特開2018-77387(P2018-77387A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-77387(P2018-77387A)
(43)【公開日】2018年5月17日
(54)【発明の名称】液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1343 20060101AFI20180417BHJP
   G02F 1/1368 20060101ALI20180417BHJP
【FI】
   G02F1/1343
   G02F1/1368
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2016-219682(P2016-219682)
(22)【出願日】2016年11月10日
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
【住所又は居所】東京都港区西新橋三丁目7番1号
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】森本 政輝
【住所又は居所】東京都港区西新橋三丁目7番1号 株式会社ジャパンディスプレイ内
(72)【発明者】
【氏名】坂本 道昭
【住所又は居所】東京都港区西新橋三丁目7番1号 株式会社ジャパンディスプレイ内
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 健史
【住所又は居所】東京都港区西新橋三丁目7番1号 株式会社ジャパンディスプレイ内
【テーマコード(参考)】
2H092
2H192
【Fターム(参考)】
2H092GA13
2H092GA14
2H092GA17
2H092GA29
2H092GA64
2H092HA04
2H092JA25
2H092JA26
2H092JB05
2H092JB31
2H092JB42
2H092JB57
2H092KA04
2H092KA12
2H092MA07
2H092MA13
2H092MA30
2H092NA11
2H092PA06
2H092QA09
2H192AA24
2H192AA43
2H192BB13
2H192BB52
2H192BC42
2H192CB02
2H192CB05
2H192CB13
2H192DA32
2H192EA22
2H192EA43
2H192EA54
2H192FB22
2H192GA03
2H192HA82
2H192JA32
(57)【要約】
【課題】イオンの影響による焼付きを抑制した液晶表示装置を実現する。
【解決手段】走査線が第1の方向に延在する走査線と、走査線と交差する第1の映像信号線20と第2の映像信号線20との間に画素電極111を含む画素が形成された液晶表示装置であって、前記第1の映像信号線20の上層には第1の絶縁膜108を介して第1のシールド線30が形成され、前記第1のシールド線の前記第1の方向の幅は前記映像信号線20の前記第1の方向の幅よりも大きく、前記第1の方向における前記第1のシールド線30の中心と前記第1の映像信号線20との中心は一致しており、前記第2の映像信号線20の上層には第1の絶縁膜108を介して第2のシールド線50が形成され、前記第2のシールド線50の前記第1の方向の幅は前記映像信号線20の前記第1の方向の幅よりも大きく、前記第1の方向における前記第2のシールド線50の中心と前記第2の映像信号線20との中心は一致していることを特徴とする映像信号線。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に延在して第2の方向に配列された複数の走査線と、前記走査線と交差して配列された複数の映像信号線と、前記複数の走査線と複数の映像信号線で囲まれた画素領域に画素電極が形成された液晶表示装置であって、
平面視で視て、画像が表示される表示領域内の前記映像信号線の配置位置には、少なくとも有機絶縁膜を介して重畳する導電配線が形成され、
第1の方向における前記導電配線の幅は、前記映像信号線の幅よりも大きく、
平面視で視て、前記導電配線が前記映像信号線をはみ出す割合は、第1の方向において実質的に両側で均等であることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記画素領域には、スイッチング素子を有し、前記画素電極はコンタクトホールが形成された接続領域において前記スイッチング素子と接続され、
前記接続領域における前記画素電極と前記導電配線の間隙は、表示領域内の全ての画素領域で均等であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記導電配線は、第1の導電配線と前記第2の導電配線を有し、前記第1の導電配線と前記第2の導電配線は、異なる層に形成されており、いずれもITOで形成されていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記導電配線は、第1の導電配線と前記第2の導電配線を有し、前記第1の導電配線と前記第2の導電配線は、異なる層に形成されており、前記第1の導電配線は金属あるいは合金で形成され、前記第2の導電配線はITOで形成されていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記導電配線は、第1の導電配線と前記第2の導電配線を有し、前記第1の導電配線は複数の導電層で形成されており、前記複数の導電層は直接積層されていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記導電配線は、第1の導電配線と前記第2の導電配線を有し、前記第1の導電配線は複数の導電層で形成されており、前記複数の導電層は絶縁膜を介して積層されていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記映像信号線の中心と前記導電配線の中心のずれは、1μm以内であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
走査線が第1の方向に延在して第2の方向に配列し、第1の映像信号線と第2の映像信号線が前記走査線と交差して配列し、前記第1の映像信号線と前記第2の映像信号線との間に画素電極を含む画素が形成された液晶表示装置であって、
前記第1の映像信号線の上層には第1の絶縁膜を介して第1のシールド線が形成され、
前記第2の映像信号線の上層には第1の絶縁膜を介して第2のシールド線が形成され、
前記画素電極は液晶を駆動する駆動領域と、TFTと接続するコンタクト領域を有し、
前記画素は前記画素電極の駆動領域を含む第1の領域と、前記画素電極の前記コンタクト領域を含む第2の領域を有し、
