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特開2018-204897マルチ型空気調和装置の制御装置、それを備えたマルチ型空気調和装置、及びその制御方法並びに制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-204897(P2018-204897A)
(43)【公開日】2018年12月27日
(54)【発明の名称】マルチ型空気調和装置の制御装置、それを備えたマルチ型空気調和装置、及びその制御方法並びに制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   F25B 13/00 20060101AFI20181130BHJP
   F24F 11/86 20180101ALI20181130BHJP
   F24F 11/46 20180101ALI20181130BHJP
   F24F 11/49 20180101ALI20181130BHJP
   F24F 11/62 20180101ALI20181130BHJP
   F24F 11/85 20180101ALI20181130BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20181130BHJP
   F25B 5/02 20060101ALI20181130BHJP
【FI】
   F25B13/00 M
   F24F11/02 102W
   F24F11/02 102T
   F24F11/02 H
   F25B13/00 104
   F25B1/00 361D
   F25B5/02 510Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-112735(P2017-112735)
(22)【出願日】2017年6月7日
(71)【出願人】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】三苫 恵介
(72)【発明者】
【氏名】五十住 晋一
(72)【発明者】
【氏名】加藤 隆博
(72)【発明者】
【氏名】塩谷 篤
(72)【発明者】
【氏名】大村 峰正
【テーマコード(参考)】
3L092
3L260
【Fターム(参考)】
3L092AA06
3L092BA13
3L092DA15
3L092EA11
3L092FA04
3L092GA04
3L092JA05
3L092JA11
3L092KA10
3L092LA07
3L260AB03
3L260BA03
3L260BA23
3L260BA32
3L260CB61
3L260CB86
3L260DA01
3L260EA07
3L260EA27
3L260FA16
3L260FB04
(57)【要約】
【課題】室内機の運転台数の切り替え時における圧縮機の冷媒吐出温度の急上昇を抑えること。
【解決手段】所定期間内で室内機の運転の切り替えが行われ、運転切替後の圧縮機の回転数の指令値である圧縮機回転数指令値に対する運転切替前の圧縮機回転数指令値の割合が、第1所定倍数を超えるか否かを判定する判定部52と、割合が第1所定倍数を超える場合に、圧縮機の回転数の下降レートを、割合が第1所定倍数を超えない場合の圧縮機の回転数の下降レートよりも大きく設定するレート設定部53とを具備する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機を備えた少なくとも一つの室外機と、複数の室内機とを備えたマルチ型空気調和装置の制御装置であって、
所定期間内で前記室内機の運転の切り替えが行われ、運転切替後の前記圧縮機の回転数の指令値である圧縮機回転数指令値に対する運転切替前の前記圧縮機回転数指令値の割合が、第1所定倍数を超えるか否かを判定する判定手段と、
前記割合が、前記第1所定倍数を超える場合に、前記圧縮機の前記回転数の下降レートを、前記割合が前記第1所定倍数を超えない場合の前記圧縮機の前記回転数の下降レートよりも大きく設定するレート設定手段と
を具備するマルチ型空気調和装置の制御装置。
【請求項2】
圧縮機を備えた少なくとも一つの室外機と、複数の室内機とを備えたマルチ型空気調和装置の制御装置であって、
所定期間内で前記室内機の運転の切り替えが行われ、運転切替後の前記室内機の運転容量の合計である第1運転容量合計値に対する運転切替前の前記室内機の運転容量の合計である第2運転容量合計値の割合が、第1所定倍数を超えるか否かを判定する判定手段と、
前記割合が、前記第1所定倍数を超える場合に、前記圧縮機の回転数の下降レートを、前記割合が前記第1所定倍数を超えない場合の前記圧縮機の前記回転数の下降レートよりも大きく設定するレート設定手段と
を具備するマルチ型空気調和装置の制御装置。
【請求項3】
前記レート設定手段は、前記第1所定倍数を5倍とする請求項1または請求項2に記載のマルチ型空気調和装置の制御装置。
【請求項4】
前記レート設定手段は、前記割合が前記第1所定倍数を超える場合に、前記割合が前記第1所定倍数以下のときの前記下降レートに対して、第2所定倍数の前記下降レートを設定する請求項1から請求項3のいずれかに記載のマルチ型空気調和装置の制御装置。
【請求項5】
前記レート設定手段は、前記割合が前記第1所定倍数を超える場合に、前記下降レートをステップ状に変化させる請求項1から請求項3のいずれかに記載のマルチ型空気調和装置の制御装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の制御装置と、
