特開2019-131498(P2019-131498A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 学校法人神奈川大学の特許一覧
<>
  • 特開2019131498-メイクアップ化粧料 図000011
  • 特開2019131498-メイクアップ化粧料 図000012
  • 特開2019131498-メイクアップ化粧料 図000013
  • 特開2019131498-メイクアップ化粧料 図000014
  • 特開2019131498-メイクアップ化粧料 図000015
  • 特開2019131498-メイクアップ化粧料 図000016
  • 特開2019131498-メイクアップ化粧料 図000017
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-131498(P2019-131498A)
(43)【公開日】2019年8月8日
(54)【発明の名称】メイクアップ化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/06 20060101AFI20190712BHJP
   A61K 8/14 20060101ALI20190712BHJP
   A61K 8/64 20060101ALI20190712BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20190712BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20190712BHJP
   A61K 8/29 20060101ALI20190712BHJP
   A61K 8/25 20060101ALI20190712BHJP
   A61Q 1/02 20060101ALI20190712BHJP
   A61Q 1/12 20060101ALI20190712BHJP
【FI】
   A61K8/06
   A61K8/14
   A61K8/64
   A61K8/73
   A61K8/19
   A61K8/29
   A61K8/25
   A61Q1/02
   A61Q1/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-13843(P2018-13843)
(22)【出願日】2018年1月30日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 株式会社ナチュラルガーデン公式サイトで販売(販売日:平成29年8月1日)(http://wellshop.jp/top/hkbb?ga_code=pc_main_newitem)
(71)【出願人】
【識別番号】592218300
【氏名又は名称】学校法人神奈川大学
(71)【出願人】
【識別番号】398028503
【氏名又は名称】株式会社東洋新薬
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】田嶋 和夫
(72)【発明者】
【氏名】今井 洋子
(72)【発明者】
【氏名】宮坂 佳那
(72)【発明者】
【氏名】山田 康博
(72)【発明者】
【氏名】吉田 健志
(72)【発明者】
【氏名】山口 みずほ
(72)【発明者】
【氏名】高垣 欣也
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB171
4C083AB172
4C083AB231
4C083AB232
4C083AB241
4C083AB242
4C083AB431
4C083AB432
4C083AB441
4C083AB442
4C083AC022
4C083AC072
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC482
4C083AD011
4C083AD172
4C083AD281
4C083AD282
4C083AD352
4C083AD412
4C083BB21
4C083BB36
4C083CC11
4C083DD23
4C083DD27
4C083DD33
4C083DD45
4C083EE07
(57)【要約】
【課題】着色顔料を含みつつ塗布時のヨレを生じにくいO/Wエマルション型のメイクアップ化粧料を提供すること。
