特開2019-169059(P2019-169059A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-169059(P2019-169059A)
(43)【公開日】2019年10月3日
(54)【発明の名称】走行領域形状特定装置
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20060101AFI20190906BHJP
   A01B 69/00 20060101ALI20190906BHJP
【FI】
   G05D1/02 N
   A01B69/00 303M
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】34
(21)【出願番号】特願2018-57864(P2018-57864)
(22)【出願日】2018年3月26日
(71)【出願人】
【識別番号】000006781
【氏名又は名称】ヤンマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154726
【弁理士】
【氏名又は名称】宮地 正浩
(72)【発明者】
【氏名】横山 和寿
(72)【発明者】
【氏名】岩瀬 卓也
(72)【発明者】
【氏名】▲杉▼田 士郎
【テーマコード(参考)】
2B043
5H301
【Fターム(参考)】
2B043AA04
2B043AB20
2B043BA02
2B043BA09
2B043BB01
2B043BB06
2B043BB11
2B043BB14
2B043DA04
2B043DC03
2B043EA37
2B043EA40
2B043EB16
2B043EB17
2B043EB23
2B043EB30
2B043EC02
2B043ED02
2B043ED05
2B043ED12
5H301AA03
5H301BB01
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301DD01
5H301DD15
5H301GG07
5H301GG08
5H301GG14
5H301LL01
5H301LL02
5H301LL06
5H301LL11
(57)【要約】
【課題】走行領域の境界部を簡易に特定できながら、走行領域の形状を特定するための演算等の簡素化を図り、走行領域の形状を適切に特定すること。
【解決手段】位置情報取得部にて取得する作業車両1の位置情報に基づいて、作業車両の移動軌跡M1を取得する移動軌跡取得部と、作業車両1に備えられ、測定対象物までの距離を3次元にて測定する距離センサと、作業車両1を走行領域Sの境界部S1側を周回走行させた場合に、距離センサの測定情報から取得される高さ情報に基づいて、走行領域Sの境界部S1を特定して、特定した走行領域Sの境界部S1までの距離を取得する距離取得部と、移動軌跡取得部にて取得する作業車両1の移動軌跡M1を、距離取得部にて取得した走行領域Sの境界部S1までの距離にて補正する形態で、走行領域Sの形状を特定する形状特定部とが備えられている。
【選択図】図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛星測位システムを用いて作業車両の位置情報を取得する位置情報取得部と、
その位置情報取得部にて取得する作業車両の位置情報に基づいて、作業車両の移動軌跡を取得する移動軌跡取得部と、
作業車両に備えられ、測定対象物までの距離を3次元にて測定する距離センサと、
作業車両を走行領域の境界部側を周回走行させた場合に、前記距離センサの測定情報から取得される高さ情報に基づいて、走行領域の境界部を特定して、特定した走行領域の境界部までの距離を取得する距離取得部と、
作業車両を走行領域の境界部側を周回走行させた場合に、前記移動軌跡取得部にて取得する作業車両の移動軌跡を、前記距離取得部にて取得した走行領域の境界部までの距離にて補正する形態で、走行領域の形状を特定する形状特定部とが備えられている走行領域形状特定装置。
【請求項2】
前記形状特定部にて特定された走行領域内において作業車両を自動走行させる場合に、作業車両の周囲に存在する障害物までの距離を前記距離センサにて測定自在に構成されている請求項1に記載の走行領域形状特定装置。
【請求項3】
前記距離取得部は、前記距離センサの測定情報から取得される高さ情報、及び、予め設定された走行領域の境界部の高さに応じて、走行領域の境界部を特定している請求項1又は2に記載の走行領域形状特定装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車両が自動走行する走行領域の形状を特定する走行領域形状特定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような走行領域形状特定装置は、作業車両が自動走行する圃場等の走行領域を登録するに当たり、走行領域の形状を特定するものである(例えば、特許文献1参照。)。走行領域は、内側と外側とが境界部にて区分けされているので、ユーザ等が作業車両を運転して走行領域の境界部付近を有人にて作業車両を周回走行させる。このとき、作業車両の移動軌跡を取得し、その移動軌跡に基づいて走行領域の形状を特定している。
【0003】
走行領域の形状を適切に特定するためには、走行領域の境界部付近を有人にて作業車両を周回走行させる際に、走行領域の境界部にできるだけ作業車両を近づけて走行させることが求められる。しかしながら、実際には、走行領域の境界部と作業車両との間に隙間が生じるので、作業車両の移動軌跡をそのまま用いると、走行領域の境界部よりも内側の形状を特定することになる。よって、実際の走行領域よりも小さな形状の走行領域が特定されるので、作業車両を自動走行させる領域が狭くなり、作業効率が低下することになる。
【0004】
そこで、特許文献1に記載の装置では、測定対象物までの距離を測定する距離センサ(レーザセンサや超音波センサ)を作業車両に取り付け、作業車両を周回走行させるときに、距離センサにて走行領域の境界部までの距離を測定している。作業車両を周回走行させたときの移動軌跡を、距離センサにて測定した走行領域の境界部までの距離に応じて外側に広げるように補正して、走行領域の形状を特定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017−161987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載の装置では、作業車両に取り付ける距離センサがレーザセンサや超音波センサ等の2次元で測定対象物までの距離を測定するものである。そのために、距離センサの測定情報から水平方向での距離情報が得られるだけであるので、実際の走行領域の境界部を特定することが難しく、走行領域の境界部までの距離を正確に把握することが困難であった。また、走行軌跡から走行領域の境界部までの距離を求めるにしても、距離センサの取り付け位置に関して、水平方向の位置情報だけでなく、高さも考慮して演算しなければならず、複雑な演算が必要となっている。
【0007】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、走行領域の境界部を簡易に特定できながら、走行領域の形状を特定するための演算等の簡素化を図り、走行領域の形状を適切に特定することができる走行領域形状特定装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1特徴構成は、衛星測位システムを用いて作業車両の位置情報を取得する位置情報取得部と、
その位置情報取得部にて取得する作業車両の位置情報に基づいて、作業車両の移動軌跡を取得する移動軌跡取得部と、
作業車両に備えられ、測定対象物までの距離を3次元にて測定する距離センサと、
作業車両を走行領域の境界部側を周回走行させた場合に、前記距離センサの測定情報から取得される高さ情報に基づいて、走行領域の境界部を特定して、特定した走行領域の境界部までの距離を取得する距離取得部と、
作業車両を走行領域の境界部側を周回走行させた場合に、前記移動軌跡取得部にて取得する作業車両の移動軌跡を、前記距離取得部にて取得した走行領域の境界部までの距離にて補正する形態で、走行領域の形状を特定する形状特定部とが備えられている点にある。
【0009】
本構成によれば、作業車両を周回走行させた場合に、距離センサが、走行領域の境界部までの距離を3次元にて測定するので、距離取得部は、距離センサの測定情報に基づいて、走行領域の境界部に関して、水平方向での距離情報だけでなく、高さ情報も取得することができる。これにより、距離取得部は、距離センサの測定情報から取得される高さ情報を用いながら、走行領域の境界部を適切に特定することができ、複雑な演算等を行うこともなく、特定した走行領域の境界部までの距離を求めることができる。よって、作業車両を周回走行させた場合に、形状特定部が、移動軌跡取得部にて取得する作業車両の移動軌跡を、距離取得部にて取得した走行領域の境界部までの距離にて補正するので、走行領域の形状を適切に特定することができる。
【0010】
本発明の第2特徴構成は、前記形状特定部にて特定された走行領域内において作業車両を自動走行させる場合に、作業車両の周囲に存在する障害物までの距離を前記距離センサにて測定自在に構成されている点にある。
【0011】
本構成によれば、距離センサを走行領域の形状を特定するために用いるだけでなく、走行領域内において作業車両を自動走行させる場合に、作業車両の周囲に存在する障害物までの距離を測定するためにも用いることができ、構成の簡素化を図ることができる。
【0012】
本発明の第3特徴構成は、前記距離取得部は、前記距離センサの測定情報から取得される高さ情報、及び、予め設定された走行領域の境界部の高さに応じて、走行領域の境界部を特定している点にある。
【0013】
本構成によれば、距離取得部は、例えば、距離センサの測定情報から取得される高さ情報と予め設定された走行領域の境界部の高さとが同じであれば、走行領域の境界部であると特定し、距離センサの測定情報から取得される高さ情報と予め設定された走行領域の境界部の高さとが異なれば、走行領域の境界部ではないと判別することができる。このように、距離取得部は、距離センサの測定情報から取得される高さ情報と予め設定された走行領域の境界部の高さとを比較することで、走行領域の境界部を正確に特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】自動走行システムの概略構成を示す図
図2】自動走行システムの概略構成を示すブロック図
図3】目標走行経路を示す図
図4】正面視におけるトラクタの上方側部位を示す図
図5】背面視におけるトラクタの上方側部位を示す図
図6】側面視における使用位置でのアンテナユニット及び前ライダーセンサを示す図
図7】アンテナユニット及び前ライダーセンサの支持構造を示す斜視図
図8】側面視における非使用位置でのアンテナユニット及び前ライダーセンサを示す図
図9】使用位置及び非使用位置における側面視でのルーフ、アンテナユニット、前ライダーセンサ、及び、後ライダーセンサを示す図
図10】後ライダーセンサの支持構造を示す斜視図
図11】側面視における前ライダーセンサ及び後ライダーセンサの測定範囲を示す図
図12】平面視における前ライダーセンサ、後ライダーセンサ及びソナーユニットの測定範囲を示す図
図13】前ライダーセンサの測定情報から生成した3次元画像を示す図
図14】作業装置を下降位置に位置させた状態での後ライダーセンサの測定情報から生成した3次元画像を示す図
図15】作業装置を上昇位置に位置させた状態での後ライダーセンサの測定情報から生成した3次元画像を示す図
図16】トラクタを周回走行させた場合の移動軌跡と走行領域の境界部を示す図
図17】前ライダーセンサにて走行領域の境界部までの距離を測定している状態を示す図
図18】トラクタを周回走行させた場合のトラクタと走行領域の境界部との平面視での位置関係を示す図
図19】走行領域の形状を特定した状態を示す図
図20】走行領域情報を取得するときの動作を示すフローチャート
図21】トラクタを周回走行させた場合の移動軌跡と走行領域の境界部を示す図
図22】前ライダーセンサにて走行領域の境界部の障害物(物体)までの距離を測定している状態を示す図
