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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-159883(P2019-159883A)
(43)【公開日】2019年9月19日
(54)【発明の名称】検索システム、検索方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 16/00 20190101AFI20190823BHJP
   G06F 16/29 20190101ALI20190823BHJP
【FI】
   G06F17/30 340Z
   G06F17/30 170C
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2018-46468(P2018-46468)
(22)【出願日】2018年3月14日
(71)【出願人】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】生▲頼▼ 祐子
(57)【要約】
【課題】ユーザが入力したキーワードに対する情報を提供しやすくする検索システムを提供すること。
【解決手段】ユーザによって入力されたキーワードを用いて施設に関する情報を有する施設情報データベース45を検索する検索システム100であって、前記施設情報データベースに前記キーワードと一致する情報がないか、又は、周辺に前記キーワードを有する施設が存在しない場合、前記ユーザが施設を検索する検索意図を推定する検索意図推定手段36と、前記キーワードと前記検索意図推定手段が推定した前記検索意図に基づいて前記施設情報データベースの検索範囲を拡張する検索範囲拡張手段38と、前記検索範囲拡張手段が拡張した検索範囲の施設であって周辺の施設を前記施設情報データベースから検索する検索手段と、前記検索手段により検索された施設情報を提供する施設提供手段17と、を有することを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザによって入力されたキーワードを用いて施設に関する情報を有する施設情報データベースを検索する検索システムであって、
前記施設情報データベースに前記キーワードと一致する情報がないか、又は、周辺に前記キーワードを有する施設が存在しない場合、前記ユーザが施設を検索する検索意図を推定する検索意図推定手段と、
前記キーワードと前記検索意図推定手段が推定した前記検索意図に基づいて前記施設情報データベースの検索範囲を拡張する検索範囲拡張手段と、
前記検索範囲拡張手段が拡張した検索範囲の施設であって周辺の施設を前記施設情報データベースから検索する検索手段と、
前記検索手段により検索された施設情報を提供する施設提供手段と、
を有することを特徴とする検索システム。
【請求項2】
前記キーワードに関連する施設であって、前記検索意図推定手段が推定した前記検索意図に対応する施設名が登録された1以上のデータベースが、前記キーワードと前記検索意図に対応づけて保持されており、
前記検索範囲拡張手段は、前記キーワードと前記検索意図推定手段が推定した前記検索意図に対応付けられている前記データベースに登録されている前記施設名を前記施設情報データベースの検索に用いることで前記検索範囲を拡張することを特徴とする請求項1に記載の検索システム。
【請求項3】
前記施設提供手段が提供した前記施設情報とは別の施設の提供を求める旨を前記ユーザから入力された場合、
前記検索手段は、前記施設提供手段が提供した施設情報とは別の施設であって、前記施設提供手段が提供した施設名が格納されている前記データベースに登録されている前記施設名を前記施設情報データベースの検索に用いることを特徴とする請求項2に記載の検索システム。
【請求項4】
前記キーワードと前記検索意図に対し複数の前記データベースが対応付けられており、
ある前記データベースに前記検索範囲に拡張したが、現在地から所定距離内の施設を前記施設情報データベースから前記検索手段が見つけられない場合、
前記検索範囲拡張手段は、前記キーワードと前記検索意図に対し対応付けられている他の前記データベースに登録されている前記施設名を前記施設情報データベースの検索に用いることで前記検索範囲を拡張することを特徴とする請求項2又は3に記載の検索システム。
【請求項5】
前記キーワードと前記検索意図に対し対応付けられた複数の前記データベースにはそれぞれ優先度が設定されており、
前記検索範囲拡張手段がある前記データベースを前記検索範囲に拡張したが、現在地から所定距離内の施設を前記施設情報データベースから前記検索手段が見つけられない場合、
前記検索範囲拡張手段は、優先度が高い順に前記データベースを切り替えることを特徴とする請求項4に記載の検索システム。
【請求項6】
前記データベースを指定する旨を前記ユーザから入力された場合、
前記検索範囲拡張手段は、前記ユーザが指定した前記データベースを前記検索範囲に拡張することを特徴とする請求項2又は3に記載の検索システム。
【請求項7】
前記データベースの名称と一致しない施設を指定する情報が前記ユーザから入力された場合、
前記検索範囲拡張手段は、前記施設を指定する情報に対応付けられた前記データベース、又は、前記施設を指定する情報から変換された情報に対応付けられた前記データベースを前記検索範囲に拡張することを特徴とする請求項2又は3に記載の検索システム。
【請求項8】
前記ユーザが過去に利用した施設に関する情報が前記データベースに対応付けて前記施設が利用された回数、又は、
前記データベースに対応付けて記録されている、前記ユーザが前記データベースを指定する旨を入力した回数、
の少なくとも一方を用いて前記複数のデータベースの優先度を更新する優先度更新手段を有することを特徴とする請求項5に記載の検索システム。
【請求項9】
前記検索手段は、前記ユーザが過去に前記データベースを使用して施設を検索した際の前記検索意図を記録しておき、
前記検索意図推定手段は、記録されている過去の前記検索意図に基づいて、前記ユーザが施設を検索する検索意図を推定することを特徴とする請求項2〜8のいずれか1項に記載の検索システム。
【請求項10】
前記ユーザのスケジュールが登録されているスケジュールシステムと前記検索意図推定手段が通信し、前記ユーザのスケジュールに基づいて前記ユーザが施設を検索する検索意図を推定することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の検索システム。
【請求項11】
ユーザによって入力されたキーワードを用いて施設に関する情報を有する施設情報データベースを検索する検索システムの検索方法であって、
検索意図推定手段が、前記施設情報データベースに前記キーワードと一致する情報がないか、又は、周辺に前記キーワードを有する施設が存在しない場合、前記ユーザが施設を検索する検索意図を推定するステップと、
検索範囲拡張手段が、前記キーワードと前記検索意図推定手段が推定した前記検索意図に基づいて前記施設情報データベースの検索範囲を拡張するステップと、
検索手段が、前記検索範囲拡張手段が拡張した検索範囲の施設であって周辺の施設を前記施設情報データベースから検索するステップと、
施設提供手段が、前記検索手段により検索された施設情報を提供するステップと、
を有することを特徴とする検索方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検索システム、及び検索方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザがキーワードを入力して情報を検索することが広く行われている。また、近年では音声認識の技術が向上し、ユーザが音声で情報を検索することも容易になった。例えば、車両などの移動体を操作中のユーザがキーボードを操作することは困難なため、車載装置では音声による情報の検索が好ましいと言える。
【0003】
情報の検索には、ある単語の意味などのように入力されたキーワードと完全に一致する情報でなければユーザの要求を満たさない場合もあるが、入力されたキーワードと関連する情報であってもユーザの要求を満たす場合がある。例えば、施設などのPOI(Point Of Interest)をユーザが検索する場合、入力されたキーワードと同じジャンルのPOIであればユーザの要求を満たす場合が少なくない(例えば、喫茶店名の検索に対し別の喫茶店の情報が提供される場合)。
【0004】