【解決手段】本発明に係るメイクアップ化粧料は、内相が油相であり、外相が水相であり、両親媒性物質により形成された閉鎖小胞体、又は水酸基を有する重縮合ポリマー粒子が油相および水相の間に介在したO/Wエマルション型である。この化粧料は、着色顔料と、粘土鉱物またはシリカ粉末と、を含有し、着色顔料が油相に含まれ、粘土鉱物またはシリカ粉末が水相および油相の両方に含まれる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内相が油相であり、外相が水相であり、両親媒性物質により形成された閉鎖小胞体、又は水酸基を有する重縮合ポリマー粒子が前記油相および前記水相の間に介在したO/Wエマルション型であり、
着色顔料と、粘土鉱物またはシリカ粉末と、を含有し、
前記着色顔料が前記油相に含まれ、
前記粘土鉱物またはシリカ粉末が前記水相および前記油相の両方に含まれるメイクアップ化粧料。
【請求項2】
さらに水溶性高分子を含有する請求項1記載のメイクアップ化粧料。
【請求項3】
前記着色顔料が、酸化鉄および酸化チタンから選ばれる1種以上である請求項1または2記載のメイクアップ化粧料。
【請求項4】
前記粘土鉱物が、タルク、マイカ、およびカオリンから選ばれる1種以上である請求項1から3いずれか記載のメイクアップ化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メイクアップ化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧料には、化粧料の種類に応じて多機能な効能を求められることから、極めて多様な成分が含まれており、その一つに着色顔料が挙げられる。
【0003】
顔料をO/Wエマルション型化粧料やW/Oエマルション型化粧料などの化粧品に使用する場合、その乳化は、界面活性作用により内相及び外相の界面張力を下げることで、実現されてきた。しかし、この界面活性剤による乳化機構では、界面張力を十分に下げる界面活性剤を、用いる内相及び外相への親和性(HLB値)、顔料の表面性質に対応させて細かく使い分ける必要があり、それだけ、十分安定な乳化を実現するには困難がともなうことが多かった。そこで、親水性である重縮合ポリマー粒子を乳化剤として用い、重縮合ポリマー粒子が分子間力によって内相及び外相の間に介在することで、界面活性作用に依らずに乳化させたエマルション形態の化粧料が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−007442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1等に示されるO/Wエマルション型化粧料は、従来のW/Oエマルション型化粧料に比べ、使用感や保湿効果に優れる一方、皮膚への塗布時においてヨレが生じる問題を有し、メイクアップ化粧料としては改善の余地がある。
【0006】
本発明は、以上の実情に鑑みてなされたものであり、着色顔料を含みつつ塗布時のヨレ(ムラ)を生じにくいO/Wエマルション型のメイクアップ化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、油相における着色顔料の凝集を粘土鉱物またはシリカ粉末が抑制すること、並びに、粘土鉱物またはシリカ粉末が油相および水相の双方に存在することで塗布時の着色顔料の偏在を抑制することを見出し、本発明を完成するに至った。具体的に本発明は以下を提供する。
【0008】
(1) 内相が油相であり、外相が水相であり、両親媒性物質により形成された閉鎖小胞体、又は水酸基を有する重縮合ポリマー粒子が前記油相および前記水相の間に介在したO/Wエマルション型であり、
着色顔料と、粘土鉱物またはシリカ粉末と、を含有し、
前記着色顔料が前記油相に含まれ、
前記粘土鉱物またはシリカ粉末が前記水相および前記油相の両方に含まれるメイクアップ化粧料。
【0009】
(2) さらに水溶性高分子を含有する(1)記載のメイクアップ化粧料。
【0010】
(3) 前記着色顔料が、酸化鉄および酸化チタンから選ばれる1種以上である(1)または(2)記載のメイクアップ化粧料。
【0011】
