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特開2019-138157ガスタービン燃焼器、ガスタービン及びガスタービン燃焼器の制御方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-138157(P2019-138157A)
(43)【公開日】2019年8月22日
(54)【発明の名称】ガスタービン燃焼器、ガスタービン及びガスタービン燃焼器の制御方法
(51)【国際特許分類】
   F02C 9/34 20060101AFI20190726BHJP
   F02C 9/00 20060101ALI20190726BHJP
   F23R 3/28 20060101ALI20190726BHJP
   F02C 9/28 20060101ALI20190726BHJP
   F23R 3/30 20060101ALI20190726BHJP
【FI】
   F02C9/34
   F02C9/00 B
   F23R3/28 D
   F02C9/28 C
   F23R3/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2018-19368(P2018-19368)
(22)【出願日】2018年2月6日
(71)【出願人】
【識別番号】514030104
【氏名又は名称】三菱日立パワーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】特許業務法人開知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿部 一幾
(72)【発明者】
【氏名】林 明典
(72)【発明者】
【氏名】和田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】辰巳 哲馬
(72)【発明者】
【氏名】吉田 正平
(57)【要約】
【課題】予混合器の内部に形成された火炎を速やかに消火し、消火に伴うガスタービンの出力低下を抑える。
【解決手段】拡散バーナ41と予混合バーナ42を備えたガスタービン燃焼器2において、拡散バーナを囲う内筒42bと、内筒を囲う外筒42cと、内筒及び外筒の間の円筒状の空間を周方向に並ぶ複数の予混合室42fに隔てる複数の隔壁42dと、予混合室に予混合燃料を噴射する複数の予混合燃料ノズル42aと、隔壁に埋め込んで設置した少なくとも1つの温度計42e等で予混合バーナを構成し、温度計の検出値が対応する設定値を超えた場合、拡散バーナ及び予混合バーナに供給する燃料流量の総量が変わらないように、予混合燃料流量調整弁21B−21Eの開度を下げて、拡散燃料流量調整弁21Aの開度を上げる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡散燃焼方式の拡散バーナと、前記拡散バーナの拡散燃料系統に設けた拡散燃料流量調整弁と、予混合燃焼方式の予混合バーナと、前記予混合バーナの予混合燃料系統に設けた少なくとも1つの予混合燃料流量調整弁と、前記拡散バーナ及び前記予混合バーナの燃料噴射方向の下流側に燃焼室を形成する燃焼器ライナと、前記拡散燃料流量調整弁及び前記予混合燃料流量調整弁を制御する制御装置とを備えたガスタービン燃焼器であって、
前記予混合バーナが、
前記拡散バーナを囲う内筒と、
前記内筒を囲う外筒と、
前記内筒及び前記外筒の間の円筒状の空間を周方向に並ぶ複数の予混合室に隔てる複数の隔壁と、
前記予混合燃料系統に接続し対応する予混合室に予混合燃料を噴射する複数の予混合燃料ノズルと、
前記隔壁に埋め込んで設置した少なくとも1つの温度計とを備えており、
前記制御装置が、前記温度計の検出値又はその上昇率が対応する設定値を超えた場合、前記拡散バーナ及び前記予混合バーナに供給する燃料流量の総量が変わらないように、前記予混合燃料流量調整弁の開度を下げて、前記拡散燃料流量調整弁の開度を上げる予混合燃料比率制御を実行するように構成されているガスタービン燃焼器。
【請求項2】
請求項1のガスタービン燃焼器において、
前記温度計が、前記予混合燃料ノズルの燃料噴射方向において前記隔壁の前記燃焼室の側の端部と前記予混合燃料ノズルの燃料噴出口との中間に計測部が位置するように前記隔壁に設けられているガスタービン燃焼器。
【請求項3】
請求項1のガスタービン燃焼器において、
前記予混合バーナに対して前記燃焼室の側に保炎器が備わっており、
前記隔壁は前記燃焼室の中心軸に平行な平板状の部材であるガスタービン燃焼器。
【請求項4】
請求項1のガスタービン燃焼器において、
前記制御装置が、前記予混合燃料比率制御の実行後、前記温度計の検出値が前記設定値を下回ってから設定時間が経過したら、前記予混合燃料流量調整弁及び前記拡散燃料流量調整弁の開度を前記予混合燃料比率制御の実行前の値に戻す復帰制御を実行するように構成されているガスタービン燃焼器。
【請求項5】
請求項1のガスタービン燃焼器において、前記制御装置が、ガスタービンの負荷の上昇に伴って前記予混合燃料比率制御に伴う前記拡散燃料流量調整弁及び前記予混合燃料流量調整弁の制御量を大きくするように構成されているガスタービン燃焼器。
【請求項6】
請求項1のガスタービン燃焼器において、前記設定値として大きさの異なる複数の値が設定されており、各値に対応して前記拡散燃料流量調整弁及び前記予混合燃料流量調整弁の制御量が設定されていて、前記制御装置により前記予混合燃料比率制御が段階的に実行されるように構成されているガスタービン燃焼器。
【請求項7】
請求項1のガスタービン燃焼器において、
予混合燃料のカロリーを計測するカロリーメータが設けられており、
前記制御装置が、前記カロリーメータで計測された予混合燃料のカロリーの上昇に伴って前記予混合燃料比率制御に伴う前記拡散燃料流量調整弁及び前記予混合燃料流量調整弁の制御量を大きくするように構成されているガスタービン燃焼器。
【請求項8】
請求項1のガスタービン燃焼器において、
予混合燃料の水素濃度を計測する濃度計が設けられており、
前記制御装置が、前記濃度計で計測された予混合燃料の水素濃度の上昇に伴って前記予混合燃料比率制御に伴う前記拡散燃料流量調整弁及び前記予混合燃料流量調整弁の制御量を大きくするように構成されているガスタービン燃焼器。
【請求項9】
請求項1のガスタービン燃焼器において、
前記予混合バーナが、前記予混合室及び前記予混合燃料ノズルを少なくとも1組含み前記拡散バーナを囲んで周方向に並ぶ複数の部分バーナに区分されており、
前記温度計が複数設けられ、前記複数の部分バーナのそれぞれについて少なくとも1枚の隔壁に設けられており、