前記第2の領域において、前記画素電極と前記第1のシールド線との距離をd1とし、前記画素電極と前記第2のシールド線との距離をd2とした場合、前記d1と前記d2の差は2μm以下であることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項9】
前記d1と前記d2の差は1.5μm以下であることを特徴とする請求項8に記載の液晶表示装置。
【請求項10】
前記画素電極の前記駆動領域の形状は、前記第1の方向において非対称であることを特徴とする請求項8に記載の液晶表示装置。
【請求項11】
走査線が第1の方向に延在して第2の方向に配列し、第1の映像信号線と第2の映像信号線が前記走査線と交差して配列し、前記第1の映像信号線と前記第2の映像信号線との間に画素電極を含む画素が形成された液晶表示装置であって、
前記第1の映像信号線の上層には第1の絶縁膜を介して第1のシールド線が形成され、
前記第2の映像信号線の上層には第1の絶縁膜を介して第2のシールド線が形成され、
前記画素電極は液晶を駆動する駆動領域とTFTと接続するコンタクト領域を有し、
前記画素は前記画素電極の駆動領域を含む第1の領域と、前記画素電極の前記コンタクト領域を含む第2の領域を有し、
前記第2の領域において、前記画素電極と前記第1のシールド線との距離はd1であり、前記画素電極と前記第2のシールド線との距離はd2であり、
第1の画素行において、前記画素は第1の方向に配列しており、前記第1の画素行全体で、前記d1−d2は1.5μmより大きいことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項12】
第2の画素行において、前記画素は第1の方向に配列しており、前記第2の画素行全体で、前記d2−d1は1.5μmより大きいことを特徴とする請求項11に記載の液晶表示装置。
【請求項13】
前記第1の画素行と前記第2の画素行は隣接していることを特徴とする請求項12に記載の液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示装置に係り、特にイオンを原因とする焼付きを対策した液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置では画素電極および薄膜トランジスタ(TFT、Thin Film Transisitor)等を有する画素がマトリクス状に形成されたTFT基板と、TFT基板に対向して対向基板が配置され、TFT基板と対向基板の間に液晶が挟持されている。そして液晶分子による光の透過率を画素毎に制御することによって画像を形成している。
【0003】
TFT基板には、走査線が横方向に延在して縦方向に配列し、映像信号線が縦方向に延在して横方向に配列しており、走査線と映像信号線とで囲まれた領域に画素が形成されている。画素内に形成された画素電極は、TFTと、スルーホールを介して接続する。映像信号線には走査信号の周期にしたがって、画像信号が通過する。画素電極は、スルーホール付近において映像信号線や走査線とクロストークを生じやすい。特許文献1には、このクロストークを軽減するために、スルーホールの周辺をコモン電極によって線状に囲む構成が記載されている。
【0004】
一方、近年、液晶表示装置にタッチパネルの機能を組み込んだ構成が開発されている。このような液晶表示装置は、例えば、対向基板の外側にタッチパネル用の第1の電極を配置し、TFT基板に形成されたコモン電極を区画して、タッチパネル用の第2の電極とする構成である。特許文献2には、対向基板の外側に形成された第1の電極を例えば、走査線と同じ方向に延在させ、TFT基板に形成されたコモン電極を映像信号線の上において分割し、分割されたコモン電極をタッチパネル用の第2の電極として使用する構成が記載されている。この場合、コモン電極の抵抗を低減するために、コモン電極と接する層に、映像信号線を覆って補助配線が形成する構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−3251号公報
【特許文献2】特開2015−206830号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
液晶表示装置においては、長時間同じ画像を表示すると、表示するパターンによっては、正しい表示ができない画素が発生する場合がある。例えば、ストライプ状の画像を長時間表示すると、表示内容を変えた後も、ストライプの境界があった個所に、所定の期間、黒ムラが残存するという現象が生ずる。そのような表示の乱れを焼付き、または残像という。この焼付きの現象は、イオン由来のものであれば時間が経つと減少していくが、焼付き現象が消失するまでは、表示画像に対して悪影響を与える。
【0007】
本発明の課題は、このような焼付き現象を防止して、常に、高画質の画像を表示することが出来る液晶表示装置を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1) 第1の方向に延在して第2の方向に配列された複数の走査線と、前記走査線と交差して配列された複数の映像信号線と、前記複数の走査線と複数の映像信号線で囲まれた画素領域に画素電極が形成された液晶表示装置であって、平面視で視て、画像が表示される表示領域内の前記映像信号線の配置位置には、少なくとも有機絶縁膜を介して重畳する導電配線が形成され、第1の方向における前記導電配線の幅は、前記映像信号線の幅よりも大きく、平面視で視て、前記導電配線が前記映像信号線をはみ出す割合は、第1の方向において実質的に両側で均等であることを特徴とする液晶表示装置。
【0009】
(2)走査線が第1の方向に延在して第2の方向に配列し、第1の映像信号線と第2の映像信号線が前記走査線と交差して配列し、前記第1の映像信号線と前記第2の映像信号線との間に画素電極を含む画素が形成された液晶表示装置であって、前記第1の映像信号線の上層には第1の絶縁膜を介して第1のシールド線が形成され、前記第2の映像信号線の上層には第1の絶縁膜を介して第2のシールド線が形成され、前記画素電極は液晶を駆動する駆動領域と、TFTと接続するコンタクト領域を有し、前記画素は前記画素電極の駆動領域を含む第1の領域と、前記画素電極の前記コンタクト領域を含む第2の領域を有し、前記第2の領域において、前記画素電極と前記第1のシールド線との距離をd1とし、前記画素電極と前記第2のシールド線との距離をd2とした場合、前記d1と前記d2の差は2μm以下であることを特徴とする液晶表示装置。
【0010】
