特開2018-68978(P2018-68978A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-68978(P2018-68978A)
(43)【公開日】2018年5月10日
(54)【発明の名称】マッサージ器
(51)【国際特許分類】
   A61H 15/00 20060101AFI20180406BHJP
【FI】
   A61H15/00 320C
   A61H15/00 310D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-216717(P2016-216717)
(22)【出願日】2016年11月4日
(71)【出願人】
【識別番号】599098518
【氏名又は名称】株式会社ディーエイチシー
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100114591
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 英文
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【弁理士】
【氏名又は名称】徳本 浩一
(72)【発明者】
【氏名】太刀川 晃生
(72)【発明者】
【氏名】宮下 忠芳
(72)【発明者】
【氏名】山中 保
【テーマコード(参考)】
4C100
【Fターム(参考)】
4C100AE02
4C100AE03
4C100AE05
4C100AE11
4C100AF04
4C100BB01
4C100CA01
4C100DA02
4C100DA04
4C100DA08
4C100DA10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】熱伝導率が高い金属等の材料を用いて一対の回転ローラを形成して、一対の回転ローラの重量が重くなっても、使用者が重さを感じずに良好に操作することができるマッサージ器を提供する。
【解決手段】本発明のマッサージ器1は、熱伝導率が高いアルミニウム等の材料によって略球状にそれぞれ形成されている一対の回転ローラ10a、10bを、それぞれ回転可能に備えるとともに、グリップ21を更に備え、このグリップ21は、一対の回転ローラ10a、10bの各中心線Ya、Ybである2本の中心線の略同一平面上に配置されているとともに、一対の回転ローラ10a、10bに対してその反対側の端部に配置されており、マッサージ器全体の長さ方向におけるグリップ21の長さL1を1とすると、一対の回転ローラの先端からグリップの先端までのマッサージ器全体の長さL2は3以下である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱伝導率が70W/m・K以上の材料によって略球状にそれぞれ形成されている一対の回転ローラを、それぞれ回転可能に備えるマッサージ器であって、
前記マッサージ器がグリップを更に備え、このグリップが、前記一対の回転ローラの各中心線である2本の中心線の略同一平面上に配置されているとともに、前記一対の回転ローラに対してその反対側の端部に配置されており、
前記一対の回転ローラの先端から前記グリップの先端までのマッサージ器全体の長さにおいて、当該長さ方向における前記グリップの長さを1とすると、前記マッサージ器全体の長さが3以下であるマッサージ器。
【請求項2】
前記熱伝導率が70W/m・K以上の材料が、アルミニウム、金、銀、銅、白金、亜鉛、タングステンの金属およびこれらいずれかの合金、並びに炭化ケイ素系および窒化アルミニウム系の人工鉱物からなる群から選ばれる請求項1に記載のマッサージ器。
【請求項3】
前記回転ローラが、中実状で形成されている請求項1又は請求項2記載のマッサージ器。
【請求項4】
前記グリップが略球状である請求項1〜3のいずれか一項に記載のマッサージ器。
【請求項5】
前記一対の回転ローラが、互いに向かい合う外周面において、略平行となる部分を有する請求項1〜4のいずれか一項に記載のマッサージ器。
【請求項6】
前記一対の回転ローラの外周面間の間隔が8〜16mmである請求項1〜5のいずれか一項に記載のマッサージ器。
【請求項7】
前記一対の回転ローラの外周面が、酸化チタンによってコートされている請求項1〜6のいずれか一項に記載のマッサージ器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マッサージ器に関し、さらに詳しくは、一対の回転ローラを肌に押し当てて動かすことで美容効果を高めるマッサージ器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特開2013−176681号公報には、ハンドルの先端部に一対のボールを、相互間隔をおいてそれぞれ一軸線を中心に回転可能に支持した美容器が記載されている。この美容器は、往復動作中にボールの軸線が肌面に対して一定角度を維持できるように、ボールの軸線をハンドルの中心線に前傾させて構成することが記載されている。そして、この前傾の角度は、具体的には90〜110度が好ましいことが記載されている。
【0003】
また、上記特許公報とはボールの軸線の角度が逆方向のものとして、特開2012−161517号公報には、手で把持する本体と、この本体の上部に設けられた一対の支軸と、この各支軸に回転自在に支持された一対の球状部材とを備え、一対の支軸が、本体を上部が上になるように鉛直姿勢とした状態において、鉛直方向に対する各支軸の角度が鋭角となるように、斜め下方向に傾いて設けられているマッサージ用器具が記載されている。
