特開2018-207558(P2018-207558A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-207558(P2018-207558A)
(43)【公開日】2018年12月27日
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
   B60L 11/18 20060101AFI20181130BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20181130BHJP
   H02J 7/04 20060101ALI20181130BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20181130BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20181130BHJP
【FI】
   B60L11/18 C
   H02J7/00 302A
   H02J7/00 P
   H02J7/04 A
   H01M10/44 Q
   H01M10/48 P
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-106583(P2017-106583)
(22)【出願日】2017年5月30日
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】榊原 尚也
【テーマコード(参考)】
5G503
5H030
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503AA04
5G503BA02
5G503BB01
5G503CA01
5G503CA11
5G503CB11
5G503DA07
5G503DA19
5G503EA05
5G503FA06
5G503GB03
5G503GB06
5G503GD03
5H030AA03
5H030AA09
5H030AS06
5H030AS08
5H030BB09
5H030FF22
5H030FF42
5H030FF43
5H030FF44
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC24
5H125BC05
5H125BC21
5H125CD09
5H125DD02
5H125EE12
5H125EE27
5H125EE70
5H125FF27
(57)【要約】
【課題】車載充電器に出力電力を絞り込むための別途の回路を設けることなく蓄電池の過充電を防止することを可能にした車両を提供すること。
【解決手段】車両は、外部電源から電力を供給され得る高圧バッテリ並びにバッテリヒータユニット及びDC−DCコンバータ等の電装品と、高圧バッテリの出力電圧Vhの値を取得する蓄電状態取得手段と、電装品への供給電流量Iaを取得する供給電流量取得手段と、出力電圧Vhが電圧閾値Vt_th以上であり、かつ、供給電流量Iaが閾値Ith以下であるときには、外部電源から高圧バッテリへの充電を停止すると共に高圧バッテリから電装品へ給電するように車載充電器を制御する制御手段と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部の電力供給手段から電力を供給され得る蓄電池及び電装品を備えた車両であって、
前記蓄電池の充電率と相関のある充電率パラメータの値を取得する蓄電状態取得手段と、
前記電装品への供給電流量を取得する供給電流量取得手段と、
前記充電率パラメータの値が所定値以上であり、かつ、前記供給電流量取得手段により取得された供給電流量が所定量以下であるときには、前記電力供給手段から前記蓄電池への充電を停止すると共に前記蓄電池から前記電装品へ給電するように車載充電器を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする車両。
【請求項2】
前記電装品は前記蓄電池の加温装置を含むことを特徴とする請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記制御手段は、前記充電率パラメータの値が所定の閾値以下になった場合は、前記電力供給手段からの充電を再開することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両。
