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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-207580(P2018-207580A)
(43)【公開日】2018年12月27日
(54)【発明の名称】回転電機の制御装置
(51)【国際特許分類】
   H02P 9/30 20060101AFI20181130BHJP
【FI】
   H02P9/30 D
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-107348(P2017-107348)
(22)【出願日】2017年5月31日
(11)【特許番号】特許第6419259号(P6419259)
(45)【特許公報発行日】2018年11月7日
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100073759
【弁理士】
【氏名又は名称】大岩 増雄
(74)【代理人】
【識別番号】100088199
【弁理士】
【氏名又は名称】竹中 岑生
(74)【代理人】
【識別番号】100094916
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 啓吾
(74)【代理人】
【識別番号】100127672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 憲治
(72)【発明者】
【氏名】松永 隆徳
(72)【発明者】
【氏名】中村 亮
(72)【発明者】
【氏名】秋田 健一
【テーマコード(参考)】
5H590
【Fターム(参考)】
5H590AA23
5H590AB01
5H590CA07
5H590CA23
5H590CC01
5H590CC24
5H590CD03
5H590CE05
5H590DD25
5H590DD64
5H590EB02
5H590EB18
5H590FA06
5H590FB02
5H590FC14
5H590FC17
5H590FC21
5H590GA05
5H590HA05
5H590HA28
5H590JA02
5H590JA12
5H590JA13
5H590JB02
(57)【要約】
【課題】車両用の回転電機において、電機子巻線と比較して電流応答性の低い界磁巻線の電流遮断速度を任意に制御する。
【解決手段】界磁巻線に流れる界磁電流をPWM制御するための正極側スイッチング素子と、界磁巻線に流れる界磁電流を遮断するための負極側スイッチング素子によって界磁回路230を構成し、界磁回路制御部330は、界磁高速遮断判定部333と界磁電流遮断速度制御部334を備え、界磁電流を高速に遮断する時は正極側と負極側の両スイッチング素子をオフにして界磁電流を即座に遮断すると共に、負極側のスイッチング素子を間欠的に駆動して界磁電流の遮断速度を制御するようにした。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電機子巻線と界磁巻線とを有する回転電機の制御装置であって、正極側アームのスイッチング素子と負極側アームのスイッチング素子とで構成され、前記電機子巻線の出力である交流電流を直流電流に整流するブリッジ回路と、界磁スイッチング素子を用いて前記界磁巻線の通電制御を行う界磁回路と、前記ブリッジ回路と前記界磁回路のスイッチング素子のオンとオフとを制御するブリッジ回路制御部と界磁回路制御部とを具備した制御部とを備えたものにおいて、
前記界磁回路は、前記界磁巻線に流れる界磁電流をPWM制御するための正極側界磁スイッチング素子と、界磁巻線に流れる界磁電流を遮断するための負極側界磁スイッチング素子によって構成され、
前記制御部の界磁回路制御部は、
回転電機の運転状態情報から界磁電流値を検出する界磁電流検出部と、
前記界磁電流検出部の出力および目標トルクから、前記界磁回路の界磁電流目標値を算出する界磁電流制御演算部と、
前記界磁電流検出部の出力と前記界磁電流制御演算部の出力から、界磁電流の高速遮断が必要か否かの判定値を出力する界磁高速遮断判定部と、
前記界磁高速遮断判定部の出力から、界磁電流の遮断に必要な遮断速度を演算し、その演算結果に応じて界磁電流の遮断速度を制御する界磁電流遮断速度制御部と、
