特開2019-178899(P2019-178899A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-178899(P2019-178899A)
(43)【公開日】2019年10月17日
(54)【発明の名称】熱式流量計および流量補正方法
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/696 20060101AFI20190920BHJP
【FI】
   G01F1/696 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-67090(P2018-67090)
(22)【出願日】2018年3月30日
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】山崎 吉夫
(72)【発明者】
【氏名】松永 晋輔
(72)【発明者】
【氏名】青島 滋
【テーマコード(参考)】
2F035
【Fターム(参考)】
2F035EA01
2F035EA04
2F035EA08
2F035EA09
(57)【要約】
【課題】配管を流通する流体の種類が変わった場合でも精度良く流量測定する。
【解決手段】熱式流量計は、配管1に配設され、流体の第1の温度を検出する測温素子2aと、測温素子2aよりも下流側の配管1の箇所に配設され、流体の第2の温度を検出する発熱・測温素子2bと、第2の温度が第1の温度よりも一定値だけ高くなるように発熱・測温素子2bを発熱させる制御部10と、発熱・測温素子2bの消費電力を測定する電力測定部6と、消費電力を流量変換式または流量変換テーブルを用いて流量の値に変換する流量導出部7と、流体の流れが停止しているときの消費電力の値毎に流量変換式または流量変換テーブルを記憶する記憶部9と、流体の流れが停止しているときの消費電力に対応する流量変換式または流量変換テーブルを記憶部9から読み出して流量導出部7に設定する設定部8とを備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象の流体を流通させるように構成された配管と、
前記配管に配設され、前記流体の第1の温度を検出するように構成された測温素子と、
前記測温素子よりも下流側の前記配管の箇所に配設され、前記流体の第2の温度を検出するように構成された発熱・測温素子と、
前記第2の温度が前記第1の温度よりも一定値だけ高くなるように電力を供給して前記発熱・測温素子を発熱させるように構成された制御部と、
前記発熱・測温素子の消費電力を測定するように構成された電力測定部と、
この電力測定部によって測定された消費電力を、予め設定された流量変換式または流量変換テーブルを用いて前記流体の流量の値に変換するように構成された流量導出部と、
前記配管内の流体の流れが停止しているときの前記消費電力の値毎に、前記流量変換式または前記流量変換テーブルを記憶するように構成された記憶部と、
前記配管内の流体の流れが停止しているときに前記電力測定部によって測定された消費電力に対応する流量変換式または流量変換テーブルを前記記憶部から読み出して、前記流量導出部に設定するように構成された設定部とを備えることを特徴とする熱式流量計。
【請求項2】
請求項1記載の熱式流量計において、
前記設定部は、前記流体の流れが停止していることを示す停水状態信号が入力されたときに、前記電力測定部によって測定された消費電力の値を取得し、この値に対応する流量変換式または流量変換テーブルを前記記憶部から読み出すことを特徴とする熱式流量計。
【請求項3】
測定対象の流体を流通させる配管と、前記配管に配設され、前記測定対象の流体の第1の温度を検出する測温素子と、前記測温素子よりも下流側の前記配管の箇所に配設され、前記測定対象の流体の第2の温度を検出する発熱・測温素子とを備えた熱式流量計の流量補正方法において、
前記第2の温度が前記第1の温度よりも一定値だけ高くなるように電力を供給して前記発熱・測温素子を発熱させる第1のステップと、
前記発熱・測温素子の消費電力を測定する第2のステップと、
前記電力測定部によって測定された消費電力を、予め設定された流量変換式または流量変換テーブルを用いて前記流体の流量の値に変換する第3のステップと、