【0004】
さらに、ボールの回転機構を開示するものとして、例えば、特許第5490968号公報には、端部近傍に2つのローラー体の回転軸を軸支する軸支部を備えると共に、長手方向の外周を把持可能に形成した略棒状の本体部と、この本体部の長手方向から所定の開き角度の異なる方向に突設されるローラー体の2つの回転軸と、各回転軸により回動自在な2つのローラー体とを備え、回転軸の軸方向と垂直な断面における中心位置と、回転軸の位置が少なくとも一部において偏心して配設される美容ローラーが記載されている。また、特開2016−140638号公報には、一対のマッサージ用回転体がそれぞれ独立して歳差運動可能なユニットとしてハンドル部の先端に取り付けてある美容器具が記載されている。
【0005】
ボールないし回転ローラの素材としては、上記の特開2013−176681号公報には、合成樹脂で形成し、その外表面に導電金属メッキを施すことが記載されており、上記の特開2012−161517号公報には、セラミックス、合成樹脂、金属、木材を用いることができることが記載されており、上記の特開2016−140638号公報には、高分子材料中にコンパウンドとしてトルマリンやセラミックあるいは金属シリコンなど、顔や腕などの皮膚面を活性化させる作用があるとされている自然の鉱物や鉱石などを含ませることも可能であると記載されている。さらに、特開2012−081168号公報には、ローラの外周面にローラと別部材を設け、この別部材として、美容作用があると考えられる金属や天然鉱物やセラミックスなどの成形体や、それらの粉末をポリプロピレン樹脂などの合成樹脂で所定形状に成形した部材を用いることが記載されており、また、ローラの表面にプラチナなどの金属めっきを施すことも記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013−176681号公報
【特許文献2】特開2012−161517号公報
【特許文献3】特許第5490968号公報
【特許文献4】特開2016−140638号公報
【特許文献5】特開2012−081168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の特許公報のいずれの文献も、特開2013−176681号公報に記載するように、マッサージ器の往復動作中に回転ローラの軸線が肌面に対して一定角度を維持するように設計されており、仮に、回転ローラの軸線が肌面に対して異なる角度となるようにマッサージ器を肌面に当てようとすると、ハンドルが邪魔になって不可能であったり、ハンドルを持ち替えてハンドルの握り方を大きく変える必要がある。そのため、マッサージ器と肌面との角度を変えることで、マッサージの強度を変更するといった使用方法が困難である。
【0008】
また、こうしたマッサージ器は、ハンドルを把持する向きや位置が実質的に制限されている。その一方で、このマッサージ器としては、一方向に動かした場合と、反対方向に動かした場合とで、例えば肌の摘み上げ効果と引き伸ばし効果といった異なるマッサージ効果が得られるものが知られている。しかし、こうしたマッサージ器を用いて体の同一箇所でいずれか一方のマッサージ効果のみを得ようとすると、進行方向を変えるたびにハンドルを持ち直してそれまでとは反対向きで把持するか、無理な体勢でマッサージ器を使用せざるを得ず、使用者にとっては不便である。
【0009】
さらに、回転ローラの素材は、上記の各特許文献に記載されているように、合成樹脂を主材料とすることが多い。こうした合成樹脂を主原料とするマッサージ器では、回転ローラを肌に対して押し当てることによる物理的なマッサージ効果しか得ることができない。また、一般にマッサージ器の重心が、長軸のハンドルにおける回転ローラ側であって、手元よりも極端に離れた位置に偏って配置される場合、手首が疲労しやすく、操作しにくい。そのため、一対の回転ローラをこのような比較的に比重の低い合成樹脂で形成した場合でも、マッサージ器の重心を把持位置に近づけて操作性を良くする等の理由により、ハンドルの反対側の端部に重りを入れてマッサージ器全体のバランスをとる必要があった。よって、仮に従来のマッサージ器において回転ローラを金属などの比重の大きな素材で設けるとすると、ハンドルの反対側の端部に、より重量のある重りを無駄に入れてバランスを図ることとなり、マッサージ器全体の重量が大幅に増して、重くて使いにくいものとなってしまう。
【0010】
本発明は、熱伝導率が高い金属等の材料を用いて一対の回転ローラを形成して、一対の回転ローラの重量が大幅に重くなっても、使用者が重さを感じずに良好に操作することができる操作性の高いマッサージ器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明に係るマッサージ器は、熱伝導率が70W/m・K以上の材料によって略球状にそれぞれ形成されている一対の回転ローラを、それぞれ回転可能に備えるマッサージ器であって、前記マッサージ器はグリップを更に備え、このグリップは、前記一対の回転ローラの各中心線である2本の中心線の略同一平面上に配置されているとともに、前記一対の回転ローラに対してその反対側の端部に配置されており、前記一対の回転ローラの先端から前記グリップの先端までのマッサージ器全体の長さにおいて、当該長さ方向における前記グリップの長さを1とすると、前記マッサージ器全体の長さを3以下とする。
【0012】
