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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-49709(P2018-49709A)
(43)【公開日】2018年3月29日
(54)【発明の名称】透明電極の作製方法
(51)【国際特許分類】
   H01B 13/00 20060101AFI20180302BHJP
   B32B 7/02 20060101ALI20180302BHJP
   H01B 5/14 20060101ALN20180302BHJP
【FI】
   H01B13/00 503B
   H01B13/00 503D
   B32B7/02 104
   H01B5/14 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-183426(P2016-183426)
(22)【出願日】2016年9月20日
(71)【出願人】
【識別番号】504150450
【氏名又は名称】国立大学法人神戸大学
【住所又は居所】兵庫県神戸市灘区六甲台町1−1
(74)【代理人】
【識別番号】110000822
【氏名又は名称】特許業務法人グローバル知財
(72)【発明者】
【氏名】青木 画奈
【住所又は居所】兵庫県神戸市灘区六甲台町1−1 国立大学法人神戸大学内
(72)【発明者】
【氏名】米山 貴之
【住所又は居所】兵庫県神戸市灘区六甲台町1−1 国立大学法人神戸大学内
(72)【発明者】
【氏名】藤井 稔
【住所又は居所】兵庫県神戸市灘区六甲台町1−1 国立大学法人神戸大学内
【テーマコード(参考)】
4F100
5G307
5G323
【Fターム(参考)】
4F100AA19
4F100AA20
4F100AA37B
4F100AB01B
4F100AG00
4F100AK01B
4F100AK12
4F100AK25
4F100AK41
4F100AR00A
4F100AR00C
4F100BA02
4F100BA03
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10C
4F100DC11B
4F100EH46
4F100JG01
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4F100JG03B
4F100JG04
4F100JG04A
4F100JM02B
4F100JN01
4F100JN01A
4F100JN01C
5G307FA01
5G307FA02
5G307FB02
5G307FB03
5G307FB04
5G307FC10
5G323BA01
5G323BA05
5G323BB04
5G323BB05
5G323BB06
5G323CA05
(57)【要約】
【課題】簡便なプロセスにより、導電性薄膜に設ける孔の径と間隔を正確に制御し、レアメタルを用いることなく、透明度と抵抗率に優れた透明電極を作製できる作製方法を提供する。
【解決手段】絶縁性基材の表面に2次元配列された孔を有する導電性薄膜が形成された透明電極の作製方法である。粒子径が100nm〜1mmの帯電微粒子の分散液を基材表面にコートする。電荷による斥力により帯電微粒子同士を自己組織的に配列させる際に、帯電微粒子の粒子間隔を制御する。配列した帯電微粒子を基材に固着させ、基材表面に導電性薄膜を形成する。その後、基材表面から帯電微粒子を除去する。帯電微粒子の粒子径と粒子間隔をパラメータとして、可視光域全域の透過率および面抵抗率を制御する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明乃至半透明の絶縁性基材の表面に2次元配列された孔を有する導電性薄膜が形成された透明電極の作製方法であって、
下記1)〜5)のステップを備え、帯電微粒子の粒子径と粒子間隔をパラメータとして、可視光域全域の透過率および面抵抗率を制御することを特徴とする透明電極の作製方法:
1)粒子径が100nm〜1mmの前記帯電微粒子の分散液を前記基材表面にコートするステップ、
2)電荷による斥力により前記帯電微粒子同士を自己組織的に配列させる際に、前記帯電微粒子の粒子間隔を制御するステップ、
3)配列した前記帯電微粒子を前記基材に固着させるステップ、
4)前記基材表面に前記導電性薄膜を形成するステップ、
5)前記基材表面から前記帯電微粒子を除去するステップ。
【請求項2】
前記可視光域全域の透過率は、60%以上であることを特徴とする請求項1に記載の透明電極の作製方法。
【請求項3】
前記面抵抗率は、10(Ω/sq.)以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の透明電極の作製方法。
【請求項4】
前記導電性薄膜の膜厚は、100nm以下であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の透明電極の作製方法。
