特開2018-207728(P2018-207728A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-207728(P2018-207728A)
(43)【公開日】2018年12月27日
(54)【発明の名称】電力管理システム及び電力管理方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 15/00 20060101AFI20181130BHJP
【FI】
   H02J15/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-113459(P2017-113459)
(22)【出願日】2017年6月8日
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100146835
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 義文
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(72)【発明者】
【氏名】沼田 茂生
(72)【発明者】
【氏名】下田 英介
(72)【発明者】
【氏名】野津 剛
(72)【発明者】
【氏名】前田 哲彦
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 成輝
(72)【発明者】
【氏名】五舛目 清剛
(57)【要約】
【課題】水素の需給バランスを制御する種々の予測制御が行え、余剰電力による水素を最適化して活用できる電力管理システムを提供する。
【解決手段】再生可能エネルギーを用いて発電される電力が余剰する余剰電力を予測する余剰電力予測部と、前記予測された余剰電力に基づいて、前記余剰電力を用いて製造される水素を貯蔵する計画を生成する水素貯蔵計画生成部と、前記貯蔵された水素を充填して当該充填された水素によって発電する機能を有し、水素の配送先となる施設に移送する水素輸送車両と、前記水素輸送車両を施設に配車する配車計画を生成する配車計画生成部と、前記水素車両が施設の電力変換装置に接続されると前記水素車両の水素積載量と前記施設における買電電力と需要電力とに基づいて、前記水素輸送車両に水素を用いた発電計画を生成し、前記配車計画生成部と前記水素輸送車両に通知する水素利用計画生成部と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
再生可能エネルギーを用いて発電される電力が余剰する余剰電力を予測する余剰電力予測部と、
前記予測された余剰電力に基づいて、前記余剰電力を用いて製造される水素を貯蔵する計画を生成する水素貯蔵計画生成部と、
前記貯蔵された水素を充填して当該充填された水素によって発電する機能を有し、水素の配送先となる施設に移送する水素輸送車両と、
前記水素輸送車両を施設に配車する配車計画を生成する配車計画生成部と、
前記水素輸送車両が施設の電力変換装置に接続されると前記水素輸送車両の水素積載量と前記施設における買電電力と需要電力とに基づいて、前記水素輸送車両の水素を用いた発電計画を生成し、前記配車計画生成部と前記水素輸送車両に通知する水素利用計画生成部と、
を有する電力管理システム。
【請求項2】
前記水素利用計画生成部は、前記施設の需要電力の変化に応じて前記水素を用いた発電計画を生成し直し、生成し直した発電計画を前記配車計画生成部と前記水素輸送車両に通知する
請求項1に記載の電力管理システム。
【請求項3】
前記水素利用計画生成部は、前記水素輸送車両の水素積載量が所定値未満になった場合には、当該水素輸送車両との連結を解除する
請求項1または請求項2に記載の電力管理システム。
【請求項4】
前記配車計画生成部は、前記水素利用計画生成部から通知された発電計画と、前記水素を貯蔵する計画とに基づいて、前記配車計画を生成する
請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の電力管理システム。
【請求項5】
前記水素輸送車両は、自身に充填された水素を燃料として走行する
請求項1から請求項4のうちいずれか1項に記載の電力管理システム。
【請求項6】
余剰電力予測部が、再生可能エネルギーを用いて発電される電力が余剰する余剰電力を予測し、
水素貯蔵計画生成部が、前記予測された余剰電力に基づいて、前記余剰電力を用いて製造される水素を貯蔵する計画を生成し、