【請求項4】
前記制御手段は、前記蓄電池から前記電装品へ給電を開始してから所定時間経過した場合は、前記電力供給手段からの充電を再開することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に関する。
【背景技術】
【0002】
高圧蓄電池と低圧蓄電池とを搭載し、外部の電力供給手段から高圧蓄電池に充電用電力を供給し得る車両が普及しつつある。このような車両であって、車両内の電装品やバッテリの加温装置等の電装品の作動用電力も外部の電力供給手段で賄える構成をとるものがある(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示された技術では、外部の電力供給手段により高圧蓄電池を充電する一方、電装品の作動用電力を賄う低圧蓄電池の蓄電状態が所定レベル以下なった場合には、高圧蓄電池により低圧蓄電池を充電する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2011/099116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
外部の電力供給手段で作動する車載充電器によって高圧蓄電池を充電する場合、充電の進行と共に高圧蓄電池の蓄電状態が満充電レベルに近付くに従って充電電力を絞り込むことが一般的に行われる。これは、過充電を抑制して高圧蓄電池の寿命が低下することを防止するためである。車載充電器によって高圧蓄電池を充電すると共に電装品の作動用電力も賄う構成では、車載充電器の出力電力で高圧蓄電池を充電し、さらに余剰となった電力を電装品で消費させることができる。これにより高圧蓄電池の過充電をある程度抑制できるが、電装品での電力消費(所要電力)が低下した場合には、車載充電器における出力電力の絞り込みが必要となる。
【0005】
しかしながら、車載充電器において出力電力の絞り込みを行う場合、車載充電器の仕様として規定されている最低出力電力以下では出力が安定せず、使用することが難しい。これは、例えば、最低出力電力以下の領域では、PWM変調された出力電流波形の前縁の位相が不安定になってオンデューティ比が乱れることに起因する。出力電流波形の前縁の位相は出力電力の目標値に対応するCOMP信号と既定のランプ信号とのクロス点で規定されるところ、最低出力電力以下の領域ではこのクロス点が不安定になる。この現象は、最低出力電力以下の領域では、COMP信号のレベルが低くなるため、ランプ信号の下側の頂部における波形が乱れた部分でCOMP信号とクロスすることに起因する。ランプ信号の波形が乱れた部分でCOMP信号とのクロスが生じていると、同じ目標値(COMP信号のレベル)に対してクロス点が一定しなくなる結果、上述のオンデューティ比が乱れてしまう。従って、この領域での出力の調節は困難になる。
【0006】
このため、仕様上の最低出力電力以下まで車載充電器の出力を絞り込んで高圧蓄電池の過充電を防止するには、別途の回路を設けることが必要になる。しかしながら、このような別途の回路を設けると、部品点数が増えて製品のコストが上昇してしまうという問題がある。
【0007】
本発明は、車載充電器に出力電力を絞り込むための別途の回路を設けることなく蓄電池の過充電を防止することを可能にした車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)車両(例えば、後述する車両V)は、外部の電力供給手段(例えば、後述の外部電源80)から電力を供給され得る蓄電池(例えば、後述する高圧バッテリ2)及び電装品(例えば、後述するバッテリヒータユニット24、DC−DCコンバータ4等)と、前記蓄電池の充電率と相関のある充電率パラメータ(例えば、後述の高圧バッテリ2のSOC又は出力電圧)の値を取得する蓄電状態取得手段(例えば、後述するバッテリECU62、電圧センサ25、電流センサ26、温度センサ27)と、前記電装品への供給電流量を取得する供給電流量取得手段(例えば、後述する充電ECU61、電流センサ41、バッテリECU62、電流センサ26)と、前記充電率パラメータの値が所定値以上(例えば、出力電圧Vhが電圧閾値Vt_th以上)であり、かつ、前記供給電流量取得手段により取得された供給電流量が所定量以下(例えば、供給電流量Iaが閾値Ith以下)であるときには、前記電力供給手段から前記蓄電池への充電を停止すると共に前記蓄電池から前記電装品へ給電するように車載充電器(例えば、後述する車載充電器54)を制御する制御手段(例えば、後述する充電ECU61)と、を備える。
