特開2018-203260(P2018-203260A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱重工サーマルシステムズ株式会社の特許一覧
<>
  • 特開2018203260-車両用空気調和装置 図000003
  • 特開2018203260-車両用空気調和装置 図000004
  • 特開2018203260-車両用空気調和装置 図000005
  • 特開2018203260-車両用空気調和装置 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-203260(P2018-203260A)
(43)【公開日】2018年12月27日
(54)【発明の名称】車両用空気調和装置
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/00 20060101AFI20181130BHJP
【FI】
   B60H1/00 102J
   B60H1/00 102A
   B60H1/00 102L
   B60H1/00 101Q
   B60H1/00 101F
   B60H1/00 103P
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-170550(P2018-170550)
(22)【出願日】2018年9月12日
(62)【分割の表示】特願2017-107108(P2017-107108)の分割
【原出願日】2017年5月30日
(71)【出願人】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100210572
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 太一
(72)【発明者】
【氏名】近川 法之
【テーマコード(参考)】
3L211
【Fターム(参考)】
3L211BA08
3L211BA34
3L211CA04
3L211CA07
3L211DA12
3L211DA14
3L211DA82
3L211EA03
3L211EA12
3L211EA32
3L211GA10
(57)【要約】
【課題】リヤ側に吹出す気流の温度を独立して調整でき、リヤ側への給気の有無を切換え可能であるとともに、車室全体に対して効率よく空気調和を行うことが可能な車両用空気調和装置を提供する。
【解決手段】リヤ側流路部17は、ヒータコア15の下流から車室リヤ側へ延びるリヤ側ダクト19と、エバポレータ14の下流とフロント側流路部とを連通する第1連通路21と、エバポレータ14の下流とヒータコア15の下流とを連通する第2連通路22と、気流を第1連通路21又は第2連通路22に選択的に導入可能とする第1ダンパ23と、ヒータコア15の下流開口15bとリヤ側ダクト19と第2連通路22との間の連通状態を変化させる第2ダンパ24と、を備えている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エバポレータと、
前記エバポレータの下流に配設されたヒータコアと、
前記エバポレータからの冷風と前記ヒータコアからの温風との双方からなる気流を、車室フロント側へ吹出すフロント側流路部、及び前記気流を車室リヤ側へ吹出すとともに前記フロント側流路部と独立して設けられたリヤ側流路部と、
を備え、
前記リヤ側流路部は、
前記ヒータコアの下流から前記車室リヤ側へ延びるリヤ側ダクトと、
前記エバポレータの下流と前記フロント側流路部とを連通する第1連通路と、
前記エバポレータの下流と前記ヒータコアの下流とを連通する第2連通路と、
前記第1連通路を開閉することで、気流を前記第1連通路又は前記第2連通路に選択的に導入可能とする第1ダンパと、
前記ヒータコアの下流開口と前記リヤ側ダクトと前記第2連通路との間の連通状態を変化させる第2ダンパと、を備えた、車両用空気調和装置。
【請求項2】
前記第1ダンパが前記第1連通路を開放し、かつ、前記第2ダンパが前記リヤ側ダクトを閉塞した第一状態と、前記第1ダンパが前記第1連通路を閉塞し、かつ、前記第2ダンパが前記リヤ側ダクトを開放した第二状態と、を切換可能な制御部をさらに備える請求項1に記載の車両用空気調和装置。
【請求項3】
前記車室リヤ側の温度を設定するためのリヤ側設定入力部をさらに備え、