前記制御装置が、いずれか1つ以上の温度計の検出値が前記設定値を超えた場合、前記設定値を超える検出値を出力した温度計が属する少なくとも1つの部分バーナに対応する前記予混合燃料流量調整弁の開度を下げると共に、その他の部分バーナに対応する前記予混合燃料流量調整弁の開度を維持し、前記拡散バーナ及び前記予混合バーナに供給する燃料流量の総量が変わらないように前記拡散燃料流量調整弁の開度を上げるように構成されているガスタービン燃焼器。
【請求項10】
圧縮機と、
前記圧縮機で圧縮された空気と共に燃料を燃焼する請求項1のガスタービン燃焼器と、
前記ガスタービン燃焼器で生成された燃焼ガスで駆動されるタービンとを備えたガスタービン。
【請求項11】
拡散燃焼方式の拡散バーナと、前記拡散バーナの拡散燃料系統に設けた拡散燃料流量調整弁と、予混合燃焼方式の予混合バーナと、前記予混合バーナの予混合燃料系統に設けた少なくとも1つの予混合燃料流量調整弁と、前記拡散バーナ及び前記予混合バーナの燃料噴射方向の下流側に設けた燃焼室とを備えたガスタービン燃焼器の制御方法において、
前記予混合バーナを、
前記拡散バーナを囲う内筒と、
前記内筒を囲う外筒と、
前記内筒及び前記外筒の間の円筒状の空間を周方向に並ぶ複数の予混合室に隔てる複数の隔壁と、
前記予混合燃料系統に接続し対応する予混合室に予混合燃料を噴射する複数の予混合燃料ノズルと、
前記隔壁に埋め込んで設置した少なくとも1つの温度計とを含んで構成し、
前記温度計の検出値又はその上昇率が対応する設定値を超えた場合、前記拡散バーナ及び前記予混合バーナに供給する燃料流量の総量が変わらないように、前記予混合燃料流量調整弁の開度を下げて、前記拡散燃料流量調整弁の開度を上げるガスタービン燃焼器の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービン燃焼器、ガスタービン及びガスタービン燃焼器の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境保全に対する規制や社会的要求により、圧縮機、燃焼器及びタービン等を備えるガスタービンには更なる高効率化、低NOx化が求められている。ガスタービンの高効率化を図る方法として、燃焼器で形成する火炎の温度を上げてタービン入口の燃焼ガス温度を上昇させる方法があるが、火炎温度の上昇に伴ってNOxの排出量が増加する可能性がある。
【0003】
一方、NOxの排出量を抑制する燃焼器として、予混合燃焼を採用した燃焼器(以下、予混合燃焼器)がある(特許文献1等参照)。予混合燃焼とは、予混合器で予め燃料と空気を混合した混合気を燃焼室に供給して燃焼させる燃焼方式である。燃料を空気と混合してから燃焼室に供給することにより、燃焼室内に形成される火炎の温度が均一化し燃焼器におけるNOxの排出量が抑制されるメリットがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−035358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
予混合燃焼器では、燃料に混合させる空気の温度が上昇したり燃料に含まれる水素含有量が増加したりすると燃焼速度が増加し、燃焼室内に形成された火炎が予混合器内に逆流する現象(いわゆる逆火)が起こる場合がある。また、圧縮機から供給される燃焼用の空気や燃焼器に供給される燃料に同伴した飛来物が着火し、予混合器の内部で火炎が形成される場合もある。予混合器内に火炎が逆流したり何らかの要因で予混合器内に火炎が形成されたりすると燃焼ガスが高温化するため、予混合器の下流の構造物に与える熱的負荷が増大する可能性がある。予混合器の内部で火炎が形成されてしまった場合、例えば予混合燃焼用の燃料流量を減少させることで予混合器の内部の火炎を消し止めることができる。この消火動作を自動化するためには予混合器の内部で火炎が形成されたことを検知する必要がある。また、予混合器の内部における消火に伴って単純に予混合燃焼用の燃料流量を下げるとガスタービンの出力が低下してしまう。
【0006】
本発明の目的は、予混合器の内部に形成された火炎を速やかに消火し、消火に伴うガスタービンの出力低下を抑えることができるガスタービン燃焼器、ガスタービン及びガスタービン燃焼器の制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係るガスタービン燃焼器は、拡散燃焼方式の拡散バーナと、前記拡散バーナの拡散燃料系統に設けた拡散燃料流量調整弁と、予混合燃焼方式の予混合バーナと、前記予混合バーナの予混合燃料系統に設けた少なくとも1つの予混合燃料流量調整弁と、前記拡散バーナ及び前記予混合バーナの燃料噴射方向の下流側に燃焼室を形成する燃焼器ライナと、前記拡散燃料流量調整弁及び前記予混合燃料流量調整弁を制御する制御装置とを備えたガスタービン燃焼器であって、前記予混合バーナが、前記拡散バーナを囲う内筒と、前記内筒を囲う外筒と、前記内筒及び前記外筒の間の円筒状の空間を周方向に並ぶ複数の予混合室に隔てる複数の隔壁と、前記予混合燃料系統に接続し対応する予混合室に予混合燃料を噴射する複数の予混合燃料ノズルと、前記隔壁に埋め込んで設置した少なくとも1つの温度計とを備えており、前記制御装置が、前記温度計の検出値又はその上昇率が対応する設定値を超えた場合、前記拡散バーナ及び前記予混合バーナに供給する燃料流量の総量が変わらないように、前記予混合燃料流量調整弁の開度を下げて、前記拡散燃料流量調整弁の開度を上げる予混合燃料比率制御を実行するように構成されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、予混合器の内部に形成された火炎を速やかに消火し、消火に伴うガスタービンの出力低下を抑えることができ、ガスタービン燃焼器の信頼性と運用性を両立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態に係るガスタービン燃焼器を備えたガスタービンプラントの全体構成を表す模式図
図2図1のガスタービン燃焼器に備えられたバーナを燃焼室側から見た図
図3図1のガスタービン燃焼器に備えられた制御装置の模式図
図4図1のガスタービン燃焼器におけるガスタービン負荷に対する系統毎の燃料流量を示す特性図
図5図3の制御装置による予混合燃料比率制御の手順の一例を示すフローチャート
図6】比較例におけるバーナのメタル温度、予混合燃料比率、燃料流量及び発電量を示す特性図
図7】第1実施形態におけるバーナのメタル温度、予混合燃料比率、燃料流量及び発電量を示す特性図
図8】第1実施形態におけるバーナのメタル温度、予混合器燃空比及び燃焼器燃空比を示す特性図
