特開2018-202382(P2018-202382A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-202382(P2018-202382A)
(43)【公開日】2018年12月27日
(54)【発明の名称】液体処理装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/48 20060101AFI20181130BHJP
   A01G 31/00 20180101ALI20181130BHJP
【FI】
   C02F1/48 B
   A01G31/00 601A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2018-9954(P2018-9954)
(22)【出願日】2018年1月24日
(31)【優先権主張番号】特願2017-107017(P2017-107017)
(32)【優先日】2017年5月30日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100091524
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 充夫
(72)【発明者】
【氏名】松田 源一郎
(72)【発明者】
【氏名】北井 崇博
(72)【発明者】
【氏名】山田 芳生
(72)【発明者】
【氏名】三宅 岳
(72)【発明者】
【氏名】北原 由紀子
【テーマコード(参考)】
2B314
4D061
【Fターム(参考)】
2B314MA46
2B314PA08
2B314PA13
4D061DA02
4D061DB01
4D061DB09
4D061EA13
4D061EB02
4D061EB07
4D061EB14
4D061EB16
4D061EB19
4D061EB31
4D061EB33
4D061EB37
4D061ED20
4D061FA20
4D061GA01
4D061GA02
4D061GA20
4D061GA21
4D061GA22
4D061GC01
4D061GC11
4D061GC20
(57)【要約】
【課題】プラズマを効率良く発生させて液体を迅速に殺菌できて液体の処理時間が短縮できて殺菌能力が高まるとともに、空気導入不要で放電が安定する液体処理装置を提供する。
【解決手段】導入された液体L1を旋回させることにより、液体L1の旋回流F1の旋回中心付近に気相Gを発生させる処理槽12と、処理槽内に少なくとも一部が配置されて処理槽内の液体に接触する第1電極30と、処理槽内の液体に接触するように配置された第2電極31と、第1電極と第2電極との間に電圧を印加して気相にプラズマを発生させる電源60とを備えて、気相にプラズマを発生させて、液体を殺菌するとともに改質成分を生成し、生成した改質成分が液体に溶解して液体中に分散して、処理液を生成し、生成した処理液で被処理槽41内の培養液42を殺菌したのち、被処理槽41から被処理水を処理槽に導入する。
【選択図】図6D
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導入部から導入される液体を中心軸周りに旋回させることにより、前記液体の旋回流の旋回中心付近に気相を発生させるとともに、前記導入部から導入された前記液体を、前記導入部との間で旋回させて前記旋回流を発生させたのち処理液として排出する排出部を有する処理槽と、
前記処理槽内に少なくとも一部が配置されて前記処理槽内の前記液体に接触する第1電極と、
前記処理槽内の前記液体に接触するように配置された第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に電圧を印加して前記気相にプラズマを発生させて前記液体を殺菌して前記処理液とするとともに改質成分を前記処理液中に生成する電源と、
前記処理槽の前記排出部の開口より大きい縦断面積を有するマイクロバブル発生室を有し、前記マイクロバブル発生室内で前記処理槽の前記排出部から前記処理液を排出することでマイクロバブル又はナノバブルを生成し、前記生成したマイクロバブル又はナノバブルを前記処理液の中に拡散させるマイクロバブル発生部と、
植物栽培用の培養液を保持して前記マイクロバブル発生部から供給される前記処理液で前記培養液を殺菌するとともに、殺菌した被処理水を、少なくとも前記液体の一部として、前記処理槽に向けて排出する被処理槽と、
前記処理槽の前記導入部から前記処理槽内に導入した前記液体を、前記処理槽と前記被処理槽との間で前記マイクロバブル発生部を介して循環可能とするポンプとを備えて、
前記液体により前記導入部と前記排出部との間で形成された前記旋回流の前記気相に前記プラズマを発生させて、前記液体を殺菌するとともに前記改質成分を生成し、生成した改質成分が前記処理液に溶解して前記処理液中に分散し、この処理液を前記マイクロバブル発生部を介して前記被処理槽に導入して前記培養液を殺菌したのち排出される前記被処理水を前記ポンプにより前記処理槽に少なくとも前記液体の一部として導入する、
液体処理装置。
【請求項2】
前記マイクロバブル発生部と前記被処理槽との間に配置されて、前記被処理槽に供給される前記処理液に対して追肥を行う追肥装置をさらに備える、
請求項1に記載の液体処理装置。
【請求項3】
前記マイクロバブル発生部と前記追肥装置との間に配置されて前記マイクロバブル発生部から供給される前記処理液のpHもしくは電気伝導度を測定する電気的特性測定装置と、
前記電気的特性測定装置の測定結果に基づいて、前記追肥装置の追肥動作を制御する追肥制御部とをさらに備える、
請求項2に記載の液体処理装置。
【請求項4】
前記処理槽と前記被処理槽との間に配置されて前記マイクロバブル発生部から供給される前記処理液の過酸化水素濃度を測定する過酸化水素濃度測定装置と、
前記過酸化水素濃度測定装置よりも前記処理液の流路の下流側に配置され、前記処理液から過酸化水素を除去する過酸化水素除去装置と、
