特開2018-204814(P2018-204814A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特開2018-204814制御装置、それを備えたマルチ型空気調和システム、及び制御方法並びに制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-204814(P2018-204814A)
(43)【公開日】2018年12月27日
(54)【発明の名称】制御装置、それを備えたマルチ型空気調和システム、及び制御方法並びに制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/84 20180101AFI20181130BHJP
   F24F 11/46 20180101ALI20181130BHJP
   F24F 11/49 20180101ALI20181130BHJP
   F25B 13/00 20060101ALI20181130BHJP
   F25B 6/02 20060101ALI20181130BHJP
【FI】
   F24F11/02 102F
   F24F11/02 102T
   F25B13/00 N
   F25B13/00 104
   F25B6/02 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-107632(P2017-107632)
(22)【出願日】2017年5月31日
(71)【出願人】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】加藤 隆博
(72)【発明者】
【氏名】安田 達弘
(72)【発明者】
【氏名】瀧川 正幸
【テーマコード(参考)】
3L092
3L260
【Fターム(参考)】
3L092AA13
3L092DA01
3L092EA02
3L092EA15
3L092FA27
3L092GA03
3L092JA01
3L092KA02
3L092KA13
3L092LA06
3L260AA01
3L260AB03
3L260BA03
3L260BA65
3L260CA12
3L260CB06
3L260CB26
3L260CB67
3L260DA02
3L260DA08
3L260EA07
3L260EA12
3L260EA13
3L260EA19
3L260FA03
3L260FA05
3L260FA15
3L260FB07
3L260FB45
3L260HA02
3L260JA03
3L260JA23
(57)【要約】
【課題】コストを増大させず、暖房能力不足を防ぐこと。
【解決手段】暖房運転している室内機において、暖房能力の不足が生じているか否かを検出する検出部42と、暖房能力が不足した室内機を検出した場合に運転していない室内機である停止室内機の室内膨張弁を全閉とする制御部43とを具備する。また、室内機の設定温度と、室内機が空調対象とする室内の室内温度との第1温度差が第1所定値以上となる期間が第1所定期間以上継続するか否かを判定する、または、室内機に設けられる室内熱交換器の入口から出口の区間において出口と出口以外の他点との2点間の冷媒配管の第2温度差が第2所定値以下となるか否かを判定する判定部41を具備し、検出部42は、判定部41の判定結果が肯定の場合に、暖房能力の不足が生じていると検出する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室外機に対して複数の室内機が接続され、前記室内機の膨張弁の開度によって冷媒配管に流通させる冷媒流量が調整されるマルチ型空気調和システムの運転を制御する制御装置であって、
暖房運転している前記室内機において、暖房能力の不足が生じているか否かを検出する検出手段と、
暖房能力が不足した前記室内機を検出した場合に、運転していない前記室内機である停止室内機の前記膨張弁を全閉とする制御手段と
を具備する制御装置。
【請求項2】
前記室内機の設定温度と、前記室内機が空調対象とする室内の室内温度との第1温度差が第1所定値以上となる期間が第1所定期間以上継続するか否かを判定する、または、前記室内機に設けられる室内熱交換器の入口から出口の区間において前記出口と前記出口以外の他点との2点間の前記冷媒配管の第2温度差が第2所定値以下となるか否かを判定する判定手段を具備し、