図23】前ライダーセンサにて走行領域の境界部の障害物(畔崩れ)までの距離を測定している状態を示す図
図24】走行領域の形状を特定した状態を示す図
図25】走行領域情報を取得するときの動作を示すフローチャート
図26】目標走行経路を示す図
図27】目標走行経路を示す図
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る走行領域形状特定装置を自動走行システムに適用した場合の実施形態を図面に基づいて説明する。
この自動走行システムにおいては、図1に示すように、本発明に係る作業車両としてトラクタ1を適用しているが、トラクタ以外の、乗用田植機、コンバイン、乗用草刈機、ホイールローダ、除雪車等の乗用作業車両、及び、無人草刈機等の無人作業車両を適用することができる。
【0016】
この自動走行システムは、図1及び図2に示すように、トラクタ1に搭載された自動走行ユニット2、及び、自動走行ユニット2と通信可能に通信設定された携帯通信端末3を備えている。携帯通信端末3には、タッチ操作可能な表示部51(例えば、液晶パネル)等を有するタブレット型のパーソナルコンピュータやスマートフォン等を採用することができる。
【0017】
トラクタ1は、駆動可能な操舵輪として機能する左右の前輪5、及び、駆動可能な左右の後輪6を有する走行機体7が備えられている。走行機体7の前方側には、ボンネット8が配置され、ボンネット8内には、コモンレールシステムを備えた電子制御式のディーゼルエンジン(以下、エンジンと称する)9が備えられている。走行機体7のボンネット8よりも後方側には、搭乗式の運転部を形成するキャビン10が備えられている。
【0018】
走行機体7の後部には、3点リンク機構11を介して、作業装置12の一例であるロータリ耕耘装置を昇降可能かつローリング可能に連結することで、トラクタ1をロータリ耕耘仕様に構成することができる。トラクタ1の後部には、ロータリ耕耘装置に代えて、プラウ、播種装置、散布装置、等の作業装置12を連結することができる。
【0019】
トラクタ1には、図2に示すように、エンジン9からの動力を変速する電子制御式の変速装置13、左右の前輪5を操舵する全油圧式のパワーステアリング機構14、左右の後輪6を制動する左右のサイドブレーキ(図示せず)、左右のサイドブレーキの油圧操作を可能にする電子制御式のブレーキ操作機構15、ロータリ耕耘装置等の作業装置12への伝動を断続する作業クラッチ(図示せず)、作業クラッチの油圧操作を可能にする電子制御式のクラッチ操作機構16、ロータリ耕耘装置等の作業装置12を昇降駆動する電子油圧制御式の昇降駆動機構17、トラクタ1の自動走行等に関する各種の制御プログラム等を有する車載電子制御ユニット18、トラクタ1の車速を検出する車速センサ19、前輪5の操舵角を検出する舵角センサ20、及び、トラクタ1の現在位置及び現在方位を測定する測位ユニット21等が備えられている。
【0020】
なお、エンジン9には、電子ガバナを備えた電子制御式のガソリンエンジンを採用してもよい。変速装置13には、油圧機械式無段変速装置(HMT)、静油圧式無段変速装置(HST)、又は、ベルト式無段変速装置等を採用することができる。パワーステアリング機構14には、電動モータを備えた電動式のパワーステアリング機構14等を採用してもよい。
【0021】
キャビン10は、図4及び図5に示すように、キャビン10の骨組みを形成するキャビンフレーム31と、前方側を覆うフロントガラス32と、後方側を覆うリアガラス33と、上下方向に沿う軸心周りで揺動開閉可能な左右一対のドア34(図1参照)と、天井側のルーフ35とを備えた箱状に構成されている。キャビンフレーム31は、前端部に配置された左右一対の前側支柱36と、後端部に配置された左右一対の後側支柱37とを備えている。平面視において、前方側の左右両側の隅部に前側支柱36が配置され、後方側の左右両側の隅部に後側支柱37が配置されている。キャビンフレーム31は、弾性体等の防振部材を介して走行機体7上に支持されており、走行機体7等からの振動がキャビン10に伝達されるのを防止する防振対策が施された状態で、キャビン10が備えられている。
【0022】
キャビン10の内部には、図1に示すように、パワーステアリング機構14(図2参照)を介した左右の前輪5の手動操舵を可能にするステアリングホイール38、搭乗者用の運転席39、タッチパネル式の表示部、及び、各種の操作具等が備えられている。キャビン10の前方側部位の両横側部には、キャビン10(運転席39)への乗降部となる乗降ステップ41が備えられている。
【0023】
図2に示すように、車載電子制御ユニット18は、変速装置13の作動を制御する変速制御部181、左右のサイドブレーキの作動を制御する制動制御部182、ロータリ耕耘装置等の作業装置12の作動を制御する作業装置制御部183、自動走行時に左右の前輪5の目標操舵角を設定してパワーステアリング機構14に出力する操舵角設定部184、及び、予め設定された自動走行用の目標走行経路P(例えば、図3参照)等を記憶する不揮発性の車載記憶部185等を有している。
【0024】
図2に示すように、測位ユニット21には、衛星測位システム(NSS:Navigation Satellite System)の一例であるGPS(Global Positioning System)を利用してトラクタ1の現在位置と現在方位とを測定する衛星航法装置22、及び、3軸のジャイロスコープ及び3方向の加速度センサ等を有してトラクタ1の姿勢や方位等を測定する慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)23等が備えられている。GPSを利用した測位方法には、DGPS(Differential GPS:相対測位方式)やRTK−GPS(Real Time Kinematic GPS:干渉測位方式)等がある。本実施形態においては、移動体の測位に適したRTK−GPSが採用されている。そのため、圃場周辺の既知位置には、図1及び図2に示すように、RTK−GPSによる測位を可能にする基準局4が設置されている。
【0025】
トラクタ1と基準局4との夫々には、図2に示すように、GPS衛星71(図1参照)から送信された電波を受信するGPSアンテナ24,61、及び、トラクタ1と基準局4との間における測位情報を含む各種情報の無線通信を可能にする通信モジュール25,62等が備えられている。これにより、衛星航法装置22は、トラクタ側のGPSアンテナ24がGPS衛星71からの電波を受信して得た測位情報と、基地局側のGPSアンテナ61がGPS衛星71からの電波を受信して得た測位情報とに基づいて、トラクタ1の現在位置及び現在方位を高い精度で測定することができる。また、測位ユニット21は、衛星航法装置22と慣性計測装置23とを備えることにより、トラクタ1の現在位置、現在方位、姿勢角(ヨー角、ロール角、ピッチ角)を高精度に測定することができる。
【0026】
トラクタ1に備えられるGPSアンテナ24、通信モジュール25、及び、慣性計測装置23は、図1に示すように、アンテナユニット80に収納されている。アンテナユニット80は、キャビン10の前面側の上部位置に配置されている。
【0027】
図2に示すように、携帯通信端末3には、表示部51等の作動を制御する各種の制御プログラム等を有する端末電子制御ユニット52、及び、トラクタ側の通信モジュール25との間における測位情報を含む各種情報の無線通信を可能にする通信モジュール55、等が備えられている。端末電子制御ユニット52は、トラクタ1を自動走行させるための走行案内用の目標走行経路P(例えば、図3参照)を生成する走行経路生成部53、及び、ユーザが入力した各種の入力情報や走行経路生成部53が生成した目標走行経路P等を記憶する不揮発性の端末記憶部54、等を有している。
【0028】
走行経路生成部53は、走行領域S内に目標走行経路P(例えば、図3参照)を生成しており、目標走行経路Pの生成の仕方については後述する。
【0029】
走行経路生成部53にて生成された目標走行経路Pは、表示部51に表示可能であり、車体情報及び走行領域情報等と関連付けた経路情報として端末記憶部54に記憶されている。経路情報には、目標走行経路Pの方位角、及び、目標走行経路Pでのトラクタ1の走行形態等に応じて設定された設定エンジン回転速度や目標走行速度、等が含まれている。
【0030】
このようにして、走行経路生成部53が目標走行経路Pを生成すると、端末電子制御ユニット52が、携帯通信端末3からトラクタ1に経路情報を転送することで、トラクタ1の車載電子制御ユニット18が、経路情報を取得することができる。車載電子制御ユニット18は、取得した経路情報に基づいて、測位ユニット21にて自己の現在位置(トラクタ1の現在位置)を取得しながら、目標走行経路Pに沿ってトラクタ1を自動走行させることができる。測位ユニット21にて取得するトラクタ1の現在位置については、リアルタイム(例えば、数秒周期)でトラクタ1から携帯通信端末3に送信されており、携帯通信端末3にてトラクタ1の現在位置を把握している。
【0031】
経路情報の転送に関しては、トラクタ1が自動走行を開始する前の段階において、経路情報の全体を端末電子制御ユニット52から車載電子制御ユニット18に一挙に転送することができる。また、例えば、目標走行経路Pを含む経路情報を、情報量の少ない所定距離ごとの複数の経路部分に分割することもできる。この場合には、トラクタ1が自動走行を開始する前の段階においては、経路情報の初期経路部分のみが端末電子制御ユニット52から車載電子制御ユニット18に転送される。自動走行の開始後は、トラクタ1が情報量等に応じて設定された経路取得地点に達するごとに、その地点に対応する以後の経路部分のみの経路情報が端末電子制御ユニット52から車載電子制御ユニット18に転送するようにしてもよい。
【0032】
トラクタ1の自動走行を開始する場合には、例えば、ユーザ等がスタート地点にトラクタ1を移動させて、各種の自動走行開始条件が満たされると、携帯通信端末3にて、ユーザが表示部51を操作して自動走行の開始を指示することで、携帯通信端末3は、自動走行の開始指示をトラクタ1に送信する。これにより、トラクタ1では、車載電子制御ユニット18が、自動走行の開始指示を受けることで、測位ユニット21にて自己の現在位置(トラクタ1の現在位置)を取得しながら、目標走行経路Pに沿ってトラクタ1を自動走行させる自動走行制御を開始する。車載電子制御ユニット18が、測位ユニット21(衛星測位システムに相当する)により取得されるトラクタ1の測位情報に基づいて、走行領域S内の目標走行経路Pに沿ってトラクタ1を自動走行させる自動走行制御を行う自動走行制御部として構成されている。
【0033】
自動走行制御には、変速装置13の作動を自動制御する自動変速制御、ブレーキ操作機構15の作動を自動制御する自動制動制御、左右の前輪5を自動操舵する自動操舵制御、及び、ロータリ耕耘装置等の作業装置12の作動を自動制御する作業用自動制御、等が含まれている。
【0034】
自動変速制御においては、変速制御部181が、目標走行速度を含む目標走行経路Pの経路情報と測位ユニット21の出力と車速センサ19の出力とに基づいて、目標走行経路Pでのトラクタ1の走行形態等に応じて設定された目標走行速度がトラクタ1の車速として得られるように変速装置13の作動を自動制御する。
【0035】
自動制動制御においては、制動制御部182が、目標走行経路Pと測位ユニット21の出力とに基づいて、目標走行経路Pの経路情報に含まれている制動領域において左右のサイドブレーキが左右の後輪6を適正に制動するようにブレーキ操作機構15の作動を自動制御する。
【0036】
自動操舵制御においては、トラクタ1が目標走行経路Pを自動走行するように、操舵角設定部184が、目標走行経路Pの経路情報と測位ユニット21の出力とに基づいて左右の前輪5の目標操舵角を求めて設定し、設定した目標操舵角をパワーステアリング機構14に出力する。パワーステアリング機構14が、目標操舵角と舵角センサ20の出力とに基づいて、目標操舵角が左右の前輪5の操舵角として得られるように左右の前輪5を自動操舵する。
【0037】
