特開2018-204397(P2018-204397A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特開2018-204397木−鋼ハイブリッド構造およびその構築方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-204397(P2018-204397A)
(43)【公開日】2018年12月27日
(54)【発明の名称】木−鋼ハイブリッド構造およびその構築方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/30 20060101AFI20181130BHJP
   E04H 9/02 20060101ALI20181130BHJP
   E04C 3/292 20060101ALI20181130BHJP
   E04B 1/10 20060101ALI20181130BHJP
【FI】
   E04B1/30 Z
   E04H9/02 321C
   E04C3/292
   E04B1/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-113961(P2017-113961)
(22)【出願日】2017年6月9日
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石井 大吾
(72)【発明者】
【氏名】山野辺 宏治
(72)【発明者】
【氏名】滝本 和志
(72)【発明者】
【氏名】金本 清臣
(72)【発明者】
【氏名】津畑 慎哉
(72)【発明者】
【氏名】菊地 俊文
【テーマコード(参考)】
2E139
2E163
【Fターム(参考)】
2E139AA01
2E139AB01
2E163FF04
(57)【要約】
【課題】接合作業時の木材の割裂の心配がなく、脆性的な破壊を起こし難い木−鋼ハイブリッド構造およびその構築方法を提供する。
【解決手段】木質部材12A、12Bと鋼製部材14とを接合してなる木−鋼ハイブリッド構造10であって、鋼製部材14を間に挟んで圧着される一対の木質部材12A、12Bを備え、木質部材12A、12Bに接する鋼製部材14の表面には、木質部材12A、12Bに噛み込まれる目荒らし部16が形成されているようにする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
木質部材と鋼製部材とを接合してなる木−鋼ハイブリッド構造であって、
鋼製部材を間に挟んで圧着される一対の木質部材を備え、木質部材に接する鋼製部材の表面には、木質部材に噛み込まれる目荒らし部が形成されていることを特徴とする木−鋼ハイブリッド構造。
【請求項2】
目荒らし部は、針状突起であることを特徴とする請求項1に記載の木−鋼ハイブリッド構造。
【請求項3】
針状突起は、錘状、テトラポット状またはバリ状の針状突起であることを特徴とする請求項2に記載の木−鋼ハイブリッド構造。
【請求項4】
請求項1〜3に記載の木−鋼ハイブリッド構造を構築する方法であって、
鋼製部材の表面に目荒らし部を形成するステップと、目荒らし部を形成した鋼製部材を一対の木質部材で挟み込むステップと、一対の木質部材と鋼製部材とを圧着することにより、鋼製部材の目荒らし部を木質部材に噛み込ませて一体化するステップとを備えることを特徴とする木−鋼ハイブリッド構造の構築方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木質部材と鋼製部材とを接合してなる木−鋼ハイブリッド構造およびその構築方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、木造建物の大型化(中高層建物)に対応するため、木質構造と鋼構造のハイブリッド構造(木−鋼ハイブリッド構造)が各種提案されている。このようなハイブリッド構造では、部材レベル(柱、梁)あるいは架構レベルで鋼製部材と木質部材の接合が必要とされる。
【0003】
図3は、従来の木−鋼ハイブリッド梁の例であり、図4は、従来の木質耐震壁と鋼構造架構の接合構造の例である。なお、図4は、特許文献1において本特許出願人が提案したものに相当する。これらの図に示すように、木質部材1と鋼板2との接合には、支圧ボルト3やドリフトピン4、ラグスクリューボルト5、グルードインロッド(接着剤充填アンカー)を用いる方法、釘または接着剤で直接表面に張り付ける方法などがある。