前記過酸化水素除去装置に接続され、前記過酸化水素濃度測定装置で測定された前記過酸化水素濃度の測定結果に基づいて、過酸化水素除去動作を制御する、過酸化水素除去制御装置と、
前記過酸化水素除去装置で除去した過酸化水素から発生させた酸素を前記処理液に導入する酸素供給部とをさらに備える、
請求項3に記載の液体処理装置。
【請求項5】
前記被処理槽と前記処理槽の間に配置されて前記処理槽に導入される前記液体の液量もしくは液圧を検出する液検出センサーと、
前記液検出センサーでの検出結果を基に前記電源を制御する処理液制御部とを備える、
請求項1〜4のいずれか1つに記載の液体処理装置。
【請求項6】
前記第1電極は、前記液体の前記旋回流の前記の旋回中心付近に発生させた前記気相に接触するように、もしくは前記気相の近傍に位置するように配置される、
請求項1〜5のいずれか1つに記載の液体処理装置。
【請求項7】
前記処理槽の前記導入部から導入される前記液体は、前記被処理槽から排出された前記被処理水とを含む、
請求項1〜6のいずれか1つに記載の液体処理装置。
【請求項8】
前記処理槽は、前記導入部から供給された前記液体を旋回させて前記旋回流を発生させる円筒状もしくは円錐台形状の第1内壁を有し、
前記第1電極は、前記第1内壁の中心軸上もしくは中心軸近傍に配置される、
請求項7に記載の液体処理装置。
【請求項9】
前記第1電極は、前記中心軸もしくは前記中心軸近傍の一方の端部側に配置され、
前記第2電極は、前記中心軸もしくは前記中心軸近傍の他方の端部側に配置され、
前記導入部は、前記中心軸の前記一方の端部側に配置され、
前記排出部は、前記中心軸の前記他方の端部側に配置される、
請求項8に記載の液体処理装置。
【請求項10】
前記第2電極は、前記第1内壁の前記他方の端部側の前記第1内壁の前記中心軸の周りの一部にもしくは前記中心軸の全周を取り囲む様に配置される板状の電極である、
請求項9に記載の液体処理装置。
【請求項11】
前記第2電極は、前記第1内壁の前記他方の端部側の前記第1内壁の前記中心軸の側方に配置される、
請求項9に記載の液体処理装置。
【請求項12】
前記第2電極は、前記第1内壁の前記他方の端部側の前記第1内壁の前記中心軸の一部もしくは全周を取り囲むように配置される筒状の電極である、
請求項9に記載の液体処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を電気化学的に処理する液体処理装置に関し、その被処理液を供給することで、除菌された水で植物を育成することができる装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図15に、従来の液体処理装置の例を示す。液体803(例えば、水)の中に、第1電極801および第2電極802を配置し、パルス電源804から両電極801,802間に高電圧パルスを印加して液体803を気化させ、プラズマ805を発生させ、液体803に対してプラズマ処理を行って、例えば、ヒドロキシルラジカル(OHラジカル)又は過酸化水素等の酸化力を持つ成分で殺菌する液体処理装置が知られている。特に、OHラジカルは高い酸化力を有することが知られており、これらの成分で、例えば、菌に対して、高い殺菌作用があるとされている。また、液体803の中でプラズマ805を発生させることで、プラズマ805が液体803で覆われており、液体由来の成分を発生させやすいことが知られている。例えば、水の中でプラズマ805を発生させることで、OHラジカル又は過酸化水素が生成されやすいことが知られている。
【0003】
しかしながら、上記従来の液体処理装置の場合、液体803を気化させるために高い印加電圧が必要なだけでなく、プラズマ805の発生効率が低く、液体803を殺菌するのに長時間を要するという問題があった。
【0004】
そこで、印加電圧を低くしつつプラズマの発生効率を向上させるために、両電極間に外部より導入した気体を介在させるようにした液体処理装置が知られている(特許文献1参照)。特許文献1に記載の液体処理装置(図16)では、アノード電極901とカソード電極902との間に被処理液903とともに気体904(例えば、酸素)を介在させた上で、両電極901,902間にパルス電圧を印加する。パルス電圧の印加により、気体904内にプラズマが発生し、液体803に対してプラズマ処理を行って殺菌する。特許文献1に記載の液体処理装置によれば、気体を介在させない場合よりも印加電圧を低減させることができ、かつ、プラズマを効率良く発生させて被処理液903の殺菌を行うことができる。
【0005】
このような液体処理装置で処理した処理液を植物栽培用の培養液が入った槽などに供給すれば、除菌された水で植物を育成できる装置が考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4041224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記従来の液体処理装置では、プラズマの発生効率が低く、液体の処理に長い時間がかかり浄化能力言い換えれば殺菌能力が弱まるとともに、空気導入により放電が安定しないといった課題がある。
【0008】
本発明は、このような点に鑑み、プラズマを効率良く発生させて液体を迅速に殺菌できて液体の処理時間が短縮でき、殺菌能力が高まるとともに、空気導入不要で放電が安定する、液体処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の1つの態様にかかる液体処理装置は、
導入部から導入される液体を中心軸周りに旋回させることにより、前記液体の旋回流の旋回中心付近に気相を発生させるとともに、前記導入部から導入された前記液体を、前記導入部との間で旋回させて前記旋回流を発生させたのち処理液として排出する排出部を有する処理槽と、
前記処理槽内に少なくとも一部が配置されて前記処理槽内の前記液体に接触する第1電極と、
前記処理槽内の前記液体に接触するように配置された第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に電圧を印加して前記気相にプラズマを発生させて前記液体を殺菌して前記処理液とするとともに改質成分を前記処理液中に生成する電源と、