作業用自動制御においては、作業装置制御部183が、目標走行経路Pの経路情報と測位ユニット21の出力とに基づいて、トラクタ1が作業経路P1(例えば、図3参照)の始端等の作業開始地点に達するのに伴って作業装置12による所定の作業(例えば耕耘作業)が開始され、かつ、トラクタ1が作業経路P1(例えば、図3参照)の終端等の作業終了地点に達するのに伴って作業装置12による所定の作業が停止されるように、クラッチ操作機構16及び昇降駆動機構17の作動を自動制御する。
【0038】
このようにして、トラクタ1においては、変速装置13、パワーステアリング機構14、ブレーキ操作機構15、クラッチ操作機構16、昇降駆動機構17、車載電子制御ユニット18、車速センサ19、舵角センサ20、測位ユニット21、及び、通信モジュール25、等によって自動走行ユニット2が構成されている。
【0039】
この実施形態では、キャビン10にユーザ等が搭乗せずにトラクタ1を自動走行させるだけでなく、キャビン10にユーザ等が搭乗した状態でトラクタ1を自動走行させることも可能となっている。よって、キャビン10にユーザ等が搭乗せずに、車載電子制御ユニット18による自動走行制御により、トラクタ1を目標走行経路Pに沿って自動走行させることができるだけでなく、キャビン10にユーザ等が搭乗している場合でも、車載電子制御ユニット18による自動走行制御により、トラクタ1を目標走行経路Pに沿って自動走行させることができる。
【0040】
キャビン10にユーザ等が搭乗している場合には、車載電子制御ユニット18にてトラクタ1を自動走行させる自動走行状態と、ユーザ等の運転に基づいてトラクタ1を走行させる手動走行状態とに切り替えることができる。よって、自動走行状態にて目標走行経路Pを自動走行している途中に、自動走行状態から手動走行状態に切り替えることができ、逆に、手動走行状態にて走行している途中に、手動走行状態から自動走行状態に切り替えることができる。手動走行状態と自動走行状態との切り替えについては、例えば、運転席39の近傍に、自動走行状態と手動走行状態とに切り替えるための切替操作部を備えることができるとともに、その切替操作部を携帯通信端末3の表示部51に表示させることもできる。また、車載電子制御ユニット18による自動走行制御中に、ユーザがステアリングホイール38を操作すると、自動走行状態から手動走行状態に切り替えることができる。
【0041】
トラクタ1には、図1及び図2に示すように、トラクタ1(走行機体7)の周囲における障害物を検知して、障害物との衝突を回避するための障害物検知システム100が備えられている。障害物検知システム100は、レーザを用いて測定対象物までの距離を3次元で測定可能な複数のライダーセンサ(距離センサに相当する)101,102と、超音波を用いて測定対象物までの距離を測定可能な複数のソナーを有するソナーユニット103,104と、障害物検知部110と、衝突回避制御部111とが備えられている。ここで、ライダーセンサ101,102及びソナー103,104にて測定する測定対象物は、物体や人等としている。
【0042】
障害物検知部110は、ライダーセンサ101,102及びソナーユニット103,104の測定情報に基づいて、所定距離内の物体や人等の測定対象物を障害物として検知する障害物検知処理を行うように構成されている。衝突回避制御部111は、障害物検知部110にて障害物を検知すると、衝突回避制御を行うように構成されている。障害物検知部110は、ライダーセンサ101,102及びソナーユニット103,104の測定情報に基づく障害物検知処理をリアルタイムで繰り返し行い、物体や人等の障害物を適切に検知しており、衝突回避制御部111は、リアルタイムで検知される障害物との衝突を回避するための衝突回避制御を行うようにしている。
【0043】
障害物検知部110及び衝突回避制御部111は、車載電子制御ユニット18に備えられている。車載電子制御ユニット18は、コモンレールシステムに含まれたエンジン用の電子制御ユニット、ライダーセンサ101,102、及び、ソナーユニット103,104、等にCAN(Controller Area Network)を介して通信可能に接続されている。
【0044】
ライダーセンサ101,102は、レーザ光(例えば、パルス状の近赤外レーザ光)が測定対象物に当たって跳ね返ってくるまでの往復時間から測定対象物までの距離を測定している(Time Of Flight)。ライダーセンサ101,102は、レーザ光を上下方向及び左右方向に高速で走査し、各走査角における測定対象物までの距離を順次測定していくことで、測定対象物までの距離を3次元で測定している。ライダーセンサ101,102は、測定範囲内における測定対象物までの距離をリアルタイムで繰り返し測定している。ライダーセンサ101,102は、測定情報から3次元画像を生成して外部に出力可能に構成されている。ライダーセンサ101,102の測定情報から生成された3次元画像は、トラクタ1の表示部や携帯通信端末3の表示部51等の表示装置に表示させて、ユーザ等に障害物の有無を視認させることができる。ちなみに、3次元画像では、例えば、色等を用いて遠近方向での距離を示すことができる。
【0045】
ライダーセンサ101,102として、図11及び図12に示すように、トラクタ1(走行機体7)の前方側を測定範囲Cとし、トラクタ1の前方側での障害物を検知するために用いる前ライダーセンサ101と、トラクタ1(走行機体7)の後方側を測定範囲Dとし、トラクタ1の後方側での障害物を検知するために用いる後ライダーセンサ102とが備えられている。
【0046】
以下、前ライダーセンサ101及び後ライダーセンサ102について説明するが、前ライダーセンサ101の支持構造、後ライダーセンサ102の支持構造、前ライダーセンサ101の測定範囲C、後ライダーセンサ102の測定範囲Dの順に説明する。
【0047】
前ライダーセンサ101の支持構造について説明する。
前ライダーセンサ101は、図1及び図7に示すように、キャビン10の前面側の上部位置に配置されたアンテナユニット80の底部に取り付けられているので、まず、アンテナユニット80の支持構造について説明し、次に、アンテナユニット80の底部への前ライダーセンサ101の取り付け構造を説明する。
【0048】
アンテナユニット80は、図4図6及び図7に示すように、走行機体7の左右方向においてキャビン10の全長に亘るパイプ状のアンテナユニット支持ステー81に取り付けられている。アンテナユニット80は、走行機体7の左右方向においてキャビン10の中央部に相当する位置に配置されている。アンテナユニット支持ステー81は、キャビン10の左右斜め前方側に位置する左右のミラー取付部45に亘る状態で固定連結されている。ミラー取付部45は、前側支柱36に固定されたミラー取付用基材46と、ミラー取付用基材46に固定されたミラー取付用ブラケット47と、ミラー取付用ブラケット47に設けられたヒンジ部49により回動自在なミラー取付用アーム48とが備えられている。アンテナユニット支持ステー81は、図7に示すように、その左右両端側部位が下方側に湾曲されたブリッジ状に形成されている。アンテナユニット支持ステー81の左右両端部が、第1取付プレート201を介して、ミラー取付用ブラケット47の上端側部位に固定連結されている。図6及び図7に示すように、ミラー取付用ブラケット47の上端側部位には、水平面状の取付面が形成され、第1取付プレート201の下端側部位にも、水平面状の取付面が形成されている。両取付面を上下に重ね合わせる状態でボルトナット等の連結具50にて締結することで、アンテナユニット支持ステー81が水平方向に延びる姿勢で固定連結されている。アンテナユニット80は、アンテナユニット支持ステー81及びミラー取付部45を介して、キャビンフレーム31を構成する前側支柱36に支持されているので、アンテナユニット80への振動の伝達等を防止しながら、アンテナユニット80が強固に支持されている。
【0049】
アンテナユニット支持ステー81に対するアンテナユニット80の取り付け構造については、図6及び図7に示すように、アンテナユニット80側に固定された第2取付プレート202とアンテナユニット支持ステー81側に固定された第3取付プレート203とをボルトナット等の連結具50により締結することで、アンテナユニット80がアンテナユニット支持ステー81に取り付けられている。
【0050】
第2取付プレート202は、図7に示すように、走行機体7の左右方向に所定間隔を隔てて左右一対備えられている。第2取付プレート202は、左右方向に延びるユニット側取付部202aの外側端部から下方側に延びるステー側取付部202bを有するL字状に屈曲された板状体にて構成されている。第2取付プレート202は、ユニット側取付部202aが連結具50等によりアンテナユニット80の底部に固定連結され、ステー側取付部202bが下方側に延びる姿勢で取り付けられている。第2取付プレート202のステー側取付部202bには、図示は省略するが、連結具等による連結用の丸孔が前後一対形成されている。
【0051】
第3取付プレート203は、図6及び図7に示すように、前方側部位が後方側部位よりも下方側に延びるL字状の板状体にて構成されている。第3取付プレート203は、第2取付プレート202と同様に、走行機体7の左右方向に所定間隔を隔てて左右一対備えられている。第3取付プレート203は、後方側部位の下端縁が溶接等によりアンテナユニット支持ステー81の上部に固定連結され、前方側部位がアンテナユニット支持ステー81の前方側に位置する姿勢で取り付けられている。第3取付プレート203には、前方側部位から後方側部位に亘って走行機体7の前後方向に沿って延びる長尺な長孔203aが形成され、前方側部位の下方側に連結用の丸孔203bが形成されている。
【0052】
アンテナユニット80をアンテナユニット支持ステー81に取り付ける場合には、図6及び図7に示すように、アンテナユニット80を、アンテナユニット支持ステー81の上方側に配置させて、通信モジュール25のアンテナが上方側に延びる使用位置に位置させる。第2取付プレート202のステー側取付部202bにおける前後の丸孔を第3取付プレート203の長孔203aにおける前方側端部と後方側端部に合致させるように、第2取付プレート202を第3取付プレート203よりも内方側に位置させる状態で第2取付プレート202と第3取付プレート203とを重ね合わせる。第2取付プレート202の前後の丸孔と第3取付プレート203の長孔203aとに亘って連結具50を挿通させて締結することで、アンテナユニット80を使用位置にてアンテナユニット支持ステー81に取り付けることができる。このとき、長孔203aにおける前方側端部と後方側端部に相当する箇所が連結具50による連結箇所に設定されており、左右一対の第2取付プレート202及び第3取付プレート203の夫々における前方側部位と後方側部位との合計4箇所が連結具50による連結箇所となっている。
【0053】
アンテナユニット80は、図6に示すように、使用位置だけでなく、図8に示すように、アンテナユニット支持ステー81の前方側にアンテナユニット80を位置させて、通信モジュール25のアンテナが前方側に延びる非使用位置でも、アンテナユニット支持ステー81に取付自在に構成されている。
【0054】
アンテナユニット80を非使用位置にてアンテナユニット支持ステー81に取り付ける場合には、図8に示すように、アンテナユニット80を非使用位置に位置させ、第2取付プレート202のステー側取付部202bにおける前後の丸孔を第3取付プレート203の丸孔203bと長孔203aの前方側端部に合致させるように、第2取付プレート202を第3取付プレート203よりも内方側に位置させる状態で第2取付プレート202と第3取付プレート203とを重ね合わせる。第2取付プレート202のステー側取付部202bにおける前側の丸孔と第3取付プレート203の丸孔203bに亘って連結具50を挿通させるとともに、第2取付プレート202のステー側取付部202bにおける後側の丸孔と長孔203aの前方側端部とに亘って連結具50を挿通させて締結することで、アンテナユニット80を非使用位置にてアンテナユニット支持ステー81に取り付けることができる。
【0055】