前記界磁電流制御演算部からの出力と前記界磁電流遮断速度制御部からの出力に応じて、
前記界磁回路の上(正極側)ゲートと下(負極側)ゲートの動作信号を出力する界磁ゲート制御部を備え、
前記界磁高速遮断判定部の出力に応じて、前記界磁巻線の正極側と負極側のスイッチング素子をオフにすることで前記界磁巻線に流れる界磁電流を遮断すると共に、前記負極側のスイッチング素子を間欠的に駆動することにより、前記界磁巻線に流れる界磁電流の遮断速度を制御するようにしたことを特徴とする回転電機の制御装置。
【請求項2】
前記界磁高速遮断判定部は、前記界磁電流検出部で検出された界磁電流値と、前記界磁電流制御演算部で算出された界磁電流目標値との両者の差分に基づいて、界磁電流遮断のための判定値を出力する切替器を備えたことを特徴とする請求項1に記載の回転電機の制御装置。
【請求項3】
前記界磁電流制御演算部は、回転電機の目標トルクと運転状態から界磁電流目標値を検出するT−I(トルクー界磁電流)変換テーブルと、T−I変換テーブルで検出された界磁電流の目標値と界磁電流検出部で検出された界磁電流値の差分から、界磁回路の上(正極側)ゲートのゲート電圧目標値を出力するPI制御部から構成されたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の回転電機の制御装置。
【請求項4】
前記界磁電流検出部は、回転電機の動力検出手段に発生する実トルクの値を検出するトルク検出器と、このトルク検出器のトルク検出値を界磁電流値に変換するT−I(トルクー界磁電流)変換テーブルを備えたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の回転電機の制御装置。
【請求項5】
前記回転電機は、発電動作と駆動動作と制動動作と空転動作のうち少なくとも2つの動作を含み、前記界磁回路制御部は、前記回転電機の現在の動作状態から他の動作状態への切替えを検出する動作切替え検出部を具備すると共に、前記界磁高速遮断判定部は、前記動作切替え検出部の出力に応じて、界磁電流高速遮断のための判定値を出力する第2の切替器を備えたことを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の回転電機の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、回転電機の制御装置に関し、特に、主に車両に搭載され、内燃機関とバッテリとに接続されており、内燃機関の始動及び補助を行う電動機として動作すると共に、バッテリの充電を行う電動機として動作する、電機子巻線と界磁巻線とを有する巻線界磁型交流回転電機の制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の燃費改善への要求や環境保護の観点から、エンジンとそれ以外の動力源、例えば回転電機などを備えた、いわゆるハイブリッド車と呼ばれる車両の開発・実用化が進められている。このような車両においては、走行状態に応じたエンジンとそれ以外の動力源の使い分けと、適切な配分が必要となる。
例えばエンジンのアイドリングによる不要な燃料消費を抑えるため、車両が信号や渋滞等で停止した際に内燃機関を停止し、その後、ハンドル操作やブレーキを緩める、といった運転者の発進意思を感知した際に、回転電機が内燃機関の再始動を行うアイドリングストップが、多くの車両に採用されている。
このような車両に搭載される回転電機はエンジンと接続され、トルクを授受可能な状態で動作するため、エンジンの回転速度の変動によって回転電機の回転速度も大きく変動し、また求められる動作回転速度域も広い。このため、回転子に磁石を内蔵した永久磁石型ではなく、回転速度に応じて誘起電圧を制御することが容易な、巻線界磁型の回転電機が広く採用されている。
上記のアイドリングストップに対応するために、回転電機は、内燃機関の再始動が必要な低速回転時に大きなトルクを出力する必要があり、電源となるバッテリ電圧を高電圧化することで、出力向上が図られている。
【0003】