前記処理槽の前記排出部の開口より大きい縦断面積を有するマイクロバブル発生室を有し、前記マイクロバブル発生室内で前記処理槽の前記排出部から前記処理液を排出することでマイクロバブル又はナノバブルを生成し、前記生成したマイクロバブル又はナノバブルを前記処理液の中に拡散させるマイクロバブル発生部と、
植物栽培用の培養液を保持して前記マイクロバブル発生部から供給される前記処理液で前記培養液を殺菌するとともに、殺菌した被処理水を、少なくとも前記液体の一部として、前記処理槽に向けて排出する被処理槽と、
前記処理槽の前記導入部から前記処理槽内に導入した前記液体を、前記処理槽と前記被処理槽との間で前記マイクロバブル発生部を介して循環可能とする循環ポンプとを備えて、
前記液体により前記導入部と前記排出部との間で形成された前記旋回流の前記気相に前記プラズマを発生させて、前記液体を殺菌するとともに前記改質成分を生成し、生成した改質成分が前記処理液に溶解して前記処理液中に分散し、この処理液を前記マイクロバブル発生部を介して前記被処理槽に導入して前記培養液を殺菌したのち排出される前記被処理水を前記ポンプにより前記処理槽に少なくとも前記液体の一部として導入する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の前記態様にかかる液体処理装置によれば、旋回流中で液体を気化させ、生成された気相にパルス電圧を印加してプラズマを発生させて液体を殺菌できるとともに、殺菌作用を有する改質成分を持つ処理液を生成できる。電圧印加により液体を気化させる必要がないため、少ない電力でプラズマを効率良く発生させることができ、液体及び被処理水の殺菌を効率良く、迅速に行うことができて処理時間が短縮でき、殺菌能力が高まる。また、外部から空気を導入することなく液体及び被処理水の殺菌処理を行うため、放電が安定するとともに、有害物質である亜硝酸の生成を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態1にかかる液体処理装置の液体処理部の構成を示す側面断面図
図2】装置本体の側面断面図
図3図2の3―3線における断面図
図4】処理槽の内部に旋回流が発生しており、電圧を印加していない状態を示す側面断面図
図5図4の5−5線における断面図
図6A】処理槽の内部に旋回流が発生しており、電圧を印加した状態を示す側面断面図
図6B図6Aの気相中にプラズマが発生した状態の部分拡大図
図6C】液体処理装置のマイクロバブル発生部でマイクロバブル等を生成している状態の側面断面図
図6D】液体処理装置の全体構成を示す説明図
図6E】本発明の実施形態2にかかる液体処理装置の全体構成を示す説明図
図6F】本発明の実施形態3にかかる液体処理装置の全体構成を示す説明図
図6G】本発明の実施形態4にかかる液体処理装置の全体構成を示す説明図
図7】装置本体の変形例を示す側面断面図
図8】装置本体の変形例を示す側面断面図
図9A】装置本体の変形例を示す側面断面図
図9B図9Aとは異なる装置本体の変形例を示す側面断面図
図10】装置本体の変形例を示す側面断面図
図11】装置本体の変形例を示す側面断面図
図12】装置本体の変形例を示す側面断面図
図13】装置本体の変形例を示す側面断面図
図14A】装置本体の変形例を示す側面断面図
図14B】装置本体の変形例においてマイクロバブル発生部の一部に銅材を配置した側面断面図
図15】従来の液体処理装置の概略構成図
図16】気体導入装置を備える従来の液体処理装置の概略構成図
【発明を実施するための形態】
【0012】
[実施形態1]
以下、図面を参照し、本発明の実施形態に係る、液体処理部100を有する液体処理装置101を詳しく説明する。図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。なお、説明を分かりやすくするために、以下で参照する図面においては、構成が簡略化または模式化して示されたり、一部の構成部材が省略されたりしている。また、各図に示された構成部材間の寸法比は、必ずしも実際の寸法比を示すものではない。
【0013】
[全体構成]
液体処理装置101は、少なくとも、マイクロバブル発生部90を有する液体処理部100と、植物栽培用の培養液42を保持する被処理槽41とを備えている(図6D参照)。液体処理部100は、殺菌処理を行うとともに被処理槽41での殺菌処理で使用する処理液L2を生成する装置として機能する。
【0014】
まず、実施形態1にかかる液体処理装置101の液体処理部100の全体構成について説明する。図1は、本発明の実施形態1にかかる液体処理部100の構成を示す側面断面図である。以下の図では、矢印Fは液体処理部100の前方向を示し、矢印Bは後方向を示す。矢印Uは上方向を示し、矢印Dは下方向を示す。矢印Rは後方向から見て右方向、矢印Lは後方向から見て左方向を示す。
【0015】
液体処理部100は、液体の中で放電することによって、液体を殺菌するとともに改質成分を生成し、生成した改質成分を液体の中に分散させることで処理液を生成する。本実施形態1では、液体の例として後述する被処理槽41から排出される被処理水L1の殺菌処理を行うとともに、被処理槽41での殺菌処理に使用するため、被処理水L1を改質して改質成分としてOHラジカル又は過酸化水素等の改質成分を含んだ処理液L2を生成する場合について説明する。ここで、被処理水L1とは、後述する被処理槽41に保持された培養液42が処理液L2で殺菌されて被処理槽41からそれぞれ排出される液体と、培養液42と、処理液L2となどを含む液体であって、循環用配管81及び配管51を通して液体供給部50で処理槽12に導入される液体を意味する。
【0016】
液体処理部100は、少なくとも、処理槽12と、第1電極30と、第2電極31と、電源60とを備えている。より具体的には、液体処理部100は、装置本体10、液体供給部50、マイクロバブル発生部90、および電源60を備えている。装置本体10は、処理槽12、導入部15、排出部17、第1電極30、および第2電極31を備えている。