例えば、アンテナユニット80を使用位置(図6参照)から非使用位置(図8参照)に変更する場合には、図6に示すように、第3取付プレート203の長孔203aの前方側端部に位置する連結具50を取り外し、第3取付プレート203の長孔203aの後方側端部に位置する連結具50を緩めて、その連結具50を長孔203aに挿通させた状態を維持する。連結具50を長孔203aに沿って後方側端部から前方側端部まで前方側に移動操作して、連結具50を枢支軸としてアンテナユニット80を前方下方側に垂下させることで、図8に示すように、アンテナユニット80を非使用位置に位置変更させる。よって、第2取付プレート202の前側の丸孔と第3取付プレート203の丸孔203bに亘って連結具50を挿通させるとともに、第2取付プレート202の後側の丸孔と長孔203aの前方側端部とに亘って連結具50を挿通させて締結することができ、アンテナユニット80を使用位置から非使用位置に位置変更することができる。
【0056】
アンテナユニット80を使用位置にて取り付けた状態では、図9(a)に示すように、ルーフ35の最高部位35aを通る最高位線Zよりもアンテナユニット80の一部が上方側に突出しており、通信モジュール25のアンテナをより上方側に配置させることができ、通信モジュール25の無線通信を適切に行えるようにしている。それに対して、アンテナユニット80を非使用位置にて取り付けた状態では、図9(b)に示すように、アンテナユニット80の上端部を最高位線Zと同じ高さ位置又は最高位線Zよりも低い位置に配置させている。これにより、トラクタ1を輸送する際やトラクタ1を納屋等の収納箇所に収納する際に、アンテナユニット80が最高位線Zよりも上方側に突出することなく、アンテナユニット80が邪魔になったり、障害物等への接触によるアンテナユニット80の破損等が生じるのを防止することができる。
【0057】
アンテナユニット80に対する前ライダーセンサ101の取り付け構造は、図7に示すように、第4取付プレート204及び第5取付プレート205を介して、ボルトナット等の連結具50により締結することで、前ライダーセンサ101がアンテナユニット80の底部に取り付けられている。第4取付プレート204は、左右方向に延びる取付面部204aを有し、取付面部204aの両端部が下方側に延設されたブリッジ状に形成されている。第5取付プレート205は、左右方向で対向する左右一対の取付面部205aを有し、取付面部205aの上端部同士が連結されたブリッジ状に形成されている。第4取付プレート204の取付面部204aが、連結具50によりアンテナユニット80の底部に固定連結されている。第4取付プレート204の前方側部位と第5取付プレート205の後方側部位とが連結具50により固定連結されている。第5取付プレート205の左右一対の取付面部205aが連結具50により前ライダーセンサ101の両横側部に固定連結されている。前ライダーセンサ101は、左右方向で第5取付プレート205の左右の取付面部205aにて挟み込まれる状態で取り付けられている。
【0058】
前ライダーセンサ101は、図7に示すように、第4取付プレート204及び第5取付プレート205を介して、アンテナユニット80に着脱自在に構成されている。前ライダーセンサ101を後付けすることも可能であり、前ライダーセンサ101だけを取り外すことも可能となっている。また、アンテナユニット80も、アンテナユニット支持ステー81を介して、ミラー取付部45に着脱自在に構成されているので、前ライダーセンサ101は、前ライダーセンサ101単体で走行機体7に対して着脱することができるとともに、アンテナユニット80とともに走行機体7に対して着脱することもできる。前ライダーセンサ101は、アンテナユニット80を支持するアンテナユニット支持ステー81等を共通の支持ステーとして利用しており、アンテナユニット80と同様に、前ライダーセンサ101への振動の伝達等を防止しながら強固に支持されている。
【0059】
前ライダーセンサ101は、アンテナユニット80に一体的に備えられているので、アンテナユニット80を使用位置と非使用位置との間で位置変更することで、図6に示すように、前ライダーセンサ101も、走行機体7の前方側を向いて走行機体7の前方側の障害物検知に使用される使用位置と、図8に示すように、下方側を向いて障害物検知に使用されない非使用位置とに位置変更自在に構成されている。
【0060】
前ライダーセンサ101が使用位置に位置するときには、図6及び図9(a)に示すように、前ライダーセンサ101が、上下方向において、キャビン10(運転席39)への乗降部となる乗降ステップ41(図1参照)よりも高い位置で、ルーフ35に相当する位置に配置されている。前ライダーセンサ101は、前方側部位ほど下方側に位置する前下がり姿勢にて取り付けられている。前ライダーセンサ101は、走行機体7の前方側を斜め上方側から見下ろす状態で測定するように備えられている。アンテナユニット支持ステー81は、走行機体7の前後方向でルーフ35の前端部位35bと重複する位置で、且つ、上下方向でルーフ35の前端部位35bの近傍位置に配置されているので、前ライダーセンサ101は、アンテナユニット80の下方側空間を利用して、ルーフ35の前端部位35bに対して前方斜め上方側の近傍位置に配置されている。これにより、図11に示すように、運転席39に着座する搭乗者Tの視線から、前ライダーセンサ101の少なくとも一部がルーフ35の前端部位35bと重複することになる。前ライダーセンサ101の配置位置は、ルーフ35の前端部位35bにて前ライダーセンサ101の少なくとも一部が隠れる位置となっている。運転席39に着座する搭乗者Tの前方側の視認可能範囲B1から前ライダーセンサ101の一部が外れる位置に存在しており、運転席39に着座する搭乗者Tの視界が前ライダーセンサ101にて遮られるのを抑制することができる。
【0061】
前ライダーセンサ101が非使用位置に位置するときには、図8及び図9(b)に示すように、アンテナユニット80と同様に、前ライダーセンサ101の上端部を最高位線Z(図9(b)参照)よりも低い位置に配置させている。これにより、トラクタ1を輸送する際やトラクタ1を納屋等の収納箇所に収納する際に、アンテナユニット80だけでなく、前ライダーセンサ101も最高位線Zよりも上方側に突出するのを防止している。
【0062】
前ライダーセンサ101の配置位置について、走行機体7の左右方向では、アンテナユニット80の左右方向の中央部に配置されている。アンテナユニット80は、走行機体7の左右方向においてキャビン10の中央部に相当する位置に配置されているので、前ライダーセンサ101も、走行機体7の左右方向においてキャビン10の中央部に相当する位置に配置されている。
【0063】
第5取付プレート205には、図6及び図7に示すように、前ライダーセンサ101に加えて、走行機体7の前方側を撮像範囲とする前カメラ108が連結具等により取り付けられている。前カメラ108は、前ライダーセンサ101の上方側に配置されている。前カメラ108は、前ライダーセンサ101と同様に、前方側部位ほど下方側に位置する前下がり姿勢にて取り付けられている。前カメラ108は、走行機体7の前方側を斜め上方側から見下ろす状態で撮像するように備えられている。前カメラ108にて撮像した撮像画像を外部に出力可能に構成されている。前カメラ108の撮像画像は、トラクタ1の表示部や携帯通信端末3の表示部51等の表示装置に表示させて、ユーザ等にトラクタ1の周囲の状況を視認させることができる。
【0064】
次に、後ライダーセンサ102の支持構造について説明する。
後ライダーセンサ102は、図5及び図10に示すように、走行機体7の左右方向においてキャビン10の全長に亘るパイプ状のセンサ支持ステー301に取り付けられている。後ライダーセンサ102は、走行機体7の左右方向においてキャビン10の中央部に相当する位置に配置されている。
【0065】
センサ支持ステー301は、図5及び図10に示すように、キャビン10の左右両端部に位置する左右の後側支柱37に亘る状態で固定連結されている。センサ支持ステー301は、その左右両端側部位が斜め前方側に湾曲された平面視でブリッジ状に形成されている。センサ支持ステー301の左右両端部は、第6取付プレート206を介して、左右の後側支柱37の上端側部位に備えられた取付部材に固定連結されている。センサ支持ステー301の左右両端部には、溶接等により第6取付プレート206が固定連結されている。第6取付プレート206と後側支柱37の上端側部位に備えられた取付部材とを連結具50にて締結することで、センサ支持ステー301が水平方向に延びる姿勢で固定連結されている。
【0066】
センサ支持ステー301に対する後ライダーセンサ102の取り付け構造は、図10に示すように、第7取付プレート207及び第8取付プレート208を介して、後ライダーセンサ102がセンサ支持ステー301に取り付けられている。第7取付プレート207は、左右方向で対向する左右一対の側壁面部207aを有し、側壁面部207aの上端部同士が連結されたブリッジ状に形成されている。第8取付プレート208は、左右方向で対向する左右一対の取付面部208aを有し、取付面部208aの上端部同士が連結されたブリッジ状に形成されている。第7取付プレート207の側壁面部207aにおける下端縁が溶接等によりセンサ支持ステー301に固定連結されている。第7取付プレート207の後方側部位と第8取付プレート208の前方側部位とが連結具50により固定連結されている。第8取付プレート208の左右一対の取付面部208aが連結具50により後ライダーセンサ102の両横側部に固定連結されている。後ライダーセンサ102は、左右方向で第8取付プレート208の左右の取付面部208aにて挟み込まれる状態で取り付けられている。第7取付プレート207の前方側部位には、補強プレート302が連結具等により固定連結されている。補強プレート302の前方側部位がルーフ35の上面部に連結具50により固定連結されている。補強プレート302は、左右方向の両側端部を上方側に折り曲げた起立壁を有するU字状で前後方向に延びており、ルーフ35と第7取付プレート207及びセンサ支持ステー301とに亘る状態で備えられている。
【0067】
後ライダーセンサ102は、図9(b)及び図10に示すように、上下方向において、乗降ステップ41(図1参照)よりも高い位置で、ルーフ35に相当する位置に配置されている。後ライダーセンサ102は、後方側部位ほど下方側に位置する後下がり姿勢にてセンサ支持ステー301に取り付けられている。後ライダーセンサ102は、走行機体7の後方側を斜め上方側から見下ろす状態で測定するように備えられている。センサ支持ステー301は、走行機体7の前後方向でルーフ35の後端部位35cの近傍位置で、且つ、上下方向でルーフ35の後端部位35cと重複する位置に配置されているので、後ライダーセンサ102は、ルーフ35の後端部位35cに対して略同じ高さ又はそれよりも後方斜め上方側の近傍位置に配置されている。これにより、図11に示すように、運転席39に着座する搭乗者Tの視線から、後ライダーセンサ102の少なくとも一部がルーフ35の後端部位35cと重複することになる。後ライダーセンサ102の配置位置は、ルーフ35の後端部位35cにて後ライダーセンサ102の少なくとも一部が隠れる位置となっている。運転席39に着座する搭乗者Tにおいて、後方側の視認可能範囲B2から後ライダーセンサ102の一部が外れる位置に存在しており、運転席39に着座する搭乗者Tの視界が後ライダーセンサ102にて遮られるのを抑制することができる。
【0068】
後ライダーセンサ102は、図10に示すように、センサ支持ステー301、第7取付プレート207及び第8取付プレート208を介して、後側支柱37に着脱自在に構成されている。後ライダーセンサ102を後付けすることも可能であり、後ライダーセンサ102を取り外すことも可能となっている。後ライダーセンサ102は、センサ支持ステー301を介して、キャビンフレーム31を構成する後側支柱37に支持されているので、後ライダーセンサ102への振動の伝達等を防止しながら強固に支持されている。
【0069】
