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特開2018-204453密閉型圧縮機及び密閉型圧縮機の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-204453(P2018-204453A)
(43)【公開日】2018年12月27日
(54)【発明の名称】密閉型圧縮機及び密閉型圧縮機の製造方法
(51)【国際特許分類】
   F04C 29/00 20060101AFI20181130BHJP
【FI】
   F04C29/00 S
   F04C29/00 T
   F04C29/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-107631(P2017-107631)
(22)【出願日】2017年5月31日
(71)【出願人】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】堀田 陽平
(72)【発明者】
【氏名】木全 央幸
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 創
(72)【発明者】
【氏名】濱野 真史
(72)【発明者】
【氏名】中村 康祐
【テーマコード(参考)】
3H129
【Fターム(参考)】
3H129AA02
3H129AA04
3H129AA12
3H129AA32
3H129AB03
3H129AB11
3H129BB31
3H129BB44
3H129CC09
(57)【要約】
【課題】円筒状部材の外周面に平坦面を形成する場合において、変形を抑制し信頼性をより容易に確保することが可能な密閉型圧縮機及び密閉型圧縮機の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】密閉型圧縮機は、円筒状部材を有するセンターハウジング10Aを備え、円筒状部材は、軸線方向に対して垂直方向に切断した円筒状部材の断面形状が一定の外径を有する外面42と、円筒状部材の断面形状が一定の内径を有する円筒状の内面43とを有し、外面42は、外径よりも中心側に位置する平坦面40を有し、円筒状部材の内径の中心Oは、円筒状部材の外径の中心Oを間に挟んで平坦面40側とは反対側に位置する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状部材を有するハウジングを備え、
前記円筒状部材は、
軸線方向に対して垂直方向に切断した前記円筒状部材の断面形状が一定の外径を有する外面と、
前記円筒状部材の前記断面形状が一定の内径を有する円筒状の内面と、
を有し、
前記外面は、前記外径よりも中心側に位置する平坦面を有し、
前記円筒状部材の前記内径の中心は、前記円筒状部材の前記外径の中心を間に挟んで前記平坦面側とは反対側に位置する密閉型圧縮機。
【請求項2】
前記外面に形成された前記平坦面における前記外面と前記内面間の厚さ最小部分の厚さは、前記外面に形成された前記平坦面から離れた側における前記外面と前記内面間の厚さ最小部分の厚さと等しい請求項1に記載の密閉型圧縮機。
【請求項3】
前記外面に形成された前記平坦面に貫通孔が形成され、
前記貫通孔に電動モータと電気的に接続される接続端子が固定されている請求項1又は2に記載の密閉型圧縮機。
【請求項4】
円筒状部材を有するハウジングを備え、前記円筒状部材は、軸線方向に対して垂直方向に切断した前記円筒状部材の断面形状が一定の外径を有する外面と、前記円筒状部材の前記断面形状が一定の内径を有する円筒状の内面とを有する密閉型圧縮機の製造方法であって、
前記外面において、前記外径よりも中心側に位置する平坦面を形成するステップと、
前記円筒状部材の前記内径の中心が、前記円筒状部材の前記外径の中心を間に挟んで前記平坦面側とは反対側に位置するように前記内面を形成するステップと、
を有する密閉型圧縮機の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、密閉型圧縮機及び密閉型圧縮機の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
冷媒が循環する冷凍回路を備える空気調和装置、冷凍装置などにおいて設置される圧縮機として、密閉容器内に圧縮機構と電動モータが内蔵されたものがあり、その圧縮機は密閉型圧縮機とも呼ばれる。密閉型圧縮機に内蔵された圧縮機構は、例えばスクロール型、ロータリ型であり、回転軸に1段のみ設置される場合、2段以上の複数段設置される場合がある。
【0003】