図9A】本発明の第2実施形態に係るガスタービン燃焼器の予混合燃料比率制御における予混合燃料比率の低下量(補正量)とガスタービン負荷との関係を表す特性図
図9B】本発明の第2実施形態に係るガスタービン燃焼器の予混合燃料比率制御における予混合器燃空比低下量とガスタービン負荷との関係を表す特性図
図10】本発明の第3実施形態におけるバーナのメタル温度、予混合燃料比率、燃料流量及び発電量を示す特性図
図11A】本発明の第3実施形態に係るガスタービン燃焼器の予混合燃料比率制御における予混合燃料比率の低下量(補正量)とガスタービン負荷との関係を表す特性図
図11B】本発明の第3実施形態に係るガスタービン燃焼器の予混合燃料比率制御における予混合器燃空比低下量とガスタービン負荷との関係を表す特性図
図12】本発明の第3実施形態に係るガスタービン燃焼器に備えられた制御装置による予混合燃料比率制御の手順の一例を示すフローチャート
図13】本発明の第4実施形態におけるバーナのメタル温度、予混合燃料比率、燃料流量及び発電量を示す特性図
図14A】本発明の第5実施形態に係るガスタービン燃焼器の予混合燃料比率制御における燃料発熱量とゲイン設定との関係を表す特性図
図14B】本発明の第5実施形態に係るガスタービン燃焼器の予混合燃料比率制御における予混合器燃空比低下量とガスタービン負荷との関係を表す特性図
図15A】本発明の第6実施形態に係るガスタービン燃焼器の予混合燃料比率制御における燃料の水素濃度とゲイン設定との関係を表す特性図
図15B】本発明の第6実施形態に係るガスタービン燃焼器の予混合燃料比率制御における予混合器燃空比低下量とガスタービン負荷との関係を表す特性図
図16】本発明の第7実施形態におけるバーナのメタル温度、予混合燃料比率、燃料流量及び発電量を示す特性図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を用いて本発明の実施形態を説明する。
【0011】
<第1実施形態>
−ガスタービンプラント−
図1は本発明の第1実施形態に係るガスタービン燃焼器を備えたガスタービンプラントの全体構成を表す模式図、図2は燃焼室側から見たバーナの構成を表す図である。図示したガスタービンプラント100は、発電機Gとこれを駆動する原動機であるガスタービンを備えている。ガスタービンは、圧縮機1、ガスタービン燃焼器(以下、燃焼器)2及びタービン3を備えており、圧縮機1、タービン3及び発電機Gは、共通のシャフトSによって相互に連結されている。
【0012】
圧縮機1はタービン3によって回転駆動され、吸気部(不図示)を介して吸い込まれた空気A1を加圧して高圧空気A2を生成して燃焼器2に供給する。燃焼器2は圧縮機1から供給された高圧空気A2と燃料系統200(後述)から供給される燃料と共に燃焼させ、発生した高温の燃焼ガスG1をタービン3に供給する。タービン3は燃焼器2から供給された燃焼ガスG1の膨張作用によって回転駆動される。タービン3を駆動した燃焼ガスG1は排気ガスG2として排出される。発電機Gはタービン3によって回転駆動されて電力を発生させる。
【0013】
−ガスタービン燃焼器−
燃焼器2は、燃焼器ライナ10、バーナ5、燃料系統200及び制御装置50(図3)を備えている。バーナ5は、拡散バーナ41及び予混合バーナ42を備えている。拡散バーナ41、予混合バーナ42及び燃焼室11は、ガスタービンのケーシング4の内部に設けられており、燃料系統200はケーシング4の外部に設けられている。
【0014】
燃焼器ライナ10は燃焼室11を形成する円筒状の部材であり、拡散バーナ41及び予混合バーナ42に対して燃料噴射方向の下流側(図中の右側)に位置している。燃焼器ライナ10の内側の空間が燃焼室11であり、拡散バーナ41や予混合バーナ42から供給される燃料と空気が燃焼室11で燃焼し燃焼ガスG1が発生する。
【0015】
燃焼器ライナ10とケーシング4との間に形成された環状の空間は、圧縮機1からバーナ5の上流側に高圧空気A2を導く環状流路43を構成している。環状流路43に流入した高圧空気A2は燃焼器ライナ10を対流冷却する。また、環状流路43を流れる高圧空気A2の一部は、燃焼器ライナ10の外周部に設けられた多数の冷却孔(不図示)から燃焼器ライナ10の内部へ流入し、燃焼器ライナ10のフィルム冷却に使用される。冷却孔に流入しなかった残りの高圧空気A2は環状流路43を通って拡散バーナ41又は予混合バーナ42に到達する。拡散バーナ41又は予混合バーナ42に到達した高圧空気A2は、燃料系統200から燃料ヘッダ(不図示)を介して拡散燃料ノズル41a又は予混合燃料ノズル42aに供給された燃料と併せて燃焼室11に供給されて燃焼する。
【0016】
−バーナ−
拡散バーナ41は拡散燃焼方式のバーナであり、拡散燃料ノズル41aと旋回羽根41bを備えている。拡散燃料ノズル41aは燃焼器2の中心軸上に配置されており、先端(図1中の右端)に燃料噴孔を備えていて、燃料噴射孔から燃焼室11に(図1中の右方向に)燃料を直接噴射する。旋回羽根41bは拡散燃料ノズル41aの先端付近の外周を囲むようにして設けられており、旋回空気流を噴射することで拡散バーナ41の燃焼安定性を高めている。
【0017】
予混合バーナ42は予混合燃焼方式のバーナであり、内筒42b、外筒42c、複数の隔壁(予混合器ベーン)42d、複数の予混合燃料ノズル42a、少なくとも1つの温度計42eを備えている。内筒42b及び外筒42cは予混合器を形成する円筒状の部材であり、内筒42bは拡散バーナ41の外周を囲うようにして設けられ、外筒42cは更に内筒42bの外周を囲うようにして設けられている。内筒42b及び外筒42cの間に形成された円筒状の空間は上流側(図1中の左側)が径方向の外側(環状流路43)に向かって開口しており、下流側が燃焼器2の中心軸方向に(燃焼室11に向かって)開口している。複数(本実施形態では12枚)の隔壁42dは、その円筒状の空間を複数(本実施形態では12個)の予混合室42fに隔てている。予混合室42fは燃料と空気が混合するための空間であり、平常な状態では内部に火炎は形成されない。予混合室42fの出口部分(予混合バーナ42に対して燃焼室11側)にはリング型の保炎器73が備わっている。保炎器73は下流(燃焼室11)に循環流を形成するために予混合気の流路に障害物として設けた物理保炎方式の保炎器である。隔壁42dは燃焼室11から見て放射状に配置されており、本実施形態では燃焼室11の中心軸に平行な平板状の部材で形成されている。隔壁42dは、伝熱効率を高めるため薄く形成されている(例えば数mm程度)。また、隔壁42dは内筒42bと外筒42cで形成される円筒状の空間の上流端付近から下流端付近まで広く延在している。予混合燃料ノズル42aは各予混合室42fに各2本対応して設けられており、それぞれ予混合燃料系統(後述)に接続している。拡散燃料ノズル41aと同様に、各予混合燃料ノズル42aは先端(図1中の右端)に燃料噴孔を備えていて、燃料噴射孔から対応する予混合室42fに予混合燃料を噴射する。これにより予混合燃料ノズル42aから噴射された燃料は、予混合室42fで高圧空気A2と混合された混合気となってから燃焼室11に(図1中の右方向に)噴射される。