水素輸送車両が、前記貯蔵された水素を充填して当該充填された水素によって発電する機能を有し、水素の配送先となる施設に移送し、
配車計画生成部が、前記水素輸送車両を施設に配車する配車計画を生成し、
水素利用計画生成部が、前記水素車両が施設の電力変換装置に接続されると前記水素車両の水素積載量と前記施設における買電電力と需要電力とに基づいて、前記水素輸送車両に水素を用いた発電計画を生成し、前記配車計画生成部と前記水素輸送車両に通知する
電力管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力管理システム及び電力管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2012年7月の再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)の導入は、非住宅用の太陽光発電市場(公共・産業分野)を大きく変えることとなった。JPEA PV OUTLOOK 2030によると、国内総出荷に占める非住宅用の割合は、2012年度で(国内総出荷量3.8GWに対し)50%、2013年度で(同8.4GWに対し)73%、2014年度上半期で(上期国内総出荷量4.3GWに対し)77%と大幅に伸張している。
【0003】
太陽光発電の大量の設備認定量に伴い、それらが全て稼動した場合、電力需要の小さい軽負荷期に太陽光発電の供給電力量が需要電力量を上回る懸念が出てきたため、指定電気事業者において「無制限・無補償の出力抑制」を条件として系統接続を行うこととなった。今後、更なる太陽光発電の系統接続量の増加に伴い、電力需給調整を目的とした出力抑制実施は現実のものとなりつつある。
このような社会背景から、出力抑制に伴う余剰電力の発生量、頻度ともに増加が予想され、再生可能エネルギーの余剰電力を利用して一旦、水素を製造し、例えば電力需要が増加した際に必要に応じて貯蔵しておいた水素(以下、COフリー水素と記す)を再度、電力に変換して街区で活用する技術が注目されている。
【0004】
一方で、わが国では、公共建物の他、住宅やオフィスビル、病院などの建築物において、年間の消費エネルギー量を大幅に削減する建築物(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル、以下ZEBと記す)を目指す取組みを進めている。2014年のエネルギー基本計画において、2020年頃までに新築公共建築等で、2030年までに新築建築物の平均でZEBを実現する事を目指すことが明記されている。
ZEB実現に向けては建築計画的な手法を最大限に活用して、庇やルーバー等で日射をコントロールした上で、建築設備の効率化と合わせてエネルギー需要を可能な限り削減して省エネルギー化を図った上で、残ったエネルギー需要をオンサイト(敷地内あるいは街区内)での再生可能エネルギーによる創エネで賄う。しかしながら、市街地における高層大規模建築物では太陽光発電が設置可能な屋上面積が限られており、オンサイトでの創エネには限界がある。
【0005】
以上のような状況を見据え、例えば半径数10km程度の広域範囲を地産地消エリアとして、オフサイト立地のメガソーラー等の再生可能エネルギー発電所にて、余剰電力を効率よく活用してCOフリー水素を製造し、高圧水素ガスとする。この高圧水素ガスを高圧水素輸送車両にて収集した後、当該エリア内の中核となる街区に輸送・利用することで、街区内で建物のZEB化に必要な創エネ相当量を賄い、ZEBの実現を目指すシステム検討が開始されている(例えば特許文献1)。
【0006】
建物に附帯した水素利用システムとして、輸送された水素を例えば難燃性の水素吸蔵合金を用いたタンク等で安全に貯蔵し、燃料電池コージェネレーションにより電力ならびに熱に変換し、蓄電池や蓄熱システム及びその他建築設備と組み合わせて効率的なエネルギーマネジメントを実施することで、ZEB実現の重要な手段になると共に、事業継続計画(Business Continuity Plan:BCP)の向上が期待できる。
例えば、COフリー水素を製造して、ZEBの実現を目指すシステムの一例としては、メガソーラー等の再生可能エネルギー発電所を複数設置し、これらから得られる電力を既存の電力系統に供給し、電力系統から複数の街区に電力を供給するシステムが考えられる。この場合、各街区で利用される電力を超えて各再生可能エネルギー発電所で発電が行なわれた場合には、余剰電力が生じてしまい、この余剰電力は活用できないことになってしまう。
【0007】
これに対し、各再生可能エネルギー発電所において余剰電力が生じた場合には、この余剰電力から水素を製造すれば、この水素を各街区に輸送し、それら街区で電力又は熱に変換して利用することができる。
【0008】
また、特許文献2には、複数の熱的なプラントの相互間で熱エネルギーを共有する複数の施設において、統合エネルギーを最適化する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2014−122399号公報
【特許文献2】特開2005−182371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述のように、COフリー水素の利用に基づいて、街区内で建物のZEB化に必要な創エネ相当量を最適に維持するためには、COフリー水素の需給バランスを制御する種々の予測制御が不可欠である。すなわち、電力の供給側としては、再生可能エネルギー発電所での時々刻々の余剰電力量の予測や、COフリー水素の製造量の予測が必要である。また、電力の需要側では、建物での時々刻々の電力需要の予測が必要である。さらには、水素輸送車両が複数の再生可能エネルギー発電所からCOフリー水素を巡回収集するルート選定も、制御パラメータとなる場合も想定される。
また、COフリー水素は高圧ガスとして街区へ輸送される。現在は「カードル」と呼ばれるボンベを束ねた形状の輸送容器に高圧水素ガスを充填して輸送、或いはより大量に輸送する場合は、約20MPaの高圧力に耐えることができる大型ボンベを束ねた「トレーラー」に水素ガスを加圧充填して輸送することが一般的である。
【0011】
水素輸送車両等により輸送された水素は、水素輸送車両の高圧ボンベから、建物内、或いは敷地内に設置した、例えば水素吸蔵合金タンクへ移送される。ここで、高圧ボンベ内のガスを減圧する場合、処理設備の能力が1日当たり300m以上のものである場合には、第1種高圧ガス製造に該当し、規制対象となる。建物内や敷地内に高圧ガス保安法等の規制対象になる設備を設けることは、以下に記すような様々な不都合が生じることが予想される。
製造許可の取得、完成検査、保安検査、定期検査などが必要となり手続き上、非常に時間がかかる。保安距離や火気距離などの規制、安全確保に必要な設備(障壁や安全装置)など建設コストアップになる。保安係員の選任が必要となり、維持コストアップになる。トレーラー等が化石燃料によるエンジン駆動の場合、輸送用燃料に係るCO排出が発生するため、COフリー水素が有する高い環境価値を減損させる。
【0012】
上述の課題を鑑み、本発明は、水素の需給バランスを制御する種々の予測制御が行え、余剰電力によるCOフリー水素を最適化して活用できる電力管理システム及び電力管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述の課題を鑑み、本発明の一態様に係る電力管理システムは、再生可能エネルギーを用いて発電される電力が余剰する余剰電力を予測する余剰電力予測部と、前記予測された余剰電力に基づいて、前記余剰電力を用いて製造される水素を貯蔵する計画を生成する水素貯蔵計画生成部と、前記貯蔵された水素を充填して当該充填された水素によって発電する機能を有し、水素の配送先となる施設に移送する水素輸送車両と、前記水素輸送車両を施設に配車する配車計画を生成する配車計画生成部と、前記水素車両が施設の電力変換装置に接続されると前記水素車両の水素積載量と前記施設における買電電力と需要電力とに基づいて、前記水素輸送車両に水素を用いた発電計画を生成し、前記配車計画生成部と前記水素輸送車両に通知する水素利用計画生成部と、を有する。
【0014】
本発明の一態様に係る電力管理方法は、余剰電力予測部が、再生可能エネルギーを用いて発電される電力が余剰する余剰電力を予測し、水素貯蔵計画生成部が、前記予測された余剰電力に基づいて、前記余剰電力を用いて製造される水素を貯蔵する計画を生成し、水素輸送車両が、前記貯蔵された水素を充填して当該充填された水素によって発電する機能を有し、水素の配送先となる施設に移送し、配車計画生成部が、前記水素輸送車両を施設に配車する配車計画を生成し、水素利用計画生成部が、前記水素車両が施設の電力変換装置に接続されると前記水素車両の水素積載量と前記施設における買電電力と需要電力とに基づいて、前記水素輸送車両に水素を用いた発電計画を生成し、前記配車計画生成部と前記水素輸送車両に通知する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、余剰電力によるCOフリー水素の生成の需給バランスを制御する種々の予測制御が行え、余剰電力によるCOフリー水素を最適化して活用できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る電力管理システムの概略構成図である。