前記配管内の流体の流れが停止しているときに、前記流量変換式または前記流量変換テーブルを予め記憶している記憶部を参照し、前記流体の流れが停止しているときに測定された前記消費電力に対応する流量変換式または流量変換テーブルを前記記憶部から読み出して、前記第3のステップで用いる流量変換式または流量変換テーブルとして設定する第4のステップとを含むことを特徴とする熱式流量計の流量補正方法。
【請求項4】
請求項3記載の熱式流量計の流量補正方法において、
前記第4のステップは、前記流体の流れが停止していることを示す停水状態信号が入力されたときに、前記消費電力の値を取得し、この値に対応する流量変換式または流量変換テーブルを前記記憶部から読み出すステップを含むことを特徴とする熱式流量計の流量補正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管の上流と下流の2点で流体の温度を測定して、2点間の温度差が所定の値になるようにヒータを制御して、ヒータに印加する電力から流体の流量を算出する熱式流量計に関するものである。
【背景技術】
【0002】
熱式流量計は、ヒータ温度を水温に対し、プラス10℃など一定温度に加温駆動で動作させ、上下流の温度差又はヒータの電力から、流量を算出する方式が一般的である。センサ出力は、流体の熱伝導率、比熱、密度、粘度等の物性値により変化することが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
図9は、ヒータの消費電力から流体の流量を測定する熱式流量計の原理を説明する図である。図9に示す熱式流量計の方式では、測定対象の流体を流通させる配管100に水温センサ101とヒータ102とを配設し、ヒータ102の温度TRhと水温センサ101の温度TRrとの差(TRh−TRr)が一定になるようにヒータ102を発熱させる。このとき、流体の流量Qはヒータ102の消費電力Pと再現性のある相関があるため、消費電力Pから流量Qを算出することができる。
ヒータ消費電力P(mW)は、簡易的には以下の式で表されることが知られている。
【0004】
【数1】
【0005】
式(1)において、A,Bは配管の形状、流体の熱伝導率、流体の密度、流体の粘度、流体の比熱等から決まる定数、μ(mL/min)は流量、ΔT(℃)はヒータ102の加熱温度である。ヒータ消費電力Pと流量Qとの関係の1例を図10に示す。
式(1)における定数A,Bは流体の熱伝導率等により変化するため、図11に示すように流体の種類によってヒータ消費電力Pと流体の流量Qとの関係が変化する。図11の例では、流体の種類を、水、過酸化水素(10%)、硫酸(10%)、過酸化水素(30%)、硫酸(30%)、アンモニア(100%)、硫酸(60%)、過酸化水素(50%)、硫酸(98%)、イソプロピルアルコールとした。このように、流体の種類によってヒータ消費電力Pと流体の流量Qとの関係が変化するため、流量計使用者は、事前に測定する流体の種類を流量計に設定する必要があった。
【0006】
しかしながら、設定後に流体の種類が変化してしまったり、流体の種類が不明であったりする場合、ヒータ消費電力Pを流量Qに精度良く変換することができなくなり、流量測定に誤差が生じるという問題点があった。
【0007】
図12は、測定する流体の種類を水(H2O)とする設定後に各種の流体を配管に流通させた場合の熱式流量計の流量出力と真の流量との関係を示す図である。図12によれば、設定後に流体の種類が変化すると、熱式流量計の流量出力に誤差が生じることが分かる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−132812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、配管を流通する流体の種類が変わった場合でも精度良く流量測定することができる熱式流量計および流量補正方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の熱式流量計は、測定対象の流体を流通させるように構成された配管と、前記配管に配設され、前記流体の第1の温度を検出するように構成された測温素子と、前記測温素子よりも下流側の前記配管の箇所に配設され、前記流体の第2の温度を検出するように構成された発熱・測温素子と、前記第2の温度が前記第1の温度よりも一定値だけ高くなるように電力を供給して前記発熱・測温素子を発熱させるように構成された制御部と、前