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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-132569(P2019-132569A)
(43)【公開日】2019年8月8日
(54)【発明の名称】VAV空調システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/74 20180101AFI20190712BHJP
   F24F 11/86 20180101ALI20190712BHJP
   F24F 3/044 20060101ALI20190712BHJP
   F25B 13/00 20060101ALI20190712BHJP
   F24F 110/10 20180101ALN20190712BHJP
【FI】
   F24F11/74
   F24F11/86
   F24F3/044
   F25B13/00 104
   F24F110:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-16931(P2018-16931)
(22)【出願日】2018年2月2日
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】福嶋 弘之
【テーマコード(参考)】
3L053
3L092
3L260
【Fターム(参考)】
3L053BB01
3L053BB02
3L053BB04
3L092GA09
3L092JA14
3L092KA13
3L092LA06
3L092LA07
3L260AB01
3L260AB07
3L260BA02
3L260BA07
3L260CA12
3L260CA16
3L260EA09
3L260FA03
3L260FA04
3L260FA07
3L260FB04
3L260FB07
3L260FC04
3L260FC06
(57)【要約】
【課題】給気温度を一定に保つことが難しい空調機をVAV空調システムに適用する。
【解決手段】VAV空調システムは、空調機1aと、被制御エリア8−1〜8−4毎に設けられたVAVユニット3−1〜3−4と、VAVユニット3−1〜3−4を被制御エリア毎に制御するVAVコントローラ4a−1〜4a−4と、給気温度コントローラ5aと、空調機1aから供給される給気の温度を計測する給気温度センサ7とを備える。給気温度コントローラ5aは、給気温度センサ7によって計測された給気温度を移動平均処理した平準化給気温度を演算し、平準化給気温度と給気温度設定値とが一致するように操作量を演算し、操作量に基づいて空調機1aを制御する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調機と、
被制御エリア毎に設けられたVAVユニットと、
前記VAVユニットを被制御エリア毎に制御するように構成された複数のVAVコントローラと、
前記空調機から前記複数のVAVユニットに供給される給気の温度を計測するように構成された給気温度センサと、
前記給気温度センサによって計測された給気温度を移動平均処理した平準化給気温度を演算するように構成された平準化給気温度演算部と、
前記平準化給気温度と給気温度設定値とが一致するように操作量を演算するように構成された操作量演算部と、
前記操作量に基づいて前記空調機を制御するように構成された第1の制御部とを備えることを特徴とするVAV空調システム。
【請求項2】
請求項1記載のVAV空調システムにおいて、
さらに、前記被制御エリアの室内温度を被制御エリア毎に計測するように構成された複数の室内温度センサと、
前記室内温度センサによって計測された室内温度を移動平均処理した平準化室内温度を、被制御エリア毎に演算するように構成された平準化室内温度演算部と、
前記平準化室内温度と室内温度設定値とが一致するように給気の要求風量を被制御エリア毎に演算するように構成された要求風量演算部と、
前記要求風量に応じて前記VAVユニットを被制御エリア毎に制御するように構成された第2の制御部とを備えることを特徴とするVAV空調システム。
【請求項3】
請求項1または2記載のVAV空調システムにおいて、
前記空調機は、直膨式の空調機であり、
冷媒を圧縮するように構成されたコンプレッサと、
前記コンプレッサで圧縮された冷媒と空気との熱交換を行うように構成された熱交換器と、
前記熱交換器に流入する冷媒の流量を調節するように構成された冷媒制御弁と、
前記熱交換器によって加熱または冷却された空気を送り出すように構成されたファンとを備え、