(3)走査線が第1の方向に延在して第2の方向に配列し、第1の映像信号線と第2の映像信号線が前記走査線と交差して配列し、前記第1の映像信号線と前記第2の映像信号線との間に画素電極を含む画素が形成された液晶表示装置であって、前記第1の映像信号線の上層には第1の絶縁膜を介して第1のシールド線が形成され、前記第2の映像信号線の上層には第1の絶縁膜を介して第2のシールド線が形成され、前記画素電極は液晶を駆動する駆動領域とTFTと接続するコンタクト領域を有し、前記画素は前記画素電極の駆動領域を含む第1の領域と、前記画素電極の前記コンタクト領域を含む第2の領域を有し、前記第2の領域において、前記画素電極と前記第1のシールド線との距離はd1であり、前記画素電極と前記第2のシールド線との距離はd2であり、第1の画素行において前記画素は第1の方向に配列しており、前記第1の画素行全体で、前記d1−d2は1.5μmより大きいことを特徴とする液晶表示装置。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明が適用される液晶表示装置の平面図である。
図2図1のA−A断面図である。
図3】液晶表示装置の画素構成を示す平面図である。
図4図3のB−B断面図である。
図5】ストライプパターン表示の例である。
図6】焼付きの例である。
図7】イオンによる焼き付きのメカニズムを説明する図である。
図8】イオンによる焼き付きのメカニズムを説明する他の図である。
図9】イオンによる焼き付きのメカニズムを説明するさらに他の図である。
図10】映像信号線の影響を示す断面図である。
図11】本発明の構成を示す断面図である。
図12】本発明によるシールド線の構成を示す断面図である。
図13】本発明によるシールド線の他の構成を示す断面図である。
図14】本発明によるシールド線の他の構成を示す断面図である。
図15】本発明によるシールド線の他の構成を示す断面図である。
図16】本発明によるシールド線の他の構成を示す断面図である。
図17】実施例2の画素構成を示す平面図である。
図18】実施例2の画素構成を示す他の平面図である。
図19】実施例2の画素構成を示すさらに他の平面図である。
図20】実施例2の画素構成を示すさらに他の平面図である。
図21】実施例2の画素構成を示すさらに他の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に実施例を用いて本発明を詳細に説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は、携帯電話等に使用される液晶表示装置の例を示す平面図であり、図2図1のA−A断面図である。図1および図2において、TFT基板100と対向基板200がシール材4によって接着し、TFT基板100と対向基板200の間に液晶300が挟持されている。TFT基板100の下には下偏光板501が貼り付けられ、対向基板200の上には上偏光板502が貼り付けられている。液晶は自身では発光しないので、液晶表示パネルの背面にバックライト400が配置されている。
【0014】
TFT基板100と対向基板200が対向している部分に表示領域2が形成され、その周りが額縁領域3となっている。額縁領域3にシール材4が形成され、TFT基板100と対向基板200を接着している。TFT基板100は対向基板200より大きく形成され、TFT基板100が対向基板200と対向していない部分は端子部150となっている。端子部150には、ドライバIC170、液晶表示装置に外部から信号や電源を供給するフレキシブル配線基板160が接続している。
【0015】
液晶表示装置は視野角向上が従来から求められる特性の一つである。IPS(In Plane Switching)方式は、液晶分子をTFT基板と平行な電界によって回転させることによって、各画素の光透過率を制御するものであり、優れた視野角特性を有している。IPS方式にも色々な方式があるが、平面状に形成された第1の電極に対して、絶縁膜を挟んで、櫛歯状あるいは線状の第2の電極を形成する方式が透過率を大きくすることが出来るので主流となっている。
【0016】
図3はこのようなIPS方式の液晶表示装置の2画素分の画素構造の一例を示す平面図である。左側の画素が青色を表示する画素であり、右側の画素が赤色を表示する画素である。尚、青色画素の左側及び赤色画素の右側には、図示しない緑色画素が配置され、表示領域内において、左から右に向かって、青色、赤色、緑色の順番で繰り返し配置される。
図3において、走査線10が横方向に延在し、縦方向に所定のピッチで配列している。走査線10の縦ピッチが画素の縦方向の大きさとなっている。また、映像信号線20が縦方向に延在し、横方向に所定のピッチで配列している。映像信号線20の横ピッチが画素の横方向の大きさになっている。
【0017】
画素内には、線状の画素電極111(111B,111R)が縦方向に延在している。図3は画素ピッチが30μm以下と小さいので、画素電極は1本の線状となっているが、画素ピッチが大きくなれば、画素電極111はスリットを有する櫛歯状電極とすることが出来る。また、ドメインの発生によるディスクリネーションの発生を防止するために、線状の画素電極111の先端を屈曲させる場合もある。
【0018】
画素電極111には、映像信号線20からスルーホール及びTFTを介して映像信号が供給される。図3において、スルーホール120を介して映像信号線20と半導体層103が接続している。半導体層103は映像信号線20の下に形成され、走査線10の下を通過し、屈曲して、再び走査線10の下を通過し、スルーホール140を介してコンタクト電極107と接続する。コンタクト電極107はスルーホール130および131を介して画素電極111と接続する。半導体層103が走査線10の下を通過するときにTFTが形成される。この場合、走査線10がゲート電極を兼ねる。したがって、図3では、映像信号線20から画素電極11まで2個のTFTが形成され、いわゆるダブルゲート方式となっている。
【0019】
配向膜に形成される配向軸115の方向は、画素電極111の延在方向と角度θをなしている。角度θを形成する理由は、画素電極111に電界が印加されたときに、液晶分子の回転の方向を規定するためである。θは、5度から15度程度であり、好ましくは7度から10度である。なお、配向軸114の方向を図3の縦方向とし、画素電極111の延在方向を角度θで傾ける場合もある。図3は、液晶分子の誘電率異方性が正の場合である。液晶の誘電率異方性が負の場合の配向軸の角度は、図3と90度回転した方向となる。
【0020】
コモン電極109は、スルーホール130と重複する位置で開口を有している。これは、画素電極111と、コンタクト電極107および半導体層103との接続領域を確保するためである。開口は、スルーホール130周辺に位置すればよいため、解像度が低い表示パネルでは、画素単位で開口が設けられる。しかし、高精細化が進むと画素の面積が小さくなるため、コモン電極109の開口は一画素毎に独立して設けられるのではなく、隣接する複数の画素に渡って連続的に形成される。図3は、このような高精細化の例を示している。
【0021】