記発熱・測温素子の消費電力を測定するように構成された電力測定部と、この電力測定部によって測定された消費電力を、予め設定された流量変換式または流量変換テーブルを用いて前記流体の流量の値に変換するように構成された流量導出部と、前記配管内の流体の流れが停止しているときの前記消費電力の値毎に、前記流量変換式または前記流量変換テーブルを記憶するように構成された記憶部と、前記配管内の流体の流れが停止しているときに前記電力測定部によって測定された消費電力に対応する流量変換式または流量変換テーブルを前記記憶部から読み出して、前記流量導出部に設定するように構成された設定部とを備えることを特徴とするものである。
また、本発明の熱式流量計の1構成例において、前記設定部は、前記流体の流れが停止していることを示す停水状態信号が入力されたときに、前記電力測定部によって測定された消費電力の値を取得し、この値に対応する流量変換式または流量変換テーブルを前記記憶部から読み出すことを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明は、測定対象の流体を流通させる配管と、前記配管に配設され、前記測定対象の流体の第1の温度を検出する測温素子と、前記測温素子よりも下流側の前記配管の箇所に配設され、前記測定対象の流体の第2の温度を検出する発熱・測温素子とを備えた熱式流量計の流量補正方法において、前記第2の温度が前記第1の温度よりも一定値だけ高くなるように電力を供給して前記発熱・測温素子を発熱させる第1のステップと、前記発熱・測温素子の消費電力を測定する第2のステップと、前記電力測定部によって測定された消費電力を、予め設定された流量変換式または流量変換テーブルを用いて前記流体の流量の値に変換する第3のステップと、前記配管内の流体の流れが停止しているときに、前記流量変換式または前記流量変換テーブルを予め記憶している記憶部を参照し、前記流体の流れが停止しているときに測定された前記消費電力に対応する流量変換式または流量変換テーブルを前記記憶部から読み出して、前記第3のステップで用いる流量変換式または流量変換テーブルとして設定する第4のステップとを含むことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、記憶部と設定部とを設けることにより、流体の種類に応じた流量変換式または流量変換テーブルを設定することができるので、配管を流通する流体の種類が変わった場合でも、精度良く流量測定することができる。また、本発明では、設定部が流量変換式または流量変換テーブルを自動選択するので、熱式流量計の使用者は、流体の種類を変えた場合あるいは流体の種類が変わったと思われる場合に、流体の流れを停止させるだけで容易に熱式流量計の設定変更を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の実施例に係る熱式流量計の構成を示すブロック図である。
図2図2は、本発明の実施例に係る熱式流量計の温度取得部と制御演算部の動作を説明するフローチャートである。
図3図3は、本発明の実施例に係る熱式流量計の電力測定部と流量導出部の動作を説明するフローチャートである。
図4図4は、本発明の実施例に係る熱式流量計の設定部の動作を説明するフローチャートである。
図5図5は、各種の流体を配管に流通させた場合のヒータ消費電力−流量特性のゼロ点付近を拡大した図である。
図6図6は、測定する流体が水の場合の流量変換式または流量変換テーブルを設定した後に各種の流体を配管に流通させた場合の熱式流量計の流量出力と真の流量との関係を示す図である。
図7図7は、本発明の実施例に係る熱式流量計の流量出力と真の流量との関係を示す図である。
図8図8は、本発明の実施例に係る熱式流量計を実現するコンピュータの構成例を示すブロック図である。
図9図9は、熱式流量計の原理を説明する図である。
図10図10は、熱式流量計におけるヒータ消費電力と流体の流量との関係の1例を示す図である。
図11図11は、各種の流体を配管に流通させた場合のヒータ消費電力と流体の流量との関係を示す図である。
