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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-122429(P2019-122429A)
(43)【公開日】2019年7月25日
(54)【発明の名称】電気刺激装置
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/08 20060101AFI20190704BHJP
【FI】
   A61N1/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-3014(P2018-3014)
(22)【出願日】2018年1月12日
(71)【出願人】
【識別番号】000103471
【氏名又は名称】オージー技研株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】304021277
【氏名又は名称】国立大学法人 名古屋工業大学
(72)【発明者】
【氏名】瀬川 昌治
(72)【発明者】
【氏名】大西 聖司
(72)【発明者】
【氏名】高垣 俊之
(72)【発明者】
【氏名】クグレ マウリシオ
(57)【要約】
【課題】被験者が眼内閃光を感じて不快感が増大することを防止可能な電気刺激装置を提供する。
【解決手段】被験者の頭部に装着する電極と、電極に電気刺激を出力する刺激出力手段と、を備え、電気刺激を途中で停止するとき、被験者が眼内閃光を感じにくい所定時間をかけて刺激出力手段の出力を減少させる。また、刺激出力手段の出力の定常値を所定時間で零にするときの出力の単位時間あたりの変化量と、電気刺激の通常停止時の出力の単位時間あたりの変化量とが等しい場合はその変化量を停止変化量とし、異なる場合は大きい方の変化量を停止変化量とする。そして、電気刺激を途中で停止するとき、単位時間あたりの変化量を停止変化量にして刺激出力手段の出力を減少させる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の頭部に装着する電極と、前記電極に電気刺激を出力する刺激出力手段と、を備え、
前記電気刺激を途中で停止するとき、前記被験者が眼内閃光を感じにくい所定時間をかけて前記刺激出力手段の出力を減少させる、
ことを特徴とする電気刺激装置。
【請求項2】
前記刺激出力手段の出力を減少させるときの、前記出力の単位時間あたりの変化量が一定である、
ことを特徴とする請求項1に記載の電気刺激装置。
【請求項3】
前記刺激出力手段の出力の定常値を前記所定時間で零にするときの前記出力の単位時間あたりの変化量と、前記電気刺激の通常停止時の前記出力の単位時間あたりの変化量とが等しい場合はその変化量を停止変化量とし、異なる場合は大きい方の前記変化量を停止変化量とし、
前記電気刺激を途中で停止するとき、単位時間あたりの変化量を前記停止変化量にして前記刺激出力手段の出力を減少させる、
ことを特徴とする請求項2に記載の電気刺激装置。
【請求項4】
前記刺激出力手段の出力を減少させるときの、前記出力の単位時間あたりの変化量を変化させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の電気刺激装置。
【請求項5】
前記刺激出力手段の出力が大きい場合に比べて、前記出力が小さい場合の方が、前記出力の単位時間あたりの変化量が大きい、
ことを特徴とする請求項4に記載の電気刺激装置。
【請求項6】
前記刺激出力手段の出力の単位時間あたりの変化量を時間に応じて変化させる、
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の電気刺激装置。
【請求項7】
前記電気刺激の通常動作における前記刺激出力手段の出力が増加する期間、及び/又は、減少する期間において、前記被験者が眼内閃光を感じにくい時間をかけて前記刺激出力手段の出力を変化させる、
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の電気刺激装置。
【請求項8】
前記期間において前記刺激出力手段の出力の単位時間あたりの変化量を変化させ、前記出力が大きい場合に比べて、前記出力が小さい場合の方が、前記出力の単位時間あたりの変化量が大きい、
ことを特徴とする請求項7に記載の電気刺激装置。
【請求項9】
前記期間において前記刺激出力手段の出力の単位時間あたりの変化量を時間に応じて変化させる、
ことを特徴とする請求項7又は8に記載の電気刺激装置。
【請求項10】
前記所定時間を設定するための入力手段を備えた、
ことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の電気刺激装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気刺激装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、麻痺した手足の機能向上を目的とした機能的電気刺激(FES:Functional Electrical Stimulation)、疼痛緩和等を目的とした治療的電気刺激(TES:Therapeutic Electrical Stimulation)、筋力低下予防等を目的とした神経筋電気刺激(NMES:Neuromuscular Electrical Stimulation)、脳卒中後遺症の改善等を目的とした経頭蓋直流電気刺激(tDCS:transcranial Direct Current Stimulation)が知られており、特許文献1には、神経筋電気刺激と経頭蓋直流電気刺激を1つの介入体制として組み合わせる電気刺激システムが記載されている。特許文献1の図5Aには経頭蓋直流電気刺激のタイミング図が例示されており、段落[0096]には定常DCは通常1ないし60分の時間印加されることが記載されているが、電流停止時の詳細については記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2010−519003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、経頭蓋直流電気刺激を行っている間に、停止スイッチ押下時、あるいは、異常発生時(電流/電圧が基準値を超えた場合)など、電気刺激を停止する必要があるとき、電流を急激に減少させると、被験者が眼内閃光を感じて不快感が増大するという課題があった。
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、被験者が眼内閃光を感じて不快感が増大することを防止可能な電気刺激装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る電気刺激装置は、被験者の頭部に装着する電極と、前記電極に電気刺激を出力する刺激出力手段と、を備え、前記電気刺激を途中で停止するとき、前記被験者が眼内閃光を感じにくい所定時間をかけて前記刺激出力手段の出力を減少させる、ことを特徴とする。この構成により、電気刺激中に、停止スイッチ押下時、あるいは、異常発生時など、電気刺激を途中で停止する必要があるとき、被験者が眼内閃光を感じにくい所定時間をかけて刺激出力手段の出力を連続的に減少させることで、電気刺激を緩やかに減少させることができ、被験者が眼内閃光を感じることを防止することができる。
【0006】
請求項2に係る電気刺激装置は、前記刺激出力手段の出力を減少させるときの、前記出力の単位時間あたりの変化量が一定である、ことを特徴とする。この構成により、電気刺激を緩やかに減少させることができ、被験者が眼内閃光を感じることを防止することができる。
【0007】
請求項3に係る電気刺激装置は、前記刺激出力手段の出力の定常値を前記所定時間で零にするときの前記出力の単位時間あたりの変化量と、前記電気刺激の通常停止時の前記出力の単位時間あたりの変化量とが等しい場合はその変化量を停止変化量とし、異なる場合は大きい方の前記変化量を停止変化量とし、前記電気刺激を途中で停止するとき、単位時間あたりの変化量を前記停止変化量にして前記刺激出力手段の出力を減少させる、ことを特徴とする。この構成により、余分に長い時間をかけて電気刺激を停止することを防止でき、被験者が眼内閃光を感じることなく速く電気刺激を停止することができる。
【0008】
請求項4に係る電気刺激装置は、前記刺激出力手段の出力を減少させるときの、前記出力の単位時間あたりの変化量を変化させる、ことを特徴とする。この構成により、被験者が眼内閃光を感じることなく速く電気刺激を停止できるように、出力の単位時間あたりの変化量を設定することができる。
【0009】
請求項5に係る電気刺激装置は、前記刺激出力手段の出力が大きい場合に比べて、前記出力が小さい場合の方が、前記出力の単位時間あたりの変化量が大きい、ことを特徴とする。この構成により、被験者が眼内閃光を感じることなく速く電気刺激を停止することができる。
【0010】
請求項6に係る電気刺激装置は、前記刺激出力手段の出力の単位時間あたりの変化量を時間に応じて変化させる、ことを特徴とする。この構成により、被験者が眼内閃光を感じることなく速く電気刺激を停止することができる。