図2】DEMSの構成を示すブロック図である。
図3】本発明の実施形態に係る電力管理システムの動作を示すフローチャートである。
図4】本発明の実施形態に係る電力管理システムの動作を示すフローチャートである。
図5】本発明の実施形態に係る電力管理システムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態に係る電力管理システム1の概略構成図である。
図1において、再生可能エネルギー発電所10は、メガソーラー等の再生可能エネルギーの発電設備11を備えている。また、再生可能エネルギー発電所10は、水素製造設備12と、水素貯蔵設備13とを備えている。また、再生可能エネルギー発電所10には、プラント管理部15が設けられる。水素製造設備12は、再生可能エネルギー発電所10で生じた余剰電力を用いて、COフリー水素を製造する。水素貯蔵設備13は、水素製造設備12で製造されたCOフリー水素を貯蔵する。また、このCOフリー水素は、水素輸送車両31に搭載して輸送することができる。プラント管理部15は、再生可能エネルギー発電所10の各種の情報を管理している。プラント管理部15は、ネットワーク70に接続されている。
なお、ここでは、1つの再生可能エネルギー発電所10のみ図示されているが、再生可能エネルギー発電所10は、複数存在している。また、上述の例では、再生可能エネルギーの発電設備11はメガソーラー等の太陽光発電であるが、これに限らず、他の再生可能エネルギー発電、例えば風力発電であっても良い。
【0018】
街区20には、建物21が建設されている。建物21には、商用電源23から電源が供給され、電力の消費先となる。この商用電源23は、主に、再生可能エネルギー発電所10からの電源を供給する既存の電力系統である。また、建物21には、水素輸送車両31に搭載されている燃料電池を配下の発電機として制御する建物エネルギー制御システム(以下、BEMS称する)22(第3の管理部)が設けられている。BEMS22は、建物21の電力需要を予測して、水素輸送車両31からの水素を、必要に応じて建物21に供給する管理を行っている。
【0019】
なお、ここでは、1つの街区20のみ図示されているが、街区20は、複数存在している。また、ここでは、1つの街区20に、1つの建物21のみ図示されているが、1つの街区20には、複数の建物21が存在している。また、この街区20は、少なくとも1つの施設があり、その施設においては、電力を消費する負荷が設けられており、この負荷の需要電力を満たすように、買電電力と水素によって発電された電力(水素輸送車両によって発電された電力)が供給される。ただし、水素によって発電された電力は、需要電力や、水素輸送車両の水素が充電された残量(水素積載量)によっては、買電電力のみが供給される場合がある。また、施設としては、ビルや商業施設、公共施設、一般家庭等であってもよい。
【0020】
水素輸送センター30には、複数の水素輸送車両31が常駐している。図2に示すように、水素輸送車両31は、高圧水素タンク33と、燃料電池32とを備えている。水素輸送車両31は、高圧水素タンク33内に充填されている水素を燃料電池32により電力に変換して、外部に供給することができる。また、水素輸送センター30には、配車管理部35(配車計画生成部)が設けられている。配車管理部35は、水素輸送センター30に属する水素輸送車両31の配車を管理する機能を有し、水素輸送車両31を施設に配車する配車計画を生成する。配車管理部35は、BEMS制御部25から通知された発電計画と、水素を貯蔵する計画とに基づいて、配車計画を生成する。この配車管理部35は、ネットワーク70に接続されている。
【0021】
情報提供センター40は、天気予報データ、実績データ、太陽光発電出力抑制情報等、電力管理システム1の制御に必要な各種の情報を提供している。情報提供センター40には、情報提供サーバ45が設けられている。情報提供サーバ45は、ネットワーク70に接続されている。
