111の回転数を維持するためにはq軸電流Iqを増加させる必要があるからである。負荷の増加によりq軸電流Iqが増加したときにd軸電流Idを増加させないと、誘起電圧が電流誤差を精度良く検出するために十分な大きさにならず、位相誤差Δθを精度良く推定することができないおそれがある。反対に、q軸電流Iqの減少は、何らかの要因でブラシレスモータ111の負荷が低下したときに起こる。q軸電流Iqが減少したときにd軸電流Idを減少させないと、誘起電圧が電流誤差を精度良く検出するために十分な大きさ以上になるのでモータ効率が低下する。
【0059】
本実施の形態にかかるオイルポンプ用モータ駆動装置では、上述したように、ブラシレスモータの回転数が所定の回転数よりも小さい場合に、q軸電流Iqの変化を監視し、q軸電流Iqの増減に追随させてd軸電流指令値Idrefを増減させる。これにより、ブラシレスモータを低速回転させている際に負荷変動が起こっても、d軸電流Idを十分に推定するために必要十分な大きさにすることができる。
【0060】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は既に述べた実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることはいうまでもない。
【0061】
例えば、上記実施の形態において、ブラシレスモータの起動時にd軸電流Idのオープンループ制御を行ってもよい。なお、d軸電流Idのオープンループ制御を行う方法は、特許文献2などに記載された既知の方法であり、ここではその詳細について説明しない。上記実施の形態において、起動時にd軸電流Idのオープンループ制御を行うと、起動時のロータの位置を正確に把握することができるので、起動後の低速運転においてロータの位置の推定精度がより向上する。これにより、起動後の低速運転においてブラシレスモータの駆動制御をより安定して行うことができる。
【符号の説明】
【0062】
10、110 オイルポンプ用モータ駆動装置
11、111 ブラシレスモータ
12、112 モータ駆動回路
13、113 電流検出部
14、114 制御部
15 コイル
16、116 ロータ
115u U相巻線
115v V相巻線
115w W相巻線
117a、117b、117c、117d、117e、117f スイッチング素子
118a、118b、118c、118d、118e、118f ダイオード
119 電源回路
120 ゲートドライブ回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10