圧縮機を備えた少なくとも一つの室外機と、
対応する電動膨張弁を備えた複数の室内機と、
を備えたマルチ形空気調和装置。
【請求項7】
圧縮機を備えた少なくとも一つの室外機と、複数の室内機とを備えたマルチ型空気調和装置の制御方法であって、
所定期間内で前記室内機の運転の切り替えが行われ、運転切替後の前記圧縮機の回転数の指令値である圧縮機回転数指令値に対する運転切替前の前記圧縮機回転数指令値の割合が、第1所定倍数を超えるか否かを判定する工程と、
前記割合が、前記第1所定倍数を超える場合に、前記圧縮機の前記回転数の下降レートを、前記割合が前記第1所定倍数を超えない場合の前記圧縮機の前記回転数の下降レートよりも大きく設定する工程と
を有するマルチ型空気調和装置の制御方法。
【請求項8】
圧縮機を備えた少なくとも一つの室外機と、複数の室内機とを備えたマルチ型空気調和装置の制御プログラムであって、
所定期間内で前記室内機の運転の切り替えが行われ、運転切替後の前記圧縮機の回転数の指令値である圧縮機回転数指令値に対する運転切替前の前記圧縮機回転数指令値の割合が、第1所定倍数を超えるか否かを判定する処理と、
前記割合が、前記第1所定倍数を超える場合に、前記圧縮機の前記回転数の下降レートを、前記割合が前記第1所定倍数を超えない場合の前記圧縮機の前記回転数の下降レートよりも大きく設定する処理と
をコンピュータに実行させるためのマルチ型空気調和装置の制御プログラム。
【請求項9】
圧縮機を備えた少なくとも一つの室外機と、複数の室内機とを備えたマルチ型空気調和装置の制御方法であって、
所定期間内で前記室内機の運転の切り替えが行われ、運転切替後の前記室内機の運転容量の合計である第1運転容量合計値に対する運転切替前の前記室内機の運転容量の合計である第2運転容量合計値の割合が、第1所定倍数を超えるか否かを判定する工程と、
前記割合が、前記第1所定倍数を超える場合に、前記圧縮機の回転数の下降レートを、前記割合が前記第1所定倍数を超えない場合の前記圧縮機の前記回転数の下降レートよりも大きく設定する工程と
を有するマルチ型空気調和装置の制御方法。
【請求項10】
圧縮機を備えた少なくとも一つの室外機と、複数の室内機とを備えたマルチ型空気調和装置の制御プログラムであって、
所定期間内で前記室内機の運転の切り替えが行われ、運転切替後の前記室内機の運転容量の合計である第1運転容量合計値に対する運転切替前の前記室内機の運転容量の合計である第2運転容量合計値の割合が、第1所定倍数を超えるか否かを判定する処理と、
前記割合が、前記第1所定倍数を超える場合に、前記圧縮機の回転数の下降レートを、前記割合が前記第1所定倍数を超えない場合の前記圧縮機の前記回転数の下降レートよりも大きく設定する処理と
をコンピュータに実行させるためのマルチ型空気調和装置の制御プログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチ型空気調和装置の制御装置、それを備えたマルチ型空気調和装置、及びその制御方法並びに制御プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、1つの室外機に対し、複数の室内機が接続されるマルチ型空気調和装置は、室内機毎に運転制御されている。マルチ型空気調和装置は、複数の室内機が運転している状態から一部の室内機の運転が停止されるような場合には、圧縮機の回転数や膨張弁を制御して快適な空調が継続されるように調整されている。
下記特許文献1では、多室型空気調和機において、2台の室内機を同時に運転させている状態から室内機1台の単独運転に切り替えた場合に、室外熱交換器と室内熱交換器の経路上の室外機側に設けられた電動膨張弁を閉める速度を開くときの速度よりも遅く制御することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−241799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、マルチ形空気調和装置において、室内機全台運転から最小容量の室内機1台運転に運転が切り替わる場合、室外機の圧縮機の回転数が最大回転数から最小回転数に切り替わっても特に問題が発生することはなかった。
しかしながら、圧縮機に従来よりも高速(例えば、200rps等)で回転する圧縮機が採用された場合には、圧縮機の回転数の上限値すなわち最大回転数が上がるが、最大回転数で運転時に最小回転数まで負荷が低下すると冷媒の高低圧差が大きくなり、従来の下降レートを用いた制御では、圧縮機の冷媒吐出温度が急上昇して保護停止するという課題がある。
上記特許文献1の方法では、運転周波数が低下する速度と電動膨張弁の絞り量制御を追随させて高圧側圧力の上昇を防止することは記載されているものの、200rps等で回転する従来よりも高速な圧縮機を採用することについては記載されておらず、上記課題を解決することはできない。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、室内機の運転台数の切り替え時における圧縮機の冷媒吐出温度の急上昇を抑えることができるマルチ型空気調和装置の制御装置、それを備えたマルチ型空気調和装置、及びその制御方法並びに制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