【0004】
上記のドリフトピンおよびラグスクリューボルトのように鋼棒を用いた接合方法の場合、ピンやボルトを木材に設置する作業中に下孔近傍の木材が割れるおそれがあるため作業に注意を払う必要があり、施工性を阻害するおそれがあった。
【0005】
図5は、非特許文献1に示されている木−鋼ハイブリッド接合部の構造実験の概要である。(a)は接合部概要、(b)は加力方法、(c)は荷重変形関係、(d)は終局時の破壊性状である。この図の(a)に示すように、この試験体は、H形鋼と鋼板と木梁とからなり、木梁端部の反力を支圧板、ボルト、高ナット、リブを介してH形鋼に伝達するように構成されている。木梁端部には、支圧部めり込み補強のためにコーチボルトが挿入配置されている。
【0006】
この試験体は、ピンやボルト廻りの耐力を不足させた構造の例であるが、加力に伴う局所的なめり込み等によって、図の(c)に示すように、荷重変形関係中にスリップ性状が現れ、変形が増大する。(d)に示すように、終局状態においては鋼棒近傍の応力集中部で木材に割裂が発生し、脆性的に破壊する傾向がある。建物の構造性能を向上させるためには、地震時の建物変形を抑えること、終局時においても脆性的な破壊形式となるのを回避することが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特願2016−218824号(現時点で未公開)
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】河内、他:梁端木口面の支圧を利用した接合部の開発(その1〜3),日本建築学会大会学術講演梗概集,構造III,pp.149−154,2014
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このため、接合作業時の木材の割裂の心配がなく、作業が容易で、終局時においても脆性的な破壊形式となるのを回避することのできる木−鋼ハイブリッド構造の開発が望まれていた。
【0010】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、接合作業時の木材の割裂の心配がなく、脆性的な破壊を起こし難い木−鋼ハイブリッド構造およびその構築方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る木−鋼ハイブリッド構造は、木質部材と鋼製部材とを接合してなる木−鋼ハイブリッド構造であって、鋼製部材を間に挟んで圧着される一対の木質部材を備え、木質部材に接する鋼製部材の表面には、木質部材に噛み込まれる目荒らし部が形成されていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る他の木−鋼ハイブリッド構造は、上述した発明において、目荒らし部は、針状突起であることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る他の木−鋼ハイブリッド構造は、上述した発明において、針状突起は、錘状、テトラポット状またはバリ状の針状突起であることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る木−鋼ハイブリッド構造の構築方法は、上述した木−鋼ハイブリッド構造を構築する方法であって、鋼製部材の表面に目荒らし部を形成するステップと、目荒らし部を形成した鋼製部材を一対の木質部材で挟み込むステップと、一対の木質部材と鋼製部材とを圧着することにより、鋼製部材の目荒らし部を木質部材に噛み込ませて一体化するステップとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る木−鋼ハイブリッド構造によれば、木質部材と鋼製部材とを接合してなる木−鋼ハイブリッド構造であって、鋼製部材を間に挟んで圧着される一対の木質部材を備え、木質部材に接する鋼製部材の表面には、木質部材に噛み込まれる目荒らし部が形成されているので、木質部材と鋼製部材を圧着するだけで一体化可能である。このため、接合作業が容易で、作業時の木材の割裂の心配がなく、脆性的な破壊を起こし難い木−鋼ハイブリッド構造を提供することができるという効果を奏する。
【0016】
また、本発明に係る他の木−鋼ハイブリッド構造によれば、目荒らし部は、針状突起であるので、例えばNC旋盤やプレス機械等の加工装置を用いて機械的に形成でき、木−鋼ハイブリッド構造を安価かつ容易に構築できるという効果を奏する。