【0018】
本実施形態では、予混合バーナ42が複数(本実施形態では4つ)の部分バーナ42A−42Dに区分されている。部分バーナ42A−42Dは拡散バーナ41を囲んで周方向に(本実施形態では燃焼室11から見て時計回りに部分バーナ42A,42C,42D,42Bの順で)並んでいる。部分バーナ42A−42Dには、予混合室42h及び予混合燃料ノズル42aが少なくとも1組(本実施形態では3組ずつ)含まれている。すなわち予混合バーナ42を隔壁42dで4つの部分バーナ42A−42Dに仕切り、更に部分バーナ42A−42Dの予混合室42fをそれぞれ隔壁42dで周方向に3つに仕切った構成である。
【0019】
燃料系統200は、図1に示したように、燃料供給源(不図示)に接続された共通燃料系統20と、この共通燃料系統20から分岐した第1−第5燃料系統20A−20Eとを備えている。共通燃料系統20には燃料遮断弁(開閉弁)21が設けられ、第1−第5燃料系統20A−20Eにはそれぞれ第1−第5燃料流量調節弁21A−21Eが設けられている。共通燃料系統20から分岐して設けられる燃料系統の数は5つに限定されない。第1燃料系統20Aは拡散バーナ41(拡散燃料ノズル41a)に接続する拡散燃料系統である。第2−第5燃料系統20B−20Eは予混合燃料ノズル42aに接続する予混合燃料系統である。具体的には、第2燃料系統20Bは部分バーナ42Aの6本の予混合燃料ノズル42aに、第3燃料系統20Cは部分バーナ42Bの6本の予混合燃料ノズル42aに、それぞれ対応する燃料ヘッダ(不図示)を介して接続されている。また、第4燃料系統20Dは部分バーナ42Cの6本の予混合燃料ノズル42aに、第5燃料系統20Eは部分バーナ42Dの6本の予混合燃料ノズル42aに、それぞれ対応する燃料ヘッダ(不図示)を介して接続されている。
【0020】
第1燃料系統20Aから拡散バーナ41に供給される拡散燃料(以下、F1燃料)の流量は、第1燃料流量調節弁21Aによって調節される。第2燃料系統20Bから部分バーナ42Aに供給される燃料(以下、F21燃料)の流量は、第2燃料流量調節弁21Bによって調節される。第3燃料系統20Cから部分バーナ42Bに供給される燃料(以下、F22)の流量は、第3燃料流量調節弁21Cによって調節される。第4燃料系統20Dから部分バーナ42Cに供給される燃料(以下、F23燃料)の流量は、第4燃料流量調節弁21Dによって調節される。第5燃料系統20Eから部分バーナ42Dに供給される燃料(以下、F24燃料)の流量は、第5燃料流量調節弁21Eによって調節される。第1−第5燃料流量調節弁21A−21EによってF1,F21−F24燃料の各流量を個別に調節することにより、ガスタービンプラント100の発電量が制御される。
【0021】
−センサ類−
予混合バーナ42の隔壁42dには温度計42e(不図示)が設けられている。温度計42eには例えば熱電対を用いることができ、温度計測部は隔壁42dの内部に埋め込まれている。温度計42eの配線は、予混合室42fに露出することなく、例えば隔壁42dの壁内を通って外筒42cの外周部に突き出し、ケーシング4に対して外筒42cを支持するストラット(不図示)の内部を通ってケーシング4の外部に取り出されている。温度計42eの配線は制御装置50に接続している。本実施形態では12枚の隔壁に1枚おきに設置されている(つまり6枚の隔壁に各1つの温度計42eが設けられている)。温度計42eの温度計測部は、予混合燃料ノズル42aの燃料噴射方向において隔壁42dの燃焼室11側の端部と予混合燃料ノズル42aの燃料噴出口との中間に位置している。
【0022】
また共通燃料系統20には、カロリーメータ44や濃度計(例えばガスクロマトグラフィ)45を設けることができる。カロリーメータ44は予混合燃料のカロリーを計測するセンサであり、制御装置50に接続している。カロリーメータ44は共通燃料系統20に設ける代わりに、予混合燃料系統20B−20Eの少なくとも1つに設ける構成としても良い。濃度計45は予混合燃料の水素濃度等を計測するセンサであり、制御装置50に接続している。濃度計45は共通燃料系統20に設ける代わりに、予混合燃料系統20B−20Eの少なくとも1つに設ける構成としても良い。また、共通燃料系統20に供給する燃料の供給源である燃料供給設備(不図示)にカロリーメータ44や濃度計45を設けても良い。カロリーメータ44や濃度計45は本実施形態では必須要素ではないが、カロリーメータ44は第5実施形態(図14A及び図14B)で、濃度計45は第6実施形態(図15A及び図15B)でそれぞれ必須である。
【0023】
−制御装置−
図3は制御装置の模式図である。同図に示した制御装置50は制御コンピュータであり、拡散燃料流量調整弁21A及び予混合燃料流量調整弁21B−21Eを制御する機能を含んでいる。本実施形態の制御装置50には、予混合燃料比率制御を実行する機能が備わっている。予混合燃料比率制御は、温度計42eの検出値(検出温度Tm)が対応する設定値Tsを超えた場合、予混合燃料流量調整弁の開度を下げて、拡散燃料流量調整弁の開度を上げる予混合燃料比率制御を実行する制御である。この予混合燃料比制御は、拡散バーナ41及び予混合バーナ42に供給する燃料流量の総量が実行直前と変わらないように行われる。制御装置50に含まれる予混合燃料比率制御回路50bが予混合燃料比率制御を実行する機能部である。
【0024】
本実施形態においては、予混合燃料比制御に伴って予混合バーナ42に供給する燃料流量は予め設定された一定値に減じられる。この一定値は、予混合ノズル41bから噴射される予混合燃料の総量と高圧空気A2の流量(設定値)とで決まる予混合燃料の燃空比が火炎保持限界を下回るように設定された値である。火炎保持限界とは火炎が保持できる燃空比の最大値であり、可燃限界に基づいて算出した値である。予混合器燃空比が火炎保持限界を下回れば、予混合燃料による火炎は消える。制御装置50は、予混合燃料比率制御の実行時、予混合燃料の供給流量を現在の値から上記の一定値まで下げるための予混合燃料流量制御弁の開度の補正値(減少分)を演算し、予混合燃料流量制御弁に出力する。同時に、制御装置50は、予混合燃料比率制御の際、予混合燃料の供給流量の減少分を補うための拡散燃料流量制御弁の開度の補正値(増加分)を演算し、拡散燃料流量制御弁に出力する。制御装置50に含まれる補正値演算回路50aが予混合燃料流量制御弁及び拡散燃料流量制御弁の開度の補正値を演算する機能部である。
