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特開2019-135463分注装置、チップ装着方法およびチップ除去方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-135463(P2019-135463A)
(43)【公開日】2019年8月15日
(54)【発明の名称】分注装置、チップ装着方法およびチップ除去方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/10 20060101AFI20190719BHJP
【FI】
   G01N35/10 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-18195(P2018-18195)
(22)【出願日】2018年2月5日
(71)【出願人】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柴原 匡
(72)【発明者】
【氏名】隈崎 修孝
(72)【発明者】
【氏名】山形 俊樹
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058ED07
2G058ED36
(57)【要約】
【課題】高速および高精度に分注可能であり小型化が図られた分注装置を提供する。
【解決手段】分注装置300は、ディスポーザブルチップ110内に液体試料を吸引し、吸引した液体試料を吐出する分注装置300であって、ピストンが挿入されるピストン受け入れ部109と、ピストン受け入れ部109の先端に装着されたディスポーザブルチップ110を押下することによって取り外すチップ取り外し部111と、チップ取り外し部111と連動し、チップ取り外し部111の移動方向とは反対方向に移動する力作用部303と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスポーザブルチップ内に液体試料を吸引し、吸引した前記液体試料を吐出する分注装置であって、
ピストンが挿入されるピストン受け入れ部と、
前記ピストン受け入れ部の先端に装着された前記ディスポーザブルチップを押下することによって取り外すチップ取り外し部と、
前記チップ取り外し部と連動し、前記チップ取り外し部の移動方向とは反対方向に移動する力作用部と、
を備える分注装置。
【請求項2】
請求項1に記載の分注装置において、
前記ピストン受け入れ部に挿入される前記ピストンと、
前記ピストンを駆動する第1モータと、
をさらに備え、
前記力作用部は、前記ピストンが引かれる際に前記ピストンと当接して移動する、
分注装置。
【請求項3】
請求項1に記載の分注装置において、
前記チップ取り外し部と前記力作用部とはレバー構造によって連動する、
分注装置。
【請求項4】
請求項3に記載の分注装置において、
前記チップ取り外し部と前記力作用部とのそれぞれは、同一の回転体に回転自在に取り付けられ、折り畳み可能である、
分注装置。
【請求項5】
請求項4に記載の分注装置において、
前記レバー構造の支点の位置は、前記力作用部の移動距離よりも前記チップ取り外し部の移動距離の方が長くなる位置である、
分注装置。
【請求項6】
請求項1に記載の分注装置において、
前記チップ取り外し部と前記力作用部とはギヤ構造によって連動する、
分注装置。
【請求項7】
請求項1に記載の分注装置において、
前記チップ取り外し部と前記力作用部とは、回転軸を有する構造体をなす、
分注装置。
【請求項8】
請求項1に記載の分注装置において、
前記チップ取り外し部は、前記ディスポーザブルチップを押し出す方向に前記チップ取り外し部を付勢する弾性体を備える、
分注装置。
【請求項9】
分注装置におけるチップ装着方法であって、
第1のモータを駆動してピストンをピストン受け入れ部に押し入れ、互いに反対方向に連動して移動する力作用部とチップ取り外し部とが折りたたみ可能な状態にするステップと、
第2のモータを駆動して前記ピストン受け入れ部の先端をディスポーザブルチップに向けて降下させ、前記チップ取り外し部を押し上げて前記ピストン受け入れ部の先端に前記ディスポーザブルチップを装着するステップと、
を含むチップ装着方法。
【請求項10】
請求項9に記載のチップ装着方法において、
前記ピストンを前記ピストン受け入れ部の最大吐出位置近傍まで押し入れる、
チップ装着方法。
【請求項11】
分注装置が備えるピストン受け入れ部の先端に装着されたディスポーザブルチップを取り外すチップ除去方法であって、
