【解決手段】回路基板20は、発熱素子22が実装された面をラミネートセル10aのテラス部14aに向けて、テラス部14aに対向して配置されている。感温性保護素子27が、テラス部14aの回路基板20が配置された側の面に載置されている。発熱素子22と感温性保護素子27とが熱伝導性部材25を介して連結されている。
発電要素を可撓性を有するラミネートシートで外装した、略矩形の平面視形状を有するラミネートセルと、発熱素子が実装された回路基板と、感温性保護素子とを備えたラミネート型電池であって、
前記ラミネートセルは、前記ラミネートシートが重ね合わされてシールされたシール領域を備え、
前記シール領域は、前記発電要素に接続された正極タブ及び負極タブが導出された辺に沿ったテラス部を含み、
前記回路基板は、前記発熱素子が実装された面を前記テラス部に向けて、前記テラス部に対向して配置されており、
前記感温性保護素子は、前記テラス部の前記回路基板が配置された側の面に載置されており、
前記発熱素子と前記感温性保護素子とが熱伝導性部材を介して連結されていることを特徴とするラミネート型電池。
【発明を実施するための形態】
【0010】
上記の本発明のラミネート型電池において、前記熱伝導性部材の熱伝導率が100〜1200W/m・Kであってもよい。熱伝導率がこの数値範囲より低いと、発熱素子から感温性保護素子への伝熱特性が低下するので、ラミネートセルが危険温度に到達する前に感温性保護素子が動作温度に到達しない事態が起こりうる。熱伝導率が大きいほど、発熱素子から感温性保護素子への伝熱特性は向上する。但し、熱伝導率が上記の数値範囲より高いと、ラミネート型電池が正常動作時にも感温性保護素子が作動する恐れがある。
【0011】
前記発熱素子は、前記ラミネートセルの充放電時に発熱してもよい。これにより、充放電時の電流を利用して感温性保護素子を暖めることができる。
【0012】
前記発熱素子はヒューズであってもよい。これにより、保護素子であるヒューズを、感温性保護素子を加熱するための発熱素子としても利用することができる。これは、電池の安全性を確保しながら、限られた面積の回路基板に実装される部品数を少なくするのに有利である。
【0013】
前記感温性保護素子は温度ブレーカであってもよい。温度ブレーカは、PTC素子とは異なり、動作温度以下で電流を実質的にロスしない。また、一旦保護動作(電流の遮断)が行われても、その後、温度が低下すると保護動作は解除されるので、ラミネート型電池の繰り返し使用が可能である。
【0014】
前記回路基板と前記テラス部との間に、圧縮変形可能なクッション材が設けられていてもよい。これにより、回路基板がテラス部に異常に接近するのを防止できる。これは、ラミネートシートが損傷するのを防止するのに有利である。
【0015】
前記回路基板から外部配線が導出されていてもよい。この場合、前記外部配線の導出方向は前記テラス部の長手方向に平行であってもよい。
【0016】
以下に、本発明を好適な実施形態を示しながら詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されないことはいうまでもない。以下の説明において参照する各図は、説明の便宜上、本発明の実施形態を構成する主要部材を簡略化して示したものである。従って、本発明は以下の各図に示されていない任意の部材を備え得る。また、本発明の範囲内において、以下の各図に示された各部材を変更または省略し得る。各実施形態の説明において引用する図面において、先行する実施形態で引用した図面に示された部材に対応する部材には、当該先行する実施形態の図面で付された符号と同じ符号が付してある。そのような部材については、重複する説明が省略されており、先行する実施形態の説明を適宜参酌すべきである。
【0017】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1にかかるラミネート型電池(以下、単に「電池」という)1の分解斜視図である。電池1は、ラミネートセル(以下、単に「セル」という)10a及び回路基板20を備える。