なお、この例では、情報提供サーバ45で、天気予報データ、実績データ、太陽光発電出力抑制情報等を提供しているが、天気予報データを提供するサーバ、実績データを提供するサーバ、太陽光発電出力抑制情報を提供するサーバを、それぞれ、別々に設けるようにしても良い。また、例えば天気予報データを提供するサーバは気象情報機関のサーバ、太陽光発電出力抑制情報を提供するサーバは電力会社のサーバというように、各情報を提供するサーバは、別々のところで管理するものであっても良い。
【0022】
電力供給管理センター50は、電力管理部55(余剰電力予測部、水素貯蔵計画生成部)が設けられている。電力管理部55は、ネットワーク70に接続されている。電力管理部55は、複数の再生可能エネルギー発電所10の余剰電力、並びに、COフリー水素の製造量や貯蔵量の管理を行っている。電力管理部55は、再生可能エネルギーを用いて発電される電力が余剰する余剰電力を予測する機能と、予測された余剰電力に基づいて、余剰電力を用いて製造される水素を貯蔵する計画を生成する機能を有する。
なお、この例では、再生可能エネルギー発電所10、水素輸送センター30、情報提供センター40、電力供給管理センター50を、別々の場所に設置しているが、再生可能エネルギー発電所10、水素輸送センター30、情報提供センター40、電力供給管理センター50の全て又はその一部は、同一の場所に設置しても良い。
【0023】
また、プラント管理部15、BEMS22、配車管理部35、電力管理部55は、全て、ネットワーク70を介して通信可能に接続されており、互いに情報を共有することができる。
【0024】
図2は、建物21のBEMS22の構成を示すブロック図である。図2において、BEMS制御部25は、BEMS22のシステム全体の制御を行っている。また、BEMS制御部25は、ネットワーク70に接続可能とされている。
【0025】
商用電源23からの電力は、建物21内の負荷26に供給される。負荷26は、各種の電気製品や照明、空調等である。また、商用電源23の取り込み部分や、水素輸送車両31との接続部分には、それぞれ電力計27が設けられている。電力計27の計測値は、BEMS制御部25に送られる。
建物21には、同期機能付き電力変換装置28を介して、水素輸送車両31からのケーブル36が接続される。水素輸送車両31は、高圧水素タンク33と、燃料電池32とを備えている。水素輸送車両31は、高圧水素タンク33に充填されている水素を燃料電池32により電気に変換し、ケーブル36を介して、建物21の電力として出力できる。また、建物21内のBEMS制御部25と水素輸送車両31とは、ケーブル36を介して、建物−車両間通信を行うことができる。
【0026】
BEMS制御部25(水素利用計画生成部)は、建物21内の負荷の使用状況や商用電源23からの供給電源を監視しており、必要に応じて、水素輸送車両31に発電指令を出力する。BEMS制御部25は、水素輸送車両が建物21の同期機能付き電力変換装置28に接続されると、水素輸送車両の水素積載量と建物21における買電電力と需要電力とに基づいて、水素輸送車両31の水素を用いた発電計画を生成し、配車管理部35と水素輸送車両31に通知する。また、BEMS制御部25は、建物21の需要電力の変化に応じて水素を用いた発電計画を生成し直し、生成し直した発電計画を配車管理部35と水素輸送車両31に通知する。ここでは、BEMS制御部25は、建物21における需要電力を過去の需要電力の履歴や、当日の天候や曜日等に応じて、当日の需要電力を予測することで予測需要電力を算出し、この予測需要電力を元に、買電電力の供給を受ける計画を生成し、また、水素輸送車両31が接続されると、その水素輸送車両31の水素積載量を元に、予測需要電力に応じて、買電電力の供給を受ける計画及び水素輸送車両31による発電計画を生成する。また、BEMS制御部25は、水素輸送車両31と通信することにより、水素輸送車両31から、当該水素輸送車両31における水素の残量である水素積載量を取得し、この水素積載量が所定値未満になった場合には、当該水素輸送車両との連結を解除(電力供給の停止)する。この所定値は、予め定められていてもよい。例えば、街区20から水素貯蔵設備13への移動に必要な水素の量となるように所定値を決定してもよい。この場合、所定値は、配送先である街区20と水素輸送車両31との距離等に応じて動的に決められる。
水素輸送車両31は、発電指令を受信すると、燃料電池32により高圧水素タンク33に貯蔵されている水素を電気に変換して、建物21に供給する。この水素輸送車両31は、自身に充填された水素を燃料として走行するものであってもよい。