モータを駆動してピストンを前記ピストン受け入れ部から引き抜き、互いに反対方向に連動して移動する力作用部とチップ取り外し部とのうち、前記力作用部を前記ピストンにより押し上げることによって前記チップ取り外し部を押し下げ、前記ピストン受け入れ部の先端に装着された前記ディスポーザブルチップを押し出して取り外すステップ、
を含むチップ除去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液体試料を吸入および吐出する分注装置、チップ装着方法およびチップ除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医用およびバイオ等の分野において、血液などの検体や試薬等の液体を複数の小容器に分配する分注装置が用いられている。この分注装置は、チップ、当該チップ内に液体試料を吸引および吐出するためのピペット装置、ピペット装置を搬送する搬送装置などから構成される。検体や試薬はそれらの収納容器から、分注装置によってチップに所定量が吸引され、それぞれ所定の小容器に吐出される。
【0003】
この種の分注装置では通常、多種類の検体や試薬が連続して処理されるため、それらの混合や汚染等を防止するために、プラスチック製の使い捨てディスポーザブルチップが交換可能なチップとして使用される。チップはピペット装置の先端に取り外し可能に装着され、吸引および吐出操作の度に新たなディスポーザブルチップに交換して分注操作を実施する。自動分注装置によって行われるディスポーザブルチップの装着および取り外しの作業は自動化されている。
【0004】
特許文献1には、ディスポーザブルチップを取り外す方法として、U字形の切欠部を持つチップ取り外し板を用いる方法が開示されている。その方法は以下のような方法である。まず、ディスポーザブルチップを装着したピペット装置を、固定されたディスポーザブルチップ取り外し板の高さより低い位置まで降下させる。次にノズルを水平移動させて、ディスポーザブルチップが装着されている円筒部をU字の切欠き部に差し込む。そして、ディスポーザブルチップの上縁部をU字の切欠部に引っ掛けながら垂直に上昇させて、ディスポーザブルチップを取り外すというものである。
【0005】
また、特許文献2に示されるピペット装置は、ディスポーザブルチップを取り外すための専用の駆動部品(エアシリンダやモータなど)が搭載されている。さらに、特許文献3には、ピペット装置のピストンを駆動するモータを利用し、1つのモータで、チップ取り外し用アームを下方に押下げて、ディスポーザブルチップを離脱させる方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−064706号
【特許文献2】特開2010−203773号
【特許文献3】特開2004−170076号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
空気の膨張による減圧または空気の圧縮による加圧を利用して液体試料を吸入および吐出する空気圧分注装置は、高精度および高スループットな分注と装置サイズの小型化とを両立させることが重要である。
【0008】
空気圧分注装置の欠点は、液体を吸引する際の媒体として圧縮性流体である空気を使用しているため、媒体の量が多いとダンピング効果により、高速および高精度な分注動作が困難となることである。
【0009】
また各ユニットおよび分注装置を小型化する場合、ディスポーザブルチップを取り外す方法を工夫することが重要である。上述したように、特許文献1には、U字の切欠部を持つ板にノズルチップを引っ掛けて取り外す方法が記載されている。この方法によると、ノズルチップを装置に設置する空間とノズルチップを廃棄する空間(ゴミ箱)とが必要となり、装置全体が大型化してしまう。
【0010】
特許文献2に記載された方法では、ディスポーザブルチップ取り外し用に各々独立したモータおよびソレノイド等の駆動源が取り付けられているため、分注機構が大型化かつ複雑化する。
【0011】
特許文献3に記載されたチップ着脱方法では、ピペット装置のピストン駆動機構とディスポーザブルチップ着脱機構とを一体化し、同じ駆動系でディスポーザブルチップ着脱機構を実現し小型化しているが、取り外し治具を押し出す機構を別途必要とする。そのため取り外し治具を押し出すストローク分をピペット装置のピストンの押し出しストロークに含ませる必要があり、圧媒体の量が増加してしまう。つまり、装置の小型化が実現困難になるという課題がある。以上のように、空気量を増やすことなく高速および高精度に分注動作が可能であり、かつ、小型化した分注装置は未だ実現されていない。
【0012】