このような巻線界磁型の回転電機の制御装置において、回転子の巻線界磁の電流量を、電力変換器部等の温度と、回転速度とに応じて制御することで、温度上昇を抑制し、かつ、発電電流の過剰な抑制を防止して、通常の発電領域を拡大する方法が例えば特許文献1によって知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−223073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のように、界磁電流制御を単一のスイッチング素子で行う場合、界磁巻線におけるインダクタンスが電機子巻線におけるインダクタンスと比較して大きいため、制御応答性が低く、回転電機における発電から駆動、駆動から発電といった動作の切替え時に、界磁巻線の残留磁束による意図しない発電や駆動動作やトルクの急変が発生しないように、界磁巻線に流れる界磁電流がある程度小さくなるまで待つ必要があった。
【0006】
また、界磁巻線の電流を高速に遮断することができないため、ロードダンプサージ等の異常な電圧変動が発生した場合に、界磁巻線の残留磁束とエンジン回転とによる発電が継続し、バッテリや他の電気負荷を破損する可能性があった。
【0007】
この発明は、上記のような問題点を解消するためになされたもので、界磁巻線の界磁電流遮断の速度を任意に制御することができ、その結果、回転電機における発電から駆動、駆動から発電といった動作の切替え時に、界磁巻線に流れる電流が小さくなるまで待つ必要がなく、高速に切替えを行うことができる回転電機の制御装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係わる回転電機の制御装置は、電機子巻線と界磁巻線とを有する回転電機の制御装置であって、正極側アームのスイッチング素子と負極側アームのスイッチング素子とで構成され、前記電機子巻線の出力である交流電流を直流電流に整流するブリッジ回路と、界磁スイッチング素子を用いて前記界磁巻線の通電制御を行う界磁回路と、前記ブリッジ回路と前記界磁回路のスイッチング素子のオンとオフとを制御するブリッジ回路制御部と界磁回路制御部とを具備した制御部とを備えたものにおいて、前記界磁回路は、前記界磁巻線に流れる界磁電流をPWM制御するための正極側界磁スイッチング素子と、界磁巻線に流れる界磁電流を遮断するための負極側界磁スイッチング素子によって構成され、
前記制御部の界磁回路制御部は、回転電機の運転状態情報から界磁電流値を検出する界磁電流検出部と、前記界磁電流検出部の出力および目標トルクから、前記界磁回路の界磁電流目標値を算出する界磁電流制御演算部と、前記界磁電流検出部の出力と前記界磁電流制御演算部の出力から、界磁電流の高速遮断が必要か否かの判定値を出力する界磁高速遮断判定部と、前記界磁高速遮断判定部の出力から、界磁電流の遮断に必要な遮断速度を演算し、その演算結果に応じて界磁電流の遮断速度を制御する界磁電流遮断速度制御部と、前記界磁電流制御演算部からの出力と前記界磁電流遮断速度制御部からの出力に応じて、前記界磁回路の上(正極側)ゲートと下(負極側)ゲートの動作信号を出力する界磁ゲート制御部を備え、前記界磁高速遮断判定部の出力に応じて、前記界磁巻線の正極側と負極側のスイッチング素子をオフにすることで前記界磁巻線に流れる界磁電流を遮断すると共に、前記負極側のスイッチング素子を間欠的に駆動することにより、前記界磁巻線に流れる界磁電流の遮断速度を制御するように構成したものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明の回転電機の制御装置によれば、界磁巻線の界磁電流遮断の速度を任意に制御できるので、回転電機における発電から駆動、駆動から発電といった動作の切替え時に、界磁巻線に流れる電流が小さくなるまで待つ必要がなく、高速に切替えを行うことができる。
【0010】
また、回転電機の動作切替えの際に、界磁電流を高速に遮断した場合に発生するトルク抜けや段差などの急変が懸念される場合は、外部からのトルク指令値に基づいて界磁電流の遮断速度を変更することが可能になるので、ブレーキ協調制御など、トルクの段差が直接運転者に影響するようなシステムで、スムーズな動作切替えが可能になる。
【0011】
また、ロードダンプサージ等の異常な電圧変動が発生した場合においても、界磁巻線の残留磁束を高速に低減できるので、バッテリや他の電気負荷の破損を防止することができる。
【0012】