【0018】
図2Aは、セル10aの斜視図である。セル10aは、略矩形の平面視形状を有し、当該略矩形の縦横寸法に比べて厚みが薄い薄板形状を有する。このセル10aは、ラミネートシート13からなる外装内に、略矩形の平面視形状を有する薄板状の発電要素(図示せず)が電解液とともに封入されたものである。発電要素は、正極集電体の所定領域の両面に正極活物質を含む正極合剤層が塗布形成された正極と、負極集電体の所定領域の両面に負極活物質を含む負極合剤層が塗布形成された負極とが、セパレータを介して交互に積層されてなる電極積層体である。電池の種類は特に制限はないが、二次電池、中でもリチウムイオン二次電池が好ましい。
【0019】
ラミネートシート13は、発電要素に比べて薄く、且つ、可撓性を有している。ラミネートシート13は、例えば、アルミニウム等からなる基層の、発電要素に対向する側の面に熱融着性樹脂層(例えば変性ポリオレフィン層)が積層された多層シートであってもよい。1枚の矩形のラミネートシート13が、発電要素を挟むように二つ折りにされ、発電要素の外側で重ね合わされてヒートシール法などによりシールされている。ラミネートシート13がシールされたシール領域14a,14b,14cは、略矩形のセル10aの3辺に沿っている。シール領域14a,14b,14cは共通する一平面に沿っている。発電要素に対応する略矩形のエンボス12が、シール領域14a,14b,14cに対して一方の側に突出している。セル10aのように、シール領域14a,14b,14cに対して一方の側のみにエンボス12が突出したセルは、一般に、「片エンボス型」、または、ラミネートシート13の成形形状に着目して「片絞り型」と呼ばれる。本発明では、説明の便宜のために、片エンボス型のセル10aにおいて、エンボス12が突出した側の面をセル10aの「正面」と呼び、これと反対側の面をセル10aの「裏面」と呼ぶ。また、正面と裏面とを結ぶ方向を「厚さ方向」又は「上下方向」と呼ぶ。シール領域14a,14b,14cに共通する平面に平行な方向を「水平方向」と呼ぶ。
【0020】
シール領域14aから、正極タブ11p及び負極タブ11nが導出されている。正極タブ11p及び負極タブ11nは、短冊形状を有し、シール領域14aの長手方向に対して直交する方向(即ち、シール領域14aの両端につながる一対のシール領域14b,14cと平行な方向)に沿って延びている。正極タブ11pは、例えばアルミニウムの薄板からなり、発電要素を構成する複数の正極集電体(図示せず)と電気的に接続されている。負極タブ11nは、例えばニッケルの薄板等からなり、発電要素を構成する複数の負極集電体(図示せず)と電気的に接続されている。
【0021】
本発明では、正極タブ11p及び負極タブ11nが導出されたシール領域14aを「テラス部」という。また、テラス部14aの両端に接続されたシール領域14b,14cを「耳部」という。第1耳部14b及び第2耳部14cは、テラス部14aが沿うセル10aの辺に対して垂直な辺に沿って延びる。セル10aの外寸法を小さくするために、
図2Bに示すように、耳部14b,14cは、エンボス12と同じ側にテラス部14aに対して略直角に折り曲げられる。折り曲げられた耳部14b,14cは、エンボス12の側面に、両面粘着テープ等を用いて固定される。テラス部14aは、エンボス12と耳部14b,14cとによってその三方向が囲まれる。
【0022】
図1に戻り、回路基板20は、細長い薄板状物であり、テラス部14aと略同じかこれより短い長手方向寸法を有する。回路基板20の第1面には発熱素子22が実装されている。発熱素子22は、セル10aの充放電時の電流によって自己発熱する。本実施形態1では、発熱素子22は、所定の電流に達すると所定の保護動作を行う発熱性保護素子であり、具体的にはヒューズ(電流ヒューズ)である。ヒューズは、自身を電流が流れることにより発熱する。ヒューズは、外部短絡等によって過電流が発生すると、ヒューズ内のヒューズエレメントが発熱・溶断して回路を遮断する。一旦保護動作(電流の遮断)が行われると、動作以前状態に復帰することはない。ラミネート型電池として通常使用されるヒューズを発熱素子22として使用することができる。