本開示は、上記の課題を解決するためになされたものであり、高速および高精度に分注可能であり小型化が図られた分注装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、ディスポーザブルチップ内に液体試料を吸引し、吸引した前記液体試料を吐出する分注装置であって、ピストンが挿入されるピストン受け入れ部と、前記ピストン受け入れ部の先端に装着された前記ディスポーザブルチップを押下することによって取り外すチップ取り外し部と、前記チップ取り外し部と連動し、前記チップ取り外し部の移動方向とは反対方向に移動する力作用部と、を備える分注装置を提供する。
【0014】
また、分注装置におけるチップ装着方法であって、第1のモータを駆動してピストンをピストン受け入れ部に押入れ、互いに反対方向に連動して移動する力作用部とチップ取り外し部とが折りたたみ可能な状態にするステップと、第2のモータを駆動して前記ピストン受け入れ部の先端をディスポーザブルチップに向けて降下させ、前記チップ取り外し部を押し上げて前記ピストン受け入れ部の先端に前記ディスポーザブルチップを装着するステップと、を含むチップ装着方法を提供する。
【0015】
さらにまた、分注装置が備えるピストン受け入れ部の先端に装着されたディスポーザブルチップを取り外すチップ除去方法であって、モータを駆動してピストンを前記ピストン受け入れ部から引き抜き、互いに反対方向に連動して移動する力作用部とチップ取り外し部とのうち、前記力作用部を前記ピストンにより押し上げることによって前記チップ取り外し部を押し下げ、前記ピストン受け入れ部の先端に装着された前記ディスポーザブルチップを押し出して取り外すステップ、を含むチップ除去方法を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、高速および高精度に分注可能であり小型化が図られた分注装置を提供することができる。上記以外の課題、構成および効果は、以下の実施の形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】比較例の分注装置を示す図である。
図2】分注装置の動作を説明するための図である。
図3】本開示の第1実施形態の分注装置を示す図である。
図4】ディスポーザブルチップを取り外す動作を表した図である。
図5】ディスポーザブルチップを装着する動作を表した図である。
図6】制御PCの処理フローを示す図である。
図7】制御PCの処理フローを示す図である。
図8】第2実施形態の分注装置を説明するための図である。
図9】第3実施形態の分注装置を説明するための図である。
図10】第4実施形態の分注装置を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面に基づいて、本開示の実施形態を説明する。なお、本開示の実施形態は、後述する実施形態に限定されるものではなく、その技術思想の範囲において、種々の変形が可能である。また、後述する各実施形態の説明に使用する各図の対応部分には同一の符号を付して示し、重複する説明を省略する。まず、比較例の分注装置について説明する。
【0019】
<比較例>
図1は、比較例の分注装置100を示す図である。分注装置100は、全体形状がL型をなすベース101を備え、当該ベース101の上部にはモータ102が設けられている。ベース101には、モータ102の回転軸にカップリング103を介して接続された台形ネジまたはボールネジ等からなるネジ軸104が回転自在に設けられている。
【0020】
ネジ軸104には、ネジ軸104を通すスライダ106とネジ軸104に対して螺合されたナット105とが設けられている。スライダ106は、ベース101に設けられたリニアガイド107と接続されており、ナット105とスライダ106とのそれぞれは、図に示された矢印Sの方向に沿って上下動自在または摺動自在である。また、スライダ106は、下方に突出するピストン108と接合し、回転することなく上下動するように構成される。
【0021】
ピストン108とピストン受け入れ部109とはピペット機構を構成し、上述した上下動する機構によって、ポンプの役割を果たす。ピストン受け入れ部109の先端には、ディスポーザブルチップ110が装着されている。当該ディスポーザブルチップ110の上方には、チップ取り外し部111が設けられている。チップ取り外し部111はU字状の切欠き、もしくは、ディスポーザブルチップ110の開口部の径よりも小さい径の通し穴が設けられている。チップ取り外し部111の上端とベース101とに接続されたスプリング等のばね材112により、チップ取り外し部111は常時上方へ付勢されていると共に、矢印Sに沿って上下動自在に構成されている。また装置内の様々な場所に設置された小容器に分注するため、分注装置100は水平方向および鉛直方向に自由自在に駆動される自動ステージ(図示せず)上に設置される。