本発明は、圧縮機を備えた少なくとも一つの室外機と、複数の室内機とを備えたマルチ型空気調和装置の制御装置であって、所定期間内で前記室内機の運転の切り替えが行われ、運転切替後の前記圧縮機の回転数の指令値である圧縮機回転数指令値に対する運転切替前の前記圧縮機回転数指令値の割合が、第1所定倍数を超えるか否かを判定する判定手段と、前記割合が、前記第1所定倍数を超える場合に、前記圧縮機の前記回転数の下降レートを、前記割合が前記第1所定倍数を超えない場合の前記圧縮機の前記回転数の下降レートよりも大きく設定するレート設定手段とを具備するマルチ型空気調和装置の制御装置を提供する。
【0007】
圧縮機に従来(例えば、140rps)よりも高速(例えば、200rps等)で回転する圧縮機が採用されると、圧縮機の回転数の上限値すなわち最大回転数が上がるが、最大回転数で運転時に最小回転数まで負荷が低下すると冷媒の高低圧差が大きくなり、従来の下降レートを用いた制御では、圧縮機の冷媒吐出温度が急上昇して保護停止する虞がある。これは、室内機の運転台数に応じた冷媒循環量に追従できず、例えば暖房運転においては,冷媒回路における凝縮圧力が高くなり過ぎ、高圧異常となるためである。
本発明の構成によれば、マルチ形空気調和装置において、室内機の運転台数が切り替わり、運転切替時の圧縮機の回転数の指令値である圧縮機回転数指令値に対する運転切替の直前の圧縮機回転数指令値の割合が第1所定倍数を超える場合、すなわち運転切替時の圧縮機回転数指令値が運転切替前に比べて十分小さい値となった場合において、圧縮機の回転数の下降レートを、運転切替時の圧縮機回転数指令値が運転切替前に比べて十分小さいとは言えない場合よりも大きくすることで、回転数を速やかに下降させる。これにより、室内機の運転台数に応じた冷媒循環量に速やかに追従させ、暖房運転時の高圧異常を防ぐ。こうして、圧縮機の冷媒吐出温度の上昇を防ぐ。
【0008】
本発明は、圧縮機を備えた少なくとも一つの室外機と、複数の室内機とを備えたマルチ型空気調和装置の制御装置であって、所定期間内で前記室内機の運転の切り替えが行われ、運転切替後の前記室内機の運転容量の合計である第1運転容量合計値に対する運転切替前の前記室内機の運転容量の合計である第2運転容量合計値の割合が、第1所定倍数を超えるか否かを判定する判定手段と、前記割合が、前記第1所定倍数を超える場合に、前記圧縮機の回転数の下降レートを、前記割合が前記第1所定倍数を超えない場合の前記圧縮機の前記回転数の下降レートよりも大きく設定するレート設定手段とを具備するマルチ型空気調和装置の制御装置を提供する。
【0009】
本発明の構成によれば、マルチ形空気調和装置において、所定期間内で室内機の運転台数が切り替わり、運転切替前後における各室内機の運転容量の合計に基づいて算出される運転容量合計値の割合が第1所定倍数を超える場合、すなわち運転切替時の運転容量合計値が運転切替前に比べて十分小さい値となった場合において、圧縮機の回転数の下降レートを、運転切替時の運転容量合計値が運転切替前に比べて十分小さいとは言えない場合よりも大きくすることで、回転数を速やかに下降させる。これにより、室内機の運転台数に応じた冷媒循環量に速やかに追従させ、暖房運転時の高圧異常を防ぐ。こうして、圧縮機の冷媒吐出温度の上昇を防ぐ。
【0010】
上記マルチ型空気調和装置の制御装置の前記レート設定手段は、前記第1所定倍数を5倍としてもよい。
第1所定倍数を5倍とすることにより、運転切替時の圧縮機回転数指令値が運転切替前の圧縮機回転数指令値に比べて十分小さくなる。
【0011】
上記マルチ型空気調和装置の制御装置の前記レート設定手段は、前記割合が前記第1所定倍数を超える場合に、前記割合が前記第1所定倍数以下のときの前記下降レートに対して、第2所定倍数の前記下降レートを設定してもよい。
このように下降レートを設定することにより、下降レートの制御が簡便となる。
【0012】
上記マルチ型空気調和装置の制御装置の前記レート設定手段は、前記割合が前記第1所定倍数を超える場合に、前記下降レートをステップ状に変化させてもよい。
下降レートをステップ状に変化させる制御とすることにより、開発が容易となり、試験が減ることによりコストが低減する。
【0013】
本発明は、上記いずれかに記載の制御装置と、圧縮機を備えた少なくとも一つの室外機と、対応する電動膨張弁を備えた複数の室内機と、を備えたマルチ形空気調和装置を提供する。
【0014】
本発明は、圧縮機を備えた少なくとも一つの室外機と、複数の室内機とを備えたマルチ型空気調和装置の制御方法であって、所定期間内で前記室内機の運転の切り替えが行われ、運転切替後の前記圧縮機の回転数の指令値である圧縮機回転数指令値に対する運転切替前の前記圧縮機回転数指令値の割合が、第1所定倍数を超えるか否かを判定する工程と、前記割合が、前記第1所定倍数を超える場合に、前記圧縮機の前記回転数の下降レートを、前記割合が前記第1所定倍数を超えない場合の前記圧縮機の前記回転数の下降レートよりも大きく設定する工程とを有するマルチ型空気調和装置の制御方法を提供する。
【0015】
本発明は、圧縮機を備えた少なくとも一つの室外機と、複数の室内機とを備えたマルチ型空気調和装置の制御プログラムであって、所定期間内で前記室内機の運転の切り替えが行われ、運転切替後の前記圧縮機の回転数の指令値である圧縮機回転数指令値に対する運転切替前の前記圧縮機回転数指令値の割合が、第1所定倍数を超えるか否かを判定する処理と、前記割合が、前記第1所定倍数を超える場合に、前記圧縮機の前記回転数の下降レートを、前記割合が前記第1所定倍数を超えない場合の前記圧縮機の前記回転数の下降レートよりも大きく設定する処理とをコンピュータに実行させるためのマルチ型空気調和装置の制御プログラムを提供する。