【請求項5】
前記帯電微粒子の90%以上の粒子径が、可視光波長よりも大きいことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の透明電極の作製方法。
【請求項6】
前記帯電微粒子の粒子間隔を制御するステップでは、
前記分散液中の塩濃度を制御して、前記帯電微粒子の粒子間隔を制御することを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の透明電極の作製方法。
【請求項7】
前記帯電微粒子の粒子間隔を制御するステップでは、
前記分散液中のpHを制御して、前記帯電微粒子の粒子間隔を制御することを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の透明電極の作製方法。
【請求項8】
前記帯電微粒子を前記基材に固着させるステップでは、
紫外線照射して前記帯電微粒子を前記基材表面に固定させてから、前記基材表面を乾燥させることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の透明電極の作製方法。
【請求項9】
前記帯電微粒子は、シリカ(酸化ケイ素)、アルミナ(酸化アルミニウム)、ガラス、ポリスチレン(PS)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、アクリル、デキストラン、ポリ乳酸、アガロース、アルブミン、デキストラン、又はポリエチレンイミンから選択される微粒子に、正又は負の電荷を有する官能基が表面修飾されたものであることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の透明電極の作製方法。
【請求項10】
前記導電性薄膜は、金属、導電性炭素材料、又は不透明の導電性ポリマーであることを特徴とする請求項1〜9の何れかに記載の透明電極の作製方法。
【請求項11】
前記基材表面から前記帯電微粒子を除去した後、
前記導電性薄膜の上に透明な保護層を形成するステップを更に備えたことを特徴とする請求項1〜10の何れかに記載の透明電極の作製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池、発光素子、静電容量式タッチセンサなどに用いる透明電極の作製方法に関し、特に、酸化インジウムスズ(ITO)の金属酸化物からなる透明電極と異なり、レアメタルを用いない透明電極の作製技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンなどの情報端末機器においては、ディスプレイにタッチして入力するためのタッチセンサが多用されており、その代表的なものとしては静電容量式タッチセンサである。この静電容量式タッチセンサには、透明電極が使用されている。また、太陽電池や有機ELの発光素子にも透明電極が必要である。
静電容量式タッチセンサの透明電極や太陽電池などの透明電極には、面抵抗率が低く、透過率が高いITOが非常に高い割合で用いられている。しかし、インジウムがレアメタルであるため、今後もITOを使い続けることは危惧されているのが実情である。
【0003】
そこで、材料資源が豊富な酸化亜鉛(ZnO)の透明電極が、透明性や表面平坦性で優れた特性を有しているなどの理由から、レアメタルを使用するITOの透明電極の代替材料として注目されている。しかし、ZnOの透明電極では、面抵抗率がITOの透明電極と比べて顕著に大きいといった問題がある。
この他、銀、銅、白金、金、ニッケル等からなる金属ナノワイヤやカーボンナノチューブなどをバインダー中に分散し連結されて2次元ネットワークを形成した導電膜を作製する方法(例えば、特許文献1)、金属ナノワイヤなどをバインダー中に分散させてインキ化した後、スクリーン印刷やオフセット印刷などの汎用印刷や塗装により透明電極を作製する方法(例えば、特許文献2)、レーザ照射により導電膜のパターンを形成して透明電極を作製する方法(例えば、特許文献3)が知られているが、いずれも特殊な装置または高額な装置を必要とすることから製造コストの面で問題がある。
【0004】
一方で、ポリスチレンのナノ粒子を自己組織的に2次元配列した構造をドライエッチングし、2次元配列構造の粒子間に隙間を作った後に、銅を蒸着して、透明電極パターンを作製する方法が提案されている(非特許文献1を参照)。非特許文献1における開示技術は、透明電極の作製方法において、微小球を使ったリソグラフィーによって銅のナノメッシュ電極を作製するものである。
非特許文献1の透明電極の作製方法は、溶剤蒸発アニール法によって、微小球を基板上に2次元最密充填配列させ、その後、RIE(Reactive Ion Etching)装置で、酸素を用いたドライエッチング(以下、RIEドライエッチング)により、ポリスチレンの微小球の径をエッチングにより減少させて、更に小径の微小球に変化させた後、銅を10−8トールの真空状態で、小径の微小球の周囲に膜付けを行い、最後に、微小球を除去し(リフトオフ)、微小球上の銅膜を取り除くことを行っている。