【0025】
また、制御装置50には復帰制御を実行する機能も備わっている。復帰制御は、予混合燃料比率制御の実行後、温度計42eの検出値が設定値Tsを下回ってから設定時間Δt2が経過したら、予混合燃料流量調整弁及び拡散燃料流量調整弁の開度を予混合燃料比率減少御制御の実行前の値に戻す制御である。制御装置50に含まれる復帰制御回路50cが復帰制御を実行する機能部である。
【0026】
−動作−
図4はガスタービン負荷に対する系統毎の燃料流量を示す特性図である。同図の横軸は経過時間、縦軸は燃料流量を示している。ガスタービン点火時は、第1、第3及び第4燃料系統20A,20C及び20DからF1燃料、F22燃料及びF23燃料が供給され、拡散バーナ41及び部分バーナ42B,42Cから燃料が噴射される。この間、第2、第5燃料系統20B,20Eから燃料は供給されないため、部分バーナ42A,42Dから燃料は噴射されない。
【0027】
ガスタービン点火後、F1燃料のみを供給する(拡散バーナ41のみから燃料が噴射される)単独燃焼に切り替えられ、定格回転数無負荷状態(FSNL:Full Speed No Load)に達するまではF1燃料の増加によりタービン3が昇速される。タービン3が定格回転数まで昇速したら発電を開始し、定格回転数定格負荷(FSFL:Full Speed Full Load)に達するまでガスタービン負荷を増加させていく。この間、ガスタービン負荷の増加に応じて、バーナ5の燃空比が安定燃焼範囲となるようにF21燃料、F22燃料、F23燃料、F24燃料の順に燃料を追加供給し、燃料の供給範囲を段階的に拡大させていく。このようなスケジュールで制御装置50(又は別の制御装置)により燃料系統が制御され、拡散バーナ41及び部分バーナ42A−42Dの全てから燃料が噴射される全燃焼状態に移行した後、ガスタービン負荷が定格回転数定格負荷(FSFL)に達する。
【0028】
図5は制御装置50による予混合燃料比率制御の手順の一例を示すフローチャートである。制御装置50は図5の手順をガスタービンの運転中(ガスタービン負荷が上記FSFLに達する前及び後を含む)に繰り返し実行する。まず制御装置50は予混合燃料比率制御回路50bによって温度計42e(例えばいずれかの温度計42e)の検出温度Tmが設定値Tsを超えているかを判定する(ステップS11)。温度計42eの温度計測部は隔壁42dの厚みの内部に埋め込まれているため、正常な運転状態では温度計42eの検出温度Tmは予混合室42fに供給される高圧空気A2と予混合燃料の混合温度に近い(Tm≦Ts)。このように運転状態が正常で検出温度Tm(例えば全ての温度計42eの検出温度Tm)が設定値Ts以下の場合、制御装置50は図5の手順を終える。他方、隔壁42dが熱伝導性の良い薄板である。そのため、例えば燃焼室11からの火炎の逆流(逆火)や高圧空気A2や燃料に同伴する飛来物(着火源)の流入により、予混合室42fの内部に火炎が形成された場合、温度計42eによる検出温度Tmは火炎からの熱伝達により上昇する(Tm>Tsとなる)。このように予混合室42fで火炎が形成されて検出温度Tm(例えばいずれかの温度計42eの検出温度Tm)が設定値Tsを超えた場合、制御装置50はステップS11からステップS12に手順を移す。
【0029】
Tm>Tsの場合、制御装置50は補正値演算回路50aで第1−第5燃料流量調節弁21A−21Eの開度の補正値を演算し(ステップS12)、予混合燃料比率制御回路50bで第1−第5燃料流量調節弁21A−21Eの開度を制御する(ステップS13)。これにより第2−第5燃料流量調節弁21B−21Eの開度が下がって予混合燃料比率が火炎保持限界を下回り、予混合室42fの内部に形成された火炎が消える。この間、予混合燃料の減少分に応じて第1燃料流量調節弁21Aの開度を上げて拡散燃料の流量を増加させることで、バーナ5に供給される燃料の総流量は予混合燃料比率制御の実行直前の値に維持される。
【0030】
ステップS12,S13の手順を実行したら、制御装置50は復帰制御回路50cによって温度計42e(例えば全ての温度計42e)の検出温度Tmが設定値Ts以下に低下したかを判定する(ステップS14)。Tm>Tsである間、制御装置50はステップS14の手順を繰り返し、予混合燃料比率制御による各弁の開度が維持される。消火によりTm≦Tsになったら、制御装置50は復帰制御回路50cによってTm≦Tsになった時刻からの経過時間tが設定時間Δt2を超えたかを判定する(ステップS15)。設定時間Δt2が経過するまで制御装置50はステップS15の手順を繰り返し、設定時間Δt2が経過したら復帰制御回路50cにより先に説明した復帰制御を実行し(ステップS15)、図5の手順を終える。
【0031】
−比較例−
図6は比較例におけるバーナのメタル温度、予混合燃料比率、燃料流量及び発電量を示す特性図である。同図に示した比較例では本実施形態と同様に、予混合室で火炎が形成されて検出温度Tmが設定値Tsを超えた場合に、一定時間Δt1で予混合燃料(同図ではF2燃料と表記)の流量を下げ、拡散燃料(同図ではF1燃料と表記)の流量を上げる。これにより予混合燃料比率(同図ではF2比率と表記)が下がり、予混合室を消火して検出温度Tmを低下させることができる。
【0032】
但し、拡散燃料の流量増加分は予混合燃料の流量減少分に満たず、予混合室の消火動作に伴ってバーナに供給する燃料の総流量が低下し、この分だけ発電量が低下している。
【0033】
−効果−
(1)比較例と異なり、本実施形態では予混合燃料比率を下げる際に、拡散燃料及び予混合燃料の燃料流量の総和が変化しないように、予混合燃料の流量の減少分だけ拡散燃料の流量を増加させている(図7)。これにより予混合燃料比率の低下により予混合器の燃空比が火炎保持限界(F2/A2 limit)を下回る一方で(図8)、燃焼器全体の燃空比は維持される(図8)。従って、予混合室42fに形成された火炎を迅速に消しつつ、消火動作に伴う出力低下を維持することができ(図7)、燃焼器2の信頼性と運用性を向上させることができる。図8に破線で示した予混合器燃空比及び燃焼器燃空比は、本実施形態との比較のために示した図6の比較例に対応する表示である。
【0034】