前記検出手段は、前記判定手段の判定結果が肯定の場合に、暖房能力の不足が生じていると検出する請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記判定手段は、前記室内機が空調対象とする室内の室内温度と、前記室内機に設けられる室内熱交換器の前記冷媒配管のベンド部または入口の冷媒温度との第3温度差が第3所定値以下となるか否かを判定する請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記制御手段は、運転していない全ての前記室内機、または運転していない一部の前記室内機の前記膨張弁を全閉とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の制御装置。
【請求項5】
前記制御手段は、運転していない一部の前記室内機の前記膨張弁を全閉とする場合に、前記室内機に予め設定されたアドレスに基づいて、前記膨張弁を全閉とする前記室内機を選定する請求項1から請求項4のいずれかに記載の制御装置。
【請求項6】
前記制御手段は、運転していない一部の前記室内機の前記膨張弁を全閉とする場合に、運転が停止されている期間が第2所定期間以上である前記室内機を選定する請求項1から請求項5のいずれかに記載の制御装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の制御装置と、
室外機と、
前記室外機に対して接続される複数の室内機とを備えるマルチ型空気調和システム。
【請求項8】
室外機に対して複数の室内機が接続され、前記室内機の膨張弁の開度によって冷媒配管に流通させる冷媒流量が調整されるマルチ型空気調和システムの運転を制御する制御方法であって、
暖房運転している前記室内機において、暖房能力の不足が生じているか否かを検出する工程と、
暖房能力が不足した前記室内機を検出した場合に、運転していない前記室内機である停止室内機の前記膨張弁を全閉とする工程と
を有する制御方法。
【請求項9】
室外機に対して複数の室内機が接続され、前記室内機の膨張弁の開度によって冷媒配管に流通させる冷媒流量が調整されるマルチ型空気調和システムの運転を制御する制御プログラムであって、
暖房運転している前記室内機において、暖房能力の不足が生じているか否かを検出する処理と、
暖房能力が不足した前記室内機を検出した場合に、運転していない前記室内機である停止室内機の前記膨張弁を全閉とする処理と
をコンピュータに実行させるための制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、それを備えたマルチ型空気調和システム、及び制御方法並びに制御プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
空気調和システムにおいて、冷房・暖房等の運転状態や空気条件等によって必要冷媒量は変化する。また、マルチ型空気調和システムにおいては、これに加え、室内機の運転台数によっても、必要冷媒量が変動するものである。
必要冷媒量の変化への対応は、システム制御やレシーバによって調節され、運転室内機へは適正な冷媒量が供給されるよう制御されている。
下記特許文献1では、停止負荷側ユニットと運転負荷側ユニットが混在する暖房運転において、運転サイクル中の冷媒量が適正かどうかを一定時間毎に判断し、適正範囲でない場合は停止負荷側ユニットに連通する膨張弁の開度を適宜補正して冷媒量を調整する技術が開示されている。
【0003】
下記特許文献2では、停止中の室内ユニットの膨張弁を全閉にして暖房運転中の冷凍サイクルを冷媒不足状態にさせることなく、静かな環境における停止中の室内ユニットの送風機による騒音を低減させ、全閉にする室内ユニットの選定を自動と手動で選定可能とする技術が開示されている。
下記特許文献3では、サーモオフ状態時に、膨張弁を閉とする停止室内ユニットを任意に選択する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−266388号公報
【特許文献2】特開2005−76954号公報