【0009】
(2)この場合、前記電装品は前記蓄電池の加温装置(例えば、後述するバッテリヒータユニット24)を含むことが好ましい。
【0010】
(3)この場合、前記制御手段は、前記充電率パラメータの値が所定の閾値以下になった場合は、前記電力供給手段からの充電を再開することが好ましい。
【0011】
(4)この場合、前記制御手段は、前記蓄電池から前記電装品へ給電を開始してから所定時間経過した場合は、前記電力供給手段からの充電を再開することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
(1)本発明の車両では、蓄電池の蓄電状態が満充電に近くなった際に、外部の電力供給手段から蓄電池への充電を停止すると共に車両の電装品の作動電力を蓄電池から賄う。このため、車載充電器に別途の回路を設けることなく、外部の電力供給手段からの蓄電池への過充電を避けることができる。即ち、蓄電状態取得手段によって取得された充電率パラメータの値が所定値以上であり蓄電池の蓄電状態が満充電に近くなった場合に、供給電流量取得手段により取得された電装品への供給電流量が所定量以下であるときには、蓄電池への充電に関する余剰な電力を電装品では消費できないため、制御手段は外部の電力供給手段から蓄電池への充電を停止する。この停止と共に、制御手段は、蓄電池から電装品へ給電するように制御する。これにより外部の電力供給手段から蓄電池への過充電を避け、更に、電装品への給電によって蓄電池の蓄電状態を低下させ、外部の電力供給手段から蓄電池への充電を再開することが可能になる。
【0013】
(2)本発明の車両において、電装品は蓄電池の加温装置を含むため、蓄電池は満充電になっていても、蓄電池の温度が低く蓄電池の加温をしなければならない場合、蓄電池への過充電を避け、蓄電池の加温を続けることが出来る。また、この加温装置を、外部の電力供給手段から蓄電池へ充電を行うに際しての余剰電力の吸収のための負荷と、蓄電池の蓄電状態を低下させるための負荷とに兼用することができる。
【0014】
(3)本発明の車両では、制御手段による管理下で蓄電池から電装品へ給電することによって充電率パラメータの値が閾値以下になった場合には、外部の電力供給手段からの充電を再開する。これにより、次回の走行に向けて無駄のない充電を行える。
【0015】
(4)本発明の車両では、制御手段による管理下で蓄電池から電装品へ給電を開始してから所定時間経過した場合には、外部の電力供給手段からの充電を再開する。これにより、次回の走行に向けて無駄のない充電を行える。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態としての車両を示す図である。
図2図1の車両の動作を示すタイミング図である。
図3図1の車両に備えられた制御手段における処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図4図1の車両に備えられた制御手段における処理の手順の他の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態としての車両を示す図である。
【0018】
車両Vには外部からの給電を受けるインレット51が設けられている。外部電源80の充電ケーブル82端部のコネクタ83がインレット51に接続されているときに、外部電源80から車両Vに給電が行われ得る。この給電による電力はインレット51に自装置の入力側が接続された車載充電器54に供給される。このため、車載充電器54からの給電は外部電源80からの給電にほかならない。
【0019】
本実施形態における車両Vは、電気自動車であり、走行用電源としての高圧バッテリ2が搭載され、高圧バッテリ2からインバータ71を介して走行モータ70に駆動用電力が供給される。車両Vには、高圧バッテリ2の他に、照明やその他の低電圧負荷を賄う低圧バッテリ3が搭載される。また、車両Vには、種々の電装品が設けられる。この電装品には、高圧バッテリ2の加温装置としてのバッテリヒータユニット24や、低圧バッテリ3の充電に用いられる降圧用のDC−DCコンバータ4等も含まれる。