【0023】
回路基板20の第1面には、さらに、FET素子等の電子部品からなる保護回路部品(安全回路部品)23が実装され、また、正極入力端子21p及び負極入力端子21nが設けられている。
【0024】
外部配線24が、回路基板20の第1面に設けられた端子(
図1では見えない)に接続されている。封止部24bが、回路基板20の第1面に設けられた端子(図示せず)と外部配線24との電気的接続部を封止し絶縁している。封止部24bは、公知のグルー(glue)や、絶縁性を有する樹脂や接着剤からなる。外部配線24は、回路基板20の長手方向の一方の側(第1耳部14b側)の端の近傍に接続され、回路基板20からテラス部14a(または回路基板20)の長手方向に平行に導出されている。外部配線24の先端には、コネクタ24aが設けられている。コネクタ24aは、電池1が組み込まれる機器に設けられたコネクタ(機器側コネクタ)に接続される。外部配線24を介して、電池1に対して充放電を行うことができる。外部配線24は、可撓性を有する複数本(本実施形態1では3本)のケーブルの集合体である。外部配線24を構成する各ケーブルは、銅などの導電性を有するワイヤ(導電性ワイヤ)と、当該導電性ワイヤを被覆するポリウレタンなどの絶縁性材料(絶縁被覆)とを備え、被覆線とも呼ばれる。本実施形態の外部配線24は、複数のケーブルの絶縁被覆が互いに融着して連結されたフラットケーブルである。複数本のケーブルの種別は特に制限はないが、例えば、正極ケーブル、負極ケーブル、ラミネートセル10aの温度検出を行うための温度検出用ケーブル等を含んでいてもよい。外部配線24を構成するケーブルの数や、各ケーブルの機能は、本実施形態に限定されず、任意に変更しうる。コネクタ24aは省略されてもよい。
【0025】
電池1は、更に感温性保護素子27を備える。感温性保護素子27は、自身が所定の温度に達すると所定の保護動作を行う素子本体部と、素子本体部から互いに反対向きに導出された第1リード27a及び第2リード27bとを備える。本実施形態1では、感温性保護素子27として温度ブレーカを用いる。温度ブレーカの保護動作は、電流の遮断であり、一旦保護動作が行われても、その後、温度が低下すると保護動作(電流の遮断)は解除される。第1リード27a及び第2リード27bは、導電性を有する金属からなる短冊状の薄板である。第1リード27aは、セル10aの正極タブ11pに接続される。第2リード27bは、導電タブ28を介して、回路基板20の第1面に設けられた正極入力端子21pに接続される。導電タブ28は、導電性を有する金属(例えばニッケル)からなる短冊状の薄板である。
【0026】
セル10aの負極タブ11nは、回路基板20の第1面に設けられた負極入力端子21nに接続される。
【0027】
発熱素子22と感温性保護素子27との間に、熱伝導性部材25が設けられる。熱伝導性部材25は、熱伝導性と絶縁性とを兼ね備える。熱伝導性部材25の熱伝導率は、制限されないが、100W/m・K以上、更には200W/m・K以上が好ましく、1200W/m・K以下、更には1000W/m・K以下が好ましい。熱伝導性部材25の構成は、制限されないが、例えば、銅やアルミニウムなどの熱伝導性を有する金属層を絶縁性を有する樹脂層(例えばPET等のポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、シリコン系樹脂)で被覆した積層構造を有していてもよい。熱伝導性部材25の一実施例として、スリーエムジャパン株式会社製「ヒートスプレッダーテープ」を例示できる。熱伝導性部材25を介して、発熱素子22と感温性保護素子27とが連結される(後述する
