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特開2019-159775飛行プラン変更方法及び飛行プラン変更装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-159775(P2019-159775A)
(43)【公開日】2019年9月19日
(54)【発明の名称】飛行プラン変更方法及び飛行プラン変更装置
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/04 20060101AFI20190823BHJP
   B64D 27/24 20060101ALI20190823BHJP
   B64C 13/20 20060101ALI20190823BHJP
   B64D 47/08 20060101ALI20190823BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20190823BHJP
   G08G 5/00 20060101ALI20190823BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20190823BHJP
【FI】
   G05D1/04
   B64D27/24
   B64C13/20 Z
   B64D47/08
   B64C39/02
   G08G5/00 A
   G08G1/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-45330(P2018-45330)
(22)【出願日】2018年3月13日
(71)【出願人】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】小澤 実
【テーマコード(参考)】
5H181
5H301
【Fターム(参考)】
5H181AA26
5H181AA27
5H181BB04
5H181CC04
5H181FF04
5H181FF10
5H181FF13
5H181FF14
5H181FF15
5H181FF32
5H301BB10
5H301GG09
5H301MM04
5H301MM09
(57)【要約】      (修正有)
【課題】検査効率の向上を実現する飛行プランを提供する。
【解決手段】飛行プラン800に含まれる複数のウェイポイント間を接続する飛行ルート801を飛行し、該複数のウェイポイント間にある対象物540、550を撮影する無人飛行機の飛行プラン変更方法であって、前記無人飛行機の飛行記録において、前記対象物の撮影を中断した際の前記無人飛行機の位置座標を特定する特定工程と、特定した前記位置座標に基づいて新たに決定したウェイポイントを含む飛行プランを、変更後の飛行プランとして生成する変更工程とを有することを特徴とする。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛行プランに含まれる複数のウェイポイント間を接続する飛行ルートを飛行し、該複数のウェイポイント間にある対象物を撮影する無人飛行機の飛行プラン変更方法であって、
前記無人飛行機の飛行記録において、前記対象物の撮影を中断した際の前記無人飛行機の位置座標を特定する特定工程と、
特定した前記位置座標に基づいて新たに決定したウェイポイントを含む飛行プランを、変更後の飛行プランとして生成する変更工程と
を有することを特徴とする飛行プラン変更方法。
【請求項2】
前記特定工程は、前記無人飛行機に供給可能な電力の残量が所定の閾値以下となり、フェールセーフ動作の指示が通知されることで、前記対象物の撮影を中断した際の前記無人飛行機の位置座標を特定することを特徴とする請求項1に記載の飛行プラン変更方法。
【請求項3】
前記変更工程は、前記位置座標に基づいて新たに決定したウェイポイントと、前記無人飛行機の飛行記録に基づいて特定される、未飛行のウェイポイントとを含む飛行プランを、前記変更後の飛行プランとして生成することを特徴とする請求項1または2に記載の飛行プラン変更方法。
【請求項4】
飛行プランに含まれる複数のウェイポイント間を接続する飛行ルートを飛行し、該複数のウェイポイント間にある対象物を撮影する無人飛行機と接続される飛行プラン変更装置であって、
前記無人飛行機の飛行記録において、前記対象物の撮影を中断した際の前記無人飛行機の位置座標を特定する特定手段と、
特定した前記位置座標に基づいて新たに決定したウェイポイントを含む飛行プランを、変更後の飛行プランとして生成する変更手段と