前記第1の制御部は、前記操作量に基づいて前記コンプレッサの吐出流量と前記冷媒制御弁の開度とを制御することを特徴とするVAV空調システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内空間の熱負荷の変動に応じて送風量を変えることにより冷暖房能力を調節するVAV空調システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、空調システムにおいて、室内をより細かい範囲で空調するために、空間を複数の区画に分割し、各区画に設けられた空調空気の吹出口毎に、風量制御ができるようにしたものが知られている。このような空調システムの例としてVAV(Variable Air Volume)空調システムがある(例えば特許文献1参照)。
【0003】
図9は従来のVAV空調システムの構成を示すブロック図である。VAV空調システムは、空調機1と、空調機1からの給気を被制御エリア8−1,8−2,8−3,8−4へ供給する給気ダクト2と、被制御エリア8−1,8−2,8−3,8−4へ供給する給気の量を被制御エリア毎に制御する変風量ユニットであるVAVユニット3−1,3−2,3−3,3−4と、VAVユニット3−1,3−2,3−3,3−4を制御するVAVコントローラ4−1,4−2,4−3,4−4と、空調機1を制御する給気制御コントローラ5と、被制御エリア8−1,8−2,8−3,8−4の室内温度を計測する室内温度センサ6−1,6−2,6−3,6−4と、給気の温度を計測する給気温度センサ7とを備えている。図9において、9−1,9−2,9−3,9−4は給気の吐出口である。
【0004】
空調機1によって冷却または加熱された空気(給気)は、給気ダクト2を介して各被制御エリア8−1,8−2,8−3,8−4のVAVユニット3−1,3−2,3−3,3−4へ供給され、VAVユニット3−1,3−2,3−3,3−4を通過して吐出口9−1,9−2,9−3,9−4から各被制御エリア8−1,8−2,8−3,8−4へ供給されるようになっている。
【0005】
従来のVAV空調システムでは、以下のような制御が行われる。
(I)VAVコントローラ4−1,4−2,4−3,4−4は、被制御エリア8−1,8−2,8−3,8−4の室内温度センサ6−1,6−2,6−3,6−4によって計測された室内温度と室内温度設定値との偏差に基づいて被制御エリア8−1,8−2,8−3,8−4の要求風量を演算し、その要求風量を確保するように、VAVユニット3−1,3−2,3−3,3−4内のダンパの開度を制御する。
【0006】
(II)給気制御コントローラ5は、給気温度センサ7によって計測された給気温度が給気温度設定値と一致するように、空調機1に供給される冷水や温水の流量を制御する。
(III)また、給気制御コントローラ5は、各VAVコントローラ4−1,4−2,4−3,4−4の制御状況により、給気温度設定値を変更する。
【0007】
ところで、空調機には、熱源機で冷却・加熱した冷水や温水を各空間まで移送して冷暖房を行う間接式の空調機と、空調対象となる空間の近くで冷媒を膨張させて熱交換を行う直膨式の空調機とがあり、従来のVAV空調システムには間接式の空調機が使用されていた。
【0008】
直膨式の空調機には、間接式と比較して変換エネルギー損失が少なく、省エネルギーを実現できるという利点がある。しかしながら、直膨式の空調機は、給気温度を一定に保つことが難しく、上記の(I)、(II)、(III)の動作が安定しないため、VAV空調システムに適用することが難しいという問題があった。
なお、この問題は、直膨式に限らず、給気温度を一定に保つことが難しい空調機において同様に発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第3254627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、例えば直膨式の空調機等の、給気温度を一定に保つことが難しい空調機をVAV空調システムに適用することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のVAV空調システムは、空調機と、被制御エリア毎に設けられたVAVユニットと、前記VAVユニットを被制御エリア毎に制御するように構成された複数のVAVコントローラと、前記空調機から前記複数のVAVユニットに供給される給気の温度を計測するように構成された給気温度センサと、前記給気温度センサによって計測された給気温度を移動平均処理した平準化給気温度を演算するように構成された平準化給気温度演算部と、前記平準化給気温度と給気温度設定値とが一致するように操作量を演算するように構成された操作量演算部と、前記操作量に基づいて前記空調機を制御するように構成された第1の制御部とを備えることを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明のVAV空調システムの1構成例は、さらに、前記被制御エリアの室内温度を被制御エリア毎に計測するように構成された複数の室内温度センサと、前記室内温度センサによって計測された室内温度を移動平均処理した平準化室内温度を、被制御エリア毎に演算するように構成された平準化室内温度演算部と、前記平準化室内温度と室内温度設定値とが一致するように給気の要求風量を被制御エリア毎に演算するように構成された要求風量演算部と、前記要求風量に応じて前記VAVユニットを被制御エリア毎に制御するように構成された第2の制御部とを備えることを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明のVAV空調システムの1構成例において、前記空調機は、直膨式の空調機であり、冷媒を圧縮するように構成されたコンプレッサと、前記コンプレッサで圧縮された冷媒と空気との熱交換を行うように構成された熱交換器と、前記熱交換器に流入する冷媒の流量を調節するように構成された冷媒制御弁と、前記熱交換器によって加熱または冷却された空気を送り出すように構成されたファンとを備え、前記第1の制御部は、前記操作量に基づいて前記コンプレッサの吐出流量と前記冷媒制御弁の開度とを制御することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、給気温度センサによって計測された給気温度を移動平均処理した平準化給気温度に基づいて空調機を制御することにより、直膨式の空調機等の、給気温度を一定に保つことが難しい空調機をVAV空調システムに適用することができる。
【0015】
また、本発明では、室内温度センサによって計測された室内温度を移動平均処理した平準化室内温度に基づいて要求風量を演算することにより、室内温度が給気温度に応じて上下動することによる風量制御への影響を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の実施例に係るVAV空調システムの構成を示すブロック図である。
図2図2は、本発明の実施例に係るVAV空調システムの空調機の構成を示すブロック図である。
図3図3は、本発明の実施例に係るVAV空調システムのVAVコントローラの構成を示すブロック図である。
図4図4は、本発明の実施例に係るVAV空調システムの給気制御コントローラの構成を示すブロック図である。
図5図5は、本発明の実施例に係るVAV空調システムのVAVコントローラの動作を説明するフローチャートである。
図6図6は、平準化室内温度の演算処理を説明する図である。
図7図7は、本発明の実施例に係るVAV空調システムの給気制御コントローラの動作を説明するフローチャートである。
図8図8は、本発明の実施例に係るVAV空調システムのVAVコントローラと給気制御コントローラを実現するコンピュータの構成例を示すブロック図である。
図9図9は、従来のVAV空調システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。図1は本発明の実施例に係るVAV空調システムの構成を示すブロック図であり、図9と同一の構成には同一の符号を付してある。本実施例のVAV空調システムは、直膨式の空調機1aと、給気ダクト2と、変風量ユニットであるVAVユニット3−1,3−2,3−3,3−4と、VAVコントローラ4a−1,4a−2,4a−3,4a−4と、給気制御コントローラ5aと、室内温度センサ6−1,6−2,6−3,6−4と、給気温度センサ7とを備えている。
【0018】
図2は空調機1aの構成を示すブロック図である。直膨式の空調機1aは、室外機10と、室内機11とから構成される。
室外機10は、冷媒を圧縮するコンプレッサ100と、冷媒の流れる向きを切り替える四方弁101と、冷媒の流量を調節する冷媒制御弁102と、冷媒と空気との熱交換を行う熱交換器103とを備えている。
【0019】
室内機11は、冷媒の流量を調節する冷媒制御弁110と、冷媒と空気との熱交換を行う熱交換器111と、熱交換器111によって加熱または冷却された空気を送り出すファン112とを備えている。
【0020】