【特許文献3】特開2005−49069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、暖房運転において、必要冷媒量以上の余剰冷媒がある場合には、レシーバやマルチ型空気調和システムでは停止室内機に一部の冷媒が溜め込まれることで冷媒量の調整が行われている。
しかしながら、上記特許文献1では、空気調和システム内の冷媒量が過大である場合に、停止負荷側ユニットの膨張弁開度の調整をしても冷媒流量を調整しきれずレシーバ等で冷媒を貯留できず、運転負荷側ユニットに冷媒量過大が生じ、暖房能力不足に陥るという課題があった。上記特許文献2、特許文献3では、冷媒量が過大である場合を想定した運転ではないので、冷媒量過大による暖房能力不足に陥るという課題を解決することはできない。
また、レシーバ容量を大きくすることによって過大な冷媒量を溜め込む量を増やすこともできるが、コストが増大するという問題がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、コストを増大させず、暖房能力不足を防ぐことができる制御装置、それを備えたマルチ型空気調和システム、及び制御方法並びに制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
本発明は、室外機に対して複数の室内機が接続され、前記室内機の膨張弁の開度によって冷媒配管に流通させる冷媒流量が調整されるマルチ型空気調和システムの運転を制御する制御装置であって、暖房運転している前記室内機において、暖房能力の不足が生じているか否かを検出する検出手段と、暖房能力が不足した前記室内機を検出した場合に、運転していない前記室内機である停止室内機の前記膨張弁を全閉とする制御手段とを具備する制御装置を提供する。
【0008】
本発明の構成によれば、暖房運転している室内機において、暖房能力の不足が検出された場合に、運転していない室内機である停止室内機の膨張弁を全閉とすることにより、暖房運転している室内機の冷媒配管に流通する冷媒の一部が停止室内機側に貯留される。これにより、暖房運転している室内機の冷媒流量を低減させ、冷媒流量過大によって暖房能力の不足が生じていてもそれを改善することができる。
また本発明によれば、レシーバ容量を変更する必要がないのでコストを増大させることなく、暖房能力不足を防ぐことができる。
さらに、空気調和システムを設置する現地において、設置業者が冷媒を過大チャージしてしまう等の設置時の不具合がある場合であっても、本発明の制御を行うことにより、既存の空気調和システムを冗長化できる。
【0009】
上記制御装置は、前記室内機の設定温度と、前記室内機が空調対象とする室内の室内温度との第1温度差が第1所定値以上となる期間が第1所定期間以上継続するか否かを判定する、または、前記室内機に設けられる室内熱交換器の入口から出口の区間において前記出口と前記出口以外の他点との2点間の前記冷媒配管の第2温度差が第2所定値以下となるか否かを判定する判定手段を具備し、前記検出手段は、前記判定手段の判定結果が肯定の場合に、暖房能力の不足が生じていると検出してもよい。
【0010】
暖房運転において、空調対象の室内がなかなか暖まらない状態や、室内機内に冷媒が溜まり込んでいる状態等か否かを判定して、暖房能力の不足が生じていると検出することができる。
【0011】
上記制御装置の前記判定手段は、前記室内機が空調対象とする室内の室内温度と、前記室内機に設けられる室内熱交換器の前記冷媒配管のベンド部または入口の冷媒温度との第3温度差が第3所定値以下となるか否かを判定してもよい。
【0012】
冷媒が室内機に溜まり込むと、溜まった冷媒温度は室内機の室内温度(吸込温度)に近くなるので、室内温度と、冷媒配管のベンド部または入口の冷媒温度とを比較して暖房能力の不足を検出してもよい。こうすることにより、室内熱交換器の出口側の冷媒配管に設ける温度センサを減らすことができる。
【0013】
上記制御装置の前記制御手段は、運転していない全ての前記室内機、または運転していない一部の前記室内機の前記膨張弁を全閉としてもよい。
【0014】
室内機の膨張弁を全閉とする室内機を、運転していない室内機の全て、または運転していない室内機の一部に設定することにより、運転している室内機の必要冷媒流量に対する余剰分に応じた制御ができる。