図4B参照)。熱伝導性部材25を発熱素子22及び感温性保護素子27に固定する方法は、制限はないが、例えば両面粘着テープまたは接着剤を用いることができる。本実施形態1では、熱伝導性部材25は、発熱素子22と感温性保護素子27との間の距離に対応した厚さを有する略直方体形状(またはブロック形状)を有する。熱伝導性部材25が所望する厚さを有するように、シート状の熱伝導性部材25を複数層積層してもよい。
【0028】
テラス部14aと回路基板20との間に2つのクッション材26a,26bが設けられる。クッション材26a,26bは、略直方体形状を有し、圧縮変形可能な弾性体からなる。クッション材26a,26bとしては、制限はないが、フォーム材やスポンジなどのように、外力を加えると容易に変形し、外力を取り除くと初期形状に復元する材料を用いうる。クッション材26a,26bは、好ましくは絶縁性を有する。クッション材26a,26bは、例えばウレタンフォームやポリエチレンスポンジなどであってもよく、一実施例として株式会社ロジャースイノアック製の「PORON(登録商業)」を例示できる。好ましくは、クッション材26a,26bの上下面に両面粘着テープまたは接着剤が付与される。
【0029】
図3に、電池1を製造する一過程を示す。感温性保護素子27が、テラス部14aのエンボス12が突出する側と同じ側の面に載置されている。感温性保護素子27をテラス部14aに固定する方法は、制限されないが、例えば両面粘着テープまたは接着剤を用いることができる。感温性保護素子27(特にその素子本体部)上に熱伝導性部材25が載置されている。正極タブ11pは、略「U」字状に折り曲げられている。負極タブ11n及び導電タブ28は、セル10aと回路基板20との間で、互いに平行に延びている。クッション材26a,26bがテラス部14aのエンボス12が突出する側と同じ側の面に取り付けられている。第1クッション材26aは第1耳部14bの近傍に配置され、第2クッション材26bは、第2耳部14cの近傍に配置されている。
【0030】
図3の状態から、回路基板20の第1面(発熱素子22及び保護回路部品23が実装され且つ外部配線24が接続された面)がテラス部14aの感温性保護素子27が載置された面に向くようにして、回路基板20をテラス部14aに対向させる。負極タブ11n及び導電タブ28は、テラス部14aの長手方向に沿って見たとき略「U」字状になるように、折り曲げまたは湾曲される。
【0031】
図4Aは、回路基板20がテラス部14aに重ね合わされた、電池1の斜視図である。回路基板20の第2面(発熱素子22及び保護回路部品23が実装され且つ外部配線24が接続された面とは反対側の面)は、セル10aのエンボス12の頂面と厚さ方向において略同じ位置にある。回路基板20の平坦な第2面と、エンボス12の頂面とは、共通する一平面を構成する。セル10a及び回路基板20を含む電池本体1aの上下方向の両面は、実質的に突起がない略平坦面である。電池本体1aを、必要に応じて外装シート(図示せず)で包装してもよい。外装シートは、制限されないが、例えば絶縁性を有する樹脂又は紙などからなる。
【0032】
図4Bは、
図4Aの矢印4Bに沿って見た電池1の側面図である。発熱素子22と感温性保護素子27とが厚さ方向に対向し、これらの間に熱伝導性部材25が配置されている。熱伝導性部材25は、発熱素子22と感温性保護素子27とを連結している。
【0033】
電池1の異常時の保護動作について説明する。
【0034】
発熱素子22は、電池1(またはセル10a)の充放電時に流れる電流によって自己発熱する。外部短絡等によって過電流が流れると、発熱素子22は急激に発熱する。発熱素子22は、所定の電流に達すると所定の保護動作(本実施形態1では電流の遮断)を行う。
【0035】