熱伝導率が70W/m・K以上の材料で回転ローラを設けることで、すばやく肌の熱を吸収、放熱して、肌の温度を冷やすことができるため、押圧のみによるマッサージ効果だけでなく、吸熱によるマッサージ効果を得ることもできる。また、このように熱伝導率が高い回転ローラとすることで、短時間で温めたり冷やしたりすることができるため、押圧による物理的なマッサージ効果だけでなく、温感マッサージや冷感マッサージを行ったり、これらによる肌の血行促進効果を得たりすることもできる。
【0013】
また、一対の回転ローラの各中心線の略同一平面上にグリップを配置することで、グリップが一対の回転ローラの各中心線に対して何れか一方にのみ偏って配置されている場合と比較して、マッサージ器を肌面に対して自由な角度で使用することができる。特にマッサージ器を肌面に対して鋭角にしたり、鈍角にしたりしてもマッサージを可能とすることができる。
さらに本発明は、マッサージ器における回転ローラとは反対側の端部にグリップを備えることで、グリップをこの端部側から手のひらで包み込むように把持することができる。これにより、使用者がグリップを把持した状態で手首を返したり軽くひねったりといった、関節を動かす動作をするだけで、マッサージ器の肌面に対する角度を容易に変えることができる。
以上より、こうしたグリップは、例えば肌面とマッサージ器の角度を変えることでマッサージの強度を変更できるマッサージ器に特に有効である。また他の例として、一方向と反対方向との双方向でマッサージ効果が異なるマッサージ器であっても、肌面に対する角度を鋭角としたり鈍角としたりすることで、同一箇所で同じ効果を集中して得るといった使用方法が容易に可能となる。
【0014】
さらにマッサージ器全体の長さ方向におけるグリップの長さを1とし、マッサージ器全体の長さを3以下とすることで、マッサージ器の大型化を抑制し、グリップを操作対象である回転ローラに近接させることができる。これにより、例えばマッサージ器全体が長く、回転ローラから離れた位置にグリップが設けられる場合と比較して、使用者にとって操作しやすいマッサージ器とすることができる。また、こうした構成とすることで、仮に回転ローラが比重の大きい素材で設けられて重心位置が回転ローラ側に偏って配置される場合であっても、使用者が把持するグリップもまた重心近くに配置されることになるため、使用者が重さを感じずに良好に操作することができる。
【0015】
前記熱伝導率が70W/m・K以上の材料は、アルミニウム、金、銀、銅、白金、亜鉛、タングステンの金属およびこれらいずれかの合金、並びに炭化ケイ素系および窒化アルミニウム系の人工鉱物からなる群から選ぶことが好ましい。これらの素材は熱伝導率が高く、すばやく肌の熱を吸収したり、冷感マッサージや温感マッサージなども容易に可能な回転ローラとすることができる。
【0016】
また、前記グリップは、略球状であることが好ましい。略球状は人の手のひらに馴染みやすく握りやすい形状であるため、マッサージ器の操作性を高めることができる。また、グリップが略球状であることで、グリップの外周面に手のひらを沿わせたり指先を動かしたりすることで、様々な位置や向きでグリップを把持することができる。このように把持位置や向きの自由度の高いグリップとすることで、容易に肌面に対するマッサージ器の角度を変えることができる。
【0017】
前記回転ローラは、中実状とすることができる。こうすることで、回転ローラにおいて、上記熱伝導率が高い材料の体積を高めることができるため、より多くの熱を吸収したり、放熱したりすることができる。よって、温感マッサージや冷感マッサージの効果を持続することができる。
【0018】
前記一対の回転ローラは、互いに向かい合う外周面において、略平行となる部分を有することが好ましい。こうすることで、一対の回転ローラの間隔が、一定以上には狭くならないようにすることができる。そのため、一対の回転ローラの間隔が部分的に極端に狭くなり、摘み上げられた肌が狭い間隙に押し込められて強い力で挟まれ、使用者が不快に感じるといった事態が生じないようにすることができる。
【0019】
また、前記一対の回転ローラの外周面間の間隔は8〜16mmであることが好ましい。こうすることで、使用者が不快に感じない程度の力で肌をつまみ上げつつ、十分なマッサージ効果を得ることができる。
【0020】
前記一対の回転ローラの外周面は、酸化チタンによってコートされていることが好ましい。こうすることで、皮膚に対する安全性がより高い回転ローラとすることができる。
【発明の効果】
【0021】
このように本発明によれば、一対の回転ローラの重量が重い場合であっても、使用者が重さを感じずに良好に操作することができるマッサージ器を提供することができる。よって、回転ローラが比重の大きな素材で設けられている場合であっても、操作しやすいマッサージ器とすることもできる。また、本発明によれば、肌面に対する角度を容易に変えて使用可能なマッサージ器を提供することができる。よって、肌面に対する角度によって、マッサージ効果や強度が異なるマッサージ器など、様々な使用方法が可能なマッサージ器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明に係るマッサージ器の一実施の形態を示す正面図である。
図2図1に示すマッサージ器の側面図である。
図3図1に示すマッサージ器の斜視図である。
図4図3の矢線に沿った回転ローラの断面図である。
図5図1に示すマッサージ器を肌に当てた使用状態を示す正面図である。
図6】回転ローラの歳差運動を説明する模式図である。
図7図1に示すマッサージ器の肌への押し当て角度と肌の摘み上げ効果との関係を示す模式図である。