【0005】
しかしながら、非特許文献1の透明電極の作製方法では、反応室内でエッチングガスに対して電磁波などを与えてプラズマ化し、同時に高周波電圧を陰極に印加するといったRIEドライエッチングを使用するため、プロセス制御そのものが非常に困難であるといった問題がある。また、ポリスチレンの微小球の径を正確に制御することも難しいといった問題がある。さらに、微小球の間の距離を正確に制御することが難しいという問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開パンフレット2009/107694
【特許文献2】国際公開パンフレット2010/082429
【特許文献3】特開2015−153608号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Tongchuan Gao et al., Uniform and Ordered Copper Nanomeshes by Microsphere Lithography for Transparent Electrodes, NANO Letters, 2014, vol. 14, p.2105-2110.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、レアメタルを使用するITOの透明電極の代替材料が要望されている。また、従来の作製法では、特殊な装置または高額な装置を必要とすることから製造コストの面で問題がある。非特許文献1の作製方法のように、微小球を使ったリソグラフィーによって銅のナノメッシュ電極を作製する方法が知られているが、RIEドライエッチングを使用するため、プロセス制御そのものが困難で、微小球の径や間隔の制御が難しいといった問題がある。すなわち、ナノメッシュ電極において、光を通すための孔の径は、その透明性に関して非常に重要な要素であるが、RIEドライエッチングでは、微小球として用いるポリスチレン(PS)の形状がエッチングによって変化するため、孔の径を正確に制御することが困難である。
【0009】
また、非特許文献1の作製方法では、微小球と微小球との間に隙間を開けるために、反応性イオンエッチング(RIE)を用いる必要があるが、反応性イオンエッチングは加工対象に高速でイオンを衝突させる方法であるため基板も損傷を受けてしまう。そのため、プラスチック等の柔らかい材料を基板とすることが困難であり、事前にSiO膜を設けるなどの耐RIE用としての基板の前処理が必要となる。
【0010】
かかる状況に鑑みて、本発明は、簡便なプロセスにより、導電性薄膜に設ける孔の径と間隔を正確に制御し、レアメタルを用いることなく、透明度と抵抗率に優れた透明電極を作製できる作製方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決すべく、本発明の透明電極の作製方法は、透明乃至半透明の絶縁性基材の表面に2次元配列された孔を有する導電性薄膜が形成された透明電極の作製方法であって、下記1)〜5)のステップを備え、帯電微粒子の粒子径と粒子間隔をパラメータとして、可視光域全域の透過率および面抵抗率を制御する。
1)粒子径が100nm〜1mmの帯電微粒子の分散液を基材表面にコートするステップ
2)電荷による斥力により帯電微粒子同士を自己組織的に配列させる際に、帯電微粒子の粒子間隔を制御するステップ
3)配列した帯電微粒子を基材に固着させるステップ
4)基材表面に導電性薄膜を形成するステップ
5)基材表面から帯電微粒子を除去するステップ
【0012】
基板上に帯電微粒子を分散した分散液を接触させると、帯電微粒子同士が反発し合う結果、ほぼ等間隔に微粒子が並んで基板上に自己組織的に配列する。
上記の作製方法では、帯電微粒子の自己組織的配列構造を用いて、帯電微粒子を等間隔で配列させた後、導電性薄膜を形成し、その後に帯電微粒子を除去する。帯電微粒子の粒子径と粒子間隔をパラメータとして制御することで、導電性薄膜に設ける孔の径と、孔と孔の間に形成される導電性薄膜の面積を正確に制御することができる。この孔の径と間隔を正確に制御できることによって、導電性薄膜を透過する光の量を正確に制御でき、ITO膜に代わる透明電極として使用できるようになる。
【0013】
また、透明電極として使用する場合には、孔と導電性薄膜との占める割合が重要であり、電極の抵抗値に大きな影響を与えるが、上記の作製方法によれば、帯電微粒子の粒子径と粒子間隔をパラメータとして制御することで、孔の径と間隔を制御して、孔と孔の間に生成される導電性薄膜の面積を制御でき、孔と導電性薄膜との面積比率を制御することが可能になる。これにより、用途に応じて透明電極の抵抗値を制御することができ、ITO膜に比較して低い抵抗値の電極も生成可能である。