第8取付プレート208には、図10に示すように、後ライダーセンサ102に加えて、走行機体7の後方側を撮像範囲とする後カメラ109が連結具等により取り付けられている。後カメラ109は、後ライダーセンサ102の上方側に配置されている。後カメラ109は、後ライダーセンサ102と同様に、後方側部位ほど下方側に位置する後下がり姿勢にて取り付けられている。後カメラ109は、走行機体7の後方側を斜め上方側から見下ろす状態で撮像するように備えられている。後カメラ109にて撮像した撮像画像を外部に出力可能に構成されている。後カメラ109の撮像画像は、トラクタ1の表示部や携帯通信端末3の表示部51等の表示装置に表示させて、ユーザ等にトラクタ1の周囲の状況を視認させることができる。
【0070】
前ライダーセンサ101の測定範囲Cについて説明する。
前ライダーセンサ101は、図12に示すように、左右方向における左右測定範囲C1を有しているとともに、図11に示すように、上下方向における上下測定範囲C2を有している。これにより、前ライダーセンサ101は、自己から第1設定距離X1(図12参照)だけ離れた位置までの範囲において、左右測定範囲C1と上下測定範囲C2に含まれる上下、左右及び前後の四角錐形状の測定範囲Cが設定されている。
【0071】
前ライダーセンサ101における左右測定範囲C1は、図12に示すように、走行機体7の左右方向において走行機体7の左右中心線を対称軸とする左右対称な範囲である。左右測定範囲C1は、前ライダーセンサ101から延びる第1境界線E1と第2境界線E2との間の第1設定角度α1の範囲に設定されている。左右測定範囲C1は、走行機体7の横幅方向において、トラクタ1の横幅、及び、作業装置12の横幅よりも大きな範囲に設定されている。左右測定範囲C1は、どのような大きさの範囲とするかは適宜変更が可能である。
【0072】
前ライダーセンサ101における上下測定範囲C2は、図11に示すように、前ライダーセンサ101から延びる第3境界線E3と第4境界線E4との間の第2設定角度α2の範囲に設定されている。第3境界線E3は、前ライダーセンサ101から前方側に水平方向に沿って延びる水平線に設定され、第4境界線E4は、前ライダーセンサ101から前輪5の前上部への第1接線G1よりも下方側に位置する直線に設定されている。上下測定範囲C2は、第3境界線E3と第4境界線E4との間の第1中心線F1が、ボンネット8よりも上方側に位置するように設定されており、ボンネット8の上方側に十分な大きさの測定範囲を確保している。第4境界線E4を第1接線G1よりも下方側に設定することで、走行機体7の前方側端部(ボンネット8の前方側端部)の近傍位置等に物体や人等の測定対象物が存在していても、その測定対象物を測定可能としている。
【0073】
前ライダーセンサ101における上下測定範囲C2には、図11に示すように、ボンネット8の一部、及び、前輪5の一部が入り込んでいるので、障害物検知部110が、前ライダーセンサ101の測定情報に基づいて障害物検知処理を行うと、ボンネット8の一部や前輪5の一部を障害物として誤検知してしまう可能性がある。そこで、その誤検知を防止するための第1マスキング処理が施されている。第1マスキング処理では、前ライダーセンサ101の測定範囲C内において、ボンネット8の一部及び前輪5の一部が存在する範囲を、障害物としての検知を行わないマスキング範囲L(図13参照)として予め設定している。
【0074】
例えば、第1マスキング処理では、前ライダーセンサ101を使用する前処理として、実際に前ライダーセンサ101による測定を行い、そのときの測定情報から生成した3次元画像を、トラクタ1の表示部や携帯通信端末3の表示部51等の表示装置に表示させる。ユーザ等が、表示装置の3次元画像を確認しながら、表示装置を操作することで、障害物としての検知を行わないマスキング範囲Lを設定している。図13に示すように、3次元画像上に、ボンネット8の一部、及び、前輪5の一部が存在していると、そのボンネット8の一部が存在する範囲La、及び、前輪5の一部が存在する範囲Lbを含む基準範囲に基づいて、マスキング範囲Lを設定している。前輪5は、図13中点線にて示すように、ステアリングホイール38やパワーステアリング機構14等の操作によって左右に操舵されるので、前輪5が左右に操舵される操舵範囲も含むように、マスキング範囲Lを設定するのが好ましい。
【0075】
図13に示すものでは、ボンネット8の一部が存在する範囲La、及び、前輪5の一部が存在する範囲Lbを含む基準範囲よりも設定範囲だけ大きな山形形状の範囲をマスキング範囲Lとして設定している。ちなみに、マスキング範囲Lは、前後方向、左右方向及び上下方向の3次元での範囲に設定されている。マスキング範囲Lについては、例えば、ボンネット8の一部が存在する範囲La、及び、前輪5の一部が存在する範囲Lbだけを含むように、ボンネット8や前輪5の形状に応じた形状に設定することもでき、マスキング範囲Lをどのような範囲及び形状とするかは適宜変更が可能である。
【0076】
このようにして、障害物検知部110は、前ライダーセンサ101の測定情報に基づいて障害物検知処理を行うことで、左右方向で左右測定範囲C1(図12参照)に含まれ、且つ、上下方向で上下測定範囲C2(図11参照)に含まれる範囲において、マスキング範囲Lを除く範囲にて障害物の存否を検知している。
【0077】
後ライダーセンサ102の測定範囲Dについて説明する。
後ライダーセンサ102は、前ライダーセンサ101と同様に、図12に示すように、左右方向における左右測定範囲D1を有しているとともに、図11に示すように、上下方向における上下測定範囲D2を有している。これにより、後ライダーセンサ102は、自己から第3設定距離X3(図12参照)だけ離れた位置までの範囲において、左右測定範囲D1と上下測定範囲D2に含まれる上下、左右及び前後の四角錐形状の測定範囲Dが設定されている。ちなみに、X1とX3は、同じ距離に設定したり、異なる距離に設定することもできる。
【0078】
後ライダーセンサ102における左右測定範囲D1は、図12に示すように、前ライダーセンサ101と同様に、後ライダーセンサ102から延びる第5境界線E5と第6境界線E6との間の第3設定角度α3の範囲に設定されている。左右測定範囲D1は、前ライダーセンサ101と同様に、走行機体7の横幅方向において、トラクタ1の横幅、及び、作業装置12の横幅よりも大きな範囲に設定されている。
【0079】
後ライダーセンサ102における上下測定範囲D2は、図11に示すように、後ライダーセンサ102から延びる第7境界線E7と第8境界線E8との間の第4設定角度α4の範囲に設定されている。作業装置12は、上昇位置と下降位置との間で昇降自在に備えられているので、図11では、下降位置に位置する作業装置12を実線にて示しており、上昇位置に位置する作業装置12を点線にて示している。第7境界線E7は、後ライダーセンサ102から後方側に水平方向に沿って延びる水平線に設定され、第8境界線E8は、後ライダーセンサ102から下降位置に位置する作業装置12の後上部に向かう第2接線G2よりも下方側に位置する直線に設定されている。上下測定範囲D2は、第7境界線E7と第8境界線E8との間の第2中心線F2が、上昇位置の作業装置12(図11中点線にて示す)よりも上方側に位置するように設定されており、上昇位置の作業装置12の上方側に十分な大きさの測定範囲を確保している。第8境界線E8を第2接線G2よりも下方側に設定することで、下降位置の作業装置12の後方側端部の近傍位置等に物体や人等の測定対象物が存在していても、その測定対象物を測定可能としている。
【0080】
後ライダーセンサ102における上下測定範囲D2には、作業装置12の一部が入り込んでいるので、障害物検知部110が、後ライダーセンサ102の測定情報に基づいて障害物検知処理を行うと、作業装置12の一部を障害物として誤検知してしまう可能性がある。そこで、その誤検知を防止するための第2マスキング処理が施されている。第2マスキング処理では、後ライダーセンサ102の測定範囲D内において、作業装置12の一部が存在する範囲を、障害物としての検知を行わないマスキング範囲L(図14図15参照)として予め設定している。
【0081】
例えば、第2マスキング処理では、第1マスキング処理と同様に、後ライダーセンサ102を使用する前処理として、実際に後ライダーセンサ102による測定を行い、そのときの測定情報から生成した3次元画像を、トラクタ1の表示部や携帯通信端末3の表示部51等の表示装置に表示させる。ユーザ等が、表示装置の3次元画像を確認しながら、表示装置を操作することで、障害物を検知しないマスキング範囲Lを設定している。
【0082】
作業装置12は、図12に示すように、下降位置と上昇位置(図中、点線にて示す位置)との間で昇降される。トラクタ1は、作業装置12を下降位置に下降させて所定の作業を行いながら走行し、作業装置12を上昇位置に上昇させて所定の作業を行わずに走行だけを行う。そこで、第2マスキング処理では、マスキング範囲Lとして、図14に示すように、下降位置用のマスキング範囲L1と、図15に示すように、上昇位置用のマスキング範囲L2とを設定している。図14及び図15において、作業装置12について、後ライダーセンサ102の測定範囲D内に存在する部分を実線にて示しており、後ライダーセンサ102の測定範囲D外に存在する部分を点線にて示している。キャビン10内の昇降用の操作具を操作することで、作業装置12を下降位置に位置させ、そのときの後ライダーセンサ102の測定情報から生成される3次元画像を用いて、下降位置用のマスキング範囲L1を設定している。キャビン10内の昇降用の操作具を操作することで、作業装置12を上昇位置に位置させ、そのときの後ライダーセンサ102の測定情報から生成される3次元画像を用いて、上昇位置用のマスキング範囲L2を設定している。
【0083】
図14及び図15に示すものでは、作業装置12が存在する範囲Lcを含む基準範囲よりも設定範囲だけ大きな矩形状の範囲をマスキング範囲L1,L2として設定している。ちなみに、マスキング範囲Lは、前後方向、左右方向及び上下方向の3次元での範囲に設定されている。マスキング範囲Lについては、例えば、作業装置12が存在する範囲Lcだけを含むように、作業装置12の形状に応じた形状に設定することもでき、マスキング範囲L1,L2をどのような範囲及び形状とするかは適宜変更が可能である。
【0084】
このようにして、障害物検知部110は、後ライダーセンサ102の測定情報に基づいて障害物検知処理を行うことで、左右方向で左右測定範囲D1(図12参照)に含まれ、且つ、上下方向で上下測定範囲D2(図11参照)に含まれる範囲において、マスキング範囲L1,L2を除く範囲にて障害物の存否を検知している。障害物検知部110は、作業装置12が下降位置に位置するときには、下降位置用のマスキング範囲L1を用いて障害物検知処理を行っており、作業装置12が上昇位置に位置するときには、上昇位置用のマスキング範囲L2を用いて障害物検知処理を行っている。
【0085】
以下、ソナーユニット103,104について説明する。
ソナーユニット103,104は、投射した超音波が測定対象物に当たって跳ね返ってくるまでの往復時間から測定対象物までの距離を測定するように構成されている。ソナー103,104は、測定範囲内に、何らかの物体が測定対象物として存在すると、その測定対象物を障害物として検知し、障害物までの距離を測定するように構成されている。
【0086】
ソナーユニット103,104として、図12に示すように、トラクタ1(走行機体7)の右側を測定範囲とする右側のソナーユニット103と、図12に示すように、トラクタ1(走行機体7)の左側を測定範囲とする左側のソナーユニット104とが備えられている。
【0087】
図12に示すように、右側のソナーユニット103の測定範囲Nと、左側のソナーユニット104の測定範囲Nとは、走行機体7から延びる方向が左右逆方向になっている点が異なるだけであり、右側と左側とで左右対称の測定範囲Nとなっている。
【0088】
ソナーユニット103,104は、走行機体7の機体外方を測定対象とするものである。ソナーユニット103,104は、水平方向よりも所定角度だけ下方側に向けて超音波を投射するように走行機体7に取り付けられ、ソナーユニット103,104から所定角度だけ下方側を向く方向に延びるように測定範囲Nが設定されている。ソナーユニット103,104の測定範囲Nは、ソナーユニット103,104から走行機体7の外方側に向けて所定距離までの距離を半径とする範囲であり、走行機体7の前後方向において、前ライダーセンサ101における左右測定範囲C1と後ライダーセンサ102における左右測定範囲D1との間に設定されている。