【0020】
バッテリヒータユニット24は、通電することで発熱するPTCヒータ等から構成されている。PTCヒータは、発熱体としてPTC素子を使用するヒータである。PTC素子は、通電によって発熱し、所定温度を越えると、電流抵抗が増加して発熱温度を下げる自己温度制御機能を備えている。PTC素子を使用することで、加熱温度は電流と抵抗とがバランスする温度に制御される。このため、バッテリヒータユニット24の加温対象である高圧バッテリ2の温度が所定値に達すると、バッテリヒータユニット24の通電電流値が低下して消費電力量が小さくなる。なお、バッテリヒータユニット24は、後述するバッテリECU62の管理下で作動する。
【0021】
高圧バッテリ2は外部電源80から電力を受けた車載充電器54から充電用給電線21を通して充電される。充電用給電線21の一部は、高圧バッテリ2による駆動用電力をインバータ71を介して走行モータ70に供給する動力線を兼ねている。充電用給電線21にはDC−DCコンバータ4及びバッテリヒータユニット24も負荷として電気的に並列に接続されている。
車載充電器54の出力端と高圧バッテリ2とを結ぶ充電用給電線21には、高圧バッテリ2への接続端側にメインコンタクタ31が介挿されている。
充電用給電線21には、車載充電器54とメインコンタクタ31との間の線路に、インバータ71、DC−DCコンバータ4及びバッテリヒータユニット24が、車載充電器54の負荷として電気的に並列に接続されている。
【0022】
車載充電器54は充電ECU61からの出力電流調節指令であるDC電流指示信号Ispを受け、このDC電流指示信号Ispの値に応じて出力電流を調節する。車載充電器54は絶縁型のDC−DCコンバータを備え、充電ECU61からのDC電流指示信号Ispが所定の最低値Iminであるとき出力が停止して自装置の出力電流路が直流的に遮断状態になる。
また、充電ECU61には、DC−DCコンバータ4への供給電流を検出する電流センサ41からの検出電流信号(DC−DCコンバータ4への供給電流量Idcを表す信号)が入力される。
メインコンタクタ31はバッテリECU62からの開閉指令信号Sに応じて開閉動作が制御される。
【0023】
バッテリECU62は、高圧バッテリ2の電圧を検出する電圧センサ25、出力電流を検出する電流センサ26、温度を検出する温度センサ27の各センサからの検出信号を用いて、既知のアルゴリズムに基づいて高圧バッテリ2に関する充電率(バッテリの残容量の満充電容量に対する割合を百分率で表したものであり、以下では「SOC(State Of Charge)」という)を算出する。即ち、バッテリECU62は、電圧センサ25、電流センサ26、温度センサ27等と共に高圧バッテリ2の充電率パラメータであるSOCを取得する蓄電状態取得手段を構成している。なおこのSOCは、高圧バッテリ2の電圧と相関がある。より具体的には、高圧バッテリ2の電圧が高くなるほどSOCも高くなる傾向がある。このためSOCの代わりに電圧を高圧バッテリ2の充電率パラメータとして用いることもできる。
また、バッテリECU62には、バッテリヒータユニット24への電流を検出する電流センサ28による検出電流信号(バッテリヒータユニット24への供給電流量Ibhを表す信号)が入力される。
充電ECU61とバッテリECU62とはCANバス68で結ばれて相互に情報を授受する。
【0024】
図1を参照して説明した車両Vは、外部の電力供給手段である外部電源80から電力を供給されて、車載充電器54を通して高圧バッテリを充電すると共に、電装品であるDC−DCコンバータ4及びバッテリヒータユニット24へ給電する充給電モードで動作し得る。
【0025】
次に、本実施形態の車両Vにおける充給電モードでの動作について説明する。
図2は、車両Vの充給電モードでの動作を示すタイミング図である。なお以下では、車両Vが極低温の環境下にある場合における充給電モードの動作例について説明する。より具体的には、高圧バッテリ2が見かけ上満充電となっていてもバッテリ温度が所定温度以下(例えば、氷点下)であり、バッテリヒータユニット24による加温が必要とされている場合における充給電モードの動作例について説明する。