(4) 前記粘土鉱物が、タルク、マイカ、およびカオリンから選ばれる1種以上である(1)から(3)いずれか記載のメイクアップ化粧料。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、着色顔料を含みつつ塗布時のヨレを生じにくいO/Wエマルション型のメイクアップ化粧料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施例および比較例に係るメイクアップ化粧料の塗布時のヨレ程度を示す写真である。
図2】前記実施例および比較例に係るメイクアップ化粧料を皮膚へ塗布したときの状態を示す写真である。
図3】前記実施例および比較例に係るメイクアップ化粧料を皮膚へ塗布したときのヨレの程度を示す写真である。
図4】本発明の別の実施例および比較例に係るメイクアップ化粧料の塗布時のヨレ程度を示す写真である。
図5】着色顔料の油中凝集の程度を示す図である。
図6】本発明の別の実施例および比較例に係るメイクアップ化粧料の塗布時のヨレ程度を示す写真である。
図7】本発明の別の実施例および比較例に係るメイクアップ化粧料の塗布時のヨレ程度を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を説明するが、これらに本発明が限定されるものではない。
【0015】
一実施形態に係るメイクアップ化粧料は、内相が油相であり、外相が水相であり、両親媒性物質により形成された閉鎖小胞体、又は水酸基を有する重縮合ポリマー粒子が油相および水相の間に介在したO/Wエマルション型、即ち、いわゆる三相乳化技術によるO/Wエマルション型である。この化粧料は、着色顔料と、粘土鉱物またはシリカ粉末と、を含有し、着色顔料の少なくとも一部が油相に含まれ、粘土鉱物またはシリカ粉末が水相および油相の両方に含まれる。
【0016】
着色顔料を含有するO/Wエマルション型のメイクアップ化粧料でヨレを生じる原因は、油相における着色顔料の凝集(塗布前)と、塗布過程で水分が揮発し油相が連続相に転相する際の着色顔料の凝集と、の2つであると推測される。ここで、本発明者らは、油相における着色顔料の凝集(塗布前)が、粘土鉱物またはシリカ粉末が油相に含まれることで抑制されることを確認した(後述の参考例)。また、水および油の両方に対し濡れ性を有する粘土鉱物またはシリカ粉末が水相および油相の両方に含まれることで、転相前後を通じて油水の両方に濡れ続け、着色顔料の凝集を抑制できると推測される。
【0017】
従来、メイクアップ化粧料においては、耐水性や化粧持ちを良くするため、W/Oエマルション型やオイルベース(乳化物ではない)のものが一般的であった。一方、本発明は、三相乳化技術を用いることにより、従来のW/Oエマルション型やオイルベースと同等の機能を有し、さらに、O/Wエマルション型であるため、使用感にも優れている点が特徴である。
【0018】
三相乳化技術によるメイクアップ化粧料においても、肌に対する感触調整や透明感の付与等を目的として、粘土鉱物やシリカは配合されてきたが、本発明の特徴は、単に粘土鉱物またはシリカを含むことではなく、水相および油相の両方に粘土鉱物またはシリカを含むことである。三相乳化技術による従来のメイクアップ化粧料においては、粘土鉱物またはシリカ粉末を油相のみまたは水相のみに配合してきた。粘土鉱物またはシリカ粉末をあえて水相と油相の両方に配合することは手間であり、それを行う利点も見出されていなかったためである。このような従来のメイクアップ化粧料は、粘土鉱物またはシリカ粉末の全量を油性成分または水性成分(水、グリセリン等)に混合し、その後、乳化することにより製造される。粘土鉱物またはシリカ粉末が油性成分に混合された場合、製造されたメイクアップ化粧料において粘土鉱物またはシリカ粉末は油相に存在し、水性成分に混合された場合、水相に存在する。一方、本発明のメイクアップ化粧料は、粘土鉱物またはシリカ粉末の一部を油性成分に、残りを水性成分に混合し、その後、乳化して製造されるため、粘土鉱物またはシリカ粉末が油相と水相の両方に存在している。これにより、本発明の効果は発揮される。
【0019】
閉鎖小胞体及び重縮合ポリマー粒子は、相間の界面張力を下げることで乳化状態を維持する界面活性剤(両親媒性物質)とは全く異なり、いずれも親水性の粒子であり、ファンデルワールス力によって水相と油相との界面に介在することで、乳化状態を維持する。この状態は、化粧料を原子間力顕微鏡(AFM)で観察することで確認される(例えば、特許第3855203号公報)。
【0020】