密閉型圧縮機のハウジングは、通常、円筒形状を有しており、外周面が曲面を有している。また、ハウジングには、内蔵された電動モータに電力を供給するための接続端子が設置され、接続端子は、溶接によってハウジングに対し固定される。
【0004】
ハウジングにおいて接続端子が接続される面は、溶接時に溶接電極が密着可能なように、ハウジングの曲面を有する外周面に平坦面が切削加工等によって形成される。
【0005】
なお、下記の特許文献1には、スクロール圧縮機の圧縮機要素(圧縮機構)が内蔵される密閉容器に関する技術が開示されている。特許文献1では、密閉容器の胴部に、接続端子を抵抗溶接するための平坦面が胴部の内径よりも外側に成形される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−14158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来、密閉型圧縮機のハウジングは円筒形状であり、軸線方向に対して垂直方向に切断した断面の形状が一定の肉厚を有する。すなわち、円筒形状のハウジングの外径と内径の中心が一致している。ハウジングの円筒状部材を製造する場合、鋼材を円筒状に曲げ加工した後、対向面を溶接して円筒形状とする方法がある。
【0008】
また、密閉型圧縮機においてCO冷媒等の比較的圧力の高い冷媒が適用される場合、汎用品(市販品)の円筒形状を有する鋼管を加工してハウジングを製造している。この場合、鋼管が一体成型品であることから、鋼材を曲げ加工して溶接する場合に比べて、ハウジングが高い圧力に耐え得る。
【0009】
一方、汎用品の鋼管は、JIS規格等の標準に則って外径や肉厚が定められている。ハウジングの製造において汎用品の鋼管が用いられる場合、上述したハウジングの外周面に平坦面を形成すると、平坦面はハウジングの外径よりも内側に位置するため、平坦面以外の部分と比べて厚さが薄くなる。
【0010】
したがって、接続端子が接続されたハウジングの平坦面において、円筒状部材の肉厚が薄くなり、強度が低く変形しやすくなるため、圧力容器としてのハウジングの信頼性を確保しづらいという問題がある。例えば、ハウジングの平坦面における肉厚を確保するため、JIS規格等の標準に存在しない鋼管、又は、汎用品として流通していない鋼管を用いて、円筒状部材を形成しなければならない。または、汎用品として流通している鋼管を用いる場合、ハウジングを所望の肉厚とするため、サイズの大きい鋼管を採用し、外周面に対して削り出し加工を施す必要がある。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、円筒状部材の外周面に平坦面を形成する場合において、変形を抑制し信頼性をより容易に確保することが可能な密閉型圧縮機及び密閉型圧縮機の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の密閉型圧縮機及び密閉型圧縮機の製造方法は以下の手段を採用する。
すなわち、本発明に係る密閉型圧縮機は、円筒状部材を有するハウジングを備え、前記円筒状部材は、軸線方向に対して垂直方向に切断した前記円筒状部材の断面形状が一定の外径を有する外面と、前記円筒状部材の前記断面形状が一定の内径を有する円筒状の内面とを有し、前記外面は、前記外径よりも中心側に位置する平坦面を有し、前記円筒状部材の前記内径の中心は、前記円筒状部材の前記外径の中心を間に挟んで前記平坦面側とは反対側に位置する。
【0013】
この構成によれば、ハウジングは円筒状部材を有する。一定の外径を有する円筒状部材の外面は、円筒状部材の外径よりも中心側に位置する平坦面を有し、円筒状部材の内面は一定の内径を有する。そして、円筒状部材の内径の中心が、円筒状部材の外径の中心を間に挟んで平坦面側とは反対側に位置する。そのため、外面に形成された平坦面が、円筒状部材の外径よりも中心側に位置するが、円筒状部材の外面と内面の中心を一致させた場合に比べて、平坦面に対応する部分の円筒状部材の肉厚が薄くならず、円筒状部材の強度が確保されて変形が抑制される。
【0014】
上記発明において、前記外面に形成された前記平坦面における前記外面と前記内面間の厚さ最小部分の厚さは、前記外面に形成された前記平坦面から離れた側における前記外面と前記内面間の厚さ最小部分の厚さと等しくてもよい。
【0015】
この構成によれば、外面に形成された平坦面における外面と内面間の厚さ最小部分に作用する応力と、外面に形成された平坦面から離れた側における外面と内面間の厚さ最小部分に作用する応力とをほぼ等しくすることができる。
【0016】
上記発明において、前記外面に形成された前記平坦面に貫通孔が形成され、前記貫通孔に電動モータと電気的に接続される接続端子が固定されてもよい。
【0017】