【0026】
車両Vにおける充給電モードでの動作は、バッテリECU62と連係動作する充電ECU61の管理下で行われる。
図2における観察開始時点t0では、充電ケーブル82端部のコネクタ83がインレット51に接続され、車両Vは外部電源80から供給される電力により高圧バッテリ2の充電と、DC−DCコンバータ4及びバッテリヒータユニット24への給電とを行う充給電モードでの動作に入っている。
【0027】
時点t0における高圧バッテリ2の出力電圧Vhは、充電時の高圧バッテリ2に関する電圧目標値Vtよりもやや小さな値に定められた電圧閾値Vt_th以上である。電圧目標値VtとはSOCが略満充電の値をとる場合に対応する高圧バッテリ2の出力電圧である。したがって高圧バッテリ2の出力電圧Vhが電圧閾値Vt_th以上である状態とは、高圧バッテリ2が満充電の状態に近い状態であり、高圧バッテリ2への充電電流を抑制して過充電を防止する必要がある状態である。
一方、時点t0では、電装品への供給電流量Iaが一定以上のレベルにある。供給電流量は、図1における給電線21に電気的に並列に接続されたDC−DCコンバータ4への供給電流(以下適宜、供給電流量Idcと表記する)とバッテリヒータユニット24への供給電流(以下適宜、供給電流量Ibhと表記する)との合算値を含むが、さらにエアコンやその他の補機類への供給電流をも含み得る。ここでは、この合算値を電装品への供給電流量Iaとして扱う。
【0028】
バッテリヒータユニット24は上述のように発熱体としてPTC素子を使用しており加温対象である高圧バッテリ2の温度が所定値に達すると、バッテリヒータユニット24への供給電流量Ibhが低下して消費電力量が小さくなる。
充電ECU61では供給電流量Idcと供給電流量Ibhとを合算して電装品への供給電流量Iaを求める。
時点t0から時点t1までの区間におけるように、電装品への供給電流量Iaが車載充電器54の最低出力電力相当の値以上のレベルにある場合には、車載充電器54からの充電電力は電装品により十分消費されるため、高圧バッテリ2は過充電とならない。
【0029】
しかし、低圧バッテリ3への充電電流を抑制すれば供給電流量Idcが低下し、高圧バッテリ2の温度が目標値の近傍に到れば上述のように供給電流量Ibhが低下する。従って、このような状況では電装品への供給電流量Iaが低下する。図2の例では、実線図示の供給電流量Iaが、時点t1で著しく低下し始め、時点t2では所定の閾値Ith以下になる。
【0030】
閾値Ithは、車載充電器54の仕様上の最低出力電力に対応する値として充電ECU61に予め登録されている。電装品への供給電流量Iaは、電装品での電力消費量に対応するものであり、供給電流量Iaが閾値Ith以下、即ち、車載充電器54の仕様上の最低出力電力の対応値以下になると、車載充電器54の出力電力を電装品では消費し切れなくなり、余剰となった電力が車載充電器54から高圧バッテリ2に供給されて過充電の状態を引き起こすおそれがある。このため、充電ECU61は、供給電流量Iaの変化状況を常時監視している。
【0031】
充電ECU61は、時点t0から時点t1までの区間、車載充電器54に対して供給するDC電流指示信号Ispの値を所定の最低値Imin以上の略一定のレベルに維持する。しかし、供給電流量Iaが時点t1で下降し始めたことに伴い、DC電流指示信号Ispの値をこの供給電流量Iaの下降に伴って下降させる。充電ECU61は、高圧バッテリ2の出力電圧Vhが電圧閾値Vt_th以上でありかつ供給電流量Iaが所定の閾値Ith以下になる時点t2で、DC電流指示信号Ispの値を直ちに所定の最低値Iminに設定する。
上述のように、車載充電器54は充電ECU61からのDC電流指示信号Ispの値が最低値Iminとなったときには、出力が停止して自装置の出力電流路が直流的に遮断状態になる。
【0032】
充電ECU61は、時点t2で車載充電器54を停止・遮断させる一方、観察開始時点t0で閉成されていたメインコンタクタ31の閉成状態を維持させる。
このため、時点t2では、車載充電器54から高圧バッテリ2への充電が停止されると共に、高圧バッテリ2からDC−DCコンバータ4及びバッテリヒータユニット24への給電が開始される。即ち、時点t2で、高圧バッテリ2は充電状態から放電状態へと転じる。