【0015】
上記制御装置の前記制御手段は、運転していない一部の前記室内機の前記膨張弁を全閉とする場合に、前記室内機に予め設定されたアドレスに基づいて、前記膨張弁を全閉とする前記室内機を選定してもよい。
【0016】
予め設定されたアドレスに基づいて室内機を選定することにより、速やかに膨張弁を全閉とする室内機を決定することができる。
【0017】
上記制御装置の前記制御手段は、運転していない一部の前記室内機の前記膨張弁を全閉とする場合に、運転が停止されている期間が第2所定期間以上である前記室内機を選定してもよい。
【0018】
運転が停止されている期間が第2所定期間以上となっている室内機を膨張弁を全閉とする室内機として選定することにより、運転される頻度が高い室内機の膨張弁を全閉にする制御をすることを避け、通常動作と異なることをできるだけ防ぐ。
【0019】
本発明は、上記いずれかに記載の制御装置と、室外機と、前記室外機に対して接続される複数の室内機とを備えるマルチ型空気調和システムを提供する。
【0020】
本発明は、室外機に対して複数の室内機が接続され、前記室内機の膨張弁の開度によって冷媒配管に流通させる冷媒流量が調整されるマルチ型空気調和システムの運転を制御する制御方法であって、暖房運転している前記室内機において、暖房能力の不足が生じているか否かを検出する工程と、暖房能力が不足した前記室内機を検出した場合に、運転していない前記室内機である停止室内機の前記膨張弁を全閉とする工程とを有する制御方法を提供する。
【0021】
本発明は、室外機に対して複数の室内機が接続され、前記室内機の膨張弁の開度によって冷媒配管に流通させる冷媒流量が調整されるマルチ型空気調和システムの運転を制御する制御プログラムであって、暖房運転している前記室内機において、暖房能力の不足が生じているか否かを検出する処理と、暖房能力が不足した前記室内機を検出した場合に、運転していない前記室内機である停止室内機の前記膨張弁を全閉とする処理とをコンピュータに実行させるための制御プログラムを提供する。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、コストを増大させず、暖房能力不足を防ぐマルチ型空気調和システムの制御装置を提供できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明に係るマルチ形空気調和システムの冷媒回路の概略図である。
図2】本発明に係るマルチ形空気調和システムの制御装置の電気的構成を示す機能ブロック図である。
図3】本発明に係るマルチ形空気調和システムの制御装置の動作フローである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明にかかる制御装置、それを備えたマルチ型空気調和システム、及び制御方法並びに制御プログラムの実施形態について、図面を参照して説明する。
【0025】
以下、本発明の実施形態について、図1を用いて説明する。
図1は、本実施形態に係るマルチ型空気調和システム1の冷媒回路の概略が示されている。
マルチ型空気調和システム1は、1台の室外機2に、複数台の室内機3A,3Bが並列に接続されたものである。複数台の室内機3A,3Bは、室外機2に接続されているガス側配管4と液側配管5との間に分岐器6を介して互いに並列に接続されている。本実施形態においては、複数台の室内機は2台である場合を例に挙げて説明するが、室内機の台数は複数であればよく、特に限定されない。
なお、以下において特に区別しない場合、室内機は室内機3と示す。
【0026】
室外機2は、冷媒を圧縮するインバータ駆動の圧縮機10と、冷媒の循環方向を切換える四方切換弁12と、冷媒と外気とを熱交換させる室外熱交換器13と、室外熱交換器13と一体的に構成されている過冷却コイル14と、室外膨張弁(EEVH)15と、液冷媒を貯留するレシーバ16と、液冷媒に過冷却を与える過冷却熱交換器17と、過冷却熱交換器17に分流される冷媒量を制御する過冷却用膨張弁(EEVSC)18と、圧縮機10に吸入される冷媒ガスから液分を分離し、ガス分のみを圧縮機10側に吸入させるアキュームレータ19と、ガス側操作弁20と、液側操作弁21とを備えている。
【0027】