図8図1に示すマッサージ器を把持した使用状態を示す模式図である。
図9図1に示すマッサージ器によるマッサージ前後の顔のサーモグラフィ画像である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照して、本発明に係るマッサージ器の一実施の形態について説明する。図1図5に示すように、本実施形態のマッサージ器1は、一対の回転ローラ10と、この一対の回転ローラをそれぞれ回転可能に支持するグリップ部20とを備える。また、本実施形態のマッサージ器1は、特に顔の頬や手足に使用するマッサージ器1である。
なお、本明細書において、回転ローラ10の先端からグリップ部20の先端までのマッサージ器1の全体の長さ方向を単に長さ方向とも記載する。しかしこの記載は、本発明のマッサージ器の使用方法や使用方向を限定するものではない。
【0024】
なお、本実施形態は、回転ローラ10が歳差運動して回転する機構を有しているものであるが、本発明は、これに限定されず、上記の特許公報に記載されているような回転ローラの自転軸の角度が固定されて回転する機構や、回転ローラの中心線に対して回転軸を偏心させた機構に対しても適用することができる。
【0025】
一対の回転ローラ10は、短時間で肌の熱を吸収、放熱して、肌の温度を冷やすために、熱伝導率が70W/m・K以上と高い材料によりそれぞれ形成されており、例えば、アルミニウムや、金、銀、銅、白金、亜鉛、タングステン等の金属又はこれらいずれかの合金の他、炭化ケイ素系や、窒化アルミニウム系等の人工鉱物の材料を用いることができる。材料の熱伝導率は高いほど好ましく、具体的には、100W/m・K以上が好ましく、150W/m・K以上がより好ましく、200W/m・K以上がさらに好ましい。熱伝導率の上限は特に限定されないが、例えば、500W/m・K以下が好ましい。上記の材料の具体例のうち、熱伝導率が高いことに加えて、密度がより低いため比較的軽くて扱いやすいという観点から、アルミニウム又はアルミニウム合金がより好ましい。
【0026】
なお、回転ローラ10は、肌に直接当てて使用するものであるため、より安全性を高め、且つ金属アレルギーを起こしにくくするために、上記材料で形成したローラの外周面を、蒸着等によって酸化チタン等でコートすることが好ましい。
【0027】
各回転ローラ10a、10bは、詳細は後述するが、略球状を有しており、その中心を通る中心線(自転軸)Ya、Ybを有している。各回転ローラ10a、10bは、中心線Ya、Ybのなす角度(開き角度という)を略一定にして、グリップ部20にそれぞれ支持されている。この開き角度は、図5に示すように、一対の回転ローラ10により肌を摘み上げる幅または広さに影響を与え、例えば、60〜80度が好ましく、65〜75度がより好ましく、68〜72度がさらに好ましい。なお、本実施の形態は、回転ローラ10が歳差運動するため、回転ローラ10が肌に沿って回転すると回転ローラの開き角度は、歳差運動の傾斜角度の範囲内で若干変化するものの、略一定であるといえる。
【0028】
各回転ローラ10は、肌面40と接触する位置の外周表面の形状が少なくとも半球以上の球形状である先端部11を有している。先端部11について図4を参照してより詳細に説明すると、回転ローラ10は、中心線Yに沿って、その先端11Yから少なくとも半径以上の長さの位置までにおいて断面円形の形状を有しており、この形状部分が先端部11である。また、各回転ローラ10は、グリップ部20に回転可能に支持される基端部12が、中心線Yに対して略垂直の方向に平面状に切られている。回転ローラ10は、肌面40との十分な接触面積を有しつつも、回転周期を短くするとともにローラ重量を軽くするために、直径Dが比較的に小さい方が望ましい。こうした直径Dとしては、例えば、25〜40mmが好ましく、27〜37mmがより好ましく、30〜35mmがさらに好ましい。これに対し、例えば目元や小鼻などの狭い部位専用のマッサージ器とする場合には、回転ローラ10の直径Dはさらに小さい方が好ましい。また、こうした狭い部位専用ではなくとも、物理的に高いマッサージ効果を得られるマッサージ器としたい場合には、回転ローラ10の直径Dをより小さくすることで肌面40との接触面積を減らして圧力を高め、より強いマッサージ効果を得られるマッサージ器とすることができる。なお、回転ローラ10の先端部11は、肌との密着性のために、滑らかな球状が好ましいが、球状を模した多面体状であってもよい。
【0029】
各回転ローラ10の先端部11と基端部12との間の中間部13は、球状の表面が断面直線状に切られた形状をしている(図4図5参照)。そして、この回転ローラ10の中間部13は、摘み上げた肌を過剰に挟む又は引っ張り上げることを防止するために、互いに向かい合う面同士で、略平行となるように構成されている(図5参照)。なお、本実施の形態は、回転ローラ10が歳差運動するため、回転ローラ10が肌に沿って回転すると、中間部13同士の平行度が若干変化するものの、略平行であるといえる。回転ローラ10a、10bの外周面間の最も近い位置での間隔d、ここでは中間部13間の間隔dは、8〜16mmが好ましくは、9〜15mmがより好ましく、9.8〜13.8mmがさらに好ましい。こうした範囲とすることで、肌が過剰に挟まれたり引っ張り上げられたりすることによる不快感を抑制しつつ、十分にマッサージ効果を得ることができるためである。
【0030】