高圧バッテリ2は上述のように放電状態に転じるに伴い、出力電圧Vhが下降を始める。
【0033】
一方、時点t2で充電ECU61において限時動作を行うように設定された充電カウンタが減算カウントを開始する。充電カウンタにおける限時動作は、高圧バッテリ2が略満充電の状態から放電を開始して、充電を受け入れても支障のないSOC又は電圧に到ると推定される時間の計時動作である。
充電カウンタにおける減算カウントが歩進して計数値が零になる時点t4で、高圧バッテリ2は充電を受け入れても支障のないSOC又は電圧に到る。
車載充電器45は、時点t4で、それまでDC電流指示信号Ispの値が最低値Iminであることにより直流的に遮断状態にあった自装置の出力電流路から電流を流して充電動作を再開し、高圧バッテリ2への充電を行う状態に復帰する。
【0034】
充電ECU61は、時点t4以降、時点t5まで、電装品への供給電流量Iaを上回る値のDC電流指示信号Ispを車載充電器54に供給して、車載充電器54の出力で電装品への供給電流量Iaを賄いつつ、高圧バッテリ2の充電を行う。
充電ECU61は、時点t4以降の所定の時点t5に到ったときに、車載充電器54へのDC電流指示信号Ispの値を最低値Iminに落として車載充電器54の動作を終了させ、給充電モードの動作を終了する。
【0035】
図3は、図1の車両に備えられた制御手段における処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図3のフローチャートでは、車両Vの充電ECU61における充給電モードでの処理手順の一例が示されている。充電ECU61は、バッテリECU62を通して取得される高圧バッテリ2の出力電圧Vhが上述の電圧閾値Vt_th以上であるか否かの確認を行う。この確認において、出力電圧Vhが電圧閾値Vt_thより低い場合は車載充電器54に高圧バッテリ2への充電とDC−DCコンバータ4及びバッテリヒータユニット24等の電装品への給電とを並行して行わせ、出力電圧Vhが電圧閾値Vt_th以上である場合は上記電装品への給電のみ行わせる。
【0036】
S1では、充電ECU61は、電装品への供給電流量Iaを算出する。この算出は、電流センサ41により検出されたDC−DCコンバータ4への供給電流量Idcの値と、バッテリECU62から転送されて取得した電流センサ28の検出値であるバッテリヒータユニット24への供給電流量Ibhの値とを合算して行われる。充電ECU61は、S1の処理を実行した後S2に処理を移行する。
【0037】
S2では、充電ECU61は、高圧バッテリ2の出力電圧Vhが電圧閾値Vt_th以上でありかつS1で算出した供給電流量Iaが上述の閾値Ith以下であるか否かを判別する。充電ECU61は、S2の判定がNOである場合、すなわち出力電圧Vhが電圧閾値Vt_thより小さい場合又は供給電流量Iaが閾値Ithより大きい場合には、処理をS3に進める。
【0038】
S3では、充電ECU61は、電装品への供給電流量Iaに対応したDC電流指示信号Ispの値を算出する。詳細には、DC電流指示信号Ispの値は、供給電流量Iaの値と共に、バッテリECU62から取得される高圧バッテリ2のSOCを勘案して算出する。上述のように、DC電流指示信号Ispは充電ECU61から車載充電器54への出力電流調節指令である。車載充電器54は、充電ECU61からDC電流指示信号Ispを受け、このDC電流指示信号Ispの値に応じて出力電流を調節する。充電ECU61は、S3の処理を実行した後S4の処理に移行する。
【0039】
S4では、充電ECU61は、S3で算出したDC電流指示信号Ispを、そのまま車載充電器54に出力電流調節指令として供給し、S5の処理に移行する。
【0040】
S5では、充電ECU61は、CANバス68を通し、バッテリECU62経由で、メインコンタクタ31に開閉指令信号Sを供給し、又は、開閉指令信号Sの供給を維持して、メインコンタクタ31を閉成させ、又は、閉成状態を維持させる。
S5の時点では、車載充電器54が充電ECU61から受けたDC電流指示信号Ispの値に応じて出力した出力電流が、閉成しているメインコンタクタ31を通して高圧バッテリ2に供給され、高圧バッテリ2の充電が行われる。充電ECU61は、S5の処理を実行した後S1の処理に戻る。