前記制御部は、前記第二状態で、前記リヤ側設定入力部の入力に基づいて前記第2ダンパの動作を制御し、前記ヒータコアの下流開口及び前記第2連通路の開度を調整する請求項2に記載の車両用空気調和装置。
【請求項4】
リヤシートの乗員の有無を検出するリヤシート人員検出部をさらに備え、
前記制御部は、前記リヤシート人員検出部の検出結果に基づいて前記第1ダンパ及び前記第2ダンパの動作を制御し、前記第一状態と前記第二状態とを切換える請求項2又は3に記載の車両用空気調和装置。
【請求項5】
前記車室リヤ側の温度を検出するリヤ側温度検出部をさらに備え、
前記制御部は、前記リヤ側温度検出部の検出結果に基づいて前記第1ダンパの動作を制御し、前記第一状態と前記第二状態とを切換える請求項2から4のいずれか一項に記載の車両用空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両に搭載される車両用空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エバポレータと、エバポレータの下流に配設されたヒータコアと、を備え、エバポレータからの冷風とヒータコアからの温風とを混合した気流を車室内へ吹出す車両用空気調和装置が知られている。
例えば下記特許文献1の車両用空気調和装置では、ダンパ等により流量を調整することで温風と冷風との混合割合を調整し、車室フロント側及びリヤ側のフット部やフェイス部に吹出して車室の空気調和を行っていた。特許文献1では、この気流を車室フロント側とリヤ側との両方に吹出すように構成されていたため、リヤ側に吹出す気流の温度や流量を独立して調整することができなかった。
一方、特許文献2の車両用空気調和装置では、熱交換される空気流路を仕切板により4流路に仕切ることで、車室フロント側の左右とリヤ側の左右との4席にそれぞれ独立させていた。そのためリヤ側に吹出す気流の温度や流量を独立して調整することが可能であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−131889号公報
【特許文献2】特開2010−162946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、リヤ側に吹出す気流の温度や流量を独立して調整できる従来の車両用空気調和装置では、熱交換される空気流路を複数に分割して独立させた状態で、車室フロント側の左右とリヤ側の左右とに吹出していた。そしてリヤ側の流路を閉じて車室フロント側に気流を吹出す場合には、リヤ側の流路は単なるデッドスペースとなり、複数に分割された空気流路のうちの一部の流路で熱交換された気流だけを車室内に吹出していた。
【0005】
その結果、リヤ側の流路を閉じた状態では車室全体に対して吹出す流量や熱量が大きく減少してしまい、車室フロント側でより強く空気調和しつつ車室全体も空気調和するような場合には効率が悪かった。例えば車室全体が低温状態又は高温状態で車室フロント側を強く暖房又は冷房しつつ車室全体を暖房又は冷房するような場合には、車室全体を快適な温度にするのに時間を要していた。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、リヤ側に吹出す気流の温度を独立して調整でき、リヤ側への給気の有無を切換え可能であるとともに、車室全体に対して効率よく空気調和を行うことができる車両用空気調和装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の態様の車両用空気調和装置によれば、エバポレータと、前記エバポレータの下流に配設されたヒータコアと、前記エバポレータからの冷風と前記ヒータコアからの温風との双方からなる気流を、車室フロント側へ吹出すフロント側流路部、及び前記気流を車室リヤ側へ吹出すとともに前記フロント側流路部と独立して設けられたリヤ側流路部と、を備え、前記リヤ側流路部は、前記ヒータコアの下流から前記車室リヤ側へ延びるリヤ側ダクトと、前記エバポレータの下流と前記フロント側流路部とを連通する第1連通路と、前記エバポレータの下流と前記ヒータコアの下流とを連通する第2連通路と、前記第1連通路を開閉することで、気流を前記第1連通路又は前記第2連通路に選択的に導入可能とする第1ダンパと、前記ヒータコアの下流開口と前記リヤ側ダクトと前記第2連通路との間の連通状態を変化させる第2ダンパと、を備えている。
【0008】