図3において、左側の画素の左側、および、右側の画素の右側の映像信号線20の上には、コモン金属配線30が映像信号線20を覆うように延在している。コモン金属配線30は、コモン電極109に積層され、コモン電極109と電気的に接続されるように形成されている。コモン金属配線30は、例えば、Mo−Al−Moの3層構造で形成される。ここで、Mo(モリブデン)はMo合金を含み、Al(アルミニウム)はAl合金を含む。コモン電極109はITO(Indium Tin Oxide、以後、第1ITOともいう)などの透明導電層で形成されるが、電気抵抗値が大きいため、コモン金属配線30を積層することで、コモン電極109の表示領域全体での抵抗値を下げている。一方、右側の画素と左側の画素の間にある映像信号線20の上には、コモン金属配線は存在していない。
【0022】
図4図3のB−B断面図である。図4におけるTFTは、いわゆるトップゲートタイプのTFTであり、使用される半導体としては、LTPS(Low Temperature Poly−Silicon)が使用されている。一方、a−Si半導体を使用した場合は、いわゆるボトムゲート方式のTFTが多く用いられる。以後の説明では、トップゲート方式のTFTを用いた場合を例にして説明するが、ボトムゲート方式のTFTを用いた場合についても、本発明を適用することが出来る。
【0023】
図4において、ガラス基板100の上にSiNからなる第1下地膜101およびSiOからなる第2下地膜102がCVD(Chemical Vapor Deposition)によって形成される。第1下地膜101および第2下地膜102の役割は、ガラス基板100からの不純物が半導体層103を汚染することを防止することである。なお、本明細書では、SiNは窒化シリコンを総称し、SiOは酸化シリコンを総称するものとして用いられている。
【0024】
第2下地膜102の上には半導体層103が形成される。この半導体層103は、第2下地膜102の上にCVDによってa−Si膜を形成し、これをレーザアニールすることによってpoly−Si膜に変換したものである。このpoly−Si膜をフォトリソグラフィによってパターニングする。
【0025】
半導体膜103の上にはゲート絶縁膜104が形成される。このゲート絶縁膜104はTEOS(テトラエトキシシラン)を原料とするSiO膜である。ゲート絶縁膜104もCVDによって形成される。その上にゲート電極105が形成される。ゲート電極105は走査線10が兼ねている。ゲート電極105は、例えば、MoW膜によって形成される。ゲート電極105あるいは走査線10の抵抗を小さくする必要があるときは、Al合金が使用される。
【0026】
その後、ゲート電極105を覆って層間絶縁膜106をSiOあるいはSiNによって形成する。層間絶縁膜106は、ゲート配線105とコンタクト電極107を絶縁するために形成される。半導体層103は、ゲート絶縁膜104および層間絶縁膜間106に形成されたスルーホール120を介して映像信号線20と接続している。また、層間絶縁膜106およびゲート絶縁膜104には、TFTのソース部Sをコンタクト電極107と接続するためのコンタクトホール140が形成される。層間絶縁膜106と、ゲート絶縁膜104に形成されるコンタクトホール120とコンタクトホール140は、同時に形成される。
【0027】
層間絶縁膜106の上にコンタクト電極107が形成される。半導体層103は、映像信号線20の下を延在し、図3、および図4に示すように、走査線10(ゲート電極105)の下を2回通過する。この時、TFTが形成される。すなわち、平面で視て、ゲート電極105を挟んでTFTのソースSとドレインDが形成されている。コンタクト電極107は、層間絶縁膜106およびゲート絶縁膜104に形成されたスルーホール140を介して半導体層103と接続する。
【0028】
コンタクト電極107および映像信号線20は、同層で、同時に形成される。コンタクト電極107および映像信号線20は、抵抗を小さくするために、例えば、Ti−Al―Tiの3層構造が使用される。なお、Alとは、AlSiのようなAl合金である場合も含む。
【0029】
コンタクト電極107、映像信号線20、層間絶縁膜106を覆って有機パッシベーション膜108が形成される。有機パッシベーション膜108は感光性のアクリル樹脂で形成される。有機パッシベーション膜108は、アクリル樹脂の他、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等でも形成することが出来る。有機パッシベーション膜108は平坦化膜としての役割を持っているので、厚く形成される。有機パッシベーション膜108の膜厚は1〜4μmであるが、多くの場合は2〜3μm程度である。
【0030】
画素電極111とコンタクト電極107との導通を取るために、有機パッシベーション膜108にコンタクトホール130、および、後で述べる容量絶縁膜110にコンタクトホール131が形成される。有機パッシベーション膜108は感光性の樹脂を使用している。感光性の樹脂を塗付後、この樹脂を露光すると、光が当たった部分のみが特定の現像液に溶解する。すなわち、感光性樹脂を用いることによって、フォトレジストの形成を省略することが出来る。有機パッシベーション膜108にコンタクトホール130を形成したあと、230℃程度で焼成することによって有機パッシベーション膜108が完成する。
【0031】
その後、コモン電極109となる第1ITO40をスパッタリングによって形成し、コンタクトホール130およびその周辺からITOを除去するようにパターニングする。コモン電極109は各画素共通に平面状に形成することが出来る。
【0032】
コモン電極109の上には、容量絶縁膜110となるSiNをCVDによって全面に形成する。その後、コンタクトホール130内において、コンタクト電極107と画素電極111の導通をとるためのコンタクトホール131を容量絶縁膜110に形成する。
【0033】
その後、第2ITO50をスパッタリングによって形成し、パターニングして画素電極111を形成する。画素電極111の上には、配向膜材料をフレキソ印刷あるいはインクジェット等によって塗布し、焼成して配向膜112を形成する。配向膜112の配向処理にはラビング法のほか偏光紫外線による光配向が用いられる。
【0034】
画素電極111とコモン電極109の間に電圧が印加されると、図4に矢印で示すような電気力線が発生する。この電界によって液晶分子301を回転させ、液晶層300を通過する光の量を画素毎に制御することによって画像を形成する。
【0035】
図4において、液晶層300を挟んで対向基板200が配置されている。対向基板200の内側には、カラーフィルタ201が形成されている。カラーフィルタ201は画素毎に、赤、緑、青のカラーフィルタが形成されており、これによってカラー画像が形成される。カラーフィルタ201とカラーフィルタ201の間にはブラックマトリクス202が形成されている。ブラックマトリクス202は、遮光膜として機能し、各色の混色防止や、TFTに光電流が流れることの防止、走査線10や映像信号線20からの反射光防止などの役割を有する。