上述した、またその他の、この発明の目的、特徴、効果は、以下の実施の形態における詳細な説明および図面の記載からより明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】この発明の実施の形態1における回転電機の制御装置の概略構成図である。
図2】この発明の実施の形態1における回転電機の制御装置の概略構成図である。
図3】この発明の実施の形態1における回転電機の制御装置の制御部210の詳細を示す構成図である。
図4】この発明の実施の形態1における意図しない大きな発電トルクが発生する状態を示す波形である。
図5】この発明の実施の形態1における回転電機の制御装置の界磁回路制御部330の動作を示すフローチャートである。
図6】この発明の実施の形態1における回転電機の制御装置の界磁回路制御部330の詳細を示す構成図である。
図7】この発明の実施の形態2における回転電機の制御装置の界磁回路制御部330の詳細を示す構成図である。
図8】この発明の実施の形態3における回転電機の制御装置の界磁回路制御部330の詳細を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明に係る回転電機の制御装置の好適な実施の形態について図面を参照して説明する。なお、各図中、同一符号は、同一または相当部分を示すものとする。
【0015】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1における回転電機の制御装置の全体システム構成を示す概念図である。
図1において、回転電機の制御装置は、内燃機関101が回転電機102に、例えばベルト等の動力伝達手段104を介して接続され、内燃機関101が運転中に回転電機102で発生した交流電圧が、電力変換器(図示しない)により交直変換されて、直流機器(図示しない)に電気エネルギーを供給すると同時に、バッテリ(キャパシタともいう。)103に対して電気エネルギーを充電する。
一方、アイドリングストップなどにより内燃機関101が停止中に、バッテリ(キャパシタ)103の電気エネルギーが、回転電機102の電力変換器(図示しない)により回転エネルギーに変換されて、内燃機関101を再始動する。
【0016】
図2は、この発明の実施の形態1における回転電機の制御装置の概略構成図である。
図2において、回転電機102は、電力変換装置110と回転機部200により構成されており、電力変換装置110は、ブリッジ回路220と界磁回路230、およびスイッチング素子のオン・オフ制御などを行う制御部210とからなる。
【0017】
ブリッジ回路220は、寄生ダイオードを内蔵した三相上(正極側)アームスイッチング素子223a、223b、223cと、同じく寄生ダイオードを内蔵した三相下(負極側)アームスイッチング素子224a、224b、224cとから構成されている。以後、スイッチング素子を総称して呼ぶ時には、a〜cの添え字を省略する。
また、三相上アームスイッチング素子223は、バッテリ(キャパシタ)103からのプラス電源入力のB端子と回転電機200の三相電機子巻線201のU、V、W相の各端子に接続され、三相下アームスイッチング素子224は、バッテリ(キャパシタ)103からのアース入力であるGND端子と、三相電機子巻線201のU、V、W相の各端子に接続されている。
【0018】
界磁回路230は、界磁巻線202に流れる界磁電流をPWM制御するための正極側界磁スイッチング素子231と、このスイッチング素子231に直列接続されたフリーホイールダイオード232と、界磁巻線202に流れる界磁電流を高速に遮断するための負極側界磁スイッチング素子233と、このスイッチング素子233に直列接続されたフリーホイールダイオード234と、から構成されている。
【0019】
なお、図2は、回転機部200を三相電機子巻線201と界磁巻線202をもつ三相界磁巻線式回転電機としているが、巻線方式や相数が異なっていてもよい。さらに電力変換装置110と回転機部200が一体となった一体構造式の回転電機102としているが、電力変換装置110と回転機部200が物理的に分割された別体構造式の回転電機102であっても構わない。
【0020】
図3は、この発明の実施の形態1における回転電機の制御装置の制御部210の詳細を示す構成図である。