図12図12は、流体の種類を水とする設定後に各種の流体を配管に流通させた場合の熱式流量計の流量出力と真の流量との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施例に係る熱式流量計の構成を示すブロック図である。熱式流量計は、測定対象の流体を流通させる例えばガラスからなる配管1と、配管1に配設された例えば白金等の測温素子2aと、測温素子2aよりも下流側の配管1の箇所に配設された例えば白金等の発熱・測温素子2bと、測温素子2aによって検出される流体の温度TRrを取得する温度取得部3aと、発熱・測温素子2bによって検出される流体の温度TRhを取得する温度取得部3bと、温度差(TRh−TRr)が一定値になるように操作量を算出する制御演算部4と、操作量に応じた電力を発熱・測温素子2bに供給して発熱させる電力調整器5と、発熱・測温素子2bの消費電力を測定する電力測定部6と、電力測定部6によって測定された消費電力を流量の値に変換する流量導出部7と、配管1内の流体の流れが停止しているときの発熱・測温素子2bの消費電力に基づいて流量変換式または流量変換テーブルを選択して流量導出部7に設定する設定部8と、配管1内の流体の流れが停止しているときの消費電力の値毎に、流量変換式または流量変換テーブルを予め記憶する記憶部9とを備えている。制御演算部4と電力調整器5とは、制御部10を構成している。
【0015】
測温素子2aおよび発熱・測温素子2bは、それぞれシリコンウエハ上に形成されている。測温素子2aが形成されたシリコンウエハの面が配管1の外壁と向かい合うように配管1に接着されることにより、測温素子2aが配管1に固定されるようになっている。発熱・測温素子2bの固定方法も測温素子2aの固定方法と同じである。
【0016】
次に、本実施例の熱式流量計の動作について説明する。図2は、温度取得部3a,3bと制御演算部4の動作を説明するフローチャートである。
温度取得部3a,3bは、配管1を流れる流体の温度TRr,TRhを取得する(図2ステップS100)。具体的には、温度取得部3a,3bは、それぞれ測温素子2a、発熱・測温素子2bの抵抗値を検出し、抵抗値と温度との関係から、流体の温度TRr,TRhを取得する。
【0017】
制御演算部4は、流体の下流側の温度TRhから上流側の温度TRrを減算した温度差(TRh−TRr)が一定値(制御の目標値であり、例えば10℃)になるように操作量を算出する(図2ステップS101)。操作量を算出する制御演算アルゴリズムとしては、例えばPIDがある。
電力調整器5は、制御演算部4によって算出された操作量に応じた電力を発熱・測温素子2bに供給して発熱させる(図2ステップS102)。
【0018】
こうして、熱式流量計の動作が終了するまで(図2ステップS103においてYES)、ステップS100〜S102の処理が制御周期毎に実行され、流体の下流側の温度TRhが上流側の温度TRrよりも所定の値だけ高くなるように制御される。
【0019】
図3は、電力測定部6と流量導出部7の動作を説明するフローチャートである。電力測定部6は、発熱・測温素子2bの消費電力Pを測定する(図3ステップS200)。電力測定部6は、例えば電力調整器5から発熱・測温素子2bに印加される電圧Vと発熱・測温素子2bの抵抗値Rhとに基づいて次式により発熱・測温素子2bの消費電力Pを算出する。
Q=V2/Rh ・・・(2)
【0020】
こうして、流体の下流側の温度TRhを上流側の温度TRrより所定の値だけ高くするために必要な消費電力Pを求めることができる。
【0021】
次に、流量導出部7は、電力測定部6によって測定された消費電力Pを、予め設定された流量変換式を用いて流量の値に変換することにより、測定対象の流体の流量Qを導出する(図3ステップS201)。なお、消費電力Pを流量Qに変換するための流量変換式の代わりに、消費電力Pに対応する流量Qの値が登録された流量変換テーブルが設定されている場合、流量導出部7は、消費電力Pに対応する流量Qの値を流量変換テーブルから取得すればよい。
電力測定部6と流量導出部7とは、熱式流量計の動作が終了するまで(図3ステップS202においてYES)、ステップS200,S201の処理を一定時間毎に実行する。
【0022】
図4は、設定部8の動作を説明するフローチャートである。設定部8は、配管1内の流体の流れが停止しているときの発熱・測温素子2bの消費電力に基づいて流量変換式または流量変換テーブルを選択して流量導出部7に設定する。
図11で説明したとおり、配管1内の流体の種類によって消費電力−流量特性が変化するが、この特性の違いは配管1内の流体の流れが停止している場合にも現れる。
【0023】