また、施設の情報が記憶された施設情報DBの情報の一部がインデックス用(索引用)に登録された検索DBには上記のジャンルのような施設の一般的な名称が格納されているに過ぎず、検索DBに格納された情報とユーザが入力するキーワードが必ずしも一致するとは限らない(例えば、検索DBには「マクドナルド(登録商標)」が登録されていてもユーザが入力したキーワードが「マック」の場合にファーストフードの施設は検索にヒットしない)。あるいは、ユーザが入力したキーワードと意味としては同じだったとしても表記揺れにより同一と判断できない場合がある。
【0005】
そのため、従来から、検索DBの情報と類似した意味を持つ情報が格納された類義語DBが情報の検索では整備されており、検索時は類義語DBも含めて検索することで、検索範囲を拡張する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1には、入力されたキーワードに紐付いた属性に関連する属性で類似検索を行う検索装置について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014−170297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来は、ユーザが入力したキーワードが検索DB又は類義語DBに定義されていなければ検索結果をユーザに提供できないという問題がある。図1を用いて説明する。
【0008】
図1は、検索DB41又は類義語DB42を用いた検索を説明する図の一例である。まず、図1(a)は検索DB41の一例を示し、図1(b)は類義語DB42の一例を示す。検索DB41には一般的な施設のジャンル名が格納されており、類義語DB42には一般的な施設のジャンル名の短縮語、派生語、下位概念、言い換え、などの類義語が格納されている。
【0009】
図1(c)に示すように、ユーザが「牛鍋食べたい」と発言したが、「牛鍋」は検索DB41には格納されていない。しかし、類義語DB42に格納されているため、牛鍋がすきやきを意味すると検索システムが判断し、すきやきをジャンルとする施設を施設情報DBから検索できる。
【0010】
一方、図1(d)に示すように、ユーザが「もつ鍋食べたい」と発言した場合、「もつ鍋」は検索DB41と類義語DB42のどちらにも格納されていない。この場合、もつ鍋を提供する施設はユーザに提供されないが、ユーザとしてはもつ鍋に似た食事を提供する施設であればその情報も欲しいと考えている場合がある。しかし、もつ鍋に似た食事を提供する施設の情報を得るためには、ユーザはキーワードを変え、改めて検索を実行する必要がある。
【0011】
このように従来の技術では、入力されたキーワードと関連する情報であればユーザの要求を満たす場合であっても、キーワードと関連する情報をユーザに提供できない状況が生じていた。
【0012】
本発明は、上記課題に鑑み、ユーザが入力したキーワードに対する情報を提供しやすくする検索システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題に鑑み、本発明は、ユーザによって入力されたキーワードを用いて施設に関する情報を有する施設情報データベースを検索する検索システムであって、前記施設情報データベースに前記キーワードと一致する情報がないか、又は、周辺に前記キーワードを有する施設が存在しない場合、前記ユーザが施設を検索する検索意図を推定する検索意図推定手段と、前記キーワードと前記検索意図推定手段が推定した前記検索意図に基づいて前記施設情報データベースの検索範囲を拡張する検索範囲拡張手段と、前記検索範囲拡張手段が拡張した検索範囲の施設であって周辺の施設を前記施設情報データベースから検索する検索手段と、前記検索手段により検索された施設情報を提供する施設提供手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
ユーザが入力したキーワードに対する情報を提供しやすくする検索システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】検索DB又は類義語DBを用いた検索を説明する図の一例である。
図2】検索システムによる検索の概略を説明する図の一例である。
図3】検索システムの概略構成図の一例である。
図4】検索システムが有する車載装置、及び、検索サーバの機能をブロック状に示す機能ブロック図の一例である。
図5】拡張類義語DBを模式的に示す図の一例である。
図6】フレームと呼ばれるデータ構造で示す入力理解結果の一例である。
図7】検索システムが施設を検索する手順の一例を示すシーケンス図の一例である。
図8】検索範囲拡張部がどのように拡張類義語DBを決定するかを示す概念図の一例である。
図9】検索システムが施設を再検索する手順の一例を示すシーケンス図の一例である。
図10】検索システムが拡張類義語DBを切り替える手順の一例を示すシーケンス図の一例である。
図11】検索範囲拡張部がユーザの要求で拡張類義語DBを切り替える手順の一例を示すシーケンス図の一例である。
図12】指定履歴情報における指定ポイントの更新例を説明する図である。
図13】検索システムが拡張類義語DBを選択する手順の一例を示すシーケンス図の一例である。
図14】優先度更新部が優先度テーブルにおける拡張類義語DBの優先度を更新する手順を示すフローチャート図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態の一例として、検索システムと検索システムが行う検索方法について図面を参照しながら説明する。
【0017】
<検索の概略>
図2は、本実施形態の検索システム100による検索の概略を説明する図の一例である。本実施形態では、あるキーワード(原則的にユーザが発言する)に対し、ユーザの検索意図に応じて整備された複数の拡張類義語DB43が予め用意されている。拡張類義語DB43には何らかの関連性がある具体的な施設名が格納されている。関連性には、例えば検索意図という観点と、更に、施設の種類という観点がある。
【0018】
検索DB41と類義語DB42にユーザが発言したキーワードと一致する情報がない場合、又は、検索DB41と類義語DB42にユーザが発言したキーワードと一致する情報があるが施設情報DB45に基づく周辺検索では施設が見つからない場合、このキーワードとユーザの検索意図(今回の検索で何を重要視するか)に応じて決定した拡張類義語DB43を用いて、施設情報DB45に基づく周辺検索を継続する。
(1)ユーザがキーワードとして例えば「もつ鍋食べたい」と発言する。検索システム100は「もつ鍋」がキーワードであると判断する。
(2)検索システム100は検索DB41と類義語DB42を検索するが、検索DB41と類義語DB42にはこのキーワードが格納されていない。
(3)この場合、検索システム100はユーザが今回の検索で何を重要視するかという検索意図を特定する。検索意図は過去の会話から特定されてもよいし、システムの使用履歴から特定されてもよいし、ユーザプロファイル(ユーザの試行)から推定されてもよいし、検索システム100がユーザに問い合わせてもよい。図2では「価格」が検索意図として推定されている。
(4)検索システム100は、キーワード(もつ鍋)と検索意図に対応付けて用意されている拡張類義語DB43を決定する。
(5)検索システム100は、この拡張類義語DB43に含まれる施設名の施設を、施設情報DB45から検索する。
【0019】
したがって、本実施形態の検索システム100は、検索DB41と類義語DB42にキーワードが格納されていない場合でも、拡張類義語DB43を検索するのでユーザが入力したキーワードに対し検索結果を提供しやすくすることができる。また、検索DB41と類義語DB42にキーワードが格納されているが周辺に見つからない場合も、拡張類義語DB43を検索するのでユーザが入力したキーワードに対し検索結果を提供しやすくすることができる。
【0020】
なお、そもそも類義語DB42に格納されていないキーワード(もつ鍋)は拡張類義語DB43のキーワードとして設定されていない場合もありうるため、検索システム100は類義語DB42に格納されていないキーワードを類義語に変換するなどしてよい。これにより拡張類義語DB43を適用可能になる。
【0021】
<用語について>
本実施形態の施設は地図上の特定のポイント(地点)であればよい。このような施設をPOI(point of interest)という。あるいは、施設とは、何らかの目的のために用意された設備でもよい。例えば、店舗、建造物、地形、住所、など様々なものが施設となりうる。
【0022】
検索範囲を拡張するとは、例えば施設情報DBにおいてそれまで検索されていなかった施設を検索範囲に加えることをいう。なお、施設の所在という地域的な範囲を広げることは含まない。