を有することを特徴とする飛行プラン変更装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行プラン変更方法及び飛行プラン変更装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ドローン等の無人飛行機に撮影装置を搭載し、高所にある対象物(例えば、鉄塔間に張架された送電線等)を撮影することで、当該対象物を検査する検査方法が知られている。かかる検査方法では、複数のウェイポイントを含む飛行プランを生成し、ウェイポイント間を接続する飛行ルートに従って、無人飛行機を、対象物に沿うように自動航行させながら、撮影を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2015/180133号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、撮影する対象物の形状によっては、ウェイポイント間の飛行距離が増加したり、飛行中の消費電力量が増加する場合がある。また、自然現象(例えば、風や雨)の影響で、飛行中の消費電力量が増加する場合もある。この結果、飛行の途中でバッテリの残量が所定値以下となり、フェールセーフ動作によって飛行プランによる飛行が中断されることがある。
【0005】
飛行プランによる飛行が中断されると、これまでは、中断された位置の前後にあるウェイポイントと未飛行のウェイポイントとを含む飛行プランを、変更後の飛行プランとして生成していた。このため、撮影データの一部に重複部分が発生し、飛行プランが中断されなかった場合と比較して、データ量が増加したり、撮影データの解析に時間がかかるなど、検査効率の低下が生じていた。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、検査効率の向上を実現する飛行プランを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様によれば、飛行プラン変更方法は、
飛行プランに含まれる複数のウェイポイント間を接続する飛行ルートを飛行し、該複数のウェイポイント間にある対象物を撮影する無人飛行機の飛行プラン変更方法であって、
前記無人飛行機の飛行記録において、前記対象物の撮影を中断した際の前記無人飛行機の位置座標を特定する特定工程と、
特定した前記位置座標に基づいて新たに決定したウェイポイントを含む飛行プランを、変更後の飛行プランとして生成する変更工程とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
検査効率の向上を実現する飛行プランを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】無人飛行機の外観構成及び機能構成の一例を示す図である。
図2】無人飛行機の制御装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3】飛行プランの一例を示す図である。
図4】飛行距離や消費電力量が増加する事象を説明するための図である。
図5】飛行プランによる飛行が中断された場合の飛行ルートを示す図である。
図6】飛行プランによる飛行が中断された場合の飛行記録の具体例を示す図である。
図7】従来の飛行プラン変更方法により生成した変更後の飛行プランの一例を示す図である。
図8】第1の実施形態に係る飛行プラン変更方法により生成した変更後の飛行プランの一例を示す図である。
図9】飛行プラン管理装置の機能構成の一例を示す図である。
図10】飛行プラン管理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図11】飛行プラン変更処理の流れを示すフローチャートである。
図12】変更後の飛行プランで飛行した場合の飛行記録の具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、各実施形態について添付の図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く。
【0011】
[第1の実施形態]
<無人飛行機の外観構成及び機能構成>
はじめに、対象物(第1の実施形態では、鉄塔間に張架された送電線)の検査に用いる無人飛行機(例えば、ドローン)について説明する。図1は、無人飛行機の外観構成及び機能構成の一例を示す図である。図1(a)に示すように、無人飛行機100は、機体部110と付属部120とを含む。また、図1(b)に示すように、機体部110には、飛行部130と、電力供給部140と、制御装置150とが含まれ、付属部120には、撮像部121が含まれる。
【0012】