【0041】
充電ECU61は、上述のS2の判定がYESである場合、すなわち出力電圧Vhが電圧閾値Vt_th以上でありかつ供給電流量Iaが上述の閾値Ith以下である場合には、処理をS6に進める。供給電流量Iaが上述の閾値Ith以下である状態では、車載充電器54の出力電力を電装品では消費し切れなくなり、余剰となった電力が車載充電器54から高圧バッテリ2に供給されて過充電の状態を引き起こすおそれがある。
【0042】
S6では、充電ECU61は、車載充電器54へのDC電流指示信号Ispの値を直ちに所定の最低値Iminに設定する。これにより、車載充電器54は出力を停止して自装置の出力電流路が直流的に遮断状態になる。車載充電器54の出力が停止して出力の電流路が遮断されることにより、車載充電器54から高圧バッテリ2への充電は停止する。充電ECU61は、S6の処理を実行した後S7の処理に移行する。
【0043】
S7では、充電ECU61は、S6の処理中に閉成状態を維持していたメインコンタクタ31の閉成状態を維持させる。
充電ECU61によるS7の処理の実行により、高圧バッテリ2の出力が、閉成しているメインコンタクタ31を通してDC−DCコンバータ4及びバッテリヒータユニット24に供給される。即ち、高圧バッテリ2は充電状態から放電状態へと転じる。
上述のS6からS7の処理は、図2のタイミング図における時点t2で実行される。充電ECU61は、S7の処理を実行した後S8の処理に移行する。
【0044】
S8では、充電ECU61は、限時動作を行うように設定された充電カウンタにおける所定値からの減算カウントを開始する。上述のように、充電カウンタにおける限時動作は、高圧バッテリ2が略満充電の状態から放電を開始して、充電を受け入れても支障のないSOC又は電圧に到ると推定される時間の計時動作である。充電ECU61は、S8の処理を実行した後S9の処理に移行する。
【0045】
S9では、充電ECU61は、充電カウンタにおける減算カウントが歩進して計数値が所定値である零に到ったか否かを判別する。充電ECU61は、上述の充電カウンタにおける計数値が零に到ったと判定したときには、S10の処理に移行する。
充電ECU61は、上述の充電カウンタにおける計数値が零に到らないうちは充電カウンタにおける減算カウントを継続する。減算カウントを継続している期間が、図2のタイミング図における時点t2から時点t4に該当する。上述のように、減算カウントを継続している期間に高圧バッテリ2は放電状態にあり、SOCと相関がある出力電圧Vhが下降を始める。
【0046】
S10では、充電ECU61は、DC電流指示信号Ispの値を充電停止状態に対応する最低値Iminから漸増させ、S6で車載充電器54を充電停止状態にしたときの直前のレベルを若干上回る略一定のレベルまで引き上げる。このため、車載充電器45は充電動作を再開し、高圧バッテリ2への充電と共に電装品への給電を行う状態に復帰する。充電ECU61は、S10の処理を実行した後S11の処理に移行する。
【0047】
S11では、充電ECU61は、充給電モードを終了させる状態に到ったか否かを判別する。充給電モードを終了させる状態とは、バッテリECU62を通して取得される高圧バッテリ2の出力電圧Vhが上記電圧閾値Vt_th以上であり、かつ、高圧バッテリ2の温度が温度特性に係る閾値以上であるためバッテリヒータユニット24の消費電力が0となった状態である。
【0048】
充給電モードを終了させる状態に到ったと判別されたときには、充電ECU61は、充給電モードを終了させる。一方、充給電モードを終了させる状態に到ったと判別されないうちはS11の判定を繰り返す。この繰り返しの期間は充電が継続する。
【0049】
以上のように、本発明の実施形態では、車載充電器54の出力を最低出力電力まで絞り込んでも電装品では消費し切れない余剰電力により過充電が生じることを回避するために、高圧バッテリ2を充電状態から放電状態へと一旦転じさせて、その後、充電状態に復帰させるようにした。図3のフローチャートを参照して説明した一つの実施形態では、高圧バッテリ2を一旦放電状態へと転じさせた後充電状態へと復帰させる際に、放電状態に転じさせた時点からの経過時間によって充電を再開しても支障のない状態に到っていることを推定した。
【0050】