本態様によれば、第1連通路を開閉する第1ダンパと、ヒータコアの下流開口とリヤ側ダクトと第2連通路との間の連通状態を変化させる第2ダンパと、を備えている。そのため第1ダンパにより第1連通路を閉塞すると、エバポレータの下流からの冷風は、第1連通路を通じてフロント側流路部に向わずに、第2連通路を通じてヒータコアの下流から延びるリヤ側ダクトへ向かう。この際、第2ダンパによりヒータコアの下流開口の開度とリヤ側ダクトの開度と第2連通路の開度とを調整すれば、第2連通路からの冷風と、ヒータコアからの温風とを混合した状態でリヤ側ダクトから車室リヤ側に吹出すことができる。例えば、第2ダンパにより第2連通路の開度を小さく、ヒータコアの下流開口の開度を大きくすれば、より高温の気流を車室リヤ側へ送り込むことができる。また、第2ダンパにより第2連通路の開度を大きく、ヒータコアの下流開口の開度を小さくすれば、より低温の気流を車室リヤ側へ送り込むことができる。即ち、第2ダンパによって、冷風と温風の混合比率を変化させることで車室リヤ側へ送り込む気流の温調が可能である。
一方、第1ダンパにより第1連通路を開放すると、エバポレータの下流からの冷風は、第1連通路を通じてフロント側流路部に向かって流れる。この際、第2ダンパによりリヤ側ダクトを閉塞しておけば、ヒータコアの下流開口からの温風は第2連通路を通じて第1連通路に流入させ、フロント側流路部へ流入させることができる。この結果、第2ダンパによりリヤ側ダクトを閉塞して車室リヤ側へ気流の供給を行わない場合でも、リヤ側流路部にデッドスペースが生じず、このデッドスペースで圧力損失が生じることがなくなる。
【0009】
本発明の第二の態様では、車両用空気調和装置が、前記第1ダンパが前記第1連通路を開放し、かつ、前記第2ダンパが前記リヤ側ダクトを閉塞した第一状態と、前記第1ダンパが前記第1連通路を閉塞し、かつ、前記第2ダンパが前記リヤ側ダクトを開放した第二状態と、を切換可能な制御部をさらに備えていてもよい。
【0010】
本態様によれば、制御部によって第1ダンパ及び第2ダンパの動作を制御し、車室リヤ側へ気流を流入させない第一状態と、車室リヤ側へ気流を流入させる第二状態とを自動で切換えることができる。そしてリヤ側流路部にはデッドスペースが生じず、このデッドスペースで圧力損失が生じることがなくなり、車室リヤ側への給気や温調の有無にかかわらず、車室全体に対して効率よく空気調和を行うことができる。
【0011】
本発明の第三の態様では、車両用空気調和装置は、前記車室リヤ側の温度を設定するためのリヤ側設定入力部をさらに備え、前記制御部は、前記第二状態で、前記リヤ側設定入力部の入力に基づいて前記第2ダンパの動作を制御し、前記ヒータコアの下流開口及び前記第2連通路の開度を調整してもよい。
【0012】
本態様によれば、車室リヤ側への給気を行う第二状態で、リヤ側設定入力部の入力に基づいて制御部により第2ダンパの動作を制御し、ヒータコアの下流開口及び第2連通路の開度を調整するので、ヒータコアの下流開口からの温風と第2連通路からの冷風とのバランスを調整し、車室リヤ側に供給する気流の温調が可能となり、車室リヤ側で快適な車室空間を提供することができる。
【0013】
本発明の第四の態様では、車両用空気調和装置は、リヤシートの乗員の有無を検出するリヤシート人員検出部をさらに備え、前記制御部は、前記リヤシート人員検出部の検出結果に基づいて前記第1ダンパ及び前記第2ダンパの動作を制御し、前記第一状態と前記第二状態とを切換えてもよい。
【0014】
本態様によれば、車室リヤ側へ気流を流入させない第一状態と、車室リヤ側へ気流を流入させる第二状態とをリヤシート人員検出部の検出結果に基づいて自動で切換えることができる。よってリヤシートの乗員の有無によって車室リヤ側への温調した気流の供給の有無を自動で決定することができる。
【0015】
本発明の第五の態様では、車両用空気調和装置は、前記車室リヤ側の温度を検出するリヤ側温度検出部をさらに備え、前記制御部は、前記リヤ側温度検出部の検出結果に基づいて前記第1ダンパの動作を制御し、前記第一状態と前記第二状態とを切換えてもよい。
【0016】
本態様によれば、車室リヤ側へ気流を流入させない第一状態と、車室リヤ側へ気流を流入させる第二状態とをリヤ側温度検出部の検出結果に基づいて自動で切換えることができる。よってリヤ側温度検出部の検出結果に基づいてリヤシートの乗員の有無を判断し、車室リヤ側への温調した気流の供給の有無を自動で決定することができる。
【発明の効果】
【0017】