【0036】
カラーフィルタ201およびブラックマトリクス202を覆ってオーバーコート膜203が形成されている。カラーフィルタ201およびブラックマトリクス202の表面は凹凸となっているために、オーバーコート膜203によって表面を平らにしている。オーバーコート膜203の上には、液晶の初期配向を決めるための配向膜112が形成される。配向膜112の配向処理はTFT基板100側の配向膜112と同様、ラビング法あるいは光配向法が用いられる。
【0037】
なお、以上の構成は一例であり、例えば、品種によってはTFT基板100において、コンタクト電極107あるいは映像信号線20との間にSiN等による無機パッシベーション膜が形成されている場合もある。
【0038】
図5および図6は、このような液晶表示装置において、焼付きが発生した例を示す平面図である。図5は、液晶表示装置の表示領域を7分割し、青ストライプ7Bと赤ストライプ7Rを交互に形成した状態を示している。図5における青ストライプ7Bの中には、多数の赤画素列、緑画素列、青画素列が含まれているが、青ストライプ7Bの表示領域では、青画素列のみがONになっている状態である。また、赤ストライプ7Rの中には、多数の赤画素列、緑画素列、青画素列が含まれているが、赤ストライプ7Rの表示領域では、赤画素列のみがONになっている状態である。
【0039】
図5に示すようなパターンを所定の時間表示した後、例えば、画面を白、あるいは単色1色に変化させた場合、図6に示すような、縦線状の焼付きパターン6が生ずる。この縦線状の焼付きパターン6は、青ストライプ7Bと赤ストライプ7Rの表示領域の境界に生じている。
本発明者らが、この現象について検証した結果、この原因は、液晶中のイオン性不純物であるイオン5が集積したためであることが分かった。本実施例の場合は、このようなイオン5の集積の特徴的な動きは、青ストライプ7Bが左で、赤ストライプ7Rが右であるような境界において生じている。
【0040】
図7乃至図9の断面図モデルを用いて、このような焼付きの発生原因を説明する。図7乃至図9は、図3に示すC−C断面に相当するが、図を複雑にしないために、映像信号線20、有機パッシベーション膜108、容量絶縁膜110、画素電極111、液晶300のみを記載した断面図である。図7乃至図9における+記号はプラスイオンを示す。また、画素電極111は、青画素電極111Bと赤画素電極111Rが記載されている。
【0041】
図7において、映像信号線20には、交流(AC)の映像信号が、振幅ΔV(例えば5V)、センター値+Vdc(例えば0.3V)で印加されている。センター値が基準電位からずれて直流(DC)電位をもつ理由は、走査線10をONするときの飛び込み電圧を相殺するために、画素電極電位の中心値を飛び込み電圧分だけ負側にシフトさせる必要があるが、このため、映像信号線20には、相対的に平均すると若干のプラス電圧が印加されるからである。このような状態において、まず、イオンが定常状態になっている時の分布を考え、次にAC電圧によるイオンの応答を摂動として考える。
【0042】
図7では、DC電圧のみが信号電極に印加した場合の、AC電圧によるイオンの応答を考えない定常状態のイオン分布を表している。すなわち、画素電極111B、111RにはDC電圧は印加されず、映像信号線20のみに+DC電位が印加されている状態である。図7では、液晶層300において、青の画素電極111Bに対応する領域をA、映像信号線20に対応する領域をB、赤の画素電極111Rに対応する領域をCとしている。
【0043】
このような状態では、プラスイオンは、映像信号線20からの漏れ電界の影響によりプラス電位になっている映像信号線20の上の領域Bではなく、青の画素電極111B及び赤の画素電極111Rの上の領域A,Cに分布するようになる。そうすると、イオンの影響によって、液晶の導電率σは、領域Aおよび領域Cの導電率σ1のほうが領域Bの導電率σ2よりも大きくなる。なお、この状態では、イオンの分布は定常状態となっており、イオンが一方向にフローすることはない。
【0044】
この状態から、AC電圧を印加した場合、定常状態からのイオン分布のズレを摂動として考える。図8乃至図9では、青ストライプ7Bの表示領域内の場合を示している。この時、赤の画素電極111RはOFFにしたまま、青の画素電極111BはONとなる。つまり、液晶は交流駆動されるので、青の画素電極111BにはAC電圧が印加され、赤の画素電極111Rにはグランド(GND)が印加される。そうすると、画素電極111B上にAC電圧による+電位の電界が発生し、不均一に分布した複数種のイオンのうち、比較的応答の速いイオンのみが、このAC電圧によって応答し、領域Aと領域Bの間の導電率の差によって、領域Aと領域Bの界面に電荷密度ΔQで誘起される。
【0045】
AC駆動で誘起されるイオンの電荷密度ΔQ(Surface Charge)は、AC周波数をω、σ2=σ、σ1−σ2=Δσ、εを誘電率、EをAC電圧の振幅値、iを虚数とすると、複素数表示で、
【0046】
【数1】
【0047】
で表される。
この誘起されたイオンの電荷密度ΔQの変化は、AC電圧による交流電界に完全には追随できず、時間的に遅れを生ずる。そうすると、誘起された界面電荷とAC電圧による交流電界の相互作用による誘電的な力Fは、時間平均<F>をとると、
【0048】
【数2】
【0049】
と、Eの2乗に比例し、σ1(大)→σ2(小)の方向に常に力がかかることになる。すなわち、イオンに対する誘電的な力は、図9の白抜きの矢印で示すように、導電率が高い領域A(導電率σ1)の側から導電率が低い領域B(導電率σ2)に向かう力となる。そのため、AC電圧信号の印加に伴い、AC電圧信号が正のフレームの場合も負のフレームの場合も、青ストライプ7Bの表示領域では映像信号線20側(図9では、左⇒右)にイオンがフローする力が発生することになる。
【0050】
一方、赤の画素電極111Rには電圧は印加されないので、領域Aと領域Bとの界面で生ずるような現象は、領域Bと領域Cとの界面では生じない。そうすると、青の画素電極111BだけにAC信号が印加されている間、すなわち、青ストライプ7Bの表示領域内では、プラスイオンが領域Aから領域Bに向かって流れる力が働き続けることになる。
【0051】
領域Bにイオンが流れ続けると、蓄積されたイオンは、領域Cにも拡散することになる。青ストライプ7B表示領域内では、青、赤、緑の副画素のセットが多数含まれているが、各副画素のセットにおいて、この現象が生ずるので、イオンは、図9における左側から右側に向かって流れ続けることになる。
【0052】