図3において、制御部210は、回転電機の三相電機子巻線201用のブリッジ回路220を制御するブリッジ回路制御部310と、ゲートドライバ320と、回転電機の界磁巻線202用の界磁回路230を制御する界磁回路制御部330と、ゲートドライバ340とから構成されている。界磁回路制御部330はさらに、回転電機の運転状態情報から界磁電流値を検出する界磁電流検出部331と、界磁電流検出部331の出力および目標トルクから、界磁回路230の制御値を算出する界磁電流制御演算部332と、界磁電流検出部331の出力と界磁電流制御演算部332の出力から、界磁電流の高速遮断が必要か否かの判定値を出力する界磁高速遮断判定部333と、界磁高速遮断判定部333の出力から、界磁電流の遮断に必要な遮断速度を演算し、その演算結果に応じて界磁電流の遮断速度を制御する界磁電流遮断速度制御部334と、界磁電流制御演算部332からの出力と前記界磁電流遮断速度制御部334からの出力に応じて、実際に界磁回路230の上(正極側)ゲートと下(負極側)ゲートの動作信号を出力する界磁ゲート制御部335とを備えている。
【0021】
このように構成された実施の形態1における回転電機の制御装置は、内燃機関101の始動時には、電動機として内燃機関101にトルクを供給し、始動後は必要に応じて発電機としてバッテリ103を充電するように回転電機102の制御を行う。
【0022】
例えば、回転電機102の回転トルクを制御する運転モードでは、回転トルクが目標トルクに一致するように制御するため、回転機部200の運転状態である回転数やB端子電圧、三相電機子巻線201や界磁巻線202の電流値などをブリッジ回路制御部310や界磁回路制御部330への入力として、フィードバック制御を行い、電機子電流、界磁電流指令を演算する。
【0023】
ブリッジ回路制御部310は、回転機部200の運転状態である回転数、B端子電圧、目標トルクを元に三相電機子巻線201に出力する電流目標値を算出し、算出された電流目標値に追従するようにゲートドライバ320にPWM信号UHs, ULs, VHs, VLs, WHs, WLsを出力して、ブリッジ回路220のゲートUH, UL, VH, VL, WH, WLを制御する。
【0024】
一方、界磁回路制御部330は、回転機部200の運転状態である回転数、B端子電圧、目標トルクを元に界磁巻線202に出力する界磁電流目標値を算出し、算出された界磁電流目標値に追従するようにゲートドライバ340にPWM信号FHs, FSsを出力して、界磁回路230のゲートFH, FSを制御する。
【0025】
ここで、界磁巻線202は、三相電機子巻線201と比較してインダクタンスが大きいため、制御応答性が低く、図4で示すように、駆動から発電に目標トルクを切り替えるような場合、目標トルク0Nm時点では、界磁電流値が下がりきらず、界磁巻線に残留磁束が発生している状態のため、そのまま三相電機子巻線201を発電の電流目標値で制御すると、意図しない大きな発電トルクが発生したり、トルクが急変したりする可能性がある。
【0026】
図6は、この発明の実施の形態1における回転電機の制御装置の界磁回路制御部330の詳細を示す構成図である。
図6において、界磁電流検出部331は、図2のシャント抵抗235からの信号をAD変換するなどして、界磁巻線に流れる電流を検出し界磁電流値Ifactを出力する。
【0027】
界磁電流制御演算部332は、目標トルクおよび回転電機運転状態から、界磁巻線に流す界磁電流制御指令値(以下単に界磁電流目標値ともいう。)Ifreqを出力するT-I変換テーブル3321と、界磁電流目標値Ifreqと界磁電流値Ifactの差分eから、界磁回路230の上(正極側)ゲート電圧目標値FHvreqを出力するための第1のPI制御部3322を備えている。
【0028】
界磁高速遮断判定部333は、界磁電流目標値Ifreqが界磁電流値Ifactを、予め定めた閾値より下回った場合に、差分の絶対値e’を出力し、それ以外の場合は0をe’’として出力する切替器3331を備えている。
【0029】
界磁電流遮断速度制御部334は、界磁高速遮断判定部333の出力であるe’’が0になるよう界磁回路230の下(負極側)ゲート電圧目標値FSvreqを出力する第2のPI制御部3341を備えている。
【0030】
界磁ゲート制御部335は、界磁電流遮断速度制御部334の出力FSvreqと界磁電流制御演算部332の出力FHvreqに各々追従するために、界磁スイッチング素子の間欠スイッチング(PWM)の信号FSs、FHsを生成する、PWM ON-OFFデューティ比演算部3351、3352を備えている。