図3は本実施例のVAVコントローラ4a−1の構成を示すブロック図、図4は本実施例の給気制御コントローラ5aの構成を示すブロック図である。VAVコントローラ4a−1は、対応する被制御エリア8−1の室内温度センサ6−1によって計測された室内温度の値を取得する室内温度計測値取得部40と、対応するVAVユニット3−1の風速センサ(不図示)によって計測された風速の値を取得する風速計測値取得部41と、被制御エリア8−1の居住者または空調システムの管理者によって設定された室内温度設定値を取得する室内温度設定値取得部42と、室内温度を移動平均処理した平準化室内温度を演算する平準化室内温度演算部43と、冷房モードか暖房モードかを判定する冷暖房判定部44と、冷房モード/暖房モードと、平準化室内温度と室内温度設定値との偏差に基づいて対応する被制御エリア8−1の要求風量を演算する要求風量演算部45と、要求風量を確保するようにVAVユニット3−1内のダンパの開度を制御する制御部46(第2の制御部)と、被制御エリア8−1の要求風量の値を給気制御コントローラ5aに通知する要求風量値通知部47と、被制御エリア毎の現在の冷暖房の制御状態を示す制御ステータスを給気制御コントローラ5aに対して送出する制御ステータス通知部48と、給気制御コントローラ5aからの通知を受け付ける受付部49とから構成される。なお、VAVコントローラ4a−2,4a−3,4a−4も、VAVコントローラ4a−1と同様の構成を有している。
【0021】
給気制御コントローラ5aは、給気温度センサ7によって計測された給気温度の値を取得する給気温度計測値取得部50と、給気温度を移動平均処理した平準化給気温度を演算する平準化給気温度演算部51と、平準化給気温度と給気温度設定値との偏差に基づいて、空調機1aを制御するための操作量を演算する操作量演算部52と、操作量に基づいて空調機1aを制御する制御部53(第1の制御部)と、VAVコントローラ4a−1,4a−2,4a−3,4a−4から通知された制御ステータスを取得する制御ステータス取得部54と、給気温度設定値を設定する給気温度設定部55と、VAVコントローラ4a−1,4a−2,4a−3,4a−4から通知された要求風量の値を取得する要求風量取得部56と、要求風量値からシステム全体の給気風量値を演算する給気風量演算部57と、演算された給気風量値に基づいて空調機1aのファン112を制御する風量制御部58と、空調機運転状態情報と平準化給気温度とを各VAVコントローラ4a−1,4a−2,4a−3,4a−4に対して通知する情報通知部59とから構成される。
【0022】
図5はVAVコントローラ4a−1,4a−2,4a−3,4a−4の動作を説明するフローチャートである。
VAVコントローラ4a−1,4a−2,4a−3,4a−4の室内温度計測値取得部40は、それぞれ対応する被制御エリア8−1,8−2,8−3,8−4の室内温度PVo1,PVo2,PVo3,PVo4の値を室内温度センサ6−1,6−2,6−3,6−4から取得する(図5ステップS100)。
【0023】
VAVコントローラ4a−1,4a−2,4a−3,4a−4の室内温度設定値取得部42は、それぞれ被制御エリア8−1,8−2,8−3,8−4の室内温度設定値SPを取得する(図5ステップS101)。
【0024】
VAVコントローラ4a−1,4a−2,4a−3,4a−4の平準化室内温度演算部43は、VAVコントローラ4a−1,4a−2,4a−3,4a−4の室内温度計測値取得部40によって取得された室内温度PVo1,PVo2,PVo3,PVo4を移動平均処理した平準化室内温度PVa1,PVa2,PVa3,PVa4を演算する(図5ステップS102)。
【0025】
図6は平準化室内温度PVaの演算処理を説明する図である。単位時間毎の室内温度PVo(PVo1,PVo2,PVo3,PVo4)を所定の移動平均時間tの期間にわたって加算した総和をΣPVoとすると、平準化室内温度PVa(PVa1,PVa2,PVa3,PVa4)は、次式のようになる。
PVa=ΣPVo/t ・・・(1)
【0026】
式(1)の移動平均時間tはパラメータであるので,室内温度PVoの上下動の程度に応じて設定する。例えば、室内温度PVoの上下動がないときは、t=1と設定することにより、PVa=PVoとする。
【0027】
また、式(1)は、次の式に代替することもできる。
PVa=k1×PVomax+k2×PVomin ・・・(2)
ここで、PVomaxは移動平均時間tの期間中の室内温度PVoの最大値、PVominは移動平均時間tの期間中の室内温度PVoの最小値、k1,k2は所定の重み付け係数である。例えば、k1=0.5、k2=0.5とすると、平準化室内温度PVaは、移動平均期間中の室内温度PVoの最大値と最小値との平均値となる。
【0028】
VAVコントローラ4a−1,4a−2,4a−3,4a−4の平準化室内温度演算部43は、式(1)または式(2)の演算を室内温度PVo1,PVo2,PVo3,PVo4毎に行う。