【0016】
本発明は、圧縮機を備えた少なくとも一つの室外機と、複数の室内機とを備えたマルチ型空気調和装置の制御方法であって、所定期間内で前記室内機の運転の切り替えが行われ、運転切替後の前記室内機の運転容量の合計である第1運転容量合計値に対する運転切替前の前記室内機の運転容量の合計である第2運転容量合計値の割合が、第1所定倍数を超えるか否かを判定する工程と、前記割合が、前記第1所定倍数を超える場合に、前記圧縮機の回転数の下降レートを、前記割合が前記第1所定倍数を超えない場合の前記圧縮機の前記回転数の下降レートよりも大きく設定する工程とを有するマルチ型空気調和装置の制御方法を提供する。
【0017】
本発明は、圧縮機を備えた少なくとも一つの室外機と、複数の室内機とを備えたマルチ型空気調和装置の制御プログラムであって、所定期間内で前記室内機の運転の切り替えが行われ、運転切替後の前記室内機の運転容量の合計である第1運転容量合計値に対する運転切替前の前記室内機の運転容量の合計である第2運転容量合計値の割合が、第1所定倍数を超えるか否かを判定する処理と、前記割合が、前記第1所定倍数を超える場合に、前記圧縮機の回転数の下降レートを、前記割合が前記第1所定倍数を超えない場合の前記圧縮機の前記回転数の下降レートよりも大きく設定する処理とをコンピュータに実行させるためのマルチ型空気調和装置の制御プログラム。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、室内機の運転台数の切り替え時における圧縮機の冷媒吐出温度の急上昇を抑えることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1実施形態、第2実施形態に係る空気調和システムの構成を概略的に示した図である。
図2】本発明の第1実施形態、第2実施形態に係る空気調和システムの制御装置の機能ブロック図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る制御装置の制御フローを示している。
図4】本発明の第2実施形態に係る圧縮機回転数に対する下降レートをステップ状に設定するときの一例を示した図である。
図5】本発明の第2実施形態に係る制御装置の制御フローを示している。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明の実施形態に係るマルチ型空気調和装置の制御装置、それを備えたマルチ型空気調和装置、及びその制御方法並びに制御プログラムについて図面を参照して説明する。
〔第1実施形態〕
以下に、本発明にかかる実施形態について、図1を参照して説明する。
図1には、本実施形態に係るマルチ型空気調和システム(以下「空気調和システム」という)1の冷媒回路図が示されている。
図1に示されるように、空気調和システム1は、室外機2と、複数の室内機3A,3B,3C,3Dとを備えており、冷凍サイクル(冷媒系統)7を構成している。本実施形態においては、室内機が4台であるマルチ型空気調和システムである場合を例に挙げて説明するが、これに限定されず、1台の室内機が1台の室外機と接続される空気調和システムであってもよいし、室内機が2台でも、3台でも、5台以上であってもよい。なお、以下室内機を区別しない場合には、室内機3として記載する。
室内機3A,3B,3C,3Dは、室外機2から導出されるガス側配管4および液側配管5の間に分岐器6を介して互いに並列に接続されている。
【0021】
室外機2は、冷媒を圧縮するインバータ駆動の圧縮機10と、冷媒の循環方向を切換える四方切換弁12と、冷媒と外気とを熱交換させる室外熱交換器13と、室外熱交換器13と一体的に構成されている過冷却コイル14と、室外膨張弁(EEVH)15と、液冷媒を貯留するレシーバ16と、液冷媒に過冷却を与える過冷却熱交換器17と、過冷却熱交換器17に分流される冷媒量を制御する過冷却用膨張弁(EEVSC)18と、圧縮機10に吸入される冷媒ガスから液分を分離し、ガス分のみを圧縮機10側に吸入させるアキュームレータ19と、ガス側操作弁20と、液側操作弁21とを備えている。
【0022】
圧縮機10は、室外熱交換器13からの低温低圧ガス冷媒を圧縮して高温高圧のガス冷媒を作り出すものであり、本実施形態においては、従来(例えば、120rpsから140rps等)よりも高速(例えば、200rps等)で回転する超高速圧縮機としてスクロール圧縮機が用いられるとよい。
室外機2側の上記各機器は、冷媒配管22を介して順次接続され、公知の室外側冷媒回路23を構成している。また、室外機2には、室外熱交換器13に対して外気を送風する室外ファン24が設けられている。
【0023】
ガス側配管4及び液側配管5は、室外機2のガス側操作弁20及び液側操作弁21に接続される冷媒配管であり、現場での据え付け施工時に、室外機2とそれに接続される複数台の室内機3A,3B,3C,3Dとの間の距離に応じて、その配管長が設定されるようになっている。ガス側配管4及び液側配管5の途中には、複数の分岐器6が設けられ、該分岐器6を介して適宜台数の室内機3A,3B,3C,3Dが接続されている。これによって、密閉された1系統の冷凍サイクル(冷媒回路)7が構成されている。
【0024】