【0023】
周辺の施設とは、ユーザがそれほど長時間をかけずに移動できると考えられる地理的な範囲を言う。
【0024】
キーワードと検索意図に対応付けられたデータベースの一例は、例えば拡張類義語DB43である。
【0025】
<システム構成例>
図3は検索システム100の概略構成図の一例である。検索システム100は、ネットワークNを介して互いに通信する検索サーバ50、及び、車載装置10を有する。ネットワークNは携帯電話網、無線LAN網、又は、WiMAX通信網などの通信事業者が提供する公衆回線とプロバイダ(インターネットに接続するためのサービスを提供する企業)が提供するプロバイダネットワークとを有している。通信事業者の公衆回線に車載装置10が接続するためにネットワークNには基地局9が接続されている。
【0026】
検索サーバ50は、運転者に検索結果を提供する情報処理装置である。検索サーバ50は1台以上あってもよい。また、検索サーバ50は運転者の音声を認識してテキストデータを生成する音声認識機能と、このテキストデータを形態素解析してキーワードや発言の意味を抽出する言語処理機能も有する。また、ユーザとの対話を管理する対話管理機能を有することが好ましい。
【0027】
検索サーバ50が有する機能(検索機能、音声認識機能、言語処理機能)の1つ以上を車載装置10が有していてもよい。例えば、音声認識機能や言語処理機能は車載装置10が有することも可能である。検索サーバ50の全ての機能を車載装置10が有する場合、検索サーバ50は不要になる。また、音声認識や言語処理を検索サーバ50とは別のサーバが行って、別のサーバがキーワードを検索サーバ50に送信してもよい。
【0028】
車載装置10は検索結果を出力する情報処理装置の1つである。車載装置10は例えばナビゲーション装置と呼ばれる場合がある。ナビゲーションと呼ばれる車載装置10は、出発地から目的地までの経路を検索して道路地図に設定し、ディスプレイに表示された電子地図に経路と現在地を表示したり、経路に基づいて進路変更の手前で音声案内や電子地図上のアニメーションなどで適切な進路を案内したりする。この他、AV(Audio Visual)の再生機能、インターネットとの通信機能等を有していてよい。運転者は案内にしたがって車両8を操作することで目的地まで到達できる。この車載装置10の機能のうち経路の検索を所定のサーバが行い経路を車載装置10に提供してもよい。更に、車両8の位置情報を車載装置10が所定のサーバに送信することで、所定のサーバが経路の検索と進路の案内を行ってもよい。
【0029】
車載装置10は、汎用的な情報処理端末である場合とナビゲーション専用端末(PND(Portable Navigation Device)とも呼ばれる。)の場合がある。汎用的な情報処理端末として、例えば、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)、ノートPC、及び、ウェアラブルPC(例えば、腕時計型、サングラス型など)などがある。これらの装置は、普段は情報処理端末として利用されるが、ナビゲーションのためのアプリケーションソフトウェアを実行すると、ナビゲーション専用端末と同様、経路検索及び経路案内等を行う。
【0030】
ただし、本実施形態の車載装置10は車載される装置に特有の機能を有する必要はなく、後述するように検索サーバ50をユーザが発言したキーワードで検索できればよい。したがって、車載装置10はナビゲーション装置に限られない。
【0031】
また、車載装置10は、汎用的な情報処理端末と車両側の専用端末の連携(通信)により実現されてもよい。汎用的な情報処理端末に搭載されるアプリが実質的な検索に必要な機能を提供し、このアプリが生成する画面を車両側の専用端末が通信で取得して表示する。このようなアプリとしてCarPlay(登録商標)やAndroid Auto(登録商標)等が知られている。また、実質的な検索に必要な機能を車両側の専用端末が提供してもよい。
【0032】
このように汎用的な情報処理端末と連携する場合、車載装置10(車両側の専用端末)はディスプレイオーディオ(又はコネクティッドオーディオ)と呼ばれる装置であってもよい。ディスプレイオーディオはナビゲーションの機能を搭載せずに主にAV機能と通信機能を提供する装置である。
【0033】
車載装置10は、汎用的な情報処理端末と車両側の専用端末のどちらの場合でも、車載された状態と携帯可能な状態の切り替えが可能であってもよい。つまり、車載装置10は、車両8に脱着可能であってよい。
【0034】
<検索システムの機能について>
図4は、検索システム100が有する車載装置10、及び、検索サーバ50の機能をブロック状に示す機能ブロック図の一例である。
【0035】
<<車載装置>>
車載装置10は、音声取得部15、音声出力部16、検索結果出力部17、表示制御部18、操作受付部19、音声データ送信部20、及びデータ取得部21を有する。車載装置10が有するこれらの各機能は、車載装置10が有するCPUが、フラッシュメモリ(又はHDD)からRAMに展開されたプログラムを実行することにより実現される機能又は手段である。
【0036】
音声取得部15は、例えばステアリングスイッチが押下されている間、マイク11が集音した音声をA/D変換して電気信号に変換して音声データとして取得する。あるいは、ユーザによるトリガー操作なしに常に音声データを取得してもよい。音声は連続データなので、音声取得部15は所定時間分(例えば20ミリ秒)の音声データを繰り返し取得する。所定時間は音声認識に有利な時間として設定されている。
【0037】
音声データ送信部20は、音声取得部15が取得した所定時間分の音声データを検索サーバ50に繰り返し送信する。通信プロトコルは特に限定されず、一例として移動体の通信に適した通信プロトコルが使用されればよい。なお、検索サーバ50のIPアドレスは予め既知であるとする。
【0038】
データ取得部21は、検索サーバ50が送信した検索結果等を取得する。なお、検索に付加的な情報が必要な場合、データ取得部21は付加的な情報をユーザに問い合わせる問い合わせ情報を検索サーバから取得する。また、ユーザが質問したような場合はそれに対する回答を取得する。検索結果、問い合わせ情報、及び、回答は検索結果出力部17に送出される。
【0039】
検索結果出力部17は検索結果、問い合わせ情報及び回答のうち音声情報を音声出力部16に送出し、検索結果、問い合わせ情報及び回答のうち画面情報を表示制御部18に送出する。なお、検索結果、問い合わせ情報及び回答には音声情報のみ又は画面情報のみが含まれる場合がある。
【0040】
音声出力部16は、検索結果、問い合わせ情報及び回答に含まれる音声情報をスピーカ12から出力する。検索結果がすでにMP3やPCM(Pulse Code Modulation)等のフォーマットの音声データになっている場合はそのまま再生すればよい。音声情報がテキストデータで送信される場合は音声合成を行う。
【0041】
表示制御部18は、検索結果、問い合わせ情報及び回答に含まれる画面情報をディスプレイ13(又はHUD:Head Up Display)に表示する。例えば、施設が検索された場合、施設に関する情報(施設のアイコン、施設の名称、電話番号、施設の位置を含む地図)などが表示されてよい。
【0042】
音声情報のスピーカ12への出力と画面情報のディスプレイ13への画面情報の出力はほぼ同時期に行われることが好ましい。ただし、画面情報は後から車両が停止した時、又は、ユーザが操作した時などに表示させることができてよい。
【0043】
操作受付部19は、タッチパネルやハードキーなどによる車載装置10に対する各種の操作を受け付ける。本実施形態では例えば、表示された検索結果(施設名など)に対するタップを受け付ける。これにより、施設の詳細な情報を検索サーバ50に要求することができる。
【0044】
<<検索サーバ>>
検索サーバ50は音声データ受信部31、音声認識部32、言語処理部33、データ送信部34、対話管理部35、及び検索部37を有する。検索サーバ50が有するこれらの機能は、検索サーバ50のCPUがプログラムを実行して検索サーバ50が有する各種のハードウェア要素と協働することで実現される機能又は手段である。
【0045】
音声データ受信部31は、車載装置10から音声データを受信する。音声データ受信部31は受信した音声データを順次、音声認識部32に送出する。音声認識部32は音声データをテキストデータに変換する。テキストデータへの変換には、様々な方法があり本実施形態では公知の方法を使用するものとする。なお、音声認識では文字単位で音声データをテキストデータに変換する方法と単語単位でテキストデータに変換する方法がある。本実施形態では文字単位でテキストデータに変換されるものとするが、この場合は形態素解析により単語(例えば自立語)に分解される。