【0089】
このようにして、障害物検知部110は、ソナーユニット103,104の測定情報に基づいて障害物検知処理を行うことで、左右の測定範囲Nにて障害物の存否を検知している。
【0090】
以下、障害物検知部110による障害物検知処理、及び、衝突回避制御部111による衝突回避制御について説明するが、まず、ライダーセンサ101,102の測定情報に基づく障害物検知処理にて障害物を検知した場合の衝突回避制御について説明し、次に、ソナーユニット103,104の測定情報に基づく障害物検知処理において障害物を検知した場合の衝突回避制御を説明する。
【0091】
ライダーセンサとして、前ライダーセンサ101と後ライダーセンサ102との2つのライダーセンサを備えているが、障害物検知部110は、目標走行経路Pに含まれた前後進切り替え地点での前後進の切り替え、又は、キャビン10の内部に備えられた前後進切り替え用のリバーサレバーによる前後進の切り替えに基づいて障害物検知状態を切り替える。トラクタ1が前進走行する場合には、前ライダーセンサ101による測定を行い、障害物検知部110が前ライダーセンサ101の測定情報に基づく障害物検知処理を行う前進検知状態に切り替え、トラクタ1が後進走行する場合には、後ライダーセンサ102による測定を行い、障害物検知部110が後ライダーセンサ102の測定情報に基づく障害物検知処理を行う後進検知状態に切り替えている。このように、トラクタ1が前進走行しているか後進走行しているかによって、前ライダーセンサ101と後ライダーセンサ102のどちらのライダーセンサを用いて障害物の検知を行うかを切り替えることで、処理負担の軽減を図りながら、障害物の検知を行うようにしている。
【0092】
前進検知状態では、障害物検知部110が、前ライダーセンサ101の測定情報に基づいて障害物検知処理を行い、左右方向で左右測定範囲C1(図12参照)に含まれ、且つ、上下方向で上下測定範囲C2(図11参照)に含まれる範囲において、マスキング範囲L(図13参照)を除く範囲にて障害物の存否を検知している。後進検知状態では、作業装置12が下降位置に位置する場合に、障害物検知部110が、後ライダーセンサ102の測定情報に基づいて障害物検知処理を行い、左右方向で左右測定範囲D1(図12参照)に含まれ、且つ、上下方向で上下測定範囲D2(図11参照)に含まれる範囲において、下降位置用のマスキング範囲L1(図14参照)を除く範囲にて障害物の存否を検知している。後進検知状態では、作業装置12が上昇位置に位置する場合に、障害物検知部110が、後ライダーセンサ102の測定情報に基づいて障害物検知処理を行い、左右方向で左右測定範囲D1(図12参照)に含まれ、且つ、上下方向で上下測定範囲D2(図11参照)に含まれる範囲において、上昇位置用のマスキング範囲L2(図15参照)を除く範囲にて障害物の存否を検知している。
【0093】
前ライダーセンサ101又は後ライダーセンサ102を用いて障害物を検知した場合には、図12に示すように、測定範囲C,Dである障害物検知用の検知範囲のうち、どの範囲にて障害物を検知したかによって、衝突回避制御部111による衝突回避制御の制御内容が異なるように設定されている。測定範囲C,D(検知範囲)は、前ライダーセンサ101又は後ライダーセンサ102からの距離に応じて、第1検知範囲J1と第2検知範囲J2と第3検知範囲J3との3つの範囲が設定されている。第1検知範囲J1は、前ライダーセンサ101又は後ライダーセンサ102からの距離が、第4設定距離X4から第1設定距離X1まで又は第4設定距離X4から第3設定距離X3までの範囲に設定されている。第2検知範囲J2は、前ライダーセンサ101又は後ライダーセンサ102からの距離が第5設定距離X5から第4設定距離X4までの範囲に設定されている。第3検知範囲J3は、前ライダーセンサ101又は後ライダーセンサ102からの距離が第5設定距離X5までの範囲に設定されている。よって、前ライダーセンサ101、後ライダーセンサ102、及び、作業装置12を含むトラクタ1に対して、第1検知範囲J1、第2検知範囲J2、第3検知範囲J3がその順に近くなるように設定されている。
【0094】
前ライダーセンサ101又は後ライダーセンサ102を用いて障害物を検知した場合の衝突回避制御の制御内容は、トラクタ1が前進走行している場合も後進走行している場合も同様であるので、以下、トラクタ1が前進走行している場合について説明する。
【0095】
トラクタ1が前進走行しているときに、図12に示すように、障害物検知処理において第1検知範囲J1内で障害物を検知した場合には、衝突回避制御部111が、衝突回避制御として、報知ブザーや報知ランプ等の報知装置26を制御して、第1検知範囲J1内に障害物が存在することを報知する第1報知制御を行う。第1報知制御では、例えば、衝突回避制御部111が、報知ブザーを所定周波数にて断続作動させ、且つ、報知ランプを所定色にて点灯させるように、報知装置26を制御している。
【0096】
障害物検知処理において第2検知範囲J2内で障害物を検知した場合には、衝突回避制御部111が、衝突回避制御として、報知ブザーや報知ランプ等の報知装置26を制御して、第2検知範囲J2内に障害物が存在することを報知する第2報知制御を行うとともに、トラクタ1の車速を減速させる第1減速制御を行う。第2報知制御では、例えば、衝突回避制御部111が、報知ブザーを所定周波数にて断続作動させ、且つ、報知ランプを所定色にて点灯させるように、報知装置26を制御している。第1減速制御では、例えば、衝突回避制御部111が、現在のトラクタ1の車速や障害物までの距離等に基づいて、トラクタ1が障害物に衝突するまでの衝突予測時間を求めている。衝突回避制御部111は、求めた衝突予測時間が設定時間(例えば、3秒)に維持される状態でトラクタ1の車速を減速させるように、エンジン9、変速装置13及びブレーキ操作機構15等を制御している。
【0097】
障害物検知処理において第3検知範囲J3内で障害物を検知した場合には、衝突回避制御部111が、衝突回避制御として、報知ブザーや報知ランプ等の報知装置26を制御して、第3検知範囲J3内に障害物が存在することを報知する第3報知制御を行うとともに、トラクタ1を停止させる停止制御を行う。第3報知制御では、例えば、衝突回避制御部111が、報知ブザーを連続作動させ、且つ、報知ランプを所定色にて点灯させるように、報知装置26を制御している。停止制御では、例えば、衝突回避制御部111が、トラクタ1を停止させるように、ブレーキ操作機構15等を制御している。
【0098】
ちなみに、第1報知制御及び第2報知制御において報知ブザーを断続させる所定周波数は、同じ周波数でもよく、異なる周波数でもよい。また、第1〜第3報知制御において報知ランプを点灯させる所定色は、同じ色でもよく、異なる色でもよい。衝突回避制御部111は、第1〜第3報知制御において、トラクタ1の報知装置26の制御に加えて、第1〜第3検知範囲J1〜J3の何れかに障害物が存在することを示す表示内容を携帯通信端末3の表示部51に表示させるように、端末電子制御ユニット52を制御することもできる。
【0099】
例えば、第1検知範囲J1内で障害物が検知された場合には、衝突回避制御部111が第1報知制御を行うことで、第1検知範囲J1内に障害物が存在することをユーザ等に報知することができる。そのままトラクタ1の走行が継続されて、障害物の検知範囲が第1検知範囲J1から第2検知範囲J2に近づくと、衝突回避制御部111が、第2報知制御に加えて、第1減速制御を行うことで、トラクタ1と障害物との衝突を回避可能とするために、トラクタ1の車速を減速させておくことができる。トラクタ1を減速させても、障害物の検知範囲が第2検知範囲J2から第3検知範囲J3に近づくと、衝突回避制御部111が、第3報知制御に加えて、停止制御を行うことで、トラクタ1を停止させることができ、トラクタ1と障害物との衝突を適切に回避することができる。
【0100】
ライダーセンサ101,102を用いる場合には、人等の移動する測定対象物も障害物として検知する。よって、検知範囲J内で障害物が検知されても、障害物自体が移動することで、障害物が検知範囲Jから外れることがある。そこで、障害物が第1検知範囲J1から外れた場合には、衝突回避制御部111が、第1報知制御を終了する。障害物が第2検知範囲J2から外れた場合には、衝突回避制御部111が、第2報知制御を終了するとともに、トラクタ1の車速を設定車速まで増速させるように、エンジン9や変速装置13等を制御する車速回復制御を行う。障害物が第3検知範囲J3から外れた場合には、衝突回避制御部111が、トラクタ1を走行停止状態に維持しながら、第3報知制御を終了する。この場合には、ユーザ等によりトラクタ1の自動走行の再開等が指令されることで、トラクタ1の自動走行を再開することができる。
【0101】
次に、ソナーユニット103,104の測定情報に基づく障害物検知処理にて障害物を検知した場合の衝突回避制御について説明する。
ソナーユニット103,104は、左右に備えられているが、トラクタ1が前進走行する場合もトラクタ1が後進走行する場合も、障害物検知部110は、左右両側のソナーユニット103,104の全ての測定情報に基づいて障害物検知処理を行う。
【0102】
ソナーユニット103,104の測定情報に基づく障害物検知処理にて障害物を検知した場合には、衝突回避制御部111が、衝突回避制御として、報知ブザーや報知ランプ等の報知装置26を制御して、ソナーユニット103,104の何れかの測定範囲N内に障害物が存在することを報知する第4報知制御を行うとともに、トラクタ1の車速を減速させる第2減速制御を行う。第4報知制御では、例えば、衝突回避制御部111が、報知ブザーを所定周波数にて断続作動させ、且つ、報知ランプを所定色にて点灯させるように、報知装置26を制御している。第2減速制御では、例えば、衝突回避制御部111が、トラクタ1の車速を設定車速に減速させるように、エンジン9、変速装置13及びブレーキ操作機構15等を制御している。
【0103】
このようにして、障害物検知システム100は、前ライダーセンサ101及び後ライダーセンサ102を用いて走行機体7の前方側及び後方側における障害物の存否を検知するとともに、ソナーユニット103,104を用いて走行機体7の左右における障害物の存否を検知することができる。障害物検知システム100は、障害物検知部110にて障害物の存在を検知すると、衝突回避制御部111が衝突回避制御を行うことによって、障害物の存在をユーザ等に報知して、ユーザ等に障害物との衝突を回避するように促すことができるとともに、仮にトラクタ1と障害物とが衝突する可能性が生じても、トラクタ1を減速や停止させて、トラクタ1と障害物との衝突を適切に回避することができる。
【0104】
自動走行状態では、車載電子制御ユニット18にて自動走行制御が行われるので、障害物検知システム100によりトラクタ1を減速や停止させて、障害物との衝突を回避しながら、トラクタ1を自動走行させることができる。手動走行状態においても、運転しているユーザ等に対しても、障害物検知システム100により障害物の存在を報知したり、トラクタ1と障害物との衝突を回避するための運転をサポートすることができる。
【0105】
以下、走行経路生成部53による目標走行経路Pの生成について説明する。
走行経路生成部53が目標走行経路Pを生成するに当たり、携帯通信端末3の表示部51に表示された目標走行経路設定用の入力案内に従って、運転者や管理者等のユーザ等が作業車両や作業装置12の種類や機種等の車体情報を入力しており、入力された車体情報が端末記憶部54に記憶されている。目標走行経路Pの生成対象となる走行領域S(図3参照)を圃場としており、携帯通信端末3の端末電子制御ユニット52は、走行領域Sの形状や位置を含む走行領域情報を取得して端末記憶部54に記憶している。
【0106】
走行領域情報は、走行領域Sの形状、及び、測位ユニット21にて取得されるトラクタ1の位置情報から取得される走行領域Sの位置等を含む走行領域Sに関する情報となっている。よって、走行領域情報を取得するためには、走行領域Sの形状を特定することが必要となる。
【0107】
そこで、走行領域Sの形状の特定方法について説明する。