上記の車両用空気調和装置によれば、リヤ側に吹出す気流の温度を独立して調整でき、リヤ側への給気の有無を切換え可能であるとともに、車室全体に対して効率よく空気調和を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る車両用空気調和装置の概略全体斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る車両用空気調和装置のリヤ側流路部を示す縦断面図であり、リヤ側ダクトが閉じた第一状態を示す。
図3】本発明の実施形態に係る車両用空気調和装置のヒータコアの下流側における空気流路の概略を示す断面図であり、図2のA−A断面図である。
図4】本発明の実施形態に係る車両用空気調和装置のリヤ側流路部を示す縦断面図であり、リヤ側ダクトが開いた第二状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図1から図4を参照し、本発明の実施形態に係る車両用空気調和装置10について説明する。
車両用空気調和装置10は、車両前側の車幅方向の略中央部に配置されている。図1から図3に示すように、車両用空気調和装置10は、空気を導入するためのブロアユニット等の空気導入部11と、導入された空気の気流と熱交換を行う熱交換部12と、熱交換部12内から車室内の各部まで連続して設けられた空気流路13と、を一体に備えている。
【0020】
熱交換部12は、エバポレータ14と、エバポレータ14の下流に配設されたヒータコア15とをケーシング40内に有している。
エバポレータ14では、不図示のラジエター等との間で冷媒が循環しており、車両用空気調和装置10に導入された空気を冷却して冷風を生成するものである。
ヒータコア15には、エンジンの冷却水が循環しており、エバポレータ14からの冷風を加熱して温風を生成するものである。
【0021】
空気流路13は、図3に示すようにケーシング40内で仕切壁13aにより車幅方向に複数に仕切られて形成されており、熱交換部12内から連続して設けられている。空気流路13は、エバポレータ14からの冷風とヒータコア15からの温風とを混合してなる気流を車室内の各部に吹出すように配設されている。
【0022】
この実施形態では空気流路13は、車室フロント側へ気流を吹出すための左右のフロント側流路部16と、フロント側流路部16間に設けられて車室リヤ側へ気流を吹出すためのリヤ側流路部17とを有している。
フロント側流路部16には、フロントフェイス部18a、フロントフット部18b、デフロスタ部18cなどのフロント側ダクト18が設けられている。
【0023】
リヤ側流路部17は、エバポレータ14の下流側及びヒータコア15の上下流側に設けられた熱交換部12の内部流路20と、内部流路20に接続されたリヤ側ダクト19、第1連通路21、及び第2連通路22と、内部流路20内に配置された第1ダンパ23と、第1ダンパ23とは独立して設けられた第2ダンパ24と、を備えている。
【0024】
内部流路20は、エバポレータ14の下流から分岐して設けられており、エバポレータ14からの気流の一部がヒータコア15の上流開口15a側に流動可能で、残部が第1連通路21及び第2連通路22側に流動可能となっている。ヒータコア15の下流にはヒータコア15からの気流が流出可能な下流開口15bが設けられている。
内部流路20の各部には、流路の断面積を変化させるためのダンパや、冷風と温風とを混合する、あるいは冷風と温風割合の調整をするためのダンパなどが設けられていてもよい。
【0025】
リヤ側ダクト19は、ヒータコア15の下流から車室リヤ側へ延びて設けられている。車室リヤ側にはリヤフェイス部及びリヤフット部等が分岐して設けられているが、詳細な図示は省略している。
【0026】
第1連通路21は、エバポレータ14の下流側における内部流路20と、フロント側流路部16のフロント側ダクト18との間を連通している。
【0027】
第1ダンパ23は第1連通路21の入口に設けられている。第1ダンパ23の開閉動作により第1連通路21を開閉可能となっている。また、本実施形態の第1ダンパ23は例えばバタフライダンパである。この第1ダンパ23は車幅方向に延びる軸23aを中心に回動可能に設けられ、図示しない駆動部により動作可能に構成されている。
【0028】
第2連通路22は、エバポレータ14の下流における内部流路20と、ヒータコア15の下流における下流開口15bとの間を連通する通路である。
【0029】