【0027】
次に、本発明が適用された電力管理システム1の概要について説明する。図1において、電力供給管理センター50の電力管理部55は、情報提供サーバ45から、天気予報データ、実績データ、太陽光発電出力抑制情報等を受信し、電力会社による電力需給調整に伴う太陽光発電の出力抑制を実施する時間帯・電力値等の情報や天気予報等を基に、再生可能エネルギー発電所10が既存電力系統に引渡すことができない太陽光発電の余剰電力発生を時々刻々で予測する。余剰電力発生が予測される場合に、水素製造設備12の運転計画を立案し、各装置の準備を行う。そして、水素製造設備12は、余剰電力の発生に伴い、COフリー水素製造を開始する。製造された水素は、水素貯蔵設備13に貯蔵される。
【0028】
電力供給管理センター50の電力管理部55は、水素貯蔵設備13に貯蔵される水素貯蔵量が計画値に達すると、水素輸送センター30の配車管理部35に、水素輸送車両31の配車を通知し、情報を共有して、配車計画に着手する。割り当てられた水素輸送車両31は、水素輸送センター30から再生可能エネルギー発電所10に自走する。
【0029】
再生可能エネルギー発電所10では、水素輸送車両31への水素の充填が行われる。なお、配車計画に基づき、水素輸送車両31は複数の再生可能エネルギー発電所10を巡回し、水素を充填する場合がある。水素輸送車両31は、水素が充填されると、街区20の建物21に向けて、自走していく。
【0030】
水素輸送車両31は、街区20の建物21に到着すると、直流出力プラグに、建物内に設置された同期機能付き電力変換装置28から伸びるケーブル36を装着する。そして、BEMS制御部25が同期機能付き電力変換装置28と通信して、車両の有無の判定と、水素積載量の取得を行ない、建物の時々刻々の電力需要変化を基に、燃料電池駆動の水素輸送車両31からの電力供給の必要性を判断して、水素輸送車両31に発電指示を出す。
【0031】
BEMS制御部25は、建物21での水素利用スケジュールを、ネットワーク70を介して、電力管理部55及び配車管理部35に通知し、輸送車両の配車計画を共有する。建物の電力需要の変動に応じて、BEMS制御部25から水素輸送車両31に搭載されている燃料電池32の発電出力値を時々刻々に指令する。水素輸送車両31の水素積載量の多寡に応じて、水素輸送車両31は、例えば一日間、一週間或いは一カ月間、建物21側に電力供給を継続する。発電計画量を完了すると、水素輸送車両31は、水素輸送センター30に、あるいは再生可能エネルギー発電所10に自走する。
【0032】
このように、本実施形態では、水素の需給バランスを制御する種々の予測制御が行え、余剰電力によるCOフリー水素を最適化して活用できる。また、水素を水素輸送車両31で移送し、水素輸送車両31の燃料電池32で電気に変換して、建物に供給している。これにより、保守が容易となり、コストダウンが図れる。また、水素は、燃料電池32からの電力を水素輸送車両31を動かす駆動エネルギーとして用いられるようにしてもよい。これにより、化石燃料によるエンジン駆動が不要になり、CO排出を抑制できる。
【0033】
図3から図5は、本発明の実施形態に係る電力管理システム1の動作を示すフローチャートである。電力管理システムにおける処理は、大きく分けて、水素製造、貯蔵プロセスを含む第1段階と、水素の輸送プロセスを含む第2段階と、建物内での利用プロセスを含む第3段階とに分けられる。まず、水素製造、貯蔵プロセス(第1段階)から説明する。
【0034】
図3は、水素製造、貯蔵プロセス(第1段階)を示すフローチャートである。
(ステップS101)電力供給管理センター50の電力管理部55は、情報提供センター40の情報提供サーバ45から、天気予報データ、実績データ、電力需給調整に伴う太陽光発電の出力抑制を実施する出力抑制情報を取得し、処理をステップS102に進める。
(ステップS102)電力管理部55は、天気予報データ、実績データ、太陽光発電出力抑制情報から、時々刻々と変化する再生可能エネルギー発電所10での太陽光発電出力を予測して、ステップS103に処理を進める。
(ステップS103)電力管理部55は、ステップS101で求められた太陽光発電出力と、電力需要予測とから、余剰電力の発生をと予測して、ステップS104に処理を進める。この予測は、例えば、予測対象の前日において、予測対象日(1日)の所定時刻毎(例えば30分毎)の電力需要予測と、余剰電力とを求める。余剰電力は、例えば、発電電力のうち、電力需要予測(例えば商用電力に逆潮流させたり施設21に供給する計画値)を超える分が余剰電力として算出することができる。