走行領域Sの形状を特定するために、図2に示すように、衛星測定システムを用いてトラクタ1の位置情報を取得する測位ユニット(位置情報取得部に相当する)21と、その測位ユニット21にて取得するトラクタ1の位置情報に基づいて、トラクタ1の移動軌跡を取得する移動軌跡取得部56と、走行領域Sの境界部S1までの距離を取得する距離取得部57と、走行領域Sの形状を特定する形状特定部58とが備えられている。移動軌跡取得部56、距離取得部57、及び、形状特定部58は、端末電子制御ユニット52に備えられている。
【0108】
走行領域Sの内側と外側とは境界部S1にて区画されているので、図16に示すように、ユーザ等がトラクタ1を運転して、走行領域Sの境界部S1側をトラクタ1にて周回走行させる。この周回走行中に、トラクタ1の位置情報を測位ユニット21にてリアルタイムにて取得しており、移動軌跡取得部56が、測位ユニット21の位置情報に基づいて、トラクタ1を周回走行させたときの移動軌跡M1を取得している。図16では、走行領域Sの境界部S1、及び、トラクタ1を周回走行させたときの移動軌跡を例示している。
【0109】
トラクタ1を走行領域Sの境界部S1側を周回走行させる場合には、トラクタ1と走行領域Sの境界部S1との間に隙間が生じるので、図16に示すように、トラクタ1の移動軌跡M1は、走行領域Sの境界部S1よりもその隙間分だけ内側に位置することになる。そこで、境界部S1側をトラクタ1にて周回走行させるときには、図17に示すように、ライダーセンサ101,102にて走行領域Sの境界部S1までの距離を測定しながら、トラクタ1を周回走行させている。
【0110】
図17は、前ライダーセンサ101の測定情報に基づいて、走行領域Sの境界部S1までの距離を3次元にて検出している場合を示しているが、後ライダーセンサ102の測定情報に基づいて走行領域Sの境界部S1までの距離を3次元にて検出する場合も同様であるので、説明及び図示は省略する。
【0111】
走行領域Sを圃場等とした場合には、走行領域Sの境界部S1に畔が存在しており、走行領域Sの境界部S1が畔によって走行領域Sの内側よりも一段高い位置となっている。また、走行領域Sの境界部S1に壁等の区画体が設けられる場合も、走行領域Sの境界部S1が走行領域Sよりも高い位置となっている。そこで、距離取得部57は、前ライダーセンサ101の測定情報に基づいて、走行領域Sの境界部S1における上端部までの距離K1及び下端部までの距離K2を検出して、走行領域Sの境界部S1における高さK3を検出している。
【0112】
距離取得部57は、検出した高さK3と予め設定されている走行領域Sの境界部S1の高さとを用いて、走行領域Sの境界部S1を特定している。走行領域Sの境界部S1の高さや走行領域Sの位置等が登録された地図情報等から走行領域Sの境界部S1の高さを取得して、走行領域Sの境界部S1の高さを予め設定している。距離取得部57は、検出した高さK3と予め設定されている走行領域Sの境界部S1の高さと比較することで、その高さが同じであれば、検出した高さK3が走行領域Sの境界部S1の高さであるとして、走行領域Sの境界部S1を特定している。距離取得部57は、走行領域Sの境界部S1を特定すると、特定した走行領域Sの境界部S1までの距離K4(水平方向での距離)を求めている。例えば、前ライダーセンサ101の設置位置の高さが規定値であるので、距離取得部57は、前ライダーセンサ101の設置位置の高さ、及び、走行領域Sの境界部S1における下端部までの距離K2等を用いて、走行領域Sの境界部S1までの距離K4を求めることができる。
【0113】
距離取得部57は、図18に示すように、トラクタ1と走行領域Sの境界部S1との隙間に相当する距離K4をリアルタイムで取得しており、トラクタ1の移動軌跡M1と走行領域Sの境界部S1との間の距離K4を移動軌跡M1の全長に亘って取得している。
【0114】
形状特定部58は、図19に示すように、移動軌跡取得部56にて取得したトラクタ1の移動軌跡M1を、距離取得部57にて取得した走行領域Sの境界部S1までの距離K4にて補正する形態で、走行領域Sの形状を特定している。形状特定部58は、移動軌跡M1を、距離取得部57にて取得した距離K4分だけ外側に広げるように補正して(図中矢印にて示す)、走行領域Sの形状を特定している。図19に示すものでは、矩形状の走行領域Sが特定されている。
【0115】
図17に示すように、前ライダーセンサ101は、走行機体7の横幅方向において、キャビン10の中央部に配置されている。図17の点線にて示すように、アンテナユニット80に収納されているGPSアンテナ24も、走行機体7の横幅方向において、キャビン10の中央部に配置されている。前ライダーセンサ101とGPSアンテナ24は、水平方向で同一位置に配置されている。これにより、水平方向において、移動軌跡取得部56にて取得される移動軌跡M1の位置と前ライダーセンサ101の設置位置とが同一位置となるので、トラクタ1と走行領域Sの境界部S1との隙間に相当する実際の距離が、距離取得部57にて取得される走行領域Sの境界部S1までの距離K4となる。よって、形状特定部58は、移動軌跡M1を、単純に距離取得部57にて取得した距離K4分だけ外側に広げるだけで、走行領域Sの形状を正確に特定することができる。
【0116】
図20のフローチャートに基づいて、走行領域情報の取得方法における動作の流れについて説明する。
まず、図16に示すように、ユーザ等がトラクタ1を運転して、走行領域Sの境界部S1側をトラクタ1にて周回走行させる(ステップ#1)。この周回走行によって、移動軌跡取得部56にてトラクタ1の移動軌跡を取得し、距離取得部57にて走行領域Sの境界部S1までの距離を取得する(ステップ#2、ステップ#3)。これにより、形状特定部58は、移動軌跡M1を、距離取得部57にて取得した走行領域Sの境界部S1までの距離K4にて補正して、走行領域Sの形状を特定している(ステップ#4)。
【0117】
図2に示すように、トラクタ1には、トラクタ1の姿勢や走行方向を計測する慣性計測装置23が備えられている。図16に示すように、トラクタ1を周回走行させる場合に、慣性計測装置23にてトラクタ1の姿勢及びその姿勢変化を計測できるとともに、ライダーセンサ101,102にてトラクタ1の走行面までの距離を測定することができる。そこで、図2に示すように、トラクタ1を周回走行させた場合に、慣性計測装置23の測定情報、及び、ライダーセンサ101,102の測定情報に基づいて、走行領域Sにおける走行面の傾斜角度を特定する傾斜角度特定部60が端末電子制御ユニット52に備えられている。傾斜角度特定部60は、リアルタイムで走行領域Sにおける走行面の傾斜角度を特定しており、測位ユニット21から取得されるトラクタ1の位置に応じた走行面の傾斜角度を特定している。これにより、走行領域情報は、形状特定部58にて特定された走行領域Sの形状に加えて、傾斜角度特定部60にて特定された走行面の傾斜角度を含む情報として、端末記憶部54に記憶されている。
【0118】
形状特定部58にて特定された走行領域Sの形状等を含む走行領域情報が端末記憶部54に記憶されると、走行経路生成部53は、端末記憶部54に記憶されている走行領域情報や車体情報を用いて、図3に示すように、目標走行経路Pを生成する。ちなみに、走行領域情報には、傾斜角度特定部60にて特定された走行面の傾斜角度が含まれているので、走行経路生成部53は、走行面の傾斜角度を考慮して、目標走行経路Pを生成することができる。走行経路生成部53にて生成した目標走行経路Pは、例えば、図3に示すような地図情報として、走行領域情報と合わせて端末記憶部54に記憶されている。
【0119】
図3に示すものでは、走行経路生成部53が、走行領域S内を中央領域R1と外周領域R2とに区分け設定している。中央領域R1は、走行領域Sの中央部に設定されており、先行してトラクタ1を往復方向に自動走行させて所定の作業(例えば、耕耘等の作業)を行う往復作業領域となっている。外周領域R2は、中央領域R1の周囲に設定されており、中央領域R1に後続してトラクタ1を周回方向に自動走行させて所定の作業を行う周回作業領域となっている。走行経路生成部53は、例えば、車体情報に含まれる旋回半径やトラクタ1の前後幅及び左右幅等から、トラクタ1を圃場の畔際で旋回走行させるために必要となる旋回走行用のスペース等を求めている。走行経路生成部53は、中央領域R1の外周に求めたスペース等を確保するように、走行領域S内を中央領域R1と外周領域R2とに区分けしている。
【0120】
走行経路生成部53は、図3に示すように、作業装置12に関する作業装置情報を含む車体情報や走行領域情報等を用いて、目標走行経路Pを生成している。例えば、目標走行経路Pは、中央領域R1において同じ直進距離を有して作業幅(作業装置12の横幅に相当する)に対応する一定距離をあけて平行に配置設定された複数の作業経路P1と、隣接する作業経路P1の始端と終端とを連結する連結経路P2と、外周領域R2において周回する周回経路P3(図中点線にて示している)とを有している。
【0121】
複数の作業経路P1は、トラクタ1を直進走行させながら、所定の作業を行うための経路である。連結経路P2は、所定の作業を行わずに、トラクタ1の走行方向を180度転換させるためのUターン経路であり、作業経路P1の終端と隣接する次の作業経路P1の始端とを連結している。周回経路P3は、外周領域R2にてトラクタ1を周回走行させながら、所定の作業を行うための経路である。周回経路P3は、走行領域Sの四隅に相当する位置において、トラクタ1を前進走行と後進走行とに切り替えることで、トラクタ1の走行方向を90度転換させるようにしている。ちなみに、図3に示す目標走行経路Pは、あくまで一例であり、どのような目標走行経路を設定するかは適宜変更が可能である。
【0122】
図16図19を用いて、走行領域Sの形状の特定方法について説明したが、図21に示すように、走行領域Sの境界部S1に障害物V1,V2が存在している場合がある。以下、このような場合における走行領域Sの形状の特定方法について、図21図24に基づいて説明する。
【0123】
この場合には、上述の如く、移動軌跡取得部56にて取得した移動軌跡M2を、距離取得部57にて取得した距離K4だけでなく、障害物V1,V2の位置や形状に応じて補正して、走行領域Sの形状を特定している。そのために、図2に示すように、端末電子制御ユニット52には、障害物V1,V2を特定する障害物特定部59が備えられている。
【0124】
図21に示すように、図16と同様に、ユーザ等がトラクタ1を運転して、走行領域Sの境界部S1側をトラクタ1に周回走行させる。このとき、走行領域Sの境界部S1には、障害物として物体V1や畔崩れV2が存在しているので、トラクタ1は、物体V1や畔崩れV2を回避するように、物体V1や畔崩れV2よりも内側を走行することになる。よって、移動軌跡取得部56は、物体V1や畔崩れV2を内側に回避したトラクタ1の移動軌跡M2を取得する。図21では、走行領域Sの境界部S1、及び、トラクタ1を周回走行させたときの移動軌跡を例示している。障害物の物体V1としては、例えば、電柱、側溝、注排水パイプ、マンホールの蓋等、各種の物体が考えられる。
【0125】
トラクタ1にて周回走行させるときには、ライダーセンサ101,102にて走行領域Sの境界部S1までの距離を測定しているので、図22及び図23に示すように、ライダーセンサ101,102にて物体V1及び畔崩れV2までの距離を3次元にて測定することができる。図22は、前ライダーセンサ101の測定情報に基づいて、走行領域Sの境界部S1、及び、物体V1までの距離を3次元にて検出している場合を示している。図23は、前ライダーセンサ101の測定情報に基づいて、走行領域Sの境界部S1、及び、畔崩れV2までの距離を3次元にて検出している場合を示している。図23において、畔崩れが生じる前の畔の状態を一点鎖線にて示し、畔崩れが生じた状態を実線にて示している。後ライダーセンサ102を用いる場合も同様であるので、説明及び図示は省略する。
【0126】