この構成によれば、貫通孔が外面に形成された平坦面に形成され、電動モータと電気的に接続される接続端子が貫通孔に固定される。外面に形成された平坦面に形成された貫通孔に接続端子が固定される場合に、接続端子の固定部分の肉厚が薄くならず、強度を確保できる。
【0018】
本発明に係る密閉型圧縮機の製造方法は、円筒状部材を有するハウジングを備え、前記円筒状部材は、軸線方向に対して垂直方向に切断した前記円筒状部材の断面形状が一定の外径を有する外面と、前記円筒状部材の前記断面形状が一定の内径を有する円筒状の内面とを有する密閉型圧縮機の製造方法であって、前記外面において、前記外径よりも中心側に位置する平坦面を形成するステップと、前記円筒状部材の前記内径の中心が、前記円筒状部材の前記外径の中心を間に挟んで前記平坦面側とは反対側に位置するように前記内面を形成するステップとを有する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、円筒状部材の外周面に平坦面を形成する場合において、変形を抑制し信頼性をより容易に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係る密閉型圧縮機を示す縦断面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る密閉型圧縮機のセンターハウジングを示す横断面図であり、平坦面において貫通孔が形成される前の状態を示している。
図3】本発明の一実施形態に係る密閉型圧縮機のセンターハウジングを示す部分拡大縦断面図であり、平坦面において貫通孔が形成される前の状態を示している。
図4】従来の密閉型圧縮機のセンターハウジングを示す横断面図であり、平坦面において貫通孔が形成される前の状態を示している。
図5】従来の密閉型圧縮機のセンターハウジングを示す部分拡大縦断面図であり、平坦面において貫通孔が形成される前の状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明に係る一実施形態について、図面を参照して説明する。以下では、本発明の一実施形態に係る密閉型圧縮機を空気調和装置用又は冷凍装置用の密閉型多段圧縮機に適用した例について説明する。
本実施形態においては、便宜上、低段側にロータリ圧縮機2、高段側にスクロール圧縮機3を用いて構成した密閉型多段圧縮機(多段圧縮機)1に適用した例について説明するが、本発明は、単段のスクロール圧縮機、又は、低段側および高段側を共にスクロール圧縮機とした多段スクロール圧縮機等にも適用できる。
【0022】
図1に示すように、ロータリ圧縮機2及びスクロール圧縮機3を用いた多段圧縮機1は、密閉ハウジング10を備えている。密閉ハウジング10は、円筒状のセンターハウジング10Aと、センターハウジング10Aの上部にかしめ固定により設けられた軸受部材31と、センターハウジング10Aの下部を密閉する下部ハウジング10Bと、軸受部材31の上方に全周溶接により設けられ、センターハウジング10Aの上部を密閉する上部ハウジング10Cとから構成されている。
【0023】
センターハウジング10A内のほぼ中央部には、ステータ5とロータ6とから構成される電動モータ4が固定設置されている。ロータ6には、回転軸(クランク軸)7が一体に結合されている。この電動モータ4の下部には、低段側のロータリ圧縮機2が設置されている。低段側のロータリ圧縮機2は、シリンダ室20を備え、センターハウジング10A内に固定設置されるシリンダ本体21と、シリンダ本体21の上下に固定設置され、シリンダ室20の上部および下部を密閉する上部軸受22および下部軸受23と、回転軸7のクランク部7Aに嵌合され、シリンダ室20の内周面を回動するロータ24と、シリンダ室20内を吸入側と吐出側とに仕切る図示省略のブレードおよびブレード押えバネ等とを備えた構成とされている。
【0024】
このロータリ圧縮機2は、吸入管25を介してシリンダ室20内に低圧の冷媒ガスを吸入し、この冷媒ガスをロータ24の回動により中間圧まで圧縮した後、上部軸受22および下部軸受23を用いて上下に形成されている吐出チャンバ26,27内に吐出し、吐出チャンバ26内で合流した後、センターハウジング10A内に吐き出すように構成されている。この中間圧冷媒ガスは、電動モータ4のロータ6に設けられているガス通路孔等を流通して電動モータ4の上部空間に導かれ、さらに高段側のスクロール圧縮機3へと吸入されて2段圧縮されるようになっている。
【0025】
高段側のスクロール圧縮機3は、上部ハウジング10C内に設けられている。スクロール圧縮機3は、回転軸(クランク軸)7を支持する軸受30が設けられた軸受部材31と、それぞれ端板32A,33A上に立設される渦巻き状ラップ32B,33Bを備え、渦巻き状ラップ32B,33B同士を噛み合わせて軸受部材31上に組み付けることにより一対の圧縮室34を構成する固定スクロール部材32および旋回スクロール部材33とを備えている。