【0017】
また、本発明に係る他の木−鋼ハイブリッド構造によれば、針状突起は、錘状、テトラポット状またはバリ状の針状突起であるので、加工装置を用いて機械的に形成でき、木−鋼ハイブリッド構造を安価かつ容易に構築できるという効果を奏する。
【0018】
また、本発明に係る木−鋼ハイブリッド構造の構築方法によれば、上述した木−鋼ハイブリッド構造を構築する方法であって、鋼製部材の表面に目荒らし部を形成するステップと、目荒らし部を形成した鋼製部材を一対の木質部材で挟み込むステップと、一対の木質部材と鋼製部材とを圧着することにより、鋼製部材の目荒らし部を木質部材に噛み込ませて一体化するステップとを備えるので、接合作業が容易で、作業時の木材の割裂の心配がなく、脆性的な破壊を起こし難い木−鋼ハイブリッド構造を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明に係る木−鋼ハイブリッド構造およびその構築方法の実施の形態を示す図であり、(1)は分解斜視図、(2)は中心鋼板の拡大斜視図、(3)は中心鋼板の変形例の拡大斜視図である。
図2図2は、本発明に係る木−鋼ハイブリッド構造の実施例を示す図であり、(1)は正面断面図、(2)は側断面図である。
図3図3は、従来の木−鋼ハイブリッド梁の一例を示す横断面図である。
図4図4は、従来の木質耐震壁と鋼構造架構の接合構造の一例を示す正面断面図である。
図5図5は、非特許文献1に記載の木−鋼ハイブリッド接合部の構造実験の概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、木−鋼ハイブリッド構造を対象として、上記の従来技術のようにピンやボルトによらない木質部材と鋼製部材の接合構造とその構築方法を提供するものである。
【0021】
以下に、本発明に係る木−鋼ハイブリッド構造およびその構築方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0022】
図1(1)に示すように、本発明の実施の形態に係る木−鋼ハイブリッド構造10は、一対の板状の木質部材12A、12Bと、双方間に挟み込まれて圧着される中心鋼板14(鋼製部材)とからなる。この構造10は、例えば梁部材として用いられる。
【0023】
中心鋼板14の表面には、目荒らし部16が形成されている。この目荒らし部16は、木質部材12A、12B、中心鋼板14を板厚方向に圧着して一体化した際に木質部材12A、12Bに噛み込まれる細かい鋭利な針状突起からなる。針状突起は、木質部材と接する中心鋼板14の表面全体に対して、縦横に所定の間隔で複数設けられる。
【0024】
この針状突起としては、例えば、図1(2)に示すような錘状またはテトラポット状の針状突起16Aや、(3)に示すようなバリ状の針状突起16Bで構成することができる。
【0025】
この針状突起16A、16Bは、中心鋼板14の素材となる鋼板の表面に目荒らし処理加工を施すことによって容易に形成することができる。この加工には、NC旋盤やプレス機等の汎用の加工装置を用いることができる。例えばプレス機等で鋼板を打ち抜いてできる貫通孔の周縁にバリ状の針状突起16Bが残るようにし、この鋼板を中心鋼板14に使用してもよい。なお、針状突起16A、16Bが予め形成された鋼板を、母材となる鋼板の表面に接着等することによって中心鋼板14を形成してもよい。
【0026】
この針状突起が木質部材12A、12Bに噛み込むように、木質部材12A、12B、中心鋼板14を圧着して一体化すれば、従来のピンやボルトの設置作業時に懸念される木材の割裂は発生せず、容易に一体化可能である。なお、木質部材12A、12Bと中心鋼板14の界面に接着剤を設けてもよい。接着剤を併用すれば、接合強度をさらに向上させることができる。
【0027】
本実施の形態によれば、所定間隔に分散して設けた複数の細かい針状突起で木質部材12A、12B−中心鋼板14間の応力伝達が行われるので、上記の従来技術のようなピンやボルト廻りのめり込みや割裂は発生しない。上述した荷重変形関係中のスリップ性状を緩和することで、地震時の架構の変形を抑制できる。また、木材の割裂による脆性的な破壊を回避することで、終局時の安全性を向上させることができる。
【0028】
このように、本実施の形態によれば、木質部材12A、12Bと中心鋼板14を板厚方向に圧着するだけで一体化可能である。このため、接合作業が容易で、作業時の木材の割裂の心配がなく、脆性的な破壊を起こし難い木−鋼ハイブリッド構造を提供することができる。