【0046】
言語処理部33は、音声認識部32が音声データから変換したテキストデータに形態素解析を施して単語に分解する。形態素解析とは、意味を持つ最小限の単位(本実施形態では単語)に文を分解することをいう。言語処理部33は、更に構文解析、意味解析を行い、文の内容を判断する。言語処理部33はテキストデータから抽出された意味付きの単語列を対話管理部35に送出する。
【0047】
対話管理部35は、単語列を用いてユーザとの対話を管理する。詳細は後述される。対話管理部35は対話の管理結果からユーザ要求を推定し、例えば施設の検索がユーザ要求であれば単語列から施設の検索するためのキーワードを特定する。このキーワードが検索部37に送出される。
【0048】
対話管理部35は意図推定部36を有しており、意図推定部36はユーザの検索意図を推定する。改めてユーザに問い合わせる方法と、前後の対話内容等から推定する方法等がある。
【0049】
検索部37は、検索に関する全体的な処理を受け持つ。まず、キーワードから検索DB41と類義語DB42でジャンル又は施設名を特定して、このジャンル又は施設名の施設を施設情報DB45から検索する。
【0050】
検索部37は、検索範囲拡張部38と優先度更新部39を有している。キーワードが検索DB41と類義語DB42に格納されていない場合、又は、施設情報DB45による周辺検索では施設が見つからない場合、検索範囲拡張部38は、キーワードとユーザの検索意図から決定した拡張類義語DB43に検索範囲を拡張する。検索部37は1つ以上の拡張類義語DB43に格納されている施設名で施設情報DB45を検索する。
【0051】
また、優先度更新部39は、検索部37が検索に使用する拡張類義語DB43の優先度をユーザによる施設又はジャンルの指定履歴やユーザのプロファイルに応じて変更する。
【0052】
データ送信部34は、対話管理部35又は検索部37が送出する検索結果、問い合わせ情報又は回答を車載装置10に送信する。
【0053】
また、検索サーバ50は、検索サーバ50のHDD、フラッシュメモリ又はRAM等に構築される記憶部40を有している。記憶部40には、検索DB(Data Base)41、類義語DB42、拡張類義語DB43、ユーザ情報DB44、施設情報DB45、拡張DB選択テーブル46、及び、優先度テーブル47が記憶されている。以下、これらデータベース又はテーブルについて説明する。
【0054】
【表1】
表1は、検索DB41に記憶されている情報を模式的に示す。検索DB41は各施設を索引的に検索できるデータベースであり、施設情報DB45の施設と対応付けられている。また、検索DB41には一般的なジャンルが格納されている。このジャンルで後述する施設情報DB45が検索される。施設情報を格納した施設情報DB45の各施設には施設の施設名及びジャンルが設定されている。したがって、検索DB41にキーワードが格納されている場合、このキーワードをジャンルとする施設の情報を提供可能になる。なお、検索DB41に施設名が登録されていてもよい。
【0055】
【表2】
表2は、類義語DB42に記憶されている情報を模式的に示す。類義語DB42には施設のジャンルごとにこのジャンルの省略語、派生語、下位概念、言い換え、などの類義語が格納されている。例えば、ファーストフードに対してはジャンクフード、ハンバーガー、牛丼屋などの類義語が登録されている。また、類義語DB42には、施設名とこの施設名の類義語が対応付けて登録されていてもよい。
【0056】
類義語DB42では類義語が検索対象となる。したがって、ユーザが検索DB41のキーワードでなく類義語で検索した場合でも、類義語DB42から検索DB41に格納されている施設のジャンルを特定することができ、検索システム100は施設情報DB45で施設を検索可能になる。なお、類義語DB42の項目は検索DB41と対応付けられている。
【0057】
【表3】
表3は、ユーザ情報DB44に記憶されている情報を模式的に示す。表3(a)はプロファイル情報を示す。プロファイル情報には、ユーザがどのような施設を好むかに関する情報として各ジャンルごとのユーザの施設の訪問回数が登録されている。訪問回数が多いほど、ユーザがそのジャンルの施設を好むことが推定できる。この訪問回数には、ユーザが施設を検索することなく、訪問した場合の訪問回数である。ただし、ユーザが施設を検索した結果、訪問した場合の訪問回数を含んでもよい。なお、検索システム100は車両が一定時間以上、駐停車した場合にユーザがその施設を訪問したと判断する。
【0058】
なお、ユーザは予め自分が好む施設のジャンルをプロファイルとして登録しておいてもよい。また、ユーザの年齢と性別等の属性が分かっていれば、検索システムは属性ごとに訪問回数の統計を得ることができる。個人の訪問回数でなく同じ属性で統計が取られた訪問回数をプロファイル情報として使用してもよい。
【0059】
表3(b)はユーザが設定している検索意図の優先順位を示す。ユーザは車載装置10等から検索サーバ50に対して自分が検索で重要視する検索意図の優先順位を予め登録することができる。これにより、ユーザが重要視する検索意図の傾向がわかる。
【0060】
表3(c)は指定履歴情報を示す。指定履歴情報は、検索システム100に対しユーザが指定したジャンル、指定ポイント、及び、検索時に推定した検索意図の回数を有している。ユーザが指定したジャンルにはユーザが指定した施設名から判断されたジャンルも含まれる。
【0061】
指定履歴情報は、検索結果で提案された施設に対するユーザの応答である。例えば、検索システム100がハンバーガーショップを提案しユーザが目的地に設定した場合、指定ポイントが増大される。このハンバーガーショップが拡張類義語DB43の検索の結果、提案されたものならハンバーガーショップが提案された時の検索意図が1つ大きくなる(例えば、「速さ」に対応付けられている数値が1つ大きくなる)。
【0062】
指定ポイントはユーザが施設又はジャンルを目的地に設定した回数そのものでなく何らかの変換でポイントに置き換えられたものでもよい。
【0063】
ユーザが指定したかどうかは最終的に目的地に設定した場合に確定するが、本実施形態では説明の便宜上、ユーザが対話の中で意志又は要求を明確にしただけでも指定ポイントが増減されるとする。ただし、実際に、目的地に設定した場合とユーザが対話の中で意志又は要求を明確にした場合とで指定ポイントの増大量を変えてよい。
【0064】
指定ポイントが大きいほど、ユーザがそのジャンルの施設を好むことが推定できる。指定ポイントは、簡単には例えば施設又はジャンルを指定した回数とすることができる。目的地に設定したが、実際にユーザが施設に移動したか否かは問わないでよい。移動中に別の施設に行ったり予定が入ったりすること等があるためである。
【0065】
また、例えば、ユーザが施設の提案を破棄して別のジャンルやそのジャンルの施設を指定した場合、優先度更新部39は破棄されたジャンルのポイントを大きく減少させ、指定した施設のジャンルを増大させてもよい。
【0066】
各ジャンルには検索意図の採用回数が対応付けられている。つまり、検索されたジャンルの施設をユーザが目的地に設定した場合、どのような検索意図で検索されたかが登録されている。これにより、ユーザが重要視する検索意図の傾向がわかる。
【0067】
【表4】
表4は、施設情報DB45に記憶されている情報を模式的に示す。施設情報DB45には、各施設に関する施設情報が登録されている。例えば、施設名、店名、住所、電話番号、及び、ジャンルなどが登録されている。施設名はいわばブランド名であり、チェーン店の名称、屋号などである。店名は同じ施設名を区別するための名称であり、ない場合もある。住所は所在を示す。電話番号は連絡先である。ジャンルはこの施設を何らかの属性でグループ分けする際のグループ名であり、検索DB41の一般的なジャンル、及び、拡張類義語DB43のジャンルと対応付けられている。なお、1つの施設が複数のジャンルに属する場合がある。
【0068】
【表5】
表5は、拡張DB選択テーブル46の一例を示す。拡張DB選択テーブル46は、キーワードと検索意図から検索範囲拡張部38が検索の拡張範囲となる拡張類義語DB43を決定するためのテーブルである。表5に示すように、行方向に検索意図が、列方向にキーワードがそれぞれ対応付けられている。キーワードはユーザが入力するものなので、キーワードの種類は、施設名、ブランド名、カテゴリー名、メニュー名、商品名・・・など様々なものが考えられる。