このとき、本実施形態では予混合バーナ42を複数の予混合室42fに仕切る複数の隔壁42dを薄板化して伝熱性を高め、この薄板状の隔壁42dに温度計42eを埋設することで、予混合室42fの内部における火炎の形成を迅速に検知することができる。これにより上記の消火動作(予混合燃料比率制御)を自動化するに当たり十分な応答性と火炎検知の確実性を十分に高めることができ、予混合比率の自動制御を実用化することができる。検証過程では、この制御によってNOx排出量が増加し始めてから数十秒程度で元の値に戻すことができた。予混合器の内部に形成された火炎を速やかにかつ自動的に消し止め、消火に伴うガスタービンの出力低下を抑えることができるので、予混合バーナの運用効率を向上させることができる。
【0035】
(2)予混合室42fにおける予混合気の存在範囲、つまり予混合室42fにおける予混合燃料ノズル42aの下流領域で火炎が形成される可能性がある。ここで、前述した通り予混合室42fに火炎が形成される要因としては、燃焼室11からの火炎の逆流の他、高圧空気A2や燃料に同伴する飛来物の予混合室42fへの流入が例示される。逆火に由来して予混合室42fに火炎が形成される場合は燃焼室11に近い方から隔壁42dの温度が上昇するし、飛来物に由来して予混合室42fに火炎が形成される場合は予混合燃料ノズル42aに近い方から隔壁42dの温度が上昇する場合もある。従って、本実施形態のように温度計42eの温度計測部を隔壁42dの燃焼室11側の端部と予混合燃料ノズル42aの燃料噴出口との中間に配置することで、逆火由来の火炎も飛来物由来の火炎も遅れなく検知することができる。
【0036】
但し、上記の基本的な効果(1)を得る限りにおいては、隔壁42dに温度計42eを埋設するに当たって、温度計42eの設置位置が隔壁42dの燃焼室11側の端部と予混合燃料ノズル42aの燃料噴出口との中間である必要は必ずしもない。例えば逆火の検知を重視する場合には、温度計42eの温度計測部の配置を隔壁42dの燃焼室11側の端部付近に移動させても良い。
【0037】
(3)本実施形態では、予混合燃料比率制御の実行後、検出温度Tmが設定値Tsを下回ってから設定時間Δt2が経過したら燃料比率が自動復帰する。前述した通り温度計42eの設置の工夫により高い検出感度を確保しているので、予混合室42dにおける火炎の発生だけでなく消火も感度良く検知でき、燃料比率の自動復帰が可能となる。これも運用効率の向上に大きく貢献し得る。加えて、例えば高圧空気A2や燃料に同伴する飛来物はある時期に間欠的に予混合室42fに流入してくる場合がある。そのため飛来物に由来する火炎の形成については、消火後間もなくして再び発生する場合がある。逆火についても燃焼条件によっては同じようなことが起こり得る。このような場合に消火後直ちに復帰動作を実行すると、予混合燃料比率制御と復帰制御が短時間で繰り返し実行される場合がある。それに対し本実施形態では、消火後一定時間の経過が経過して燃焼状態が落ち着くのを待って復帰制御を実行することにより、燃焼状態の頻繁な変動(例えばNOx排出量の増減)を抑えることができる。
【0038】
<第2実施形態>
図9Aは本発明の第2実施形態に係るガスタービン燃焼器の予混合燃料比率制御における予混合燃料比率の低下量(補正量)とガスタービン負荷との関係を表す特性図、図9Bは予混合器燃空比低下量とガスタービン負荷との関係を表す特性図である。
【0039】
本実施形態は、制御装置50が、ガスタービンの負荷の上昇に伴って予混合燃料比率制御に伴う第1−第5燃料流量調節弁21A−21Eの制御量を大きくするように構成されている点である。ガスタービン負荷が高いほど予混合燃料の流量は大きい状態にある。そのため、火炎保持限界(図9B)を下回るまで予混合器燃空比を下げるには、ガスタービン負荷が高いほど予混合燃料の流量を低下させる必要がある。本実施形態では、図9Aのようなガスタービン負荷に応じた予混合燃料比率の補正量の関係を規定したデータを補正値演算回路50aに格納しておき、データを基にガスタービン負荷に応じた補正量を補正値演算回路50aで演算するようにしてある。本例ではガスタービン負荷に応じて補正量が線形的に増加する設定とした場合を例示しているが、ガスタービン負荷と補正量の関係線は必ずしも直線に設定する必要はない。その他の点について、本実施形態は第1実施形態と同様である。
【0040】
本実施形態によっても第1実施形態と同様の効果が得られる。また、上記の通り補正量を定めることにより、ガスタービン負荷に応じて適切な補正量が一意的に決定でき、制御に伴う制御装置50の演算の負荷を軽減することができる。また、ガスタービン負荷によらず予混合燃料の流量を最低限の値まで低下させることも考えられるが、この場合はガスタービン負荷が高いほど補正量が大きくなり必要以上に燃焼状態が変化する可能性がある。それに対し、本実施形態によれば、予混合器燃空比が火炎保持限界を一定の割合で下回る程度に予混合燃料の流量を下げるので、必要以上の燃焼状態の変化(例えばNOx排出量の増加)を抑制することができる。
【0041】
<第3実施形態>
図10は本発明の第3実施形態におけるバーナのメタル温度、予混合燃料比率、燃料流量及び発電量を示す特性図であり、第1実施形態の図7に対応する図である。図11Aは本実施形態の予混合燃料比率制御における予混合燃料比率の低下量(補正量)とガスタービン負荷との関係を表す特性図、図11Bは予混合器燃空比低下量とガスタービン負荷との関係を表す特性図である。図11A及び図11Bは第2実施形態の図9A及び図9Bに対応している。
【0042】
本実施形態では、図10に示したように検出温度Tmについて大きさの異なる複数(本例では2つ)の設定値Ts1,Ts2(Ts1<Ts2)が設定されている。そして、各設定値Ts1,Ts2に対応して第1−第5燃料流量調節弁21A−21Eの異なる制御量が設定されている。制御装置50は、図10のように補正値演算回路50aにより検出温度Tmに応じた補正値を演算し、予混合燃料比率制御回路50bにより予混合燃料比率制御を段階的に実行する。なお、本実施形態では2段階の予混合燃料比率の制御を実行する例を説明するが、3段階以上の制御とすることもできる。
【0043】
図11Aのようなガスタービン負荷に応じた予混合燃料比率の補正量ΔF2A,ΔF2Bのデータを補正値演算回路50aに格納してある。ΔF2AはTs1<Tm≦Ts2の場合の補正量、ΔF2BはTm>Ts2の場合の補正量である。補正量ΔF2A,ΔF2Bは第2実施形態と同様にガスタービン負荷に応じて線形的に増加する設定としてあるが、ガスタービン負荷と補正量の関係線は必ずしも直線に設定する必要はない。その他の点について、本実施形態は第1実施形態と同様である。
【0044】