【0011】
請求項7に係る電気刺激装置は、前記電気刺激の通常動作における前記刺激出力手段の出力が増加する期間、及び/又は、減少する期間において、前記被験者が眼内閃光を感じにくい時間をかけて前記刺激出力手段の出力を変化させる、ことを特徴とする。この構成により、電気刺激の通常動作の開始時又は終了時において、電気刺激を緩やかに増加又は減少させることができ、被験者が眼内閃光を感じることを防止することができる。
【0012】
請求項8に係る電気刺激装置は、前記期間において前記刺激出力手段の出力の単位時間あたりの変化量を変化させ、前記出力が大きい場合に比べて、前記出力が小さい場合の方が、前記出力の単位時間あたりの変化量が大きい、ことを特徴とする。この構成により、被験者が眼内閃光を感じることなく速く電気刺激を開始又は終了することができる。
【0013】
請求項9に係る電気刺激装置は、前記期間において前記刺激出力手段の出力の単位時間あたりの変化量を時間に応じて変化させる、ことを特徴とする。この構成により、被験者が眼内閃光を感じることなく速く電気刺激を開始又は終了することができる。
【0014】
請求項10に係る電気刺激装置は、前記所定時間を設定するための入力手段を備えた、ことを特徴とする。この構成によれば、被験者によって眼内閃光を感じる時間の違いを考慮して、被験者ごとに所定時間を設定することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、電気刺激を途中で停止するとき、被験者が眼内閃光を感じて不快感が増大することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施の形態に係る電気刺激装置の平面図である。
図2】同電気刺激装置の電気的構成を示すブロック図である。
図3】実施の形態1における定電流回路から電極に出力される電流波形の一例を示す波形図である。
図4】実施の形態1における定電流回路から電極に出力される電流波形の他の例を示す波形図である。
図5】実施の形態2における定電流回路から電極に出力される電流波形の一例を示す波形図である。
図6】実施の形態2における定電流回路から電極に出力される電流波形の他の例を示す波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態に係る電気刺激装置について図面を参照して説明する。
【0018】
(実施の形態1)
図1に示すように、本発明の実施の形態1による電気刺激装置1は、電気刺激を出力するための電気回路が内部に設けられた装置本体2と、被験者の頭部に装着されて電気刺激の印加を行う電極3と、電極3を装置本体2に接続する電極ケーブル4とを主たる構成としている。
【0019】
電極ケーブル4は2極導子コードにより構成されており、電極ケーブル4の基端側は装置本体2に着脱可能に接続され、電極ケーブル4の先端側には電極3が着脱可能に取り付けられる。電極3は2個の角型電極3a、3bから構成され、角型電極3a、3bは導電性シリコンゴムにより構成される。電極3の形状は、四角形や円形など頭部に装着して電気刺激を印加できるものであればどのような形状でもよい。また、電極3を頭部に装着する際に、電極3に不図示のスポンジを取り付けてそのスポンジに生理食塩水を含ませ、電極3からスポンジを介して頭部に電気刺激を与えるようにしてもよい。例えば、四角形電極を抜き差し可能な袋状の四角形スポンジや、周縁部を縫い合わされた2枚の円形スポンジのうち一方の円形スポンジに円形電極を抜き差しするためのスリットを設けた円形スポンジ、等を使用することができる。なお、被験者の頭部に電極3を装着する場合、例えば、角型電極3a、3bをそれぞれ前頭部と後頭部、又は、前頭部の左部分と右部分、などに装着する。
【0020】
装置本体2の表面には、刺激条件の設定や変更などを行う操作スイッチ部5、設定された刺激条件などの情報を表示する液晶表示部6、電極3に電流が出力されている時に点滅するLED表示部7が設けられており、装置本体2の上面には、電源の入切を行う電源スイッチ8が設けられている。操作スイッチ部5は、電気刺激の印加を開始する開始スイッチ5a、電気刺激の印加を停止する停止スイッチ5b、液晶表示部6のカーソルの上移動及び刺激条件の設定値の増加を行う上スイッチ5c、液晶表示部6のカーソルの下移動及び刺激条件の設定値の減少を行う下スイッチ5d、液晶表示部6のカーソルの左移動及び右移動を各々行う左スイッチ5e及び右スイッチ5f、刺激条件の設定及び変更を行う決定スイッチ5gの各種スイッチ群により構成されている。
【0021】