【0026】
スクロール圧縮機3は、更に旋回スクロール部材33と回転軸7の偏心ピン7Bとをドライブブッシュ13を介して結合し、旋回スクロール部材33を公転旋回駆動する旋回ボス部33Cと、旋回スクロール部材33と軸受部材31との間に設けられ、旋回スクロール部材33をその自転を阻止して公転旋回させるための自転阻止機構35と、固定スクロール部材32の背面側に設けられ、吐出ポート32Cを開閉する吐出弁36と、固定スクロール部材32の背面側に吐出弁36を包囲するように固定設置されるディスチャージカバー38と、ディスチャージカバー38の中心部に接続され、圧縮された高温高圧ガスを外部に吐き出す吐出管39を備えた構成とされている。
【0027】
上記スクロール圧縮機3は、低段側に設置されたロータリ圧縮機2により圧縮されて密閉ハウジング10に吐き出された中間圧の冷媒ガスを圧縮室34内に吸入し、この中間圧冷媒ガスを旋回スクロール部材33の公転旋回駆動による圧縮動作によって更に高圧に圧縮した後、吐出弁36を介してディスチャージカバー38内に吐き出すように構成されている。この高温高圧冷媒ガスは、吐出管39を介して多段圧縮機1の外部、すなわち冷凍サイクル側へと送出されるようになっている。
【0028】
さらに、回転軸(クランク軸)7の最下端部と低段側に設置されたロータリ圧縮機2の下部軸受23との間には、公知の容積形給油ポンプ14が組み込まれている。この容積形給油ポンプ14は、密閉ハウジング10の底部に充填されている潤滑油15を汲み上げ、回転軸7内に設けられている給油孔を経てロータリ圧縮機2およびスクロール圧縮機3の軸受部等の所要潤滑箇所に潤滑油15を強制給油するように構成されている。
【0029】
センターハウジング10Aの外面42に形成された平坦面40には、貫通孔41が形成される。接続端子50は、貫通孔41に固定され、電動モータ4と電気的に接続される。接続端子50は、内蔵された電動モータ4にケーブル53を介して電力を供給する。接続端子50は、台部51と、台部51に固定された端子部52とを有する。平坦面40において、接続端子50の台部51が貫通孔41に溶接されて固定される。
【0030】
以下、密閉ハウジング10のセンターハウジング10Aについて詳しく説明する。
密閉ハウジング10のセンターハウジング10Aは、円筒状部材であり、中空の円柱形状を有し、軸方向に沿って所定の長さを有する。センターハウジング10Aは、例えば、JIS規格等の標準に規定された汎用品(市販品)の円筒形状を有する鋼管を加工して製造される。鋼管が一体成型品であることから、鋼材を曲げ加工して溶接する場合に比べて、センターハウジング10Aが高い圧力に耐え得る。センターハウジング10Aの製造に用いられる鋼管は、例えばJIS規格の呼び径が125A、すなわち外径が139.8mmであり、呼び厚さがスケジュール80、すなわち厚さが9mmである。
【0031】
円筒状部材であるセンターハウジング10Aは、外面42と内面43から構成され、軸方向に対して垂直方向に切断した断面の形状は、図2に示すように、円環形状である。
【0032】
センターハウジング10Aの外面42の径、すなわち、外径は一定であり、外面42の断面形状は円形状である。また、センターハウジング10Aの内面43の径、すなわち、内径は一定であり、内面43の断面形状は円形状である。
【0033】
センターハウジング10Aの外面42には、接続端子50が設置される平坦面40が形成される。これにより、接続端子50が設置される平坦面40は、溶接時に溶接電極と密着され、接続端子50がセンターハウジング10Aに安定して溶接固定される。平坦面40は、外面42において、例えば正面視形状が四角形に形成される。
【0034】
平坦面40は、円筒形状の鋼管の外周面を、切削加工等によって平坦に加工して形成される。なお、センターハウジング10Aを製造する際、鋼管の外周面に対して、径を調整する加工は施されない。
【0035】
平坦面40は、鋼管の外周面を削って形成されることから、センターハウジング10Aにおいて、センターハウジング10Aの外面42の外径よりも中心O側に位置する。すなわち、平坦面40は、一定の外径を有する鋼管の外周面よりも内側に形成される。
【0036】
図2に示すように、センターハウジング10Aの外面42の中心Oと内面43の中心Oとは一致しておらず、外面42と内面43は偏芯して形成される。すなわち、センターハウジング10Aにおいて、内面43の内径の中心Oは、外面42の外径の中心Oと異なる位置にあり、内径の中心Oは、外径の中心Oを間に挟んで平坦面40側とは反対側に位置する。
【0037】