一方、赤ストライプ7Rが表示されている領域でも、図7乃至図9で説明した現象が生ずるが、この領域では、イオンの流れは、図7乃至図9で説明したものと逆方向の流れになる。ここで、図5を参照すると、青ストライプ7Bが表示された領域では、イオン5は右側に移動し、赤ストライプ7Rが表示された領域では、イオン5は左側に移動することになる。このため、イオン5は青ストライプ7Bと赤ストライプ7Rの境界に蓄積されることになる。
【0053】
このイオン5が蓄積される領域は、青ストライプ7Bが左で赤ストライプ7Rが右の場合における境界である。したがって、青赤のストライプパターンから白表示あるいは単色表示にすると、青ストライプ7Rと赤ストライプ7Rの境界領域にイオン5による焼付きが生ずることになる。
【0054】
尚、図3の例では、コモン電極109の開口部付近を示しているが、コモン電極109の開口部は、表示には寄与しない領域であるため、ブラックマトリクス202が重畳される領域である。したがって、この領域でイオンの蓄積が発生したとしても、焼き付きの現象は、目視されないはずである。しかしながら、表示領域中の一部でもイオンの流れが起こる領域が存在すると、その影響は、液晶層300を伝わって、ブラックマトリクス202に覆われていない画素内の他の領域、更には表示領域全般に影響し、結果として、図6で示されるような焼き付きの原因となる。
【0055】
このような現象は、映像信号線20に印加される電圧の影響によって、液晶層300の導電率にムラが生ずることが原因である。したがって、映像信号線20の電位を十分にシールドすることが出来れば、イオンの移動を抑えることが出来る。
【0056】
図3において、左側の画素の左側の映像信号線20はコモン電極109およびコモン金属配線30が重畳し、右側の画素の右側の映像信号線20もコモン金属配線30が重畳している。コモン電極109およびコモン金属配線30は映像信号線20と液晶層間に配置されているので、コモン電極109およびコモン金属配線30は、映像信号線20から発生する電界の液晶層側への伝播をシールドする機能を有している。本明細書ではこのような電極又は配線をシールド線と呼ぶこともある。
【0057】
なお、シールド線は、コモン金属配線30に限らず、コモン電極109を構成する第1ITO、あるいは画素電極111を構成するITO(以後、第2ITOともいう)と同時に形成した導電膜で形成することも出来る。
【0058】
しかしながら、映像信号線20の上にシールド線が形成されているとしても、シールド線が、映像信号線20に対して部分的にずれた箇所が存在すると、電位の不均一が生じ、それによって、イオンの分布に差が生ずる。そうすると、液晶層300の導電率にムラが生じ、特に漏れ電界が強い画素間で、図7乃至図9で説明したような、イオンの集積が生ずることになる。
【0059】
図10は、図3のC−C断面に対応する断面図である。ここで、対応するという意味は、1:1で対応するという断面図ではない。図10では、図を複雑にしないために、説明に必要な層以外は省略している。
【0060】
図10において、層間絶縁膜106の上に映像信号線20とコンタクト電極107が形成されている。映像信号線20とコンタクト電極107を覆って有機パッシベーション膜108が形成され、その上に何らかの導電層でシールド線が形成されている。シールド線を覆って容量絶縁膜110が形成され、その上に画素電極111B、111G、111Rが形成されている。
【0061】
図10では、シールド線の役割を担う配線として、コモン金属配線30で形成されるものと、コモン電極と同層で形成された第1ITO40で形成されるものとが存在している。図10で示されるように、最近の実際の製品においては、高精細化が進み配線のレイアウトの関係上、映像信号線20の中心とシールド線の中心がずれて配置されることが多い。
【0062】
また、シールド線として用いられる配線ごとに幅が異なり、図10の例では、コモン金属配線30の幅の方が、第1ITO40で形成されたシールド線よりも幅が大きい。このため、第1ITO40で形成されたシールド線と映像信号線20との中心の「ずれ」がx1であるとすると、コモン金属配線30で形成されたシールド線と映像信号線20との中心の「ずれ」はx2といった配線による差異がある。このように、映像信号線20から発する電界は、映像信号線20を覆うシールド線である程度遮断されるもの、その遮断の割合は「ずれ」に応じて異なり、画素毎で異なる漏れ電界が液晶層側に伝達することになる。
【0063】
図10において、映像信号線20からの漏れ電界は破線の矢印で示されている。漏れ電界の強さはE1>E2>E3の順である。この場合、赤の画素の左側及び青の画素の右側の漏れ電界が最も強い。このような、映像信号線20からの漏れ電界にアンバランスが存在し、且つ、特定の色の間の画素間(本実施例では、青赤画素間)の漏れ電界の強さが常に高い状態が生じると、図5のようなストライプ表示を行った場合、イオンの特定方向への流れが生じ、特定領域へイオンが蓄積され、焼付きが生じることになる。
【0064】
上記のような映像信号線を覆うシールド線の画素間の「ずれ」は、近年の高解像度化によって顕著になっている。画素サイズが小さくなり、配線のレイアウトが困難になっていることが主因であるが、本発明の課題となっているイオンフローは過去に着目されていなかったことも大きい。よって、映像信号線とシールド線の重畳の対称性が考慮させずに設計される例が増えているためである。
【0065】
したがって、このようなイオンの流れを防止するためには、最も好ましくは、全てのシールド線において、映像信号線20からのはみ出し領域が均一のサイズになること、また仮に、シールド線が配置できない領域においては、表示領域内において、特定の色の画素間のみにならないことである。
【0066】
以下に、本実施例における具体的な例を示す。図11は、本発明による画素構成を示す断面図である。図11は、図3のC−C断面に対応する断面図である。なお、C−C断面に対応するとは、全ての電極が1:1で対応するという意味ではない。図11において、層間絶縁膜106の上にコンタクト電極107と映像信号線20が形成されている。コンタクト電極107と映像信号線20を覆って有機パッシベーション膜108が形成され、その上にシールド線が形成され、その上に容量絶縁膜110が形成され、その上に、画素電極111あるいはシールド線が形成されている。画素電極111の幅はコンタクト電極107とほぼ同じである。
【0067】
図11の特徴は、シールド線の幅方向の中心と、映像信号線20の幅方向の中心が一致していることである。図11の下側の拡大図にこの様子を示す。図11の拡大図において、α=βであり、α、βはゼロよりも大きい。また、αとβに差が生ずる場合も、αとβの差は2μm以下であることが好ましい。この場合、映像信号線とシールド線の中心のずれは1μm以下である。より好ましくは、αとβの差は1.5μm以下であり、この場合、映像信号線とシールド線の中心のずれは0.75μm以下となる。