図2は、電気刺激装置1の電気的構成を示すブロック図である。電気刺激装置1は、制御部9、バッテリ10、DC−DCコンバータ11、定電流回路12、DAコンバータ13及び測定用回路14を有しており、これらは装置本体2の内部に設けられている。制御部9は、液晶表示部6、LED表示部7及びDAコンバータ13を制御するもので、マイクロコンピュータ(マイコン)により構成される。設定された刺激条件などのデータは制御部9の内部メモリに記憶される。
【0022】
バッテリ10は、ACアダプタ15を介して商用電源に接続された充電器16によって充電可能であり、例えばリチウムイオン二次電池などの充電式電池であるが、アルカリ乾電池などを用いてもよい。電源スイッチ8が入れば、バッテリ10の電圧はDC−DCコンバータ11に供給される。DC−DCコンバータ11は、バッテリ10から供給された電圧を昇圧して制御部9と定電流回路12に供給する。また、測定用回路14は角型電極3a、3b間の電流及び電圧を測定するための回路である。測定用回路14で測定された電流値及び電圧値は制御部9に入力され、例えば測定された電流値又は電圧値が基準値を超えた場合、制御部9はDAコンバータ13を制御することで定電流回路12の出力を減少させて電気刺激を停止させる。バッテリ10の電圧値は制御部9に入力され、制御部9はバッテリ10の残量を監視している。DC−DCコンバータ11、定電流回路12及びDAコンバータ13は、電極3に電流を出力して頭部に電気刺激を印加するための刺激出力手段17を構成する。
【0023】
次に、定電流回路12から電極3に出力される電流波形について説明する。図3は、電流波形の一例であり、通常の電気刺激を行うとき(通常動作のとき)に出力される電流波形を波形d1〜d3(破線)で示している。波形d1は時間0〜t1の間に電流が0からI1まで増加する波形を表し、波形d2は時間t1〜t2の間に電流I1を維持する波形を表し、波形d3は時間t2〜t3の間に電流がI1から0まで減少する波形を表している。時間t1〜t2の間では、刺激出力手段17の出力である電流が定常値(電流I1)であり、時間t1から時間t2までを動作時間T1という。電流の上昇期間(時間0〜t1の期間)及び電流の下降期間(時間t2〜t3の期間)では、電流の単位時間あたりの変化量(以下、「単位変化量」という)は一定であり、これらの単位変化量は電気刺激装置1の使用者が操作スイッチ部5を操作することにより設定可能である。電流の上昇期間及び下降期間における電流の単位変化量は、電流の増加時又は減少時において被験者が眼内閃光を感じにくい値であり、単位変化量を使用者が設定する場合には被験者が眼内閃光を感じにくい値の中から選択できるようにしている。例えば、単位変化量の設定可能範囲は0.03〜0.15mA/秒であり、この範囲内で設定可能な数値を複数用意してその中から選択して設定できるようにしてもよい。図3では、上昇期間での電流の単位変化量と下降期間での電流の単位変化量を同じにしているが、異なっていてもよい。また、電流I1と動作時間T1は使用者が操作スイッチ部5を操作することにより設定可能である。電流I1の設定可能範囲は例えば0.1〜2.0mAであり、動作時間T1の設定可能範囲は例えば1秒〜60分である。
【0024】
図3に実線で示す波形a、b、cは、電気刺激中に、停止スイッチ5bの押下時、あるいは、異常発生時など、電気刺激を途中で停止する必要があるときの電流波形を示している。波形aは通常の電気刺激による電流が増加している途中で電気刺激を停止する場合を示し、波形bは通常の電気刺激による電流が定常値のときに電気刺激を停止する場合を示し、波形cは通常の電気刺激による電流が減少している途中で電気刺激を停止する場合を示している。電流I1が0になるのに要する時間である時間T2を異常停止時間という。異常停止時間T2は使用者による設定が可能であり、例えば異常停止時間T2の設定可能範囲は2〜10秒である。また、波形a、cの傾きは波形bの傾きと同じであり、波形a、b、cは全て同じ単位変化量で減少している。すなわち、通常の電気刺激による電流が定常値のときに電気刺激を停止する場合、設定された異常停止時間T2で電流が0になるように電流を減少させており、通常の電気刺激による電流が増加又は減少している途中で電気刺激を停止する場合、波形bと同じ単位変化量で電流を減少させるようにしている。なお、図3は、設定された異常停止時間T2が、波形d3において電流がI1から0まで減少する時間(下降期間の長さ:t3−t2)よりも短い場合を示している。
【0025】