VAVコントローラ4a−1,4a−2,4a−3,4a−4の冷暖房判定部44は、受付部49が給気制御コントローラ5aから受け取った情報に基づいて、冷房モードか暖房モードかを判定する(図5ステップS103)。給気制御コントローラ5aから受け取る情報としては、後述のように空調機運転状態情報(冷暖房モード)や、平準化給気温度Θaがある。冷暖房判定部44は、空調機運転状態情報に基づいて冷房モードか暖房モードかを判定してもよいし、平準化給気温度Θaをしきい値と比較することにより冷房モードか暖房モードかを判定してもよい。
【0029】
次に、VAVコントローラ4a−1,4a−2,4a−3,4a−4の要求風量演算部45は、それぞれ被制御エリア8−1,8−2,8−3,8−4の熱負荷状況に応じて要求風量FSP1,FSP2,FSP3,FSP4を演算する(図5ステップS104)。具体的には、VAVコントローラ4a−1の要求風量演算部45は、所定の制御演算アルゴリズム(例えばPID)に従って、平準化室内温度PVa1と室内温度設定値SPとが一致するように、被制御エリア8−1の要求風量FSP1を演算する。同様に、VAVコントローラ4a−2の要求風量演算部45は、所定の制御演算アルゴリズムに従って、平準化室内温度PVa2と室内温度設定値SPとが一致するように、被制御エリア8−2の要求風量FSP2を演算する。VAVコントローラ4a−3,4a−4についても同様である。また、各VAVコントローラ4a−1,4a−2,4a−3,4a−4の要求風量演算部45は、冷房モードか暖房モードかに応じてPIDパラメータ(比例帯、積分時間、微分時間)を切り替えて、要求風量FSP1,FSP2,FSP3,FSP4を演算する。
【0030】
VAVコントローラ4a−1,4a−2,4a−3,4a−4の要求風量値通知部47は、それぞれVAVコントローラ4a−1,4a−2,4a−3,4a−4の要求風量演算部45によって演算された被制御エリア8−1,8−2,8−3,8−4の要求風量FSP1,FSP2,FSP3,FSP4の値を給気制御コントローラ5aに通知する(図5ステップS105)。
【0031】
VAVコントローラ4a−1,4a−2,4a−3,4a−4の制御部46は、それぞれ被制御エリア8−1,8−2,8−3,8−4の要求風量FSP1,FSP2,FSP3,FSP4を確保するように、VAVユニット3−1,3−2,3−3,3−4内のダンパ(不図示)の開度を制御する(図5ステップS106)。具体的には、各VAVコントローラ4a−1,4a−2,4a−3,4a−4の制御部46は、それぞれ対応するVAVユニット3−1,3−2,3−3,3−4内の風速センサ(不図示)で測定された風速から風量を演算し、ダンパを開閉して、要求風量FSP1,FSP2,FSP3,FSP4を確保するように風量制御を行う。
【0032】
VAVコントローラ4a−1,4a−2,4a−3,4a−4の制御ステータス通知部48は、それぞれ被制御エリア8−1,8−2,8−3,8−4の現在の冷暖房の制御状態を示す制御ステータスを給気制御コントローラ5aに対して送出する(図5ステップS107)。制御ステータス通知部48は、冷房時に要求風量が最大風量(ダンパ全開)で、かつ平準化室内温度PVaと室内温度設定値SPとの関係がPVa>SP+α(αは所定のロードリセット偏差)であれば、冷房時に冷房能力が不足していると判断し、給気制御コントローラ5aに対して冷房能力増要求ステータスを送出する。制御ステータス通知部48は、暖房時に要求風量が最大風量(ダンパ全開)で、かつ平準化室内温度PVaがPVa<SP−αであれば、暖房時に暖房能力が不足していると判断し、給気制御コントローラ5aに対して暖房能力増要求ステータスを送出する。
【0033】
また、制御ステータス通知部48は、冷房時に要求風量が最大風量でないか、あるいは平準化室内温度PVaがPVa≦SP+αであれば、冷房時に冷房能力が充足していると判断し、適正冷房であることを示す制御ステータスを給気制御コントローラ5aに対して送出する。制御ステータス通知部48は、暖房時に要求風量が最大風量でないか、あるいは平準化室内温度PVaがPVa≧SP−αであれば、暖房時に暖房能力が充足していると判断し、適正暖房であることを示す制御ステータスを給気制御コントローラ5aに対して送出する。
【0034】
VAVコントローラ4a−1,4a−2,4a−3,4a−4は、以上のようなステップS100〜S107の処理を空調が停止するまで(図5ステップS108においてYES)、一定時間毎に行う。
【0035】
図7は給気制御コントローラ5aの動作を説明するフローチャートである。給気制御コントローラ5aの制御ステータス取得部54は、各VAVコントローラ4a−1,4a−2,4a−3,4a−4からの制御ステータスを取得する(図7ステップS200)。
【0036】