従来、図4及び図5に示すように、センターハウジング10Aの外面82と内面83の中心O,Oを一致させるように内面83を加工する場合、すなわち、外面82と内面83が同心円状にある場合、センターハウジング10Aの厚さは、外面42に形成された平坦面40側の最小肉厚部Aが、中心O,Oを間に挟んだ反対側の肉厚部Aよりも薄い。図4及び図5では、切削前の鋼管の内面84を二点鎖線で示している。
【0038】
一方、本実施形態の場合、センターハウジング10Aの外面82と内面83の中心O,Oを一致させた場合と比較すると、図2及び図3に示すように、センターハウジング10Aの厚さは、外面42に形成された平坦面40側の最小肉厚部Aが厚くなり、中心O,Oを間に挟んだ反対側の最小肉厚部Aが薄くなる。
【0039】
これにより、本実施形態では、外面42に形成された平坦面40が、センターハウジング10Aの外径よりも中心側に位置するが、外面42の中心Oと内面43の中心Oが偏芯しているため、センターハウジング10Aの外面82と内面83の中心O,Oを一致させた場合に比べて、平坦面40に対応する部分のセンターハウジング10Aの肉厚が薄くならず、センターハウジング10Aの強度が確保されて変形が抑制される。したがって、センターハウジング10Aの外周面に平坦面40を形成する場合において、変形を抑制し信頼性を確保することができる。
【0040】
センターハウジング10Aの内面43は、汎用品の鋼管の内面43に対して、切削加工等によって断面が円形状に削られる。図2及び図3では、切削前の鋼管の内面44を二点鎖線で示している。そして、切削加工等の加工が施された結果、内面43の中心が外面42の中心とは異なる位置となるように形成される。より具体的には、内径の中心Oが、外径の中心Oを間に挟んで平坦面40側とは反対側に位置するように内面43が形成される。また、切削加工等を施すことによって、加工前に比べて表面を滑らかにし、円形状の精度を高めることができる。
【0041】
外面42に形成された平坦面40における外面42と内面43間の厚さが最小の最小肉厚部Aの厚さは、平坦面40から離れた側における外面42と内面43間の厚さが最小の最小肉厚部Aの厚さとほぼ等しい。これにより、外面42に形成された平坦面40における最小肉厚部Aに作用する応力と、外面42に形成された平坦面40から離れた側における最小肉厚部Aに作用する応力とをほぼ等しくすることができる。
【0042】
または、最小肉厚部Aの厚さが、最小肉厚部Aの厚さよりも僅かに厚くなるようにしてもよい。これにより、外面42に形成された平坦面40に集中する応力を低減できる。
【0043】
外面42に形成された平坦面40には、貫通孔41が形成され、接続端子50の台部51が、貫通孔41に固定される。上述したとおり、本実施形態では、従来に比べて平坦面40において肉厚が薄くならずに変形が抑制されているため、接続端子50の固定部分の強度が確保されている。
【0044】
以上、本実施形態によれば、外面42に形成された平坦面40が、センターハウジング10Aの外径よりも中心側に位置する。そして、図2及び図3に示すように、外面42の中心Oと内面43の中心Oが偏芯しているため、平坦面40に対応する部分のセンターハウジング10Aの肉厚が、従来の構成に比べて薄くならず、センターハウジング10Aの強度が確保されて変形が抑制される。したがって、センターハウジング10Aの外周面に平坦面40を形成する場合において、変形を抑制し信頼性を確保することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 :多段圧縮機
2 :ロータリ圧縮機
3 :スクロール圧縮機
4 :電動モータ
5 :ステータ
6 :ロータ
7 :回転軸
7A :クランク部
7B :偏心ピン
10 :密閉ハウジング
10A :センターハウジング
10B :下部ハウジング
10C :上部ハウジング
13 :ドライブブッシュ
14 :容積形給油ポンプ
15 :潤滑油
20 :シリンダ室
21 :シリンダ本体
22 :上部軸受
23 :下部軸受
24 :ロータ
25 :吸入管
26 :吐出チャンバ
27 :吐出チャンバ
30 :軸受
31 :軸受部材
32 :固定スクロール部材
32A :端板
32B :渦巻き状ラップ
32C :吐出ポート
33 :旋回スクロール部材
33A :端板
33B :渦巻き状ラップ
33C :旋回ボス部
34 :圧縮室
35 :自転阻止機構
36 :吐出弁
38 :ディスチャージカバー
39 :吐出管
40 :平坦面
41 :貫通孔
42 :外面
43 :内面
44 :内面
50 :接続端子
51 :台部
52 :端子部
53 :ケーブル
82 :外面
83 :内面
84 :内面
図1
図2
図3
図4
図5