図4は、実施の形態1における電流波形の他の例であり、破線で示す波形d1〜d3は図3に示す波形d1〜d3と同じで、通常の電気刺激を行う際に出力される電流波形を示している。時間T3は、電気刺激の停止に要する時間として使用者が設定した異常停止時間(電流I1を0にするのに要する時間)を表しており、異常停止時間T3は例えば2〜10秒の範囲で設定可能である。図4は、使用者が設定した異常停止時間T3が、波形d3において電流がI1から0まで減少する時間(下降期間の長さ:t3−t2)よりも長い場合を示している。
【0026】
図4に実線で示す波形e、fは、電気刺激中に、停止スイッチ5bの押下時、あるいは、異常発生時など、電気刺激を途中で停止する必要があるときの電流波形を示している。波形eは通常の電気刺激による電流が増加している途中で電気刺激を停止する場合を示し、波形fは通常の電気刺激による電流が定常値のときに電気刺激を停止する場合を示している。また、通常の電気刺激による電流が減少している途中で電気刺激を停止する場合には、波形d3に従って電流を減少させる。波形e、fの傾きは波形d3の傾きと同じで、波形e、fは波形d3で示す通常停止時の電流と同じ単位変化量で減少している。
【0027】
ここで、電気刺激を途中で停止するとき、電流を急激に減少させると被験者が眼内閃光を感じることがある。これに対して本実施の形態では、電流を急激に減少させるのではなく所定時間をかけて電流を緩やかに減少させている。例えば、図3において時間t1〜t2の期間内で電気刺激を停止する場合には、異常停止時間T2をかけて電流を緩やかに減少させている。所定時間を被験者が眼内閃光を感じにくい時間に設定することにより、電気刺激を途中で停止するとき被験者が眼内閃光を感じることを防止することができる。
【0028】
また、図3及び図4を用いて説明したように、電気刺激を途中で停止するとき、電流I1を零(0)にするときの電流の単位変化量(Ra)と、通常停止時の電流の単位変化量(Rb)のうち、大きい方の単位変化量によって電流を減少させる。RaとRbが等しい場合は単位変化量をRa(=Rb)として電流を減少させる。すなわち、刺激出力手段17の出力の定常値を所定時間で零にするときの前記出力の単位変化量と、電気刺激の通常停止時の前記出力の単位変化量とが等しい場合はその単位変化量を停止変化量とし、等しくない場合は大きい方の単位変化量を停止変化量とし、電気刺激を途中で停止するとき、単位変化量を停止変化量にして刺激出力手段17の出力を減少させている。これにより、余分に長い時間をかけて電気刺激を停止することを防止でき、被験者が眼内閃光を感じることなく速く電気刺激を停止することができる。
【0029】
ここで、異常発生によって電気刺激を途中で停止する条件例について説明する。第1の条件は、電極間(角型電極3a、3b間)の電流値が基準値を超えることである。第2の条件は、電極間の電圧値が基準値を超えることである。第3の条件は、電極間の抵抗値が基準値を超えることである。第4の条件は、制御部9においてCPUの故障で不図示のADコンバータが正常に動作しなくなり、電極間の電流、電圧が測定できなくなることである。第5の条件は、バッテリ10の電圧が基準値よりも低下することである。第6の条件は、制御部9がバッテリ10の電圧を監視できなくなることである。このような第1〜第6のいずれかの条件を満たすと、図3及び図4を用いて説明したように電気刺激を途中で停止するようにしている。また、電極間の電圧値や抵抗値が大きくなる原因として、電気刺激を長時間行っている間に被験者が動くことや、スポンジに含ませた生理食塩水が乾くことによって、被験者への電極の接触面積が小さくなることなどが考えられる。なお、基準値を一定にしてもよく可変にしてもよい。
【0030】
次に、刺激条件の設定例について説明する。一例として、電流I1を1mA、波形d3の単位変化量を0.1mA/秒、異常停止時間を5秒にそれぞれ設定したとする。この場合、時間t2から時間t3までの時間は10秒となり、異常停止時間の5秒よりも長くなるため、電気刺激を途中で停止するときは図3に示す電流波形に従って電流が減少する。
【0031】
刺激条件の他の設定例として、電流I1を0.2mA、波形d3の単位変化量を0.05mA/秒、異常停止時間を5秒にそれぞれ設定したとする。この場合、時間t2から時間t3までの時間は4秒となり、異常停止時間の5秒よりも短くなるため、電気刺激を途中で停止するときは図4に示す電流波形に従って電流が減少する。
【0032】
以上のように、電気刺激を途中で停止するとき、被験者が眼内閃光を感じにくい所定時間をかけて刺激出力手段17の出力を減少させている。これにより、電気刺激を途中で停止した場合でも、被験者が眼内閃光を感じることを防止することができる。また、電気刺激装置は所定時間を設定するための入力手段を備えていてもよく、操作スイッチ部5が入力手段の一例である。このような入力手段を備えていれば、被験者によって眼内閃光を感じる時間の違いを考慮して、被験者ごとに所定時間を設定することができる。