【0069】
各キーワードに対し、検索意図ごとに適切な拡張類義語DB43が登録されている。例えば「マクドナルド(登録商標。以下省略する)」というキーワードでユーザが検索するとしても、商品/メニュー、速さ、価格、又は雰囲気など、ユーザが何を重視するか(検索意図)により検索すべき拡張類義語DB43が異なると考えられるためである。つまり、A1〜A4の拡張類義語DB43には、それぞれ商品/メニュー、速さ、価格、又は雰囲気という観点で関連性がある施設名が格納されている。
【0070】
このため、1つのキーワードに対し種々の拡張類義語DB43が用意されているが、検索サーバ50が拡張類義語DB43を一意に特定することが困難になる。そこで、検索範囲拡張部38はユーザの検索意図により検索する拡張類義語DB43を決定する。
【0071】
更に、拡張DB選択テーブル46の1つのセルに登録された例えばA1〜A4等の拡張類義語DB43は、1つではない場合が多い。つまり、ユーザの検索意図が特定できても拡張類義語DB43は1つに絞られない場合がほとんどである。これは、検索意図及びキーワードに対応すると考えられる拡張類義語DB43が複数あり、例えば、施設の種類という観点から関連性がある施設ごとに区分されている。
【0072】
このように、1つの検索意図と1つのキーワードに対応する拡張類義語DB43が複数あることでユーザが求める検索結果を提供しやすくなる。1つの検索意図と1つのキーワードに対応する複数の拡張類義語DB43から1つの拡張類義語DB43を検索サーバ50が選択するために優先度テーブル47が用意される。
【0073】
なお、ユーザの検索意図として、検索システム100で未定義の検索意図(つまり商品/メニュー、速さ、価格、又は雰囲気、以外)が入力される可能性があるため、未定義の意図が入力された場合に利用する、拡張類義語DB43も定義されていることが好ましい。
【0074】
【表6】
表6は優先度テーブル47の一例を示す。優先度テーブル47は、1つの検索意図と1つのキーワードに対応する複数の拡張類義語DB43のうちどれを優先するかを検索範囲拡張部38が決定するためのテーブルである。表5で説明したように、1つ検索意図と1つのキーワードに対応する拡張類義語DB43が複数あるため、表6のような優先度テーブル47を用いて、検索範囲拡張部38が優先して検索する拡張類義語DB43を決定する。
【0075】
表6の優先度テーブル47のキーワードはいずれも「マクドナルド」である。表6(a)の優先度テーブル47には検索意図が商品/メニューの場合に、4つの拡張類義語DB43が優先度順に登録されている。優先度1の拡張類義語DB43には、例えば、「マクドナルド」という施設名の商品と同じ商品を提供する別の施設名が登録されている。優先度2〜4の拡張類義語DB43には、「マクドナルド」という施設名の商品と類似する商品を購入できそうな施設の施設名がジャンル毎に登録されている。
【0076】
表6(b)の優先度テーブル47には検索意図が速さの場合に、4つの拡張類義語DB43が優先度順に登録されている。優先度1の拡張類義語DB43には、速さに定評があるファーストフードの施設が登録されている。優先度2の拡張類義語DB43には、商品提供が速いと想像される麺類の施設名が登録されている。優先度3の拡張類義語DB43には、購入してそのまま食べられるという点で速いコンビニの施設名が登録されている。優先度4の拡張類義語DB43には、優先度1から3には含まれないが速く食事を提供する軽食の施設名が登録されている。
【0077】
表6(c)の優先度テーブル47には検索意図が価格の場合に、4つの拡張類義語DB43が優先度順に登録されている。優先度1、2の拡張類義語DB43には、「マクドナルド」という施設名の商品と価格帯が似ている商品(牛丼、麺類)を提供する施設名が登録されている。優先度3の拡張類義語DB43には、「マクドナルド」という施設名の商品と価格帯が似ている店舗全般の施設名が登録されている。優先度4の拡張類義語DB43には、価格帯が安い商品を提供する施設名が登録されている。
【0078】
検索範囲拡張部38が拡張類義語DB43により検索範囲を拡張する際、この優先度テーブル47に従い、優先度が高い順に利用する拡張類義語DB43を決定する。
【0079】
なお、優先度はユーザ情報DB44のプロファイル情報や指定履歴情報に応じて変更される。例えば、ユーザが優先度1の拡張類義語DB43に基づく検索結果を破棄し、優先度2の拡張類義語DB43に基づく検索結果を選択した実績があるならば、優先度更新部39は、その発生頻度等に応じて指定履歴情報の指定ポイントを更新するので、優先度1と優先度2の拡張類義語DB43を入れ替えることができる。
【0080】
図5は、拡張類義語DB43を模式的に示す図である。拡張類義語DB43には、施設のジャンルごとにこのジャンルに属する施設の施設名(例えば商標)が格納されている。つまり、1つの拡張類義語DB43に登録されている施設は何からの観点から類似すると判断されている。例えば、バーガーショップという拡張類義語DB43には、ハンバーガーのチェーン店の施設名が登録されている。「バーガーショップ」という見出しは、この拡張類義語DB43に格納された施設を代表する名称(データベースの名称の一例)である。本実施形態ではジャンル名又はジャンル名と見なせる名称とする。
【0081】
拡張類義語DB43は複数(いくつでも)定義可能である。定義自体は、検索システム100の運営者が行えばよい。また、同一の施設名が、異なる拡張類義語DB43に格納されることは支障がない。例えば、ファーストフードというジャンルの拡張類義語DB43には、牛丼チェーンというジャンルの拡張類義語DB43の内容が包括されてよい。また、ある拡張類義語DB43内の1つ以上の施設名に対しそれぞれ別の拡張類義語DB43が定義されてもよい。例えば、バーガーショップの拡張類義語DB43にはモスバーガー(登録商標。以下省略する)が定義されているが、モスバーガーという施設名を代表名(例えばジャンル名)とする拡張類義語DB43が定義されてもよい。
【0082】
<言語処理、対話管理について>
続いて、言語処理と対話管理について簡単に説明する。まず、言語処理部33は、形態素解析によりテキストデータから抽出された単語を更に構文解析して、単語間の係り受けを決める。例えば「近くにマックある?」という音声データに対して「近く」が「マック」を修飾しており、「ある」が述語であると解析する。
【0083】
次に、言語処理部33は意味解析を行う。意味解析には、正しい係り受けが登録された概念辞書などを参考にして行われる。「近くにマックある?」のような短い文では多義性は生じないが、意味解析により多義性が解消され、発言の意味が特定される。
【0084】
以上から、対話管理部35は、現在地から近くの「マック」というジャンル又は施設名の施設を提供するという要求が入力されたと判断する。対話管理部35はこの要求を満たすべく対話を進める。ユーザの発言の意味が理解できることで対話管理するための対話行為タイプを特定することができる。対話行為タイプは対話に必要な項目が予め決められた対話管理のためのフォーマットである。上記のユーザ要求に対して対話行為タイプは施設検索要求であると判断される。対話行為タイプにより回答に必要な項目が特定される。
【0085】
図6はフレーム70と呼ばれるデータ構造で示す入力理解結果の一例である。フレーム70は、対話行為タイプに応じて予め定められているシンボルと属性の集合である。対話管理部35はフレーム70を使って対話を管理する。つまり、対話の進捗に応じてフレームが有するシンボルに対応付けられた属性を更新する。図6では「:」の左側がシンボル、右側が属性である。全てのシンボルに対し属性が定まると1つの対話行為が完了したことになる。なお、このような入力理解の方法は一例に過ぎず、例えばベイジアンネットワークのような確率モデル等が用いられてもよい。
【0086】
図6のフレーム70は施設検索要求に対応した対話行為タイプに対応したものである。ジャンルは「マック」、エリアは「近く」であり、検索意図は現在、不明である。対話管理部35は、必要であれば検索意図を問い合わせることができる。検索意図は、拡張類義語DB43で検索範囲を拡張する場合に埋められる。
【0087】
なお、対話管理部35はフレームの管理だけでなく、過去のユーザの発言、又は、ユーザと検索システム100のどちらが発言すべきか、などの情報を保持している。
【0088】
<動作手順>
図7は、検索システム100が施設を検索する手順の一例を示すシーケンス図の一例である。
【0089】
S1:ユーザは近くの「マクドナルド」を検索するため、「近くにマックある?」 と発言した。