室内機3A,3B,3C,3Dは、室内空気を冷媒と熱交換させて冷却または加熱し、室内の空調に供する室内熱交換器30と、室内膨張弁(EEVC)31と、DCファンモータ(図示略)で駆動され、室内熱交換器30を介して室内空気を循環させる室内ファン32とを備えており、室内側のガス側配管4及び液側配管5を介して分岐器6に接続されている。また、室内機3A,3B,3C,3Dには、圧縮機10の回転数制御をする制御装置50が設けられており、圧縮機10の回転数に対する指令値を検出するとともに、回転数の下降レートを設定する。
【0025】
上記の空気調和システム1において、冷房運転は、以下のように行われる。
圧縮機10で圧縮され、吐出された高温高圧の冷媒ガスは、四方切換弁12により室外熱交換器13側に循環され、室外熱交換器13で室外ファン24により送風される外気と熱交換されて凝縮液化される。この液冷媒は、過冷却コイル14で更に冷却された後、室外膨張弁15を通過し、レシーバ16内にいったん貯留される。
【0026】
レシーバ16で循環量が調整された液冷媒は、過冷却熱交換器17を経て液冷媒配管側を流通される過程で、液冷媒配管から一部分流され、過冷却用膨張弁18で断熱膨張された冷媒と熱交換されて過冷却度が付与される。この液冷媒は、液側操作弁21を経て室外機2から液側配管5へと導かれ、分岐器6を介して各室内機3A,3B,3C,3Dに接続される液側配管5に分流される。
【0027】
分流された液冷媒は、各室内機3A,3B,3C,3Dに流入し、室内膨張弁31で断熱膨張され、気液二相流となって室内熱交換器30に流入される。室内熱交換器30では、室内ファン32により循環される室内空気と冷媒とが熱交換され、室内空気は冷却されて室内の冷房に供される。一方、冷媒はガス化され、ガス側配管4を経て分岐器6に至り、他の室内機3からの冷媒ガスと合流される。
【0028】
ガス側配管4を経て分岐器6で合流された冷媒ガスは、再び室外機2に戻り、ガス側操作弁20、四方切換弁12を経て、過冷却熱交換器17からの冷媒ガスと合流された後、アキュームレータ19に導入される。アキュームレータ19では、冷媒ガス中に含まれている液分が分離され、ガス分のみが圧縮機10に吸入される。この冷媒は、圧縮機10において再び圧縮され、以上のサイクルを繰り返すことによって冷房運転が行われる。
【0029】
一方、暖房運転は、以下のように行われる。
圧縮機10により圧縮され、吐出された高温高圧の冷媒ガスは、四方切換弁12を介してガス側操作弁20側に循環される。この高圧ガス冷媒は、ガス側操作弁20、ガス側配管4を経て室外機2から導出され、分岐器6、室内側のガス側配管4を経て複数台の室内機3A,3Bに導入される。
【0030】
室内機3A,3Bに導入された高温高圧の冷媒ガスは、室内熱交換器30で室内ファン32を介して循環される室内空気と熱交換され、これにより加熱された室内空気は室内に吹出されて暖房に供される。一方、室内熱交換器30で凝縮液化された冷媒は、室内膨張弁31、液側配管5を経て分岐器6に至り、他の室内機からの冷媒と合流され、液側配管5を経て室外機2に戻る。
【0031】
室外機2に戻った冷媒は、液側操作弁21を経て過冷却熱交換器17に至り、冷房時の場合と同様に過冷却が付与された後、レシーバ16に流入され、いったん貯留されることにより循環量が調整される。この液冷媒は、室外膨張弁15に供給されて断熱膨張された後、過冷却コイル14を経て室外熱交換器13に流入される。
【0032】
室外熱交換器13では、室外ファン24から送風される外気と冷媒とが熱交換され、冷媒は外気から吸熱して蒸発ガス化される。この冷媒は、室外熱交換器13から四方切換弁12を経て、過冷却熱交換器17からの冷媒ガスと合流された後、アキュームレータ19に導入される。アキュームレータ19では、冷媒ガス中に含まれている液分が分離されてガス分のみが圧縮機10に吸入され、圧縮機10において再び圧縮される。以上のサイクルを繰り返すことによって暖房運転が行われる。
【0033】
図2は、本実施形態に係る空気調和システム1の制御を司る制御装置50の電気的構成を示すブロック図である。なお、図2では、詳細を後述する圧縮機10の回転数の下降レートの制御に関する機能を示す。
【0034】
制御装置50は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体等から構成されている。そして、各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で記憶媒体等に記憶されており、このプログラムをCPUがRAM等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、ROMやその他の記憶媒体に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等である。また、制御装置50は、室外機2に備えられている。
【0035】
具体的には、制御装置50は、回転数指令値検出部51と、判定部52と、レート設定部(レート設定手段)53とを備えている。また、空気調和システム1は、図示しない検出部において、圧縮機10の実回転数、各室内機3の運転容量等を検出している。
回転数指令値検出部51は、圧縮機10に対する回転数の指令値を検出する。例えば、回転数指令値検出部51は、室内機3の運転切替時に、運転切替時の圧縮機10の回転数の指令値である第1圧縮機回転数指令値を検出するとともに、室内機3の運転切替の直前の圧縮機10の回転数の指令値である第2圧縮機回転数指令値を検出し、判定部52に出力する。
判定部52は、所定期間内で室内機3の運転の切り替えが行われ、運転切替後の第1圧縮機回転数指令値に対する運転切替前の第2圧縮機回転数指令値の割合を算出し、算出された割合が、第1所定倍数(例えば、5倍)を超えるか否かを判定し、判定結果がレート設定部53に出力される。