本発明の作製方法によれば、RIEドライエッチングのように、帯電微粒子をエッチングすることは無いため、帯電微粒子の径に変化はなく、孔の径を正確に制御することができるのである。
【0014】
例えば、導電性薄膜として銅薄膜を用いた場合、銅そのものの赤茶色が表面に現れることなく、“透明”な電極としての機能を実現できるようになる。また、銅を使用できることから、ITO膜よりも電極の抵抗値を減らすことができる。孔と孔の間に生成される銅薄膜の幅を、例えば、100〜200nm程度に細くして、孔の径を1,000nmにすることで、バルクの銅と同程度の抵抗値を保ちつつ、銅の色味を抑えて、透明性の高い透明電極を提供できる。
【0015】
本発明の作製方法では、粒子径が100nm〜1mmの帯電微粒子を用い、その粒子径で導電性薄膜に形成する孔の径を制御するのであるが、それぞれの孔の径は、同一の大きさに揃えてもよいが、必ずしも同一の大きさである必要はない。同一の径に揃えた場合は、自己組織的な配列構造は、球を最密充填させた規則的な構造になり、光学フィルムに用いる場合は、偏光フィルム等の他の規則配列構造と重ね合わせるとモアレが発生し視認性を下げる可能性がある。そのため、帯電微粒子の粒子径を同一に揃えず、バラバラにし、それぞれの孔の径を同一の大きさに揃えず、モアレの発生を低減させることもできる。なお、帯電微粒子の粒子径を同一に揃えた場合であっても、微粒子同士が接近して密に並んでいるが、長周期の規則性を持つ構造にはならないので、モアレの発生を低減させるのに有効に働くことになる。
【0016】
アルミニウム、金、銀、銅、ゲルマニウム等の金属薄膜に形成した孔の径や周期を、可視光の波長と同程度の大きさに制御することにより、白色光から特定波長の光を吸収させることができるようになる。これにより、透明電極に色をつけることが可能になる。色をつけず透明電極としての利用に耐える透明度を備えた導電性基板を作製する一方で、意匠性のためにあえて色をつけることができる。
例えば、金属薄膜に可視光の波長と同程度の径を有する孔を2次元最密構造状に配列すると、金属薄膜で発生するプラズモン共鳴と周期構造内で発生する定在波の波長が一致する波長で強い共鳴が起こり、共鳴波長に一致する光は孔から選択的に透過するので、透過光が着色する。また反射光は透過光の補色に着色して見える。プラズモン共鳴波長は、孔すなわち微粒子の大きさや、周期長に依存して変化するため、発色を細かく制御することが可能である。
【0017】
本発明の作製方法では、基板上に帯電微粒子の分散液を展開し、電荷による斥力により、基板表面に帯電微粒子同士を自己組織的に配列させることによって金属メッシュパターンの鋳型構造を作製する。その後、金属蒸着装置などを用いて銅などの金属薄膜を形成する。
このように、本発明の作製方法では、金属メッシュパターンの鋳型構造を、基板上に微粒子の分散液を展開するだけで作製でき、大型装置としては古典的な金属蒸着装置のみしか使わないので、生産性とコスト面で優れている。
【0018】
絶縁性基材としては、従来から用いられている透明電極の材質を用いることができる。すなわち、絶縁性基材は、熱可塑性樹脂、熱や紫外線や電子線や放射線などで硬化する硬化性樹脂、ガラス、セラミックス、又は、無機材などの材質からなる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、トリアセチルセルロース(Triacetylcellulose;TAC)フィルム、ポリビニルアルコール(Polyvinyl alcohol;PVA)フィルム、ポリイミド(Polyimide;PI)フィルム、ポリスチレン(Polystyrene;PS)などであり、これらの樹脂の共重合体樹脂、これらの樹脂の混合樹脂でも構わない。また、硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂などである。なお、絶縁性基材の表面にはプラズマ処理を施し、絶縁性基材の表面を活性化させて、絶縁性基材の表面に形成する導電性薄膜との間の密着力を向上させてもよい。あるいは、水中で任意の電荷にイオン化する官能基を有する分子で表面を修飾しても良い。
また、絶縁性基材は、透明であることが好ましいが、完全な透明である必要はなく、ほぼ透明であればよい。
【0019】
また、帯電微粒子の粒子径としては、100nm〜1mmの範囲を使用できる。光の干渉などの影響をさけるべく、好ましくは、帯電微粒子の90%以上の粒子径は、可視光域波長より大きい範囲を使用する。より好ましくは、800nm〜100μmの範囲の粒子径の帯電微粒子を使用する。
【0020】
導電性薄膜としては、例えば、銅、白金、金、銀、ニッケル、パラジウム、又はこれらの金属を主成分とする金属薄膜である。製膜方法としては、真空蒸着法、DCマグネトロンスパッタ法、RFスパッタ法、パルススパッタ法などの種々のスパッタリング法、イオンプレーティング法、鍍金法などが用いられる。