【0031】
図5は、この発明の実施の形態1における回転電機の制御装置の界磁回路制御部330の動作を示すフローチャートである。
【0032】
ステップS101において、界磁電流検出部331によって実界磁電流値Ifactを取得する。
【0033】
ステップS102において、界磁電流制御演算部332は、目標トルクと回転電機運転状態の入力からT-I変換テーブル3321により、界磁電流制御指令値、即ち界磁電流目標値Ifreqを算出する。
【0034】
ステップS103において、第1のPI制御部3322は、実界磁電流値Ifactが界磁電流目標値Ifreqに追従するように、界磁回路230の上(正極側)ゲートFHの電圧指令値FHvreqを生成する。
【0035】
一方、界磁高速遮断判定部333は、ステップS104において、界磁電流検出部331の出力である実界磁電流値Ifactと、界磁電流制御演算部332の出力である界磁電流目標値Ifreqとを比較し、界磁電流目標値Ifreqの立下り速度に実界磁電流値Ifactが追従していない(即ち、差分e’が閾値より大きい)場合に、切替器3331によって界磁高速遮断実施の判定値e’’=差分値e’を出力し、ステップS105に移行する。そうでなければ、e’’=0を出力しステップS106に移行する。
【0036】
ステップS105において、界磁電流遮断速度制御部334は、界磁電流目標値Ifreqと実界磁電流値Ifactとの差分e’’が0になるように第2のPI制御部3341が界磁回路230の下(負極側)ゲートFSの電圧指令値FSvreqを生成する。
【0037】
ステップS106において、界磁ゲート制御部335は、界磁電流制御演算部332および界磁電流遮断速度制御部334の出力である電圧指令値FHvreq、FSvreqに応じて、
これ等の出力を各々PWM ON-OFFデューティ比演算部3351、3352により、界磁回路230の上(正極側)ゲートFHと下(負極側)ゲートFSの各電圧指令デューティ比に応じたPWM信号FHs,FSsに変換し、ゲートドライバ340に出力する。
【0038】
以上のように、この発明の実施の形態1における回転電機の制御装置によれば、通常時(界磁高速遮断判定部の出力e’’=0)の界磁電流は、下(負極側)ゲートFSは常時ON(短絡)となり、上(正極側)ゲートFHによるPWM間欠スイッチングで電流フィードバック制御されることになる。界磁電流を高速に低減するべく界磁電流目標値Ifreqを急峻に下げれば、FH、FS共にOFFデューティが発生し、界磁巻線の両端ゲートがOFFの状態に近くなるため、界磁巻線に流れる電流を高速に遮断することができる。
【0039】
また、界磁電流制御演算部332の界磁電流フィードバック制御により通常の界磁電流値を、界磁電流遮断速度制御部334の遮断速度乖離値フィードバックにより界磁巻線の界磁電流遮断の速度を任意に制御できるので、回転電機における発電から駆動、駆動から発電といった動作の切替え時に界磁巻線に流れる電流が小さくなるまで待つ必要がなく、高速に切替えを行うことができる。
【0040】
また、ロードダンプサージ等の異常な電圧変動が発生した場合においても、界磁巻線の残留磁束を高速に低減できるので、バッテリや他の電気負荷の破損を防止することができる。
【0041】
実施の形態2.
図7は、この発明の実施の形態2における回転電機の制御装置の界磁回路制御部330の詳細を示す構成図である。
図7において、界磁電流検出部331は、入力された回転電機運転状態から動力伝達手段104に発生する実トルクの値を検出する、例えばひずみゲージなどのトルク検出器と、
このトルク検出器の検出値を界磁電流値に変換するT-I変換テーブル3311から構成されており、検出された実トルクを実界磁電流値Ifactに変換して出力するよう構成されている。なお、その他の構成は、実施の形態1.と同様である。
【0042】
このように、回転子の出力トルクを検知し、この出力トルクが目標トルクと一致するように界磁電流の遮断速度を制御する構成としても実施の形態1と同様の効果を得ることができる。また、トルク検出器としては、回転子の出力トルクを検知可能なものであれば、
他のトルクセンサやトルク推定演算などの方法を用いることが可能である。
【0043】
実施の形態3.