なお、所定期間とは、運転切替の前後で、所定下降レートで圧縮機回転数を変化させても、室内機の運転台数、運転容量等の運転状態に応じた冷媒循環量に追従させることができない期間とする。
【0036】
例えば、室外機2に接続される室内機3が全台(本実施形態においては、4台)運転しているときに、圧縮機回転数指令値が最大回転数の200[rps]とし、その後空気調和システム1が制御され、室内機3B,3C,3Dが運転停止され、室内機3Aだけを運転させると、圧縮機回転数指令値が最小回転数20[rps]になった場合を例に挙げる。判定部52は、第1圧縮機回転数指令値20[rps]に対する、第2圧縮機回転数指令値200[rps]の割合は、200/20=10と算出し、割合が10倍であると算出する。この場合、判定部52は、第1所定倍数(例えば、5倍)より大きいとしてレート設定部53に出力する。
【0037】
なお、室内機3の運転台数に応じて運転容量が変動することを勘案し、室内機3の運転の切り替え前後における運転容量の合計値に基づいて割合が第1所定倍数(例えば、5倍)を超えるか否か判定しても良い。具体的には、判定部52は、各室内機3の運転容量を検出し、運転切替後の室内機3の運転容量の合計である第1運転容量合計値に対する運転切替前の室内機3の運転容量の合計である第2運転容量合計値の割合が、第1所定倍数(例えば、5倍)を超えるか否かを判定する。
このように、室内機3の運転の切り替えに応じて圧縮機10の回転数で割合を判定するだけでなく、室内機3の運転台数に応じて変化する運転容量に基づいて割合が第1所定倍数(例えば、5倍)を超えるか否かを判定しても良い。
【0038】
レート設定部53は、判定部52により算出された割合が第1所定倍数(例えば、5倍)より大きくなると判定された場合には、圧縮機10の回転数の下降レートを、算出された割合が第1所定倍数以下であると判定された場合と比較して大きく設定する。具体的には、算出された割合が第1所定倍数より大きくなると判定されたときの下降レートは、割合が第1所定倍数以下になると判定されたときの下降レートの第2所定倍数(例えば、2倍)に設定する。なお、本実施形態においては、割合が第1所定倍数以下となる場合を「通常時」という。
例えば、割合が第1所定倍数以下であると判定された場合の圧縮機10の回転数の下降レートが1[rps/秒]である場合には、割合が第1所定倍数より大きいと判定された場合の圧縮機10の回転数の下降レートは1[rps/秒]×2倍=2[rps/秒]とする。
【0039】
つまり、空気調和システム1の運転切替直前の第2圧縮機回転数指令値(例えば、200rps)と、運転切替時の第1圧縮機回転数指令値(例えば、20rps)とを検出し、運転切替時の第1圧縮機回転数指令値に対して運転切替直前の第2圧縮機回転数指令値の割合が、第1所定倍数(例えば、5倍)以上であると判定された場合には、圧縮機10に対する回転数の下降レートを通常時(例えば、1rps/秒)よりも第2所定倍数(例えば、2倍)大きく設定した下降レート(例えば、2rps/秒)に設定する。
このように、室内機3の運転の切り替え前後において、圧縮機回転数指令値の割合が十分小さくなるような場合には、通常時より下降レートを大きく設定することにより、圧縮機10の回転数の下降を促進させることができる。
【0040】
以下に、本実施形態に係る空気調和システム1の作用について図1から図3を用いて説明する。
空気調和システム1の全ての室内機3A,3B,3C,3Dが運転しており、室内を空調しているとする。全ての室内機3A,3B,3C,3Dのうち、一部の室内機3(例えば、3B,3C,3D)の運転が停止され、停止された室内機3以外の室内機3(例えば、3A)が運転を継続している場合を例として説明する。
複数の室内機3の運転がされている状態で、一部の室内機3の運転が停止されると、空気調和システム1の運転の切り替えが検出され、本処理のフローが開始される。
運転切替時の室外機2の圧縮機10の第1圧縮機回転数指令値(例えば、20rps)が検出されるとともに、運転切替直前における圧縮機10の第2圧縮機回転数指令値(例えば、200rps)が検出される(図3のステップSA1)。
【0041】
第1圧縮機回転数指令値に対する、第2圧縮機回転数指令値の割合が算出される(図3のステップSA2)。算出された上記割合が、第1所定倍数を超えるか否かが判定され(図3のステップSA3)、割合が第1所定倍数以下と判定された場合には(図3のステップSA3のNo)、運転切替直前に圧縮機10に設定されていた通常時の回転数の下降レート(例えば、1rps/秒)を設定する(図3のステップSA4)。
割合が第1所定倍数(例えば、5倍)を超える(例えば、200rps/20rps=10倍)と判定された場合には(図3のステップSA3のYes)、運転切替直前の圧縮機10に設定されていた通常時の回転数の下降レートに第2所定倍数(例えば、2)を乗算した新たな下降レート(例えば、2rps/秒)を設定する(図3のステップSA5)。
【0042】
これにより、従来は、120rpsや140rpsの圧縮機が使用されており、空気調和システム1の運転の切り替え前後において、切替前の圧縮機回転数指令値として140rps、切替時の圧縮機回転数指令値として20rpsを検出したとき、回転数の下降レート1rps/秒で下降させようとすると120秒かかっていた。