給気制御コントローラ5aの給気温度設定部55は、空調能力が不足状態のときに空調能力が増える方向に給気温度設定値ΘoSPを設定する。すなわち、給気温度設定部55は、制御ステータスが冷房能力増要求ステータスまたは暖房能力増要求ステータスの場合(図7ステップS201においてYES)、この冷房能力増要求ステータスや暖房能力増要求ステータスに応じて給気温度設定値ΘoSPを設定する(図7ステップS202)。給気温度設定部55は、制御ステータスが冷房能力増要求ステータスの場合、給気温度設定値ΘoSPを例えば所定の温度幅だけ下げる。また、給気温度設定部55は、制御ステータスが暖房能力増要求ステータスの場合、給気温度設定値ΘoSPを所定の温度幅だけ上げる。
【0037】
なお、空調開始時点では、給気温度設定部55は、給気温度設定値ΘoSPを予め定められた初期値とする。また、給気温度設定部55は、複数のVAVコントローラ4a−1,4a−2,4a−3,4a−4からの制御ステータスのうち少なくとも1つが冷房能力増要求ステータスまたは暖房能力増要求ステータスの場合に給気温度設定値ΘoSPを変更してもよいし、各VAVコントローラ4a−1,4a−2,4a−3,4a−4からの制御ステータスを1つに纏めたトータル制御ステータスを決定し、このトータル制御ステータスが冷房能力増要求ステータスまたは暖房能力増要求ステータスの場合に給気温度設定値ΘoSPを変更するようにしてもよい。トータル制御ステータスの決定方法は従来のロードリセット制御で周知の技術であり、例えば特許第3254621号明細書、特許第3300964号明細書に開示されているので、詳細な説明する。
【0038】
給気制御コントローラ5aの給気温度計測値取得部50は、給気温度センサ7によって計測された給気温度Θoを取得する(図7ステップS203)。
給気制御コントローラ5aの平準化給気温度演算部51は、給気温度計測値取得部50によって取得された給気温度Θoを移動平均処理した平準化給気温度Θaを演算する(図7ステップS204)。
【0039】
単位時間毎の給気温度Θoを所定の移動平均時間tの期間にわたって加算した総和をΣΘoとすると、平準化給気温度Θaは、次式のようになる。
Θa=ΣΘo/t ・・・(3)
【0040】
式(3)の移動平均時間tはパラメータであるので、給気温度Θoの上下動の程度に応じて設定する。
【0041】
また、式(3)は、次の式に代替することもできる。
Θa=k1×Θomax+k2×Θomin ・・・(4)
ここで、Θomaxは移動平均時間tの期間中の給気温度Θoの最大値、Θominは移動平均時間tの期間中の給気温度Θoの最小値、k1,k2は所定の重み付け係数である。例えば、k1=0.5、k2=0.5とすると、平準化給気温度Θaは、移動平均期間中の給気温度Θoの最大値と最小値との平均値となる。
【0042】
給気制御コントローラ5aの操作量演算部52は、所定の制御演算アルゴリズム(例えばPID)に従って、平準化給気温度Θaと給気温度設定値ΘoSPとが一致するように操作量MVを演算する(図7ステップS205)。
【0043】
給気制御コントローラ5aの制御部53は、操作量演算部52によって演算された操作量MVに基づいて空調機1aを制御する(図7ステップS206)。
冷房モードの場合、空調機1aにおいては、コンプレッサ100で圧縮された高温高圧の冷媒が、四方弁101を通過して熱交換器103に流入し、熱交換器103を通過する空気と熱交換して凝縮液化した後、冷媒制御弁102に流入する。制御部53による操作によって開になった冷媒制御弁102に対応する熱交換器103で外気と熱交換された冷媒は、冷媒制御弁102を介して室内機11に送られ、冷媒制御弁110によって、熱交換器111で蒸発できる圧力まで減圧され、その後、熱交換器111に流入し、熱交換器111を通過する空気と熱交換して蒸発ガス化する。熱交換器111で熱交換して蒸発したガス冷媒は、四方弁101を介して再びコンプレッサ100に戻る。
【0044】
一方、暖房モードの場合、制御部53は、四方弁101を切り替え、冷媒制御弁110を開にして、冷媒の循環方向を冷房モードの場合と反対にする。つまり、コンプレッサ100で圧縮された冷媒は、四方弁101を介して熱交換器111へ流入し、熱交換器111を通過する空気と熱交換して凝縮液化する。その後、冷媒制御弁102で減圧され、熱交換器103で熱交換されて蒸発し、ガス冷媒となってコンプレッサ100に戻る。
【0045】
制御部53は、操作量MVに基づいてコンプレッサ100の吐出流量と冷媒制御弁102,110の開度とを制御する。
こうして、空調機1a内を循環する冷媒の量が操作量MVに応じて調節され、平準化給気温度Θaが給気温度設定値ΘoSPと一致するように制御される。