【0017】
処理槽12は、内部に導入された被処理水L1をプラズマにより、液体L1を殺菌するとともに改質成分(例えば、OHラジカル又は過酸化水素等)を生成して処理液L2を生成させる部分である。処理槽12の材質は絶縁体でもよいし、導体でもよい。導体の場合には、各電極30,31との間に絶縁体を介在する必要がある。前記改質成分がマイクロバブル発生部90に排出される際に、改質成分が被処理水L1に分散され、処理液L2が生成される。
【0018】
処理槽12の内壁の正面断面形状は円形である(図3参照)。言い換えれば、処理槽12は、処理槽12の被処理水L1の旋回軸X1沿いの一端側が閉口した断面形状が円形である円柱状の処理室を有している。導入部15は、処理槽12の一端に配置されて、処理槽12に被処理水L1を処理槽12の中心軸X1と直交する円形の断面形状の接線方向から導入する。導入部15は、配管51を介して液体供給部50に連通している。排出部17は、処理槽12の他端に配置されて、処理槽12に導入された被処理水L1と処理槽12で生成された改質成分を処理槽12からマイクロバブル発生部90に排出させる。本実施形態1では、排出部17は、マイクロバブル発生部90の処理液供給口91に接続されている。
【0019】
第1電極30は、処理槽12の一端の内部に配置されている。第1電極30は、処理槽12の一端の内壁の中央から処理槽12内に、長手方向沿いに突出配置されている。
【0020】
第2電極31は、処理槽12の他端の壁の外側に配置されて、排出部17の近傍に配置されている。
【0021】
第1電極30は電源60が接続されており、第2電極31は接地されている。第1電極30および第2電極31には、電源60により高電圧のパルス電圧が印加される。第1電極30の材質は、一例としてタングステンを使用している。
【0022】
液体供給部50は、一例として、処理槽12内に被処理水L1を供給するポンプである。ポンプ50は、配管51に接続されている。配管51の一端は、処理槽12の一端の内壁近傍に配置された内側開口としての導入部15に接続されており、配管51の他端は図示しない液体供給源(例えば、水タンク80)又は被処理槽41と接続されて、マイクロバブル発生部90の処理液L2を含んだ被処理槽41からの被処理水L1を、処理槽12と被処理槽41との間でマイクロバブル発生部90を介して循環できる形に接続されている(図1の一点鎖線の循環用配管81などを参照)。
【0023】
電源60は、第1電極30と第2電極31との間に高電圧のパルス電圧を印加する。電源60は、正のパルス電圧と負のパルス電圧とを交互に印加する、いわゆるバイポーラーパルス電圧を印加することができる。
【0024】
マイクロバブル発生部90は、マイクロバブル発生室90f内で液体処理部100から排出される改質成分をせん断し、改質成分を内包したマイクロバブル又はナノバブルを生成し、水の中に拡散させる槽である。具体的には、マイクロバブル発生部90は、処理槽12の排出部17の開口断面積より大きい断面積のマイクロバブル発生室90fを内部に有して、排出部17からマイクロバブル発生部90内に排出された改質成分をマイクロバブル発生部90でせん断し、改質成分を内包したマイクロバブル、又は、マイクロバブル及びナノバブルをマイクロバブル発生部90内で生成して、水の中に拡散させる。よって、マイクロバブル発生部90はマイクロバブル生成槽として機能する。マイクロバブル発生部90としては、少なくとも、処理槽12の排出部17の開口の内径寸法の倍以上の内径又は一辺を確保することにより、殺菌を確実に行える処理液L2をマイクロバブル発生部90で確実に生成することができる。
【0025】
マイクロバブル発生部90は、図6Dに示すように、例えば処理槽側の側壁の中央に配置されて処理槽12の排出部17に接続される処理液供給口91と、処理槽側とは反対側の側壁の処理液供給口91と同様な中央に配置された処理液排出口90bとを有している。マイクロバブル発生室90fとしては、少なくとも、処理槽12の排出部17の開口より大きい縦断面積を有している。さらに、好ましくは、マイクロバブル発生室90fとして、処理槽12の処理室の縦断面積よりも小さくして、処理液L2をマイクロバブル発生部90から被処理槽41に早く供給できるようにしている。なお、図1図6Cなどでは、理解しやすくするため、処理槽12に対してマイクロバブル発生部90の大きさを誇張して図示しているが、実際の大きさ比率は図6D図6Fが正しく、他の図では、マイクロバブル発生部90の大きさを拡張して図示している。
【0026】
このようなマイクロバブル発生部90では、処理槽12中の気相GにプラズマPを発生させて、被処理水L1を殺菌するとともに改質成分を生成する。生成した改質成分が、液体に溶解して液体中に分散して処理液L2を生成し、生成した処理液L2が、処理槽12の排出部17からマイクロバブル発生部90の処理液供給口91を経てマイクロバブル発生部90内に排出されたのち、マイクロバブル発生部90の処理液排出口90bから排出される。
【0027】
図6Dでは、配管51は、被処理槽41に連結されて、循環用配管81の一部を構成している。被処理槽41の被処理水L1が循環用配管81及びポンプ50を介して導入部15から処理槽12内に供給され、処理槽12の排出部17から処理液L2が排出され、排出された処理液L2がマイクロバブル発生部90に処理液供給口91から導入され、さらに、処理液L2がマイクロバブル発生部90の処理液排出口90bから排出されて、被処理槽41に供給され、さらに被処理槽41から排出されて処理槽12にポンプ50を介して導入されることにより、液体が処理槽12とマイクロバブル発生部90と被処理槽41との間で循環するように構成されている。
【0028】
このような液体処理部100の他に、液体処理装置101としては、被処理槽41をさらに備えている。
【0029】
被処理槽41は、植物を栽培するための培養液42を保持しており、マイクロバブル発生部90から処理液L2が供給されて、培養液42を殺菌できるようにしている。