【0021】
本発明の透明電極の作製方法において、可視光域全域の透過率は60%以上であることが好ましい。可視光の特定波長帯のみが透過率が高いのではなく、可視光全ての透過率が一定レベルの高さであることが透明電極として望ましい。
【0022】
本発明の透明電極の作製方法において、面抵抗率は10(Ω/sq.)以下である。面抵抗率が低く、透過率が高いことが透明電極として要求される。
【0023】
本発明の透明電極の作製方法において、導電性薄膜の膜厚は100nm以下であることが好ましい。帯電微粒子を基材表面から除去するプロセスがあるので、微粒子上に蒸着される金属膜と、基材に蒸着された金属膜が繋がってしまうような膜厚であってはならず、膜厚は粒子径の1/2以下になる必要がある。
【0024】
本発明の透明電極の作製方法における帯電微粒子の粒子間隔を制御するステップでは、分散液中の塩濃度を制御して、帯電微粒子の粒子間隔を制御することが好ましい。本発明では、帯電微粒子の粒子径と粒子間隔をパラメータとして、可視光全域の透過率および面抵抗率を制御するため、帯電微粒子の粒子間隔は重要な制御パラメータである。帯電微粒子の粒子間隔を制御することにより、導電性薄膜の占有率を制御し、面抵抗率と透過率を調整する。粒子間隔を制御するやり方の一つとして、分散液中の塩濃度を制御する。
【0025】
本発明の透明電極の作製方法における帯電微粒子の粒子間隔を制御するステップでは、分散液中のpHを制御して、帯電微粒子の粒子間隔を制御することでもよい。
【0026】
本発明の透明電極の作製方法における帯電微粒子を基材に固着させるステップでは、紫外線照射して帯電微粒子を基材表面に固定させてから、基材表面を乾燥させて帯電微粒子を表面に付着させることが好ましい。あるいは、高圧高温下で微粒子表面を僅かに溶解し、基板に密着させる方法でもよい。
【0027】
本発明の透明電極の作製方法において、帯電微粒子は、シリカ(酸化ケイ素)、アルミナ(酸化アルミニウム)、ガラス、ポリスチレン(PS)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、アクリル、デキストラン、ポリ乳酸、アガロース、アルブミン、デキストラン、又はポリエチレンイミンから選択される微粒子に、正又は負の電荷を有する官能基が表面修飾されたものであることが好ましい。
【0028】
本発明の透明電極の作製方法において、導電性薄膜は、金属、導電性炭素材料、又は不透明の導電性ポリマーであることが好ましい。
ここで、導電性炭素材料とは、カーボンナノチューブ(CNT)、グラフェン、フラーレン、黒鉛およびこれらの混合物を意味する。
【0029】
本発明の透明電極の作製方法は、基材表面から帯電微粒子を除去した後、導電性薄膜の上に透明な保護層を形成するステップを更に備えたことが好ましい。
保護層は、例えば、シリカ(酸化ケイ素)層が好適に用いられる。
【発明の効果】
【0030】
本発明の透明電極の作製方法によれば、簡便なプロセスにより、導電性薄膜に設ける孔の径と間隔を正確に制御し、レアメタルを用いることなく、透明度と抵抗率に優れた透明電極を作製できるといった効果がある。
また、本発明の透明電極の作製方法によれば、基板上に微粒子の分散液を展開することにより、金属メッシュパターンの鋳型構造を作製し、従来から多用されている金属蒸着装置で金属薄膜を作製するプロセスであるため、生産性とコスト面に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】実施例1の帯電微粒子の説明図
図2】実施例1の銅メッシュフィルムの作製フロー
図3】実施例1の銅メッシュフィルムの作製イメージ
図4】各種粒径の微粒子が用いられた銅メッシュフィルムのSEM像
図5】粒径500nmの微粒子が用いられたアルミニウムメッシュフィルムのSEM像
図6】粒径3500nmの微粒子が用いられた銅メッシュフィルムのSEM像
図7】2次元最密充填構造の単位格子説明図
図8】2次元最密充填構造の空孔をもつ銅メッシュの数値計算による可視光透過率(径500nm)
図9】2次元最密充填構造の空孔をもつ銅メッシュの数値計算による可視光透過率(径700nm)
図10】2次元最密充填構造の空孔をもつ銅メッシュの数値計算による可視光透過率(径900nm)
図11】2次元最密充填構造の空孔をもつ銅メッシュの数値計算による可視光透過率(径1000nm)
図12】2次元最密充填構造の空孔をもつ銅メッシュの数値計算による可視光透過率(径2200nm)
図13】2次元最密充填構造の空孔をもつ銅メッシュの数値計算による可視光透過率(径2600nm)
図14】2次元最密充填構造の空孔をもつ銅メッシュの数値計算による可視光透過率(径3500nm)
図15】2次元最密充填構造の空孔をもつ銅メッシュの数値計算による可視光透過率(径5μm)
図16】2次元最密充填構造の空孔をもつ銅メッシュの数値計算による可視光透過率(径1000μm)