感温性保護素子27は、過充電等によるセル10aの異常昇温を検知して所定の保護動作(本実施形態1では電流の遮断)を行う。感温性保護素子27がテラス部14aに載置されていること、及び、セル10aの正極タブ11pが感温性保護素子27の第1リード27aに接続されていることは、セル10aから感温性保護素子27への伝熱を容易にし、セル10aの温度上昇に対する感温性保護素子27の検出感度を向上するのに有利である。
【0036】
感温性保護素子27が所定の保護動作を行うためには、感温性保護素子27が保護動作を行う温度(これを「動作温度」という)にまで加熱される必要がある。本実施形態1の電池1と異なり、熱伝導性部材25が設けられていない電池(この電池を「比較例」という)では、異常昇温したセル10aの熱は、テラス部14a及び正極タブ11pを介して、感温性保護素子27に伝熱される。セル10aの温度上昇が急激である場合、セル10aが危険温度に到達しても、感温性保護素子27はまだ動作温度に到達していないという事態が起こりうる。セル10aのこのような急激な温度上昇は、例えば、電池1の充電器の電圧制御回路の不作動(故障)などによってセル10aが過充電された場合に起こる。
【0037】
これに対して、本実施形態1では、発熱素子22と感温性保護素子27とが熱伝導性部材25を介して連結されている。電池1に対する充放電時には、発熱素子22は常に発熱する。発熱素子22の熱は、熱伝導性部材25を介して感温性保護素子27に伝熱される。従って、電池1に対して充放電を行っている状態では、感温性保護素子27は、発熱素子22によって常に暖められている。このときの感温性保護素子27の温度は、熱伝導性部材25が設けられていない上記比較例のそれよりは高く、且つ、感温性保護素子27の動作温度より低い。このため、セル10aが急激に温度上昇すると、テラス部14a及び正極タブ11pを介したわずかな伝熱で、感温性保護素子27は直ちに動作温度に到達し、所定の保護動作を行うことができる。本実施形態1の電池1は、セル10aが急激に温度上昇した場合にも感温性保護素子による保護動作が間に合わない可能性が低減され、安全性に優れる。
【0038】
熱伝導性部材25は絶縁性を有するので、例えば熱伝導性部材25が、正極タブ11p又は第1リード27aと、導電タブ28とに接触しても、短絡は生じない。
【0039】
外部配線24は、回路基板20の第1面(テラス部14aに対向する面)に接続されている。外部配線24は、平面視形状が細長い矩形である回路基板20の長手方向の一方の側(第1耳部14b側)の端の近傍に接続され、第1耳部14bの側から、テラス部14a(または回路基板20)の長手方向に平行に導出されている。これは、電池1が組み込まれる機器内での外部配線24の取り回しの簡単化や当該機器の小型化に有利でありうる。
【0040】
クッション材26a,26bが、回路基板20とテラス部14aとの間に介在している。クッション材26a,26bは以下の作用を有する。
【0041】
第1に、クッション材26a,26bは、回路基板20がテラス部14aに異常に接近するのを防止する。本実施形態1と異なり、クッション材26a,26bが設けられていない場合には、例えば、電池1の製造過程において回路基板20がテラス部14aに対向するように負極タブ11n及び導電タブ28を折り曲げたときや、完成した電池1に落下等による衝撃が加えられたときに、回路基板20がテラス部14aに異常に接近することがある。これは、外部配線24と第1耳部14bとの衝突や、回路基板20(回路基板20に実装された実装部品を含む)とテラス部14aとの衝突を生じさせる。これにより、第1耳部14bやテラス部14aを構成するラミネートシート13が損傷し、ラミネートシート13の破れによる電解液の漏出や水分のセル10a内への侵入、セル10a内での短絡が生じうる。また、第1耳部14bによって、外部配線24の絶縁被覆が損傷されうる。クッション材26a,26bが設けられた本実施形態1では、上記の衝突を回避することができる。
【0042】
第2に、クッション材26a,26bは、電池1の製造を容易にする。クッション材26a,26bの上下面に両面粘着テープまたは接着剤を付与した場合、一旦、