回転ローラ10は、図4に示すように、上記熱伝導率が高い材料で中実に形成されており、基端部12の中心から一体的に延びる支軸14と、それを囲むような環状凸部15とを有している。環状凸部15の先端面Hは、全周にわたり同一の高さとはなっておらず、傾斜を設けており、これにより回転ローラ10が歳差運動をする。例えば、中心線Yに対する先端面Hの角度θを垂直よりも2度傾けることで、回転ローラ10が一周回転する際に自転軸が±2度傾く。傾斜角度は、特に限定されないが、1〜3度の範囲が好ましい。なお、歳差運動の機構の詳細については、特開2016−140638号公報に開示されており、ここでの詳しい説明は省略する。
【0031】
グリップ部20は、一対の回転ローラ10を支持するためのY字形状の一対の支持部22と、支持部22が伸張する中間部25とを備える。またグリップ部20は、この中間部25において一対の支持部22の反対側の端に、グリップ21を備える。支持部22の中には、回転ローラ10の支軸14および環状凸部15をそれぞれ回転可能に支える複数のベアリング等(図示省略)を備えている。
【0032】
一対の回転ローラ10の中心線Ya、Ybと、グリップ21とは、マッサージ器1を肌に当てる角度を使用者が望む角度に自由に且つ容易に大幅に変えることができるように、図1図2に示すように、同一平面上に位置する構成となっている。特に本実施形態では、グリップ部20の中心線Xと、一対の回転ローラ10の各中心線Ya、Ybもまた同一平面上に位置する構成となっている。そのため、回転ローラ10の中心線Ya、Ybと、グリップ部20の中心線Xと、グリップ21とは、側面視で長さ方向に沿って並列配置される。
なお、本実施の形態は、回転ローラ10が歳差運動するため、回転ローラ10が肌に沿って回転すると回転ローラ10の中心線Yは同一平面上から若干傾く場合があるものの、略同一平面上にあるといえる。また、グリップ部20の中心線Xとは、本実施の形態では、グリップ部20が回転対称性を有する(1/2回転、すなわち180度回転すると同じ形状になる)ことから、その回転対称軸に相当する線である。具体的には、この中心線Xは、グリップ21と支持部22との間に位置する中間部21の円柱形状の中心線である。このようにグリップ部20が1/2回転での回転対称性を有することで、マッサージ器1を正面側と背面側の区別無く、同じように使用することができる。
【0033】
グリップ部20の各支持部22も、基本的に円柱形状を有しているが、使用時に回転ローラ10の中心線Yを肌面40側に向けて傾けた際に肌に当たるのを避けるため、円柱形状の表裏内側を谷状に切り取った凹部23が形成されている。こうすることで、グリップ部20が意図せず肌に接触して使用者に不快感が生じないようにすることができる。各支持部22a、22bの凹部23は繋がるように形成されており、支持部22における円柱形状と凹部23との稜線24は、アーチ形状となっている。グリップ部20の支持部22及び中間部25を形成する材料は、特に限定されないが、ABS等の樹脂で形成し、表面をクロムめっき等することが好ましい。こうすることで、グリップ21以外の構造の外観に統一感を持たせて美観を保ちつつ、マッサージ器1が全体として重くなり過ぎないようにすることができる。
【0034】
グリップ21の形状について説明する。マッサージ器1を持った使用者が、自分の顔や、首、肩、腕、脚等の部位を、マッサージ器1を肌面40に対して一定の角度に保ったままマッサージするためには、手首の角度を維持するだけでなく、マッサージ器1の端部にあるグリップ21を覆う手の指の動きによって握り方や持ち方を調節することによっても対応することができる。更にこの握り方や持ち方の調節をし易くするために、グリップ21は、少なくとも半球以上の球形状を有していることが好ましい。球形状は人の手のひらに馴染みやすく握りやすい形状であるため、マッサージ器1の操作性を高めることができる。また、グリップ21をこうした形状とすることで、使用者による持ち方の自由度を高めることができる。すなわち、グリップ21の外周面に手のひらを沿わせて把持位置をずらしたり、指先で把持位置を変えるなどすることで、様々な位置や向きでグリップ21を把持することができる。よって、容易に肌面40に対するマッサージ器1の傾きを変えることができる。
【0035】
また、回転ローラ10の基端部12側と連結するグリップ部20の円柱形状の中間部25の直径は、グリップ21の球形状の直径よりも小さく設計されている。グリップ21の球形状の直径は35〜65mmが好ましく、40〜60mmがより好ましく、45〜55mmがさらに好ましい。この大きさであれば、一般的な手の大きさの使用者がグリップ21を手のひらと指とでしっかりと把持することができるため、過度な力を要することなく容易にマッサージ器1を操作することができる。これに対し、例えば手の小さな子供向けのマッサージ器1とする場合にはグリップ21の直径はさらに小さくても良く、反対に例えば手の大きな男性向けのマッサージ器1とする場合には、グリップ21の直径はさらに大きくても良い。
なお、グリップ21の形状は、厳密な球形状に限定されず、例えば、球状を模した多面体状であってもよいし、球表面に指を当てるための1つ又は複数の凹みが部分的に設けられていてもよい。グリップ21の先端側、すなわちグリップ部20において、中間部25とは反対側の端部には、使用者がグリップ21を把持してマッサージ器1を使用する際に、手で進行方向に向けて押圧する押圧部21aが形成されている。この押圧部21aは、球形状でなるグリップ21の頂点のみを指すものではなく、手による押圧を受ける接触面を指す。
【0036】