図12は本実施形態に係るガスタービン燃焼器に備えられた制御装置による予混合燃料比率制御の手順の一例を示すフローチャートである。図12の手順が第1実施形態の図5の手順と相違する点は、ステップS11の手順がステップS11A,S11Bに置換されている点と、ステップS12の手順がステップS12A,S12Bの手順に置き換わっている点である。
【0045】
すなわち、制御装置50は、まず予混合燃料比率制御回路50bによって温度計42e(例えばいずれかの温度計42e)の検出温度Tmが設定値Ts1を超えているかを判定する(ステップS11A)。このように運転状態が正常で検出温度Tm(例えば全ての温度計42eの検出温度Tm)が設定値Ts1以下の場合、制御装置50は図12の手順を終える。検出温度Tm(例えばいずれかの温度計42eの検出温度Tm)が設定値Ts1を超えている場合、制御装置50は温度計42e(例えばいずれかの温度計42e)の検出温度Tmが設定値Ts2以下であるかを判定する(ステップS11B)。制御装置50は、検出温度Tmが設定値Tm2以下(Ts1<Tm≦Ts2)であればステップS12Aに、検出温度Tmが設定値Tm2を超えていれば(Tm>Ts2)ステップS12Bに手順を移す。Ts1<Tm≦Ts2)であれば、制御装置50は補正値演算回路50aにより予混合燃料比率の低下量がΔF2Aとなるように第1−第5燃料流量調節弁21A−21Eの開度の補正値を演算して手順をステップS13に移す(ステップS12A)。Tm>Ts2であれば、制御装置50は補正値演算回路50aにより予混合燃料比率の低下量がΔF2Bとなるように第1−第5燃料流量調節弁21A−21Eの開度の補正値を演算して手順をステップS13に移す(ステップS12B)。以降、S13−S16の手順は図5と同一である。
【0046】
本実施形態においては、第1実施形態と同様の効果は勿論、予混合燃料比率を段階的に制御することで、燃焼状態の変化(例えばNOx排出量の増加)を抑制することができる。例えば、例えば検出温度Tmが設定値Ts1を超えた段階でΔF2Aだけ予混合燃料比率を下げ、それにより検出温度Tmが設定値Ts2に至ることなくTs1を下回れば、予混合燃料比率の低下量をΔF2Bより小さいΔF2Aに抑えることができる。
【0047】
<第4実施形態>
図13は本発明の第4実施形態におけるバーナのメタル温度、予混合燃料比率、燃料流量及び発電量を示す特性図であり、第1実施形態の図7に対応する図である。本実施形態における制御装置50は、検出温度Tmの変化率ΔTm(上昇率)が対応する設定値ΔTsを超えた場合に予混合燃料比率制御回路50bにより予混合燃料比率制御を実行するように構成されている。検出温度の変化率ΔTmが最も大きい場面は予混合室42fに火炎が形成された場合であり、本実施形態では変化率ΔTm(上昇率)が設定値ΔTsを超えたことをもって予混合室42fに火炎が形成されたことを検知して予混合燃料比率制御を実行する。予混合燃料比率制御自体は第1実施形態と同様である。
【0048】
また、火炎が消し止められたら徐々に検出温度Tmが低下し始め、変化率ΔTm(低下率)も徐々に低下していく。本実施形態の制御装置50は、この間の変化率ΔTm(低下率)が設定値ΔTsを下回った時点から設定時間Δt3が経過するのを待って予混合燃料比率を戻す復帰動作を復帰制御回路50cにより実行する。
【0049】
その他の点について、本実施形態は第1実施形態と同様である。このように検出温度Tmの変化率を基礎としても予混合燃料比率制御は実現可能である。
【0050】
<第5実施形態>
図14Aは本発明の第5実施形態に係るガスタービン燃焼器の予混合燃料比率制御における燃料発熱量とゲイン設定との関係を表す特性図、図14Bは予混合燃料比率の低下量(補正量)とガスタービン負荷との関係を表す特性図である。図14B図9Bに対応する図である。本実施形態では、カロリーメータ44(図1)で計測された予混合燃料のカロリー(燃料発熱量)の上昇に伴って予混合燃料比率制御に伴う第1−第5燃料流量調節弁21A−21Eの制御量を大きくするように制御装置50が構成されている。具体的には、補正値演算回路50aに図14Aに示すようなカロリーとゲイン設定の関係を規定したデータが格納されている。本実施形態では第2実施形態と同様にガスタービン負荷に応じて予混合燃料比率の低下量(弁開度の補正量)が演算されるが、演算した予混合燃料比率の低下量(弁開度の補正量)がカロリーに応じたゲインを乗じることにより更に補正される。本実施形態では燃料のカロリーとゲインの関係を線形に設定しているが、関係を線形に設定する必要はない。
【0051】
カロリーには予め基準値(基準発熱量)が設定されており、計測されたカロリーが基準値の場合にゲインは1に設定される。ゲイン=1の場合、ガスタービン負荷に応じた予混合燃料比率の低下量(図14Bの実線上の値)に基づいて弁開度の補正値が演算される。計測されたカロリーが基準値より大きい場合、図14Aに示したようにゲインはカロリーに応じた大きさの正の値に設定される。この場合、予混合燃料比率の低下量はゲインを乗じることで増加方向に補正され、補正後の予混合燃料比率の低下量(図14Bの一点鎖線上の値)に基づいて弁開度の補正値が演算される。反対に計測されたカロリーが基準値より小さい場合、図14Aに示したようにゲインはカロリーに応じた大きさの負の値に設定される。この場合、予混合燃料比率の低下量はゲインを乗じることで減少方向に補正され、補正後の予混合燃料比率の低下量(図14Bの破線上の値)に基づいて弁開度の補正値が演算される。
【0052】
その他の点について、本実施形態は第2実施形態と同様であり、同実施形態と同様の効果が得られる。加えて、本実施形態では燃料のカロリーの増減に柔軟に対応して適切な予混合燃料比率制御を実現できるメリットがある。例えば燃料のカロリーが不測に増加した場合にはより大きく予混合燃料の流量を減らして確実に予混合室42fを消火することができる。またカロリーが低下した場合には、予混合燃料の流量減少幅を抑えることで、燃焼状態の変動ひいてはNOx排出量の一時的な増加を抑えることができる。
【0053】
<第6実施形態>
図15Aは本発明の第6実施形態に係るガスタービン燃焼器の予混合燃料比率制御における燃料の水素濃度とゲイン設定との関係を表す特性図、図15Bは予混合燃料比率の低下量(補正量)とガスタービン負荷との関係を表す特性図である。本実施形態では、濃度計45(図1)で計測された予混合燃料の水素濃度の上昇に伴って予混合燃料比率制御に伴う第1−第5燃料流量調節弁21A−21Eの制御量を大きくするように制御装置50が構成されている。具体的には、補正値演算回路50aに図15Aに示すような水素濃度とゲイン設定の関係を規定したデータが格納されている。本実施形態では第2実施形態と同様にガスタービン負荷に応じて予混合燃料比率の低下量(弁開度の補正量)が演算されるが、演算した予混合燃料比率の低下量(弁開度の補正量)が水素濃度に応じたゲインを乗じることにより更に補正される。本実施形態では燃料の水素濃度とゲインの関係を線形に設定しているが、関係を線形に設定する必要はない。要するに、燃料のカロリーではなく水素濃度に応じてゲインを設定する点を除き、本実施形態は第5実施形態と同様である。