(ステップS104)電力管理部55は、余剰電力が発生するか否かを判定する。太陽光発電出力が電力需要予測より大きければ、余剰電力が発生すると判定できる。電力管理部55は、余剰電力が発生すると判定した場合には(ステップS104:Yes)、処理をステップS105に進め、余剰電力が発生しないと判定した場合には(ステップS104:No)、処理をステップS111に進める。
【0035】
(ステップS105)電力管理部55は、プラント管理部15からの情報により、水素移送中か否かを判定する。電力管理部55は、水素移送中であると判定された場合には(ステップS105:Yes)、処理をステップS106に進め、水素移送中ではないと判定した場合には(ステップS105:No)、処理をステップS107に進める。
【0036】
(ステップS106)電力管理部55は、水素の水素輸送車両31への移送を停止して、処理をステップS107に進める。
【0037】
(ステップS107)電力管理部55は、水素製造及び水素貯蔵の最適化する計画を立案して、処理をステップS108に進める。
(ステップS108)電力管理部55は、ステップS107で立案された計画に基づいて、水素製造スケジュールを設定して、処理をステップS109に進める。
(ステップS109)電力管理部55は、ネットワーク70、プラント管理部15を介して水素貯蔵設備13に指示を送り、水素貯蔵設備13は、電力管理部55からの指示により、製造された水素の貯蔵を準備する。
【0038】
(ステップS110)水素製造設備12は、電力管理部55からの指示により、余剰電力から水素の製造を開始する。製造された水素は、水素貯蔵設備13に貯蔵される。
ステップS101からステップS110の処理により、余剰電力が発生すると、水素製造設備12で水素が製造され、製造された水素が水素貯蔵設備13に貯蔵されていく。ここでは、余剰電力が発生している状況においては、水素輸送車両31への移送を停止し、水素の製造や貯蔵を優先して実行する。
【0039】
(ステップS111)電力管理部55は、プラント管理部15からの情報により、水素製造中か否かを判定する。電力管理部55は、水素製造中であると判定された場合には(ステップS111:Yes)、処理をステップS112に進め、水素製造中ではないと判定した場合には(ステップS111:No)、処理をステップS113に進める。
(ステップS112)電力管理部55は、水素製造を停止して、処理をステップS113に進める。
(ステップS113)電力管理部55は、水素貯蔵量が計画された設定値に達したか否かを判定する。電力管理部55は、貯蔵量が設定値に達していなければ(ステップS113:No)、処理をステップS114に進め、貯蔵量が設定値に達していれば(ステップS113:Yes)、処理をステップS115に進める。
【0040】
(ステップS114)電力管理部55は、水素移送を停止して、処理をステップS101に戻す。
(ステップS115)電力管理部55は、水素移送を最適化する計画を立案し、水素輸送センター30の配車管理部35及び街区20のBEMS制御部25と情報を共有する。
(ステップS116)電力管理部55は、水素移送スケジュールを設定して、処理をステップS117に進める。
(ステップS117)電力管理部55は、水素移送準備を行い、水素の輸送プロセス(第2段階)に進む。
ここでは、余剰電力が発生していない状況である場合(例えば、日中ではあるが曇りや雨の場合や、夜間である場合)には、水素の製造を停止することで、発電電力を水素製造ではなく、電力系統へ優先して供給することができる。また、夜間である場合には、需要電力も低くなる傾向にあるため、需要電力が低い時間帯において水素移送準備を進め、水素移送することで、需要電力が大きくなる時間帯に水素輸送車両31が街区20(建物21)に到着するようなスケジュールを立案することが可能となる。
【0041】
図4は、水素の輸送プロセス(第2段階)を示すフローチャートである。
(ステップS201)配車管理部35は、水素輸送車両31の配車計画を行い、処理をステップS202に進める。
(ステップS202)配車管理部35は、水素輸送車両31の水素積載量が設定値未満か否かを判定する。水素輸送車両31の水素積載量が設定値未満なら(ステップS202:Yes)、配車管理部35は、処理をステップS203に進める。水素輸送車両31の水素積載量が設定値未満でなければ(ステップS202:No)、配車管理部35は、処理をステップS204に進める。