図17】各種透明電極における実測した透過率及び面抵抗率に関する比較グラフ
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態の一例を、図面を参照しながら詳細に説明していく。なお、本発明の範囲は、以下の実施例や図示例に限定されるものではなく、幾多の変更及び変形が可能である。
【実施例1】
【0033】
実施例では、帯電微粒子として、アミジン修飾ポリスチレン微粒子を用いる。また、導電性薄膜は銅薄膜、絶縁性基板にガラス基板を用いる。
アミジン修飾基は、図1に示すように、水中では正に帯電する。水中で正に帯電する官能基で修飾された微粒子は、水中で同符号の電荷を持つため互いに反発し合い、すべての微粒子が等距離に離れた安定状態は三角格子構造になる。ここで、負に帯電したガラス基板と接触させれば、微粒子と基板は異符号に帯電しているため、互いに引き合い、結果的に微粒子が周期配列した構造が基板上に自ずと得られることになる。これをマスクとして金属薄膜を形成すれば、微粒子をリフトオフすることにより、ナノスケール乃至マイクロスケールの貫通孔が配列した金属薄膜を得ることができる。
【0034】
図2図3では、銅メッシュフィルムの作製フローと作製イメージをそれぞれ示している。
図3の矢印(A)に示すように、まず、帯電微粒子の分散液をガラス基板表面に滴下することでコートする(図2のステップS01)。アミジン修飾ポリスチレン微粒子の分散液においては、帯電微粒子同士の間に、正の電荷による斥力が働いているため、この斥力の大きさを制御することによって、帯電微粒子同士を自己組織的に配列させる際に、帯電微粒子の粒子間隔を制御する(図2のステップS02)。
図3の矢印(B)に示すように、帯電微粒子の分散液をガラス基板表面に滴下した状態で一定時間静置すると、クーロン力で帯電微粒子が基板に付着する。その後、図3の矢印(C)に示すように、紫外線を照射して配列した帯電微粒子をガラス基板に固着させる(図2のステップS03)。これにより微粒子の三角格子配列が形成される。
その後、図3の矢印(D)に示すように、銅を蒸着させて、ガラス基板表面に導電性薄膜を形成する(図2のステップS04)。最後に、図3の矢印(E)に示すように、基板表面から微粒子のリフトオフを行う(図2のステップS05)。これらの一連の処理によって、径dの孔で、孔と孔との間隔Lの膜厚tの銅メッシュフィルムを作製できる。
【0035】
これらの処理について、以下、具体的に説明する。予め、直径400〜3500nmの粒径の揃ったアミジン修飾ポリスチレン微粒子を準備した。アミジン修飾ポリスチレン微粒子は、市販のものを利用した(IDC Latex Particles-Amidine, Life Technologies)。基板として用いたカバーガラスは微粒子の付着率を向上させるため、RCA1洗浄を施して、表面を負に帯電させた。カバーガラス上にアミジン修飾微粒子を自己組織的に配列させて付着させる方法としては、純水を入れたシャーレにカバーガラスを静置し、体積比率でアミジン修飾ポリスチレン微粒子と純水を1:500となるように、アミジン修飾ポリスチレン微粒子の懸濁液を加え、20時間静置した。
【0036】
アミジン修飾ポリスチレン微粒子は、20時間静置の間に自発的に一定間間隔を保ちつつカバーガラス表面に付着する。このままカバーガラスを洗浄・乾燥すると、溶媒が乾燥する過程で、溶媒と空気の界面の移動に引きずられて微粒子の配列が乱されることから、カバーガラス表面が水で覆われた状態を維持しつつ余剰微粒子を洗浄除去したのち、カバーガラスをオートクレーブに移し、微粒子の原料であるポリスチレンが融解し始める温度(100℃)で1時間加熱した。微粒子は、形状変化が認められない程度に表面が融解し、オートクレーブの内圧が高くなっているため、基板に押しつけられ、カバーガラス表面に強固に固定された。その後は、試料表面を乾燥させても、微粒子の位置は変動しなかった。
【0037】
同一径の微粒子を基板表面に自己組織的に配列させた場合、2次元の最密充填構造を形成すると見做せる。微粒子の配置パターンをマスクパターンとして銅薄膜を形成し、微粒子をリフトオフすることで、空孔が配列した銅薄膜を得ることができる。空孔の径が微粒子の径と同一と見做し、空孔の周期配列が微粒子の周期配列と同一と見做すと、図7に示すように、銅薄膜に設けられた孔は、2次元最密充填構造に配列されていると見做せる。この場合、隣り合う孔の短い方の周期をpとすると、長い方の周期は√3pとなる。孔径と周期が決定すると、透過率と面抵抗率を幾何学的計算によって算出することができる。
【0038】
図8〜16は、2次元最密充填構造の空孔をもつ銅メッシュフィルムの可視光全域の透過率について、図毎に孔径及び周期を変化させて厳密結合波理論(Rigorous Coupled Wave Analysis;RCWA)を用いた数値計算により算出したグラフである。いずれも縦軸は透過率を示し、横軸は光の波長を示している。