O/Wエマルションは、公知の方法等に従って調製されてよい。なお、閉鎖小胞体又は重縮合ポリマー粒子は、両親媒性物質の二分子膜の層状体を水に分散させ、又は水酸基を有する重縮合ポリマーを水中に単粒子化させ、それらが分散した乳化剤分散液を形成することで得られる。
【0021】
二分子膜の層状体は、両親媒性物質を投入した水溶液を撹拌し続けることで得られる。また、単粒子化は、重縮合ポリマー粒子の結合体を含む顆粒を、水に分散して分散液を調製した後、顆粒を膨潤し、更に顆粒に由来する水素結合を可逆的条件下で切断することで、結合体の高次構造が緩和された緩和物を生成し、時間を置いた後、結合体内の水素結合を切断し、重縮合ポリマー粒子を水中に分離することで行われることが好ましい。この過程を経ない場合、重縮合ポリマー粒子(単粒子〜数個の単粒子の集合)が十分には得られにくい。
【0022】
閉鎖小胞体及び重縮合ポリマー粒子は、エマルション形成前では平均粒子径8nm〜800nm程度であるが、エマルション構造においては平均粒子径8nm〜500nm程度である。なお、両親媒性物質の閉鎖小胞体及び水酸基を有する重縮合ポリマーの粒子は、一方のみが含まれても、双方が含まれてもよい。双方が含まれる場合には、例えば、別々に乳化したエマルションを混合して、エマルションを構成してもよい。
【0023】
閉鎖小胞体を形成する両親媒性物質としては、特に限定されないが、下記の一般式1で表されるポリオキシエチレン硬化ひまし油の誘導体、もしくは一般式2で表されるジアルキルアンモニウム誘導体、トリアルキルアンモニウム誘導体、テトラアルキルアンモニウム誘導体、ジアルケニルアンモニウム誘導体、トリアルケニルアンモニウム誘導体、又はテトラアルケニルアンモニウム誘導体のハロゲン塩の誘導体が挙げられる。
【0024】
一般式1
【化1】
【0025】
一般式2
【化2】
【0026】
式中、R1及びR2は、各々独立して炭素数8〜22のアルキル基又はアルケニル基であり、R3及びR4は、各々独立して水素又は炭素数1〜4のアルキル基であり、XはF、Cl、Br、I又はCH3COOである。
【0027】
両親媒性物質としては、リン脂質やリン脂質誘導体等、特に疎水基と親水基とがエステル結合したもの、ポリグリセリン脂肪酸エステル等を採用してもよい。また、本発明の効果の点において、ジラウロイルグルタミン酸リシンNaも好ましい。
【0028】
リン脂質としては、下記の一般式3で示される構成のうち、炭素鎖長12のDLPC(1,2−Dilauroyl−sn−glycero−3−phospho−rac−1−choline)、炭素鎖長14のDMPC(1,2−Dimyristoyl−sn−glycero−3−phospho−rac−1−choline)、炭素鎖長16のDPPC(1,2−Dipalmitoyl−sn−glycero−3−phospho−rac−1−choline)が採用可能である。
【0029】
一般式3
【化3】
【0030】
また、下記の一般式4で示される構成のうち、炭素鎖長12のDLPG(1,2−Dilauroyl−sn−glycero−3−phospho−rac−1−glycerol)のNa塩又はNH4塩、炭素鎖長14のDMPG(1,2−Dimyristoyl−sn−glycero−3−phospho−rac−1−glycerol)のNa塩又はNH4塩、炭素鎖長16のDPPG(1,2−Dipalmitoyl−sn−glycero−3−phospho−rac−1−glycerol)のNa塩又はNH4塩を採用してもよい。
【0031】
一般式4
【化4】
【0032】
更に、リン脂質として卵黄レシチン又は大豆レシチン等のレシチンを採用してもよい。
【0033】
ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、ポリグリセリンと直鎖脂肪酸または分岐脂肪酸のエステルであり、具体的には、モノパルミチン酸ポリグリセリル、ジパルミチン酸ポリグリセリル、トリパルミチン酸ポリグリセリル、モノステアリン酸ポリグリセリル、ジステアリン酸ポリグリセリル、トリステアリン酸ポリグリセリル、モノイソステアリン酸ポリグリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ポリグリセリル等が挙げられる。また、本発明の効果の点において、ジステアリン酸ポリグリセリル、特に、ジステアリン酸デカグリセリルも好ましい。
【0034】