【0029】
また、本実施の形態によれば、上記の従来の接合構造のようにドリフトピンや圧着ボルト等を用いずに、木質部材と鋼製部材を一体的に接合することができる。また、こうしたピンやボルトのような部品数が少ないため、施工管理が容易である。さらに、中心鋼板14の表面の目荒らし処理は、NC旋盤、プレス機等で機械化可能であり、安価に大量生産できる。木質部材12A、12Bと中心鋼板14は施工現場で圧着可能であり、施工の自由度が高まる。本発明は、木材と鋼板の接合全般に適用できるとともに、様々なバリエーションが考えられ、応用の幅は広い。
【0030】
上記の実施の形態において、木質部材12A、12Bは、CLT(直交集成板)、杉などの様々な種類の木質の材料で構成することができる。なお、CLTはCross Laminated Timberの略語である。CLTは、ひき板または小角材(これらをその繊維方向を互いにほぼ平行にして長さ方向に接合接着して調整したものを含む。以下、ラミナということがある。)をその繊維方向を互いにほぼ平行にして幅方向に並べ、または接着したものを、主としてその繊維方向を互いにほぼ直角にして積層接着し3層以上の構造を持たせた木質板材であり、耐震・耐火性能が高いという特長がある。
【0031】
(実施例)
次に、本発明の実施例を説明する。
図2は、本発明を木質耐震壁架構に適用した実施例を示したものである。この図に示すように、木質耐震壁架構100は、CLTからなる壁体18(木質耐震壁)を備え、この壁体18の上端と下端がH形鋼(鉄骨梁)である上梁20と下梁22に梁接合部24を介してそれぞれ接合された矩形の壁である。CLTの繊維方向は鉛直面内の方向としてある。
【0032】
壁体18は、その上下方向略中央で上部壁体18Aと下部壁体18Bとに上下に二分割されている。上部壁体18Aは上側に配置されて上端が梁接合部24で上梁20に接合され、下部壁体18Bは下側に配置されて下端が梁接合部24で下梁22に接合される。上部壁体18Aと下部壁体18Bは、壁体18の左右方向略中央に設けた壁接合部26で接合されている。壁接合部26は、所定の荷重が作用すると梁接合部24に先行して破壊する仕様に設計されている。
【0033】
上側の梁接合部24は、上梁20に接合するとともに上部壁体18Aの上端から挿入配置されるガセットプレート28(鋼板)からなる。このガセットプレート28の両面には上記の目荒らし部16が形成されている。
【0034】
したがって、梁接合部24は上記の実施の形態の木−鋼ハイブリッド構造10に相当する。また上部壁体18A(下部壁体18B)が一対の板状の木質部材12A、12Bに、ガセットプレート28が中心鋼板14(鋼製部材)に相当する。なお、このような構造は、壁体18(木材)とガセットプレート28(鋼板)を小型に分割し、圧着工具を小型化するなどの工夫を行えば、現場で圧着して接合することにより構築可能である。
【0035】
なお、左右両側部分のガセットプレート28については、上部壁体18Aへの挿入長さを他部分よりも長くしてある。また、下側の梁接合部24も上側の梁接合部24と同様の構成である。ガセットプレート28は上梁20、下梁22に対してプレート32とボルト34を介して接合される。
【0036】
壁接合部26は、上部壁体18Aと下部壁体18Bに挿入配置されるガセットプレート30(鋼板)からなる。このガセットプレート30の両面にも上記の目荒らし部16が形成されている。
【0037】
したがって、壁接合部26は上記の実施の形態の木−鋼ハイブリッド構造10に相当する。また上部壁体18A(下部壁体18B)が一対の板状の木質部材12A、12Bに、ガセットプレート30が中心鋼板14(鋼製部材)に相当する。
【0038】
この壁接合部26は、木質耐震壁に所定の過大な荷重が作用した場合に、上下の梁接合部24に先行して破壊するような仕様で設計されている。このため、CLTの壁体18が割裂等の脆性的な破壊を生じることはなくなり、靱性に富んだ復元力を確保することが可能になる。このため、本実施例によれば、壁体18の脆性的な破壊を防ぐことのできる極めて明快で簡単な構造の木質耐震壁架構を提供することができる。
【0039】
特に、本実施例では、壁体18にラミナが直交するCLTを用いることにより、この木質耐震壁は割裂等の脆性的な破壊が生じることがない靱性に富んだ復元力を確保することが可能である。このため、この木質耐震壁は例えば木質中高層建物の上部階、3階建て程度の木質構造の耐震要素として有効である。また、壁体18を上下に分割して取り付けるため、施工誤差を中央の壁接合部26の位置で吸収可能である。