図8は、この発明の実施の形態3における回転電機の制御装置の界磁回路制御部330の詳細を示す構成図である。
図8において、動作切替え検出部810は、入力された回転電機運転状態から、例えば発電⇔駆動、制動、出力停止、といった制御動作の切替えを検出する。方法としては、目標トルクの符号の変化(ゼロクロス)を検出したり、(図示しない)上位コントローラからの制御動作切替え指令の受信で検出したりすることが考えられる。
動作切替え検出部810は、制御動作の切替えを検出すると、論理値Trueを出力し、切替えがない場合は、Fault を出力する。
【0044】
界磁高速遮断判定部333は、動作切替え検出部810の出力がFaultの場合は、実界磁電流値Ifactと界磁電流目標値Ifreqの差分e’を出力し、Trueの場合は、e’をより大きな値で出力する第2の切替器8331をさらに備える。なお、その他の構成は、実施の形態1.と同様である。
【0045】
このように構成された実施の形態3によれば、回転電機の動作切替えの際に、界磁電流をより高速に遮断することが可能になるので、ブレーキ協調制御など、トルクの段差が直接運転者に影響するようなシステムで、スムーズな動作切替えが可能になる。
【0046】
なお、この発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
【符号の説明】
【0047】
101 内燃機関、102 回転電機、103 バッテリ(キャパシタ)、
104 動力伝達手段、110 電力変換装置、200 回転機部、
201 三相電機子巻線、202 界磁巻線、210 制御部、220 ブリッジ回路、
223 三相上(正極側)アームスイッチング素子、224 三相下(負極側)アーム
スイッチング素子、230 界磁回路、231 正極側界磁スイッチング素子、
232、234 フリーホイールダイオード、233 負極側界磁スイッチング素子、
235 シャント抵抗、310 ブリッジ回路制御部、320、340 ゲートドライ
バ、330 界磁回路制御部、331 界磁電流検出部、332 界磁電流制御演算部、
333 界磁高速遮断判定部、334 界磁電流遮断速度制御部、
335 界磁ゲート制御部、3321、3311 T-I変換テーブル、
3322、3341 PI制御部、3331、8331 切替器、
3351、3352 PWM ON-OFFデューティ比演算部、
810 動作切替え検出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2018年4月26日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電機子巻線と界磁巻線とを有する回転電機の制御装置であって、正極側アームのスイッチング素子と負極側アームのスイッチング素子とで構成され、前記電機子巻線の出力である交流電流を直流電流に整流するブリッジ回路と、界磁スイッチング素子を用いて前記界磁巻線の通電制御を行う界磁回路と、前記ブリッジ回路と前記界磁回路のスイッチング素子のオンとオフとを制御するブリッジ回路制御部と界磁回路制御部とを具備した制御部とを備えたものにおいて、
前記界磁回路は、前記界磁巻線に流れる界磁電流をPWM制御するための正極側界磁スイッチング素子と、界磁巻線に流れる界磁電流を遮断するための負極側界磁スイッチング素子によって構成され、
前記制御部の界磁回路制御部は、
回転電機の運転状態情報から界磁電流値Ifactを検出する界磁電流検出部と、
回転電機の目標トルクと運転状態から界磁電流目標値Ifreqを算出し、該算出された界磁電流目標値Ifreqと前記界磁電流検出部で検出された実界磁電流値Ifactとの差分から、界磁回路の上(正極側)ゲートのゲート電圧目標値FHvreqを出力する界磁電流制御演算部と、
前記界磁電流検出部の出力である実界磁電流値Ifactと前記界磁電流制御演算部で算出された界磁電流目標値Ifreqとを比較し、両者の差分に応じて界磁電流の高速遮断が必要か否かの判定値を出力する界磁高速遮断判定部と、
前記界磁高速遮断判定部の出力から、界磁電流目標値Ifreqと実界磁電流値Ifactとの差分が0になるように、界磁回路の下(負極側)ゲートFSのゲート電圧目標値FSvreqを出力し、界磁電流の遮断速度を制御する界磁電流遮断速度制御部と、
前記界磁電流制御演算部からの出力である電圧目標値FHvreqと前記界磁電流遮断速度制御部からの出力である電圧目標値FSvreqに応じて、前記界磁回路の上(正極側)ゲートFHと下(負極側)ゲートFSの動作信号を出力する界磁ゲート制御部を備え、