【0022】
図2は、分注装置100の動作を説明するための図である。図2を用いて、比較例の分注装置100による分注動作とディスポーザブルチップ110の取り外し動作について説明する。まず、分注装置100はディスポーザブルチップ110をピストン受け入れ部109の先端に装着する。続いて、分注装置100は、モータ102を駆動させてネジ軸104を回転させると、スライダ106と共にピストン108が上下してピストン受け入れ部109の内圧を減少(または増加)させ、液状試料がディスポーザブルチップ110に吸引(またはディスポーザブルチップ110から吐出)される。図2(a)には、分注動作に使用されるネジ軸104の範囲が矢印Dで示されている。
【0023】
分注動作が終了し、ディスポーザブルチップ110の交換が必要になった場合、分注装置100は、ディスポーザブルチップ110内の液体試料を吐出し、さらに、モータ102を駆動させてネジ軸104を回転させる。このようにすると、スライダ106と共にピストン108が降下し、チップ取り外し部111の上端とスライダ106とが当接し、図2(b)に示されるように、ばね材112と共にチップ取り外し部111が下方へ押下げられて、ピストン受け入れ部109の先端に装着されたディスポーザブルチップ110はピストン受け入れ部109から取り外されて離脱する。図2には、ディスポーザブルチップ110の取り外し動作に使用されるピストン108の範囲が矢印Rで示されている。
【0024】
ピストン受け入れ部109内の空気量が多いと、圧媒体のダンピング効果により、高速および高精度な分注動作が困難となる。比較例の分注装置100では、ディスポーザブルチップ110を取り出すためのピストン108の押し出しストローク量を、分注するための押し出しストローク量に含ませる必要があるため、矢印R分の長さだけ圧媒体が増加するという課題がある。
【0025】
<第1実施形態>
図3は、本開示の第1実施形態の分注装置300を示す図である。分注装置300は、全体形状が箱型をなすベース201を有し、このベース201の上部にはモータ102が設けられている。モータ102は制御PC(Personal Computer)901と接続されて制御信号により制御される。ベース201には、モータ102の回転軸にカップリング103を介して接続された台形ネジまたはボールネジ等からなるネジ軸104が回転自在に設けられている。
【0026】
ネジ軸104には、螺合した状態のナット105とスライダ106とが設けられている。スライダ106は、ベース201に設けられたリニアガイド107と接続されており、ナット105とスライダ106とのそれぞれは、図に示された矢印Sの方向に沿って上下動自在または摺動自在である。また、スライダ106は、下方に突出するピストン208(点線)と接合し、回転することなく上下動するように構成される。
【0027】
ピストン208とピストン受け入れ部109(点線)とはピペット機構を構成し、上述した上下動する機構によって、ポンプの役割を果たす。ピストン受け入れ部109の先端には、ディスポーザブルチップ110が装着されている。当該ディスポーザブルチップ110の上方には、チップ取り外し部111が設けられている。チップ取り外し部111はU字状の切欠き、もしくは、ディスポーザブルチップ110の開口部の径よりも小さい径の通し穴が設けられ、矢印Sに沿って上下動自在に構成されている。ディスポーザブルチップ110は、チップ取り外し部111が下降することによって押し出され取り外される。また装置内の様々な場所に設置された小容器に分注するため、分注装置300は水平方向および鉛直方向に自由自在に駆動される自動ステージ(図示せず)上に設置される。
【0028】
ピストン208には、ロッド301がピストン208に対して回転自在にリンクまたはピン等で接続され、当該ロッド301の両端には、別のロッド302および303がロッド301に対して回転自在に接続されている。したがって、ロッド301〜303が形成する構造体は引き延ばしたり折りたたんだりすることができる。ロッド303の端部に設けられたリンクLは、ベース201に設けられたガイドレール304に沿って動くことができ、その結果、図3に示すようにロッド303を上方へ持ち上げることにより、ロッド302を下方へ押し下げることができる。つまり、ロッド303は、チップ取り外し部111を下方へ押し下げるための力作用部として機能し、チップ取り外し部111と力作用部とは、回転軸を有する構造体をなす。本開示の分注装置300は、この仕組みを利用してチップ取り外し部111を押し下げディスポーザブルチップ110を取り外すことができる。