【0040】
なお、本実施例では、壁体18の高さが2.5m程度、幅が2m、厚さが0.2m程度のものを想定している。また、梁接合部24のガセットプレート28の左右方向中央位置の高さが0.3m程度のものを想定している。また、壁接合部26のガセットプレート30の高さが0.6m程度、幅が1.8m程度のものを想定している。梁接合部24および壁接合部26のガセットプレート28、30の寸法、目荒らし部16の仕様等については、要求される耐力性能に応じて適宜選択可能である。
【0041】
また、上記の木質耐震壁を形成する場合には、上部壁体18Aおよび下部壁体18Bとして同厚のCLTを2枚使用し、CLTを壁接合部26のガセットプレート30の表裏両面より圧着して形成することができる。この場合、例えば壁厚90mm(例えば3層3プライ:MX60)のCLTを2枚使用してもよい。このCLTは1枚当たりの重量が85kg程度であることから、職人が手で取り付けることも可能である。また、取替も容易であるため、既設の壁体を耐震補強する場合に応用可能である。
【0042】
また、上記の実施例において、上部壁体18Aと下部壁体18Bとの間の中央の分割部分に、粘弾性ダンパー等の制震デバイスを組み込んでもよい。このようにすれば、復元力による吸収エネルギーをさらに大きく確保することが可能になる。
【0043】
なお、上記の実施例においては、従来の図4と異なりラグスクリューボルトを用いない場合を例にとり説明したが、本発明はこれに限るものではない。梁接合部24において、上部壁体18Aの左右上側と、下部壁体18Bの左右下側に、図4に示すようなラグスクリューボルト5を設けてもよい。
【0044】
なお、上記の実施の形態では、図1の木−鋼ハイブリッド構造の梁部材、図2の木質耐震壁架構の場合を例にとり説明したが、本発明はこれに限るものではなく、木材と鋼材の接合全般に適用することができる。例えば、梁−梁継手、柱−柱継手、柱−梁接合部などのバリエーションが考えられ、応用の幅が広い。
【0045】
以上説明したように、本発明に係る木−鋼ハイブリッド構造によれば、木質部材と鋼製部材とを接合してなる木−鋼ハイブリッド構造であって、鋼製部材を間に挟んで圧着される一対の木質部材を備え、木質部材に接する鋼製部材の表面には、木質部材に噛み込まれる目荒らし部が形成されているので、木質部材と鋼製部材を圧着するだけで一体化可能である。このため、接合作業が容易で、作業時の木材の割裂の心配がなく、脆性的な破壊を起こし難い木−鋼ハイブリッド構造を提供することができる。
【0046】
また、本発明に係る他の木−鋼ハイブリッド構造によれば、目荒らし部は、針状突起であるので、例えばNC旋盤やプレス機械等の加工装置を用いて機械的に形成でき、木−鋼ハイブリッド構造を安価かつ容易に構築できる。
【0047】
また、本発明に係る他の木−鋼ハイブリッド構造によれば、針状突起は、錘状、テトラポット状またはバリ状の針状突起であるので、加工装置を用いて機械的に形成でき、木−鋼ハイブリッド構造を安価かつ容易に構築できる。
【0048】
また、本発明に係る木−鋼ハイブリッド構造の構築方法によれば、上述した木−鋼ハイブリッド構造を構築する方法であって、鋼製部材の表面に目荒らし部を形成するステップと、目荒らし部を形成した鋼製部材を一対の木質部材で挟み込むステップと、一対の木質部材と鋼製部材とを圧着することにより、鋼製部材の目荒らし部を木質部材に噛み込ませて一体化するステップとを備えるので、接合作業が容易で、作業時の木材の割裂の心配がなく、脆性的な破壊を起こし難い木−鋼ハイブリッド構造を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
以上のように、本発明に係る木−鋼ハイブリッド構造およびその構築方法は、木造建物などに用いられる木質構造と鋼構造の接合構造に有用であり、特に、接合作業時の木材の割裂の心配がなく、脆性的な破壊を回避するのに適している。
【符号の説明】
【0050】
10 木−鋼ハイブリッド構造
12A,12B 木質部材
14 中心鋼板(鋼製部材)
16 目荒らし部
16A,16B 針状突起
18 壁体
18A 上部壁体
18B 下部壁体
20 上梁
22 下梁
24 梁接合部
26 壁接合部
28,30 ガセットプレート(鋼製部材)
32 プレート
34 ボルト
100 木質耐震壁架構
図1
図2
図3
図4
図5