室外機2側の上記各機器は、冷媒配管22を介して順次接続され、公知の室外側冷媒回路23を構成している。また、室外機2には、室外熱交換器13に対して外気を送風する室外ファン24が設けられている。
【0028】
ガス側配管4及び液側配管5は、室外機2のガス側操作弁20及び液側操作弁21に接続される冷媒配管であり、現場での据え付け施工時に、室外機2とそれに接続される複数台の室内機3A,3Bとの間の距離に応じて、その配管長が適宜設定される。ガス側配管4及び液側配管5の途中には、複数の分岐器6が設けられ、該分岐器6を介して適宜台数の室内機3A,3Bが接続されている。これによって、密閉された1系統の冷凍サイクル(冷媒回路)7が構成されている。
【0029】
室内機3A,3Bは、室内空気を冷媒と熱交換させて冷却又は加熱し、室内の空調に供する室内熱交換器30と、室内膨張弁(EEVC)31と、室内熱交換器30を介して室内空気を循環させる室内ファン32と、室内コントローラ39とを備えており、室内側の分岐ガス側配管4A,4B及び分岐液側配管5A,5Bを介して分岐器6に接続されている。
【0030】
また、室内機3A,3Bは、第1熱交温度センサ(暖房時の入口側温度センサ)33と、第2熱交温度センサ(暖房時の出口側温度センサ)35と、第3熱交温度センサ(ベンド部の温度センサ)34と、吸込温度センサ36とを備えている。
第1熱交温度センサ33は、室内機3A,3Bの室内熱交換器30の暖房運転時の冷媒の入口側に設けられ、凝縮器として機能する室内熱交換器30に流入される冷媒の温度を検出する。
第2熱交温度センサ35は、室内機3A,3Bの室内熱交換器30の暖房運転時の冷媒の出口側に設けられ、凝縮器として機能する室内熱交換器30から流出される冷媒の温度を検出する。
【0031】
第3熱交温度センサ34は、室内熱交換器30の入口側と出口側との間、例えば、冷熱間が湾曲している入口側と出口側との中間部位(ベンド部)等に設けられ、室内熱交換器30の入口側と出口側との間の冷媒の温度を検出する。
吸込温度センサ36は、室内機3A,3Bが空気調和する室内から吸い込んだ吸込空気の温度を検出する。
第1熱交温度センサ33、第2熱交温度センサ35、第3熱交温度センサ34、及び吸込温度センサ36で検出された各温度の情報は、それぞれ対応する室内機3A,3Bの室内コントローラ39を介して制御装置40(詳細は後述する)に出力される。
【0032】
上記のマルチ型空気調和システム1において、冷房運転は、以下のように行われる。冷房運転時の冷媒の流れを図1の実線矢印で示している。
圧縮機10で圧縮され、吐出された高温高圧の冷媒ガスは、四方切換弁12により室外熱交換器13側に循環され、室外熱交換器13で室外ファン24により送風される外気と熱交換されて凝縮液化される。この液冷媒は、過冷却コイル14で更に冷却された後、室外膨張弁15を通過し、レシーバ16内に一旦貯留される。
【0033】
レシーバ16で循環量が調整された液冷媒は、過冷却熱交換器17を経て液冷媒配管側を流通される過程で、液冷媒配管から一部分流され、過冷却用膨張弁18で断熱膨張された冷媒と熱交換されて過冷却度が付与される。この液冷媒は、液側操作弁21を経て室外機2から液側配管5へと導かれ、分岐器6を介して各室内機3A,3Bの分岐液側配管5A,5Bへと分流される。
【0034】
分岐液側配管5A,5Bに分流された液冷媒は、各室内機3A,3Bに流入し、室内膨張弁31で断熱膨張され、気液二相流となって室内熱交換器30に流入される。室内熱交換器30では、室内ファン32により循環される室内空気と冷媒とが熱交換され、室内空気は冷却されて室内の冷房に供される。一方、冷媒はガス化され、分岐ガス側配管4A,4Bを経て分岐器6に至り、他の室内機からの冷媒ガスとガス側配管4で合流される。
【0035】
ガス側配管4で合流された冷媒ガスは、再び室外機2に戻り、ガス側操作弁20、四方切換弁12を経て、過冷却熱交換器17からの冷媒ガスと合流された後、アキュームレータ19に導入される。アキュームレータ19では、冷媒ガス中に含まれている液分が分離され、ガス分のみが圧縮機10に吸入される。この冷媒は、圧縮機10において再び圧縮され、以上のサイクルを繰り返すことによって冷房運転が行われる。
【0036】