本実施形態であれば、高速な圧縮機10を用いていても、下降レートを通常の下降レートの2倍に設定した場合には、高速な圧縮機の最大回転数200rpsから最小回転数20rpsまで低下させるのに180rps分の回転数低下を2rps/秒で下降させるので、90秒で圧縮機10を所望の回転数まで低下させることができる。
【0043】
以上説明してきたように、本実施形態に係る空気調和システム1の制御装置50、それを備えた空気調和システム1、及びその制御方法並びに制御プログラムによれば、空気調和システム1において、室内機3の運転台数が切り替わり、運転切替時の圧縮機10の回転数の指令値である第1圧縮機回転数指令値に対する運転切替の直前の第2圧縮機回転数指令値の割合が第1所定倍数を超える場合、すなわち運転切替時の第1圧縮機回転数指令値が運転切替前に比べて十分小さい値となった場合において、圧縮機10の回転数の下降レートを、通常時の下降レートよりも大きくすることで、回転数を速やかに下降させる。これにより、圧縮機10の回転数が速やかに低下するので、室内機3の運転台数に応じた冷媒循環量に速やかに追従させ、圧縮機の冷媒吐出温度が急上昇することを防ぐことができるので、暖房運転時の高圧異常を防ぐ。
【0044】
〔第2実施形態〕
以下、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態においては、割合が第1所定倍数を超える場合の圧縮機の回転数の下降レートを圧縮機回転数に対してステップ状に設定する点で第1実施形態と異なる。本実施形態のマルチ型空気調和システムについて、第1実施形態と共通する点については説明を省略し、図1図2図4、及び図5を用いて異なる点について主に説明する。
【0045】
レート設定部53は、割合が第1所定倍数(例えば、5倍)を超える場合に、下降レートをステップ状に変化させる。
図4には、圧縮機10の回転数の下降レートをステップ状に設定する場合の一例の図を示している。図4は、横軸に圧縮機の回転数[rps]を示し、縦軸に圧縮機10の回転数を下降させるときの下降レート[rps/秒]を示している。
図4に示されるように、従来は、圧縮機10の回転数によらず、圧縮機10の回転数は1rps/秒であり固定(一定)であった。本実施形態においては、圧縮機10の回転数rpsが、第1所定領域においては第1レート、第1所定領域より回転数が高い第2所定領域においては第1レートより下降レートが大きい第2レートとのようにステップ状に設定する。
【0046】
図4においては、下降レートの設定例が示されている。
例えば、ラインL1では、圧縮機10の回転数が20[rps]から80[rps]の区間においては、通常時と同様に下降レートを1[rps/秒]とし、80.01[rps]から200[rps]の区間においては、通常時に対して所定倍数(例えば、2倍)として下降レートを2[rps/秒]として設定する。
また、例えば、ラインL2では、圧縮機の回転数が20[rps]から100[rps]の区間においては、通常時と同様に下降レートを1[rps/秒]とし、100.01[rps]から200[rps]の区間においては、通常時に対して所定倍数(例えば、2倍)として下降レートを2[rps/秒]として設定する。
【0047】
なお、本実施形態においては、下降レートを変更する圧縮機10の回転数の下降レートを変更するポイントを、ラインL1では80.01[rps]とし、ラインL2では100.01[rps]である場合を例に説明していたが、本発明はこれに限定されない。例えば、従前に使用していた空気調和システム1において、圧縮機10の回転数の下降に許容していた期間に応じて適宜設定すればよい。
【0048】
ここで、従来の空気調和システムで室内機を全台運転から1台運転に切り替えた場合と、本実施形態にかかる空気調和システム1で室内機3を全台運転から1台運転に切り替えた場合とを比較する。
従来の空気調和システムでは最大回転数が140[rps]の圧縮機が使用されており、最大回転数140[rps]から最小回転数20[rps]まで圧縮機の回転数を低下させる場合には、下降レートが一律で1[rps]に設定されていたので、140[rps]から20[rps]まで回転数を低下させるのに120秒掛かっていた(図4のラインL3参照)。
【0049】
本実施形態においては、例えば、空気調和システム1の運転切替時に最小回転数の20[rps]とし、従来よりも高速の圧縮機10を用い、運転切替直前において最大回転数の200[rps]とする場合を説明する。図4の下降レートの設定例でラインL1を採用した場合には、200[rps]から80.01[rps]までは下降レートが2[rps]が設定されるので、80.01[rps]にさせるまでに60秒かかり、さらに、80[rps]から20[rps]までは下降レートが1[rps]に設定されるので60秒かかる。つまり、ラインL1を採用した場合には、60秒+60秒=120秒で、200[rps]から20[rps]まで回転数を低下させることができる。
このように、高速(例えば、200rps等)の圧縮機10を用いた場合であっても、従来と同じ期間(例えば、120秒間)で、所望の回転数まで下降させることができる。
【0050】
なお、従来の空気調和システムで、例えば、従来の圧縮機を用いて、切替前の回転数(例えば、最大回転数)から切替後の回転数(例えば、最小回転数)まで下降させる期間(例えば、120秒)を勘案して、本実施形態の空気調和システム1を適用するとよい。つまり、従来制御していた期間(例えば、120秒)で、高速の圧縮機10の最大回転数から最小回転数まで下降させるように、下降レートの変更ポイントを設定するとよい。