【0090】
S2:車載装置10の音声取得部15はこの発言を取得して音声データ送信部20に送出する。音声データ送信部20は音声データを検索サーバ50に送信する。
【0091】
S3:検索サーバ50の音声データ受信部31は音声データを受信し、音声認識部32が音声認識を行い、テキストデータを生成する。
【0092】
S4:次に、言語処理部33がテキストデータに対し形態素解析を実行し、品詞付きの単語に変換する。
【0093】
S5:次に、言語処理部33は構文解析と意味解析を行いユーザの要求を決定する。対話管理部35はユーザの要求から対話行為タイプを決定し、対話の管理を開始する。
【0094】
S6:対話管理部35は「マック」というジャンルの施設をユーザが要求していると判断する。検索部37がマックで検索DB41を検索してもヒットしない場合、検索部37は類義語DB42を検索することで、マックがマクドナルドであると判断できる。以上から、検索部37は、キーワードを「マクドナルド」として周辺検索を実行する。すなわち、マクドナルドという施設名を施設情報DB45から検索し、そのうち、現在地から所定距離内のマクドナルドを絞り込む。周辺は例えば進行方向に2〜3kmくらいである。なお、類義語DB42にはジャンルの正式名なのか施設の正式名(マクドナルドはマックの正式名)なのかが登録されているので、施設情報DB45から施設名が検索されるが、ジャンルの正式名が特定された場合は、施設情報DB45のジャンルに基づいて周辺検索される。
【0095】
周辺にマクドナルドが見つかった場合、検索サーバ50のデータ送信部34はマクドナルドが見つかった旨を車載装置10に送信する。
【0096】
周辺にマクドナルドが見つからなかった場合、検索部37はその旨を対話管理部35に送出する。また、「もつ鍋食べたい」などの発言に対して「もつ鍋」が検索DB41と類義語DB42のいずれに含まれていない場合は、周辺検索することができないこともある。これらの場合、対話管理部35は、対話の目的である施設検索が完了していないので、検索範囲を拡張すると判断する。
【0097】
S7:このため、意図推定部36が検索意図をユーザに問い合わせる。例えば、「周辺にマクドナルドはないため、代替施設を検索します。どのような理由でマクドナルドをご希望でしたか?」という問い合わせ情報を意図推定部36がデータ送信部34を介して車載装置10に送信する。
【0098】
S8:車載装置10のデータ取得部21は問い合わせ情報を取得し、検索結果出力部17に送出する。検索結果出力部17は問い合わせ情報を音声出力部16に送出するのでスピーカ12から問い合わせ情報が出力される。これに対し、ユーザは例えば「早く食事を済ませたいの!」と発言する。
【0099】
S9〜S12:ステップS2〜S5と同様に処理して、言語処理部33は発言の意味を解析する。意図推定部36は例えば、「早く」「済ませる」という発言の意味から、「速さ」というユーザの検索意図を検出する。
【0100】
S13:これにより、ユーザの検索意図が決まったのでキーワードと検索意図により、検索範囲拡張部38は拡張類義語DB43を決定する。ユーザの検索意図とキーワードの組み合わせに対し複数の拡張類義語DB43が登録されている場合、検索範囲拡張部38は優先度1の拡張類義語DB43を決定する。「マクドナルド」と「速さ」から表6(b)に示すように、ファーストフードの拡張類義語DB43が決定されたものとする。これにより、施設情報DB45における検索範囲が拡張された。
【0101】
なお、「もつ鍋食べたい」などの発言に対して「もつ鍋」が検索DB41と類義語DB42のいずれに含まれていない場合、そもそも拡張類義語DB43を決定するためのキーワードに「もつ鍋」が含まれていない可能性がある。このような場合、検索範囲拡張部38は「もつ鍋」をWord2Vec(Skip-Gram)等の技術で類義語に変換してそれをキーワードとして拡張類義語DB43を決定する。
【0102】
S14:拡張類義語DB43が決まったので、検索部37は周辺検索する。まず、拡張類義語DB43に登録されている各施設名で施設情報DB45を検索する。検索にヒットした施設がある場合、現在地から所定距離内の施設を絞り込む。
【0103】
S15:検索サーバ50のデータ送信部34は検索結果(例えば、「2km先に吉野家(登録商標。以下省略する)が見つかりました。目的地に設定しますか?」など)を車載装置10に送信する。
【0104】
S16:車載装置10のデータ取得部21は検索結果を取得し、検索結果出力部17に送出する。検索結果出力部17は検索結果のうち音声情報を音声出力部16に送出し、画面情報を表示制御部18に送出する。これにより、スピーカ12とディスプレイ13から検索結果が出力される。なお、ディスプレイ13への出力は行わなくてもよい。例えば、車両が停止したタイミングで表示してもよい。
【0105】
例えば、車載装置10は「2km先に吉野家が見つかりました。目的地に設定しますか?」などの検索結果の音声情報をスピーカ12から出力する。
【0106】
このように、本実施形態の検索システム100は、検索意図とキーワードに対し拡張類義語DB43を用意しておくことで、検索DB41及び類義語DB42に基づく検索では施設を提供できない場合でも、検索範囲を広げて検索するのでユーザに検索結果を提供しやすくなる。
【0107】
<ユーザの検索意図>
図7の説明では、検索意図を検索サーバ50がユーザに問い合わせていたが、意図推定部36は他の方法で検索意図を取得できる。以下、いくつかの方法を説明する。
(1)検索時に、ユーザに対して検索システム100から問い合わせる(図7にて説明済み)。
(2)キーワードの入力前後のユーザの発言から判断する。例えば、直前の施設の検索時に「安いところを探して」という発言をしていれば、今回の検索意図も「価格」であると推定できる。あるいは、「近くにマックある?」の後に「モスも良いな。安い方。」という発言をしていれば、マックの検索意図も「価格」であると推定できる。
(3)ユーザ情報DB44のプロファイル情報又は指定履歴情報から推測する。表3(b)に示すように、ユーザは予め検索意図の優先順位を検索サーバ50に登録しているので、このうち最も優先順位が高い検索意図を採用することができる。また、表3(c)に示すように提案された施設をユーザが指定した時に参照された検索意図がジャンルごとに記録されているので、各ジャンル別の同じ検索意図の採用回数を合計し、最も値が大きい検索意図を採用する。すなわち、商品/メニューごと、速さごと、価格ごと、及び、雰囲気ごとの採用回数を、ジャンルを横断して合計する。
【0108】
表3(b)と表3(c)で決定した検索意図が異なっている場合、どちらを採用してもよいが、ユーザに問い合わせてもよい。
(4)スケジュール連携を行い、空き時間や今後の予定により推定する。ユーザがクラウド上にスケジュールを登録している場合がある。検索サーバ50はスケジュールシステムと連携して、ユーザの今後の予定を読み出すことができる。例えば、1時間後に人と会うなどの予定がある場合、ユーザの検索意図が速さであると推定する。予定がない場合、商品/メニューや雰囲気などを優先すると推定する。なお、予定から明らかにならない場合はユーザに確認してよい。
【0109】
<拡張類義語DBの選択について>
図8を用いて拡張類義語DB43がどのように切り替えられるか等を説明する。図8は検索範囲拡張部38がどのように拡張類義語DB43を決定するかを示す概念図である。図8(a)〜図8(d)はそれぞれ優先度1〜4の拡張類義語DB43である。
(1)まず、検索部37は優先度1であるファーストフードの拡張類義語DB43に格納されている施設名を施設情報DB45から周辺検索する。
(2)ファーストフードの拡張類義語DB43で車両の周辺に施設が見つからなかった場合、検索範囲拡張部38は次に優先度が高い麺類の拡張類義語DB43を決定し、検索部37は優先度2の麺類の拡張類義語DB43に格納されている施設名を施設情報DB45から周辺検索する。
(3)麺類の拡張類義語DB43で車両の周囲に施設が見つからなかった場合、検索範囲拡張部38は次に優先度が高いコンビニの拡張類義語DB43を決定し、検索部37は優先度3のコンビニの拡張類義語DB43に格納されている施設名を施設情報DB45から周辺検索する。
(4)コンビニの拡張類義語DB43で車両の周囲に施設が見つからなかった場合、検索範囲拡張部38は次に優先度が高い軽食の拡張類義語DB43を決定し、検索部37は優先度4の軽食の拡張類義語DB43に格納されている施設名を施設情報DB45から周辺検索する。