一方、暖房運転は、以下のように行われる。暖房運転時の冷媒の流れを図1の点線矢印で示している。
圧縮機10により圧縮され、吐出された高温高圧の冷媒ガスは、四方切換弁12を介してガス側操作弁20側に循環される。この高圧ガス冷媒は、ガス側操作弁20、ガス側配管4を経て室外機2から導出され、分岐器6、室内側の分岐ガス側配管4A,4Bを経て複数台の室内機3A,3Bに導入される。
【0037】
室内機3A,3Bに導入された高温高圧の冷媒ガスは、室内熱交換器30で室内ファン32を介して循環される室内空気と熱交換され、これにより加熱された室内空気は室内に吹出されて暖房に供される。一方、室内熱交換器30で凝縮液化された冷媒は、室内膨張弁31、分岐液側配管5A,5Bを経て分岐器6に至り、他の室内機からの冷媒と合流され、液側配管5を経て室外機2に戻る。なお、暖房時、室内機3A,3Bでは、凝縮器として機能する室内熱交換器30に流入される冷媒流量が制御目標値となるように、室内膨張弁31の開度が室内コントローラ39を介して制御される。
【0038】
室外機2に戻った冷媒は、液側操作弁21を経て過冷却熱交換器17に至り、冷房時の場合と同様に過冷却が付与された後、レシーバ16に流入され、一旦貯留されることにより循環量が調整される。この液冷媒は、室外膨張弁15に供給されて断熱膨張された後、過冷却コイル14を経て室外熱交換器13に流入される。
【0039】
室外熱交換器13では、室外ファン24から送風される外気と冷媒とが熱交換され、冷媒は外気から吸熱して蒸発ガス化される。この冷媒は、室外熱交換器13から四方切換弁12を経て、過冷却熱交換器17からの冷媒ガスと合流された後、アキュームレータ19に導入される。アキュームレータ19では、冷媒ガス中に含まれている液分が分離されてガス分のみが圧縮機10に吸入され、圧縮機10において再び圧縮される。以上のサイクルを繰り返すことによって暖房運転が行われる。
【0040】
このように、暖房運転時、レシーバ16にて冷媒が一旦貯留される等の制御によって冷媒の循環量が調整されるが、レシーバ16での冷媒流量の調整が追い付かず、室内機3A,3Bは、冷媒流量の過大により暖房能力不足となる場合がある。
以下に、本実施形態に係る制御装置40により、暖房運転時に冷媒流量の過大を抑え、暖房能力不足を防ぐ制御について説明する。
【0041】
マルチ型空気調和システム1は、制御装置40を備えている。
図2は、本実施形態に係るマルチ型空気調和システム1の制御を司る制御装置40の電気的構成を示すブロック図である。
制御装置40は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体等から構成される。そして、各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で記憶媒体等に記憶されており、このプログラムをCPUがRAM等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、ROMやその他の記憶媒体に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等である。また、制御装置40は、室外機2に備えられている。
【0042】
具体的には、制御装置40は、判定部(判定手段)41と、検出部(検出手段)42と、制御部(制御手段)43とを備えている。
判定部41は、暖房運転している室内機3A,3Bにおいて、冷媒配管に流通する冷媒流量が必要冷媒流量以上となっているか否かを判定する。マルチ型空気調和システム1の必要冷媒量は、冷房運転・暖房運転、または空調空間の空気条件、室内機の運転台数等により変化するものである。本実施形態においては、室内機3A,3Bの室内熱交換器30近傍に設けられる各種温度センサで検出された温度情報に基づいて、運転している室内機3A,3Bに流通する冷媒流量が必要冷媒流量以上となっているか否かを判定する。
具体的には、判定部41は、室内機3A,3Bの設定温度と、室内機3A,3Bが空調対象とする室内の室内温度との第1温度差が第1所定値以上となる期間が第1所定期間以上継続するか否かを判定する、または、室内機3A,3Bに設けられる室内熱交換器30の入口から出口の区間において出口と出口以外の他点との2点間の冷媒配管の第2温度差が第2所定値以下となるか否かを判定する。