【0030】
[装置本体]
次に、装置本体10について詳細に説明する。図2は、装置本体10の側面断面図である。
【0031】
処理槽12は、第1内壁21、第2内壁22、および第3内壁23を有している。第1内壁21は、筒状の壁部である。第2内壁22は、第1内壁21の図2の左端部に設けられている。第3内壁23は、第1内壁21の図2の右端部に設けられている。第2内壁22および第3内壁23は、側面視では略円形である。第1内壁21、第2内壁22、および第3内壁23により、処理槽12の内部には、略円柱状の収容空間83が構成されている。第1内壁21の中心軸、つまり、処理槽12の内部に構成される略円柱状の収容空間83の仮想の中心軸を軸X1とする。
【0032】
第2内壁22には、収容空間83内に突出した円筒状の電極支持筒24が中央に設けられている。電極支持筒24は、筒状であり右方に延びている。電極支持筒24は、その中心軸が第1内壁21の中心軸X1と一致するように配置されている。電極支持筒24の内側には、絶縁体53を介して第1電極30が支持されている。第1電極30は棒状であり、絶縁体53は第1電極30の周囲に配置されている。このため、第1電極30は、長手方向の軸が第1内壁21の中心軸X1と一致するように配置されている。第1電極30の右端部301の内側端面と、絶縁体53の内側端面と、電極支持筒24の内側端面241とは、ほぼ同じ面内に配置されるように構成されている。
【0033】
導入部15は、装置本体10を貫通しており、一方の開口端151が第1内壁21に形成されている。導入部15は、側面視では、第2内壁22に隣接した位置に配置されている。また、図3は、図2の3―3線における断面図である。導入部15は、第1内壁21の壁面に配置されている。
【0034】
排出部17は、第3内壁23の中央部を貫通している。排出部17は、その中心軸が第1内壁21の中心軸X1と一致するように形成されている。
【0035】
第2電極31は、板状の金属部材であり、中央部に開口部311が形成されている。開口部311は円形であり、その中心が第1内壁21の中心軸X1と一致するように形成されている。
【0036】
[動作]
次に、液体処理部100の動作について説明する。以下では、説明の便宜上、処理槽12の内部に気相を発生させる状態(図4および図5)と、発生させた気相Gにパルス電圧を印加してプラズマPを発生させる状態(図6A及び図6B)とを別図に分けて説明する。図4は、処理槽12の内部に旋回流F1が発生しており、パルス電圧を印加していない状態を示す側面断面図である。
【0037】
まず、図4に示すように、ポンプ50で被処理槽41の被処理水L1を吸い込んで、導入部15から処理槽12に被処理水L1が所定の圧力で導入される。すると、被処理水L1は、第1内壁21に沿って、旋回流F1を発生させながら導入部15から図4の右方に向けて移動する。旋回しながら図4の右方に移動した旋回流F1は、排出部17に向けて移動する。
【0038】
旋回流F1により、第1内壁21の中心軸X1付近の圧力が飽和水蒸気圧以下に低下し、被処理水L1の一部が気化した水蒸気が発生することで、気相Gが第1内壁21の中心軸X1付近に生成される。気相Gは、旋回中心付近、具体的には、第1電極30の右端部301から第1内壁21の中心軸X1に沿って、第2電極31の開口部311の付近まで発生する。また、気相Gは、接している旋回流F1により、旋回流F1と同方向に旋回している。旋回している気相Gは、排出部17の近傍でマイクロバブル発生部90内の水の抵抗を受ける事で、マイクロバブル又はナノバブルにせん断され、排出部17から、排出部17に接続されたマイクロバブル発生部90の処理液供給口91を介してマイクロバブル発生部90に拡散される。
【0039】
図5は、図4の5−5線における断面図である。図4で説明したように、導入部15から処理槽12に被処理水L1が所定の圧力で導入されると、被処理水L1は、第1内壁21に沿った図5の右回りの旋回流F1を発生させる。被処理水L1が処理槽12の内部で旋回することで、旋回流F1の中心付近、つまり第1内壁21の中心軸X1付近の圧力が飽和水蒸気圧以下に低下し、第1内壁21の中心軸X1付近において被処理水L1の一部が気化した水蒸気が発生することで、気相Gが生成される。
【0040】
図6A及び図6Bは、処理槽12の内部に旋回流F1が発生しており、パルス電圧を印加した状態を示す側面断面図である。図6Aに示すように、被処理水L1が気化した気相Gが、第1電極30の近傍から第2電極31の付近まで発生されている状態で、電源60により、第1電極30と第2電極31との間に高電圧のパルス電圧を印加する。図6Bは、気相G中にプラズマPが発生している状態を示す拡大図である。第1電極30と第2電極31とは、高電圧のパルス電圧が印加されると、気相G内にプラズマPが発生し、液体L1が殺菌されるとともに、改質成分として水由来のラジカル(OHラジカル等)又は化合物(過酸化水素等)又はイオンを生成する。前記改質成分を含んだ気相Gは、周辺にある旋回流F1により、旋回流F1と同方向に旋回する。前記改質成分を含んだ気相Gが旋回することにより、前記改質成分の一部が、旋回流F1側へ溶解することで、被処理水L1の中に改質成分が分散する。加えて、排出部17付近の前記改質成分を含んだ気相Gは、マイクロバブル発生部90内の処理液L2の抵抗を受ける事でせん断され、改質成分を含有した気泡BAを生じる。また、マイクロバブル発生部90内に処理液を供給されることで、負圧である気相Gに空気が混入することを防いでいる。この様に、プラズマPにより生成した改質成分が気泡状態もしくは処理液L2の中に溶け込んだ状態で、処理液L2処理液L2がマイクロバブル発生部90に供給される。
【0041】
マイクロバブル発生部90に供給された処理液L2は、被処理槽41に供給される。
【0042】