水酸基を有する重縮合ポリマーは、天然高分子又は合成高分子のいずれであってもよく、乳化剤の用途に応じて適宜選択されてよい。ただし、安全性に優れ、一般的に安価である点で、天然高分子が好ましく、乳化機能に優れる点で以下に述べる糖ポリマーがより好ましい。なお、粒子とは、重縮合ポリマーが単粒子したもの、又はその単粒子同士が連なったもののいずれも包含する一方、単粒子化される前の凝集体(網目構造を有する)は包含しない。
【0035】
糖ポリマーは、セルロース、デンプン等のグルコシド構造を有するポリマーである。例えば、リボース、キシロース、ラムノース、フコース、グルコース、マンノース、グルクロン酸、グルコン酸等の単糖類の中からいくつかの糖を構成要素として微生物が産生するもの、キサンタンガム、アラビアゴム、グアーガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、フコイダン、クインシードガム、トラントガム、ローカストビーンガム、ガラクトマンナン、カードラン、ジェランガム、フコゲル、カゼイン、ゼラチン、デンプン、コラーゲン等の天然高分子、メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、セルロース結晶体、デンプン・アクリル酸ナトリウムグラフト重合体、疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のヒドロキシプロピルメチルセルロース誘導体やステアロキシPGヒドロキシエチルセルローススルホン酸Na等のスルホン化セルロース誘導体といったセルロース誘導体のような半合成高分子、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸塩、ポリエチレンオキシド等の合成高分子が挙げられる。また、本発明の効果の点において、特に、ヒドロキシプロピルメチルセルロース誘導体も好ましい。
【0036】
閉鎖小胞体及び重縮合ポリマー粒子の量は、油相の量に応じて適宜設定されてよく、特に限定されないが、化粧料に対し合計で0.0001〜5質量%であってよい。
【0037】
着色顔料は、特に限定されないが、酸化鉄、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化マグネシウム等であってよく、酸化鉄、酸化チタンが好ましく使用できる。
【0038】
本発明では着色顔料の凝集及び塗布時の偏在が抑制されるので、着色顔料の含有量は高い自由度を有し、具体的には化粧料に対し0.1質量%以上30質量%以下であってよく、好ましくは1重量%以上10重量%以下であってよい。なお、着色顔料は、その一部が油相に含まれていればよく、その全量が油相に含まれていてもよく、一部が水相に含まれていてもよい。
【0039】
粘土鉱物としては、特に限定されないが、タルク、マイカ、カオリン、ベントナイト等であってよく、タルク、マイカ、カオリンが好ましく使用できる。シリカ粉末としては、特に限定されず、従来化粧料にて体質顔料等として使用されるシリカ粉末を使用することができる。なお、粘土鉱物およびシリカ粉末は、油相での濡れ性を高める目的で疎水化処理されたものでもよいが、疎水化処理されていなくても特に問題にならない。
【0040】
粘土鉱物およびシリカ粉末の含有量は、特に限定されないが、化粧料に対し0.1質量%以上30質量%以下であってよく、好ましくは1重量%以上20重量%以下であってよい。また、粘土鉱物およびシリカ粉末の含有量は、着色顔料の凝集および塗布時のヨレを抑制する観点で、着色顔料の含有量に対し、0.1倍以上20倍以下であってよく、好ましくは1重量%以上10重量%以下であってよい。なお、粘土鉱物またはシリカ粉末の水相および油相への分配比は、特に限定されず、例えば1:10〜10:1(質量比)であってよい。
【0041】
着色顔料、粘土鉱物およびシリカ粒子が油相または水相に含まれることは、次の方法の少なくとも一方で確認できることを指す(双方で確認できることは必須でない。また、他の方法によって確認してもよい)。
(方法1)
顕微蛍光X線分析で、化粧料中の粉体の存在位置を特定したうえで、各粉体について、着色顔料、粘土鉱物に含まれる金属元素(タルク:Mg、カオリン:Al、白雲母:KおよびAl、酸化チタン:Ti、酸化亜鉛:Zn、酸化鉄:Fe)の存否を確認することで、着色顔料、粘土鉱物に該当するか否かを決定する。
(方法2)