または、従来の空気調和システムで回転数低下にかかっていた期間と、本実施形態の空気調和システム1を適用したことによる回転数低下にかかる期間は必ずしも一致していなくてもよく、ラインL2を採用した場合の期間(例えば、20−100rps区間は1rpsとし、100.01−200rps区間は2rpsとすれば、130秒)としてもよい。ラインL2を採用したとしても、200rpsから20rpsまでを1rps/秒で下降させると180秒かかることになるので、通常時の下降レートを比較するよりも速やかに所望の回転数まで低下させることができる。
【0051】
このように、圧縮機10の回転数が高く、冷媒循環量が多い区間においては、下降レートを大きめに設定することにより、速やかに回転数を低下させることができるので、室内機3の運転台数に応じた冷媒循環量に速やかに追従させ、圧縮機の冷媒吐出温度が急上昇することを防ぐことができるので、高圧異常等を防ぐことができる。
また、圧縮機10の回転数がある程度低下し、冷媒循環量が少なくなった区間においては、従来と同様の下降レートに設定することで、空気調和システム1は従来と同様の動きとして膨張弁制御等の他の機器の制御遅れを極力発生しないようにすることができる。
【0052】
以下に、本実施形態に係る空気調和システム1の作用について図5を用いて説明する。
空気調和システム1の全ての室内機3A,3B,3C,3Dが運転しており、室内を空調しているとする。全ての室内機3A,3B,3C,3Dのうち、一部の室内機3(例えば、3B,3C,3D)の運転が停止され、停止された室内機3以外の室内機3(例えば、3A)が運転を継続している場合を例として説明する。
一部の室内機3の運転が停止されると、空気調和システム1の運転の切り替えが検出され、本処理のフローが開始される。
運転切替時の室外機2の圧縮機10の第1圧縮機回転数指令値(例えば、20rps)が検出されるとともに、運転切替直前における圧縮機10の第2圧縮機回転数指令値(例えば、200rps)が検出される(図5のステップSB1)。
【0053】
第1圧縮機回転数指令値に対する、第2圧縮機回転数指令値の割合が算出される(図5のステップSB2)。算出された上記割合が、第1所定倍数を超えるか否かが判定され(図5のステップSB3)、割合が第1所定倍数以下と判定された場合には(図5のステップSB3のNo)、運転切替直前に圧縮機10に設定されていた通常時の回転数の下降レート(例えば、1rps/秒)を設定する(図5のステップSB4)。
割合が第1所定倍数(例えば、5倍)を超える(例えば、200rps/20rps=10倍)と判定された場合には(図5のステップSB3のYes)、圧縮機10の回転数を200rpsから20rpsに下降させるにあたり、図4に例示したようなステップ状(例えば、ラインL1)の下降レートが設定される(図5のステップSB5)。
【0054】
これにより、従来は、空気調和システム1の運転の切り替え前後において、例えば、切替前の圧縮機回転数指令値として140rps、切替時の圧縮機回転数指令値として20rpsを検出したとき、通常の回転数の下降レート1rps/秒で下降させようとすると、120秒かかっていた。
本実施形態であれば、例えば、切替前の第2圧縮機回転数指令値200rpsから切替時の第1圧縮機回転数20rpsに低下させる場合に、200rpsから80.01rpsまでは下降レートは2rps/秒とされ、60秒がかかり、80rpsから20rpsまでは下降レートが1rps/秒とされ、60秒かかる。
つまり、本実施形態によれば、従来よりも高速(例えば、200rps等)の圧縮機10が用いられる場合であっても、従来と同様の120秒で最大回転数200rpsと最小回転数20rpsまで低下させることができる。
【0055】
以上説明してきたように、本実施形態に係る空気調和システム1の制御装置50、それを備えた空気調和システム1、及びその制御方法並びに制御プログラムによれば、空気調和システム1において、室内機3の運転台数が切り替わり、運転切替時の圧縮機10の回転数の指令値である圧縮機回転数指令値に対する運転切替の直前の圧縮機回転数指令値の割合が第1所定倍数を超える場合、すなわち運転切替時の圧縮機回転数指令値が運転切替前に比べて十分小さい値となった場合において、圧縮機10の回転数の下降レートをステップ状に変化させ、高回転数のときには速やかに回転数の低下をさせ、所望の回転数まで速やかに下降させる。これにより、室内機3の運転台数に応じた冷媒循環量に速やかに追従させ、暖房運転時の高圧異常を防ぐ。また、下降レートをステップ状に変化させる制御とすることにより、開発が容易となり、試験が減ることによりコストが低減する。
【0056】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更なども含まれる。例えば、上記実施形態においては、室内機3が全台運転状態から、1台の室内機3のみが運転を継続し、それ以外の室内機3が停止されたケースを例示して説明していたが、本発明は、室内機3の制御台数をそれに限定するものでない。
【0057】
また、上記実施形態では、運転切替において圧縮機回転数指令値または室内機の運転容量を用いて判定を行うとしたが、室内機の運転容量に代えてそれに相当する値を用いるとしてもよい。室内機の運転容量に相当する値としては、例えば室内機が要求する周波数の合計値である室内機要求周波数合計などが挙げられる。
【符号の説明】
【0058】
1 マルチ型空気調和システム
50 制御装置
51 回転数指令値検出部
52 判定部
53 レート設定部

図1
図2
図3
図4
図5