飛行部130には、無人飛行機100を飛行させるための機構(プロペラ、モータ等)が含まれる。電力供給部140には、飛行部130及び撮像部121に電力を供給する供給源(バッテリ等)が含まれる。
【0013】
制御装置150は、機体部110の飛行部130や電力供給部140、付属部120の撮像部121等を制御するための装置である。制御装置150には、制御プログラムがインストールされており、当該プログラムが実行されることで、制御装置150は、飛行制御部151、電力監視部152、撮像制御部153として機能する。
【0014】
飛行制御部151は、無人飛行機100が、設定された飛行プランに含まれる複数のウェイポイント間を接続する飛行ルートを飛行するよう、飛行部130を制御する。なお、飛行制御部151は、ウェイポイント間を接続する飛行ルートを飛行する際、対象物である送電線との距離が一定となるように、飛行部130を制御する。また、飛行制御部151は、電力監視部152よりフェールセーフ動作の指示が通知された場合、設定された飛行プランによる飛行を中断し、ホームポジション(HP)に戻るよう、飛行部130を制御する。更に、飛行制御部151は、飛行中の位置座標(緯度、経度、高度)を取得し、時刻情報と対応付けて飛行記録格納部154に記録する。
【0015】
電力監視部152は、電力供給部140にて供給可能な電力の残量を監視し、電力供給部140の状態を示す情報を、時刻情報と対応付けて飛行記録格納部154に記録する。また、電力監視部152は、電力の残量が所定の閾値以下になったと判定した場合、飛行制御部151及び撮像制御部153に対して、フェールセーフ動作の指示を通知する。
【0016】
撮像制御部153は、撮像部121の撮影開始と撮影停止を指示し、撮像部121により撮影された撮影データを、時刻情報と対応付けて飛行記録格納部154に記録する。なお、撮像制御部153では、飛行開始とともに撮像部121による撮影を開始し、飛行終了とともに撮像部121による撮影を停止する。また、撮像制御部153は、電力監視部152よりフェールセーフ動作の指示が通知された場合、撮像部121による撮影を中断する。付属部120の撮像部121は、撮像制御部153からの指示に従って、対象物の撮影を行う。撮像部121は、撮影した撮影データを撮像制御部153に送信する。
【0017】
<無人飛行機の制御装置のハードウェア構成>
次に、無人飛行機100の制御装置150のハードウェア構成について説明する。図2は、無人飛行機の制御装置のハードウェア構成の一例を示す図である。図2に示すように、制御装置150は、CPU(Central Processing Unit)201、ROM(Read Only Memory)202、RAM(Random Access Memory)203を有する。また、制御装置150は、補助記憶装置204、表示装置205、操作装置206、I/F(Interface)装置207を有する。なお、制御装置150の各部は、バス208を介して相互に接続されている。
【0018】
CPU201は、補助記憶装置204にインストールされている各種プログラム(例えば、制御プログラム等)を実行するデバイスである。ROM202は、不揮発性メモリであり、補助記憶装置204にインストールされている各種プログラムをCPU201が実行するために必要な各種プログラム、データ等を記憶する、主記憶デバイスとして機能する。RAM203は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)やSRAM(Static Random Access Memory)等の揮発性メモリである。RAM203は、補助記憶装置204にインストールされている各種プログラムがCPU201によって実行される際に展開される作業領域を提供する、主記憶デバイスとして機能する。
【0019】
補助記憶装置204は、各種プログラムや、各種プログラムが実行される際に用いられる情報を格納する補助記憶デバイスである。例えば、飛行記録格納部154は、補助記憶装置204において実現される。
【0020】
表示装置205は、制御装置150の内部状態等を表示する出力デバイスである。操作装置206は、制御装置150に各種指示を入力する入力デバイスである。I/F装置207は、無人飛行機100の飛行プランを管理する飛行プラン管理装置(詳細は後述)と通信を行うための接続デバイスである。
【0021】
<飛行プランの説明>
次に、無人飛行機100の制御装置150に設定される飛行プランについて説明する。図3は、飛行プランの一例を示す図である。このうち、図3(a)は、飛行プランの具体例を示す図である。図3(a)に示すように、飛行プラン300には、情報の項目として、"ポイント"、"緯度、経度、高度"が含まれる。