被処理槽41内の培養液42に処理液L2が接触すると、処理液L2中のOHラジカル又は過酸化水素により培養液42が殺菌される。殺菌された培養液42及び処理液L2などは、その一部が被処理槽41から排出され、被処理水L1として処理槽12にポンプ50を介して導入され、液体として、処理槽12からマイクロバブル発生部90及び被処理槽41を介して再び処理槽12に循環することになる。
【0043】
なお、図6Dの液体処理装置101では、液検出センサー49と、処理液制御部48とをさらに備えている。
【0044】
液検出センサー49は、被処理槽41と処理槽12との間、詳しくは被処理槽41とポンプ50との間に配置されて、被処理槽41から処理槽12に導入される被処理水L1の液量もしくは液圧を検出するセンサーである。
【0045】
処理液制御部48は、液検出センサー49での検出結果を基に電源60及びポンプ50をそれぞれ独立して駆動制御して、先の動作を達成できるように制御している。この処理液制御部48により、処理槽12全体が液体で満たされた状態になってから放電を行い、処理槽12全体が液体で満たされていない状態では放電しないように制御することができる。これにより、放電の安定化を、より確実に達成することができる。
【0046】
以上説明した本実施形態1によれば、旋回流F1中で被処理水L1を気化させ、生成された気相Gにパルス電圧を印加してプラズマPを発生させて液体である被処理水L1を殺菌するとともに液体から改質成分(液体由来のラジカル又は化合物等)を含む処理液L2を生成する。そのため、気相Gは、ジュール熱によって気化させた気体、もしくは外部から導入した気体によって形成される気相よりも負圧となっており、小さな電圧(すなわち、少ない電力)でプラズマPを発生できるので、処理槽内での液体の殺菌処理が効率良くできる。さらに、ジュール熱によって水を気化させないので、投入するエネルギーが小さくなる。また、外部から気体を導入しないので、気体供給装置が不要となり、液体処理装置101の小型化がしやすくなる。
【0047】
また、ジュール熱によって気化させた気体、もしくは外部から導入した気体によって形成される気相Gは、浮力により一定の形状又は一定の位置で保持することが困難である。しかし、本実施形態1の気相Gは、周りの旋回流F1により、旋回流F1の中心軸X1に集まる方向へ力が加わるので、第1電極30の右端部301の近傍に一定の気相Gを生成することができる。そのため、第1電極30と第2電極31との間に生成される気体の量の時間変化が少なく、プラズマPに必要な電力が変化しにくいので、プラズマPを安定して発生でき、被処理水L1を含む処理槽内での液体の殺菌処理が効率良く迅速にできて液体の処理時間が短縮でき、殺菌能力が高まる。
【0048】
また、プラズマPの体積はカソード電極の近傍にある気相の体積以下になるが、ジュール熱により気化させた気体、もしくは外部から導入した気体によって形成される気相Gの形状は、バブル形状なので体積が一定以上になると分裂するため、一定の体積以上のプラズマPを発生させることが困難である。しかし、本実施形態1の気相Gは、旋回流F1の旋回速度を確保できれば、中心軸X1の方向に体積を大きくすることが容易であるため、プラズマPの体積を大きくしやすい。そのため、液体の殺菌処理量及び改質成分の生成量を増加させやすく、液体を迅速に殺菌できる。
【0049】
また、液体が気化する際に体積が膨張するため、衝撃波が発生し、周辺の物体を破壊するキャビテーションが知られている。本実施形態1では、キャビテーションによる破壊が最も強くなるのは、処理槽12の内径が最も小さく、旋回流F1の旋回速度が最も早くなる排出部17である。そのため、気相Gの中でも第1電極30の右端部301は、キャビテーションの破壊が最も強くなる箇所から離れているため、キャビテーションによる第1電極30への影響を小さくなりプラズマPを安定的に発生できる。
【0050】
また、外部から空気を導入することなく被処理水L1の処理を行うため、放電が安定するとともに、空気等の窒素成分を含んだ気体を導入した気相を活用したプラズマで発生する有害な亜硝酸の生成を抑制することができる。さらに、OHラジカル又は過酸化水素等を内包した気泡BAを含んだ処理液L2を生成することができる。
【0051】
[実施形態2]
図6Eに示すように、実施形態2の液体処理装置102として、実施形態1の液体処理装置101に対して追肥装置45をさらに備えている。
【0052】
追肥装置45は、マイクロバブル発生部90と被処理槽41との間に配置されて、被処理槽41に供給される処理液L2に対して、カリウムなどの追肥成分を付与するものである。
【0053】
このように、処理槽12及びマイクロバブル発生部90の下流側に追肥装置45を配置すれば、処理液L2に加える追肥成分又は複数の追肥成分のバランスが処理槽12での放電で壊れないようにすることができる。すなわち、追肥装置45の上流側で放電を行うため、肥料成分への放電の影響を抑制することができる。
【0054】
[実施形態3]
図6Fに示すように、実施形態3の液体処理装置103として、実施形態2の液体処理装置102に対して電気的特性測定装置46と、追肥制御部47とをさらに備えている。
【0055】
電気的特性測定装置46は、マイクロバブル発生部90と追肥装置45との間に配置されてマイクロバブル発生部90から供給される処理液L2のpHもしくは電気伝導度を測定する。電気的特性測定装置46により処理液L2のpHもしくは電気伝導度を測定する理由は、放電により成分が変化するため、追肥装置45の直前で測定し、測定結果に基づいて追肥制御部47で追肥装置45により追加する肥料成分を決定して追肥する。
【0056】
追肥制御部47は、電気的特性測定装置46の測定結果に基づいて、追肥装置45の追肥動作を制御する。
【0057】
このような構成によれば、処理液L2のpHもしくは電気伝導度を電気的特性測定装置46で測定して肥料成分をモニタリングし、追肥装置45の制御を行うことで、肥料成分のさらなる安定化が可能である。
【0058】
[実施形態4]