【0033】
なお、被験者が眼内閃光を感じにくくするためには、設定された電流I1の値が小さい場合に比べて大きい場合の方が、長い異常停止時間が必要になると考えられる。この点を考慮して、使用者によって設定された電流I1の値に応じて、異常停止時間の設定可能範囲を変えるようにしてもよい。例えば、設定された電流I1の値が大きいほど、異常停止時間の設定可能範囲の下限値を大きくする。また、電流の上昇期間及び下降期間における電流の単位変化量を使用者が設定可能にした例を示したが、その単位変化量を予め決めて装置に記憶させておき、使用者が設定しないようにしてもよい。これにより、電流の上昇期間及び下降期間での単位変化量を使用者が意識する必要がなくなり、使用者が設定する項目を減らし、電気刺激装置を扱いやすくすることができる。
【0034】
(実施の形態2)
実施の形態1では、電気刺激を通常停止するとき及び電気刺激を途中で停止するとき、電流値が零になるまで電流を一定の単位変化量で減少させていたが、必ずしも単位変化量が一定である必要はなく、電流の単位変化量が変化してもよい。例えば、電流値が小さいときには電流の単位変化量が多少大きくても被験者が眼内閃光を感じにくく、電流値が大きいときには電流の単位変化量を小さくしなければ被験者が眼内閃光を感じやすくなると考えられる。このことから、電流値が大きい場合に比べて、電流値が小さい場合の方が、電流の単位変化量を大きくすることができる。
【0035】
そこで、電流の単位変化量を変化させたときの電流波形の一例を図5に示す。図5では、通常の電気刺激を行う際に出力される電流波形を波形d1〜d3(破線)で示している。波形d1は時間0〜t1の間に電流が0からI1まで増加する波形を表し、波形d2は時間t1〜t2の間に電流I1を維持する波形を表し、波形d3は時間t2〜t3の間に電流がI1から0まで減少する波形を表している。時間t1〜t2の間では刺激出力手段17の出力である電流が定常値(電流I1)であり、時間t1から時間t2までを動作時間T1という。電流I1と動作時間T1は使用者による設定が可能である。例えば、電流I1の設定可能範囲は例えば0.1〜2.0mAであり、動作時間T1の設定可能範囲は例えば1秒〜60分である。
【0036】
電流の上昇期間(時間0〜t1の期間)と電流の下降期間(時間t2〜t3の期間)では、電流0〜I1を4つの領域に分割して電流の単位変化量を変えている。すなわち、電流0〜Iaを領域A、電流Ia〜Ibを領域B、電流Ib〜Icを領域C、電流Ic〜I1を領域Dとし、各領域A〜Dでは電流の単位変化量を一定としている。そして、電流値が小さい領域に比べて電流値が大きい領域の方が、電流の単位変化量を小さくしており、領域A、領域B、領域C、領域Dの順に電流の単位変化量が小さくなっている。ここで、電流の上昇期間と下降期間の各領域A〜Dにおける電流の単位変化量について、使用者が設定できるようにしてもよい。また、各領域A〜Dにおける電流の単位変化量を予め決めておき、使用者が設定しないようにすることで、電流の上昇期間及び下降期間での単位変化量を使用者が意識する必要がなくなり、電気刺激装置を扱いやすくすることができる。なお、各領域A〜Dにおける電流の単位変化量は、被験者が眼内閃光を感じにくい値に設定される。
【0037】
図5において、一点鎖線で示す波形kは、電気刺激中に、停止スイッチ5bの押下時、あるいは、異常発生時など、電気刺激を途中で停止する必要があるときの電流波形を示しており、一定の単位変化量で電流をI1から0まで減少させている。波形kにおいて電流がI1から0になるのに要する時間(異常停止時間)T4は、使用者による設定が可能であり、例えば異常停止時間T4の設定可能範囲は2〜10秒である。このような設定可能範囲で設定することで、異常停止時間T4を被験者が眼内閃光を感じにくい時間に設定することができる。なお、図5は、設定された異常停止時間T4が、波形d3において電流がI1から0まで減少する時間(下降期間の長さ:t3−t2)よりも短い場合を示している。
【0038】