【0039】
図8は、孔径が500nmの場合の可視光全域の透過率を示している。図8に示すように、周期500nmの場合の銅被覆率は9%、周期600nmの場合の銅被覆率は37%、周期700nmの場合の銅被覆率は54%、周期800nmの場合の銅被覆率は65%となっている。
周期が長くなるに連れて透過率が低下する。周期を調整することで透過率を制御することが可能である。
【0040】
図9は、孔径が700nmの場合の可視光全域の透過率を示している。図9に示すように、周期700nmの場合の銅被覆率は9%、周期800nmの場合の銅被覆率は31%、周期900nmの場合の銅被覆率は45%となっている。
周期が長くなるに連れて透過率が低下する。周期を調整することで透過率を制御することが可能である。
【0041】
図10は、孔径が900nmの場合の可視光全域の透過率を示している。図10に示すように、周期900nmの場合の銅被覆率は9%、周期1000nmの場合の銅被覆率は27%、周期1100nmの場合の銅被覆率は39%となっている。
周期が長くなるに連れて透過率が低下する。周期を調整することで透過率を制御することが可能である。
【0042】
図11は、孔径が1000nmの場合の可視光全域の透過率を示している。図11に示すように、周期1000nmの場合の銅被覆率は9%、周期1100nmの場合の銅被覆率は25%、周期1200nmの場合の銅被覆率は37%となっている。
周期が長くなるに連れて透過率が低下する。周期を調整することで透過率を制御することが可能である。
【0043】
図12は、孔径が2200nmの場合の可視光全域の透過率を示している。図12に示すように、周期2200nmの場合の銅被覆率は9%、周期2300nmの場合の銅被覆率は17%、周期2400nmの場合の銅被覆率は24%となっている。
周期が長くなるに連れて透過率が低下する。周期を調整することで透過率を制御することが可能である。
【0044】
図13は、孔径が2600nmの場合の可視光全域の透過率を示している。図13に示すように、周期2600nmの場合の銅被覆率は9%、周期2700nmの場合の銅被覆率は16%、周期2800nmの場合の銅被覆率は22%となっている。
周期が長くなるに連れて透過率が低下する。周期を調整することで透過率を制御することが可能である。
【0045】
図14は、孔径が3500nmの場合の可視光全域の透過率を示している。図14に示すように、周期3500nmの場合の銅被覆率は9%、周期3600nmの場合の銅被覆率は19%、周期3700nmの場合の銅被覆率は27%となっている。
周期が長くなるに連れて透過率が低下する。周期を調整することで透過率を制御することが可能である。
【0046】
図15は、孔径が5000nmの場合の可視光全域の透過率を示している。図15に示すように、周期5000nmの場合の銅被覆率は9%、周期5400nmの場合の銅被覆率は22%となっている。
周期が長くなるに連れて透過率が低下する。周期を調整することで透過率を制御することが可能である。
【0047】
図16は、孔径が1mmの場合の可視光全域の透過率を示している。図16に示すように、周期1mmの場合の銅被覆率は9%となっている。
周期1mm、周期1mm+100nm、周期1mm+200nm、周期1mm+300nm、周期1mm+400nmのいずれの透過率も差は殆どなく、高い透過率であった。
【実施例2】
【0048】
図4(1)〜(6)に、試料1、試料2、試料3、試料5、試料6及び試料7のアミジン修飾ポリスチレン微粒子を用いて作製した銅メッシュフィルムの走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope;SEM)写真を示す。図4(1)に示す試料1の粒子径は400nm、図4(2)に示す試料2の粒子径は500nm、図4(3)に示す試料3の粒子径は1000nm、図4(4)に示す試料5の粒子径は1000nm、図4(5)に示す試料6の粒子径は3500nm、図4(6)に示す試料7の粒子径は3500nmである。いずれも、銅を蒸着後に微粒子をリフトオフした銅メッシュフィルムである。
【0049】
図5は、粒径500nmの微粒子が用いられたアルミニウムメッシュフィルムのSEM像を示している。一方、図6は、試料9の粒径3500nmの微粒子が用いられた銅メッシュフィルムのSEM像を示している。
図5のSEM像において、微粒子の粒子径は500nm、周期は595nm、アルミニウム薄膜占有率は53.42%となっている。一般的に、アルミニウム薄膜は表面に酸化皮膜を形成するので、抵抗値は高くなることが予想される。
【0050】
下記表1は、試料1〜9及び比較例1〜3の場合における、粒子径(nm)、孔径(nm)、周期(nm)、銅薄膜占有率(%)、面抵抗率(Ω/sq)、透過率(%)を表したものである。比較例1はガラス、比較例2はITO膜、比較例3は銅薄膜である。