【0022】
"ポイント"には、ホームポジション(HP)と、ウェイポイント(WP)とが、飛行順序に従って格納される。図3(a)の例は、HP→WP1→WP2→WP3→WP4→HPの飛行順序で、無人飛行機100が飛行する予定であることを示している。"緯度、経度、高度"には、対応する各ウェイポイント(WP)等の緯度、経度、高度を示す情報が格納される。
【0023】
図3(b)は、飛行プラン300に含まれる各ウェイポイント等の位置及び飛行プラン300に基づく飛行ルートを模式的に示した図である。図3(b)の例は、WP1が鉄塔310の上方であって、鉄塔310から所定距離離れた位置にあり、WP2が鉄塔310の頂点近傍にあることを示している。また、図3(b)の例は、WP3が鉄塔320の頂点近傍にあり、WP4が鉄塔320の上方であって、鉄塔320から所定距離離れた位置にあることを示している。
【0024】
図3(b)に示すように、飛行プラン300によれば、無人飛行機100は、HPから飛び立ってWP1まで飛行した後(飛行ルート341参照)、WP2まで下降する(飛行ルート342参照)。その後、無人飛行機100は、WP2とWP3との間を、送電線330との距離が一定となるように飛行し(飛行ルート343参照)、WP3に到達すると、WP4まで上昇し(飛行ルート344参照)、WP4からHPに戻る(飛行ルート345参照)。
【0025】
<飛行距離や消費電力量が増加する事象の例>
次に、無人飛行機100が、飛行プラン300に含まれる各ウェイポイント間を接続する飛行ルートを飛行した際に、飛行距離や消費電力量が増加する事象について説明する。図4は、飛行距離や消費電力量が増加する事象を説明するための図である。
【0026】
このうち、図4(a)、(b)は、撮影する対象物の形状によって、ウェイポイント間の飛行距離が増加する事象を示した図である。図4(a)と図4(b)とでは、鉄塔310と鉄塔320との間の距離は等しいが、鉄塔310と鉄塔320との間に張架された送電線の形状が異なる。
【0027】
具体的には、図4(a)に示す送電線401と比較して、図4(b)に示す送電線402は、より湾曲した形状を有している。上述したように、無人飛行機100は、WP2とWP3との間を、送電線との距離が一定となるように飛行する。このため、図4(a)と比較して図4(b)の方が、飛行距離が増加する。
【0028】
また、図4(c)、(d)は、撮影する対象物の形状によって、ウェイポイント間の飛行中の消費電力量が増加する事象を示した図である。図4(c)と図4(d)とでは、鉄塔310と鉄塔320との間の距離は等しいが、鉄塔310と鉄塔320との間に張架された送電線の形状が異なる(左右対称の関係になっている)。このため、図4(c)の場合は、WP2とWP3との間を飛行した際の下降方向の距離が長く、上昇方向の距離が短いのに対して、図4(d)の場合は、WP2とWP3との間を飛行した際の上昇方向の距離が長く、下降方向の距離が短い。この結果、図4(c)と比較して図4(d)の方が、飛行中の消費電力量が増加する。
【0029】
このように、ウェイポイントを同じように決定しても、撮影する対象物の形状によって、飛行距離が増加したり、飛行中の消費電力量が増加するといった事象が生じ得る。この結果、飛行の途中で、供給可能な電力の残量が所定の閾値以下となり、フェールセーフ動作によって飛行プランによる飛行が中断される場合がある。なお、図4には示していないが、自然現象として、雨や雪が降ったり、無人飛行機100の飛行方向に対して向かい風が吹いたりした場合にも、飛行中の消費電力量は増加する。
【0030】
<飛行プランによる飛行が中断された場合の飛行ルートの説明>
次に、飛行距離の増加や飛行中の消費電力量の増加等により、飛行中に、供給可能な電力の残量が所定の閾値以下となり、フェールセーフ動作の指示が通知されることで、飛行プランによる飛行が中断された場合の飛行ルートについて説明する。
【0031】
図5は、飛行プランによる飛行が中断された場合の飛行ルートを示す図である。このうち、図5(a)は、飛行プランの一例を示す図である。図5(a)によれば、飛行プラン500には、5つのウェイポイント(WP1〜WP5)が含まれる。
【0032】
図5(b)は、飛行プラン500に含まれる各ウェイポイントの位置及び飛行プラン500に基づく飛行ルート(実線)と、実際の飛行ルート(破線)とを模式的に示した図である。図5(b)の例は、WP1が鉄塔510の上方であって、鉄塔510から所定距離離れた位置にあり、WP2が鉄塔510の頂点近傍にあることを示している。また、図5(b)の例は、WP3及びWP4がそれぞれ鉄塔520の頂点近傍または鉄塔530の頂点近傍にあり、WP5が鉄塔530の上方であって、鉄塔530から所定距離離れた位置にあることを示している。