図5において、波形a、b、cは電気刺激を途中で停止する必要があるときの電流波形を示しており、電流の単位変化量が変化している例である。波形aは通常の電気刺激による電流が増加している途中で電気刺激を停止する場合を示し、波形bは通常の電気刺激による電流が定常値のときに電気刺激を停止する場合を示し、波形cは通常の電気刺激による電流が減少している途中で電気刺激を停止する場合を示している。波形a、b、cにおいても波形d1、d3と同様に、各領域A〜Dでは電流の単位変化量を一定としており、電流値が小さい領域に比べて電流値が大きい領域の方が、電流の単位変化量を小さくしており、領域A、領域B、領域C、領域Dの順に電流の単位変化量が小さくなっている。波形bの領域Dにおける単位変化量は、波形kの単位変化量と同じ値としている。また、各領域A〜Dにおける電流の単位変化量は、波形a、b、cで同じ値としており、被験者が眼内閃光を感じにくい値に設定される。
【0039】
波形bにおいて電流がI1から0になるのに要する時間(異常停止時間)T5は、波形kにおいて電流がI1から0になるのに要する時間(異常停止時間)T4よりも短い。電気刺激を途中で停止する場合、波形kに従って電流を減少させてもよいが、波形bのように、電流が大きい場合に比べて電流が小さい場合に電流の単位変化量を大きくして電流を減少させることで、電流の単位変化量が一定の場合よりも、異常停止時間を短くすることができる。したがって、波形a、b、cの場合には、被験者が眼内閃光を感じることなく速く電気刺激を停止することができる。
【0040】
ここで、図5に示す波形a、b、cによって電流を減少させる場合、使用者が異常停止時間T4を設定し、その設定に基づいて領域Dにおける単位変化量を決定し、領域Dの単位変化量よりも大きくなるように他の領域A〜Cでの単位変化量を決定してもよい。例えば、領域A〜Cでの取り得る単位変化量の範囲を決めておき、その範囲の中で、領域D、領域C、領域B、領域Aの順に単位変化量が次第に大きくなるように、領域A〜Cの単位変化量を設定すればよい。
【0041】
図6は、実施の形態2における電流波形の他の例であり、破線で示す波形d1〜d3は図5に示す波形d1〜d3と同じで、通常の電気刺激を行う際に出力される電流波形を示している。実線で示す波形e、fは、電気刺激中に、停止スイッチ5bの押下時、あるいは、異常発生時など、電気刺激を途中で停止する必要があるときの電流波形を示している。波形eは通常の電気刺激による電流が増加している途中で電気刺激を停止する場合を示し、波形fは通常の電気刺激による電流が定常値のときに電気刺激を停止する場合を示している。また、通常の電気刺激による電流が減少している途中で電気刺激を停止する場合には、波形d3に従って電流を減少させる。波形fは波形d3と同じであり、波形eは波形d3に重なる形状を有している。すなわち、波形e、fの各領域A〜Dにおける単位変化量は波形d3の各領域A〜Dにおける単位変化量と同じである。これにより、被験者が眼内閃光を感じることなく電気刺激を停止することができる。なお、時間T6は、電気刺激の停止に要する時間として使用者が設定した異常停止時間(電流I1を0にするのに要する時間)を表しており、異常停止時間T6は例えば2〜10秒の範囲で設定可能である。図6は、使用者が設定した異常停止時間T6が、波形d3において電流がI1から0まで減少する時間(下降期間の長さ:t3−t2)よりも長い場合を示している。
【0042】
実施の形態2では、電流0〜I1を4つの領域に分割した例を説明したが、分割する領域の数は4つに限らず複数であればよく、分割する領域の数を変更できるようにしてもよい。実施の形態2では、電流の単位変化量を電流値に応じて変化させたが、例えば、電流の上昇期間では時間が経過するにつれて単位変化量が小さくなるように、電流の下降期間では時間が経過するにつれて単位変化量が大きくなるように、電流の単位変化量を時間に応じて変化させてもよい。
【0043】
また、角型電極3a、3bをともに頭部に装着するのではなく、例えば、角型電極3aを左前頭部に装着し、角型電極3bを左上腕部に装着するなど、頭部に少なくとも1つの電極を装着して電気刺激を与える電気刺激装置に対して本発明を適用することで、電気刺激を途中で停止する場合でも、被験者が眼内閃光を感じて不快感が増大することを防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
頭部に少なくとも1つの電極を装着して電気刺激を与える電気刺激装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 電気刺激装置
2 装置本体
3 電極
3a、3b 角型電極
4 電極ケーブル
5 操作スイッチ部
6 液晶表示部
7 LED表示部
8 電源スイッチ
9 制御部
10 バッテリ
11 DC−DCコンバータ
12 定電流回路
13 DAコンバータ
14 測定用回路
15 ACアダプタ
16 充電器
17 刺激出力手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6