【0068】
しかし、画素ピッチが小さくなると、同じ配線によるシールド線を全ての映像信号線20の上に形成することは、レイアウトの関係から難しい場合がある。本発明では、シールド線を、コモン金属配線30、第1ITO40、第2ITO50の3種類によって形成することによって、この問題を対処している。例えば、TFT基板100と対向基板200の間隔を規定するために、柱状スペーサ180が使用されるが、この柱状スペーサ180が使用される部分には、コモン金属配線30を使用せず、第1ITO40によってシールド線を形成している。
【0069】
また、全てのシールド線を同じ層に形成することが困難な場合がある。図9では、一部のシールド線を画素電極111と同じ第2ITO50で形成し、画素電極111と同じ層に形成することによって、この問題に対処している。画素電極111と、画素電極111と同じ層に形成されているシールド線は、画素電極111とは絶縁されており、例えば容量絶縁膜110に形成されたスルーホールを介してコモン電極109と接続している。
【0070】
また、映像信号線20を覆うシールド線は、1層のみで形成する必要はなく、レイアウトの都合によっては、複数の層で形成しても良い。図12乃至図16は、シールド線を複数の層で形成した場合の例である。図12は、映像信号線を覆って、有機パッシベーション膜の上に第1ITO40とコモン金属配線30を積層して形成している例である。2つの層を積層することによって、シールド線の幅を大きくしている。
【0071】
図13は、映像信号線20を覆って、有機パッシベーション膜108の上に第1ITO40を形成し、絶縁膜110を介して第2ITO50を積層している例である。図13における第1ITO40と第2ITO50は別な場所で電気的に接続している。2つの層を積層することによって、シールド線の幅を大きくしている。
【0072】
図14は、映像信号線20を覆って、有機パッシベーション膜108の上にコモン金属配線30を形成し、絶縁膜110を介して第2ITO50を積層している例である。図14におけるコモン金属配線30と第2ITO50は別な場所で電気的に接続している。2つの層を積層することによって、シールド線の幅を大きくしている。
【0073】
図15は、映像信号線20を覆って、有機パッシベーション膜108の上に第1ITO40を形成し、その上に直接コモン金属配線30を積層した例である。図15は、コモン金属配線30を第1ITO40の上に積層することによって、シールド線の電気抵抗を小さくしている例である。
【0074】
図16は、映像信号線20を覆って、有機パッシベーション膜108の上に第1ITO40を形成し、絶縁膜110を介して第2ITO50を積層している例である。図16の第1ITO40と第2ITO50は別な場所で電気的に接続している。図16図13と異なる点は、第1ITO40の幅が第2ITO50の幅よりも大きく形成されており、第2ITO50は第1ITO40の幅内に含まれている点である。なお、図16とは逆に、第2ITO50の幅を第1ITO40の幅よりも大きくしてもよい。
【0075】
このように、本発明では、映像信号線20をシールド線によって、左右対称に覆うことによって、映像信号線20の影響のアンバランスを抑え、イオンの移動を防止し、かつ、イオンが特定の場所に蓄積されることを防止することが出来る。これによって、焼付きを防止することが出来る。
【実施例2】
【0076】
図17は本発明の実施例2を示す平面図である。図17において、横方向に走査線10が延在し、走査線10と交差して映像信号線20が形成されている。映像信号線20はシールド線によって覆われている。シールド線と映像信号線20との間には有機パッシベーション膜等の絶縁膜が形成されていることは実施例1と同じである。
【0077】
図17において、シールド線は、場所によって、第1ITO40、第2ITO50、コモン金属配線30等で形成されている。なお、シールド線は、図12乃至図16に記載したような積層構造で形成してもよい。
【0078】
映像信号線20と映像信号線20の間に、画素電極111を有する画素が形成されている。画素電極111の第1の領域は櫛歯が2本形成され、中央にスリットが存在した構成となっている。図17の画素電極111の形状は一例であり、例えば、図3に示すように櫛歯が1本の場合もあるし、3本以上の場合もある。
【0079】
なお、映像信号線20とシールド線の中心は一致しているので、図17乃至図21では、シールド線とシールド線の間を画素と定義することもできる。画素電極111が液晶層300を駆動し表示に寄与する駆動する駆動領域とTFTと接続するためのコンタクト領域とに分けることが出来る。ここでは、駆動領域を第1の領域55、コンタクト領域を第2の領域60と呼ぶ。画素の第1の領域55には、コモン電極109が横方向に複数の画素に渡って形成されている。したがって、画素の第1の領域では、映像信号線20はコモン電極109によってシールドされている。
【0080】
一方、図3のような高精細化した表示領域の例では、画素の第2の領域60には、第1の領域55のように、映像信号線20に重畳するコモン電極109が無い部分が増えるので、映像信号線20の電位の変化による電界の影響を受けやすい。実施例1では、シールド線によって、映像信号線20からの電界の影響を抑えるようにしている。しかしながら、シールド線は、全ての線において、均等な幅で形成し、且つ映像信号線20に常に同じ位置で重複するよう配置することは、レイアウトの都合上難しい場合がある。本実施例では、このような場合においても、映像信号線20からの電界の影響を抑えるため、画素電極111自体の構成でも対策を行う。
【0081】
具体的には、図17で示すように、画素の第2の領域60において、画素電極111と一方のシールド線との距離d1と画素電極111と他のシールド線との距離d2を一致させることによって、映像信号線20の影響を左右均等にして、映像信号線20からの漏れ電界のアンバランスを極力抑えるものである。
【0082】
レイアウトの制約や製造誤差等によってd1とd2に差が生ずる場合もあるが、この場合もd1とd2の差は2μm以下、より好ましくは、1.5μm以下である。画素の第2の領域60が図17に示すようなシールド線の延在方向にストレート形状ではない場合、d1あるいは、d2の寸法は、シールド線と平行方向に最も長い辺とシールド線との距離を取ればよい。
【0083】
図18は実施例2の第2の形態を示す平面図である。図18で表示される画素数は少ないが、シールド線には、第1ITO40、第2ITO50、コモン金属配線30が使用されている点で図17の場合と同じである。図18の画素電極111の駆動領域は右方向に突起1115が形成され、画素電極111が左右アンバランスになっている。この右方向への突起1115は、液晶表示パネルを指で押したような場合、押しドメインを早期に消失させるためのものである。