【0033】
図5(b)に示すように、飛行プラン500によれば、無人飛行機100は、HPから飛び立ってWP1まで飛行した後(飛行ルート561参照)、WP2まで下降する(飛行ルート562参照)。その後、無人飛行機100は、WP2とWP3との間を、送電線540との距離が一定となるように飛行し(飛行ルート563参照)、WP3を通過後、更に、WP3とWP4との間を、送電線550との距離が一定となるように飛行する(飛行ルート564参照)。その後、WP4に到達すると、WP5まで上昇し(飛行ルート565参照)、WP5からHPに戻る(飛行ルート566参照)。
【0034】
これに対して、無人飛行機100による実際の飛行ルートは、破線571〜575に示すとおりであったとする。破線571〜575によれば、無人飛行機100は、WP3を通過するまでは、飛行プラン500どおりに飛行した(破線571〜573参照)。しかし、WP3を通過した後は、位置580において、飛行プラン500による飛行が中断され、位置580からHPに戻っている(破線574、575参照)。
【0035】
<飛行プランによる飛行が中断された場合の飛行記録の具体例>
次に、飛行プラン500による飛行が中断された場合の、飛行記録格納部154に格納される飛行記録の具体例について説明する。図6は、飛行プランによる飛行を中断した場合の飛行記録の具体例を示す図である。なお、図6の例は、飛行プラン500により飛行した場合の飛行記録を示している。
【0036】
図6に示すように、飛行記録600には、情報の項目として、"ポイント"、"時刻"、"緯度、経度、高度"、"電力"、"撮影データ"が含まれる。"ポイント"には、ホームポジション(HP)と、ウェイポイント(WP)とが、飛行順序に従って格納される。"時刻"には、飛行制御部151により取得された、飛行中の時刻情報が格納される。
【0037】
"緯度、経度、高度"には、対応する各時刻において飛行制御部151により取得された、無人飛行機100の座標位置(緯度、経度、高度)を示す情報が格納される。"電力"には、対応する各時刻において電力監視部152により監視された、電力供給部140の状態を示す情報が格納される。"撮影データ"には、撮像制御部153により取得された飛行中の撮影データ(飛行開始からフェールセーフ動作の指示が通知されるまでの撮影データ)が1つのファイル(ファイル名="IM1")として格納される。
【0038】
図6の例は、無人飛行機100が、座標位置(緯度、経度、高度)=(La100,Lo100,Al100)において、電力の残量が所定の閾値以下となり、フェールセーフ動作の指示が通知されたことで、撮影が中断された様子を示している。
【0039】
<飛行プランの変更方法の説明>
続いて、飛行プラン500による飛行が中断され、HPに戻った無人飛行機100に対して、変更後の飛行プランを生成する場合の、飛行プランの変更方法について説明する。なお、以下では、まず、比較のため、従来の飛行プラン変更方法により生成される変更後の飛行プランについて説明し、その後、第1の実施形態に係る飛行プラン変更方法により生成される変更後の飛行プランについて説明する。
【0040】
(1)従来の飛行プラン変更方法により生成される変更後の飛行プラン
図7は、従来の飛行プラン変更方法により生成した変更後の飛行プランの一例を示す図である。このうち、図7(a)は、変更後の飛行プラン700を示している。図7(a)に示すように、従来の飛行プラン変更方法によれば、飛行プラン500による飛行が中断された位置580の前後にあるウェイポイント(WP3、WP4)と未飛行のウェイポイント(WP4、WP5)とを含む飛行プラン700が生成される。
【0041】
図7(b)は、飛行プラン700に含まれる各ウェイポイントの位置及び飛行プラン700に基づく飛行ルートを模式的に示した図である。図7(b)に示すように、無人飛行機100は、HPから飛び立ってWP3'まで飛行した後(飛行ルート701参照)、WP3まで下降する(飛行ルート702参照)。その後、無人飛行機100は、WP3とWP4との間を、送電線550との距離が一定となるように飛行し(飛行ルート564参照)、WP4に到達すると、WP5まで上昇し(飛行ルート565参照)、WP5からHPに戻る(飛行ルート566参照)。
【0042】