障害物特定部59は、前ライダーセンサ101の測定情報に基づいて、図22に示すように、物体V1における上端部までの距離K5及び下端部までの距離K6を検出して、物体V1における高さK7を検出している。また、障害物特定部59は、前ライダーセンサ101の測定情報に基づいて、図23に示すように、畔崩れV2における上端部までの距離K8及び下端部までの距離K9を検出して、畔崩れV2における高さK10を検出している。このように、障害物特定部59は、前ライダーセンサ101の測定情報から3次元での各距離K5〜K10等を取得できるので、それら3次元での各距離K5〜K10等を用いて物体V1及び畔崩れV2の位置、形状及び高さを特定している。
【0127】
障害物特定部59は、物体V1及び畔崩れV2の位置、形状及び高さを特定すると、特定した物体V1及び畔崩れV2までの距離K11,K12(水平方向での距離)を求めている。例えば、前ライダーセンサ101の設置位置の高さが規定値であるので、図22に示すように、障害物特定部59は、前ライダーセンサ101の設置位置の高さ、及び、物体V1における下端部までの距離K6等を用いて、物体V1までの距離K11を求めることができる。図23に示すように、障害物特定部59は、前ライダーセンサ101の設置位置の高さ、及び、畔崩れV2における下端部までの距離K9等を用いて、畔崩れV2までの距離K12を求めることができる。
【0128】
このように、障害物特定部59は、ライダーセンサ101,102の測定情報に基づいて、障害物V1,V2までの距離を3次元にて検出しており、3次元の距離から障害物V1,V2の位置、形状及び高さを特定しているので、障害物V1,V2を正確に特定することができる。
【0129】
ちなみに、実際に計測する等して、物体V1や畔崩れV2の高さや横幅等が予め設定されていれば、障害物特定部59は、ライダーセンサ101,102の測定情報から取得した3次元での距離と予め設定されている物体V1や畔崩れV2の高さや横幅等とを比較することで、障害物V1,V2の位置、形状及び高さの特定をより精度良く行なうことができる。
【0130】
形状特定部58は、図24に示すように、移動軌跡取得部56にて取得したトラクタ1の移動軌跡M2を、距離取得部57にて取得した走行領域Sの境界部S1までの距離K4にて補正するとともに、障害物特定部59にて特定した障害物V,V2に応じて補正する形態で、走行領域Sの形状を特定している。形状特定部58は、移動軌跡M1を、距離取得部57にて取得した距離K4分だけ外側に広げるように補正するとともに、障害物特定部59にて特定した障害物V,V2の位置及び形状に応じて内側に突出するように補正して、走行領域Sの形状を特定している。
【0131】
図25のフローチャートに基づいて、障害物V1、V2が存在する場合における走行領域情報の取得方法における動作の流れについて説明する。
まず、図21に示すように、ユーザ等がトラクタ1を運転して、走行領域Sの境界部S1側をトラクタ1にて周回走行させる(ステップ#11)。この周回走行によって、移動軌跡取得部56にてトラクタ1の移動軌跡を取得し、距離取得部57にて走行領域Sの境界部S1までの距離を取得し、障害物特定部59が障害物V1,V2の位置や形状等を特定する(ステップ#12〜#14)。これにより、形状特定部58は、移動軌跡M1を、距離取得部57にて取得した走行領域Sの境界部S1までの距離K4にて補正するとともに、障害物特定部59にて特定した障害物V1,V2に応じて補正して、走行領域Sの形状を特定している(ステップ#15)。
【0132】
図21に示すように、トラクタ1を周回走行させる場合にも、傾斜角度特定部60が、慣性計測装置23の測定情報、及び、ライダーセンサ101,102の測定情報に基づいて、走行領域Sにおける走行面の傾斜角度を特定している。これにより、走行領域情報は、形状特定部58にて特定された走行領域Sの形状に加えて、傾斜角度特定部60にて特定された走行面の傾斜角度を含む情報として、端末記憶部54に記憶されている。
【0133】
形状特定部58にて特定された走行領域Sの形状等を含む走行領域情報が端末記憶部54に記憶されると、走行経路生成部53は、端末記憶部54に記憶されている走行領域情報や車体情報を用いて、図3と同様に、図26に示すように、目標走行経路Pを生成する。図26では、障害物V1,V2の位置及び形状に応じて、走行領域Sの形状が内側に突出する形状(図21図24参照)となっているので、図中点線で示す周回経路P3の一部分(図中、右側に位置する周回経路P3と上側に位置する周回経路P3)が、走行領域Sの形状に応じて内側に湾曲する形状に生成されている。ちなみに、走行領域情報には、傾斜角度特定部60にて特定された走行面の傾斜角度が含まれているので、走行経路生成部53は、走行面の傾斜角度を考慮して、目標走行経路Pを生成することができる。
【0134】
上述の如く、走行領域Sの境界部S1に障害物V1,V2が存在していても、障害物V1,V2の位置及び形状に応じて、走行領域Sの形状を特定できるとともに、目標走行経路Pを生成することができる。例えば、畔崩れV2等の障害物については、走行領域Sの形状の特定、及び、目標走行経路Pの生成を行った後に発生する場合もある。そこで、図27に示すように、走行領域Sの形状の特定、及び、目標走行経路Pの生成を行った後に、障害物V3が発生した場合でも、その障害物V3に応じて、走行領域Sの形状の特定、及び、目標走行経路Pの生成を行うようにしている。
【0135】
車載電子制御ユニット18にて自動走行制御を行い、トラクタ1を自動走行させている場合に、障害物検知部110が障害物検知処理を行うことで、障害物V3を検知することができる。そこで、図2に示すように、端末電子制御ユニット52には、障害物登録部72と走行経路再生成部73とが備えられている。
【0136】
障害物登録部72は、図27に示すように、障害物検知部110にて検知された障害物V3を、形状特定部58にて特定された走行領域Sに登録している。図27では、図中左側の走行領域Sの境界部S1において障害物V3が検知された状態を示している。
【0137】
障害物登録部72は、障害物検知部110にて検知された障害物V3を検知したときのトラクタ1の位置情報を、測位ユニット21にて取得することができる。障害物検知部110にて検知された障害物V3は、ライダーセンサ101,102にて3次元での距離が測定されているので、障害物登録部72は、ライダーセンサ101,102の測定情報に基づいて、障害物V3の位置、形状及び高さ等を検出することができる。障害物登録部72は、障害物V3を登録する際に、障害物V3を検知したときのトラクタ1の位置情報、及び、障害物V3の位置、形状及び高さ等を合わせて登録している。端末記憶部54には、走行領域情報と目標走行経路Pとを合わせた情報(地図情報)が記憶されているので、障害物登録部72は、その記憶された情報に障害物V3の位置、形状及び高さ等を加えて、走行領域情報と目標走行経路Pとを合わせた情報(地図情報)を更新している。
【0138】
形状特定部58は、障害物登録部72にて障害物V3が登録されると、図27の一点鎖線にて示すように、特定済みの走行領域Sの形状を、登録された障害物V3に応じて補正して、走行領域Sの形状を再特定している。形状特定部58は、登録された障害物V3に応じて内側に突出する形状に走行領域Sの形状を再特定している。形状特定部58にて再特定された走行領域Sの形状を含む走行領域は、既に記憶されている走行領域を更新する状態で端末記憶部54に記憶されている。
【0139】
走行経路再生成部73は、形状特定部58にて走行領域Sの形状が再特定されると、図27に示すように、障害物登録部72にて登録された障害物V3に応じて、一点鎖線にて示すように、目標走行経路Pを再生成している。障害物V3の位置及び形状に応じて、走行領域Sの形状が内側に突出する形状となっているので、走行経路再生成部73は、周回経路P3の一部分が、走行領域Sの形状に応じて内側に湾曲する形状に再生成している。
【0140】
走行経路再生成部73にて目標走行経路Pが再生成されると、その後、車載電子制御ユニット18にて自動走行制御を行う場合には、再生成された目標走行経路Pに沿ってトラクタ1を自動走行させることになる。このように、自動走行制御を行うことで、障害物V3を検知すると、その後は、障害物V3に応じて再生成された目標走行経路Pに沿ってトラクタ1を自動走行させる。
【0141】
図27では、走行領域Sの境界部S1に障害物V3を検知した場合を例示したが、車載電子制御ユニット18による自動走行制御中には、ライダーセンサ101,102を用いて障害物を検知しているので、走行領域S内のどこで障害物を検知しても、図27と同様に、障害物登録部72にて障害物の登録を行うことができる。例えば、障害物登録部72にて登録された障害物が走行領域Sの中央部等、走行領域Sの境界部S1とは異なる位置であると、形状特定部58による走行領域Sの形状の再特定は行わず、走行経路再生成部73による目標走行経路Pの再生成を行う。
【0142】
〔別実施形態〕
本発明の他の実施形態について説明する。
尚、以下に説明する各実施形態の構成は、夫々単独で適用することに限らず、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0143】
(1)作業車両の構成は種々の変更が可能である。
例えば、作業車両は、エンジン9と走行用の電動モータとを備えるハイブリット仕様に構成されていてもよく、また、エンジン9に代えて走行用の電動モータを備える電動仕様に構成されていてもよい。
例えば、作業車両は、走行部として、左右の後輪6に代えて左右のクローラを備えるセミクローラ仕様に構成されていてもよい。
例えば、作業車両は、左右の後輪6が操舵輪として機能する後輪ステアリング仕様に構成されていてもよい。
【0144】
(2)上記実施形態では、前ライダーセンサ101及び後ライダーセンサ102を、上下方向において、ルーフ35に相当する位置に配置しているが、例えば、前ライダーセンサ101は、ボンネット8の前方側端部に配置することができる。前ライダーセンサ101及び後ライダーセンサ102の配置位置は、乗降部となる乗降ステップ41よりも上方側であればよく、その配置位置は適宜変更することができる。
【0145】
前ライダーセンサ101の配置位置と後ライダーセンサ102の配置位置とを、上下方向で異なる高さとすることもできる。例えば、前ライダーセンサ101をボンネット8の前方側端部に配置し、後ライダーセンサ102をルーフ35に相当する位置に配置することができる。
【0146】
(3)上記実施形態では、前ライダーセンサ101をアンテナユニット80の底部に取り付けているが、例えば、前ライダーセンサ101を、支持ステーを介してルーフ35に取り付けることもでき、前ライダーセンサ101をどのような部材に取り付けるかは適宜変更が可能である。
【0147】
(4)上記実施形態では、前ライダーセンサ101と後ライダーセンサ102の2つのライダーセンサを備えた例を示したが、ライダーセンサの数については適宜変更が可能であり、1つや3つ以上とすることができる。
【0148】
(5)上記実施形態では、障害物検知部110が、ライダーセンサ101,102の測定情報に基づいて、障害物検知処理を行うようにしているが、ライダーセンサ101,102に制御部を備えて、その制御部が障害物検知処理を行うこともできる。このように、障害物検知処理については、センサ側で行うか、作業車両側で行うかは、適宜変更が可能である。
【0149】
(6)上記実施形態では、障害物検知部110、及び、衝突回避制御部111をトラクタ1に備えた例を示したが、例えば、携帯通信端末3等、トラクタ1とは別の装置に備えさせることもできる。
【0150】
(7)上記実施形態では、走行経路生成部53、移動軌跡取得部56、距離取得部57、形状特定部58、障害物特定部59、傾斜角度特定部60、障害物登録部72、及び、走行経路再生成部73を携帯通信端末3に備えているが、例えば、トラクタ1の車載電子制御ユニット18に備える等、携帯通信端末3とは別の装置に備えさせることもできる。
【符号の説明】
【0151】
1 トラクタ(作業車両)
21 位置情報取得部
56 移動軌跡取得部
57 距離取得部
58 形状特定部
101 前ライダーセンサ(距離センサ)
102 後ライダーセンサ(距離センサ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
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