(5)検索部37がファーストフードの拡張類義語DB43を検索して対話管理部35が施設を提供したが、ユーザが麺類というジャンル又はこのジャンルの施設を指定した場合、検索範囲拡張部38は麺類の拡張類義語DB43を決定し検索部37が麺類の拡張類義語DB43に格納されている施設名を施設情報DB45から周辺検索する。
(6)検索部37がファーストフードの拡張類義語DB43を検索して対話管理部35が施設を提供したが、ユーザがコンビニというジャンル又はこのジャンルの施設を指定した場合、検索範囲拡張部38はコンビニの拡張類義語DB43を決定し検索部37がコンビニの拡張類義語DB43に格納されている施設名を施設情報DB45から周辺検索する。
(7)検索部37がファーストフードの拡張類義語DB43を検索して対話管理部35が施設を提供したが、ユーザが軽食というジャンル又はこのジャンルの施設を指定した場合、検索範囲拡張部38は軽食の拡張類義語DB43を決定し検索部37が軽食の拡張類義語DB43に格納されている施設名を施設情報DB45から周辺検索する。
【0110】
本実施形態の検索では、このように拡張類義語DB43を切り替えて検索できるので、ユーザが望む施設を提供しやすくなる。
【0111】
<同じ拡張類義語DB内の再検索>
図7のステップS16で、ユーザが他の施設を要求した場合、検索部37はファーストフードの拡張類義語DB43から、今回提案した店舗以外の店舗を提供する。例えば、「吉野家」を提案した場合、次は「吉野家」を除いて周辺検索する。
【0112】
図9は、検索システム100が施設を再検索する手順の一例を示すシーケンス図の一例である。なお、図9の処理は図7のステップS16に続いて実行されるとして説明する。
S21:ユーザは「吉野家」に満足できず、例えば「別のお店がいい」 と発言した。
【0113】
S22〜S25:ステップS2〜S5と同様に処理して、言語処理部33は発言の意味を解析する。言語処理部33は、例えば、「別の」「お店」という単語の係り受けから、別のお店を検索したいというユーザの要求を検出する。
【0114】
S26:これにより、対話管理部35は「吉野家」を除く施設検索要求であると判断し、検索部37が同じファーストフードの拡張類義語DB43で周辺検索する。この時点で拡張類義語DB43を変えることもできるが、ユーザから別のジャンルを指定する明確な意図が抽出されないため、同じ拡張類義語DB43が使用される。ユーザの発言から別のジャンルを指定する意図が抽出される場合、検索範囲拡張部38が拡張類義語DB43を変更できる。
【0115】
S27:検索サーバ50のデータ送信部34は検索結果(例えば「2.4km先にモスバーガーが見つかりました。目的地に設定しますか?」)を車載装置10に送信する。
【0116】
S28:車載装置10のデータ取得部21は検索結果を取得し、検索結果出力部17に送出する。検索結果出力部17は検索結果の音声情報と画面情報をそれぞれ音声出力部16と表示制御部18に送出するのでスピーカ12とディスプレイ13から検索結果が出力される。
【0117】
例えば、車載装置10は「2.4km先にモスバーガーが見つかりました。目的地に設定しますか?」などの検索結果の音声情報をスピーカ12から出力する。
【0118】
このように、ユーザがキーワードを変更しなくても、キーワードの施設と検索意図において類似する別の施設を、拡張類義語DB43を用いて検索できる。
【0119】
<拡張類義語DBの自動的な切替>
図9又は図10の説明において、ファーストフードの拡張類義語DB43で最後に提案した店舗以外に、周辺に店舗が存在しなかった場合は、表6(b)の優先度テーブル47にしたがって、検索範囲拡張部38が次の優先度の拡張類義語DB43に切り替える。例えば、図9のステップS26で吉野家以外のファーストフードの施設が周辺にない場合、検索部37は優先度が2の麺類の拡張類義語DB43を用いて周辺検索する。
【0120】
図10は、検索システム100が拡張類義語DB43を切り替える手順の一例を示すシーケンス図の一例である。なお、図10の処理は図7のステップS16に続いて実行されるとして説明する。
S31〜S36:図9のステップS21〜S26と同様でよい。
【0121】
S37:ステップS36で検索部37が同じファーストフードの拡張類義語DB43で周辺検索しても周辺に施設を見つけることができなかった。このため、検索範囲拡張部38は、優先度テーブル47を参照して次の優先度の拡張類義語DB43に切り替える。
【0122】
S38:そして、検索部37は次の優先度の拡張類義語DB43に格納されている施設名で施設情報DB45を検索し、そのうち、現在地から所定距離内の施設を絞り込む。この場合も「吉野家」は除くことが好ましい。以降のステップS39、S40の処理は図9のステップS27、S28と同様でよい。
【0123】
車載装置10の音声出力部16は例えば「3km先に幸楽苑が見つかりました。目的地に設定しますか?」という音声をスピーカ12から出力する。
【0124】
このように、検索システム100は、優先度1の拡張類義語DB43にユーザが求める施設がない場合、次の優先度の拡張類義語DB43に自動で切り替えて検索できるので、検索範囲を自動的に広げ、ユーザに検索結果を提供しやすくなる。
【0125】
なお、同様に、優先度2の拡張類義語DB43を用いても周辺に施設が存在しない場合は、検索範囲拡張部38は優先度3の拡張類義語DB43に切り替えることができる。優先度4以降の拡張類義語DB43にも同様に切り替えることができる。
【0126】
<ユーザによる拡張類義語DBの変更>
図7のステップS16において、ユーザが拡張類義語DB43の変更を指定した場合においても、検索範囲拡張部38は拡張類義語DB43を切り替える。
【0127】
図11は、検索範囲拡張部38がユーザの要求で拡張類義語DB43を切り替える手順の一例を示すシーケンス図の一例である。なお、図11の処理は図7のステップS16に続いて実行されるとして説明する。
【0128】
S41:ユーザは「吉野家」という提案に意外性を感じ、例えば「なんで吉野家なの?」 と発言した。
【0129】
S42〜S45:図9のステップS2〜S5と同様でよい。言語処理部33は、例えば「なんで」「なの?」という単語の係り受けから、拡張類義語DB43の選択理由を質問していると判断する。
【0130】
S46:対話管理部35は選択理由を回答する対話行為タイプを設定し、選択理由を生成する。検索意図と拡張類義語DB43のジャンル名を使って、例えば、「早く食事を済ますことができる店舗として、ファーストフードを検索しました。」という回答を生成する。
【0131】
S47:検索サーバのデータ送信部34は回答を車載装置10に送信する。車載装置10のデータ取得部21は回答を取得し、検索結果出力部17に送出する。これにより、音声出力部16は回答をスピーカ12から出力する。
【0132】
S48:これに対してユーザが「他のジャンルにして!」と発言した。
【0133】
S49〜S52:図9のステップS2〜S5と同様でよい。言語処理部33は、例えば、「他の」「ジャンル」「して」という単語の係り受けから、拡張類義語DB43を変更したいと判断する。
【0134】
S53:まず、検索範囲拡張部38は、ユーザがファーストフードというジャンルを破棄したと判断する。このため、指定履歴情報におけるファーストフードの指定ポイントを減少させる。これにより、検索範囲拡張部38は次の優先度の拡張類義語DB43に切り替えてもよい。しかし、本実施形態では、ユーザに問い合わせるため、対話管理部35は他の拡張類義語DB43のジャンル名を使って、例えば「麺類、コンビニ、軽食をご提案します。どのジャンルにしますか?」という問い合わせを生成する。
【0135】
S54:検索サーバのデータ送信部34は問い合わせを車載装置10に送信する。車載装置10のデータ取得部21は回答を取得し、検索結果出力部17に送出する。これにより、音声出力部16は回答をスピーカ12から出力する。
【0136】
S55:これに対してユーザが「コンビニでいいや」と発言した。この発言は検索サーバ50に送信されるので、これにより、検索サーバ50の検索範囲拡張部38はジャンルがコンビニの拡張類義語DB43に切り替えて周辺検索を行うことができる。また、検索範囲拡張部38は、ユーザがコンビニのジャンルを指定したと判断する。このため、指定履歴情報におけるコンビニの指定ポイントを増大させる。
【0137】
<<指定ポイントの更新>>
上記のように、図11の検索ではユーザが、ファミリーレストランというジャンルを破棄し、コンビニというジャンルを選択したので、検索範囲拡張部38はユーザ情報DB44の指定履歴情報を更新する。
【0138】