第2ダンパ24は、第2連通路22の一方の端部(ヒータコア15の下流側の端部)と、ヒータコア15の下流開口15bと、リヤ側ダクト19の上流側の端部との間に設けられている。第2連通路22、下流開口15b、及びリヤ側ダクト19は、第2ダンパ24を介して互いに連通可能となっている。本実施形態の第2ダンパ24は、例えばロータリーダンパである。また第2ダンパ24は、図3に示すように、車幅方向に延びる軸24aと、軸24aに接続されて車幅方向から見て扇形状をなす支持片24bを有している。
【0030】
この第2ダンパ24は図示しない駆動部により軸24aを中心として回動可能に構成されており、回動角度により、第2連通路22と、ヒータコア15の下流開口15bと、リヤ側ダクト19との間の連通状態を変化させることが可能となっている。
【0031】
例えば軸24a回りに支持片24bが回動することで、図3に示すように、リヤ側ダクト19を閉塞したり、図4に示すように、リヤ側ダクト19を開口させてヒータコア15の下流開口15bと第2連通路22との開度の割合を調整したりすることが可能となっている。第2ダンパは、360度の回転が可能であるため、その他にも、第2ダンパ24の支持片24bの位置に応じて、各部の開度を調整して開閉することが可能である。
【0032】
この車両用空気調和装置10には、車室への気流の吹出しを最適化するための制御系30が設けられている。
本実施形態の制御系30は、車室リヤ側の温度を設定するためのリヤ側設定入力部31と、リヤシートの乗員の有無を検出するリヤシート人員検出部32と、車室リヤ側の温度を検出するリヤ側温度検出部33と、第1ダンパ23及び第2ダンパ24の不図示の駆動部の動作を制御する制御部34と、を備えている。
【0033】
リヤ側設定入力部31は、車室リヤ側での設定温度を入力可能とする。このリヤ側設定入力部31は、車室リヤ側の具体的な温度を乗員が設定するものでもよいし、予め設定されている温度(モード)を選択するものでもよい。
【0034】
リヤシート人員検出部32は、リヤシートの乗員の有無を検出を検知できればよく、例えば赤外線センサ等のIRセンサ(人感センサ)や、乗員のリヤシートへの着座を検知する加圧センサなどであってもよい。
【0035】
リヤ側温度検出部33は、リヤシートに着座する乗員付近の温度を検出する温度センサ等である。
【0036】
制御部34はMPU等からなり、リヤ側設定入力部31に設定された温度設定値、リヤシート人員検出部32で検知された乗員の有無、及び、リヤ側温度検出部33で検知された車室リヤ側の温度に基づいて、第1ダンパ23及び第2ダンパ24の動作を制御するように構成されている。
【0037】
そのためこの制御部34では、第1ダンパ23及び第2ダンパ24の動作を制御することで、第1ダンパ23によって第1連通路21を開放し、かつ、第2ダンパ24によってリヤ側ダクト19を閉塞した第一状態(図2参照)と、第1ダンパ23が第1連通路21を閉塞し、かつ、第2ダンパ24によってリヤ側ダクト19を開放した第二状態(図4参照)とを切換可能である。
【0038】
次に、制御部34での制御の手順を説明する。
車両用空気調和装置10では、リヤシート人員検出部32によってリヤシートに着座している乗員が検知された状態で、リヤ側設定入力部31によって所望の温度が設定されたとき、又は、設定されているときに車室の空気調和を行うと、制御部34により第1ダンパ23及び第2ダンパ24の動作が制御される。
【0039】
この制御では、第1ダンパ23を閉塞し、第2ダンパ24を開放した第二状態(図4参照)とし、さらに、リヤ側設定入力部31に設定された温度とリヤ側温度検出部33で検出された温度との差に基づいて、ヒータコア15の下流開口15bの開度と第2連通路22の開度との開度割合が第2ダンパ24で調整される。
【0040】
これによりヒータコア15からの温風と、エバポレータ14から第2連通路22を経由して送られた冷風とが開度割合に応じて混合された気流が、リヤ側ダクト19から車室リヤ側に吹出される。
【0041】
例えばリヤ側設定入力部31に設定された温度とリヤ側温度検出部33で検出された温度との差が所定値以上に大きい場合には、第2ダンパ24をさらに動作させて冷風と温風との混合割合を変化させる。
【0042】
次に、リヤシート人員検出部32がリヤシートに乗員が不在の場合を検知し、或いは、車室リヤ側の空気調和を行わない場合には、第2ダンパ24によってリヤ側ダクト19を完全に閉塞する。その際、第1ダンパ23が第1連通路(21)を完全に開放する第一状態となり(図2参照)、エバポレータ14の下流が第1連通路21を介してフロント側ダクト18と連通する。
【0043】