【0084】
図18では、画素電極111の第1の領域55がこのように、左右アンバランスである場合、第2の領域60での画素電極111は、左右対称に拡張領域1116,1117を形成した構造となっている。言い換えると、画素の第2領域60においては、画素電極111とシールド線との距離が両側において等しい。これによって、第2領域60が、コモン電極によって覆われていない場合においても、映像信号線20の影響を左右バランスさせることが出来、ストライプパターンを表示した場合のイオンの流れを抑制することが出来る。
【0085】
一方、画素の第1の領域では、画素電極111の形状が左右アンバランスになっているが、この部分では映像信号線20は横方向にストライプ状に延在するコモン電極109によって覆われているので、映像信号線20の影響はシールドされる。したがって、画素電極111が左右アンバランスであることによるイオンの流れは生じない。
【0086】
図19は実施例2の第3の形態を示す平面図である。図19も、シールド線には、第1ITO40、第2ITO50、コモン金属配線30が使用されている点で図18の場合と同じである。図19の画素電極111の第1の領域は右方向に突起1115が形成され、画素電極111が左右アンバランスになっている点は図18と同じである。
【0087】
図19図17および図18と異なる点は、画素の第2領域60において、画素電極111は突起1116のみを有していることである。このため、画素の第2領域60において、画素電極111とシールド線の間隔が大きい部分が生じている。しかし、図19においては、画素電極111のコンタクト領域は、全ての画素において、左側に配置しているので、イオンの動く向きは全ての画素において同じ方向である。そうすると、イオンは表示領域の特定の場所に集積するということは無い。したがって、表示領域においては、イオンの集積による焼付きは生じない。つまり、図19の構成であれば、イオンの流れは生ずるが、表示領域には集積されないので焼付きは生じない。イオンは、表示領域外に集積される可能性はあるが、表示品質には影響を与えない。
【0088】
図20は実施例2の第4の形態を示す平面図である。図20では、画素を2行分表示している。上側を第1の画素行、下側を第2の画素行と呼ぶ。第2の画素行は図19で説明したのと同じ構成である。一方、図20の上側の第1の画素行における画素電極111は、第2の画素行に比較して、突起1115と突起1116が第1の画素行と逆方向に形成されている。
【0089】
そうすると、図5に示すようなストライプパターンを表示した場合、第1の画素行と第2の画素行では、イオンの流れを生じさせる向きが逆になる。液晶は粘性を持っているので、例えば第1の画素行における液晶に対する力は、第2の画素行における液晶に対する力に影響を与える。つまり、第1の画素行におけるイオンを動かそうという力は、第2の画素行におけるイオンを動かそうという力を相殺するように働くので、イオンの流れ自体を小さくすることが出来る。第1の画素行に対して、第2の画素行が与える影響も同様である。
【0090】
したがって、図20の構成によれば、イオンの流れ自体を小さくすることが出来、かつ、仮にイオンに流れが生じても、そのイオンは、表示領域外に蓄積するので、焼付きに対して影響しない。
【0091】
図21は実施例2の第5の形態を示す平面図である。図21でも、画素を2行分表示している。上側を第1の画素行、下側を第2の画素行と呼ぶ。第1の画素行において、縦方向の長さが大きくなった画素が存在している。また、第2の画素行において、縦方向の長さが小さくなった画素が存在している。たとえばRBGWなどの白画素を加えた4色のカラーフィルタを使用する場合、各色の輝度調整のためにこのような配置とする場合がある。
【0092】
図21において、画素電極111の第1の領域55では、平面で視て、コモン電極109が複数の画素に渡って延在している。画素を区画するシールド線の構成は、図18等で説明したのと同じである。図21の縦方向に大きくなった画素の第2の領域60においては、画素電極111は画素内において、左右対称に突起1116,1117が配置されている。
【0093】
そうすると、仮に、映像信号線20からの電界をシールド線によって完全に遮蔽できなかったとしても、漏れ電界は対称となるので、イオンの流れは抑制出来る。したがって、イオンの蓄積による焼付きを抑制することが出来る。図21において、縦方向に小さくなった画素についても、画素の第2の領域60において画素電極111が左右均等に分布しているので、イオンの流れを抑制することが出来、イオンの蓄積による焼付きを抑制することが出来る。
【0094】
本実施例における図17乃至図21の説明では、画素の第2領域60における対称性は、図17に示すd1とd2の差として定義した。この対称性は、画素電極111のコンタクト領域の、走査線が延在する方向の中心と、該画素電極111のコンタクト領域を両側から挟むシールド線で区画される画素の第2領域60の走査線が延在する方向の中心の差として定義することも出来る。
【0095】
この定義においては、数値的には、図17、18、21では画素電極のコンタクト領域の走査線方向の中心と、画素の第2領域の走査線方向の中心の差は、1.0μm以下であり、より好ましくは、0.75μm以下であると規定することが出来る。図19、20では1.5μm以上であると規定することができる。
【符号の説明】
【0096】
1…液晶表示装置、 2…表示領域、 3…額縁領域、 4…シール材、 5…イオン、 6…焼付き、 7B…青ストライプパターン、 7R…赤ストライプパターン、 10…走査線、 20…映像信号線、 30…コモン金属配線、 40…第1ITO、 50…第2ITO、 60…画素の第2領域、 100…TFT基板、 101…第1下地膜、 102…第2下地膜、 103…半導体層、 104…ゲート絶縁膜、 105…ゲート電極、 106…層間絶縁膜、 107…コンタクト電極、 108…有機パッシベーション膜、 109…コモン電極、 110…容量絶縁膜、 111…画素電極、 112…配向膜、 115…配向軸、 120…スルーホール、 130…有機パッシベーション膜のスルーホール、 131…容量絶縁膜のスルーホール、 140…スルーホール、 150…端子部、 160…フレキシブル配線基板 170…ドライバIC、 180…柱状スペーサ、 200…対向基板、 201…カラーフィルタ、 202…ブラックマトリクス、 203…オーバーコート膜、 300…液晶層、 301…液晶分子、 501…下偏光板、 502…上偏光板、 D…ドレイン部、S…ソース部
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