【0029】
以下に、第1実施形態の分注装置300の分注動作とディスポーザブルチップ110の取り外し動作について説明する。分注装置300は、まず、自動ステージを下降させることでディスポーザブルチップ110をピストン受け入れ部109の先端に装着する。続いて、制御PC901の制御によりモータ102を駆動させ、スライダ106と共にピストン208(点線)を上下させてピストン受け入れ部109(点線)の内圧を減少(または増加)させ、液状試料がディスポーザブルチップ110に吸引(またはディスポーザブルチップ110から吐出)される。
【0030】
第1実施形態の分注装置300では、ディスポーザブルチップ110を取り外すためにピストン208を下方に押し入れる構造ではない。つまり、ディスポーザブルチップ110を取り外すためにピストン208をストロークさせる空間を確保せずに済む。そのため、上記の分注動作を実行する場合、ピストン208は(点線)は、ピストン受け入れ部109(点線)の下方の位置(最奥部付近)で振動することができる。つまり、圧媒体の量が比較例の分注装置100よりも非常に少なく、原理的には、ピストン受け入れ部109内の圧媒体の量をほぼ0にすることができる。
【0031】
分注動作が終了し、ディスポーザブルチップ110の交換が必要になった場合、分注装置300は、まず、ディスポーザブルチップ110内の液体試料を吐出しきる。続いて、制御PC901は、モータ102を駆動させ、スライダ106と共にピストン208を上昇させる。スライダ106の上端がロッド303の端部に設けられたリンクLと当接した後、ロッド303はスライダ106の上昇に伴いレール304に沿って上方へ押し上げられる。なお、分注動作は、ロッド303のリンクLとスライダ106の上端とが接触しない範囲でスライダ106およびピストン208を振動させて実施する。
【0032】
上述したとおり、ロッド302および303は、ロッド301の両端にて、ロッド301に対して回転自在に接続されている。それ故ロッド303の上昇に伴い、ロッド301は回転中心305を軸にして時計回りに回転する。同時に、ロッド302は、ロッド301の回転に合わせて下方に押し下げられる。
【0033】
ロッド302の下端は、チップ取り外し部111の上端とリンクL(またはピン)等により回転自在に取り付けられており、ロッド302が降下するのに合わせてチップ取り外し部111が下方へ押下げられる。その結果、ピストン受け入れ部109の下部に装着されたディスポーザブルチップ110はピストン受け入れ部109から取り外されて離脱する。
【0034】
図4は、ディスポーザブルチップ110を取り外す動作を表した図である。図4aには、ロッド301〜303が折りたたまれた状態が示され、図4bには、ロッド301〜303が引き延ばされた状態が示されている。図4中、矢印Pは、ディスポーザブルチップ110を取り外すためにピストン208が動作する範囲を示し、矢印Rは、チップ取り外し部111がロッド303に連動して動作する範囲を示す。分注装置300は、上述した動作により図4(a)に示された状態から図4(b)に示された状態となりディスポーザブルチップ110が外れる。
【0035】
図5は、ディスポーザブルチップ110を装着する様子を表した図である。まず、制御PC901が制御信号を出力して、モータ102を駆動させ、スライダ106と共にピストン208を降下させる。この状態では、チップ取り外し部111が上方に持ち上げられた際に、ロッド301〜303が折りたたまれた状態となることができる。続いて、制御PC901は、制御信号を出力してステージ移動用のモータ112を駆動させ、分注装置300をディスポーザブルチップ110が架設されているチップホルダ501の真上の位置まで移動させる。その後、制御PC901による制御によって、分注装置300を下降させ、ディスポーザブルチップ110をピストン受け入れ部109の先端に装着する。ディスポーザブルチップ110を装着する際に、チップ取り外し部111やロッド302は押し上げられる。続いて、ステージを移動させて分注装置300を真上に上昇させると、図5(b)の状態となり、ディスポーザブルチップ110の装着完了となる。なお、明暗センサなどを用いて、ディスポーザブルチップ110が正常にピストン受け入れ部109に装着されたか否かを判断することも可能である。
【0036】
[モータ制御]
図6は、制御PC901の処理フローを示す図である。以下に、図6を参照して分注装置300がディスポーザブルチップ110を取り付ける際の動作S601〜S603について説明する。
(S601)