(ステップS203)配車管理部35は、水素輸送車両31を街区20に配車し、街区20内の処理を行い、建物内での利用プロセス(第3段階)に入る。
(ステップS204)配車管理部35は、水素輸送車両31を再生可能エネルギー発電所10に配車して、処理をステップS205に進める。
(ステップS205)水素輸送車両31は、再生可能エネルギー発電所10に配車されると、水素を充填して、第1段階の水素の製造、貯蔵処理のプロセスに戻る。
【0042】
図5は、建物での利用プロセス(第3段階)を示すフローチャートである。
(ステップS301)BEMS制御部25は、建物21内の電力及び熱需要(暖房、冷房、温水製造等)を予測し、処理をステップS302に進める。
(ステップS302)BEMS制御部25は、水素輸送車両31が連結されているか否かを判定し、水素輸送車両31が連結されていなければ(ステップS302:No)、処理をステップS301に戻し、水素輸送車両31が連結されていれば(ステップS302:Yes)、処理をステップS303に進める。
(ステップS303)BEMS制御部25は、水素輸送車両31の水素積載量が十分か否かを判定する。BEMS制御部25は、水素輸送車両31の水素積載量が十分でなければ(ステップS303:No)、処理をステップS304に進め、水素輸送車両31の水素積載量が十分なら(ステップS303:Yes)、処理をステップS305に進める。
【0043】
(ステップS304)BEMS制御部25は、燃料電池32を停止させて、処理をステップS301に戻す。
(ステップS305)BEMS制御部25は、水素放出、利用の最適化の計画を立案し、処理をステップS306に進める。
(ステップS306)BEMS制御部25は、水素利用スケジュールを設定し 処理をステップS307に進める。
(ステップS307)BEMS制御部25は、水素輸送車両31の燃料電池32を起動させて、処理をステップS301に戻す。
【0044】
ステップS301からステップS307の処理により、建物21の電力需給状態に応じて、水素輸送車両31の燃料電池32が起動され、水素輸送車両31からの電源が建物21に供給される。
【0045】
なお、上述の説明では、水素輸送車両31は高圧水素輸送を行う車両としているが、水素輸送の方法は水素吸蔵合金タンクを搭載した車両、或いは液体水素輸送用ローリーであっても差し支えない。
本実施形態では、オフサイト立地のメガソーラー等の再生可能エネルギー発電所10にて、余剰電力を利用して効率よくCOフリー水素を製造し、複数の建物21の電力需要予測に基づいて、ZEB化に必要な創エネ相当量を賄うCOフリー水素を最も効率的に当該建物に輸送する。さらには建物に附帯すべき燃料電池や水素貯蔵装置等の水素利用システムを不要にして、建物コストの低減効果を有する。これにより、余剰電力を予測しておき、この予測された余剰電力に基づいて、各街区20に対する水素輸送車両31の配車及び電力を提供する計画を立案することで、余剰する電力を必要なエリアにおいて有効に活用することができ、余剰電力を効率的に活用することが可能となる。
また、水素輸送車両31において水素を利用して発電して電力を供給するようにしたので、街区20に高圧ガスを減圧するための設備を設ける必要がないので、設備コストや各種検査にかかるコストを抑えることができる。
【0046】
なお、電力管理システム1の全部または一部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各部の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0047】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0048】
10:再生可能エネルギー発電所,11:発電設備,12:水素製造設備,13:水素貯蔵設備,15:プラント管理部,20:街区,21:建物,23:商用電源,25:BEMS制御部,30:水素輸送センター,31:水素輸送車両,32:燃料電池,33:高圧水素貯蔵タンク,35:配車管理部,40:情報提供センター,45:情報提供サーバ,50:電力供給管理センター,55:電力管理部,70:ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5