前記界磁高速遮断判定部の出力に応じて、前記界磁巻線の正極側と負極側のスイッチング素子をオフにすることで前記界磁巻線に流れる界磁電流を遮断すると共に、前記負極側のスイッチング素子を間欠的に駆動することにより、前記界磁巻線に流れる界磁電流の遮断速度を制御するようにしたことを特徴とする回転電機の制御装置。
【請求項2】
前記界磁高速遮断判定部は、前記界磁電流検出部で検出された界磁電流値Ifactと、前記界磁電流制御演算部で算出された界磁電流目標値Ifreqとの両者の差分に基づいて、界磁電流遮断のための判定値を出力する切替器を備えたことを特徴とする請求項1に記載の回転電機の制御装置。
【請求項3】
前記界磁電流制御演算部は、回転電機の目標トルクと運転状態から界磁電流目標値Ifreqを検出するT−I(トルクー界磁電流)変換テーブルと、T−I変換テーブルで検出された界磁電流目標値Ifreqと界磁電流検出部で検出された界磁電流値Ifactの差分から、界磁回路の上(正極側)ゲートのゲート電圧目標値FHvreqを出力する第1のPI制御部から構成されたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の回転電機の制御装置。
【請求項4】
前記界磁電流検出部は、回転電機の動力検出手段に発生する実トルクの値を検出するトルク検出器と、このトルク検出器のトルク検出値を界磁電流値に変換するT−I(トルクー界磁電流)変換テーブルを備えたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の回転電機の制御装置。
【請求項5】
前記回転電機は、発電動作と駆動動作と制動動作と空転動作のうち少なくとも2つの動作を含み、前記界磁回路制御部は、前記回転電機の現在の動作状態から他の動作状態への切替えを検出する動作切替え検出部を具備すると共に、前記界磁高速遮断判定部は、前記動作切替え検出部の出力に応じて、界磁電流高速遮断のための判定値を出力する第2の切替器を備えたことを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の回転電機の制御装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
この発明に係わる回転電機の制御装置は、電機子巻線と界磁巻線とを有する回転電機の制御装置であって、正極側アームのスイッチング素子と負極側アームのスイッチング素子とで構成され、前記電機子巻線の出力である交流電流を直流電流に整流するブリッジ回路と、界磁スイッチング素子を用いて前記界磁巻線の通電制御を行う界磁回路と、前記ブリッジ回路と前記界磁回路のスイッチング素子のオンとオフとを制御するブリッジ回路制御部と界磁回路制御部とを具備した制御部とを備えたものにおいて、前記界磁回路は、前記界磁巻線に流れる界磁電流をPWM制御するための正極側界磁スイッチング素子と、界磁巻線に流れる界磁電流を遮断するための負極側界磁スイッチング素子によって構成され、前記制御部の界磁回路制御部は、回転電機の運転状態情報から界磁電流値Ifactを検出する界磁電流検出部と、回転電機の目標トルクと運転状態から界磁電流目標値Ifreqを算出し、該算出された界磁電流目標値Ifreqと前記界磁電流検出部で検出された実界磁電流値Ifactとの差分から、界磁回路の上(正極側)ゲートのゲート電圧目標値FHvreqを出力する界磁電流制御演算部と、前記界磁電流検出部の出力である実界磁電流値Ifactと前記界磁電流制御演算部で算出された界磁電流目標値Ifreqとを比較し、両者の差分に応じて界磁電流の高速遮断が必要か否かの判定値を出力する界磁高速遮断判定部と、前記界磁高速遮断判定部の出力から、界磁電流目標値Ifreqと実界磁電流値Ifactとの差分が0になるように、界磁回路の下(負極側)ゲートFSのゲート電圧目標値FSvreqを出力し、界磁電流の遮断速度を制御する界磁電流遮断速度制御部と、前記界磁電流制御演算部からの出力である電圧目標値FHvreqと前記界磁電流遮断速度制御部からの出力である電圧目標値FSvreqに応じて、前記界磁回路の上(正極側)ゲートFHと下(負極側)ゲートFSの動作信号を出力する界磁ゲート制御部を備え、前記界磁高速遮断判定部の出力に応じて、前記界磁巻線の正極側と負極側のスイッチング素子をオフにすることで前記界磁巻線に流れる界磁電流を遮断すると共に、前記負極側のスイッチング素子を間欠的に駆動することにより、前記界磁巻線に流れる界磁電流の遮断速度を制御するように構成したものである。