分注装置300が備えるピストン受け入れ部109の先端にディスポーザブルチップ110を取り付ける際は、制御PC901が分注用のモータ102を駆動し、ピストン208の位置を最大吐出位置近傍まで移動させる。ここで、最大吐出位置近傍とはピストン208をピストン受け入れ部109に最も挿入した位置から所定の範囲内を意味し、ピストン208が最大吐出位置近傍にあるときは、ピストン受け入れ部109内に存在する圧媒体の量は略0と見做せる。
(S602)
ピストン208の位置が最大吐出位置にある場合、S603に進む。ピストン208の位置が最大吐出位置にない場合S601の処理を再度繰り返す。ピストン208が最大吐出位置にあるか否かの判定は、例えば、スライダ106の位置を計測することによって判定する。
(S603)
制御PC901が、ステージ移動用のモータ112を駆動し、ステージを降下させることによってピストン受け入れ部109の先端にディスポーザブルチップ110を取り付ける。
【0037】
図7は、制御PC901の処理フローを示す図である。以下に、図7を参照して分注装置300がディスポーザブルチップ110を取り外す際の動作S701〜S703について説明する。
(S701)
分注装置300が備えるピストン受け入れ部109の先端からディスポーザブルチップ110を取り外す際は、制御PC901が分注用のモータ102を駆動し、ピストン208の位置を最大吸引位置まで移動させる。ここで、最大吸引位置とはピストン208をピストン受け入れ部109から最も引き抜いた位置を意味する。
(S702)
ピストン208の位置が最大吸引位置にある場合、S703に進む。ピストン208の位置が最大吸引位置にない場合、S701の処理を再度繰り返す。ピストン208が最大吸引位置にあるか否かの判定は、例えば、スライダ106の位置を計測することによって判定する。
(S703)
制御PC901が、分注用のモータ102を駆動し、ステージをさらに上昇させることによってピストン208を持ち上げてチップ取り外し部111を降下させ、受け入れ部109の先端からディスポーザブルチップ110を取り外す。
【0038】
上記のとおり、本開示の分注装置300は、ディスポーザブルチップ110を取り外すためのチップ取り外し部111の押し出しストロークを、ピストン208を引くストロークに含ませている。したがって、ピストン208をピストン受け入れ部109に押し入れることによりディスポーザブルチップ110を取り外す方法と異なり、ピストン受け入れ部109内の空気量低減が可能となる。それ故、本開示の分注装置300は、圧媒体のダンピング効果が減少し、高速かつ高精度な分注を実行できる。また、分注装置300は、ディスポーザブルチップ110を取り外すための押し出しストロークを、ピストン208を引くストロークに含ませているため、同一のモータ102を使用して分注動作とディスポーザブルチップ110取り外し動作との双方を実行でき装置全体が小型化されている。
【0039】
<実施形態2>
図8は、第2実施形態の分注装置を説明するための図である。図8には、実施形態1との差異を説明するため、ディスポーザブルチップ110を取り外すための構成要素600のみが図示されている。第2実施形態の分注装置は、ディスポーザブルチップ110を取り外すための動作原理は第1実施形態の分注装置300と同様であるが、ピストン208に対して回転自在に接続されたロッド602の回転中心605の位置が第1実施形態の分注装置300とは異なる。
【0040】
図8(a)に示されているように第2実施形態の分注装置では、ロッド602の回転中心605が、ロッド601との接続箇所までの距離とロッド603との接続箇所までの距離との比がH1:H2(図では、H1<H2)となる位置に設けられている。即ち、ロッド601の小さい移動に対してロッド603が大きく移動する構成となっている。図8には、ロッド601がガイドレール604に沿って移動する量がV1で示され、チップ取り外し部111が下方に移動する量がV2で示されている。
【0041】
上記の構成を採用すると、チップ取り外し部111は、ロッド601の移動量より多く下方へ押下げられて、ピストン受け入れ部109の下部に装着されたディスポーザブルチップ110はピストン受け入れ部109から取り外されて離脱する。この時、H1:H2=V1:V2の関係式が成り立つ。H1<H2の場合、ディスポーザブルチップ110を取り外す際のピストン208の移動距離を低減できるため、分注装置の小型化が可能となる。またH2<H1の場合、てこの原理により、より少ない駆動力で、ディスポーザブルチップ110がピストン受け入れ部109から取り外されて離脱する。
【0042】
<実施形態3>