しかしながら、本発明はこの態様に限られない。即ち、図3のフローチャートでは、高圧バッテリ2を一旦放電状態へと転じさせて、その後充電状態に復帰させる時期を、放電に転じてからの経過時間に基づいて管理したが(図3のS8〜S9参照)、これ替えて、該復帰させる時期を高圧バッテリ2のSOCに基づいて管理してもよい。次に、フローチャートを参照して、充電状態に復帰させる時期を高圧バッテリ2のSOCに基づいて管理する態様について説明する。
図4は、図1の車両に備えられた制御手段における処理の手順の他の例を示すフローチャートである。
図4のフローチャートにおいても、車両Vの充電ECU61における充給電モードでの処理手順の一例が示されている。
図4のフローチャートのステップは、S101からS111までであるが、このうち、S101からS107までは、図3のフローチャートにおけるステップS1からS7までと変わりがない。
また、図4のフローチャートにおけるステップのS110からS111までは、図3のフローチャートにおけるステップS10からS12までと変わりがない。
このため、図4のフローチャートにおける上述の図3のフローチャートとの共通部分については既述の図3のフローチャートにおける該当ステップの説明を援用する。
【0051】
図4の例では、図3におけるS6に相当するS106において、充電ECU61が車載充電器54への出力電流調節指令であるDC電流指示信号Ispを直ちに所定の最低値Iminに設定して、車載充電器54を停止させる。図3におけるS7に相当するS107で、充電ECU61がメインコンタクタ31の閉成状態を維持させて、高圧バッテリ2を電装品の負荷に放電させて、S108の処理に移行する。
【0052】
S108では、充電ECU61は、CANバス68経由で、バッテリECU62から高圧バッテリ2のSOCを読み込み、次のS109に移行する。
【0053】
S109では、充電ECU61は、S108で読み込んだSOCの値が所定の閾値以下であるか否かを判別する。SOCに係る所定の閾値とは、高圧バッテリ2が満充電の状態よりもSOCが低下して、充電を再開しても過充電になるおそれがない値である。
充電ECU61は、S108で読み込んだSOCの値が所定の閾値以下であると判定したときには、次のS110に移行し、SOCの値が所定の閾値以下ではないと判定したときにはS109を継続する。S110は図3を参照して既述のS10と同じ処理である。
【0054】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について説明したが、本発明は既述の態様に限られない。本発明の趣旨の範囲内で、種々変形変更することができる。例えば、上記実施形態では、電装品として、代表的に、高圧バッテリ2の加温装置としてのバッテリヒータユニット24、及び、低圧バッテリ3の充電に用いられる降圧用のDC−DCコンバータ4について注目した。これら、バッテリヒータユニット24及びDC−DCコンバータ4への供給電流量Iaを充電ECU61で取得し、該取得された値が所定量以下であるときに、高圧バッテリ2を充電状態から電装品への放電状態へと切換えた。しかしながら、電装品はバッテリヒータユニット24及びDC−DCコンバータ4に限られず、空調機、冷却装置、照明装置等を加えてもよい。この場合には、車載充電器54において高圧バッテリ2の充電だけでは余剰となる電力を電装品により消費するときに、空調機や照明装置等を通電状態にすれば、高圧バッテリ2の過充電を効果的に抑制することができる。また高圧バッテリ2の放電時における電力消費を大きくして、速やかに再充電可能な状態に至らしめることが可能になる。
また、上述の実施形態では、バッテリヒータユニット24への給電は高圧バッテリ2から行ったが、DC−DCコンバータ4から給電するようにしてもよい。
また、上述の実施形態におけるバッテリヒータユニット24及びDC−DCコンバータ4への供給電流量Iaの値として、実測値によらず、負荷に供給されるべき所要電力として演算より求めた値を用いてもよい。
【符号の説明】
【0055】
V…車両
2…高圧バッテリ(蓄電池)
4…DC−DCコンバータ(電装品)
24…バッテリヒータユニット(電装品)
54…車載充電器
61…充電ECU
62…バッテリECU
80…外部電源(電力供給手段)
図1
図2
図3
図4