グリップ21の材料は、特に限定されないが、シリコーンゴム等のゴム材料や、シリコーン樹脂等の弾力性、柔軟性のある素材が好ましい。また、ABS樹脂等の表面が比較的硬い素材を使用することもできるが、こうした素材を用いる場合には、表面に凹凸を設けるなどの滑り止め加工を施すことが好ましい。
【0037】
また、マッサージ器1の全体の大きさについて、上述した握りやすさ及び持ち替えやすさの観点に加えて、一対の回転ローラ10が上記の熱伝導率の高い材料で中実に形成したことから重量が従来の樹脂製などと比べて重くなる場合がある。このような重い一対の回転ローラ10でも使用者が重さを感じずに優れた操作性を発揮できるという観点から、マッサージ器1の全体の長さL2、すなわち、図1に示すように、マッサージ器1の前記長さ方向における一対の回転ローラ10の先端からグリップ21の先端までの長さL2は、グリップ21の前記長さ方向における長さL1に対して短い方が好ましい。具体的には、グリップ21の長さ方向に沿う長さL1を1とすると、マッサージ器1の全体の長さL2は3以下である。特に、グリップ21の長さ方向に沿う長さL1を1とすると、全体の長さL2は2.7以下が好ましく、2.4以下がより好ましい。こうすることでマッサージ器1を長さ方向で短くすることができるため、グリップ21を、操作対象である回転ローラ10に近接した位置に配置することができる。よって、全長L2が長く、グリップが回転ローラから離れた位置に配置される場合と比較して、扱いやすいマッサージ器1とすることができる。こうした構成は、本実施形態のマッサージ器1のように回転ローラ10が比較的比重の大きな金属などで設けられており、重心が回転ローラ10側に偏って配置される場合に特に有効である。より重心に近い位置にグリップ21を配置することで、扱いやすいマッサージ器1とすることができるためである。また、マッサージ器1の全体の長さL2を上記のようにしたことで、非常にコンパクトで持ち運びにも便利である。なお、グリップ21を把持した状態で手指が肌に触れない程度にグリップ21が肌面40から離れていれば、マッサージ器1全体の長さL2の下限は特に限定されないが、例えば1.5以上が好ましい。
また、本実施形態のように、人の頬や手足など、比較的面積の広い箇所に使用されるマッサージ器1であって、目元などの狭い部位専用としたり、圧力を高めたりといった目的のために回転ローラ10の直径Dが極端に小さく設計されてはいない場合には、回転ローラ10の直径Dを基準にしてもよい。こうした場合には、回転ローラ10の直径Dを1とすると、マッサージ器1の全体の長さL2は3以下が好ましく、2.8以下がより好ましく、2.6以下が更に好ましい。なお、この場合でも下限は特に限定されないが、例えば1.5以上が好ましい。
【0038】
次に前記のように構成された本実施形態のマッサージ器1の作用を説明する。マッサージ器1は、使用者がグリップ21を手全体または指のみで包むように把持した状態で、図5に示すように、一対の回転ローラ10の先端面を肌面40に押し当てながら移動させることで、回転ローラ10のそれぞれの回転によって肌41が一対の回転ローラ10間に摘み上げられる。これによってマッサージ効果が促進される。
【0039】
更に本実施形態のマッサージ器1では、一対の回転ローラ10がそれぞれ歳差運動を行う。歳差運動による回転ローラの動きをわかりやすく模式的に説明すると、例えば、図6(a)に示すように、回転ローラ10xを肌面40にやや強く当てた際、回転ローラ10xの中心線Yと環状凸部15の先端面Hとがなす角度θ1がほぼ90度であったとする。
【0040】
なお、図6には、グリップ部20の支持部22内に設けられた機構の一部についても示す。回転ローラ10xの支軸14の先端に設けられているのが、回転子26である。そして、回転ローラ10xの環状凸部15の先端面を回転可能に支えているのが、第1のベアリング28であり、回転子26の支軸側の湾曲状の端部27を回転可能に支えているのが、第2のベアリング29である。第1及び第2のベアリング28、29は支持部内で回転可能に固定されており、支軸14及び回転子26は回転および傾斜可能に挿入されている。
【0041】
回転ローラ10xを肌面40に沿って動かし、図6(b)に示すように、回転ローラ10xが1/4周すると、中心線Yに対する環状凸部15の先端面Hは、上述したように垂直ではなく傾いていることから、例えば2度傾いていた場合、環状凸部15が第1のベアリング28によって回転されて角度θは88度となり、肌面40に対する回転ローラ10xの当たり方は弱いものとなる。
【0042】
再び回転ローラ10xを肌面40に沿って動かし、図6(c)に示すように、回転ローラ10xがさらに1/4周すると、当初の角度θ1であるほぼ90度に戻り、肌面40に対する回転ローラ10xの当たり方はやや強くなる。そして、回転ローラ10xを肌面40に沿って動かし、図6(d)に示すように、回転ローラ10xがさらに1/4周すると、肌面40側に傾斜した角度θが来るので、回転ローラ10xは肌面40に対し最も強く当たることとなる。
【0043】
このようにして回転ローラ10xを肌面40に沿って回転させると、回転ローラ10xは中心線Yに沿って自転しながら、中心線Yが所定の傾きの範囲内で、いわゆる首振り運動を行うので、回転ローラ10xが肌面40に対して強く当たったり、弱く当たったりを繰り返す。一対の回転ローラ10でこれを行うと、肌は摘み上げられたり、引き伸ばされたりを繰り返すこととなる。これによって、マッサージ効果は更に促進される。
【0044】