光学顕微鏡で化粧料中の粉体の存在位置を特定したうえで、各粉体について、電解放出形走査電子顕微鏡およびX線分析装置で周期表B〜Uの間の元素分析をし、着色顔料、粘土鉱物およびシリカ粒子に該当するか否かを決定する。
【0042】
本発明では、さらに、粘土鉱物またはシリカ粉末以外の体質顔料一般(例えば、硫酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、窒化ホウ素)を使用してもよく、使用しなくてもよい。
【0043】
メイクアップ化粧料は、水溶性高分子を含有してもよい。水溶性高分子は、着色顔料との組合せでヨレを発生させる原因と推測されるが、本発明ではヨレを抑制できることから、好ましく使用することができる。
【0044】
水溶性高分子としては、化粧料で増粘剤等として使用される成分であってよく、特に限定されないが、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、アクリル酸アルキル共重合体エマルション、ポリアクリル酸ナトリウム、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/VP)コポリマーの他、キサンタンガム、寒天、スクレロチウムガム、ヒドロキシエチルセルロース等の植物性多糖類が挙げられる。
本発明では、水溶性高分子による着色顔料の凝集及び塗布時の偏在が抑制されるので、水溶性高分子の含有量は高い自由度を有し、具体的には化粧料に対し0.01質量%以上10質量%以下であってよく、好ましくは0.1重量%以上2重量%以下である。
【0045】
油相に含まれる油性成分としては、通常化粧料に使用されるものであれば特に限定されず、動物油、植物油、合成油等の起源、及び、固形油、半固形油、液体油等の性状を問わない。具体的には、炭化水素類、油脂類、ロウ類、硬化油類、エステル油類、脂肪酸類、高級アルコール類、シリコーン油類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類、油性ゲル化剤類、油溶性樹脂、揮発性油剤等を用いることができる。
【0046】
中でも、ミツロウ、カルナウバロウ等のロウ類、ベヘニルアルコール等の高級アルコール、エステル油類、炭化水素類といった固形油は、着色顔料とともにヨレを発生させる原因と推測されるが、本発明ではヨレを抑制できることから、好ましく使用することができる。
【0047】
本発明に係る化粧料は、任意成分を含んでよく、例えば保湿剤、粉体、ゲル化剤、増粘剤、界面活性剤、乳化剤、抗炎症剤、抗酸化剤、pH調整剤、キレート剤、色素、香料や、コラーゲン等の皮膚老化防止・改善剤、防腐剤、紫外線吸収剤、紫外線分散剤等を適宜含んでもよい。
【0048】
本発明におけるメイクアップ化粧料は、BBクリーム、ファンデーション等の化粧料、医薬部外品を包含する。本発明における油相および水相は、メイクアップ化粧料の用途に応じ、使用し得る任意の成分を含んでもよい。
【0049】
本発明におけるメイクアップ化粧料としては、例えば、BBクリーム、化粧下地、メイクアップベース、ファンデーション、チークカラー、アイシャドウ、コンシーラー、コントロールカラー等が挙げられる。これらの中でも効果の観点から、特にBBクリームが好ましい。
【実施例1】
【0050】
ヒドロキシプロピルメチルセルロース誘導体(水酸基を有する重縮合ポリマー)を温水に混合した後、80℃で30分間撹拌し、ヒドロキシプロピルメチルセルロース誘導体の粒子(水酸基を有する重縮合ポリマー粒子)の分散液を調製した。室温へと冷ました後の分散液に、水相の残りの成分を加え、80℃へ加熱撹拌し、他方で油相を80℃へ加熱撹拌、均一化し、水相を撹拌しながら、油相を加え、撹拌、均一化し、室温まで撹拌、冷却して、化粧料を調製した。なお、これらの化粧料を原子間力顕微鏡(AFM)で観察すると、8nm以上500nm以下の平均粒子径を示す粒子群が存在し、油相と水相との間に介在することが確認される。
【0051】
【表1】
【0052】
各化粧料を一定量ずつ黒色紙の上に並べ、25μmの間隙をあけて設置したアプリケータで黒色紙上へ塗布した。その後の黒紙上の状態を図1に示す。図1に示されるように、タルクが水相および油相の両方に含まれる化粧料は、ほぼムラがなく塗布できた一方、タルクが油相または水相の一方にだけ含まれる化粧料、並びにタルクが配合されていない化粧料は、塗り目が不均一で、ヨレを生じていた。