このように、従来の飛行プラン変更方法によれば、無人飛行機100は、飛行ルート564〜566を飛行する。ここで、飛行ルート564のうち、WP3から位置580(図5参照)までの間は、飛行プラン500に基づく飛行により飛行済みである(図5の破線574参照)。このため、WP3から位置580までの間は、撮影データが重複することになる。この結果、従来の飛行プラン変更方法によれば、飛行プラン500による飛行が中断されなかった場合と比較して、撮影データのデータ量が増加し、撮影データの解析に時間がかかるなど、検査効率の低下が生じていた。
【0043】
(2)第1の実施形態に係る飛行プラン変更方法により生成される変更後の飛行プラン
次に、第1の実施形態に係る飛行プラン変更方法について説明する。図8は、第1の実施形態に係る飛行プラン変更方法により生成した変更後の飛行プランの一例を示す図である。このうち、図8(a)は、変更後の飛行プラン800を示している。図8(a)に示すように、第1の実施形態に係る飛行プラン変更方法によれば、
・飛行プラン500による飛行が中断された位置580を新たにウェイポイントとして決定し("WP7")、更に、
・位置580の上方であって、位置580から所定距離離れた位置を新たにウェイポイントとして決定し("WP6")、
これらのウェイポイント(WP6、WP7)と未飛行のウェイポイント(WP4、WP5)とを含む飛行プラン800が生成される。
【0044】
図8(b)は、飛行プラン800に含まれる各ウェイポイントの位置及び飛行プラン800に基づく飛行ルートを模式的に示した図である。図8(b)に示すように、無人飛行機100は、HPから飛び立ってWP6まで飛行した後(飛行ルート801参照)、WP7まで下降する(飛行ルート802参照)。その後、無人飛行機100は、WP7とWP4との間を、送電線550との距離が一定となるように飛行し(飛行ルート803参照)、WP4に到達すると、WP5まで上昇し(飛行ルート565参照)、WP5からHPに戻る(飛行ルート566参照)。
【0045】
このように、第1の実施形態に係る飛行プラン変更方法により生成された変更後の飛行プラン800によれば、無人飛行機100は、WP3から位置580(図5参照)までの間を飛行しない。このため、WP3から位置580までの間の撮影データが重複することがない。この結果、第1の実施形態に係る飛行プラン変更方法によれば、飛行プランによる飛行が中断されなかった場合と比較して、データ量が増加したり、撮影データの解析に時間がかかるといった事態を回避することができ、検査効率の向上を実現することができる。
【0046】
<飛行プラン管理装置の機能構成>
次に、飛行プランの生成、設定、飛行記録の解析、飛行プランの変更、変更後の飛行プランの設定等を行う飛行プラン管理装置の機能構成について説明する。図9は、飛行プラン管理装置の機能構成の一例を示す図である。
【0047】
このうち、図9(a)は、無人飛行機100と飛行プラン管理装置との関係を示す図である。図9(a)に示すように、飛行プラン管理装置900は、無人飛行機100の外部装置であり、無人飛行機100とは無線通信により情報の送受信を行う。
【0048】
図9(b)は、飛行プラン管理装置900の機能構成を示す図である。飛行プラン管理装置900には、飛行プラン管理プログラムがインストールされている。そして、当該プログラムが実行されることで、飛行プラン管理装置900は、飛行プラン生成部901、飛行プラン設定部902、飛行記録解析部903、飛行プラン変更部904、変更飛行プラン設定部905として機能する。
【0049】
飛行プラン生成部901は、飛行プラン500を生成する。飛行プラン設定部902は、飛行プラン生成部901により生成された飛行プラン500を、飛行制御部151(図1参照)に設定する。
【0050】
飛行記録解析部903は特定手段の一例である。飛行記録解析部903は、飛行記録格納部154(図1参照)に格納された飛行記録(例えば、飛行記録600)を読み出し、飛行プラン500のうち、実際に飛行したウェイポイントと、未飛行のウェイポイントとを特定する。また、飛行記録解析部903は、飛行記録600に基づいて、フェールセーフ動作の指示が通知され、撮像部121による撮影が中断された際の無人飛行機100の位置580の位置座標(緯度、経度、高度)を特定する。
【0051】
飛行プラン変更部904は変更手段の一例である。飛行プラン変更部904は、変更後の飛行プラン800を生成する。上述したとおり、変更後の飛行プラン800には、
・飛行記録解析部903により特定された位置(飛行プラン500が中断された位置580)のウェイポイント("WP7")、
・位置580の上方であって、位置580から所定距離離れた位置のウェイポイント("WP6")、
・未飛行のウェイポイント("WP4"、"WP5")、