【0054】
第5実施形態と同じ要領で水素濃度には予め基準値(基準水素濃度)が設定されており、計測された水素濃度が基準値の場合にゲインは1に設定される。ゲイン=1の場合、ガスタービン負荷に応じた予混合燃料比率の低下量(図15Bの実線上の値)に基づいて弁開度の補正値が演算される。計測された水素濃度が基準値より大きい場合、図15Aに示したようにゲインは水素濃度に応じた大きさの正の値に設定される。この場合、予混合燃料比率の低下量はゲインを乗じることで増加方向に補正され、補正後の予混合燃料比率の低下量(図15Bの一点鎖線上の値)に基づいて弁開度の補正値が演算される。反対に計測された水素濃度が基準値より小さい場合、図15Aに示したようにゲインは水素濃度に応じた大きさの負の値に設定される。この場合、予混合燃料比率の低下量はゲインを乗じることで減少方向に補正され、補正後の予混合燃料比率の低下量(図15Bの破線上の値)に基づいて弁開度の補正値が演算される。
【0055】
本実施形態では第2実施形態と同様の効果が得られることに加え、燃料の水素濃度の増減に柔軟に対応して適切な予混合燃料比率制御を実現できるメリットがある。例えば燃料の水素濃度が不測に増加した場合にはより大きく予混合燃料の流量を減らして確実に予混合室42fを消火することができる。また水素濃度が低下した場合には、予混合燃料の流量減少幅を抑えることで、燃焼状態の変動ひいてはNOx排出量の一時的な増加を抑えることができる。
【0056】
<第7実施形態>
図16は本発明の第7実施形態におけるバーナのメタル温度、予混合燃料比率、燃料流量及び発電量を示す特性図であり、第1実施形態の図7に対応する図である。第6実施形態までは、いずれかの予混合室42fにおける火炎の形成が検知されたら部分バーナ42A−42Dへの燃料流量を一様に減少させて予混合燃料比率を下げたのに対し、本実施形態では火炎の発生した部分バーナに対する燃料流量のみを減少させる。
【0057】
本実施形態においては複数の温度計42eが必須であり、複数の部分バーナ42A−42Dのそれぞれについて少なくとも1枚の隔壁42dに各1つの温度計42eが設けてある。特に本実施形態では、周方向に12枚ある隔壁42dに対して1枚おきに、計6枚の隔壁42dに温度計42eが設けられている。つまり温度計42eが6つである。
【0058】
制御装置50は、いずれか1つ以上の温度計42eによる検出温度Tmが設定値Tsを超えた場合、火炎が検知された部分バーナを判定し、対応する予混合燃料流量調整弁の開度を減少させ、その部分バーナの予混合燃料比率を低下させる。火炎発生が推定される部分バーナが1つの場合は1つの予混合燃料流量調整弁の開度を制御し、複数の場合は複数の予混合燃料流量調整弁の開度を制御することになる。同時に、予混合燃料の流量減少に伴って拡散燃料流量調整弁の開度を増加させ、拡散燃料の流量を増加させてバーナ5に対する供給燃料の総量を維持する。予混合燃料比率制御の対象が部分バーナ単位である点を除いて、制御装置50による制御手順自体は第1実施形態と同じ要領である。
【0059】
例えば、設定値Tsを超える検出温度Tmを出力した温度計42eが部分バーナ42Aに属している場合、図16に示したように、その温度計42eが属する部分バーナ42Aに対応する第2燃料流量調整弁21Bの開度が下げられる。この間、その他の部分バーナ42B−42Dに対応する第3−第5燃料流量調整弁21C−21Eの開度は維持される。同時に、バーナ5に供給する燃料流量の総量が変わらないように、予混合燃料の流量減少分に応じて第1燃料流量調整弁21Aの開度が上げられる。
【0060】
その他の点について、本実施形態は第1実施形態と同様の効果が得られることに加え、予混合燃料比率の制御を必要箇所に限定し、予混合燃料比率を下げる必要のない部分バーナについては燃料状態を維持することができる。これにより燃焼状態の変化、ひいてはNOx排出量の一時的な増加を極力抑えることができる。
【0061】
なお、隣接する部分バーナを仕切る隔壁42dに設けた温度計42eの検出温度Tmが上昇した場合、その検出温度Tmのみではどちらの部分バーナで火炎が発生したのか推定できない。しかし、他の温度計42eの検出温度Tmとの組み合わせで火炎発生が推定される部分バーナを特定することができる。1枚おきの隔壁42dに温度計42eを設けた場合、火炎発生が推定される部分バーナの一定の特定精度が確保できる一方で、全隔壁42dに設置する場合に比べて温度計42eの数が半分で済むことがメリットである。
【0062】
<変形例>
予混合室42fで火炎が形成されると流体振動(圧力波)が大きくなる。例えば予混合器に圧力計を設け、この流体振動を検知することで、検出温度Tmのみで火炎発生を検知するよりも火炎の検出精度の向上が期待され得る。また、上記の各実施形態は適宜組み合わせ可能である。例えば第1−第6実施形態において、それぞれ第7実施形態を組み合わせて部分バーナ単位で予混合燃料比率を制御することができる。また、第5及び第6実施形態を組み合わせ、燃料のカロリーと水素濃度の2つを基礎として予混合燃料比率の制御量を補正する例も考えられる。また、第4実施形態を他の実施形態に適用して、検出温度Tmの代わりに変化率ΔTmで予混合燃料比率制御及び復帰制御を実行する例も考えられる。
【符号の説明】
【0063】
1…圧縮機、2…ガスタービン燃焼器、3…タービン、10…燃焼器ライナ、20A…第1燃料系統(拡散燃料系統)、
20B−20E…第2−第5燃料系統(予混合燃料系統)、21A…第1燃料流量調整弁(拡散燃料流量調整弁)、21B−21E…第2−第5燃料流量調整弁(予混合燃料流量調整弁)、41…拡散バーナ、41b…予混合燃料ノズル、42…予混合バーナ、42b…内筒、42c…外筒、42d…隔壁、42f…予混合室、42e…温度計、42A−42D…部分バーナ、44…カロリーメータ、45…濃度計、50…制御装置、100…ガスタービンプラント、73…保炎器、Tm…検出温度(温度計の検出値)、Ts,ΔTs…設定値、Δt2…設定時間、ΔTm…変化率(温度計の検出値の上昇率)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11A
図11B
図12
図13
図14A
図14B
図15A
図15B
図16