図5は、図11のゼロ点付近を拡大した図である。図5から明らかなように、配管1内の流体の流れが停止している(流量0)場合であっても、流体の種類によって消費電力Pに違いが生じるので、流体の種類の違いを判別できることが分かる。
【0024】
熱式流量計の使用者は、流体の種類を変えた場合、あるいは流体の種類が変わったと思われる場合、熱式流量計の配管1の上下流のバルブ(不図示)を閉にすることで、流体の流れを停止させる。そして、使用者は、熱式流量計に対して、流体の流れが停止していることを示す停水状態信号を入力する。
【0025】
記憶部9には、配管1内の流体の流れが停止しているときの消費電力Pの値毎(すなわち、流体の種類毎)に、流量変換式または流量変換テーブルが予め登録されている。流量変換式または流量変換テーブルは、例えば本実施例と同型の校正済みの熱式流量計に、予め想定される種類の流体を流す試験によって求めることができる。なお、流体の種類が同一であっても、流体の流れが停止しているときの消費電力Pの値にはバラツキが生じることがあるので、流体の流れが停止しているときの消費電力Pの複数点に対して、1つの流量変換式または1つ流量変換テーブルが登録されている場合があることは言うまでもない。
【0026】
設定部8は、外部から停水状態信号が入力された場合(図4ステップS300においてYES)、電力測定部6によって測定された消費電力Pの値を取得し(図4ステップS301)、この消費電力Pの値に対応する流量変換式または流量変換テーブルを記憶部9から読み出して流量導出部7に設定する(図4ステップS302)。
こうして、流体の種類に応じた流量変換式または流量変換テーブルを設定することができる。使用者は、設定完了後、配管1の上下流のバルブを開いて流体の流通を再開させるようにすればよい。
【0027】
図6は、測定する流体が水(H2O)の場合の流量変換式または流量変換テーブルを設定した後に各種の流体を配管1に流通させた場合の熱式流量計の流量出力と真の流量との関係を示す図である。
一方、図7は、配管1内の流体の種類が変わる度に本実施例の方法で流量変換式または流量変換テーブルを設定変更した場合の熱式流量計の流量出力と真の流量との関係を示す図である。図6図7の例では、流体の種類を、水、過酸化水素(10%)、アンモニア、硫酸(60%)、過酸化水素(50%)、硫酸(98%)、イソプロピルアルコール、フロリナート(登録商標)とした。
【0028】
図6の場合と比較して、本実施例によれば、熱式流量計の流量出力の誤差が大幅に小さくなっていることが分かる。
以上のように、本実施例によれば、流体の種類に応じた流量変換式または流量変換テーブルを設定することができるので、配管1を流通する流体の種類が変わった場合でも、精度良く流量測定することができる。また、本実施例では、設定部8が流量変換式または流量変換テーブルを自動選択するので、熱式流量計の使用者は、流体の種類を変えた場合あるいは流体の種類が変わったと思われる場合に、流体の流れを停止させるだけで容易に熱式流量計の設定変更を行うことができる。
【0029】
本実施例の熱式流量計のうち少なくとも制御演算部4と流量導出部7と設定部8と記憶部9とは、CPU(Central Processing Unit)、記憶装置及びインタフェースを備えたコンピュータと、これらのハードウェア資源を制御するプログラムによって実現することができる。このコンピュータの構成例を図8に示す。コンピュータは、CPU200と、記憶装置201と、インターフェース装置(以下、I/Fと略する)202とを備えている。I/F202には、温度取得部3a,3bと電力調整器5とが接続される。このようなコンピュータにおいて、本発明の流量補正方法を実現させるためのプログラムは記憶装置201に格納される。CPU200は、記憶装置201に格納されたプログラムに従って本実施例で説明した処理を実行する。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、熱式流量計に適用することができる。
【符号の説明】
【0031】
1…配管、2a…測温素子、2b…発熱・測温素子、3a,3b…温度取得部、4…制御演算部、5…電力調整器、6…電力測定部、7…流量導出部、8…設定部、9…記憶部、10…制御部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12