図4A及び
図4Bのようにクッション材26a,26bを介して回路基板20をテラス部14aに重ね合わせると、クッション材26a,26bを介して回路基板20とテラス部14aとが連結される。クッション材26a,26bは、回路基板20をテラス部14aから離間させようとする負極タブ11n及び導電タブ28の弾性反発力に対抗し、回路基板20がテラス部14aから離間するをの防ぐ。このため、この後の電池1の製造工程(例えば電池本体1aを外装シートで覆う工程)での電池1の取り扱い性が向上し、電池1の製造が容易になる。
【0043】
好ましくは、第1クッション材26aは、外部配線24が第1耳部14b側に垂れ下がることがないように、外部配線24を回路基板20に向かって押し付ける。これは、外部配線24が第1耳部14bの先端に衝突するのを防止するのに有利である。外部配線24と第1耳部14bとの衝突は、上述したラミネートシート13の損傷や、外部配線24の絶縁被覆の損傷を生じさせうる。第1クッション材26aは、このような事態が生じるのを防止するのに有利である。
【0044】
なお、電池1に設けられるクッション材の数や配置は、上記の実施形態に限定されず、適宜変更することができる。
【0045】
(実施形態2)
図5Aは、本発明の実施形態2にかかるラミネート型電池2(後述する
図7A,
図7B参照)を構成するラミネートセル(以下、単に「セル」という)10bの斜視図である。
図5Bは、
図5Aの矢印5Bに沿って見たセル10bの側面図である。本実施形態2のセル10bでは、発電要素に対応する略矩形のエンボス12a,12bが、シール領域14a,14b,14cに対して厚さ方向の両側に突出している。シール領域14a,14b,14cに対して一方の側に突出した第1エンボス12aの突出高さと、他方の側に突出した第2エンボス12bの突出高さとは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。セル10bのように、シール領域14a,14b,14cに対して両側にエンボス12a,12bが突出したセルは、一般に、「両エンボス型」、または、ラミネートシート13の成形形状に着目して「両絞り型」と呼ばれる。第1エンボス12aと第2エンボス12bとを結ぶ方向を「厚さ方向」又は「上下方向」と呼ぶ。
【0046】
図6A及び
図6Bに示すように、実施形態1と同様に、セル10bの外寸法を小さくするために、耳部14b,14cは、第1エンボス12aと同じ側にテラス部14aに対して略直角に折り曲げられる。折り曲げられた耳部14b,14cは、第1エンボス12aの側面に、両面粘着テープ等を用いて固定される。テラス部14aは、第1エンボス12aと耳部14b,14cとによってその三方向が囲まれる。
【0047】
図7Aは、ラミネート型電池(以下、単に「電池」という)2の第1エンボス12a側)から見た斜視図である。
図7Bは、
図7Aの矢印7Bに沿って見た電池2の側面図である。回路基板20は、テラス部14aに対して第1エンボス12aが突出する側に、その第1面をテラス部14aに向けて、テラス部14aに対向して配置されている。感温性保護素子27は、テラス部14aの、回路基板20が配置された側の面に載置されている。発熱素子22と感温性保護素子27とが熱伝導性部材25を介して連結されている。発熱素子22と感温性保護素子27との間の距離が狭いので、熱伝導性部材25は実施形態1に比べて薄い。
【0048】
本実施形態2の電池2は、耳部14b,14cが第1エンボス12aと同じ側に折り曲げられた両エンボス型のセル10bを用いる点を除いて、実施形態1の電池1(
図4A、
図4B参照)と実質的に同じである。実施形態1の説明が、本実施形態2にも適宜適用される。
【0049】
上記の実施形態1,2は例示に過ぎない。本発明は、上記の実施形態1,2に限定されず、適宜変更することができる。
【0050】