従来のマッサージ器では、上述のように往復動作中に回転ローラの軸線が肌面40に対して一定角度が維持されるように、回転ローラの軸線をハンドルの中心線に前傾させて構成されている。そのため、ハンドルを把持する向きや位置が制限され、マッサージ器の肌面に対する角度を変更することが困難である。これに対して、本実施形態のマッサージ器1はグリップ21が回転ローラ10の各中心線Ya、Ybの同一平面上に配置されることで、マッサージ器1の肌面に対する角度を容易に変えることができる。これにより、マッサージ効果の強度を容易に調節することができる。
【0045】
以下、詳細に説明する。この一対の回転ローラ10による肌の摘み上げ及び引き伸ばしの作用や強度は、図7に示すように、マッサージ器1を肌面40に当てる際、肌面40表面に対するマッサージ器1のX−Y平面の角度によって、大きく異なる。すなわち、回転ローラ10の先端(図6(a)の上下方向における回転ローラ10xの上端部分)側の外周面で肌面40と接触する場合と比較して、図6(a)の上下方向における回転ローラ10xの中心点の高さ位置の外周面で肌面40と接触する場合の方が、より強い力で肌を摘み上げたり引き伸ばしたりすることができる。これは回転ローラ10において、先端側の位置から中心点の高さ位置に近づくほど断面円の直径が大きく外周が長くなり、より大きな円を描くように回転するためである。よって、肌面40に対するマッサージ器1のX−Y平面の角度が90度に近いほど、回転ローラ10の先端側で肌面40と接触するため、肌をつまみ上げたり引き伸ばしたりする効果が小さくなる。これに対し、0度に近いほど前記中心点の高さ位置に近い位置で肌面40と接触するため、こうした効果が大きくなる。具体的には、図7(a)では、肌面40に対するマッサージ器1のX−Y平面の角度がほぼ90度であるので、一対の回転ローラによって摘み上げられる肌41aの量は少ないが、図7(b)では約60度に傾けることで、一対の回転ローラによって摘み上げられる肌41bの量が増え、図7(c)のように約30度に傾けることで、一対の回転ローラによって摘み上げられる肌41cの量が更に増える。
【0046】
なお、図7(a)〜(c)の各図において、摘み上げられる肌41a〜41cの量がマッサージ器1の移動に従って、多くなったり少なくなったりを繰り返しているのは、回転ローラの歳差運動によるものである。
【0047】
また、図7に示すように、肌面40に対するマッサージ器1のX−Y平面の角度が鋭角となる方向に、マッサージ器1を進行させると、上述したように一対の回転ローラによって肌が摘み上げられるが、図7とは逆方向にマッサージ器1を進行させると、換言すれば、肌面40に対するマッサージ器1のX−Y平面の角度が鈍角となる方向に、マッサージ器1を進行させると、一対の回転ローラは肌面40を引き伸ばすように作用する。よって、マッサージ器1を往復運動すると、一対の回転ローラ10によって肌の摘み上げ及び引き伸ばしを繰り返すことができる。
【0048】
このように本実施形態のマッサージ器1は、進行方向を反対向きに変えることで異なるマッサージ効果を得ることができるものである。しかし、上述のように肌面40に対するマッサージ器1の角度を自由かつ容易に変更することができることから、マッサージ器1の肌面40に対する角度を変えつつ体の同一箇所で往復させるだけで、いずれか一方のマッサージ効果のみを得ることも容易に可能となる。
【0049】
具体的には、例えば脚の太もも側からつま先側に向かう方向と、反対につま先側から太もも側に向かう方向の双方向で肌の摘み上げ効果のみを得たい場合には、途中でグリップ21の把持位置や向きを替えたり、手首を返すなど、関節をわずかに動かしたりすることでこうした効果を容易に得ることができる。すなわち、まず肌面40に対するマッサージ器1のX−Y平面の角度が鋭角となるようにグリップ21を持ち、太もも側からつま先側に向けてマッサージ器1を動かす(進行方向は、マッサージ器1を傾けた状態でグリップ21側から回転ローラ10側に向かう方向となる)。その後、グリップ21の把持位置や向きを替えたり手首を返したりすることでマッサージ器1を反対側に傾けて、肌面40に対するマッサージ器1のX−Y平面の角度を鈍角となるようにし、つま先側から太もも側に向けてマッサージ器1を動かす(この場合も進行方向はマッサージ器1を傾けた状態でグリップ21側から回転ローラ10側に向かう方向となる)。
また、双方向で肌の引き伸ばし効果のみを得たい場合も、同様にグリップ21の把持位置や向きを替えたり手首を返したりして肌面40に対するマッサージ器1のX−Y平面の角度を変えつつ双方向に動かすことで、こうした効果を得ることが可能となる(ただしこの場合には、マッサージ器1を傾けた状態で回転ローラ10からグリップ21側に向けてマッサージ器1を進行させる)。
【0050】
このようなマッサージ器1による肌の摘み上げ及び引き伸ばしの作用の強弱は、使用者がマッサージする際に自由に調節できることが好ましい。本実施の形態のマッサージ器1によれば、図8(a)〜(c)に示すように、グリップ21と一対の回転ローラとの距離が短いとともに、マッサージ器1の端部にグリップ21が設けられていることから、マッサージ器1を大きく持ち替えたり握り替えたりすることなく、使用者50の指や手首の関節の動きによって、容易にマッサージ器1の角度を変えることができる。そのため、上述のように肌面40に対するマッサージ器1の角度を自由に調節することができるため、肌の摘み上げや引き伸ばしの作用の強弱を容易に調節することができる。
【0051】