図12は、指定履歴情報における指定ポイントの更新例を説明する図である。なお、図12は指定履歴情報の一部を抜粋したものである。図12(a)は更新前の指定履歴情報を示し、図12(b)は更新後の指定履歴情報を示す。ユーザはファーストフードの店舗の提案を破棄してコンビニというジャンルを指定したので、優先度更新部39はファーストフードのジャンルの指定ポイントを例えば20%減少させ、コンビニの指定ポイントを20%増大させる。
【0139】
こうすることで、ユーザが施設を破棄したり指定したりするたびに指定ポイントが更新されるので、指定ポイントに応じて拡張類義語DB43の優先度が変更されれば、検索を繰り返すほど、拡張類義語DB43の優先度がユーザの好みに合致していく。
【0140】
図12の説明では、破棄と選択が同時に行われているが、破棄のみ、又は、選択のみが行われる場合もある。また、20%の減少又は増大は一例に過ぎず、変動量は適宜設定されてよい。また、パーセンテージでなく絶対値で更新されてもよい。
【0141】
なお、目的地に設定された場合と、単にジャンルが指定された場合とで、指定ポイントの増大量を変更することも好適である。
【0142】
<ユーザによる施設の指定>
図11において、検索サーバ50は「麺類、コンビニ、軽食をご提案します。どのジャンルにしますか?」と問い合わせた、ユーザは「コンビニでいいや」と回答した。しかし、ユーザが自分の好みを検索サーバ50に伝えられれば便利になる。すなわち、ユーザの発言が問い合わせと一致しなかったとしても、ユーザの発言に対して適切な拡張類義語DB43で決定できることが好ましい。
【0143】
図13は、検索システム100が拡張類義語DB43を選択する手順の一例を示すシーケンス図の一例である。なお、図13の処理は図11のステップS54に続いて実行されるとして説明する。
【0144】
S61:ユーザは「ラーメンにする」と発言した。
【0145】
S62〜S65:図9のステップS2〜S5と同様でよい。言語処理部33は、例えば、「ラーメン」「する」という単語の係り受けから、ユーザがラーメンを提供する施設を要求していると判断する。
【0146】
S66:対話管理部35は施設検索要求という対話行為タイプを設定する。ジャンルはラーメンである。まず、検索部37は検索DB41や類義語DB42を検索するが見つからなかった。そこで、検索範囲拡張部38がキーワード(ラーメン)と検索意図から拡張類義語DB43を決定する。まず、検索範囲拡張部38はラーメンというキーワードに対応けられた拡張類義語DB43があればそれを採用する。ラーメンというキーワードに対応付けられた拡張類義語DB43がない場合、ラーメンを類義語DB42で別のキーワードに変換して、このキーワードに対応付けられた拡張類義語DB43を採用する。あるいは、ラーメン(施設を指定する情報の一例)という言葉で各拡張類義語DB43を検索し、最もヒット数が多い拡張類義語DB43を採用する。あるいは、Word2Vecなどの自然言語処理アルゴリズムを使ってラーメンの類義語を推定し、この類義語をキーワードとして拡張類義語DB43を決定してもよい。こうすることで、ユーザが自分の好みを検索サーバ50に伝えても拡張類義語DB43を決定できる。以下では、例えば麺類の拡張類義語DB43を決定できたものとする。
【0147】
S67:検索部37は麺類の拡張類義語DB43で周辺検索する。この時、単に麺類の拡張類義語DB43を検索するだけではそば屋なども含まれるおそれがあるため、ラーメンを提供する施設を検索するとなおよい。例えばラーメンの類義語(中華等)を店名に有する施設を優先して検索する。
【0148】
S68:検索サーバ50のデータ送信部34は検索結果を車載装置10に送信する。
【0149】
S69:車載装置10のデータ取得部21は検索結果を取得し、検索結果出力部17に送出する。検索結果出力部17は検索結果を音声出力部16と表示制御部18に送出するのでスピーカ12とディスプレイ13から検索結果が出力される。
【0150】
なお、この場合も、麺類というジャンルの拡張類義語DB43の指定ポイントが増大するように更新され、ファーストフードというジャンルの拡張類義語DB43の指定ポイントは減少するように更新される。
【0151】
<優先度テーブルの更新>
優先度テーブル47は、検索部37が検索に使用する拡張類義語DB43の順番を決定するため、ユーザに好みの施設を早期に提供する上で重要である。本実施形態では、優先度テーブル47における拡張類義語DB43の優先度を、ユーザのプロファイル又は指定履歴を用いて更新する。
【0152】
図14は、優先度更新部39が優先度テーブル47における拡張類義語DB43の優先度を更新する手順を示すフローチャート図の一例である。図14の処理は、例えば週に1回、月に1回など定期的に実行される。また、同じキーワードと同じ検索意図に対応付けられている複数の拡張類義語DB43ごとに実行される。例えば、拡張DB選択テーブル46の、マクドナルドと速さに対応付けられているA2に属する、ファーストフード、麺類、コンビニ、及び、軽食等の拡張類義語DB43の優先度が更新される。
【0153】
まず、プロファイルにおける各ジャンルの訪問回数をポイント化する(S101)。すなわち、指定ポイントとの重みを調整するため、例えば、訪問回数に係数を乗じる。指定ポイントよりも訪問回数を重視する場合は大きな係数を乗じ、指定ポイントを訪問回数よりも重視する場合は小さな係数を乗じる。
【0154】
次に、優先度更新部39は指定履歴情報から各ジャンルの指定ポイントを取得する(S102)。
【0155】
また、優先度更新部39はジャンル毎にステップS101のポイントと指定ポイントとを合計する(S103)。
【0156】
そして、優先度更新部39は、合計値の大きい順に優先度を変更する(S104)。このように、定期的に拡張類義語DB43の優先度を更新することで、ユーザの好みの施設を早期に提供できるようになる。なお、訪問回数と指定ポイントはどちらか一方が少なくとも利用されればよい。
【0157】
<まとめ>
以上説明したように、本実施形態の検索システムでは、1つのキーワードに対し、異なる観点(検索意図)で複数の拡張類義語DBが用意されていることで、検索に何を重要視するかという検索意図に応じて参照する拡張類義語DBを変更することができる。
【0158】
1つのキーワードとユーザの検索意図とに対し複数の拡張類義語DBを用意しておき、優先度に応じて拡張類義語DBを切り替えることで、1つの拡張類義語DBを用いただけでは該当の施設を見つけられなかった場合でも、適宜、拡張類義語DBに拡張することで、検索結果を提供しやすくすることができる。
【0159】
ユーザの検索意図も考慮した上で、キーワードに対して拡張類義語DBを決定することで、ユーザの発言するキーワードが正式な施設名等でなくてもユーザの検索意図に近い結果を提供することができる。
【0160】
ユーザが指定した施設や拡張類義語DBに基づいて拡張類義語DBの優先度を変更することで、ユーザの検索意図に適した検索結果を早いタイミングで提供できるようになる。
【0161】
<その他の適用例>
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【0162】
例えば、ユーザが入力したキーワードが拡張類義語DB43と関連付けられていないこともあるため、この場合はWord2Vecなどの自然言語処理アルゴリズムを使ってキーワードを類似した別のキーワードに変換して、別のキーワードに対応づけられた拡張類義語DB43を決定してよい。
【0163】
また、本実施形態ではキーワードが音声により入力される例を説明したが、キーワードの入力にはキーボードやタッチパネルが使用されてもよい。
【0164】
また、本実施形態では車両8からユーザが施設を検索する例を説明したが、ユーザは、軽車両、動力付き二輪車(自動二輪車という)等に乗車していてもよい。すなわち、移動体は車両に限られない。また、ユーザは徒歩で移動してもよく、この場合、車載装置10ではなく汎用的な情報処理装置にユーザがキーワードを入力してもよい。
【0165】
なお、意図推定部36は検索意図推定手段の一例であり、検索範囲拡張部38は検索範囲拡張手段の一例であり、検索部37は検索手段の一例であり、検索結果出力部17は施設提供手段の一例であり、優先度更新部39は優先度更新手段の一例であり、施設情報DB45は施設情報データベースの一例である。
【符号の説明】
【0166】
10 車載装置
50 検索サーバ
100 検索システム
図1
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