これによりリヤ側流路部17では、エバポレータ14の下流からの冷風と、その一部がヒータコア15で加熱されて第2連通路22を経由して第1連通路21に到達した温風とがフロント側流路部16に流入し、フロント側ダクト18からフロント側流路部16を流通する他の気流とともに、車室フロント側へ吹出される。
【0044】
以上説明した本実施形態の車両用空気調和装置10によれば、第1連通路21を開閉する第1ダンパ23と、ヒータコア15の下流開口15bとリヤ側ダクト19と第2連通路22との連通状態を変化させる第2ダンパ24と、を備えている。そのため第二状態で第1ダンパ23により第1連通路21を閉じて、第2ダンパ24によりヒータコア15の下流開口15bの開度とリヤ側ダクト19の開度と第2連通路22の開度とを調整すれば、冷風と温風とが混合された気流をリヤ側ダクト19から車室リヤ側に吹出すことができる。
【0045】
その際、第2ダンパ24によりヒータコア15の下流開口15bの開度と第2連通路22の開度とを調整することで、車室リヤ側への気流の温度を車室フロント側へ吹出す気流とは独立して調整できる。
【0046】
一方、第一状態として、第2ダンパ24によりリヤ側ダクト19の全閉し、車室リヤ側への気流の吹出しを停止し、第1ダンパ23により第1連通路21を全開とすることで、ヒータコア15で熱交換された気流をフロント側流路部16へ流すことができる。そのため、車室リヤ側への気流の吹出しを停止させても、ケーシング40内にデッドスペースが生じることなく、このようなデッドスペースで圧力損失が生じてしまうこともない。
【0047】
よって、車室全体で温調された気流の流量が大きく変化することを抑制できる。即ち、車室リヤ側への気流の吹出しを停止しても、その気流の流量や熱量を車室フロント側へ吹出すことができるため、本実施形態では車室リヤ側の気流の温調、給気の有無を切換え可能であって、かつ、車室リヤ側の気流の温調、給気の有無にかかわらず、車室全体に対して効率よく空気調和を行うことができる。
【0048】
本実施形態では、制御部34がリヤ側設定入力部31の入力に基づいて第2ダンパ24の動作を制御し、温風と冷風の混合割合を変化させることができるので、車室リヤ側の温度を自動で調整できる。よって、車室リヤ側で快適な車室空間を提供することができる。
【0049】
また本実施形態では、制御部34がリヤシート人員検出部32の検出結果に基づいて第2ダンパ24の開度を調整するので、リヤシートの乗員の有無によりリヤ側ダクト19を自動で開閉できる。よって車室リヤ側への温調した気流の供給の有無を自動で決定することができる。
【0050】
さらに、リヤ側温度検出部33の検出結果に基づいてリヤシートの乗員の有無を判断し、車室リヤ側への温調した気流の供給の有無を自動で決定することができる。
【0051】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
例えば上記では、制御部34がリヤ側設定入力部31に設定された温度設定値、リヤシート人員検出部32で検知された乗員の有無、リヤ側温度検出部33で検知されたリヤ側温度に基づいて、第1ダンパ23及び第2ダンパ24の動作を制御する例について説明したが、特に限定されるものではなく、制御の方法は適宜選択可能である。
例えば、リヤ側設定入力部31、リヤシート人員検出部32、及びリヤ側温度検出部33のうちの少なくとも一つが設けられていてもよい。また他の状態変数を検出して制御することも可能である。
【0052】
上述の実施形態では一対のフロント側流路部16の間にリヤ側流路部17が設けられていたが、逆に一対のリヤ側流路部17の間にフロント側流路部16を設けてもよく、フロント側流路部16、及びリヤ側流路部17の配置や形状は特に限定されない。
【符号の説明】
【0053】
10 車両用空気調和装置
11 空気導入部
12 熱交換部
13 空気流路
13a 仕切壁
14 エバポレータ
15 ヒータコア
15a 上流開口
15b 下流開口
16 フロント側流路部
17 リヤ側流路部
18 フロント側ダクト
18a フロントフェイス部
18b フロントフット部
18c デフロスタ部
19 リヤ側ダクト
20 内部流路
21 第1連通路
22 第2連通路
23 第1ダンパ
23a 軸
24 第2ダンパ
24a 軸
24b 支持片
30 制御系
31 リヤ側設定入力部
32 リヤシート人員検出部
33 リヤ側温度検出部
34 制御部
40 ケーシング
図1
図2
図3
図4