が含まれる。変更飛行プラン設定部905は、飛行プラン変更部904により生成された変更後の飛行プラン800を、飛行制御部151に設定する。
【0052】
<飛行プラン管理装置のハードウェア構成>
次に、飛行プラン管理装置900のハードウェア構成について説明する。図10は、飛行プラン管理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。図10に示すように、飛行プラン管理装置900は、CPU1001、ROM1002、RAM1003を有する。また、飛行プラン管理装置900は、補助記憶装置1004、表示装置1005、操作装置1006、I/F装置1007を有する。なお、飛行プラン管理装置900の各部は、バス1008を介して相互に接続されている。
【0053】
CPU1001は、補助記憶装置1004にインストールされている各種プログラム(例えば、飛行プラン管理プログラム等)を実行するデバイスである。ROM1002は、不揮発性メモリであり、補助記憶装置1004にインストールされている各種プログラムをCPU1001が実行するために必要な各種プログラム、データ等を記憶する、主記憶デバイスとして機能する。RAM1003は、DRAMやSRAM等の揮発性メモリであり、補助記憶装置1004にインストールされている各種プログラムがCPU1001によって実行される際に展開される作業領域を提供する、主記憶デバイスとして機能する。
【0054】
補助記憶装置1004は、各種プログラムや、各種プログラムが実行される際に用いられる情報を格納する補助記憶デバイスである。表示装置1005は、飛行プラン管理装置900の内部状態等を表示する出力デバイスである。操作装置1006は、飛行プラン管理装置900に各種指示を入力する入力デバイスである。I/F装置1007は、無人飛行機100と通信を行うための接続デバイスである。
【0055】
<飛行プラン管理処理の流れ>
次に、飛行プラン管理装置900による飛行プラン変更処理の流れについて説明する。図11は、飛行プラン変更処理の流れを示すフローチャートである。飛行プラン500が設定された無人飛行機100がHPから飛行を開始し、再びHPに戻ってきた状態で、飛行プラン管理装置900が、無人飛行機100と無線接続することで、飛行プラン管理装置900では、図10に示すフローチャートを開始する。
【0056】
ステップS1101において、飛行記録解析部903は、飛行記録格納部154より飛行記録600を読み出す。ステップS1102において、飛行記録解析部903は、飛行中、供給可能な電力の残量が所定の閾値以下となり、フェールセーフ動作の指示が通知されたか否かを判定する。ステップS1102において、フェールセーフ動作の指示が通知されていないと判定した場合には(ステップS1102においてNoの場合には)、飛行プラン変更処理を終了する。
【0057】
一方、ステップS1102において、フェールセーフ動作の指示が通知されたと判定された場合には(ステップS1102においてYesの場合には)、ステップS1103に進む。ステップS1103において、飛行記録解析部903は、読み出した飛行記録600より、フェールセーフ動作の指示が通知され、撮像部121による撮影が中断された際の無人飛行機100の位置580の位置座標(緯度、経度、高度)を特定する。
【0058】
ステップS1104において、飛行プラン変更部904は、新規のウェイポイントを決定する。具体的には、飛行プラン変更部904は、特定した位置580と、位置580の上方であって、位置580から所定距離離れた位置とを、新規のウェイポイントに決定する。
【0059】
ステップS1105において、飛行プラン変更部904は、決定した新規のウェイポイントと、未飛行のウェイポイントとを含む飛行プラン800を、変更後の飛行プランとして生成する。
【0060】
ステップS1106において、変更飛行プラン設定部905は、生成した変更後の飛行プラン800を飛行制御部151に設定する。これにより、飛行プラン変更処理を終了する。
【0061】
<変更後の飛行プランにより飛行した場合の飛行記録>
次に、変更飛行プラン設定部905により設定された変更後の飛行プラン800により、無人飛行機100が飛行した場合の飛行記録について説明する。図12は、変更後の飛行プランで飛行した場合の飛行記録の具体例を示す図である。
【0062】
図12に示すように、飛行記録1200によれば、無人飛行機100は、HPから飛行を開始した後、WP6、WP7、WP4、WP5を通過して、HPに戻っている。このため、ファイル名="IM2"の撮影データには、変更前の飛行プラン500による飛行の際に撮影された撮影データ(ファイル名="IM1")と重複する部分がない。
【0063】
<まとめ>