【0043】
室内機3A,3Bの設定温度と室内温度との第1温度差が第1所定値以上となる期間が第1所定期間以上継続した場合とは、空調対象の室内がなかなか暖まらない等の状態が挙げられる。
室内熱交換器30の出口と出口以外の他点との2点間の冷媒配管の第2温度差が第2所定値以下となる場合とは、室内機3A,3Bの冷媒配管に冷媒が溜まり込んでおり、出口と他点との2点間の温度差がなくなる等の状態が挙げられる。出口以外の他点とは、例えば、出口と入口の中間部位であるベンド部でもよいし、入口部分でもよい。
【0044】
また、室内機3A,3B側に空調対象となる室内の室内温度を検出する室内温度センサ(図示略)が設けられており、天井が高い部屋の天井に室内機3A,3Bが設けられている場合には、室内温度と設定温度が小さくなったと判定されたとしても、人間等が存在する空間における室内温度と、設定温度は温度差が大きいということが生じる場合がある。そうした場合には、室内温度として人間等が体感する実際の室内温度と、室内機3A,3B側で検出される室内温度との温度差が大きくなる。
【0045】
こうした状況を勘案し、室内機3A,3Bを操作するリモートコントローラ(図示略)に室内機3A,3Bの空調対象となる室内の室内温度を検出する室内温度センサが設けることにより、リモートコントローラ側で人間等が体感する室内温度に近い室内温度を検出でき、設定温度と室内温度との差を精度をよく判定することができる。
そのため、判定部41が、「室内機3A,3Bの設定温度と室内温度の第1温度差が第1所定値以上となる期間が第1所定期間以上継続した場合」を判定するのは、リモートコントローラに室内温度センサが設けられる場合に限定することにより、空調対象の空間が適切に空調されているかどうかを判定する精度を向上させることができる。
【0046】
検出部42は、判定部41により肯定判定された場合に、暖房能力の不足が生じていることを検出し、暖房能力の不足が生じている旨を制御部43に出力する。
制御部43は、暖房能力が不足した室内機3A,3Bを検出した場合に、運転していない室内機3A,3Bである停止室内機の室内膨張弁31を全閉(閉止)にする。
【0047】
本実施形態においては、室内機が2台であり、1台の室内機が運転しており、1台の室内機が停止室内機である場合を例示するが、本発明は室内機が3台以上であっても適用できるものであり、マルチ型空気調和システム1の運転状態によっては停止室内機が2台以上となる場合もある。
停止室内機が2台以上である場合には、室内膨張弁31を全閉とする室内機3は、一部の室内機3としてもよいし、全ての室内機3としてもよい。
【0048】
室内膨張弁31を全閉とする室内機3を、停止室内機のうちの一部の室内機3とする場合に、閉止する室内機3の選定方法は、特に限定されない。
例えば、室内機3A,3Bにそれぞれ個々を識別するためのアドレスが割り当てられている場合に、停止室内機のうちアドレスを示す番号の小さいものを選定する等、アドレスに基づいて選定してもよい。また例えば、運転停止されている期間が第2所定期間以上となっている、すなわち、使用する頻度が高いものは選定を避け、ある程度長い期間使っていない停止室内機を選定することとしてもよい。また、室内膨張弁31を閉止する室内機3を複数選定する場合に、複数の室内機3の室内膨張弁31を一斉に閉止してもよいし、複数の室内機3の室内膨張弁31を順(段階的)に閉止させるようにしてもよい。
停止室内機のうち一部の室内機3を選定する制御は、ユーザによる手動で行ってもよいし、制御装置40で選定制御させてもよい。
【0049】
室内膨張弁31を全閉とする室内機3を、停止室内機の一部の室内機3とするか停止室内機の全室内機3とするか、或いは一部の室内機3とした場合には何台の室内機3を選定するかは、運転している室内機3A,3Bにおける冷媒流量の余剰分に応じて決定するとよい。
これは、必要以上に室内膨張弁31を閉止させることによって、運転している室内機3A,3Bに対して必要な冷媒が流通しなくなり、冷媒流量不足の状態になることがあるためである。
【0050】
以下に、本実施形態に係る制御装置の作用について図1から図3を用いて説明する。