【0051】
【表1】
【0052】
上記表1に表されるように、比較例1はガラスであることから、透過率が91.54%と非常に高くなっている。また、比較例3は銅薄膜であるから、銅薄膜占有率は1であり、面抵抗率は1.01Ω/sqと非常に低くなっているが、その反面、透過率は14.48%と非常に低くなっている。また、比較例2はITO膜であり、透過率は79.82%と非常に高くなっているが、面抵抗率は9.37Ω/sqと比較的高くなっている。
【0053】
上記表1に表されるように、試料1は、粒子径は400nm、孔径は406nm、銅薄膜占有率は82.88%、面抵抗率は2.23Ω/sq、透過率は30.24%となっている。
試料2は、粒子径は500nm、孔径は486nm、周期は803nm、銅薄膜占有率は74.56%、面抵抗率は2.08Ω/sq、透過率は19.61%となっている。
【0054】
試料3は、粒子径は1000nm、孔径は1108nm、銅薄膜占有率は93.79%、面抵抗率は3.45Ω/sq、透過率は40.61%となっている。試料4は、粒子径は1000nm、孔径は1163nm、銅薄膜占有率は92.25%、面抵抗率は4.13Ω/sq、透過率は43.28%となっている。試料5は、粒子径は1000nm、面抵抗率は8.17Ω/sq、透過率は42.03%となっている。
試料3〜5の粒子径は、いずれも1000nmであり、しかも試料3と試料4の孔径や銅薄膜占有率についてもほぼ近似した数値となっているが、面抵抗率や透過率には上記のように差が発生している。また、試料3と試料5とでは、面抵抗率に大きな差が発生している。これは、周期に差が設けられたためと推察する。
【0055】
試料6は、粒子径は3500nm、面抵抗率は5.02Ω/sq、透過率は44.90%となっている。試料7は、粒子径は3500nm、孔径は2376nm、銅薄膜占有率は91.51%、面抵抗率は6.29Ω/sq、透過率は49.84%となっている。試料8は、粒子径は3500nm、孔径は3130nm、銅薄膜占有率は85.29%、面抵抗率は1.70Ω/sq、透過率は21.36%となっている。試料9は、粒子径は3500nm、孔径は3082nm、銅薄膜占有率は86.12%、面抵抗率は1.56Ω/sq、透過率は20.31%となっている。
試料6〜9の粒子径はいずれも3500nmであるが、面抵抗率や透過率には上記のように差が発生している。これは、周期に差が設けられたためである。
【0056】
図17は、各種透明電極における透過率及び面抵抗率に関する比較グラフを示している。図17のグラフは、上述の非特許文献1(Tongchuan Gao et al., Uniform and Ordered Copper Nanomeshes by Microsphere Lithography for Transparent Electrodes, NANO Letters, 2014, vol. 14, p.2105-2110.)の図1にグラフに、上記表1の試料1〜9及び比較例2,3を重ねたものである。図17のグラフ上の点線部分はITO膜の場合の分布であり、その上に星型印でマーキングしているのが比較例2のものである。また、図17の面抵抗率が1のところで黒塗り星型印でマーキングしているのが比較例3のものである。
【0057】
本発明の透明電極の作製方法によって作製された試料1〜9は、ITO膜よりも、現状、透過率の点では劣っているが、その反面、面抵抗率は低い。つまり、上記表1に示した試料1〜9では、何れも透過率が50%を下回っており、比較例2のITO膜の透過率(約80%)と比べて低くなっている。これは、銅薄膜被覆率が約75〜94%であることが影響している。図5のアルミニウムメッシュ構造のSEM像に示される配列のように、例えば、粒子径は500nm、周期は595nm、銅薄膜占有率は53.42%を実現することにより、透過率が向上することが期待できる。すなわち、本発明で作製した試料1〜9は、図8〜16に示した透過率60%以上が得られる場合の理想的な銅被覆率(25%以下)よりもかなり高い銅被覆率に留まっていることが、透過率が低い原因である。図5に示したような高密度の微粒子配列を鋳型として銅メッシュ構造を形成すれば、高透過率と低抵抗を同時に実現できるであろう。
すなわち、本発明の透明電極の作製方法を用いて、帯電微粒子の粒子径と粒子間隔を制御することにより、透過率の向上が期待でき、ITO膜に劣らない透過率を実現できるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、タッチパネル、ディスプレイ、太陽電池、照明等の透明導電基板又はフィルムに利用可能である。
【符号の説明】
【0059】
1 銅薄膜
2 ガラス基板
3 アミジン修飾ポリスチレン微粒子
4 分散液
d 孔の径
L 孔の間隔(周期)
t 膜厚
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17