以上の説明から明らかなように、第1の実施形態に係る飛行プラン変更方法は、
・飛行プランに含まれる複数のウェイポイント間を接続する飛行ルートを飛行し、該複数のウェイポイント間にある対象物を撮影する無人飛行機より、飛行記録を読み出す。
・読み出した飛行記録から、送電線の撮影が中断された際の無人飛行機の位置座標を特定する。
・特定した位置座標に基づいて新たに決定したウェイポイントを含む飛行プランを、変更後の飛行プランとして生成する。
【0064】
これにより、第1の実施形態に係る飛行プラン変更方法によれば、撮影データが重複する部分が発生し、飛行プランが中断されなかった場合と比較して、撮影データのデータ量が増加したり、撮影データの解析に時間がかかる、といった事態を回避することができる。つまり、第1の実施形態に係る飛行プラン変更方法によれば、検査効率の向上を実現する飛行プランを提供することができる。
【0065】
[第2の実施形態]
上記第1の実施形態では、飛行プラン管理装置900が、無人飛行機100の外部装置であるとして説明した。しかしながら、飛行プラン管理装置900の各機能(飛行プラン生成部901〜変更飛行プラン設定部905)の全部または一部は、無人飛行機100の制御装置150において実現されてもよい。
【0066】
また、上記第1の実施形態では、飛行プラン管理装置900が、飛行プラン生成部901、飛行プラン設定部902、飛行記録解析部903、飛行プラン変更部904、変更飛行プラン設定部905を有するものとして説明した。しかしながら、飛行プラン管理装置900の機能は、複数の装置により実現してもよい。例えば、飛行プラン管理装置900の機能は、飛行プラン生成部901と飛行プラン設定部902とを有する飛行プラン生成装置と、飛行記録解析部903〜変更飛行プラン設定部905を有する飛行プラン変更装置とにより実現してもよい。
【0067】
[その他の実施形態]
上記第1及び第2の実施形態では、フェールセーフ動作の指示が通知され、撮像部121による撮影が中断された際の無人飛行機100の位置580を、新規のウェイポイントに決定した。しかしながら、新規のウェイポイントの決定方法はこれに限定されない。例えば、位置580の近傍を、新規のウェイポイントに決定してもよい。
【0068】
また、上記第1及び第2の実施形態では、無人飛行機100の位置580を、撮像部121による撮影が中断された際の位置として説明した。しかしながら、撮像部121による撮影が中断されるのは、フェールセーフ動作の指示が通知されたタイミングである。したがって、無人飛行機100の位置580を、フェールセーフ動作の指示が通知された際の位置としてもよい。あるいは、供給可能な電力の残量が所定の閾値以下となった際の位置としてもよい。あるいは、フェールセーフ動作の指示が通知され、飛行プラン500による飛行が中断された際の位置としてもよい。
【0069】
また、上記第1及び第2の実施形態では、供給可能な電力の残量が所定の閾値以下となった場合に、フェールセーフ動作の指示が通知されるものとして説明したが、それ以外の理由でフェールセーフ動作の指示が通知されるように構成してもよい。
【0070】
また、上記第1及び第2の実施形態では、鉄塔間に張架された送電線を、対象物として説明したが、無人飛行機を用いて検査する対象物は、送電線に限定されず、高所にある他の対象物であってもよい。
【0071】
また、上記第1及び第2の実施形態では、飛行開始とともに撮影を開始し、飛行終了とともに撮影を停止するものとして説明したが、撮影の開始タイミングと撮影の停止タイミングはこれに限定されない。例えば、WP2やWP7に到達した際に撮影を開始し、WP4に到達した際に撮影を停止するようにしてもよい。
【0072】
なお、上記実施形態に挙げた構成等に、その他の要素との組み合わせ等、ここで示した構成に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0073】
100 :無人飛行機
110 :機体部
120 :付属部
121 :撮像部
130 :飛行部
140 :電力供給部
150 :制御装置
151 :飛行制御部
152 :電力監視部
153 :撮像制御部
510〜530 :鉄塔
540、550 :送電線
600 :飛行記録
800 :飛行プラン
900 :飛行プラン管理装置
901 :飛行プラン生成部
902 :飛行プラン設定部
903 :飛行記録解析部
904 :飛行プラン変更部
905 :変更飛行プラン設定部
1100 :飛行記録
図1
図2
図3
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図10
図11
図12