本発明では、発熱素子22から感温性保護素子27へ熱伝導性部材25を介して伝熱されるように、発熱素子22と感温性保護素子27とが熱伝導性部材25を介して連結される。熱伝導性部材25が発熱素子22と感温性保護素子27とをどのように連結するかは任意である。上記の実施形態1,2では、発熱素子22と感温性保護素子27との間の距離と同じ厚さを有する略直方体形状の熱伝導性部材25を、発熱素子22と感温性保護素子27との間に配置した。しかしながら、本発明の熱伝導性部材25はこれに限定されない。例えば、熱伝導性部材25が、可撓性又は可変形性を有する薄いシートであってもよい。この場合、当該シートの一端を発熱素子22に接続し、他端を感温性保護素子27に接続してもよい。シートと発熱素子22及び感温性保護素子27との接続は、両面粘着テープまたは接着剤を用いることができる。この構成では、発熱素子22と感温性保護素子27との間の距離が電池ごとに異なる場合や、発熱素子22と感温性保護素子27とが厚さ方向に対向していない場合にも、シートを適宜湾曲または屈曲させることにより発熱素子22と感温性保護素子27とをシートを介して連結することが可能である。
【0051】
感温性保護素子27としては、所定の高温に達すると所定の保護動作を行う任意の素子を用いうる。実施形態1,2では、感温性保護素子27は温度ブレーカであったが、本発明はこれに限定されない。例えば、感温性保護素子27として、温度上昇により抵抗が増大し電流を低下させるPTC素子を用いてもよい。
【0052】
上記の実施形態1,2では、発熱素子22は発熱性保護素子(例えば電流ヒューズ)であった。これにより、発熱性保護素子を、感温性保護素子27を加熱するための発熱素子22としても利用することができる。これは、電池の安全性を確保しながら、限られた面積の回路基板20に実装される部品数を少なくするのに有利である。但し、本発明では、発熱素子22は、異常時に保護動作を行わず、単に充放電時の電流によって自己発熱する素子であってもよい。
【0053】
実施形態1,2では、2つの耳部14b,14cのうち負極タブ11nに近い第1耳部14bの側から外部配線24を導出した。しかしながら、外部配線24は耳部14b,14cのうちいずれの側から導出されてもよい。外部配線24は、回路基板20からテラス部14a(または回路基板20)の長手方向に平行に導出されている必要はなく、例えば回路基板20からテラス部14a(または回路基板20)の長手方向に対して略垂直に(即ち、耳部14b,14cの長手方向に平行に)導出されていてもよい。本発明の電池は、外部配線24を備えていなくてもよい。例えば、回路基板20に、電池1が組み込まれる機器に対する電気的接点が設けられていてもよい。
【0054】
セルの正極タブ11p及び負極タブ11nと回路基板20との間の接続経路は、上記の実施形態1,2に限定されない。例えば、正極タブ11pと感温性保護素子27の第1リード27aとが、別の導電性タブを介して接続されてもよい。感温性保護素子27は、負極タブ11nと負極入力端子21nとの間に設けられてもよい。正極タブ11p及び負極タブ11nの配置が上記の実施形態1,2とは逆であってもよい。
【0055】
回路基板20上の実装部品(発熱素子22、保護回路部品23、封止部24b)、正極入力端子21p、負極入力端子21n等の配置は任意に変更しうる。回路基板20に2以上の保護回路部品23が実装されていてもよい。回路基板20に、実施形態1,2では示されていない任意の部品を搭載することができ、または任意の回路を形成することができる。
【0056】
クッション材26a,26bの位置、数、サイズ等は任意に設定することができる。本発明では、クッション材を省略することができる。
【0057】
セル10a,10bの耳部14b,14cは、テラス部14aに対して略直角に折り曲げられていなくてもよい。両エンボス型のセル10bにおいて、耳部14b,14cのうちの任意の一方又は両方が、第2エンボス12bと同じ側にテラス部14aに対して略直角に折り曲げられてもよい。