【0053】
次に、各化粧料0.01gを、被験者の腕、直径3cmの円内に塗布した。各塗布部の表面をマイクロスコープで観察した写真を図2に示す。図2のように、タルクが水相および油相の両方に含まれる化粧料は、ムラがなく均一に塗布できた一方、タルクが油相または水相の一方にだけ含まれる化粧料、並びにタルクが配合されていない化粧料は、着色顔料が皮溝に偏在していた。
【0054】
各塗布部の表面を目視レベルで観察した写真を図3に示す。図3のように、タルクが水相および油相の両方に含まれる化粧料は、ムラがなく均一に塗布できた一方、タルクが油相または水相の一方にだけ含まれる化粧料、並びにタルクが配合されていない化粧料では、塗布部の縁においてヨレが確認された。
【0055】
また、各化粧料を5名パネリストが使用し、皮膚への伸ばし始めのヨレ、塗布を止める前のヨレ、および塗布後の仕上がり均一性の3観点について、下の基準で評価した。この結果を表2に示す。
1:良い 2:やや良い 3:普通(既存のW/Oエマルション型と同等) 4:やや悪い 5:悪い
【0056】
【表2】
【0057】
表2のように、タルクが水相および油相の両方に含まれる化粧料は、塗布時の均一性に優れるW/Oエマルション型に比べても尚ヨレを抑制でき均一に塗布できた一方、タルクが油相または水相の一方にだけ含まれる化粧料、並びにタルクが配合されていない化粧料は、ヨレを生じ、仕上がりの均一性に劣っていた。
【実施例2】
【0058】
実施例1の、タルクが水相および油相の両方に含まれる化粧料について、タルクの含有量を1、5、15質量%に変更した(他成分の含有量は同じ比になるよう調整)化粧料を作成した。各化粧料を、タルクを配合していない化粧料とともに、黒紙上に塗布した後の写真を図4に示す。図4のように、タルクが水相および油相の両方に含まれる化粧料は、タルク含有量の大小にかかわらず、ムラを抑制することができ、特に化粧料に対し1質量%超である場合にムラ抑制効果が大きかった。
【0059】
(参考例)
図5に示す処方の油液を調製し、油液中での着色顔料の凝集状態を顕微鏡で観察した。図5のように、油相における着色顔料の凝集をタルクが抑制することが分かった。また、タルクの疎水化処理は油への濡れ性を高めると推測されるが、着色顔料の凝集抑制の観点では疎水化処理が必須ではないことも分かった。
【実施例3】
【0060】
処方を表3のように変更した(具体的には、タルクをマイカ、カオリン、またはシリカ粉末に置換した)点を除き、実施例1と同様に化粧料を作成した。
【0061】
【表3】
【0062】
各化粧料を実施例1と同様に黒色紙上に塗布した後の写真を図6に示す。図6のように、マイカ、カオリン、またはシリカ粉末が水相および油相の両方に含まれる化粧料は、ほぼムラがなく塗布できた一方、マイカ、カオリン、またはシリカ粉末が油相または水相の一方にだけ含まれる化粧料、並びにマイカ、カオリン、またはシリカ粉末が配合されていない化粧料は、塗り目が不均一で、ヨレを生じていた。
【0063】
以上より、水相および油相の両方に粘土鉱物またはシリカ粉末を含ませることで、その種類にかかわらず、塗布時のヨレを生じにくくできることが分かる。
【実施例4】
【0064】
処方を表4のように変更した(具体的には、ヒドロキシプロピルメチルセルロース誘導体(水酸基を有する重縮合ポリマー)の分散液に代わりに、ジラウロイルグルタミン酸リシンNa(閉鎖小胞体を形成する両親媒性物質)を水に添加して撹拌することで閉鎖小胞体の分散液を調製した)点を除き、実施例1とほぼ同様に化粧料を作成した。なお、これらの化粧料を原子間力顕微鏡(AFM)で観察すると、8nm以上500nm以下の平均粒子径を示す粒子群が存在し、油相と水相との間に介在することが確認される。
【0065】
【表4】
【0066】
各化粧料を実施例1と同様に黒色紙上に塗布した後の写真を図7に示す。図7のように、タルクが水相および油相の両方に含まれる化粧料は、ほぼムラがなく塗布できた一方、タルクが油相または水相の一方にだけ含まれる化粧料、並びにタルクが配合されていない化粧料は、塗り目が不均一で、ヨレを生じていた。これにより、本発明の効果が、実施例1〜3のような重縮合ポリマー粒子系、実施例4のような閉鎖小胞体系のいずれでも得られることが確認された。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7