特に、マッサージ器1はグリップ21が回転ローラ10の各中心線Ya、Ybの同一平面上に位置していることから、顔や、首、肩、腕、脚などのマッサージ対象となる肌に対してどのような角度でもマッサージ器1を当てることができる。いかなるマッサージ対象となる肌に対しても、上述した肌の摘み上げ及び引き伸ばしの作用の強弱を、自由に且つ容易に調節することができる。
【0052】
また本実施形態では、グリップ21の押圧部21aもまた、回転ローラ10の各中心線Ya、Ybの同一平面上に位置している。こうすることで、使用者がグリップ21を把持した状態で、使用者の特に手のひらから押圧部21aを押圧する力の損失を抑制し、この力を回転ローラ10にスムーズに伝えることもできる。よって余分な力を使うことなく、回転ローラ10を肌面40に強く押し当てることができる。こうした効果には、グリップ21が回転ローラ10に近接して配置されていることも寄与している。
【0053】
更に、本実施の形態のマッサージ器1は、一対の回転ローラ10が熱伝導率の高い材料により形成されていることから、押圧による物理的なマッサージ効果だけでなく、短時間のマッサージによってすばやく肌の熱を吸収、放熱して、肌の温度を冷やすことができ、肌の血行、血流を促進させ、肌を活性化する。また、本実施形態の回転ローラ10は中実にて形成されているため体積が大きく、より多くの熱を吸収することができる。そのため、例えばあらかじめ回転ローラ10を温めたり冷やしたりしてから使用することで、温感マッサージや冷感マッサージによるより高い効果を得ることができる。
【0054】
実際に、アルミニウム合金(合金番号:A6061)を用いて一対の回転ローラを中実に形成したマッサージ器で、室温において、右頬を約60秒間マッサージした。その前後の顔全体のサーモグラフィ画像を図9に示す。図9(a)に示すように、マッサージ前は、顔全体が約33℃から約36℃の温度で分布していたが、回転ローラが頬の熱を急速に吸収、放熱して、マッサージ後は図9(b)に示すように、マッサージした右頬のみ平均して2〜3℃低下した。これにより血行促進、老廃物除去、肌の水分量アップ、リフトアップ、毛穴引締め等の効果が期待できる。なお、このような冷感によるマッサージの他、一対の回転ローラをお湯等で温めてからマッサージすることで、温感によるマッサージも行うことができる。また反対に、マッサージ器1を冷蔵庫や氷を使用するなどして冷やすことで、より効果の高い冷感マッサージを行うこともできる。なお、本実施形態では、回転ローラ10は支軸14と一体形成されているが、本発明はこれに限定されず、回転ローラ内にグリップ部21から延びる支軸を受けるベアリングを設けるように構成してもよい。この場合、上記の熱伝導率が高い材料によって回転ローラの表面からベアリング用のハウジングまでが中実に形成される。
【0055】
続いて、本実施形態の変形例について説明する。前記本実施形態では、グリップ21が略球状でなる例を示した。これに対して、例えばグリップ21を長軸状でなるものとしても良い。この場合、マッサージ器1の端部に、マッサージ器1の長さL2方向に対してグリップの軸を直行または交差するように配置する。また、グリップは回転ローラ10の中心線Ya、Ybと同一平面上に配置する。こうしたグリップを自転車用ハンドルのグリップのように把持することで、容易に肌面40に対する角度を変えたり、一方向と反対方向の双方向に進行させることができるマッサージ器とすることができる。グリップの軸は、特に支持部22a、22bの配列方向に沿わせて配置することで、肌面40上でバランスを取りやすく、より操作性の高いマッサージ器とすることができる。この場合であっても、やはりグリップの押圧部もまた回転ローラ10の中心線Ya、Ybと同一平面上に配置することで、余分な力を使う必要がなく操作性の高いマッサージ器とすることができる。
【0056】
また、前記本実施形態では、グリップ21と支持部22との間に円柱形状の中間部25を有するグリップ部20を例示した。これに対し、例えばグリップ部20が中間部25を有さず、グリップ21と支持部22a、22bが直接接続しても良い。この場合でも、グリップ部の回転対称軸が存在することから、この回転対称軸がグリップ部の中心線となる。
なお、グリップ部20の中心線Xと一対の回転ローラ10の各中心線Ya、Ybとが略同一平面上に配置される場合について説明してきたが、本発明はこれに限定されず、グリップ部20やグリップ21は回転対称性を有していなくてもよい。すなわち、例えば中間部25が断面略コ字状や湾曲形状のように何れかの方向に向けて突出する形状である場合や、表面に凹凸加工による回転対称ではない装飾が施されている場合などであってもよい。こうした形状であっても、一対の回転ローラ10の各中心線Ya、Ybの略同一平面上に、グリップ21が配置されていれば、肌面40に対する角度を自由に変更できるマッサージ器とすることができる。またこうした場合であっても、押圧部21aが回転ローラ10の中心線Ya、Ybのほぼ同一平面上に配置されることで、やはり余分な力を使う必要が無く操作性の高いマッサージ器とすることができる。
【0057】
さらに前記本実施形態では、グリップ部20の支持部22及び中間部25とグリップ21とを別部材とするマッサージ器1を例示した。これに対して、グリップ部全体を一体形成してもよい。これにより、製造が容易で製造コストを抑えたマッサージ器とすることができる。
【符号の説明】
【0058】
1 マッサージ器
10 回転ローラ
14 支軸
15 環状凸部
20 グリップ部
21 グリップ
22 支持部
40 肌
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9