図9は、第3実施形態の分注装置を説明するための図である。図9には、実施形態1との相違点を説明するため、ディスポーザブルチップ110を取り外すための構成要素(ラックピニオン700)のみが図示されている。第3実施形態の分注装置では、折り畳み可能な複数のロッド301〜303の代わりに、ギヤ702、ラック701および703を備えるラックピニオン700を用いて分注動作を制御する。ギヤ702は、回転中心705を有し、回転自在にベース201に取り付けられている。ギヤ702とラック701とは互いに歯が噛み合っており、ギヤ702の回転と連動してラック701は上昇または下降する。同様に、ギヤ702とラック703とは互いに歯が噛み合っており、ギヤ702の回転と連動してラック703は上昇または下降する。
【0043】
また、ラック701は、スライダ106が上昇するとラック701の上端704がスライダ106と当接して持ち上げられる(図9(b))。ラック701の上方への移動に合わせてギヤ702が時計回りに回転し、ラック703が降下する。ラック703には、チップ取り外し部111が接続されており、ラック703が降下することによって、ディスポーザブルチップ110が押し出されてピストン受け入れ部109の先端から離脱する。つまり、ラック701は、チップ取り外し部111を下方へ押し下げるための力作用部として機能する。液体の吸引および吐出は、スライダ106がラック701の上端704に接触しない範囲でスライダ106およびピストン208を押し引きすることによって行う(図9(a))。
【0044】
したがって、第3実施形態の分注装置は、第1実施形態の分注装置300と同様に、分注用途とディスポーザブルチップ110の取り外し用途とで同一のモータ102を使用するため、装置の小型化が可能となる。また、第3実施形態の分注装置は、ラック701を上方に持ち上げることでラック703を降下させディスポーザブルチップ110を押し出して取り外す仕様である。つまり、ディスポーザブルチップ110を取り外すためのチップ取り外し部111の押し出しストロークを、ピストン208を引くストロークに含ませている。したがって、ピストン208をピストン受け入れ部109に押し入れることによりディスポーザブルチップ110を取り外す方法と異なり、ピストン受け入れ部109内の空気量低減が可能となる。それ故、第3実施形態の分注装置は、圧媒体のダンピング効果が減少し、高速かつ高精度な分注を実行できる。なお、ギヤ702は、回転軸を有する別の部材(回転体)で実現してもよく、本実施形態は回転体の形状を限定するものではない。
【0045】
<実施形態4>
図10は、第4実施形態の分注装置を説明するための図である。図10には、実施形態1との差異を言及するため、ディスポーザブルチップ110を取り外すための構成要素800のみが図示されている。第4実施形態の分注装置では、チップ取り外し部111の上端とベース201とばね材801(例えば、スプリング)が接続されている点が第1実施形態の分注装置300とは異なる。上記ばね材801により、チップ取り外し部111は図10に示された矢印R方向へ常時付勢されている。チップ取り外し部111は、ばね材801により鉛直方向下方に付勢されているため、ロッド303はばね材801が存在しない場合と比較して少ない力で上方へ持ち上げることができる。つまり、ディスポーザブルチップ110を取り外すためにピストン208を動作させる駆動力を低減でき、モータなどの駆動部品の小型化が可能となる。また図8においてロッド301の回転中心の位置がH1<H2となる位置の場合、レバー比を利用してロッド303の作動距離を低減できるが、大きな駆動力が必要となる。上記ばね材801は、このような場合にも有効に使用できる。
【0046】
なお、本開示は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本開示を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。
【符号の説明】
【0047】
300:分注装置
101:ベース
102:モータ
103:カップリング
104:ネジ軸
105:ナット
106:スライダ
107:リニアガイド
108:ピストン
109:ピストン受け入れ部
110:ディスポーザブルチップ
111:チップ取り外し部
301〜303:ロッド
304:レール
305:回転中心
501:チップホルダ
601〜603:ロッド
604:レール
605:回転中心
701、703:ラック
702:ギヤ
704:上端
705:回転中心
801:ばね材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10