【0046】
給気制御コントローラ5aの要求風量取得部56は、各VAVコントローラ4a−1,4a−2,4a−3,4a−4から通知された要求風量値FSP1,FSP2,FSP3,FSP4を取得する(図7ステップS207)。
【0047】
給気制御コントローラ5aの給気風量演算部57は、要求風量取得部56によって取得された要求風量値FSP1,FSP2,FSP3,FSP4からシステム全体の給気風量値を演算する(図7ステップS208)。
【0048】
給気制御コントローラ5aの風量制御部58は、給気風量演算部57によって演算された給気風量値に応じたファン回転数を求め、この求めたファン回転数となるように空調機1aのファン112を制御する(図7ステップS209)。このようにして、空調機1aから送出される給気の風量が制御される。
【0049】
次に、給気制御コントローラ5aの情報通知部59は、空調機運転状態情報(冷暖房モード)と平準化給気温度Θaとを各VAVコントローラ4a−1,4a−2,4a−3,4a−4に対して通知する(図7ステップS210)。
【0050】
給気制御コントローラ5aは、以上のようなステップS200〜S210の処理を空調が停止するまで(図7ステップS211においてYES)、一定時間毎に行う。
【0051】
以上のように、本実施例によれば、給気温度センサ7によって計測された給気温度Θoを移動平均処理した平準化給気温度Θaに基づいて空調機1aを制御することにより、給気温度Θoを一定に保つことが難しい直膨式の空調機1aをVAV空調システムに適用することができる。
【0052】
また、本実施例では、室内温度センサ6(6−1,6−2,6−3,6−4)によって計測された室内温度PVo(PVo1,PVo2,PVo3,PVo4)を移動平均処理した平準化室内温度PVa(PVa1,PVa2,PVa3,PVa4)に基づいて要求風量を演算することにより、室内温度PVoが給気温度Θoに応じて上下動することによる風量制御への影響を低減することができる。
【0053】
なお、本実施例では、空調機1aの例として直膨式の空調機を例に挙げて説明しているが、直膨式に限らず、給気温度Θoを一定に保つことが難しい空調機に本発明を適用することができる。
【0054】
本実施例のVAVコントローラ4a−1,4a−2,4a−3,4a−4と給気制御コントローラ5aの各々は、CPU(Central Processing Unit)、記憶装置および外部とのインタフェースを備えたコンピュータと、これらのハードウェア資源を制御するプログラムによって実現することができる。このコンピュータの構成例を図8に示す。コンピュータは、CPU310と、記憶装置311と、インターフェース装置(以下、I/Fと略する)312とを備えている。
【0055】
VAVコントローラ4a−1,4a−2,4a−3,4a−4の場合、I/F312には、VAVユニット3−1,3−2,3−3,3−4と給気制御コントローラ5aと室内温度センサ6−1,6−2,6−3,6−4とが接続される。給気制御コントローラ5aの場合、I/F312には、空調機1aとVAVコントローラ4a−1,4a−2,4a−3,4a−4と給気温度センサ7とが接続される。このようなコンピュータにおいて、本発明を実現させるためのプログラムは記憶装置311に格納される。各装置のCPU310は、記憶装置311に格納されたプログラムに従って本実施例で説明した処理を実行する。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、VAV空調システムに適用することができる。
【符号の説明】
【0057】
1a…空調機、2…給気ダクト、3−1〜3−4…VAVユニット、4a−1〜4a−4…VAVコントローラ、5a…給気制御コントローラ、6−1〜6−4…室内温度センサ、7…給気温度センサ、8−1〜8−4…被制御エリア、9−1〜9−4…吐出口、10…室外機、11…室内機、40…室内温度計測値取得部、41…風速計測値取得部、42…室内温度設定値取得部、43…平準化室内温度演算部、44…冷暖房判定部、45…要求風量演算部、46…制御部、47…要求風量値通知部、48…制御ステータス通知部、49…受付部、50…給気温度計測値取得部、51…平準化給気温度演算部、52…操作量演算部、53…制御部、54…制御ステータス取得部、55…給気温度設定部、56…要求風量取得部、57…給気風量演算部、58…風量制御部、59…情報通知部、100…コンプレッサ、101…四方弁、102,110…冷媒制御弁、103,111…熱交換器、112…ファン。
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
図9