ここでは、室内機3Aは暖房運転をしており、室内機3Bは運転を停止する停止室内機である場合を例に挙げて説明するが、本発明はこれに限定されない。
室内機3Aは暖房運転しており、室内機3Bの運転は停止されている。マルチ型空気調和システム1の冷媒流量を調整するために運転が停止している室内機3Bの室内膨張弁31は、開度調整されて微開とされている。
暖房運転時、室内機3Aの室内熱交換器30の冷媒配管の入口側からは40℃から50℃程度の冷媒が流入される。運転している室内機3に冷媒の溜まり込みが生じている場合には、室内熱交換器30の冷媒配管内(例えば、ベンド部)の温度は室内温度(吸込温度;例えば、20℃)に近くなっているので、冷媒配管の入口から流入された40℃から50℃程度の冷媒は、溜まり込んでいる冷媒でなまされ、さらに冷媒配管に溜まり込む。
【0051】
暖房運転している室内機3Aにおいて、設定温度と室内温度との第1温度差が第1所定値以上となる期間が第1所定期間以上継続したと判定される、または、室内機3Aの室内熱交換器30の第2熱交温度センサ35で検出された出口温度と第3熱交温度センサ34で検出されたベンド部温度との第2温度差が第2所定値以下になると判定されると(図3のステップSA1)、室内機3Aで冷媒流量が必要冷媒量以上であるとして暖房能力不足が検出される(図3のステップSA2)。
また、図3のステップSA1の判定で否定判定されると、フローを戻り、繰り返し判定を行う。
【0052】
室内機3Aの暖房能力不足が検出されると、室内機3Aの室内熱交換器30に冷媒が溜まり込みが生じているものとし、室内機3Bの室内膨張弁31が全閉に制御される(図3のステップSA3)。
そうすると、暖房運転している室内機3Aの冷媒配管に流通していた冷媒の一部が停止室内機である室内機3Bに流れ、室内機3Bに貯留される。これにより、暖房運転している室内機3Aの冷媒流量が徐々に低減されることで、室内機3Aの冷媒の溜まり込みが解消され、冷媒流量過大に起因した暖房能力の不足が改善される。
【0053】
以上説明してきたように、本実施形態に係る制御装置40、それを備えたマルチ型空気調和システム1、及び制御方法並びに制御プログラムによれば、暖房運転している室内機3A,3Bにおいて、暖房能力の不足が検出された場合に、運転していない室内機3A,3Bである停止室内機の室内膨張弁31を全閉とすることにより、暖房運転している室内機3A,3Bの冷媒配管に流通する冷媒の一部が停止室内機側に貯留される。これにより、暖房運転している室内機3A,3Bの冷媒流量を低減させ、冷媒流量過大によって暖房能力の不足が生じていてもそれを改善することができる。
本実施形態によれば、レシーバ容量を変更する必要がないのでコストを増大させることなく、暖房能力不足を防ぐことができる。
【0054】
また、マルチ型空気調和システム1を設置する現地において、設置業者が冷媒を過大チャージしてしまう等の設置時の不具合がある場合であっても、本制御を行うことにより、既存のマルチ型空気調和システム1を冗長化できる。
また、暖房運転において、空調対象の室内がなかなか暖まらない状態や、室内機内に冷媒が溜まり込んでいる状態等か否かを判定して、暖房能力の不足が生じていると検出することができる。
【0055】
〔変形例〕
上記実施形態においては、室内熱交換器30の出口と、出口以外の他点との2点間の冷媒配管の第2温度差が第2所定値以下となる場合に、冷媒流量が必要冷媒以上となったことを判定することとして説明していたが、これに限定されない。
例えば、冷媒が室内機3に溜まり込んでいる場合には、室内機3の室内温度(吸込温度)が、冷媒配管に溜まり込む冷媒の温度に近くなることに着目し、室内温度とベンド部または入口温度の差を比較して、暖房能力の不足を検出することとしてもよい。室内温度と冷媒配管のベンド部または入口の冷媒温度とを比較して暖房能力の不足を検出することにより、冷媒配管に設ける温度センサ(第1熱交温度センサ33)を削減することができる。
また、冷媒配管の出口側は液冷媒が溜まりやすく誤検知のおそれがあるので、室内温度と比較するときに出口温度は用いない方が好ましい。
【符号の説明】
【0056】
1 マルチ型空気調和システム
2 室外機
3A,3B 室内機
40 制御装置
41 判定部(判定手段)
42 検出部(検出手段)
43 制御部(制御手段)
図1
図2
図3