図6Gに示すように、実施形態4の液体処理装置104として、実施形態3の液体処理装置103に対して、過酸化水素除去装置55と、過酸化水素除去制御装置56と、過酸化水素濃度測定装置57と、酸素供給部70と、酸素ガス用配管82とをさらに備えている。一例して、追肥装置45から被処理槽41までの間の循環用配管81に、過酸化水素濃度測定装置57と、過酸化水素除去装置55と、酸素供給部70とが直列的に配置されている。過酸化水素除去制御装置56は、過酸化水素除去装置55に接続されている。過酸化水素除去装置55と酸素供給部70との間には、循環用配管81に対して酸素ガス用配管82を並列的に配置している。
【0059】
過酸化水素は、酸化力により殺菌が可能であることが知られているが、処理液L2に過酸化水素が高濃度で含まれる場合では、酸化力により植物の根にも悪影響を及ぼして植物の成長が抑制されるため、過酸化水素除去装置55により、処理液L2の過酸化水素を除去する。さらに、除去した過酸化水素を分解して発生させた酸素ガスを、酸素ガス用配管82及び酸素供給部70を介して循環用配管81内に供給する。この結果、酸素ガスを処理液L2に導入することで、処理液L2の溶存酸素が上がり、植物の成長促進に繋げることができる。
【0060】
過酸化水素除去装置55による過酸化水素除去方法としては、触媒として二酸化マンガン又は活性炭を使って過酸化水素と反応させることで、過酸化水素を除去してもよい。亜硫酸ナトリウムなどの還元剤を使って過酸化水素を分解することも可能であるが、還元剤を加えることにより処理液L2の組成が変わるため、触媒を用いることが望ましい。過酸化水素除去装置55は、処理槽12と被処理槽41との間に配置される。
過酸化水素濃度測定装置57は、過酸化水素除去装置55と処理槽12との間に配置される。過酸化水素濃度測定装置57が、マイクロバブル発生部90から循環用配管81を介して供給される処理液L2の過酸化水素濃度を測定する。過酸化水素濃度測定装置57で測定した測定値が、予め設定しておいた過酸化水素濃度の値よりも濃いと過酸化水素除去制御装置56で判定した場合に、過酸化水素除去制御装置56が過酸化水素除去装置55を動作制御して、処理液L2から過酸化水素を除去する。このように構成することで、循環用配管81を流れる処理液L2の過酸化水素濃度を調節することができる。一例として、過酸化水素除去制御装置56は、処理液L2の過酸化水素濃度すなわち過酸化水素濃度測定装置57で測定した測定値が1.0ppmよりも濃いと過酸化水素除去制御装置56で判定した場合に、過酸化水素除去装置55を制御して過酸化水素の除去動作を行うことが望ましい。
【0061】
酸素ガス用配管82は、過酸化水素除去装置55と酸素供給部70との間に配置する。過酸化水素除去装置55で過酸化水素を分解除去して発生させた酸素を、酸素ガス用配管82を通して、酸素供給部70に導入する。
【0062】
酸素供給部70では、処理液L2に酸素ガスを溶解し、処理液L2の溶存酸素濃度を上げる。酸素供給部70は、例えば処理液L2の中で旋回流を起こし、過酸化水素除去装置55で過酸化水素を分解除去して発生させた酸素を旋回流によって生じる負圧で、処理液L2に酸素ガスを導入できる。このようにすることで、酸素ガス投入用のポンプを新たに設置することなく、処理液L2の溶存酸素濃度を上げることが可能になる。
【0063】
酸素供給部70は、例えばマイクロナノバブル発生装置又はエアストーンを使用して、微細バブルとして酸素を供給してもよい。特に、バブル径が1μm以下の微細バブルでは、数ヶ月にわたり液中に存在することが知られており、長期にわたって栽培期間中の処理液L2の溶存酸素濃度を上げることができ、植物の成長を促進することができる。
【0064】
このような構成によれば、処理液L2の過酸化水素濃度をモニタリングし、液体処理装置103に対して処理液L2の溶存酸素濃度を上げることができ、植物の成長を促進することが可能である。
【0065】
[変形例]
本実施形態1〜4で説明した液体処理部100の構成は一例であり、種々の変更が可能である。例えば、処理槽12の内部構造又は第1電極30又は第2電極31の位置等については、本実施形態1〜4の構造に限定されない。
【0066】
本実施形態1〜4では、処理槽12は単純な円筒形状であったが、断面形状が円形である筒状の処理槽であり、処理槽の片方の端部に処理槽の中心軸上もしくは中心軸の近傍に窄まった穴形状の排出部を有していれば、様々な形状をとることが可能である。例えば、図7に示すように、半径が異なる円筒を組み合わせた処理槽121であっても同様の効果が得られる。図7では、導入部側の半径が排出部側の半径よりも大きくなるように構成している。又は、図8に示す円錐形状の処理槽122であっても同様の効果が得られる。好ましくは、旋回流F1が前方向Fにすべるのを防ぐために、図8に示すように、断面の内径が連続的に小さくなる円錐形状が好ましい。
【0067】
また、本実施形態1〜4では、第1電極30の形状は、棒電極であったが、第1電極30の右端部301に電解が集中させる形状であれば、この限りではない。例えば、図9Aで示すように、排出部側に向けて尖った円錐形状が付いた板形状の第1電極32でもよい。また、図9Bで示すように、円錐形状の代わりに、排出部側に向けて湾曲するように突出した山形状の凸部32Bが中央部に有する板形状の第1電極32Aでもよい。第1電極32Aでは、発生するプラズマPに最も近い中央部が摩耗しやすいので、単なる平板の電極よりも、当該中央部を処理槽12内に突出させる山形状の凸部32Bを有する電極の方が寿命が長くて好ましい。さらに好ましくは、板形状の第1電極32の代わりに、電極が磨耗した際に、処理槽12内に電極の送り出しが容易な棒電極でもよい。
【0068】
また、図10で示すように、第1電極30の電極支持筒24を用いず、第2内壁22に第1電極30と絶縁体53とを取り付ける構造にしても同様の効果が得られる。好ましくは、水の電気分解又はジュール熱の発生を抑えるために、プラズマ発生に必要な第1電極30の右端部301と、電源60との接続部以外は絶縁体で覆われているほうがよい。
【0069】
また、本実施形態1〜4では、第1電極30の材質は、一例としてタングステンであったが、特に導電性のある材料であれば限定はされない。好ましくは、水中で過酸化水素と接触するとフェントン反応を起こして高い殺菌効果を発現できる金属材料が好ましい。例えば、SUS(ステンレス鋼)又は銅又は銅タングステンがよい。
【0070】
本実施形態1〜4では、第2電極31は、排出部17に配置されているが、処理槽12内に接地された第2電極の少なくとも一部が配置されていればこの限りではない。例えば、配置場所に関しては、図11に示すように、棒状の第2電極33として、第1内壁21の中心軸X1の側方に配置するようにしても、同様の効果が得られる。また、図12に示すように、処理槽12外のマイクロバブル発生部90内でかつマイクロバブル発生部90の処理液供給口91近傍に棒状の第2電極33として配置してもよい。また、図13に示すように、筒状の第2電極34として第1内壁21の内側に配置してもよい。また、開口部311は円形としたが、多角形でもよく、さらには、第2電極は、分割された複数の金属部材を組み合わせて構成してもよい。好ましくは、旋回流F1を乱さないために、丸穴を有した板状もしくは円筒形状がよい。また、気相Gと第2電極の間が短いほうが水の抵抗が小さくなりジュール熱を抑制できるため、気相Gと第2電極の間が短くなる排出部17もしくは排出部17近傍に第2電極を配置するほうがよい。
【0071】
処理槽12に導入される被処理水L1の流量は、処理槽12の形状等に応じて、旋回流F1中に気相Gが発生する流量に設定される。また、第1電極30と第2電極31とに印加されるパルス電圧については、バイポーラではなくモノポーラで印加する場合、又は、電圧、パルス幅、又は周波数等は旋回流F1中に発生した気相GにプラズマPを発生させることができる値に適宜設定することが可能である。
【0072】
さらに、本発明の効果が得られる限り、電源60はパルス電源以外の高周波電源等であってもよい。好ましくは、水の電気分解により電極間のpHが偏るので、カソードとアノードとを交互に交換できるバイポーラ印加がよい。
【0073】
マイクロバブル発生部90は槽としているが、旋回流F1をせん断するために、マイクロバブル発生部90内に水を保持できる形状であれば、これに限定されない。例えば、処理液を輸送する配管としてもよい。好ましくは、排出部17を被処理水L1で満たし処理槽12への空気の混入を防ぐために、図14Aに示すように装置本体10は処理液を上向きに排出し、マイクロバブル発生部90は装置本体10の上側にあるほうがよい。
【0074】
また、マイクロバブル発生部90を構成する材料の材質としては、水が透過しなければよい。また、例えば、図14Bに示すように、改質成分の1つである過酸化水素水とフェントン反応を起こして高い殺菌効果を発現できる銅若しくは鉄を含有した板部材93を、マイクロバブル発生部90の一部もしくはすべてに使用することができる。また、板部材93を、マイクロバブル発生部90とは別部材としてマイクロバブル発生部90内に配置してもよい。要するに、板部材93がマイクロバブル発生部90内の処理液と接触すれば、改質成分の1つである過酸化水素水とフェントン反応を起こして高い殺菌効果を発現することができる。
【0075】
以上、本発明の実施形態1〜4を説明したが、上述した実施形態1〜4は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施形態1〜4に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施形態1〜4を適宜変形して実施することが可能である。
【0076】
すなわち、前記実施形態又は前記様々な変形例のうちの任意の実施形態又は変形例を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。また、実施形態同士の組み合わせ又は実施例同士の組み合わせ又は実施形態と実施例との組み合わせが可能であると共に、異なる実施形態又は実施例の中の特徴同士の組み合わせも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明の前記態様にかかる液体処理装置は、液体の中でプラズマを発生させて液体を殺菌するとともに液体から改質成分(液体由来のラジカル又は化合物等)を含む処理液を生成して、生成した処理液の改質成分でも培養液を殺菌することができる。このため、本発明の前記態様にかかる液体処理装置は、水耕栽培での植物育成装置等に利用することが可能である。
【符号の説明】
【0078】
10 装置本体
12 処理槽
15 導入部
17 排出部
21 第1内壁
22 第2内壁
23 第3内壁
24 電極支持筒
30 第1電極
31 第2電極
32 板形状の第1電極
32A 山形状の凸部を有する板形状の第1電極
32B 山形状の凸部
33 棒状の第2電極
34 筒状の第2電極
41 被処理槽
42 培養液
45 追肥装置
46 電気的特性測定装置
47 追肥制御部
48 処理液制御部
49 液検出センサー
50 液体供給部(一例としてポンプ)
51 配管
53 絶縁体
55 過酸化水素除去装置
56 過酸化水素除去制御装置
57 過酸化水素濃度測定装置
60 電源
70 酸素供給部
80 水タンク
81 循環用配管
83 収容空間
90 マイクロバブル発生部
90b 処理液排出口
90f マイクロバブル発生室
91 処理液供給口
93 板部材
100 液体処理部
101,102,103,104 液体処理装置
121,122 処理槽
151 開口端
241 内側端面
301 右端部
311 開口部
801 第1電極
802 第2電極
803 液体
804 パルス電源
805 プラズマ
901 アノード電極
902 カソード電極
903 被処理液
904 気体
B 後方向
BA 気泡
D 下方向
F 前方向
F1 旋回流
G 気相
L 後方向から見て左方向
L1 被処理水
L2 処理液
P プラズマ
R 後方向から見て右方向
U 上方向
X1 略円柱状の収容空間の仮想の中心軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図15
図16